JP5687550B2 - 表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法 - Google Patents
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Description
(1)親水性、接着性向上効果
ナノレベルの二酸化ケイ素粒子が加工物の表面に付着され、親水性(濡れ性)が向上する。
(2)難接着材の密着性向上
難接着材表面の表面エネルギーが向上し、さらに表面の濡れ性が向上することにより、密着性が向上する。
(3)帯電防止効果
加工物の表面に極性基と水酸基を多く含む酸化ケイ素を付与することで、帯電防止効果が生じ、特にプラスチックの場合には実用上の効果が大きい。
図5は、本発明の表面改質のための火炎噴射装置の前提となる火炎噴射装置の基本的な構成を説明する図である。この基本的な構成を有する火炎噴射装置101は、主に、空気供給系102と、燃料ガス供給系103と、有機ケイ素化合物供給系104と、バーナ106と、を備えている。
ところで、本発明者らは、表面改質用火炎噴射装置及び表面改質方法の開発を通して、上記有機ケイ素化合物含有火炎(通常、当業者では「ケイ酸化炎」とも呼ばれているので以下その用語を使用する)による表面処理が、より安定して行い、加工物表面に、改質効果、密着性効果を十分付与するためには、次のことが必要であという知見を得た。
火炎品質を安定させるポイントは次のとおりである。
ア.燃焼用ガス中の空気と燃料ガスの量の比率正確に制御することが必要である。
バーナには、火炎を常時検知するための、火炎検知プラグを搭載しているが、この火炎検知プラグは、ケイ酸化炎中では、火炎により生成する酸化ケイ素が付着し堆積して絶縁体となり易く、適切に検知できなくなり誤動作(火炎があっても火炎がないと検知する)を起こし、長時間の使用ができない。従来は、2時間に一度位の頻度で酸化ケイ素が付着して火炎検知プラグの清掃(例えば、ブラッシング等)又は取り替え等が必要であった。この点を改善する必要がある。
火炎を用いる表面処理では、火炎中の処理活性の高い部分(火炎反応帯)を、表面に当てなければならない。また、火炎は高温なので表面が変形しないよう瞬時に処理する必要がある。そのためには、ワークまたはバーナをすばやく動かす必要があるが、火炎は揺らぐので、揺らぎづらい腰のある火炎が求められる。
安定な有機ケイ素化合物を用い、気化量、キャリアー空気中の濃度等が安定している必要がある。
以上の知見に基づいて想到した本発明の特徴的な構成について、以下の実施例で説明する。図1は、本発明に係る表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法についての全体構成説明する図である。
→SiO2+H2O(水蒸気)+CO2(二酸化炭素)
なお、実際は、火炎中の火炎反応帯では、SiO2、H2O、CO2以外にも、Si、SiO、OH、・OH(水酸ラジカル)、O2、H2、CO等が存在する。
密着を向上させているとも考えられる。また、金属用の塗布剤には、シランカップリング剤のような、密着付与剤が入っていることが多く、この密着付与剤の効果を表面に集中させることにより密着を向上させているとも考えられる。
本発明の表面改質用火炎噴射装置及び該火炎噴射装置を用いた表面改質方法を用いて加工物60を改質する例として、シリコーンゴムの表面を改質について説明する。有機ケイ素化合物として、例えば、シロキサン化合物を使用する。
(1)新しい製法
ガラス瓶の塗装、金属、メッキへのクリヤーコーティング
・PP(ポリプロピレン)へのシリコーンシーリング剤の接着
・PPへのプライマーレス塗装
・特殊金属(スーパーダイマ、ガルバリウム)の塗装
(3)粉体塗装、無機塗装その他
・PPへの塗装、両面テープ
・シリコーンゴムへの塗装、両面テープ
・ガラスへの特殊コーティング(親水、撥水付与)
2 空気供給系
3 燃料ガス供給系
4 有機ケイ素化合物供給系
5 バーナ
6 バーナの前壁
7 噴射孔
8 隔壁
9 バーナの前壁の前面
10 整流板
11 主バー室
12 副バーナ室
14 検知電流検出器
15 火炎点火検知両用プラグ
16 一対の電極
17 検知電流検出器
18 点火用電源
19 火炎点火検知両用プラグの支持部
20 アース
21 火炎検知プラグの陰極
22 火炎検知プラグの陽極
23 交流電源
24 検知電流検出器
29 燃料ガスの供給管
30 エアコンプレッサ
31 エアドライヤ(空気乾燥器)
32 空気用のマスフローコントローラ
33、33’ 空気供給管
34 空気燃料ガスミキサ
35 ベンチュリミキサ
36 燃料ガス用のマスフローコントローラ
37 燃料供給管
38 副燃焼用ガス供給管
39 開閉弁
40 液状の有機ケイ素化合物の貯蔵タンク
41 ベーパライザ(気化器)
42 ベーパライザの加熱器
43 有機ケイ素化合物用のマスフローコントローラ
44 有機ケイ素化合物供給管
45 有機ケイ素化合物供給管の開閉バルブ
46 燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ
47 液状の有機ケイ素化合物の貯蔵タンクの液面センサ
48 ベーパライザの液面センサ
50 主燃焼ガス供給管
55 保炎壁
56 火炎
57 内炎
58 火炎反応帯
59 外炎
60 加工物
101 火炎噴射装置
102 空気供給系
103 燃料ガス供給系
104 有機ケイ素化合物供給系
106 バーナ
110 エアコンプレッサ
111 空気用のマスフローコントローラ
112、112’ 空気供給管
115 燃料ガスの供給源
116 燃料ガス用の開閉弁
117 燃料ガス用のマスフローコントローラ
118 燃料供給配管
120 ベンチュリミキサ
121 空気燃料ガスミキサ
122 燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサ
125 液状有機ケイ素化合物の貯蔵タンク
126 ベーパライザ
127 ベーパライザにおける加熱手段
128 有機ケイ素化合物用マスフローコントローラ
129 有機ケイ素化合物供給管
130 液状有機ケイ素化合物の貯蔵タンクの液面センサ
131 ベーパライザの液面センサ
135 改質ガス供給管
136 点火用電源
137 火炎点火検知両用プラグ
138 噴射孔
139 加工物表面
140 火炎
141 アース
142 検知電流検出器
Claims (6)
- 空気供給系と、燃料ガス供給系と、有機ケイ素化合物供給系と、バーナと、を備え、加工物の表面に火炎を噴射して該表面を改質する表面改質用火炎噴射装置であって、
バーナは、隔壁により、主バーナ室と副バーナ室に分割され、副バーナ室の前方には火炎点火検知両用プラグが設けられており、
該火炎点火検知両用プラグは、主バーナ室及び副バーナ室に供給される空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに着火するものであり、
主バーナ室には、着火後は、空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが供給され、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスと主バーナ室から噴射される有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが燃焼し、その火炎が加工物表面に噴射される構成であり、
火炎点火検知両用プラグは、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスの火炎を検知する構成であることを特徴とする表面改質用火炎噴射装置。 - 空気供給系と、燃料ガス供給系と、有機ケイ素化合物供給系と、バーナと、空気燃料ガスミキサと、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサと、を備え、加工物の表面に火炎を噴射して該表面を改質する表面改質用火炎噴射装置であって、
バーナは、隔壁により、主バーナ室と副バーナ室に分割され、副バーナ室の前方には火炎点火検知両用プラグが設けられており、
該火炎点火検知両用プラグは、主バーナ室及び副バーナ室に供給される空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに着火するものであり、
空気燃料ガスミキサは、空気供給系から供給される空気と燃料ガス供給系から供給される燃料ガスを燃焼用ガスとして混合するものであり、該燃焼用ガスの一部は副バーナ室に供給され、残りは燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサに供給される構成とされており、
燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサは、燃焼用ガスに有機ケイ素化合物を混合し、主バーナ室に供給するものであり、
主バーナ室には、着火後は、燃焼用ガス有機ケイ素化合物ミキサから空気と燃料ガスから成る燃焼用ガスに有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが供給され、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスと主バーナ室から噴射される有機ケイ素化合物が混合された燃焼用ガスが燃焼し、その火炎が加工物表面に噴射される構成であり、
火炎点火検知両用プラグは、副バーナ室から噴射される燃焼用ガスの火炎を検知する構成であることを特徴とする表面改質用火炎噴射装置。 - バーナの前壁には、燃焼用ガスを噴射する複数の噴射孔が形成されており、バーナの前壁の周囲には前方に突出する保炎壁が設けられており、保炎壁は、該保炎壁で囲まれる開口が前方に向けて徐々に絞り込まれるように傾斜して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面改質用火炎噴射装置。
- 空気供給系は、空気供給管を有し、該空気供給管の途中に、エアドライヤ及びマスフローコントローラが設けられており、エアドライヤは、エアコンプレッサから送られてきた空気中に含まれる水分を低減する装置であり、マスフローコントローラは、空気流量を計測し供給流量を制御する装置であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質用火炎噴射装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の表面改質用火炎噴射装置を使用した加工物の表面の表面改質方法であって、バーナを、その前壁が加工物の表面から2〜5cmに近づけて該表面に沿うように相対的に移動させて、火炎中の処理活性の高い火炎反応帯を加工物の表面に当てることを特徴とする加工物表面の表面改質方法。
- 加工物の材質はシリコーンゴムであり、表面改質用火炎噴射装置によりシリコーンゴムの表面を改質することにより、該表面に水酸基を生成しウレタン塗料の密着性を向上させることを特徴とする請求項5に記載の加工物表面の表面改質方法。
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