JP5684885B1 - 希土類抽出剤及び希土類抽出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低いpH領域であっても希土類を選択的に抽出できる希土類抽出剤を提供する。【解決手段】本発明の希土類抽出剤は、ジケトンと中性抽出剤とを含有する。ジケトンは2−テノイルトリフルオロアセトンであることが好ましく、中性抽出剤はフォスフィンオキシド基を有する化合物であることが好ましく、該化合物はトリオクチルフォスフィンオキシドであることが好ましい。本発明の希土類抽出剤を用いて希土類を抽出するには、希土類を含有する酸性溶液の溶媒抽出に付せばよい。種々の希土類元素を高収率で回収しようとする場合、酸性溶液のpHを0.2以上2.6以下にすることが好ましく、さらに、種々の希土類元素からスカンジウムだけを高収率かつ高純度で回収しようとする場合、酸性溶液のpHを0.2以上1.0以下にすることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、希土類抽出剤及び希土類抽出方法に関する。
希土類は高価であり、産出量が限られ、また、分離精製が困難なこともあって、利用範囲は限られていた。
希土類の一例として、スカンジウムが挙げられる。そして、ラテライト鉱等ニッケル酸化鉱には微量のスカンジウムが含有されることが知られている。ニッケル酸化鉱に含まれるスカンジウムは、ニッケル酸化鉱に硫酸を添加して加圧浸出することによって得られる浸出液から回収できる。例えば、特許文献1には、(ア)酸化鉱石を高温高圧下で酸により浸出してニッケル及びスカンジウムを含む浸出液を得る浸出工程と、(イ)この浸出液に中和剤を加えてpHを2〜4の範囲に調整することにより、浸出液中の鉄及びアルミニウムを沈殿物として除去する第一中和工程と、(ウ)第一中和工程で沈殿物を除去した後の溶液に、中和剤を加えてpHを4超〜7.5の範囲に調整することにより溶液中のスカンジウムを沈殿物として回収する第二中和工程と、(エ)さらに中和剤を加えてpHを7.5超に調整することにより、溶液中のニッケルを沈殿物として回収する第三中和工程とを行うことで、酸化鉱石からニッケル及びスカンジウムを回収できることが示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法で工業的に操業しようとすると、種々の課題が生じる。例えば、第一中和工程でのpH調整範囲と、第二中和工程でのpH調整範囲とが近接するため、第一中和工程では、鉄及びアルミニウムと共にスカンジウムも沈澱し、スカンジウムの抽出率低下を招く可能性があり、第二中和工程では、スカンジウムと共に鉄及びアルミニウムも沈殿し、スカンジウムの純度低下を招く可能性があり、いずれも好ましくない。また、中和剤を加えることで大量の沈殿物が発生するが、一般に、酸にアルカリを添加して得られる沈殿物の性状は不安定で濾過性に劣り、設備規模の拡大等コスト増加を伴う可能性がある。そのため、中和工程の回数をできるだけ少なくすることが好ましく、スカンジウムを含有する溶液から、溶媒抽出等の手段でスカンジウムだけを選択的に分離することが提案されている。
溶媒抽出等の手段でスカンジウムだけを選択的に分離する手法として、例えば、特許文献2には、スカンジウムの他に少なくとも鉄、アルミ、カルシウム、イットリウム、マンガン、クロム、マグネシウムの1種以上を含有する水相の含スカンジウム溶液に有機溶媒を加えて、スカンジウム成分を有機溶媒中に抽出し、次いで、有機溶媒中にスカンジウムと共に抽出された微量成分を分離するために、塩酸水溶液を加えてスクラビングを行い、微量成分を除去した後、有機溶媒中に水酸化ナトリウム水溶液を加えて、有機溶媒中に残存するスカンジウムをSc(OH)を含むスラリーとし、これを濾過して得たSc(OH)を塩酸で溶解し、塩化スカンジウム水溶液を得、これにシュウ酸を加えてシュウ酸スカンジウム沈殿とし、沈殿を濾過し、微量不純物を濾液中に分離した後、仮焼することにより高純度な酸化スカンジウムを得ることが示されている。
しかしながら、特許文献2の方法を用いた場合、有機溶媒中に、スカンジウムだけでなく、不純物成分も無視できない程度に抽出されてしまう。特にニッケル酸化鉱を酸浸出し中和して得た浸出液には、カルシウム、マグネシウム及びアルミニウム等の不純物成分が多く存在し、このため、スクラビングの手間とコストがかかるという課題のほか、さらにスクラビングに伴って発生した排液の処理といった課題もある。また、スカンジウムはpHの影響を大きく受けるため、スカンジウムを抽出するに際しては、pHを一定以上に維持しないと実用的な抽出率が得られない。しかも、スカンジウムの抽出に適したpH領域では、スカンジウムだけでなく、上述の不純物成分の抽出率も高まるため、スカンジウムだけを選択的に分離することは難しい。このように、上記のような不純物を含有する系からスカンジウムを選択的かつ効果的に抽出する効果的な抽出剤を得ることは難しい。
ところで、2種類以上の抽出剤を混合して用いる場合、1種類の抽出剤を単独で用いる場合とは抽出挙動が変わることがある。このことを協同効果(共同効果ともいう)と呼んでいる。例えば特許文献3では、協同効果として、2種類以上の抽出剤を混合して用いることで、1種類の抽出剤を単独で用いる場合に比べて高収率で無電解ニッケル廃液からニッケルを回収できることが提案されている。特許文献3に記載の発明によると、1種類の抽出剤を単独で用いる場合はニッケルをほとんど抽出できないにもかかわらず、2種類以上の抽出剤を混合して用いることで、pH調整を行うことなく、1回のバッチ抽出で98〜99%のニッケルを回収できる。
また、特許文献4には、カルボン酸系の抽出剤と、オキシム系の抽出剤とを混合し、コバルト、マンガン、カルシウム及びマグネシウムの混合溶液からコバルト及びマンガンを抽出することが提案されている。
特開2000−234130号公報 特開平9−291320号公報 特開2011−52250号公報 米国特許出願公開第2008−0038168号明細書
しかしながら、特許文献3、特許文献4のいずれにおいても、希土類、特にスカンジウムの抽出挙動に関する報告はなく、ニッケル酸化鉱を酸浸出した溶液や希土類元素を含有する溶液からスカンジウムだけを選択的に抽出して分離できる溶媒は見られなかった。
さらに、上述する従来の溶媒抽出法では、スカンジウムを、マンガン、カルシウム、アルミニウム及びマグネシウムの混合溶液からスカンジウムを抽出する際は、pHが4〜5程度の比較的高い領域で無ければ、実用上充分な抽出は得られず、浸出直後のように酸濃度が高い、つまりpHが低い溶液から直接スカンジウムを抽出することは困難だった。
上記の点は、鉱石等に酸を加え、スカンジウムやニッケル酸化鉱石を酸浸出して得た溶液等、鉄イオンを含有する場合、上記のように4〜5程度までpHが上げると、中和剤に要することとがかさんだり、鉄水酸化物の生成が促進され、スカンジウムや他の有価な元素と共沈してロスとなったり、この溶液をイオン交換や溶媒抽出に付してスカンジウムを分離しようとしても抽出処理中にクラッドと呼ばれる介在物を生成して操業を困難にする問題があり、実操業への適用が難しくなる原因となっていた。
本発明は、低いpH領域であっても希土類を選択的に抽出できる希土類抽出剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ジケトンと中性抽出剤との混合物を用いることで上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)本発明は、ジケトンと中性抽出剤とを含有する希土類抽出剤である。
(2)また、本発明は、前記ジケトンが2−テノイルトリフルオロアセトンである、(1)に記載の希土類抽出剤である。
(3)また、本発明は、前記中性抽出剤がフォスフィンオキシド基を有する化合物である、(1)又は(2)に記載の希土類抽出剤である。
(4)また、本発明は、前記フォスフィンオキシド基を有する化合物がトリオクチルフォスフィンオキシドである、(3)に記載の希土類抽出剤である。
(5)また、本発明は、希土類を含有する酸性溶液を、(1)から(4)のいずれか記載の希土類抽出剤による溶媒抽出に付し、前記酸性溶液から前記希土類を抽出する希土類抽出方法である。
(6)また、本発明は、前記酸性溶液のpHを0.2以上2.6以下の範囲に調整した後に前記酸性溶液を前記溶媒抽出に付す、(5)に記載の希土類抽出方法である。
(7)また、本発明は、前記酸性溶液が、ニッケル酸化鉱石に酸を添加してスカンジウムを浸出した溶液、又はスカンジウム酸化物若しくはスカンジウム水酸化物を酸で溶解して得た溶液であり、前記酸性溶液のpHを0.2以上1.0以下の範囲に調整した後に前記酸性溶液を前記溶媒抽出に付す、(5)又は(6)に記載の希土類抽出方法である。
本発明によると、低いpH領域であっても希土類を選択的に抽出できる。そして、本発明によると、希土類を選択的に抽出する際、中和剤の使用量を減らすことができ、抽出処理中にクラッドと呼ばれる介在物が生成することを防止できるため、工業的にも優れる。
実施例に係る希土類抽出剤を用いたときのpHと希土類元素の抽出率との関係を示す図である。 比較例に係る希土類抽出剤を用いたときのpHと希土類元素の抽出率との関係を示す図である。 pHとスカンジウムの抽出率との関係を示す図である。 実施例に係る希土類抽出剤を用いたときのpHとニッケル酸化鉱石に含まれる各種元素の抽出率との関係を示す図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<希土類抽出剤>
本発明に係る希土類抽出剤は、ジケトンと中性抽出剤とを含有する。
ジケトンの構造は特に限定されるものでないが、溶媒抽出で用いる場合、親油性であることが好ましい。好ましいジケトンとして、2−テノイルトリフルオロアセトンが挙げられる。また、市販品として、LIX51、LIX54(いずれも商品名,Cognis社(現BASF社)製)等が挙げられる。これらのジケトンは単独で用いても良いし、2種類以上を混合したものであっても良い。
中性抽出剤はフォスフィンオキシドの構造を持つものであれば形態は問わないが、市販品としてはトリオクチルフォスフィンオキシドを主成分とするCyanex923(サイテック社製)等が知られている。
ジケトンと中性抽出剤とのモル比は、20:80〜80:20であればよいが、工業生産としての実用性が高まる点で40:60〜60:40であることが好ましい。また、対象とする希土類をより選択的に抽出できる点で、ほぼ50:50(45:55〜55:45程度)であることがより好ましい。
また、通常、抽出剤は粘度が高く、そのまま溶媒抽出に使用した場合、水相との相分離性が悪くなる等操業面への悪影響がある。粘度を下げるため、抽出剤を希釈剤で希釈することが一般的に行われる。希釈剤は、抽出剤と、希土類の錯体とを溶解できるものであればどのようなものであってもよく、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等の塩素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。希釈剤は、単独でも複数混合しても良く、1−オクタノールのようなアルコール類を混合しても良い。
<希土類抽出方法>
上記の希土類抽出剤を用いて希土類を抽出するには、希土類イオンを含む酸性水溶液を調整し、この酸性水溶液と上記希土類抽出剤とを混合して撹拌する。その後、混合溶液の水相と有機相とを分液漏斗で分離することで、有機相に希土類イオンを選択的に抽出することができる。
撹拌は、希土類抽出剤と酸性水溶液とを混合したときに有機相と水相とが分離しない程度に充分な回転数で行えばよい。酸性水溶液から希土類を高収率で抽出できるようにするため、撹拌時間は、20分以上であることが好ましい。その際、水溶液中のpHが低下するため、適宜、アルカリ水溶液を添加して所定のpHに維持する。
実施例に係る希土類抽出剤を用いて、種々の希土類元素を高収率で回収しようとする場合、酸性溶液のpHを0.2以上2.6以下にすることが好ましく、1.3以上2.6以下にすることがより好ましく、1.8以上2.6以下にすることが特に好ましい。このようにすることで、希土類元素のみならず、他の金属元素を含む酸性溶液から希土類元素だけを高純度かつ高収率で回収できる。
さらに、種々の希土類元素からスカンジウムだけを高収率かつ高純度で回収しようとする場合、酸性溶液のpHを0.2以上1.0以下にすることが好ましく、0.5以上0.8以下にすることがより好ましい。
なお、ニッケル酸化鉱を加圧硫酸浸出して得たニッケル、マンガン、アルミニウム、マグネシウムを含有する酸性溶液から、スカンジウムを回収するには、スカンジウムの実用的な抽出効率を考えると、酸性溶液のpHを0.2以上1.0以下にすることが好ましく、pHを0.5以上0.8以下にすることがより好ましい。
また、上記の酸性溶液に2価の鉄イオンが含まれている場合は、酸性溶液のpHを0.2以上0.6以下にすることが好ましく、pHを0.2以上0.4以下にすることがより好ましい。あるいはスカンジウムと共抽出し、逆抽出後にキレート樹脂等公知の方法で2価の鉄とスカンジウムを分離する方法を用いても良い。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<希土類抽出剤の調製>
Figure 0005684885
ジケトン及び中性抽出剤のモル濃度がいずれも0.5mol/lとなるように各々の抽出剤をトルエンに溶解させることで、実施例に係る希土類抽出剤を得た。また、ジケトンのモル濃度が1.0mol/lとなるようにジケトンをトルエンに溶解させることで、比較例に係る希土類抽出剤を得た。
<至適pHの検討>
[実施例]
スカンジウム(Sc)、ネオジム(Nd)、ユーロピウム(Eu)、ディスプロシウム(Dy)、イットリウム(Y)、ランタン(La)をそれぞれ30mg/l含み、pHを0.1から2.6の範囲内で一定の値に調整した13種類の硫酸水溶液20mlを、13種類の硫酸水溶液のそれぞれについて実施例に係る希土類抽出剤20mlと混合し、回転数650rpmで20分間撹拌した。このとき、硫酸水溶液中のpHを混合前と同じ値に維持するため、1mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を適宜添加した。その後、混合溶液の水相と有機相とを分液漏斗で分離し、抽出残液(水相)に対して、誘導プラズマ発光分光分析装置(ICP−AES)を用いた元素分析を行うことによって、各種希土類の水相から有機相への抽出率を求めた。pHと希土類の抽出率との関係を表2及び図1に示す。
[比較例]
硫酸水溶液のpHを1.5から4.5の範囲内で一定の値に調整したこと、及び希土類抽出剤として比較例に係る希土類抽出剤を用いたこと以外は、実施例と同じ手法にて各種希土類の水相から有機相への抽出率を求めた。pHと希土類の抽出率との関係を表2及び図2に示す。
実施例と比較例とを対比し易くするため、pHとスカンジウムの抽出率との関係を抜き出したものを図3に示す。
Figure 0005684885
実施例に係る希土類抽出剤を用いる場合、酸性溶液のpHを0.5以上2.6以下、好ましくは1.8以上2.6以下の範囲に調整した後に溶媒抽出に付すと、各種金属元素を含む酸性溶液から希土類元素だけを高収率で回収できる。
そして、特徴的なのは、実施例に係る希土類抽出剤を用いる場合、酸性溶液のpHが0に近い状態でも30%程度のスカンジウムが抽出され、pHが0.8では90%以上、pHが1.3程度でほぼ完全にスカンジウムが抽出される。一方、pHが0.8未満では、スカンジウム以外の希土類元素はほとんど抽出されない。したがって、実施例に係る希土類抽出剤を用いる場合、酸性溶液のpHを0.3以上1.0以下、好ましくは0.5以上0.8以下の範囲に調整した後に溶媒抽出に付すと、各種金属元素を含有する酸性溶液からスカンジウムだけを高純度で回収できる。
上述したように、ニッケル酸化鉱石を酸浸出して得た溶液等、鉄イオンを多く含有する場合、pHが2.6〜3.0を超えると鉄水酸化物の生成が促進されやすくなり、希土類元素と共沈したり、抽出中にクラッドと呼ばれる介在物を生成して操業を困難にする問題が生じやすくなる。しかし、実施例に係る希土類抽出剤は、鉄水酸化物が生成しない低いpH領域でも希土類元素を充分に抽出できるため、安定した操業が可能となる。
一方、比較例に係る希土類抽出剤を用いる場合、pHを4.5にしても、スカンジウム以外の希土類元素を充分に回収できるとはいえず、スカンジウムに限っても、充分な収率を確保するには、pHを2.6以上にする必要がある。そのため、比較例に係る希土類抽出剤では、鉄水酸化物が生成しない低いpH領域では希土類元素を充分に抽出できないため、実施例に係る希土類抽出剤に比べ、工業的な利用性が劣る。
<ニッケル酸化鉱石の酸性溶液からのスカンジウムの抽出>
[実施例]
Figure 0005684885
実際のニッケル酸化鉱石を公知の方法で加圧硫酸浸出し、硫化反応によってニッケルやコバルトを分離した後のマンガン、アルミニウム、マグネシウム、2価の鉄イオン等の不純物と微量残留したニッケルを含有する酸性溶液を用意し、これにニッケルも加えて表3の組成の硫酸水溶液を調製した。この溶液を、pHが−0.1から0.9の範囲内で一定の値に調整した5種類の硫酸水溶液20mlを用意し、この5種類の硫酸水溶液のそれぞれについて、至適pHを検討したときと同じ処理を行って、各種不純物の水相から有機相への抽出率を求めた。pHとニッケル酸化鉱石に含まれる各種元素の抽出率との関係を表4及び図4に示す。
Figure 0005684885
ニッケル酸化鉱石に含有される、マンガン、アルミニウム、マグネシウム等の不純物とニッケルを含む酸性溶液に対して実施例に係る希土類抽出剤を用いた場合、pHが−0.1の強酸性領域であってもスカンジウムを抽出し、上記の不純物と分離できた。
また、酸性溶液のpHを0.2以上1.0以下にして実施例に係る希土類抽出剤を用いた場合、上記の不純物は実質的に抽出されない一方で、スカンジウムの抽出率は0.6(60%)に達するなど実用面でも好ましくなり、pHを0.5以上0.8以下では一層スカンジウムの抽出率が向上してより好ましい結果が得られた。
さらに、上記の酸性溶液に2価の鉄イオンが含まれている場合は、酸性溶液のpHを0.2以上0.6以下にすることが好ましく、pHを0.2以上0.4以下にすることがより好ましいことが確認された。

Claims (4)

  1. ニッケル酸化鉱石に酸を添加してスカンジウムを浸出した溶液、又はスカンジウム酸化物若しくはスカンジウム水酸化物を酸で溶解して得た溶液から選択される酸性溶液のpHを0.2以上1.0以下の範囲に調整した後に、前記酸性溶液を、ジケトンと中性抽出剤とを含有するスカンジウム抽出剤による溶媒抽出に付し、前記酸性溶液からスカンジウムを抽出するスカンジウム抽出方法。
  2. 前記ジケトンは2−テノイルトリフルオロアセトンである、請求項1に記載のスカンジウム抽出方法
  3. 前記中性抽出剤はフォスフィンオキシド基を有する化合物である、請求項1又は2に記載のスカンジウム抽出方法
  4. 前記フォスフィンオキシド基を有する化合物はトリオクチルフォスフィンオキシドである、請求項3に記載のスカンジウム抽出方法
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