JP3710582B2 - 核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具 - Google Patents

核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具に関し、さらに詳しくは核磁気共鳴(Magnetic Resonance、以下、MRと記載する。)に適合する医療用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
核磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging、以下、MRIと記載する。)は原子核が強い磁気中で一定の周波数の電磁波を吸収する現象である核磁気共鳴を利用したコンピュータ断層撮影(Computed Tomography、以下CTと記載する。)法の一種である。このMRIは磁気的な方法により体内の断層撮影を行うため、他の代表的なCTであるX線CTのようにX線による被爆が無く、脳のような軟質の組織でも高品質に描画できる利点がある。
【0003】
MRIでは強力な磁場が用いられるので、その磁場中にある物体は、その磁気的性質に応じて影響を受け、或いは逆に、MRIで得られる映像に影響を及ぼす。従って、MRIを使用する際には、その内部及び周辺で使用される物体の磁気的性質に留意する必要がある。このときの磁気的性質の尺度として、特に外部磁場の強度に対するその物質の磁気モーメントの割合である磁化率が重要となる。一般に人体を構成する物質、例えば骨、血液などは負の磁化率を有し、その範囲は概ね−1×10-5〜0(emu・mo1-1)である。従ってMRlに影響を及ぼさない医療器具などの磁化率はかかる範囲を含む一定の範囲に限定される。
【0004】
これに対して、正の磁化率、特にフェリ磁性体(多くはステンレス鋼である。)からなる医療用器具、例えば外科用のクリップ、ワイヤー、電極などがMRI被検者の体内、または体表面に存在すると、MR映像が得られなかったり、診断映像の歪み(アーチファクト)を生じ、正確な診断が不可能となる。さらには、これらの医療器具がMRIの磁気により偏向し移動する場合もある。
【0005】
MR適合性のある金属材料としては、従来より、りん青銅、ベリリウム銅等の銅合金や純チタンなどが知られている。銅合金の磁化率は、−80〜−50×l0-6(emu・mol-1)程度であり、純チタンの磁化率は、153×10-6(emu・mo1-1)であるが、結晶方位によって異方性を示し、160〜147×10-6(emu・mo1-1)の範囲で変動する。
【0006】
又、ニッケルを含有する非磁性のハステロイ合金が一般の医療用器具として使用されているが、含有されている強磁性元素であるニッケル含有量を調整することにより、ハステロイ合金をMRに適合する医療器具とする試みがなされている。例えば、特公平2−5932号公報では、ニッケルを35重量%以上含む合金、特に、ニッケルを49重量%含むハステロイ合金を用いた吸引バイオプシー針がMRに適合する器具として記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする問題点】
MRに適合する以上の素材の内、銅合金は機械的強度に問題があると共に、特にベリリウム銅は極めて強い毒性があるため、生体適合性がない。純チタンはステンレス鋼に比べ軟質(Hv170程度の硬さ)で、機械加工が困難であり、棒状またはパイプ状のような単純な部材以外は製造が難しい。ハステロイ合金は機械加工に特殊な工具を必要とし、さらにニッケルを35重量%以上と多く含有するため、アレルギーを誘発し、生体適合性に問題がある。。また、これら従来のMR適合の素材はすべて結晶質の合金であるため、引き抜きなど強力な塑性加工を行うと、結晶の磁気的性質が変化し、MR適合性を失う問題を有している。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を考慮してなされたものであり、高強度で、且つ加工が容易であり、生体適合性に優れると共に、MR適合性を有する核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1〜の発明は、MR適合性があり、核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用される医療用処置具に係り、請求項1の発明は、磁化率が−160×10-6〜+160×10-6(emu・mol-1)の範囲にある元素からなる非晶質合金を使用したことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、核磁気共鳴映像法の下で生体に対して処置を行うために、核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具において、一般式Xa Albc (式中、XはZr、Ti、Mg、Hfより選ばれた1 以上の元素、YはCu、Bより選ばれた1以上の元素であって、a、b、cは原子%であり、50≦a≦80、5≦b≦80、0<c≦50)で示される組成を有する非晶質合金を使用したことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、核磁気共鳴映像法の下で生体に対して処置を行うために、核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具において、一般式Xd Alefg (式中、XはZr、Ti、Mg、Hfから選ばれた1以上の元素、YはCu、Bから選ばれた1以上の元素、ZはNi、Co、Feより選ばれた2以上の元素であって、d、e、f、gは原子%であり、50≦d≦80、5≦e≦80、0<f≦50、5≦g≦20)で示される組成を有する非晶質合金を使用したことを特徴とする。
【0018】
上述したように、MR適合性は、物質の磁化率によって大きく影響される。本発明者が検討した結果、医療用器具の磁化率が−160×10-6〜+160×10-6 emu・mo1-1)の範囲内の場合には、MR映像に問題となるような影響が見られなかった。本発明では、磁化率が−160×10-6〜+160×10-6(emu・mo1-1)の範囲にある元素から構成される非晶質合金であるため、MR適合性を有する医療用処置具とすることができる。
【0019】
特に、液体急冷法により非晶質化した非晶質合金は、金属間化合物による磁化率の変化や、結晶方位、結晶粒界、偏析など結晶質に起因する磁気的異方性を防止することができ、加工時においてもMR適合性を失わない医療用処置具とすることができる。
【0020】
請求項2の発明に使用されるZの磁化率は122.24×10-6(emu・mo1-1)、Tiの磁化率は152.73×10-6(emu・mo1-1)、Mgの磁化率は6.32×10-6(emu・mo1-1)、Hfの磁化率は74.97×10-6(emu・mol-1)、Cuの磁化率は−5.46×10-6(emu・mol-1)、Bの磁化率は−6.70×10-6(emu・mol-1)、Alの磁化率は16.46×10-6(emu・mol-1)である。従って、全ての元素が、磁化率−160×10-6〜+160×10-6(emu・mo1-1)の範囲内となっている(図5参照)。又、これらの元素より構成される非晶質合金は、組織内に金属間化合物を含む結晶構造を有していないため、磁気的異方性が存在せず、MR適合性を発現する。
【0021】
又、請求項2の非晶質合金は、明瞭なガラス遷移温度(Tg)と結晶化温度(Tx)との間の温度領城である過冷却液体城(△T=Tx−Tg)を有する非晶質合金である。このような特性を有する非晶質合金は、鋳造によりバルク状に成形でき、しかも過冷却液体域に加熱されることにより、急激に粘性が低下するため、各種の成形加工が可能であり、医療用器具の製造に好適となっている。
【0022】
この非晶質合金の内、Zr60Cu30Al10(添字は原子%)を使用できる。この非晶質合金組成では、Zr、Cu、A1がMR適合性を有する元素であり、機械加工も可能である。特に、Tg=402℃、Tx=465℃であるため、63℃の広い過冷却液体域を有し、成形加工も容易である。一方、降伏強度1.0GPa、硬さ449Hvであり、焼き入れされたステンレス鋼以上の機械的強度を示すと共に、高硬度材料が有している破壊靱性の低さに対しては、非晶質合金特有の変形機構からジュラルミン等のアルミニウム合金の3倍となっており、高い破壊靱性を有している。さらに、生体適合性検査においても、組成金属元素の析出がなく、医療用材料として十分な生体適合性を有している。
【0023】
請求項3の発明に使用されるNi、Co、Feは、強磁性元素である。強磁性元素を含有している合金は、本来的には、合金全体の磁化率が高くなり、MRに適合する磁化率の範囲を大きく逸脱すると考えられる。ところが、請求項3の組成からなる非晶質合金は、上述した非晶質合金同様、MR適合性を示すことを本発明者が見い出した。これは、Ni、Co、Feの内、2つ以上の強磁性元素が同一の合金内に存在すると、お互いの磁性が合金内で相殺されることにより、合金全体が低い磁化率となると推測される。又、これに加えて、各構成元素がランダムに配置されている非晶質合金であることも、Ni、Co、Feの磁性の相殺に効果があるものと推測される。
【0024】
このような非晶質合金の内、Zr60Al15Ni15Cu5 Co5 (添字は原子%)の合金組成を選択することができる。この合金組成では、Tg=427℃、Tx=500℃であるため、73℃の広い過冷却液体域を有し、成形加工が容易である。又、降伏強度1.2GPa、硬さ500Hvの機械的強度を示す。さらに、NiとCoとを含有しているが、本発明者の実験による裏付けでは、MR適合性を有する非晶質合金であり、生体適合性検査においても、組成金属元素の析出がなく、医療用材料としての十分な生体適合性を有することが確認された。これらの非晶質合金を通常の機械加工、液体急冷鋳造、若しくは過冷却液体域での成形加工を用いることにより、MR適合性のある医療用器具を製作することができる。
【0025】
以上の請求項1〜3の非晶質合金は、その高い機械的強度から、高い硬さが要求され、且つ操作時に強い力が作用する内視鏡用処置具、手術用クリップ、骨接合用プレート、歯列矯正用ワイヤー、各種インプラント埋入体、注射針、ステント、吸引バイオプシー針の中から選ばれたものに好適に用いることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本実施の形態ではMR適合性を有する非晶質合金からなる医療用器具として内視鏡用処置具を例として説明する。図1は本実施の形態の内視鏡処置具としての生体組織の切断を行う鋏鉗子1の全体を示す。
【0027】
図1に示すように、鋏鉗子1は開閉可能な一対の鋏2a、2bを処置部材として備えた鋏鉗子部3を先端に有する円管パイプ状のシース4と、このシース4の基端に設けられた操作ハンドル5とから構成されている。この鉗子1は操作ハンドル5の各ハンドル部5a,5bを回動自在に連結する枢軸5cを支点として回動操作することでシース4の先端に設けられた鋏鉗子部3の鋏2a、2bを遠隔的に開閉操作できるようになっている。
【0028】
具体的には、円管パイプ状のシース4内に挿通される棒状の操作軸7の基端が操作ハンドル5のハンドル部5aに揺動自在に連結されるとともに、操作軸7の先端が鋏鉗子部3の鋏2a、2bを開閉動作させるカム機構等の開閉機構に連結されている。
【0029】
図2及び図3はこの開閉機構の詳細を示す。操作軸7の先端に連結されたカム板31と、このカム板31の両面に形成されたカム溝32、32と、鋏2a、2bに突設されてカム溝32、32にぞれぞれ嵌合するガイドピン33、33と、鋏2a、2bの開閉の支点となる枢着ピン34と、シース4の先端に連結され枢着ピン34の両端を支持する接続部材35等の部材によって構成されている。
【0030】
カム溝32、32を両面に形成したカム板31の一端側の筒状部36に対して、操作軸7の先端が連結される。この連結は図3に示すように、操作軸7の先端側の外周に小径部7aを形成し、この小径部7aを埋めるように筒状部36が押圧成形され、この成形によって連結されている。
【0031】
ガイドピン33,33は鋏2a、2bのそれぞれのカム板31と摺接する側に、一体的に植設されている。カム板31の各面のカム溝32,32は、このガイドピン33、33と対応しており、操作軸7の進退によって鋏鉗子3が開閉するよう作用する。なお、鋏2a、2bに植設されるガイドピン33、33は、鋏2a、2bの機械加工の際に一体的に形成することもできる。
【0032】
接続部材35は、二股状の鍔部37、37を有しており、シース4の先端側に、その軸線方向に位置決めされて連結されている。シース4と、接続部材35の連結は、シース4の先端側の外周に2段の小径部4a、4bを形成し、小さい径側の小径部4bを埋め、且つ大きい側の小径部4aによって密着嵌合するように、接続部材35の基端側が押圧成形されると共に、シース4の先端の端面と接続部材35の内側段部とが当接されて行われ、これによりシース4と接続部材35とが軸線方向の位置ズレがないように連結されている。
【0033】
接続部材35の二股状の鍔部37、37の間に挟まれる鋏2a、2bには、鋏鉗子3として開閉する際の支点となる位置に、それぞれ挿通孔38、38が形成されている。この挿通孔38、38と二股状の鍔部37、37のそれぞれに形成した挿通孔39、39との間に、枢着ピン34が挿通されることにより、接続部材35と鋏2a、2bとが組み立てられる。
【0034】
この組み立ては、シース4と接続部材35とを接続し、次いで操作軸7とカム板31とを接続し、このカム板31の各カム溝32、32に鋏2a、2bのガイドピン33、33を係合させた後、鋏2a、2bの一対を接続部材35の二股状の鍔部37、37内に嵌め込んで、各挿通孔38、38、39、39を位置合わせする。そして、枢着ピン34を挿通孔38、38、39、39に挿通して枢着ピン34の端部を押圧成形して変形させることにより行われる。
【0035】
以上の組み立てにおいては、図3に示すように、接続部材35の外周面形状に対応した下端面を有した筒状のガイド部材40内を用いる。このガイド部材40の内部には、下端面が接続部材35の外周面形状に対応した上側押し型41が配置される。この上側押し型41の内部には、加熱用ヒータ(図示省略)が配置されており、上側押し型41の下端面を温度制御して加熱することができるようになっている。
【0036】
一方、下側受け台42によって枢着ピン34の皿部34aを支持し、ガイド部材40の下端面を接続部材35の鍔部37に当接した状態で、鍔部37から突出する枢着ピン34の上端部を、後述する非晶質合金の過冷却液体域の温度まで上側押し型41により加熱した後、上側押し型41を下降して突出している枢着ピン34を押圧する。この押圧によって枢着ピン34の上端部が皿状に押し広げられて新たな皿部34bが形成され、図4に示すように、鋏2a、2bと枢着ピン34とが回動自在に連結される。
【0037】
同様に、シース4と接続部材35との押圧による連結、カム板31の筒状部36と操作軸7との押圧による連結においても、挿入側の部材を挿入した後、被覆側の部材の端部を局部的に加熱し、連結部の外観形状に対応した面形状を有した一対の成形型によって一体的に連結することができる。
【0038】
なお、ハンドル5では、図1に示すように、ハンドル部5bの筒状部5dとシース4とが連結され、ハンドル部5aと操作軸7の端部とが揺動自在に連結された後、ハンドル部5aとハンドル部5bとが枢軸5cを介して回動自在に組み立てられる。この場合、枢軸5cは硬質プラスチックによって成型されている。そして各ハンドル部5a、5bにより操作ハンドル5を枢軸5cを支点として回動操作することにより、シース4に対して操作軸7を前後にスライドさせる。これにより操作軸7と連結されている上述した開閉機構が動作して、開閉機構と連結されている鋏2a、2bが開閉する。
【0039】
このような鋏鉗子1では、処置部材としての鋏2a、2b及び開閉機構を構成する各部材としてMR適合性を有する非晶質合金Zr60Cu30Al10(添字は原子%)を使用することにより製作した。各構成元素の磁化率は図5に示す。同図において、縦軸は各元素及び生体構成物質のモル磁化率、横軸はその原子番号である。又、Aは本発明の磁化率の範囲である。
【0040】
各構成元素の磁化率は、図5に示すように、Zrの磁化率が122.24×10-6(emu・mo1-1)、Cuの磁化率が−5.46×10-6(emu・mo1-1)、Alの磁化率が16.46×10-6(emu・mol-1)であり、いずれも−160×10-6〜+160×10-6(emu・mol-1)の範囲内となっている。
【0041】
以上のような非晶質合金からなる鋏2a、2b及び開閉機構の各部材は液体急冷鋳造法により鋳造することによって製造された直径5mm、長さ80mmの素材を用い、通常の機械加工により所定の形状に加工を行った。機械加工における非晶質合金の切削性はステンレス鋼SUS303とSUS304の中間程度であった。また、鋏2a、2bには手仕上げにより刃付けを行った。なお、上述した非晶質合金からなる枢着ピン34や各部材同士の押圧による連結は、非晶質合金が過冷却液体域の温度領域で、約109P a・s程度の粘性流体となって押圧成形可能となる特性を利用すると共に、過冷却液体域の温度から非晶質合金の結晶化が始まる前に、ガラス遷移温度以下に冷却することにより非晶質の状態が維持される特性を利用するものである。
【0042】
シース4は純チタンパイプ(ASTM DT2相当)、操作軸7も同じく純チタン(ASTM DT2相当)製のシャフトを用いた。シース4はパイプ状であり、操作軸7は棒状であって、いずれも単純な形状で、純チタンであっても製造可能なところから、純チタンを採用したものである。これに対し、鋏2a、2bや開閉機構を構成するカム板31、接続部材35は形状が複雑であり、かつ硬さ、機械的強度が要求されるため、またガイドピン33、枢着ピン34は硬さ、機械的強度が要求されるため、非晶質合金でないと、高精度な製造は極めて困難である。操作ハンドル5は強化プラスチックにより製作した。強化プラスチック等のプラスチックもMR適合性を有する材料である。
【0043】
以上のような鋏鉗子1の全体をMRI評価用の模型(ファントム)表面部に接着テープにより貼付し、GE社製1.5Tesla MRスキャナ、SIGNAによりMRスキャンを行った。実験の結果、MR映像に歪みなどの影響は発生しなかった。また、鋏鉗子1の処置部材としての一対の鋏2a、2bにより生体ダミーサンプルの切断試験を行ったが、ステンレス鋼SUS420J2からなる従来の鋏鉗子と同等以上の切断性能を示した。
【0044】
さらに、開閉機構の機械的耐久性、生体適合性、および耐減菌(オートクレーブ)性も従来の鋏鉗子と同等以上であった。本実施の形態では加工による非晶質合金の結晶化は発生しなかった。なお、素材製造時などにより非晶質合金内に結晶質が発生しても、50%以内であれば、MR適合性および機械的性質に重大な問題とはならないことが研究の結果、判明した。
【0045】
以上のような本実施の形態によれば、MR映像に影響を及ぼすこと無く、従来の鋏鉗子と同等以上の機能を有する内視鏡処置具とすることができる。また、本実施の形態で使用した非晶質合金Zr60Cu30Al10(添字は原子%)は他の医療器、例えば手術用クリップ、骨接合用プレート、歯列矯正用ワイヤー、各種インプラント埋入体、注射針、吸引バイオプシー針などにも適用できる。
【0046】
さらに、ZrをTiまたはMgまたはHfに置換したもの、またはCuをBに置換し、または組み合わせた非晶質材料、例えばTi55Cu30Al15や、Zr55Cu30Al105 (添字は原子%)なども同様に用いることが出来る。
【0047】
なお、以上の説明では、医療用器具としての内視鏡用処置具は、MRIにおける磁場中での使用に適用したが、この処置具はMRIにおける磁場中での使用に限らず、MRIを使用しない一般の医療用として体表面あるいは体腔内の手術等の切断時の医療用器具としても使用できるものである。
【0048】
(実施の形態2)
本実施の形態ではMR適合性を有する非晶質合金からなる医療用器具として内視鏡用処置具を例として説明する。図6は本実施の形態の内視鏡処置具の全体図、図7及び図8はその先端側の分解図を、一部を断面にして示す斜視図である。図9は本実施の形態の先端側の把持爪の成形工程を示す図である。
【0049】
本実施の形態の内視鏡処置具は生体組織を把持する把持鉗子11である。図6に示すように、把持鉗子11は開開可能な一対の把持爪12a、12bを処置部材として備えた把持部13と、この把持部13を接続部材35を介して先端に有する円管パイプ状のシース14と、このシース14の手元側に連結された操作ハンドル15とを有している。操作ハンドル15はハンドル部15a及び15bが枢軸15cを介して連結されている。
【0050】
この場合、シース14内に挿通される棒状の操作軸17の基端が操作ハンドル15の一方のハンドル部15aに揺動自在に連結されるとともに、操作軸17の先端が把持部13の把持爪12a、12bを開閉動作させるカム機構等の開閉機構に連結されている。
【0051】
カム機構等の開閉機構は、図7に示すように、実施の形態1と同様に、操作軸17の先端に連結されたカム板31と、このカム板31の両面に形成されたカム溝32、32と、このカム溝32、32にそれぞれ嵌合するガイドピン33、33と、把持部13の各把持爪12a、12bの開閉支点となる枢着ピン34と、この枢着ピン34の両端を支持する接続部材35等の部材によって構成されている。従って、この実施の形態では、実施の形態1と基本的には同一であり、実施の形態1の鋏鉗子部3の鋏2a、2bに対して、生体組織を把持する把持爪12a、12bに変更されている点で異なっている。なお、この把持爪12a、12bは生体組織を把持し易くするため、概略鋸歯形状の凹凸面となっている。
【0052】
このような把持鉗子11では処置部材としての把持爪12a、12b及び開閉機構を構成する各部材を、MR適合性を有する非晶質合金Zr60Al15Ni15Cu5 Co5 (添字は原子%)で製作した。各構成元素の内、Zrの磁化率は122.24×10-6(emu・mo1-1)、Cuの磁化率は−5.46×10-6(emu・mol-1)、Alの磁化率は16.46×10-6(emu・mol-1)であり、実施の形態1と同様にMR適応性を有する磁化率−160×10-6〜160×10-6(emu・mol-1)の範囲内となっている。この非晶質合金は、ガラス遷移速度Tg=427℃、結晶化温度Tx=500℃である。
【0053】
この実施の形態で用いる非晶質合金元素の内、Ni、Coは強磁性元素であり、これらの元素を添加した場合、その合金の磁化率も極めて大きくなると考えられた。確かにCoのみ、Niのみというように強磁性元素が1種のみ含有した非晶質合金にはMR対応性はない。ところが、この実施の形態では、2種類以上の強磁性元素を含有することにより、MR適合性が発現している。これは2つ以上の強磁性元素が同一の合金内に存在すると、お互いの磁性が合金内で相殺することにより低い磁化率を示すと推測される。さらに各構成元素がランダムに配置されている非晶質合金であることも、上述したNi、Coの磁性の相殺に効果があるものと推測される。
【0054】
把持爪12a又は12bの製作方法としては、液体急冷鋳造法によって非晶質合金を鋳造することで製造した直径3mm、長さ80mmの非晶質合金素材を用い、図9に示すような断面形状を有する金型20、21を用いて、非晶質合金の過冷却液体域での低い粘性流動を利用した成形加工により製作した。金型20、21はキャビティ部20a、21aを有し、キャビティ部20a、21aで把持爪12a又は12bの外形を成形できる構造となっている。
【0055】
把持爪12a、12bの製造は、所定の長さに切断すると共に、枢着ピン34挿通用の孔を形成せず、また、ガイドピン33を有しないときの容量の把持爪用素材に対応させた非晶質合金素材22を用いる。この非晶質合金22を加熱及び成形時に酸化しないような、真空チャンバーを用い、この真空チャンバー内に金型20、21を配置し、金型20、21に非晶質合金素材22をセットする。そして、真空チャンバー内を真空状態とした後に、図示しない放射加熱装置により金型20、21および非晶質合金素材22を過冷却液体域内の450℃まで加熱する。この状態で金型20を押圧装置により、押圧力50MPaで非晶質合金素材22を金型20及び金型21間で押圧し、200秒間成形加工を行う。この成形加工により、非品質合金素材22がキャビティ部20a、21aの形状に成形され、把持爪12a又は12b用の把持爪用素材となる。
【0056】
この把持爪用素材に対して、図7に図示するように、枢着ピン34の挿通孔38を機械加工により穿設すると共に、ガイドピン33を植設する部位に凹部を形成し、この孔にガイドピン33を圧入して、把持爪12a、12bを製作する。なお、この製造では、把持爪用素材を成形した後に、上述した機械加工を施したが、金型20、21に対して枢着ピンの挿通孔38を形成する中子及びガイドピン33用の凹部を形成する中子をそれぞれ配置することもでき、これにより機械加工を要することなく、直接に把持爪12a、12bを製造できる。
【0057】
把持爪12aと把持爪12bの形状が異なる場合においては、各々の把持爪12a、12bの外形に合わせてキャビテイ部20a、21aを製作することにより、同様に把持爪12a、12bを製造できる。加熱・成形時の非晶質合金22の酸化を防止するために、真空チャンバー内の加工雰囲気は10-2Paの真空とすることが良好である。成形終了後、純度99.999%のHeガスを真空チャンバー内に導入して、速やかに冷却(冷却速度毎秒50℃以上)することにより非晶質合金22の脆化を防止する。シース14は純チタンパイプ(ASTM DT2相当)、操作軸17も純チタンの棒状材を用いた。純チタン製の部材を用いたのは実施の形態1と同じ理由による。 また、開閉機構を構成する非晶質合金のカム板31、ガイドピン33、枢着ピン34、及び接続部材35は、機械加工によって所定の形状、大きさに製作し、また操作ハンドル15は強化プラスチックによって製作した。
【0058】
以上のような把持鉗子11の全体をMRI評価用の模型(ファントム)表面部に接着テープで貼付し、GE社製1.5Tesla MRスキャナ、SIGNAによりMRスキャンを行った。実験の結果、MR映像に歪みなどの影響は発生しなかった。また、把持鉗子11の機械的耐久性、生体適合性、および耐滅菌(オートクレーブ)性も従来の把持鉗子と同等以上であった。本実施の形態では、成形による非晶質合金22の結晶化は発生しなかった。加熱、成形などにより結晶化が生じても、非晶質合金22内の結晶質が50%以内であれば、MR適合性および機械的性質に問題は生じることがない。
【0059】
このような実施の形態では、実施の形態1と同様の効果を有する他に、非晶質合金22の過冷却液体域における粘性流動を利用した成形加工を用いるため、複雑形状を有する把持鉗子12a、12bなどを効率よく製造することができる。また、本実施の形態で使用した非晶質合金Zr60Al15Ni15Cu5 Co5 (添字は原子%)は他の医療器具、例えば手術用クリップ、骨接合用プレート、歯列矯正用ワイヤー、各種インプラント埋入体、注射針、ステント、吸引バイオプシー針などにも適用できる。
【0060】
さらに、ZrをTiまたはMgまたはHfに置換したもの、CuをBに置換したもの、または2者を組み合わせたもの、Ni、Co、Feの内、2つ以上の組合せを変えた非晶質材料、例えばMg55Al25Ni15Cu5 Co6 、 Zr55Al15Ni15Cu5 Co5 5 、 Zr60Al15Ni15Cu5 Fe5 (添字は原子%)なども同様に用いることが出来る。
【0061】
なお、上述した説明では、医療用器具としての内視鏡用処置具は、MRIにおける磁場中での使用において述べたが、この処置具は、MRIを使用しない一般の医療用として体腔内患部等の生体組織の採取用にも使用できるものである。
【0062】
医療用器具としての内視鏡用処置具としては、生体内の被検部位の患部から、患部の一部を採取する生検鉗子に対しても同様に適用することができる。図8は、処置具における生検鉗子の先端側において、処置部材として機能する一対のカップを一部断面で示す組み立て分解図である。この先端側と接続されて、術者により操作される操作ハンドル等の部材は、上述した把持鉗子の構成と同様である。
【0063】
図8において、一対のカップ45、45は、それぞれ採取する患部を収納する凹部46が中央部分に凹み状に形成されていると共に、この凹部46に収納する患部を生体内で切断する刃部47が全周或いは先端側に形成されている。なお、凹部45の底面の中央は、底面を貫通する小孔を穿設した孔付生検鉗子としても良い。
【0064】
このようなカップ45、45を上述した非晶質合金Zr60Al15Ni15Cu5 Co5 (添字は原子%)によって作製し、把持鉗子11と同様に組み立て後、MRI評価用の模型(ファントム)の表面部に貼り付けして、MRスキャンを行っても、MR映像に歪みなどの影響が発生しなかった。このようなカップ45、45はMRIを使用しない状態での体腔内患部等の採取についても同様に、確実に行うことができる。
【0065】
上記各実施の形態では、開閉機構としてカム機構を示したが、リンク機構であっても良い。図10は、医療用器具としての生検鉗子にリンク機構を組み込み、処置具として機能するカップを開閉するようにした生検鉗子の先端側の組み立て分解図であり、図11は図10の上方側の鍔部を除いた平面図である。
【0066】
図10において、操作軸81の先端には、連結板82が連結されている。この連結板82の板状部分の両面には、それぞれ第1リンク板83、第2リンク板84が、各リンク板83、84の一端側の挿通孔に挿通された第1の連結ピン85を介して回動且つ摺接自在に連結されている。又、第1リンク板83の他端側には、カップ86の基端側が、第2の連結ピン87を介して回動且つ摺接自在に連結されると共に、第2リンク板84の他端側には、カップ88の基端側が第3の連結ピン89を介して回動且つ摺接自在に連結されている。
【0067】
さらに、各カップ86、88の基端側の中央に穿設された各挿通孔94には、接続部材90の二股状の鍔部91に設けた挿通孔93と共に貫通する枢着ピン92が挿入され、この枢着ピン92の端部が上方側の鍔部91に固着されている。
【0068】
このような構造では、図10に示すように、操作軸81を進退操作することにより、第1の連結ピン85の位置が軸方向に進退し、第2及び第3の連結ピン87、89が軸方向に直交する方向に移動するため、枢着ピン92を支点として一対のカップ86、88が開閉動作することができる。このようなリンク機構における各部材も、上述した非晶質合金材料によって作製することにより、上述と同様な作用及び効果を奏することができる。
【0069】
(実施の形態3)
本実施の形態ではMR適合性を有する非晶質合金からなる医療用器具として、内視鏡用処置具を例として説明する。図12は本実施の形態の内視鏡処置具の全体図で、図13は本実施の形態の内視鏡処置具の先端側の電極の鋳造を示す図である。この実施の形態の内視鏡処置具は生体組織の剥離に用いるフック型高周波電極52である。
【0070】
図12に示すように、フック型高周波電極52は、先端に処置部材としてのフック型の生体組織の剥離用の電極55と、この電極55が先端側に連結されると共に、体腔内に挿入するための絶縁性チューブ56で覆われた断面円形の棒状の挿入部53と、術者がフック型高周波電極52を保持するための保持部54とを有している。保持部54は絶縁性で且つMR適合性を有する硬質プラスチックにより成形されている。
【0071】
フック型の処置部材としての電極55は、先端側が細い棒状で屈曲され、この屈曲部分から基端側に向かって徐々に径が大きくなり、基端側で挿入部53の先端側の径と同一になるように形成されている。
【0072】
図12に示すように、挿入部53の先端の電極55は、導電性の挿入部53を介して保持部54内に設けられた銅合金端子57と導通し、保持部54内に挿通された導線58を介して保持部54の他端に設けられた銅合金端子を有するコネクター59に接続され、このコネクター59を介して高周波電源コード(不図示)に接続される。
【0073】
このように構成されたフック型高周波電極52では、挿入部53をMR適合性を有する非晶質合金Zr60Al15Ni15Cu5 Co5 (添字は原子%、Tg=427℃、Tx=500℃、降伏強度1.2Gpa、硬さ500Hv)によって製作し、表面をPTFEからなる絶縁性チューブ56により被覆した。また、被検部位を処置する処置部材としての電極55を同じくMR適合性を有する非晶質合金Zr55Cu30Al10(添字は原子%、Tg=402℃、Tx=465℃、降伏強度1.0GPa、硬さ449Hv)によって製作した。
【0074】
製作は図13に示すような液体急冷鋳造法により鋳造することにより行った。具体的には無酸素銅によって電極55の形状を形成した鋳型60(2つの型を組み合わせたときにキャビティの内面が電極55の形状と対応する鋳型60)を製作する。又、先端部に直径1mmの開口部61を有する内径16mm,肉厚5mmの石英管62内に、上述した組成となるように秤量したZr、Cu、Alの各元素を合計約15g入れ、図示しない高周波電源に接続された高周波コイル63により、10-2Paの真空中で1300℃まで高周波加熱する。各元素が溶解後、図示しない石英管駆動機構により鋳型60の湯口60aに石英管62の開口部61を当接し、純度99.999%以上のArガスを図示しないガス導入装置により、石英管62上部より、圧力15KPaで5秒間ブローする。このブローによって、各元素を溶解した溶湯64を鋳型内に導入して高圧鋳造を行う。
【0075】
そして、鋳型60と共に溶湯64を直ちに冷却し、鋳型60及び内部の非晶質合金をガラス遷移点温度以下にした後、鋳型60を分解して鋳造された電極52を取り出す。
【0076】
挿入部53も同様の方法で無酸素銅によって挿入部53の形状が転写された鋳型を製作し、上述と同様の液体急冷鋳造法により直接、鋳造して製作する。即ち、挿入部53を構成する元素Zr、Al、Ni、Cu、Coを秤量し、石英管内で加熱し、挿入部53の形状を転写した鋳型で高圧鋳造することにより、挿入部53を製作する。
【0077】
以上のように電極55と挿入部53を鋳造で製作した後、それぞれの接合面を10-3Pa以下の真空中で、両者を構成する非晶質合金の過冷却液体域の重なる温度幅内(427℃〜465℃)の温度、具体的には447℃に放射加熱装置により加熱し、約40MPaの押圧力で90秒間相互に押圧する。これにより、それぞれの非晶質合金の過冷却液体域における粘性流動により露出させた新生面を接触させることで接合を行った。
【0078】
すなわち、電極55の太径側の基端側と挿入部53の先端側とを、両者の重なる過冷却液体域で加熱軟化させる際、鋳造後から加熱軟化までの間に両者の接合面がさらに酸化して酸化膜が生じたり、埃等が付着することにより、接合強度が低下する危惧があるが、押圧による押圧力によって各接合面に粘性流動が生じ、この流動によって非晶質合金の新生面が各当接面に発生するため、強固に接合できる。
【0079】
以上のような接合後、保持部54から露出する挿入部53に対して、絶縁のため挿入部53の全表面を、PTFEからなる絶縁性チューブ56で被覆した。また保持部54は強化プラスチックで製作し、保持部54の一端側の凹部に挿入部53の一端を差し込んで、差し込んだ挿入部53の外周面に、保持部54の側面から 螺入した硬質プラスチック製のネジ65により結合した。
【0080】
以上のようにして作製されたフック型高周波電極52をMRI評価用の模型(ファントム)表面部に接着テープで貼付し、GE社製1.5Tesla MRスキャナ、SIGNAを用いてMRスキャンを行った。スキャンの結果、MR映像に歪みなどの影響は発生しなかった。また、フック型高周波電極52の機械的耐久性、生体適合性、および耐減菌(オートクレーブ)性も従来の把持鉗子に比べて同等以上であった。本実施の形態では、電極55及び挿入部53の最大肉厚が5mm以下のときは、非晶質合金の結晶化は発生しなかった。鋳造条件などにより非晶質合金内に結晶化が発生しても、結晶質が50%以内であれば、MR適合性及び機械的性質に問題は生じないことを確認した。
【0081】
以上のような、本実施の形態によれば、実施の形態1、2の効果に加えて、液体急冷鋳造法を用いることにより、均一なMR適合性のある非晶質合金製の内視鏡処置具の部品を高効率に製作することができる。さらに過冷却液体域での粘性流動を利用した接合により、異なった種類の非晶質合金であっても、強固に接合することができる。
【0082】
なお、上記各実施の形態で示した各種非晶質合金やMR適合性を有するプラスチック材料、純チタン、セラミックコーティング、非晶質合金の型による鋳造、押圧成形、機械加工などによる製造方法などは、各々の実施の形態を相互に、又は組み合わせて使用することができる。
【0083】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明の医療用処置具によれば、MR映像に影響を及ぼすことなくMR適合性の高い非晶質合金を、その処置部材、要部或いは全体に用いるため、高強度で、且つ加工が容易であり、生体適合性にも優れたものとすることができる。このような医療用処置具を使用することにより、MRl環境下で高度な検査や手術を行うことができるのみならず、医療用処置具を常時、体内または体表面に装着している患者、例えば、インプラント埋入体を体内に挿入している患者が、その部位付近に対して再びMRl診断を受けても、面像に乱れを生じることなく診断することができる。
【0084】
又、本発明の医療用処置具は、高強度、高加工性、生体適合性を有しているため、MRIに限らず、一般の手術、その他の処置にも使用することができ、汎用性のある器具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を鋏鉗子に適用した場合の全体斜視図である。
【図2】鋏鉗子の先端部分の分解斜視図である。
【図3】鋏鉗子の先端部分を組み立てる状態を示す断面図である。
【図4】鋏鉗子の枢着ピンを組み付ける状態を示す断面図である。
【図5】元素及び生体構成物質のモル磁化率の分布特性図である。
【図6】本発明を把持鉗子に適用した場合の全体斜視図である。
【図7】把持鉗子の先端部分の分解斜視図である。
【図8】本発明を生検鉗子に適用した場合の分解斜視図である。
【図9】把持鉗子の把持爪を成形する操作を示す断面図である。
【図10】リンク機構を組み込んだ生検鉗子の先端部分の分解斜視図である。
【図11】リンク機構を組み込んだ生検鉗子の平面図である。
【図12】本発明を生体組織の剥離に用いるフック型高周波電極に適用した正面図である。
【図13】フック型高周波電極の電極を成形する操作を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋏鉗子
2a 2b 鋏
3 鋏鉗子部
4 シース
5 操作ハンドル
7 操作軸

Claims (3)

  1. 磁化率が−160×10-6〜+160×10-6(emu・mol-1)の範囲にある元素からなる非晶質合金を使用したことを特徴とする核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具。
  2. 核磁気共鳴映像法の下で生体に対して処置を行うための医療用処置具において、
    一般式Xa Albc (式中、XはZr、Ti、Mg、Hfより選ばれた1 以上の元素、YはCu、Bより選ばれた1以上の元素であって、a、b、cは原子%であり、50≦a≦80、5≦b≦80、0<c≦50)で示される組成を有する非晶質合金を使用したことを特徴とする核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具。
  3. 核磁気共鳴映像法の下で生体に対して処置を行うための医療用処置具において、
    一般式Xd Alefg (式中、XはZr、Ti、Mg、Hfから選ばれた1以上の元素、YはCu、Bから選ばれた1以上の元素、ZはNi、Co、Feより選ばれた2以上の元素であって、d、e、f、gは原子%であり、50≦d≦80、5≦e≦80、0<f≦50、5≦g≦20)で示される組成を有する非晶質合金を使用したことを特徴とする核磁気共鳴映像法と組み合わせて使用する医療用処置具。
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