JP5683935B2 - 鋼材の接合構造 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼材の接合構造に関する。
鋼材の端部同士を接合する構造では、接合される二つの鋼材の端部の両側から添板を挟み、端部と添板とをボルトによって締結する接合構造が知られている。このようなボルト締結による鋼材の接合構造では、ボルトを締め付けることにより一方の鋼材に作用する力は、添板を介して摩擦力により他方の鋼材に伝達される。このため、鋼材の端部と添板との間の摩擦力が小さいと滑りを生じ、剛構造を維持できなくなる。
よって、鋼材の端部と添板との間に金属溶射層を設けることで摩擦力を大きくした鋼材の接合構造が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
特開平6−272323号公報 特開2001−323360号公報
しかし、鋼材の端部と添板との間に金属溶射層を設けて摩擦力を大きくすることには限界がある。よって、鋼材の端部と添板との間の摩擦力を更に大きくすることが望まれている。
よって、本発明は、上記を考慮し、鋼材の端部と添板との間の摩擦力を大きくすることが課題である。
請求項1の発明は、複数の鋼材の端部の両側から添板で挟みボルトで締結することで、一方の鋼材と他方の鋼材とを接合する鋼材の接合構造であって、前記鋼材の前記端部と前記添板との間に設けられ、前記鋼材及び前記添板よりも硬度が小さい第一の材料で構成され、前記鋼材の複数の突起及び前記添板の複数の突起が貫入した中間層と、前記中間層に混入され、前記中間層を構成する前記第一の材料よりも強度が大きい第二の材料で構成された粒子及び繊維の少なくとも一方と、を備える。
請求項1の発明では、一方の鋼材に作用する力は添板を介して摩擦力により他方の鋼材に伝達される。そして、中間層を構成する第一の材料よりも強度が大きい第二の材料で構成された粒子及び繊維の少なくとも一方が、中間層に混入することで、中間層のせん断強度が大きくなる。
したがって、第二の材料で構成された粒子又は繊維が中間層に混入されていない構成と比較し、鋼材の端部と添板との間の摩擦力が大きくなり、その結果、接合強度が大きくなる。
請求項2の発明は、前記中間層は、前記鋼材及び前記添板の少なくとも一方に金属溶射によって形成された前記粒子及び前記繊維の少なくとも一方が混入した金属溶射層で構成されている。
請求項2の発明は、鋼材の端部と添板との間に、粒子及び繊維の少なくとも一方が混入した中間層(金属溶射層)を容易に設けられる。
なお、鋼材及び添板のいずれか一方に金属溶射層(中間層)を形成する構成の場合、金属溶射層(中間層)は鋼材及び添板よりも硬度が小さい第一の材料で構成されているので、金属溶射層(中間層)が形成されていない鋼材及び添板のいずれか他方の接合面の突起は、金属溶射層(中間層)に深く貫入する。よって、鋼材の突起及び添板の突起のせん断強度が大きくなる。
したがって、「鋼材及び添板の突起のせん断強度」と「金属層のせん断強度」との両方が向上する。よって、鋼材の端部と添板との間の摩擦力が大きくなり、その結果、接合強度が大きくなる。
請求項3の発明は、前記中間層は、前記鋼材と前記添板との間に挟まれた前記粒子及び前記繊維の少なくとも一方が混入した金属板で構成されている。
請求項3の発明では、粒子及び繊維の少なくとも一方が混入した金属板を、鋼材の端部と添板との間に挟むことで容易に中間層が設けられる。
なお、金属板(中間層)は鋼材及び添板よりも硬度が小さい第一の材料で構成されているので、鋼材の接合面及び添板の接合面の突起は、金属板(中間層)に深く貫入する。よって、鋼材の突起及び添板の突起のせん断強度が大きくなる。
したがって、「鋼材及び添板の突起のせん断強度」と「金属層のせん断強度」との両方が向上する。よって、鋼材の端部と添板との間の摩擦力が大きくなり、その結果、接合強度が大きくなる。
本発明によれば、第一の材料よりも強度が大きい第二の材料で構成された粒子又は繊維が中間層に混入していない構成と比較し、鋼材の端部と添板との間の摩擦力を大きくすることができる。
本発明の一実施形態に係る鋼材の接合構造が適用されて接合された鉄骨梁の端部同士の接合部位を示す斜視図である 本発明の一実施形態に係る鋼材の接合構造が適用されて接合された鉄骨梁の端部のフランジ同士の接合部位を示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係る鋼材の接合構造が適用されて接合された鉄骨梁の端部のフランジ同士の接合部位を示す縦断面図である。 (A)は本発明の一実施形態に係る鋼材の接合構造が適用されて接合された鉄骨梁の端部のフランジ同士の接合部位を示す縦断面図であり、(B)は(A)のB部の拡大図である。 (A)は図4(B)を模式的に示す模式図であり、(B)は繊維が混入した金属層を示す模式図である。 アルミナ粒子が混入したアルミニウム板を製造する方法を示す説明図である。 (A)は本発明が適用されていない接合構造の第一の比較例を示す図5に対応する模式図であり、(B)は突起がせん断破壊された状態の模式図である。 (A)は本発明が適用されていない接合構造の第二の比較例を示す図5に対応する模式図であり、(B)は金属溶射層がせん断破壊された状態の模式図である。
図1〜図6を用いて、本発明の一実施形態に係る鋼材の接合構造が適用された鉄骨梁の端部同士の接合について説明する。なお、各図において、鉄骨梁の長手方向をX方向として、鉛直方向をZ方向とする。また、X方向とZ方向と直交する方向をY方向とする。
<鉄骨梁の端部同士の接合部位の全体構造>
まず、本発明に係る鋼材の接合構造によって接合された鉄骨梁同士が接合された接合部位の全体構造について説明する。
図1に示すように、鋼材の一例としての鉄骨梁10の端部10Tと、鋼材の一例としての鉄骨梁20の端部20Tとが、添板100A,100B及び添板100Cを介して接合されている。なお、以降、添板100A,100B、100Cを区別する必要がない場合は、A,B、Cを省略し、添板100と記す場合がある。
本施形態では、鉄骨梁10は、フランジ12、14とウエブ16とで構成されたH形鋼とされている。同様に鉄骨梁20は、フランジ22、24とウエブ26とで構成されたH形鋼とされている。なお、本実施形態においては、鉄骨梁10と鉄骨梁20とは同じ構造である。
鉄骨梁10のフランジ12、14及びウエブ16の夫々の両側面に添板100A,100B、100Cが配設され、鉄骨梁20のフランジ22、24及びウエブ26の夫々の両側面に添板100A,100B、100Cが配設されている。つまり、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tを跨って添板100A,100B及び二枚の添板100Cが配設されている。
そして、添板100A,100B間と二枚の添板100C間とを、夫々ボルト80及びナット82で締め付けることで、鉄骨梁10の端部10Tと鉄骨梁20の端部20Tとが接合されている。なお、本実施形態では、ボルト80及びナット82と添板100との間にはワッシャー83が挟まれて締結されている(図2と図3も参照)。
また、本実施形態においては、高力ボルトあるいは溶融亜鉛めっきしたボルト80とされると共に、高力ボルト接合(高力ボルト摩擦接合)とされている。
本実施形態においては、添板100A,100B及び二枚の添板100Cによって挟まれてボルト締結された部位は、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tにおけるフランジ12、22の接合部位、フランジ14、24の接合部位、及びウエブ16、26の接合部位の3つの接合部位がある。しかし、三つの接合部位は、いずれも略同様の構造であるので、以降の説明では、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tにおけるフランジ12、22の接合部位を代表して説明する。
<鉄骨梁の端部同士の接合構造>
つぎに、本発明の鋼材の接合構造によって接合された鉄骨梁10、20の端部10T,20T同士(フランジ12、22の接合部位)の接合構造について説明する
図2及び図3に示すように、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tのフランジ12、14には、ボルト80が挿入されるボルト孔13、23が形成されている。また、添板100A,100Bにも、ボルト80が挿入されるボルト孔102A,102Bが形成されている。
また、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tのフランジ12、14における添板100A,100Bで接合される領域を接合面12S,22Sとする。なお、他の部位における接合面も符号の後に適宜Sをつけて説明する。
鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合面12S,22Sと、添板100と、の間には、中間層の一例としての金属溶射層200が設けられている(図4も参照)。
鉄骨梁20の端部20Tのフランジ22の接合面22Sの突起22Pと、添板100Bの表面の突起100Pと、が金属溶射層200の中に埋設又は貫入されている。また、以降、他の部位の突起も符号の後に適宜Pをつける。本実施形態では、金属溶射層200を構成する材料(主成分)はアルミニウムとされている。更に、図4(B)に示すように、金属溶射層200の中にはアルミナ粒子210が混入されている(図5(A)も参照)。
なお、図4(B)は、図4(A)のB部を拡大した図である。つまり、鉄骨梁20の端部20Tのフランジ22の接合面22Sと、下側の添板100Bと、の接合部位の拡大図である。しかし、他の接合部位、例えば、鉄骨梁20の端部20Tのフランジ22との添板100Aとの接合部位や、鉄骨梁10の端部10Tのフランジ12との添板100Aとの接合部位(図3参照)も同様であるので、説明を省略する。
ここで、本実施形態においては、鉄骨梁10、20を構成する金属材料は炭素鋼とされ、添板100を構成する金属材料も炭素鋼とされている。そして、前述したように金属溶射層200は、アルミニウムを主成分とするアルミニウム溶射層とされ、この中にアルミナ粒子210が混入されている。
本実施形態における鉄骨梁10、20及び添板100を構成する炭素鋼の硬度よりも、金属溶射層(アルミニウム溶射層)200の主成分であるアルミニウムの硬度の方が小さい。また、金属溶射層(アルミニウム溶射層)200に混入されているアルミナ粒子210は、アルミニウムよりも強度が大きい。なお、硬度及び強度についての詳細は後述する。
<施工工程>
つぎに、本実施形態の施工工程について説明する。
接合前の鉄骨梁10、20の端部10T、20Tの接合面10S,20Sと、添板100の表面と、に赤錆やブラスト処理を施す。これにより、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合面10S,20Sと、添板100と表面と、が粗化される。そして、粗化されることにより突起10P,20P、100Pが形成される。なお、粗化されることによって形成された凹凸の凸が、突起10P,20P、100Pである。
つぎに、赤錆やブラスト処理によって粗化されて突起100Pが形成された添板100に、アルミニウムによる金属溶射層(アルミニウム溶射層)200を形成する。なお、このときアルミナ粒子210を混入させながら金属溶射を行なうことで、アルミナ粒子210が混入した金属溶射層(アルミニウム溶射層)200が形成される(図2を参照)。また、添板100の突起100Pが金属溶射層200に埋設された状態となる(図4(B)を参照)。
鉄骨梁10のフランジ12、14及びウエブ16の夫々の両側面と、鉄骨梁20のフランジ22、24及びウエブ26の夫々の両側面と、に跨るように添板100A,100Bを配設する。鉄骨梁10、20のフランジ12、14のボルト孔13、23及び添板100A,100Bのボルト孔102A,102Bにボルト80を挿入する。そして、二枚の添板100A,100B間をボルト80及びナット82で締め付け、鉄骨梁10の端部10Tと鉄骨梁20の端部20Tとを接合する(図1、図2、図3を参照)。
このように二枚の添板100A,100B間をボルト80及びナット82を締め込むことによって、添板100に形成された金属溶射層200に、鉄骨梁10、20の接合面10S,20Sに形成された突起10P,20Pが貫入する(図4(B)及び図5(A)を参照)。
<作用及び効果>
つぎに、本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態では、ボルト80及びナット82を締め付けることにより、一方の鉄骨梁10に作用する力が、添板100を介して摩擦力により他方の鉄骨梁20に伝達される。なお、同様に他方の鉄骨梁20に作用する力が、添板100を介して摩擦力により一方の鉄骨梁10に伝達される。
よって、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合強度を大きくするためには、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合面10S,20Sと添板100との間の摩擦力を大きくすることが必要とされる。
ここで、本実施形態が適用されていない、つまり金属溶射層に、金属溶射層を構成する金属材料よりも強度が大きい粒子が混入されていない接合構造を比較例として考える。なお、以降の説明に用いる図7及び図8では、図5(A)に対応して鉄骨梁20のフランジ22の突起20Pが代表して図示されている。
図7(A)に示すように、金属溶射層800を構成する金属材料の強度を大きくすると金属溶射層800のせん断強度が大きくなる、
しかし、金属溶射層800を構成する金属材料の強度を大きくすると金属溶射層800の硬度が大きくなり、鉄骨梁10、20の接合面10S、20Sに形成された突起10P、20Pが深く貫入されない。よって、図7(B)に示すように、突起10P、20Pがせん断破壊されやすい。つまり、突起10P、20Pのせん断強度が小さくなる。
一方、図8(A)に示すように、金属溶射層850を構成する金属材料の硬度を小さくすると、鉄骨梁10、20の接合面10S,20Sに形成された突起10P,20Pが深く貫入されるので、突起10P,20Pがせん断破壊されにくくなる。つまり、図7の状態よりも、鉄骨梁10、20の突起10P,20Pのせん断強度が大きくなる。
しかし、金属溶射層850を構成する金属材料の硬度を小さくすると、金属溶射層850のせん断強度が小さくなる。つまり、図8(B)に示すように、金属溶射層850は図7に示す金属溶射層800よりも面K1でせん断破壊されやすい。
このように、「鉄骨梁の突起のせん断強度を大きくすること」と「金属溶射層のせん断強度を大きくすること」とは、トレードオフの関係にあり、「鉄骨梁の突起のせん断強度」と「金属溶射層のせん断強度」の両方を同時に向上さることは困難とされている。よって、本発明が適用されていない接合構造(比較例)では、鉄骨梁の端部と添板との間に金属溶射層を設けて摩擦力を大きくし、接合強度を大きくすることには限界があると考えられる。
しかし、本実施形態の接合構造では、図4(B),図5(A)に示すように、前述したように金属溶射層200は、硬度が小さいアルミニウムで構成されているので、炭素鋼で構成された鉄骨梁10、20の接合面10S,20Sの突起10P,20Pが深く貫入される。
更に、金属溶射層200には、アルミニウムよりも強度が大きいアルミナ粒子210が混入されている。よって、アルミナ粒子210が、面K1に跨るように配設されることで、面K1でせん断破壊されにくくなる。或いは、せん断破壊されたとしても、面K2のようにアルミナ粒子210を避けるように凹凸のある破断面となるので、せん断変形時の軸力低下が抑制される。つまり、アルミニウムよりも強度が大きいアルミナ粒子210を金属溶射層200に混入することで、金属溶射層200のせん断強度が向上する。
したがって、本発明が適用されていない比較例の金属溶射層800、850の場合は、トレードオフの関係にあった「鉄骨梁及び添板の突起のせん断強度」と「金属溶射層のせん断強度」との両方が、本発明を適用することで同時に向上する。よって、本発明が適用されていない接合構造と比較し、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tと添板100との間の摩擦力が大きくなり、その結果、接合強度が大きくなる。また、摩擦力(接合強度)が大きくなるので、ボルト80の本数の削減や接合面10S,20Sの面積を小さくすることもできる。
ここで、材料の硬度(硬さ)を示す指標は種々あるが、本実施形態ではロックウエル硬度(硬さ)を用いている。しかし、ロックウエル硬度(硬さ)以外の指標を用いて比較してもよい。
なお、硬度(硬さ)を表す指標は、ロックウエル硬さ試験(JIS Z2245)、ブリネル硬さ試験(JIS Z2243)、ビッカース硬さ試験(JIS Z2244)、ショア硬さ試験(JIS Z2246)等により計測できる。これら各試験は、被試験材料に超硬な圧子を押し付けてできるくぼみの大きさの計測(ブリネル、ビッカース、ロックウェル)や、ハンマを落下させてその跳ね上がり高さの計測(ショア)であり、いずれも材料の塑性変形量を間接的に計測することになる。
そして、塑性変形量と硬度には負の相関関係がある。また、一定の応力下では、材料の強度(引張強度または降伏強度)が高いほど塑性変形量は小さくなるので、塑性変形量と強度とには負の相関関係がある。
したがって、硬度と強度は正の相関関係がある。つまり、硬度が小さければ強度は小さくなる傾向にあり、硬度が大きければ強度は大きくなる傾向にある。
なお、一例として、SAE(米国自動車技術者協会)規格における硬度と強度の換算表(SAE J417)があり、これにより、夫々の指標の硬度を強度に換算することができる。
このように、せん断強度を上げるため金属溶射層を構成する金属材料の強度を大きくすると金属溶射層の硬度が大きくなって突起が貫入しにくくなり、突起を貫入し易くるため金属溶射層を構成する金属材料の硬度を小さくすると金属溶射層のせん断強度が小さくなる。
しかし、上述したように、金属溶射層200は硬度が小さいアルミニウムで構成されていても、アルミニウムよりも強度が大きいアルミナ粒子210が混入されているので、金属溶射層200のせん断強度が大きくなる。
ここで、金属溶射層200(アルミニウム溶射層)は、鉄骨梁10、20の端部10T,20T及び添板100よりも硬度が小さく剛性が低い低剛性層となる。このように、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tと添板100との間に低剛性層である金属溶射層200(アルミニウム溶射層)を形成することで、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tと添板100との間の面圧が低下すると共に、面圧が生じる領域が広くなる。これにより、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tと添板100との間との摩擦抵抗が増大し、すべり耐力が増大する。よって、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tと添板100との接合強度が向上する。
なお、金属溶射層200(アルミニウム溶射層)等の低剛性層を添板100とボルト80の頭部及びナット82(又はワッシャ83)との間に設けても、面圧が生じる領域が広くなり、すべり耐力が増大し、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tと添板100との接合強度が向上する。
<金属溶射層のバリエーション>
つぎに、金属溶射層の他の例について説明する。
本実施形態では、添板100側に金属溶射層200を形成したが、鉄骨梁10、20側に金属溶射層200を形成してもよい。
また、添板100と鉄骨梁10、20との両方に金属溶射層200を形成してもよい。なお、この場合、金属溶射層200の表面同士を合わせる構成となる。そして、添板100の突起100Pと鉄骨梁10、20の突起10P,20Pの両方共が金属溶射層200に予め埋設した状態となる。つまり、ボルト80を締め付けによって突起10P,20P,100Pが貫入される構成ではない。
よって、つぎに、このように添板100と鉄骨梁10、20との両方に金属溶射層を形成し、金属溶射層の表面同士を合わせる構成の場合における金属溶射層の強度(硬度)について説明する。
前述したように、添板100と鉄骨梁10、20との両方に金属溶射層を形成すると、金属溶射層の硬度(強度)に関係なく、添板100の突起100Pと鉄骨梁10、20の突起10P,20Pの両方ともが深く金属溶射層に埋設した状態となる。
しかし、金属溶射層のせん断強度を大きくするため、突起10P、20P,100P(添板100及び鉄骨梁10、20)よりも硬度(強度)の大きい硬い金属材料で金属溶射層を構成すると、金属溶射層の表面の凹凸の形状が摩擦力に大きく影響し、この摩擦力が支配的となる(厳密には表面粗さが関わる)。よって、金属溶射層を形成することによる摩擦力の向上に殆ど繋がらないと考えられる。
これに対して、突起10P、20P,100P(添板100及び鉄骨梁10、20)よりも硬度(強度)の小さい軟らかい金属材料で金属溶射層200を構成すると、金属溶射層200の表面の凹凸を無視することができる。よって、金属溶射層200を形成することによる摩擦力の向上に繋がる。
つまり、添板100と鉄骨梁10、20との両方に金属溶射層200もおいても、突起10P、20P,100P(添板100及び鉄骨梁10、20)よりも硬度(強度)の小さい軟らかい金属材料で金属溶射層200を構成し、且つ、金属溶射層200の中に強度の大きいアルミナ粒子210を混入させることで、摩擦力を大きくすることができる。
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態では、添板100及び鉄骨梁10、20のいずれか一方又は両方にアルミナ粒子210が混入した金属溶射層200を形成することで、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合面12S,22Sと、添板100と、の間に、金属溶射層200を設けたが、これに限定されない。
例えば、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合面12S,22Sと、添板100と、の間に、アルミナ粒子210が混入したアルミニウム板300(図6(B)を参照)を挟みボルト締結する構成であってよい。
なお、アルミナ粒子210が混入したアルミニウム板300の製造方法はどのような方法であってもよい。例えば、図6(A)に示すように、二枚のアルミニウム板302、304の間にアルミナ粒子210を挟んだ状態で、図6(B)に示すようにローラ対350で圧延して、アルミニウム板300を製造することができる。
また、金属溶射やアルミニウム板を挟む構成以外の方法で、鉄骨梁10、20の端部10T,20Tの接合面12S,22Sと、添板100と、の間に、アルミナ粒子210が混入した金属層(中間層)を設けてもよい。
また、上記実施施形態では、鉄骨梁10、20及び添板100は炭素鋼で構成され、金属層(中間層)はアルミニウムを主成分とされ、金属層(中間層)に混入されている粒子はアルミナ粒子210とされていたが、これに限定されない。
例えば、鋼材(鉄骨梁10、20)は炭素鋼以外の金属材料で構成されていてもよい。同様に添板100も炭素鋼以外の金属材料で構成されていてもよい。
また、金属層(中間層)はアルミニウム以外の金属材料で構成されていてもよい。更に、金属以外の材料で中間層が構成されていてもよい。例えば、セラミック溶射によるセラミック溶射層であってもよい。
また、中間層には、アルミナ粒子以外の金属粒子を混入してもよい。或いは、金属材料以外の粒子、例えば、セラミック粒子を混入してもよい。また、粒子でなく、図5(B)に示すように繊維212を混入させてもよい。繊維212は、金属繊維、カーボン繊維、ナノチューブ等を用いることができる。また、粒子と繊維の両方を金属層(中間層)に混入してもよい。
要は、鋼材及び添板よりも硬度が小さい第一の材料で構成された中間層を鋼材と添板との間に設けると共に、この中間層に第一の材料よりも強度が大きい第二の材料で構成された粒子及び繊維の少なくとも一方を混入した構成であればよい。
別の観点から説明すると、鋼材及び添板よりも硬度が小さい(軟らかい)第一の材料で構成された中間層を鋼材と添板との間に設けると共に、この中間層のせん断強度を大きくさせる第二の材料で構成された粒子及び繊維の少なくとも一方を中間層に混入した構成でとされている。或いは、中間層を構成する第一の材料よりも硬度が大きい(硬い)第二の材料で構成された粒子及び繊維の少なくとも一方を中間層に混入した構成とされている。
なお、中間層を構成する第一の材料の種類及び中間層に混入させる第二の材料の種類、また、第二の材料の大きさや混入させる量(混入比)等は、接合する鋼材や添板の材質、接合面の面積、突起の大きさや形状等、及び必要とされる接合強度等、に応じて適宜設定すればよい。
また、上記実施形態では、鉄骨梁の端部同士の接合部位に本発明の接合構造を適用したが、これに限定されない。
例えば、H形鋼以外の形鋼(例えば、溝形鋼や鋼管等)や他の鋼材の接合部位に本発明の接合構造を適用してもよい。また、梁以外の接合部位にも本発明を適用することができる。例えば、鉄骨柱の外周に上下2枚のダイアフラムを溶接し、このダイアフラムに鉄骨梁端部を接合する外ダイアフラム構造にも本発明を適用することができる。
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得ることは言うまでもない。
10 鉄骨梁(鋼材)
10T 端部
20 鉄骨梁(鋼材)
20T 端部
80 ボルト
82 ナット
100A 添板
100B 添板
200 金属溶射層(中間層)
210 アルミナ粒子(粒子)
212 繊維
300 アルミニウム板(中間層、金属板)

Claims (3)

  1. 複数の鋼材の端部の両側から添板で挟みボルトで締結することで、一方の鋼材と他方の鋼材とを接合する鋼材の接合構造であって、
    前記鋼材の前記端部と前記添板との間に設けられ、前記鋼材及び前記添板よりも硬度が小さい第一の材料で構成され、前記鋼材の複数の突起及び前記添板の複数の突起が貫入した中間層と、
    前記中間層に混入され、前記中間層を構成する前記第一の材料よりも強度が大きい第二の材料で構成された粒子及び繊維の少なくとも一方と、
    を備える鋼材の接合構造。
  2. 前記中間層は、前記鋼材及び前記添板の少なくとも一方に金属溶射によって形成された前記粒子及び前記繊維の少なくとも一方が混入した金属溶射層で構成されている請求項1に記載の鋼材の接合構造。
  3. 前記中間層は、前記鋼材と前記添板との間に挟まれた前記粒子及び前記繊維の少なくとも一方が混入した金属板で構成されている請求項1又は請求項2に記載の鋼材の接合構造。
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