JP5681311B1 - 装身具の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】石材片と異素材とを結合した装身具の製造方法に関して、高級感や十分な光沢が得られる製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、石材と固形の異素材とを用いた装身具の製造方法であって、石材から石材片を得る工程と、石材片において、固形の異素材片を埋め込む箇所を切削する工程と、石材片と異素材片とを切削箇所で接着する工程と、石材片と異素材片とが接着された状態で、余計な部分を切除して全体の形状を整え、石材片と異素材片の表面を同時に研磨する工程とを備えることを特徴とする。異素材片は、ガラス片又は貝殻片であるとよい。【選択図】図1
Description
本発明は、ペンダントやキーホルダー、ブローチ、イヤリング、指輪、バッジ、ネクタイ止め、ネクタイピン、ネックレス、ブレスレット、ブローチ、メダル、ボタンなどの装身具、特に、石材を利用した装身具の製造方法に関する。
古来より、貝殻を研磨すると非常に美しい光沢が得られることが知られており、螺鈿と呼ばれる装飾技法として、利用されてきた。そして、従来、本出願人は、貝殻、特に、夜光貝の貝殻の一部を切断し、研磨して、光沢のある装身具を製造してきた。図4は、本出願人が製造した従来の装身具の一例を示す図面代用写真である。図4(a)の装身具では、穴が開いた部分に紐などを通せば、ネックレス等として利用できる。図4(b)の装身具は、指輪台に貝殻片を埋め込んだものである。図4(c)の装身具は、ペンダント台に貝殻片を埋め込んだものである。
貝殻を用いた装身具については、他にも種々提案されているが、貝殻と貝殻以外の異素材とを組み合わせた装身具に対するニーズがある。たとえば、特許文献1には、スライスした貝殻片に、星砂等の内容物を樹脂で封入した装身具の製造方法が開示されている。特許文献1には、スライスした貝殻片の空隙部分に合成樹脂を1/3程度流し込み、その上に星砂等の内容物を投入し、その上からさらに透明な樹脂を封入して、貝殻片の空隙部分に当該内容物を充填して、最後に貝殻片を研磨して、装身具を製造する方法が開示されている。特許文献1に記載の製造方法を用いれば、スライスした貝殻片の空隙部分に、星砂等の内容物が散りばめられた装身具を製造することが可能となる。なお、貝殻片と異素材とが一体感を増すためには、特許文献1に記載のように、樹脂を貝殻片の空隙部分に流し込む方法も一案であるが、樹脂では、高級感が得られなかったり、光沢が十分でなかったりする場合がある。
本願出願人は、貝殻片の他、たとえば、天然の石材を加工して、装身具として利用することができないかと考えたが、特許文献1のような製造方法では、石材片と異素材とを結合した装身具を製造することはできない。
それゆえ、本発明では、石材片と異素材とを結合した装身具の製造方法に関して、高級感や十分な光沢が得られる製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、石材と固形の異素材とを用いた装身具の製造方法であって、石材から石材片を得る工程と、石材片において、固形の異素材片を埋め込む箇所を切削する工程と、石材片と異素材片とを切削箇所で接着する工程と、石材片と異素材片とが接着された状態で、余計な部分を切除して全体の形状を整え、石材片と異素材片の表面を同時に研磨する工程とを備えることを特徴とする。好ましくは、異素材片は、ガラス片又は貝殻片であるとよい。また、本発明は、上記製造方法によって製造された装身具である。
本発明によれば、石材片と異素材片とが接着された状態で、余計な部分を切除して全体の形状を整え、石材片と異素材片の表面を同時に研磨することによって、表面を同じような光沢感にすることができるので、石材片と異素材片との一体感が増す。よって、高級感や十分な光沢が得られる装身具が得られることとなる。異素材片にガラス片又は貝殻片を用いれば、相性よく接着し、表面もきれいに磨き上げることができる。
本発明のこれら、及び他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
図1は、本発明の一実施形態における装身具の製造方法を示す工程図である。図2は、製造工程で得られる中間物から最終物までの図面代用写真である。以下、図1及び図2を参照しながら、本実施形態における製造方法について説明する。
まず、図2(a)に示すような石材(たとえば、天然石や人工石など)を、グラインダー等で切断して、石材片を得る(工程1)。次に、工程1で得た石材片をグラインダー等で所望の形状に加工する(工程2)。そして、その石材片の表面をグラインダー等で、荒く表面を研磨して、図2(b)に示すように、ある程度の形状にまで整形する(工程3)。
次に、石材片に、ルーターやヤスリ等を用いて、穴を穿孔する(工程4)。ただし、穴を穿孔する必要のない装身具の場合は、工程4は省略される。次に、石材片にガラス片を埋め込む箇所をグラインダー等で切削する(工程5)。なお、本実施形態では、異素材として、ガラスを用いることとし、埋め込み箇所に合わせた形状にしたガラス片を石材片と接着することとするが、異素材片としては、ガラス以外を用いてもよい。たとえば、貝殻片や、他の石材、金属、宝石などを異素材片として石材片に埋め込んでもよい。ただし、埋め込み箇所に、樹脂などを流し込むのではなく、固形の異素材片を用い、後述するように石材片と異素材片とを接着して、接着後、全体形状を整えて、全体を同時に研磨するものとする。
次に、工程5で切削した埋め込み箇所をヤスリ等できれいに整形する(工程6)。図2(c)は、工程6の結果得られた石材片である。そして、さらに、当該埋め込み箇所を耐水ペーパー等を用いて研磨する(工程7)。図2(d)は、工程7の結果得られた石材片である。
次に、埋め込み箇所に埋め込むガラス片の形状を、当該埋め込み箇所の形状に合わせて加工する(工程8)。図2(e)は、工程8の結果得られたガラス片である。工程8の段階で、ガラス片は、埋め込み箇所の形状に合わせてある程度の形状に整形されているが、埋め込み箇所に完全に一致するように整形する必要はない。埋め込み箇所からガラス片がはみ出していてもよい。工程8の段階では、ガラス片は、大まかな形状まで整形されていることとなる。
次に、石材片とガラス片とを埋め込み箇所で接着剤を用いて接着する(工程9)。使用する接着剤として、たとえば、シリル化ウレタン樹脂系接着剤の接着剤を用いるとよいが、本発明を限定するものではなく、他の種類の接着剤が用いられてもよい。図2(f)に示すように、工程9の段階では、埋め込み箇所からガラス片がはみ出しているので、ダイヤモンドブレード等を用いて、ガラス片のはみ出し部分を切除して、装身具の全体形状を整えていく(工程10)。なお、工程10では、ガラス片の一部がはみ出していると仮定して全体形状を整えることとしたが、デザインによっては、石材片の方がはみ出している場合もある。そのような場合は、石材片の方を切除して装身具の全体形状を整えていく。さらに、ガラス片と石材片の両方がはみ出している場合もある。そのような場合は、ガラス片と石材片の両方を切除して装身具の全体形状を整えていく。すなわち、工程10では、余分な部分を切除して全体形状を整えていく。
埋め込み箇所からのはみ出し部分がほぼ切除できた段階で、仕上げの工程に進む。仕上げの工程では、電動ドリルやグラインダーに取り付けられた研磨シートや耐水ペーパーを使って、装身具全体をきれいに研磨していく(工程11)。研磨の際は、水に装身具を浸けながら研磨していくとよい。徐々に目の細かな番手に切り替えながら、装身具の表面を研磨していく。この研磨の際、同じ番手の研磨シートや耐水ペーパーを用いて、石材片とガラス片とを同時に研磨する。これによって、石材片とガラス片との接合部分がなめらかになり、石材片とガラス片との一体感が増す。最後に、液体状の研磨材を布に付けて装身具を研磨したり、青棒等の油性研磨材をフェルトホイールに付けて装身具を研磨したりするなどして、石材片とガラス片とを同時に研磨する(工程12)。図2(g)に示すような装身具が、最終的な研磨の結果、図2(h)に示すように光沢を持つように磨き上げられることとなる。図3は、本発明の製造方法によって得られた装身具の一例を示す図面代用写真である。図3に示すように、石材片と異素材片との一体感を有する美しい装身具が本製造方法によって得られる。
このように、本実施形態を用いれば、石材片と異素材片とを接着して、全体形状を整えた上で、これらを同時に研磨することによって、表面を同じような光沢感にすることができるので、石材片と異素材片との一体感が増し、高級感や十分な光沢が得られる装身具を製造することが可能となる。また、異素材片として、ガラス片を用いるほか、貝殻片、たとえば、夜光貝の貝殻片を用いれば、非常に光沢感のあるきれいな装身具を製造することが可能となる。
なお、本実施形態で示した石材片や異素材片の形状は、あくまでも一例であって、本発明を限定するものではない。特に、異素材片を埋め込む箇所についての形状は、どのようにでも加工できる。たとえば、石材片の内側に凹部を設けて、当該凹部に異素材片を埋め込んでもよいし、石材片の内部に貫通させて、当該貫通部分に異素材片を埋め込んでもよい。埋め込み箇所にどのような形状を用いる場合でも、石材片において、異素材片を埋め込む箇所を切削し、当該切削箇所で石材片と異素材片とを接着し、接着された状態で、全体の形状を整えた後、石材片と異素材片との表面を同時に研磨すれば、十分な光沢が得られる装身具が提供される。
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
本発明は、装身具の製造方法に関し、産業上利用可能である。
Claims (3)
- 石材と固形の異素材とを用いた装身具の製造方法であって、
石材から石材片を得る工程と、
前記石材片において、固形の異素材片を埋め込む箇所を切削する工程と、
前記石材片と前記異素材片とを前記切削箇所で接着する工程と、
前記石材片と前記異素材片とが接着された状態で、余計な部分を切除して全体の形状を整え、前記石材片と前記異素材片の表面を同時に研磨する工程とを備えることを特徴とする、装身具の製造方法。 - 前記異素材片は、ガラス片又は貝殻片であることを特徴とする、請求項1に記載の装身具の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の製造方法によって製造された装身具。
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