JP5687550B2 - 表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法 - Google Patents

表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法に関し、より詳細には、各種の物品の表面に加飾に先立ち、加飾すべき表面を改質するために火炎を噴射して化学的に改質する表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法に関する。特に、表面改質用火炎噴射装置については、改質を安定かつ効果的に行うためのバーナ構造を主な特徴とする発明である。
従来、ケース等の製品として使用されるシリコーンゴムの成型品の表面の加飾手段として、予め着色したシリコーンゴムを成型する技術、或いはシリコーンケースを成型後、シリコーン液で印刷する技術が知られている。また、シリコーンゴムのゴム付着性、ノンスリップ性の程度を調整するために、表面に機能性コーティングを施したものが知られている。
ところで、シリコーンゴム、エラストマー、ポリオレフィン系材料等は、難接着性、難密着性を示すので、これらに塗料、インキ、接着剤等を塗布する場合は、前処理として、従来は、火炎処理、コロナ処理、プラズマ処理等によって、表面を改質し、接着性を向上させ、さらにプライマー等を使用する必要があった。
そして、熱可塑性エラストマー、オレフィン樹脂、シリコーンゴム、樹脂、セラミック、金属等の表面について、塗料、着色インキ等を塗布して加飾する前に、その表面を改質することは知られており、この表面改質の手段として、有機ケイ素化合物を燃焼用ガス及び空気の混合ガスの火炎とともに、表面に噴射する技術は知られている(特許文献1〜5参照)。
特許第3557194号公報 特許第4050787号公報 特開平4−059344 特表2001−50552 特許第4036462号公報
ところで、本発明者は、有機ケイ素化合物を燃料ガス及び空気の混合ガスの火炎とともに、表面を改質すべき加工物(以下単に、「加工物」という)の表面に噴射することで改質する技術を研究開発したが、表面の改質を、均一に安定して効率的に行うためには、火炎品質が安定していること、処理効率の良い火炎を得ること、有機ケイ素化合物を安定供給すること等が、重要であるという知見を得た。
本発明は、このような知見に基づいて、火炎品質を安定させ、処理効率の良い火炎得て、有機ケイ素化合物を安定供給することのできる表面改質のための表面改質用火炎噴射装置及び表面改質方法を実現することを課題とする。
本発明は上記課題を解決するために、空気供給系と、燃料ガス供給系と、有機ケイ素化合物供給系と、バーナと、を備え、加工物の表面に火炎を噴射して該表面を改質する表面改質用火炎噴射装置であって、バーナは、隔壁により、主バーナ室と副バーナ室に分割され、副バーナ室の前方には火炎点火検知両用プラグが設けられており、該火炎点火検知両用プラグは、主バーナ室及び副バーナ室に供給される空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに着火するものであり、主バーナ室には、着火後は、空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが供給され、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスと主バーナ室から噴射される有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが燃焼し、その火炎が加工物表面に噴射される構成であり、火炎点火検知両用プラグは、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスの火炎を検知する構成であることを特徴とする表面改質用火炎噴射装置を提供する。
本発明は上記課題を解決するために、空気供給系と、燃料ガス供給系と、有機ケイ素化合物供給系と、バーナと、空気燃料ガスミキサと、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサと、を備え、加工物の表面に火炎を噴射して該表面を改質する表面改質用火炎噴射装置であって、バーナは、隔壁により、主バーナ室と副バーナ室に分割され、副バーナ室の前方には火炎点火検知両用プラグが設けられており、 該火炎点火検知両用プラグは、主バーナ室及び副バーナ室に供給される空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに着火するものであり、空気燃料ガスミキサは、空気供給系から供給される空気と燃料ガス供給系から供給される燃料ガスを燃焼用ガスとして混合するものであり、該燃焼用ガスの一部は副バーナ室に供給され、残りは燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサに供給される構成とされており、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサは、燃焼用ガスに有機ケイ素化合物を混合し、主バーナ室に供給するものであり、主バーナ室には、着火後は、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサから空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが供給され、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスと主バーナ室から噴射される有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが燃焼し、その火炎が加工物表面に噴射される構成であり、火炎点火検知両用プラグは、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスの火炎を検知する構成であることを特徴とする表面改質用火炎噴射装置を提供する。
バーナの前壁には、燃焼用ガスを噴射する複数の噴射孔が形成されており、バーナの前壁の周囲には前方に突出する保炎壁が設けられており、保炎壁は、該保炎壁で囲まれる開口が前方に向けて徐々に絞り込まれるように傾斜して形成されている構成とすることが好ましい。
空気供給系は、空気供給管を有し、該空気供給管の途中に、エアドライヤ及びマスフローコントローラが設けられており、エアドライヤは、エアコンプレッサから送られてきた空気中に含まれる水分を低減する装置であり、マスフローコントローラは、空気流量を計測し供給流量を制御する装置である構成とすることが好ましい。
本発明は上記課題を解決するために、上記表面改質用火炎噴射装置を使用した加工物の表面の表面改質方法であって、バーナを、その前壁が加工物の表面から2〜5cmに近づけて該表面に沿うように相対的に移動させて、火炎中の処理活性の高い火炎反応帯を加工物の表面に当てることを特徴とする加工物表面の表面改質方法を提供する。
上記加工物表面の表面改質方法において、加工物の材質はシリコーンゴムであり、表面改質用火炎噴射装置によりシリコーンゴムの表面を改質することにより、該表面に水酸基を生成しウレタン塗料の密着性を向上させることに適用してもよい。
本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法によれば、火炎品質を安定し、処理効率の良い火炎を得て、有機ケイ素化合物を安定供給することにより、加工物の表面の改質を、均一に安定して効率的に行うことが可能となる。
具体的には次のとおりである。
(1)親水性、接着性向上効果
ナノレベルの二酸化ケイ素粒子が加工物の表面に付着され、親水性(濡れ性)が向上する。
(2)難接着材の密着性向上
難接着材表面の表面エネルギーが向上し、さらに表面の濡れ性が向上することにより、密着性が向上する。
(3)帯電防止効果
加工物の表面に極性基と水酸基を多く含む酸化ケイ素を付与することで、帯電防止効果が生じ、特にプラスチックの場合には実用上の効果が大きい。
本発明の表面改質用火炎噴射装置の実施例の全体的な構成を示すブロック図である。 (a)は、本発明の表面改質用火炎噴射装置のバーナの構成を説明する図であり、(b)、(c)は火炎検知プラグの原理的な構成を説明する図である。 本発明の表面改質用火炎噴射装置の実施例を説明する図であり、(a)はベンチュリミキサを説明する図であり、(b)は表面改質用火炎噴射装置の正面図であり、(c)は(b)のC−C断面図であり、(d)は(c)の一部拡大図である。 (a)は本発明の表面改質用火炎噴射装置のバーナから噴射される火炎を説明する図であり、(b)本発明の表面改質用火炎噴射装置のバーナにより加工物に火炎を当てる状態を示す図である。 本発明の前提とする改善前の表面改質用火炎噴射装置の基本的な構成を示すブロック図である。 本発明の表面改質用火炎噴射装置のバーナから噴射される火炎の構成と効果を説明する表である。
本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法を実施するための形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
本発明に係る表面改質用火炎噴射装置は、バーナに、空気と、燃料ガスと、有機ケイ素化合物と混合したガスを供給し、バーナから有機ケイ素化合物を燃料ガス及び空気の混合ガスの火炎とともに、加工物の表面に噴射し、改質する装置である。
なお、本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法により改質の対象とする加工物は、シリコーンゴム、樹脂(例.熱可塑性エラストマー、オレフィン樹脂等)、複合材料、セラミックス、ガラス、金属等である。
そして、本発明の表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法を用いて加工物の表面を改質すると、親水性(濡れ性)が向上したり、スリップ性を調整でき、また、これらの加工物の表面に、コーティング剤、塗料(例えば、ウレタン塗料等)を塗布したり、インキで印刷したりする加飾に先立ち、本発明の表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法を用いて加工物の表面を改質すると塗料等の密着性、接着性が向上する。また、接着剤、粘着剤、成型時の加熱した流動性のある樹脂なども加工物表面との密着性が向上する。
(火炎噴射装置の基本的構成)
図5は、本発明の表面改質のための火炎噴射装置の前提となる火炎噴射装置の基本的な構成を説明する図である。この基本的な構成を有する火炎噴射装置101は、主に、空気供給系102と、燃料ガス供給系103と、有機ケイ素化合物供給系104と、バーナ106と、を備えている。
空気供給系102は、空気供給源におけるエアコンプレッサ110からマスフローコントローラ(流量調節弁)111を途中に備えた空気供給管112を通して空気燃料ガスミキサに供給する。
燃料ガス供給系103は、燃料ガスをその供給源(LPG―プロパン、DMEなどの貯蔵タンク、都市ガス供給配管等)115から、プロテクトリレー一体型開閉弁116、マスフローコントローラ117を途中に備えた燃料供給配管118を通してベンチュリミキサ120に供給する。
ベンチュリミキサ120は、上流側に空気燃料ガスミキサ121が設けられており、下流側に燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ122が設けられている。空気と燃料ガスは、空気燃料ガスミキサ121において混合され、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ122に供給される。
有機ケイ素化合物供給系104は、液状の有機ケイ素化合物をその貯蔵部である貯蔵タンク125から適宜ベーパライザ126に供給し、ベーパライザ126において、気液平衡を利用して、加熱手段127で加熱し又は自然蒸発により蒸発させてガス化し、有機ケイ素化合物のガスを発生し、マスフローコントローラ128を途中に備えた空気供給管112’(キャリアーガスである空気を導入する導入管)からの空気とともに、有機ケイ素化合物供給管129を通して燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ122に供給する。なお、130は、貯蔵タンク125の液面センサであり、131は、ベーパライザ126の液面センサである。
この燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ122において、燃焼用ガスと有機ケイ素化合物を混合して有機ケイ素化合物含有燃焼用ガスとし、このガスを改質ガス供給管135を通してバーナ106に供給する。
バーナ106には、燃焼用ガスの点火と火炎140を検知するための、火炎点火検知両用プラグ137が、バーナ106の前方にバーナ106に向けて突出するように設けられている。点火用電源136からの電流により火炎点火検知両用プラグ137で点火されて、バーナ106の噴射孔138から噴射される燃焼用ガスに着火されて、加工物表面139に表面に火炎140を噴射することができる。
また、火炎点火検知両用プラグ137は、火炎が存在する際に、点火用電源136から火炎を介して火炎点火検知両用プラグ137からバーナ106に流れ、アース141に流れ込む電流を、検知電流検出器142で検出する。
このような有機ケイ素化合物含有火炎が加工物表面139に表面に噴射されると、有機ケイ素化合物について、火炎内で生成される二酸化ケイ素(SiO)のナノレベルの微粒子が加工物の表面に付着される。
そして、二酸化ケイ素(SiO等)の表面に水酸基(OH)がある。特に、水酸基は親水性であることから、加工物表面に親水性を付与する等の改質を行うことができる。また、火炎中のOHラジカルの作用により、加工物表面を酸化し、樹脂であれば、水酸基(OH)、カルボキシル基(COOH)が生成し、また、金属、セラミックなどであれば、表面に付着している有機物を除去でき、このことも表面の親水性付与の要因となっている。
(本発明における改善のポイント)
ところで、本発明者らは、表面改質用火炎噴射装置及び表面改質方法の開発を通して、上記有機ケイ素化合物含有火炎(通常、当業者では「ケイ酸化炎」とも呼ばれているので以下その用語を使用する)による表面処理が、より安定して行い、加工物表面に、改質効果、密着性効果を十分付与するためには、次のことが必要であという知見を得た。
(1)火炎品質の安定
火炎品質を安定させるポイントは次のとおりである。
ア.燃焼用ガス中の空気と燃料ガスの量の比率正確に制御することが必要である。
イ.ガスの品質を一定の保持することが必要であり、特に、空気(通常は圧縮エアー)の品質(含有水分量等)は、改質効果がバラツク要因となる。空気の品質が不安定な要因は、エアコンプレッサや空気供給管内の湿気等である。
ウ.バーナ形状
バーナには、火炎を常時検知するための、火炎検知プラグを搭載しているが、この火炎検知プラグは、ケイ酸化炎中では、火炎により生成する酸化ケイ素が付着し堆積して絶縁体となり易く、適切に検知できなくなり誤動作(火炎があっても火炎がないと検知する)を起こし、長時間の使用ができない。従来は、2時間に一度位の頻度で酸化ケイ素が付着して火炎検知プラグの清掃(例えば、ブラッシング等)又は取り替え等が必要であった。この点を改善する必要がある。
また、従来は、火炎検知プラグを搭載していないバーナも多く使用されており、そのようなバーナでは、バーナで工作物を走査して処理を行っている最中は火炎検知をすることなく、走査していないときに、バーナを赤外線火炎検知装置の前を通過させて火炎検知するようにしている。このような従来の構成では、火炎検知を火炎処理の最中にリアルタイムに行うことができないので、リアルタイムの検知が必要であった。
(2)処理効率の良い火炎
火炎を用いる表面処理では、火炎中の処理活性の高い部分(火炎反応帯)を、表面に当てなければならない。また、火炎は高温なので表面が変形しないよう瞬時に処理する必要がある。そのためには、ワークまたはバーナをすばやく動かす必要があるが、火炎は揺らぐので、揺らぎづらい腰のある火炎が求められる。
(3)有機ケイ素化合物の安定供給
安定な有機ケイ素化合物を用い、気化量、キャリアー空気中の濃度等が安定している必要がある。
(本発明の構成)
以上の知見に基づいて想到した本発明の特徴的な構成について、以下の実施例で説明する。図1は、本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法についての全体構成説明する図である。
本発明の表面改質用火炎噴射装置1は、上記基本的構成として説明した表面改質用火炎噴射装置101とほぼ同じ構成であるが、本発明の表面改質用火炎噴射装置1は、後記するが、バーナ構造、火炎検知プラグの取り付け配置、バーナへの燃焼用ガス及び有機ケイ素化合物含有燃焼用ガスの供給手段等において、新規な構成を備えている。表面改質用火炎噴射装置1は、主に、空気供給系2と、燃料ガス供給系3と、有機ケイ素化合物供給系4と、バーナ5と、を備えている。
バーナ5は、図2(a)に示すように、全体としては、長細いほぼ矩形の筺体の形状をしており、前壁6には、複数の噴射孔7が形成されている。そして、バーナ5内には前後方向(火炎を噴射する方向)に向けて伸びる隔壁8が設けられており、この隔壁8により、バーナ5が、主バーナ室11と副バーナ室12に分割されている。
なお、10は整流板(「邪魔板」とも言う)であり、全面に多数の小さな貫通孔が形成されており、バーナ5内に導入された燃焼ガスを多数の貫通孔から前方に送流し、バーナ5内で一方向に偏向して流れることなく、均等に複数の噴射孔7から噴射されるように整流する機能を有する。
副バーナ室12は、主バーナ室11に較べると小さな空間を有している。例えば、バーナ5の横幅全体を150mmとした場合、主バーナ室11の横幅は130mm、副バーナ室12は20mm程度である。
副バーナ室12の前方には、火炎点火検知両用プラグ15が設けられている。この火炎点火検知両用プラグ15は、燃焼用ガスを点火するとともに、火炎に触れると、火炎の導電現象により電流が流れ、この電流を検知電流検出器14で検知することで、火炎の存在を検出するものである。火炎を検知する手段としては、原理的にはいくつかの態様がある。
その1つの態様は、より簡単な構成であり、図2(b)に示すように、火炎56を挟むように上下一対(バーナの幅方向に水平に一対でもよい)の電極16、16を突設し、この一対の電極16、16の間に火炎56が存在すると、火炎の導電現象(火炎が導電体となって電流を流す作用)により、電流(交流)が流れるので、これを検知電流検出器17で検出する構成である。
また他の態様としては、図2(c)に示すように、火炎56の側方から、二つの大きさの異なる電極(陰極:陽極の火炎接触面積の比を4:1以上)21、22を、共に火炎に向かうように、しかも、陰極21を火炎反応帯57と外炎59の境界近傍に、陽極22を外炎に接触するように、互いに間隔をおいて離して設置し、交流電源23を印加し、電極21、22間に流れる電流を検知電流検出器24で検出する構成である。この構成では、火炎の有る場合は半波整流された直流電流が流れ、無い場合には電流が流れない、という火炎の整流現象が生じる。
本実施例では、火炎点火検知両用プラグ15は、図3(b)、(d)に示すように、火炎点火検知両用プラグ15は、その支持部19が副バーナ室12の上部前方に設けられている。支持部19で支持された火炎点火検知両用プラグ15が金属製のバーナ5の前面に向けて対向するように配置されている。火炎点火検知両用プラグ15は点火用電源18に接続され、バーナ5はアースされている。
そのため、火炎点火検知両用プラグ15に、点火用電源18によって電圧を印加することで火炎点火検知両用プラグ15とバーナ前面との間にスパークし、これによって、燃焼ガスに点火可能である。そして、火炎が存在すると、火炎点火検知両用プラグ15とバーナ前面との間に電流が流れ、アース20まで電流が流れ込む。この電流を検知電流検出器14で検出することで、火炎の存在を検知することが可能となる。
空気供給系2は、空気供給源におけるエアコンプレッサ30からエアドライヤ(空気乾燥器)31及びマスフローコントローラ32を途中に備えた空気供給管33を通して空気燃料ガスミキサ34に供給する。エアドライヤ31は、エアコンプレッサ30から送られてくる空気を加熱することにより、空気中に含まれる水分を低減する装置である。
本発明の表面改質用火炎噴射装置1では、空気供給系2にエアドライヤ31を設けることで、空気の含有水分を低減し、空気の品質を一定に保持することができるので、改質のバラツキとなる要因を除去でき、安定した改質を行うことが可能となる。
マスフローコントローラ32は、空気流量を計測し供給流量を精密に制御する装置であり、周知のマスフローコントローラを使用すればよいが、ここでは概要を説明すると、センサ部と、センサ部から出力された流量信号を外部からの流量設定信号との比較しその開度が高速、高分解能で制御される電磁弁とから成る。
このセンサ部としては、熱式質量流量計を使用する。熱式質量流量計は、ガスが持つ熱拡散作用を用いて流量測定するものであり、ガスの圧縮度合いにより伝播する熱量が変化するためセンサそのものが質量流量に比例した出力特性を持つことを利用する装置である。熱式質量流量計の種類としては、キャピラリ式、熱線流量計、熱線式等がある。これらの熱式質量流量計自体は周知技術であるから、特に全ての種類について説明はしないが、キャピラリ式について、一例として説明する。
キャピラリ式は、毛細管にヒーターを兼ねた抵抗体を上流側、下流側の2ヶ所にそれぞれ巻きつけてあり、この抵抗体に電流を流すと発熱し、空気が流れていない場合は2つの抵抗体は同じ温度でバランスする。この状態で空気を流すと上流側と下流側の温度バランスが変化し温度差が生じる。この温度差が空気の質量流量に対して関数関係にあり、上流側と下流側の抵抗値の変化を電気信号として取り出し増幅、補正して質量流量計として機能するものである。
流量計として、フロートを利用した面積式流量計を使用した場合、夏、冬等による空気の温度に応じて、空気の比重が異なり、精密な流量計測が出来ない。本発明では、上記マスフローコントローラを使用して質量流量を計測していることから温度、圧力の影響をほとんど受けず安定した計測制御を可能にする。
また、マスフローコントローラは、デジタル表示をするモニターがあり、流量を数値で表示できる。火炎を作る場合、流量設定も重要になる。デジタルで数量を設定することにより正確な量を設定でき、マスフローコントローラが自動的に制御するので、再現性のある的確な流量を流すことができ、火炎の品質を一定にすることができる。フロートを利用した面積式流量計を使用した場合の流量設定方法は、フロートの位置を目視でニードルを回し設定するため、見方、見る人などにより実流量がばらつくことがあり、火炎の品質を一定にすることが難しい。
燃料ガス供給系3は、燃料ガスをその供給源(例.貯蔵タンク、都市ガス供給配管等)29から開閉弁39及びマスフローコントローラ36を途中に備えた燃料供給管37を通してベンチュリミキサ35に供給する。
ベンチュリミキサ35は、図3(a)に示すように、上流側に空気燃料ガスミキサ34が設けられており、下流側に燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ46が設けられている。空気と燃料ガスは、空気燃料ガスミキサ34において混合され燃焼用ガスとなる。この燃焼用ガスは、その一部は、副燃焼用ガス供給管38を介して副バーナ室12に供給され、残りは燃焼用ガスを燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ46に供給される。
本発明の表面改質用火炎噴射装置1では、空気供給系2及び燃料ガス供給系3に、それぞれガスの温度に左右されずに精密な流量計測が可能なマスフローコントローラ32、36を設け、空気及び燃料ガスをそれぞれ精密に流量制御することができるので、空気と燃料ガスの流量を一定の比率に正確に保持できる。これにより、火炎品質を安定させることが可能となる。
有機ケイ素化合物供給系4において、液状の有機ケイ素化合物をその貯蔵部である貯蔵タンク40から適宜ベーパライザ(気化器)41に供給するとともに、エアドライヤ(空気乾燥器)31からマスフローコントローラ43を通り、量をコントロールした空気をベーパライザ(気化器)41に供給する。ベーパライザ41において、加熱手段42で加熱し、気液平衡を利用して、蒸発させてガス化する。
そして、この有機ケイ素化合物のガスを、有機ケイ素化合物供給管44を通して燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ46に供給する。有機ケイ素化合物供給管44の途中には、開閉バルブ45が設けられており、有機ケイ素化合物の供給及び停止を制御可能とする。なお、47は、液状の有機ケイ素化合物の貯蔵部である貯蔵タンクの液面センサであり、48は、ベーパライザの液面センサである。
本発明の表面改質用火炎噴射装置1では、このベーパライザ41において、液状の有機ケイ素化合物の温度を加熱器41で一定に温度制御することで、有機ケイ素化合物の気化量を安定に保持するように構成した。
加えて、本発明では、有機ケイ素化合物供給系4にマスフローコントローラ43を設けたので、有機ケイ素化合物のガスを所定の供給量にコントロールして、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ46に供給することができる。
これらベーパライザ41における温度制御及びマスフローコントローラ43による供給量のコントロールによって、燃焼用ガス中の空気(有機ケイ素化合物のキャリアー空気としても機能する)に対する濃度等を安定して供給することができる。
この燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ46では、図3(a)に示すように、空気燃料ガスミキサ34から送られてくる燃焼用ガスと有機ケイ素化合物を混合して有機ケイ素化合物含有燃焼用ガスとし、主燃焼ガス供給管50を通してバーナ5の主バーナ室11に供給する。
バーナ5には火炎点火検知両用プラグ15が付設されており、この火炎点火検知両用プラグ15は、点火用電源18に接続されている。火炎点火検知両用プラグ15によって、主バーナ室11及び副バーナ室12の噴射孔7から噴射される燃焼用ガスが着火されて、バーナ5の、加工物表面に火炎を噴射することができる。
上記火炎の着火、燃焼の過程は、より詳細には次のとおりである。着火に際しては、有機ケイ素化合物供給管44の開閉バルブ45を閉じておき、バーナの主バーナ室11及び副バーナ室12に燃焼用ガス(空気と燃焼ガスの混合物)のみを送給し、主バーナ室11及び副バーナ室12の噴射孔7から噴射させる。
そして、副バーナ室12の前方に設けられた火炎点火検知両用プラグ15にスパークを起こし、副バーナ室12からの燃焼ガスを着火し、それがさらに主バーナ室からの燃焼ガスに燃え広がり、燃焼用ガスの燃焼による青白い火炎を形成する。
火炎が安定したところで、次に、有機ケイ素化合物供給管44の開閉バルブ45を開けると、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ46から主バーナ室11にのみ有機ケイ素化合物が供給され、主バーナ室11からの燃焼ガスの火炎中に有機ケイ素化合物が導入され燃焼反応によって薄赤色の濁った処理用の活性火炎となる。
このような有機ケイ素化合物含有火炎が加工物表面に噴射されると、有機ケイ素化合物について、火炎内で生成される二酸化ケイ素(SiO)のナノレベルの微粒子が加工物の表面に付着される。具体的に、燃焼すると火炎においては次のとおりの火炎反応が生じる。
有機ケイ素(Si−CR)+酸素(空気)+LPG(液化石油ガス)
→SiO+HO(水蒸気)+CO(二酸化炭素)
なお、実際は、火炎中の火炎反応帯では、SiO、HO、CO以外にも、Si、SiO、OH、・OH(水酸ラジカル)、O、H、CO等が存在する。
そして、SiO(二酸化ケイ素)が水分と反応して、SiOの周囲に水酸基(−OH)が多数生成され、これらが加工物の表面に付与される。このような水酸基は親水性であるから、周囲に水酸基(−OH)の形成されたSiOが加工物の表面に付与されると、加工物表面は、親水性を帯びることとなる。
また、加工物が有機物の場合、火炎の酸化力により、表面に水酸基やカルボキシル基カルボニル基が生成する。これらの極性基の生成も、表面の親水性、密着性の向上に寄与している。また、表面上のナノレベルの活性酸化ケイ素(水酸基を有する酸化ケイ素)の存在は、加工物表面に微細なでこぼこ、凹凸表面を付与し、これによる毛細管現象等の物理的効果も生じ、親水性に寄与している。
密着性向上に関しては、圧倒的な濡れ性が関与している。極性の高い(塗料、接着剤、インキなど)塗布剤が、極性の高くなった表面に、ナノレベルで濡れることにより、表面との反応が十分可能になり、より多くの官能基が反応し、強く密着すると考えられる。
また、金属の場合は、表面の微細な隙間に塗布剤が入り込み、アンカー効果が発生し
密着を向上させているとも考えられる。また、金属用の塗布剤には、シランカップリング剤のような、密着付与剤が入っていることが多く、この密着付与剤の効果を表面に集中させることにより密着を向上させているとも考えられる。
以上により、コーティング剤、塗料、インキ、接着剤等を付着し易くなる。さらに、加工物の表面に極性基と水酸基を多く含む二酸化ケイ素を付与することで、特に、加工物がプラスチックの場合、帯電防止効果が生じる。
本発明の表面改質用火炎噴射装置1の最も特徴的な構成は、火炎点火検知両用プラグ15を、副バーナ室12から噴射される有機ケイ素化合物を含有しない火炎を検知する位置に配置し、有機ケイ素化合物を含有しない火炎を検知するようにした点である。
このような構成とすることで、火炎点火検知両用プラグ15は、酸化ケイ素を含まない火炎に当たるので、酸化ケイ素が付着して絶縁体となることはない。従って、火炎点火検知両用プラグ15は、火炎があっても火炎がないと検知するような誤動作を起こすことは防止できる。
また、本発明の表面改質用火炎噴射装置1では、図3(b)〜(d)に示すように、バーナ5の前壁6の前面9の周縁に保炎壁(リテンション壁)55が前方に向けて2〜5mm程度突出するようにボルト等でバーナ5の前壁9の前面に固定して設けられている。この保炎壁55は、バーナ5の前壁6の前面の周縁から前方に向けて、徐々にすぼむ、即ち、保炎壁55は、その開口面積が徐々に小さくなるように、断面視で傾斜するように傾斜角度θが付けられて形成されている。
このような保炎壁55を前壁6の前面9の周縁から突出するように設ける構成とすることで、噴射孔7から噴射された燃焼用ガスが着火された火炎56を、前方に向けて絞りこんで、集中火炎として加工物の表面に向けて噴射する。この保炎壁55の前方に向けて絞り込むための傾斜角度θを適切な角度に形成することで、火炎56の集中度合いを調整して、火炎56による加熱効率を高め、加工物の表面の改質を効果的行うことが可能となる。
火炎を用いる表面処理において、処理効率を良くするためには、火炎における処理活性の高い部分(これを「火炎反応帯」という)を表面に当てる必要がある。本発明の表面改質用火炎噴射装置1のバーナ5から噴射した火炎56の構成を、図4(a)に示す。
この火炎56は、本発明の機能、効果を説明するために、通常の火炎における内炎と外炎の区分とは異なり、便宜的に、内炎57、火炎反応帯58及び外炎59から成るものとして説明する。図6は、火炎の構成と効果を説明する表であり、内炎、火炎反応帯及び外炎のそれぞれの特徴、効果等を示す。
火炎反応帯58は、バーナ5の噴射孔7から1〜5cm程度の範囲の火炎の中心部である。この火炎反応帯58は、有機ケイ素化合物から発生した5〜30nm程度のナノレベルの微細な二酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素の周囲に生成された水酸基(−OH)、水酸ラジカル(・OH)等が多く存在し、処理活性が高く、加工物表面の親水性(濡れ性)、接着性について、改質効果が大きい。
一方、火炎の外炎59(火炎の表層の炎)は、空気と触れており、いわゆる酸化炎(一酸化炭素・水素・炭素などが完全燃焼している部分)となっているので、処理活性は低減している。また、外炎59では二酸化ケイ素も凝集し、50nm以上と粒径が大きくなっている。内炎57は、噴射孔7から噴射した直後の部分であり、処理活性は、火炎反応帯58に比較して少ない。
そこで、本発明の表面改質方法は、表面改質用火炎噴射装置1を使用して加工物60の表面に噴射する際には、図4(b)に示すように、バーナ5を、加工物60の表面から2〜5cm程度離して、加工物60の表面に沿って平行に、相対的に移動する(バーナ5又は加工物60を移動する)。
このような表面改質方法を採用することで、バーナ5から、ナノレベルの微細な二酸化ケイ素(SiO)、二酸化ケイ素の周囲に生成された水酸基(−OH)、水酸ラジカル(・OH)等が多く存在し、処理活性が高い火炎反応帯58を加工物60に当てることができるので、周囲に水酸基(−OH)の生成されたナノレベルの微細な二酸化ケイ素を加工物60の表面に付着させ、高い処理効率で加工物60の表面を改質することが可能となる。
また、火炎は高温なので加工物60の表面が変形しないように、すばやく動かして、瞬時に処理する必要がある。しかしながら、火炎、特に先端側は揺らいで変形しやすく、また、急速に移動させると揺らぎやすい。
しかしながら、本発明に係る表面改質方法は、上記のとおり、火炎反応帯58を加工物60に当てることで、火炎を揺らぎの少ない状態(腰のある火炎の状態)で、しかも加工物60の表面に対する火炎が当たる面積をより多くすることができるので、比較的高速(例えば、500mm〜1000mm/秒)でバーナ5を移動しても、安定した、効率的な改質処理をスピーディーに行うことが可能となる。従って、生産性も向上する。
(適用例)
本発明の表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法を用いて加工物60を改質する例として、シリコーンゴムの表面を改質について説明する。有機ケイ素化合物として、例えば、シロキサン化合物を使用する。
なお、アルキシラン化合物、アルコキシラン化合物、シラザン化合物等の有機ケイ素化合物を利用することも考えられるが、これらは、加水分解して含有水分量が不安定となるが、シロキサン化合物は、このように加水分解して含有水分量が不安定は生じないのでより好ましい。
表面改質用火炎噴射装置及び表面改質方法を用いて材質がシリコーンゴムから成る加工物の表面を改質すると、有機ケイ素化合物によって火炎中に生成される二酸化ケイ素がシリコーンゴムの表面にナノレベルで付着され、二酸化ケイ素の表面に生じた水酸基によって、コーティング剤、塗料、インキ、接着剤等の液体に対する接触角を小さくし、濡れ性、密着性を高めることが可能となる。
ところで、前記したとおり、携帯情報端末のケース等の材質として使用されるシリコーンゴムは、その表面にウレタン塗料は付着しにくい。しかしながら、処理により親水性が向上した表面に対して塗料がよく濡れる。
たとえば、シリコーンゴム表面に反応性の水酸基がたくさん存在したとしても、塗料との濡れが悪い場合、反応点が少なくなり、トータルの結合力が弱くなる。上記のとおり、よく濡れることにより、表面の反応性の水酸基を十分に有効に反応することができ、トータルの結合力が強くできる(要するに、反応しやすい距離に十分接近する)。
その結果、例えば、ポリオール(例.OH−アクリル樹脂−OH)等を有するウレタン塗料の場合は、シリコーンゴムの表面に形成される水酸基と反応して、両者が強力に結合する。そのために、従来、シリコーンゴムの表面には付着性が悪いとされていたウレタン塗料を塗布して加飾することが可能となる。
なお、ウレタン塗料は、シリコーンゴム製加工物の使用用途に合う特性を有する塗膜を形成するものすなわち実用耐性(柔軟性、耐傷つき性など)を有するものが好ましい。
以上、本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法を実施するための形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法は上記のような構成であるから、シリコーンゴム、樹脂(例.熱可塑性エラストマー、オレフィン樹脂等)、複合材料、セラミックス、ガラス、金属等の表面の親水性(濡れ性の改善)、密着性、接着性の向上、スリップ性の調整等の表面改質に適用可能であり、コーティング剤、塗料、インキ、接着剤の塗布、密着性、接着性の向上に資するものとなる。
具体的使用例は次のとおりである。
(1)新しい製法
ガラス瓶の塗装、金属、メッキへのクリヤーコーティング
(2)製造工程の簡略化(前処理等の削減)
・PP(ポリプロピレン)へのシリコーンシーリング剤の接着
・PPへのプライマーレス塗装
・特殊金属(スーパーダイマ、ガルバリウム)の塗装
(3)粉体塗装、無機塗装その他
・PPへの塗装、両面テープ
・シリコーンゴムへの塗装、両面テープ
・ガラスへの特殊コーティング(親水、撥水付与)
1 表面改質用火炎噴射装置
2 空気供給系
3 燃料ガス供給系
4 有機ケイ素化合物供給系
5 バーナ
6 バーナの前壁
7 噴射孔
8 隔壁
9 バーナの前壁の前面
10 整流板
11 主バー室
12 副バーナ室
14 検知電流検出器
15 火炎点火検知両用プラグ
16 一対の電極
17 検知電流検出器
18 点火用電源
19 火炎点火検知両用プラグの支持部
20 アース
21 火炎検知プラグの陰極
22 火炎検知プラグの陽極
23 交流電源
24 検知電流検出器
29 燃料ガスの供給管
30 エアコンプレッサ
31 エアドライヤ(空気乾燥器)
32 空気用のマスフローコントローラ
33、33’ 空気供給管
34 空気燃料ガスミキサ
35 ベンチュリミキサ
36 燃料ガス用のマスフローコントローラ
37 燃料供給管
38 副燃焼用ガス供給管
39 開閉弁
40 液状の有機ケイ素化合物の貯蔵タンク
41 ベーパライザ(気化器)
42 ベーパライザの加熱器
43 有機ケイ素化合物用のマスフローコントローラ
44 有機ケイ素化合物供給管
45 有機ケイ素化合物供給管の開閉バルブ
46 燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ
47 液状の有機ケイ素化合物の貯蔵タンクの液面センサ
48 ベーパライザの液面センサ
50 主燃焼ガス供給管
55 保炎壁
56 火炎
57 内炎
58 火炎反応帯
59 外炎
60 加工物
101 火炎噴射装置
102 空気供給系
103 燃料ガス供給系
104 有機ケイ素化合物供給系
106 バーナ
110 エアコンプレッサ
111 空気用のマスフローコントローラ
112、112’ 空気供給管
115 燃料ガスの供給源
116 燃料ガス用の開閉弁
117 燃料ガス用のマスフローコントローラ
118 燃料供給配管
120 ベンチュリミキサ
121 空気燃料ガスミキサ
122 燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ
125 液状有機ケイ素化合物の貯蔵タンク
126 ベーパライザ
127 ベーパライザにおける加熱手段
128 有機ケイ素化合物用マスフローコントローラ
129 有機ケイ素化合物供給管
130 液状有機ケイ素化合物の貯蔵タンクの液面センサ
131 ベーパライザの液面センサ
135 改質ガス供給管
136 点火用電源
137 火炎点火検知両用プラグ
138 噴射孔
139 加工物表面
140 火炎
141 アース
142 検知電流検出器

Claims (6)

  1. 空気供給系と、燃料ガス供給系と、有機ケイ素化合物供給系と、バーナと、を備え、加工物の表面に火炎を噴射して該表面を改質する表面改質用火炎噴射装置であって、
    バーナは、隔壁により、主バーナ室と副バーナ室に分割され、副バーナ室の前方には火炎点火検知両用プラグが設けられており、
    該火炎点火検知両用プラグは、主バーナ室及び副バーナ室に供給される空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに着火するものであり、
    主バーナ室には、着火後は、空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが供給され、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスと主バーナ室から噴射される有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが燃焼し、その火炎が加工物表面に噴射される構成であり、
    火炎点火検知両用プラグは、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスの火炎を検知する構成であることを特徴とする表面改質用火炎噴射装置。
  2. 空気供給系と、燃料ガス供給系と、有機ケイ素化合物供給系と、バーナと、空気燃料ガスミキサと、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサと、を備え、加工物の表面に火炎を噴射して該表面を改質する表面改質用火炎噴射装置であって、
    バーナは、隔壁により、主バーナ室と副バーナ室に分割され、副バーナ室の前方には火炎点火検知両用プラグが設けられており、
    該火炎点火検知両用プラグは、主バーナ室及び副バーナ室に供給される空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに着火するものであり、
    空気燃料ガスミキサは、空気供給系から供給される空気と燃料ガス供給系から供給される燃料ガスを燃焼用ガスとして混合するものであり、該燃焼用ガスの一部は副バーナ室に供給され、残りは燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサに供給される構成とされており、
    燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサは、燃焼用ガスに有機ケイ素化合物を混合し、主バーナ室に供給するものであり、
    主バーナ室には、着火後は、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサから空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが供給され、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスと主バーナ室から噴射される有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが燃焼し、その火炎が加工物表面に噴射される構成であり、
    火炎点火検知両用プラグは、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスの火炎を検知する構成であることを特徴とする表面改質用火炎噴射装置。
  3. バーナの前壁には、燃焼用ガスを噴射する複数の噴射孔が形成されており、バーナの前壁の周囲には前方に突出する保炎壁が設けられており、保炎壁は、該保炎壁で囲まれる開口が前方に向けて徐々に絞り込まれるように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面改質用火炎噴射装置。
  4. 空気供給系は、空気供給管を有し、該空気供給管の途中に、エアドライヤ及びマスフローコントローラが設けられており、エアドライヤは、エアコンプレッサから送られてきた空気中に含まれる水分を低減する装置であり、マスフローコントローラは、空気流量を計測し供給流量を制御する装置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質用火炎噴射装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の表面改質用火炎噴射装置を使用した加工物の表面の表面改質方法であって、バーナを、その前壁が加工物の表面から2〜5cmに近づけて該表面に沿うように相対的に移動させて、火炎中の処理活性の高い火炎反応帯を加工物の表面に当てることを特徴とする加工物表面の表面改質方法。
  6. 加工物の材質はシリコーンゴムであり、表面改質用火炎噴射装置によりシリコーンゴムの表面を改質することにより、該表面に水酸基を生成しウレタン塗料の密着性を向上させることを特徴とする請求項5に記載の加工物表面の表面改質方法。
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