JP5685465B2 - 溶剤型塗料組成物 - Google Patents

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本発明は、耐擦傷性の良好な塗膜を得ることができる溶剤型塗料組成物に関する。
自動車等の車両や電化製品等の塗装において、その多くは複数の塗料を重ね塗りしているが、自動車等の塗装面の最上部に塗布される塗料には、下塗りされた塗料の保護や光沢等の意匠性が要求されている。しかしながらこうした塗装を施した製品を長年使用していると、例えば自動車であれば、石や砂等が塗装面と接触してチッピングと呼ばれる傷がつく場合や、自動洗浄機のブラシで塗装面が傷つく場合、ドアをロックするための鍵が塗装面に触れて傷がつく場合等、様々な要因で塗装面に傷がつく。係る傷は塗装面の意匠性を悪化させ、更には下塗り等の塗装面に悪影響を及ぼす場合もあることから、塗装面の最上部に塗布される塗料には耐擦傷性が求められている。
耐擦傷性の効果を発揮させるためには、樹脂の種類や配合割合等を規定することが最も一般的に行われている。具体的には、塗膜を硬くさせて耐擦傷性を出す方法が知られているが、硬い塗膜は一旦傷がつくと、塗膜が割れる等の問題を生じる場合があり、満足できる耐擦傷性が得られていないのが現状である。一方、塗膜を軟らかくし、塗膜の弾力性を利用して細かい傷を自己修復させる技術も知られている。しかし軟らかい塗膜は、修復できない大きな傷がつきやすく、更に汚れがつきやすいという問題がある。
そこで耐擦傷性を向上させる添加剤を塗料に添加することで、塗膜の耐擦傷性を向上させる試みがなされている(例えば、特許文献1,2を参照)。使用される添加剤はシリカ等の微粒子であり、こうした微粒子を入れると塗膜が硬くなり、傷がつきにくくなる。しかしながら要求されるほどの耐擦傷性は得ることができず、更に一部の微粒子では塗料中での安定性が不良という問題もある。
特開2010−189477号公報 国際公開第2005/121265号
従って、本発明が解決しようとする課題は、耐擦傷性に優れ、塗料の製品安定性が高い溶剤型塗料組成物を提供することにある。
そこで本発明者等は鋭意検討し、耐擦傷性に優れる溶剤型塗料組成物を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、下記の一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤に被覆されたシリカを、塗料の樹脂成分に対して0.1〜30質量%含有することを特徴とする溶剤型塗料組成物である。
Figure 0005685465
(式中、Xはハロゲン原子又はメチル硫酸誘導体を表し、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは炭素数6〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数6〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基でなければならない。)
Figure 0005685465
(式中、mは1〜100の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
本発明の効果は、耐擦傷性に優れ、塗料の製品安定性が高い溶剤型塗料組成物を提供したことにある。
本発明の溶剤型塗料組成物は、通常の溶剤型塗料に下記の一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤に被覆され、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカを、当該溶剤型塗料の樹脂成分に対して0.1〜30質量%添加したものである。
Figure 0005685465
(式中、Xはハロゲン原子又はメチル硫酸誘導体を表し、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは炭素数6〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数6〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基でなければならない。)
Figure 0005685465
(式中、mは1〜100の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
一般式(1)のR〜Rは、炭素数1〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜36の炭化水素基、または上記の一般式(2)で表されるポリエーテル基を表す。
炭素数1〜36の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、エイコシル基、ドコシル基、テトラコシル基、ヘキサコシル基、オクタコシル基、トリアコンチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−オクチルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、スチリル基、シンナミル基、ベンズヒドリル基、トリチル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等のアリール基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等のシクロアルキル基が挙げられる。
エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜36の炭化水素基としては、例えば、上記に挙げた炭化水素基の1箇所または2箇所以上の水素原子を水酸基で置換、もしくは炭素−炭素結合の1箇所または2箇所以上にエステル基やアミド基を導入する形で置換、あるいはこれらの置換基を2種以上置換したものが挙げられる。
なお、一般式(1)のカチオン界面活性剤がエステル基を有する場合は、ジメチルモノエタノールアミンやモノメチルジメタノールアミン等のジアルキルアルカノールアミンやモノアルキルジアルカノールアミンに、ラウリン酸やオレイン酸等の脂肪酸をエステル化反応させ、その後メチルクロライド等の4級化剤で4級化することで得られる。また、アミド基を含有する場合は、N,N−ジメチル−エチレンジアミン等のジアミンと脂肪酸とをアミド化反応させた後、メチルクロライド等の4級化剤で4級化することで得られる。
一般式(2)の は2〜4のアルキレン基を表す。こうしたアルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、ブチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ターシャリブチレン基等が挙げられる。mは1〜100の数を表す。
一般式(1)のR〜Rは上記に挙げた基の少なくとも1つの基は、炭素数6〜36の炭化水素基であるか、エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数6〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基でなければならない。なお、以後これらの基の総称を長鎖疎水基とする。
Figure 0005685465
(式中、mは1〜100の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
炭素数6〜36の炭化水素基としては、上記に挙げた炭化水素基の中で炭素数6〜36のものを例示として挙げることができるが、これらの中でも炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数10〜18の脂肪族炭化水素基がより好ましい。炭素数が6未満の場合は耐擦傷性や塗膜の透明性が悪くなる場合があり、炭素数が36を超えると水への溶解性が悪くなり、シリカへの吸着反応が進まない場合がある。
エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数6〜36の炭化水素基としては、上記に挙げたエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭化水素基の中で炭素数6〜36のものを例示として挙げることができるが、これらの中でもエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種の置換基を有する炭素数8〜18の脂肪族炭化水素基が好ましく、エステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種の置換基を有する炭素数10〜16の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
一般式(2)のmは1〜100の数を表すが、好ましくは3〜80の数であり、より好ましくは5〜40の数である。Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、上記に挙げたものを例示として挙げることができるが、これらは単独の基による単独重合でも、複数の基によるブロック重合あるいはランダム重合のいずれでもよい。
これら長鎖疎水基は一般式(1)の中に1つ以上あればよいが、長鎖疎水基が1〜3つあることが好ましく、1また2つあることが更に好ましい。なお、長鎖疎水基が炭化水素基である場合は、長鎖疎水基が2つあることが好ましい。また長鎖疎水基以外の基は、炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基がより好ましい。
一般式(1)のXは対イオンであり、Xはハロゲン原子またはメチル硫酸を表す。メチル硫酸誘導体の場合のXは、下記の一般式(3)で表すことができる。
Figure 0005685465
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられるが、カチオン界面活性剤の製造が容易で安価に製造できることから、塩素原子、臭素原子が好ましく、塩素原子がより好ましい。
本発明に使用するシリカは、粒状であればいずれのシリカであっても利用できる。また、少量であればシリカに酸化アルミニウムや酸化チタン等の他の金属酸化物が含有していてもかまわない。こうした金属酸化物を含有する場合、金属酸化物の含有量はシリカの50モル%以下が好ましく、20モル%以下がより好ましく、5モル%以下が更に好ましい。更に、これら粒状のシリカは、粒径が300nm以下であることが好ましく、水系のコロイダルシリカがより好ましい。なお、これらの粒径は、動的光散乱式流動分布測定装置等の粒度分布測定装置を使用して測定すればよい。
水系コロイダルシリカは通常、固形分が10〜50質量%水溶液として製品化されており、珪酸塩やテトラアルコキシシラン等を原料に水溶液として製造されるが、原料の種類については特に指定はない。コロイダルシリカの粒径についても特に指定はないが、1〜200nmが好ましく、3〜100nmがより好ましく、5〜50nmが更に好ましい。なおコロイダルシリカは製品安定性が良好なほど好ましく、具体的には40℃の雰囲気下で1ヶ月以上ゲル化しないものであれば製品安定性が良好なコロイダルシリカとして好ましく使用できる。なお、溶剤等に分散したコロイダルシリカ類も知られているが、これらは通常コロイダルシリカを変性剤でアルキル変性等した変性コロイダルシリカであり、本発明には使用することができない。
本発明に使用するカチオン界面活性剤に被覆されたシリカは、上記のシリカの周りに一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤を被覆したものである。被覆方法としては、例えば、コロイダルシリカとカチオン界面活性剤とを混合して一定時間加熱反応すればよい。加熱反応により、コロイダルシリカの周囲にカチオン界面活性剤の強固な保護膜が形成される。
カチオン界面活性剤の配合量に関して特に規定はないが、シリカ100質量部(コロイダルシリカの場合は、上記質量はシリカ固形分質量)に対して、カチオン界面活性剤が5〜600質量部であることが好ましく、10〜300質量部がより好ましく、20〜200質量部が更に好ましい。カチオン界面活性剤が5質量部未満になると塗料中での分散性が不良になる場合や耐擦傷性が不十分になる場合があり、600質量部を超えると添加量に見合った効果が得られない場合や、塗料に配合したときに塗料の物性や得られる塗膜の物性に悪影響を与える場合がある。
また、カチオン界面活性剤に被覆されたシリカは無溶媒で粉末の形態でもよいが、粉末の状態では長期の保存で粒子同士が融着して粉末が固形化する場合があるため、有機溶媒に分散させることが好ましい。使用できる有機溶媒としては、常温で液状であればいずれの有機溶媒でも使用できる。こうした有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、ポリアルキレングリコールモノアセテート、ポリアルキレングリコールジアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒;アセトン、ブタノン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒;ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル等の炭化水素系溶媒が挙げられる。これらの中でも製造が容易なことから、水と分離するエステル系溶媒、ケトン系溶媒、ハロゲン系溶媒、炭化水素系溶媒が好ましく、更に安全性が高いことからエステル系溶媒、ケトン系溶媒、炭化水素系溶媒がより好ましい。なお、水と分離する溶媒が好ましい理由は下記の製造方法で詳しく説明する。
有機溶媒中にカチオン界面活性剤に被覆されたシリカを分散させる場合、カチオン界面活性剤に被覆されたシリカの含量は、組成物全量に対して5〜50質量%になるように含有させることが好ましく、10〜40質量%がより好ましい。5質量%未満の場合は塗料に配合したときに大量の有機溶媒が塗料に配合され、塗料の物性に悪影響がでる場合がある。また50質量%を超えると、カチオン界面活性剤を被覆したコロイダルシリカの有機溶媒中での安定性が悪化する場合がある。
カチオン界面活性剤に被覆されたシリカの具体的な製造方法としては、例えば、有機溶媒とカチオン界面活性剤を入れた系に対して、40〜100℃でコロイダルシリカ水溶液を滴下し、同温度で1〜10時間混合して被覆反応させればよい。なお反応中あるいは反応終了後に、系内に存在する水分を除去することが好ましく、水を除去すると同時に有機溶媒に分散させることがより好ましい。水の除去方法及び有機溶媒に分散させる方法としては、例えば、混合時に共沸して蒸発した有機溶媒と水とを冷却して分液ロートに導き、分液ロート内で有機溶媒と水とを分離し、水のみを除去して有機溶媒を系内に戻せばよい。この工程によりほとんどの水を除去することが可能であるが、そのためには使用する有機溶媒が水と分離する性質を持つものであることが好ましい。なお水と混合する有機溶媒を使用する場合には、一定量の水及び有機溶媒を除去した後に有機溶媒を追加する工程を設け、水分量が一定値以下になるまでこの工程を繰り返せばよい。上記反応と水の除去を行った後、必要であれば100〜150℃で30分〜3時間程度の熟成を行うことで、有機溶媒に分散したカチオン界面活性剤に被覆されたコロイダルシリカを得ることができる。また、カチオン界面活性剤に被覆されたシリカを粉末として得る場合には、有機溶媒に分散したカチオン界面活性剤に被覆されたシリカから有機溶媒を減圧蒸留等で全量除去する、あるいは反応が終了した時点で水または有機溶媒、あるいはこれらの混合溶媒を全量除去すればよい。
得られたカチオン界面活性剤に被覆されたシリカを溶剤型塗料に添加し、均一になるまで混合することで本発明の溶剤型塗料組成物を得ることができる。添加時に有機溶媒が溶剤型塗料内に配合されてもよい。溶剤型塗料としては公知の溶剤型塗料であればいずれも使用でき、例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂及びこれらの混合物等の塗料が挙げられる。これらの塗料の中でも、耐擦傷性の効果を発揮し易いことから、(メタ)アクリル樹脂を含有する溶剤型塗料が好ましい。
カチオン界面活性剤に被覆されたシリカの添加量は規定されないが、溶剤型塗料に含まれる樹脂成分の0.1〜30質量%添加することが好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。0.1質量%未満であると耐擦傷性の効果が得られない場合があり、30質量%を超えると溶剤型塗料組成物の安定性が悪化する場合がある。
本発明の溶剤型塗料組成物の用途は限定されず、溶剤型の塗料が使用される用途であればいずれの用途にも使用できるが、耐擦傷性が良好なことから、被塗布物の最表面に塗布する用途に使用することが好ましい。こうした用途としては、例えば、建築・建材用の塗料、家電製品用の塗料(トップコート)、自動車用の塗料(トップコート)が挙げられ、これらのなかでも表面の傷等が問題になる、家電製品用の塗料(トップコート)及び自動車用の塗料(トップコート)に使用することが好ましい。
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。
<カチオン界面活性剤に被覆されたシリカの製造:試料の製造>
冷却器付き分液ロート、温度計、滴下ロート及び攪拌機を付した容量1000mlの4つ口フラスコに、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド36g及び有機溶媒としてメチルイソブチルケトン(MIBK)245gを入れ、攪拌しながら96℃に加熱した。続いて、滴下ロートに入れた360gのコロイダルシリカ(アデライトAT−20Q(シリカ固形分20質量%):株式会社ADEKA製)を系内に8時間かけて滴下した。コロイダルシリカ滴下中は、系内の温度を95〜98℃に維持し、MIBKと水を共沸させた。MIBKと水の蒸留物を断続的に冷却器を通して集め、分液にて水を除去し、MIBKのみを回収して系内に戻す作業を繰り返し、反応中の系内の水分量を常に2〜4質量%になるように保持した。
なお、コロイダルシリカ(アデライトAT−20Q)の平均粒径は20nmであった。この平均粒径は、コロイダルシリカ5gに純粋10gを添加した溶液を動的光散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所株式会社製:LB−550)にて測定した。
滴下終了後、系内を130℃に昇温させて熟成し、同時に共沸を続けて系内の水分を除去した。熟成と水分除去を1時間行った後、系内を冷却してからペーパーフィルターでろ過し、カチオン界面活性剤に被覆されたコロイダルシリカの分散液(試料)を得た。試料は、固形分30質量%、水分含量0.1%の液状である。
<試料1、試料3〜試料21の製造>
試料と同様の製造方法で、カチオン界面活性剤の種類と有機溶媒の種類を変えたもの、及び界面活性剤の種類を変えたもの(試料1、3〜16)を製造した。各試料に使用したカチオン界面活性剤の構造と有機溶媒の種類及びその他の界面活性剤の構造を表1に記載した。また、いずれの試料においても平均粒径は20nmであった(測定方法は上記と同じ。)なお、試料1〜13は本発明に利用できる試料であり、試料14〜23は比較試料である。
<試験板の作成>
下記のアクリル樹脂系の溶剤型塗料の樹脂成分に対して、上記の試料を5質量%添加し、均一になるまで混合して試験塗料とした。この試験塗料の状態を混合1時間後に観察した後、黒色ベースの電着塗装板にアプリケーターを使用して3milの厚さで塗布し、室温で10分間養生後、70℃で1時間焼付けを行い、更に1日養生した後に耐擦傷性試験を行った。なお試験塗料を観察した状態について下記の通り評価した。
(2液ウレタン硬化型溶剤塗料)
スーパーダイヤモンドクリヤーベース(関西ペイント社製):100部
スーパーダイヤモンドクリヤー硬化剤(関西ペイント社製): 50部
レタンPG2Kシンナー(関西ペイント社製) : 10部
(観察による評価)
○:均一透明
×:沈殿、浮遊物、濁り等の不均一な状態
<耐擦傷性試験>
荷重変動型摩擦・摩耗試験機(HHS−2000:HEIDON社製)の稼動部分にスチールウールを取り付け、下記の試験条件に従い当該スチールウールで試験板を擦り、色差計(CM−3700d:コニカミノルタ社製)を使用して試験前後のL値(明度)を測定してL値の差(ΔL)を算出した。試験前の試験板には、非常に薄い膜厚の塗膜が塗布されており、いずれの塗膜も透明を維持している。試験板は透明の塗膜越しに黒色の外観を有し、塗膜に傷がつくと白くなるためL値に差が出てくる。L値の差が少ないほど耐擦傷性が良好な塗膜と判断できる。なお、試験前のL値は、6.15であった。結果は表2に示した。
(試験条件)
荷重:1000g
スピード:10mm/秒
作動幅:40mm
往復回数:10回
Figure 0005685465
*対イオンはいずれもクロルイオン(一般式(1)においてXはCl)
*ポリオキシエチレン(10EO):一般式()において がエチレン基、nが10
*ポリオキシプロピレン(10PO):一般式()において がプロピレン基、nが10
*ポリオキシブチレン(5BO):一般式()において がブチレン基、nが5
*エステル含有基:C1123COOCHCH
*アミド含有基:C1123CONHCHCH
*試料17、18はアニオン界面活性剤
*試料19,20はノニオン界面活性剤
*試料21は3級アミン化合物
試料22
冷却器付き分液ロート、温度計、滴下ロート及び攪拌機を付した容量2000mlの4つ口フラスコに、コロイダルシリカ(アデライトAT−20Q(シリカ固形分20質量%):株式会社ADEKA製)を180g、イソプロパノールを180g、25質量%のアンモニア水1.5gを入れ攪拌し、そこにジメチルジメトキシシラン18gを30分かけてゆっくり添加した。添加終了後、70〜75℃に加熱して6時間反応させ、反応終了後室温まで冷却した。その後、酢酸ブチル540gを添加し、30〜40℃で水とイソプロパノールが蒸留する程度に減圧し、水分が0.5質量%以下になるまで蒸留を行い、酢酸ブチルに分散したジメチル変性コロイダルシリカ(試料22)を得た。試料22の固形分は30.2質量%、水分含量0.2質量%であった。
試料23
試料21と同様の装置を使用し、ジメチルジメトキシシラン18gをトリメチルメトキシシラン18gに変え、酢酸ブチル540gをMIBK540gに変えた以外は同様の方法で反応し、MIBKに分散したトリメチル変性コロイダルシリカ(試料23)を得た。試料23の固形分は30.1質量%、水分含量0.1質量%であった。なお水の除去方法に関しては、試料1の製造と同様方法で分液を行って水の除去を行った。
試料24:アデライトAT−20Q
Figure 0005685465
試験前のL値:6.15
比較例11の試料(試料24)は、アデライトAT−20Qをそのまま塗料に5質量%添加
比較例12は、塗料に添加剤未添加
以上のように本発明品の溶剤型塗料のΔL値はいずれも3未満であり、比較例と比べて耐擦傷性に優れ、塗料としての安定性も良好である。一方、炭化水素基が全て短いカチオン界面活性剤や他の界面活性剤を使用した場合(比較例1〜8)は、塗料に配合したときの安定性が悪化し、耐擦傷性もそれほど向上しない。また、溶剤に分散させるためにアルキル変性等を行ったコロダルシリカ(比較例9、10)は、塗料の安定性は良好なものの耐擦傷性が向上しない。また、カチオン界面活性剤で被覆処理をしていないコロイダルシリカ(比較例11)は、塗料の安定性が悪化し耐擦傷性も向上しない。

Claims (4)

  1. 下記の一般式(1)で表されるカチオン界面活性剤に被覆され、有機溶媒に分散されたコロイダルシリカを、塗料の樹脂成分に対して0.1〜30質量%含有することを特徴とする溶剤型塗料組成物。
    Figure 0005685465
    (式中、Xはハロゲン原子又はメチル硫酸誘導体を表し、R〜Rはそれぞれ独立して炭素数1〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数1〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基を表す。ただし、R〜Rの少なくとも1つは炭素数6〜36の炭化水素基、またはエステル基、アミド基および水酸基から選択されるいずれか1種以上の置換基を有する炭素数6〜36の炭化水素基、または下記の一般式(2)で表されるポリエーテル基でなければならない。)
    Figure 0005685465
    (式中、mは1〜100の数を表し、Rは炭素数2〜4のアルキレン基を表す。)
  2. シリカ100質量部に対して、被覆しているカチオン界面活性剤が5〜600質量部であることを特徴とする請求項1に記載の溶剤型塗料組成物。
  3. 前記コロイダルシリカの粒径が1〜200nmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の溶剤型塗料組成物。
  4. 溶剤型塗料に使用される樹脂が(メタ)アクリル系ポリマーを含有する樹脂であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の溶剤型塗料組成物。
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