JP5680685B2 - 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔 - Google Patents

生物活性薬剤送達のための組織微穿孔 Download PDF

Info

Publication number
JP5680685B2
JP5680685B2 JP2013046499A JP2013046499A JP5680685B2 JP 5680685 B2 JP5680685 B2 JP 5680685B2 JP 2013046499 A JP2013046499 A JP 2013046499A JP 2013046499 A JP2013046499 A JP 2013046499A JP 5680685 B2 JP5680685 B2 JP 5680685B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tissue
skin
biological membrane
stratum corneum
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2013046499A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013165967A5 (ja
JP2013165967A (ja
Inventor
エイ. エプステイン ジョナサン
エイ. エプステイン ジョナサン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nitto Denko Corp
Original Assignee
Nitto Denko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from PCT/US1997/011670 external-priority patent/WO1998000193A1/en
Application filed by Nitto Denko Corp filed Critical Nitto Denko Corp
Publication of JP2013165967A publication Critical patent/JP2013165967A/ja
Publication of JP2013165967A5 publication Critical patent/JP2013165967A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5680685B2 publication Critical patent/JP5680685B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B5/00Measuring for diagnostic purposes; Identification of persons
    • A61B5/145Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue
    • A61B5/14507Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue specially adapted for measuring characteristics of body fluids other than blood
    • A61B5/1451Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue specially adapted for measuring characteristics of body fluids other than blood for interstitial fluid
    • A61B5/14514Measuring characteristics of blood in vivo, e.g. gas concentration, pH value; Measuring characteristics of body fluids or tissues, e.g. interstitial fluid, cerebral tissue specially adapted for measuring characteristics of body fluids other than blood for interstitial fluid using means for aiding extraction of interstitial fluid, e.g. microneedles or suction
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K41/00Medicinal preparations obtained by treating materials with wave energy or particle radiation ; Therapies using these preparations
    • A61K41/0047Sonopheresis, i.e. ultrasonically-enhanced transdermal delivery, electroporation of a pharmacologically active agent
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K9/00Medicinal preparations characterised by special physical form
    • A61K9/0002Galenical forms characterised by the drug release technique; Application systems commanded by energy
    • A61K9/0009Galenical forms characterised by the drug release technique; Application systems commanded by energy involving or responsive to electricity, magnetism or acoustic waves; Galenical aspects of sonophoresis, iontophoresis, electroporation or electroosmosis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M37/00Other apparatus for introducing media into the body; Percutany, i.e. introducing medicines into the body by diffusion through the skin
    • A61M37/0092Other apparatus for introducing media into the body; Percutany, i.e. introducing medicines into the body by diffusion through the skin using ultrasonic, sonic or infrasonic vibrations, e.g. phonophoresis
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61BDIAGNOSIS; SURGERY; IDENTIFICATION
    • A61B17/00Surgical instruments, devices or methods, e.g. tourniquets
    • A61B2017/00017Electrical control of surgical instruments
    • A61B2017/00137Details of operation mode
    • A61B2017/00154Details of operation mode pulsed
    • A61B2017/00172Pulse trains, bursts, intermittent continuous operation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M37/00Other apparatus for introducing media into the body; Percutany, i.e. introducing medicines into the body by diffusion through the skin
    • A61M2037/0007Other apparatus for introducing media into the body; Percutany, i.e. introducing medicines into the body by diffusion through the skin having means for enhancing the permeation of substances through the epidermis, e.g. using suction or depression, electric or magnetic fields, sound waves or chemical agents

Description

発明の背景
本発明は、一般には、薬物または生物活性分子の生物への経膜送達の分野に関する。より詳細には、本発明は、皮膚、粘膜または植物の外層の微細穿孔によりこの生体膜の透過性を増加させる、最小限の侵襲から非侵襲である方法に関し、これは、生物内への、および一旦生物内へ入るとその内部の組織の選択された領域内への生物活性分子の流動速度を選択的に増強するために、音波エネルギー、電磁気的、および温度エネルギー、化学的浸透エンハンサー、圧力などと組合され得る。
角質層は、皮膚の周知の障壁特性を主に担う。従って、この層が、薬物または他の分子の身体内への経皮流動および分析物の身体外への経皮流動に対する最大の障壁を提示する。皮膚の外側の角質の層である角質層は、脂質ドメインにより分離された緻密に角質化した細胞残遺物の複雑な構造である。口腔粘膜または胃粘膜に比較して、角質層は身体に対して外部または内部いずれかの分子に対してもかなり浸透性が劣る。角質層はケラチノサイトから形成される。ケラチノサイトは、表皮細胞の大部分を構成し、核を失い、そして角質細胞になる。これらの死んだ細胞は、わずか約10〜30μmの厚みを有し、上記のよう
に、非常に耐性の防水性の膜である、角質を構成する。この膜は、外部の物質による侵襲から身体を保護し、そして流体および溶解した分子の外向きの移動を防ぐ。角質層は、剥離の間の角質細胞の脱落および角質化プロセスによる新たな角質細胞の形成により間断なく再生される。
角質層の下は、表皮の生存細胞層および真皮または結合組織層がある。これらの層は共に皮膚を形成する。これら下の層(生存細胞層および真皮)の微細穿孔は以前は使用されなかったが、経皮流動を増強し得る。真皮の深部には身体の基礎をなす構造があり、脂肪、筋肉、骨などを含む。
粘膜の微細穿孔は以前は使用されなかった。粘膜は一般に角質層を欠く。最も表面の層は、生存細胞の多くの層からなる上皮層である。上皮層の深部には固有層または結合組織層がある。
植物の微細穿孔は、実験室設定における個々の細胞への選択された適用に以前は制限されてきた。植物という生物は、一般に、自然力および疾患に対する耐性を提供する堅固な外部層を有する。植物のこの堅固な外部層の微細穿孔は、植物中への導入に有用な物質の送達(例えば、植物に所望の形質を付与するため、または所望される物質の産生のため)を可能にする。例えば、植物の各々の細胞が特定かつ有用なペプチド(例えば、ホルモンまたはヒトインシュリン)を発現するように、植物は処置され得る。
生体膜を横切る薬物または分析物の流動性は、抵抗(拡散係数)または駆動力(拡散のための勾配)のいずれかを変化させることにより増加され得る。流動性は、いわゆる浸透エンハンサーまたは化学的エンハンサーの使用により増強され得る。化学的エンハンサーは、当該分野で周知であり、そしてより詳細な記載を以下に記す。
薬物に対する皮膚の浸透性を増加する別の方法は、イオン導入法(イオントホレシス)である。イオン導入法は、外部電場の適用およびイオン化形態の薬物またはイオン輸送に伴う水の流動と伴に運搬される非イオン化薬物の局所送達(電気浸透)を含む。イオン導入法による浸透増強は効果的であったが、薬物送達の制御および不可逆的な皮膚の損傷がこの技術に伴う問題である。
音波エネルギーもまた、薬物および他の分子に対する皮膚および合成膜の浸透性を増強させるために使用されてきた。超音波は、20kHzより大きい周波数を有する機械的な圧力
の波として定義されてきた(H. Lutzら、Mannual ofUltrasound3-12 (1984))。音波エネ
ルギーは、圧電結晶または他の電気機械的素子に交流電流を通過させることによってこの物質を振動させることにより生成される(R.Brucksら、6Pharm.Res.697 (1989))。薬物
分子に対する皮膚の浸透性を増加させるための音波エネルギーの使用は、音波泳動法(ソノホレシスまたはホノソレシス)と名付けられている。
皮膚の浸透性を増強することにより、理論的には、回収またはモニタリングのために、身体内から皮膚を通して身体外に分子を輸送することを可能にするはずであると考えられてきたが、実施可能な方法は開示されていない。Stanleyらの米国特許第5,139,023号は、非侵襲的な血中グルコースモニタリングのための装置および方法を開示する。この発明では、グルコースに対する粘膜組織または皮膚の浸透性を増加させるために化学的浸透エンハンサーが使用される。次いで、グルコースは、粘膜組織または皮膚を通して受動的に拡散し、そして受容媒体中に捕捉される。受容媒体中のグルコースの量が測定され、そして血中グルコースレベルを決定するために相関付けられる。しかし、Stanleyらにおいて教
示されるように、この方法は、粘膜組織(例えば、頬側組織)において用いられる場合、より一層効果的であり、検出可能な量のグルコースが、約10〜20分の遅延時間後に受容媒体に回収される。しかし、Stanleyらにより教示される方法は、検出可能な量のグルコー
スが、インビトロでヒト皮膚(熱分離された表皮)を通して拡散して検出され得る前に、用いられる化学的増エンハンサー組成物に依存して、2〜24時間の範囲に及ぶ非常に長い遅延時間を生じる。これらの長い遅延時間は、皮膚を通して受動的に拡散し、かつ障壁角質層の浸透性を増強するために化学的浸透エンハンサーが必要とする時間の長さ、ならびに皮膚を通して受動的に拡散するためにグルコースが必要とする時間の長さに起因し得る。従って、Stanleyらは、明らかに、糖尿病患者の血中グルコースモニタリングのためお
よび血中電解質のような多くの他の身体内分析物のモニタリングのために要求されるような迅速なモニタリングを可能にする様式で、皮膚を通して血中グルコースまたは他の分析物を非侵襲的に輸送するための方法を教示していない。
薬物送達のための音波エネルギーの使用が知られているが、多くは浸透性の増強が比較的低かった点において期待に反する結果となっている。皮膚を横切る薬物流動を増加させるための音波エネルギーの効力に関する意見の一致はない。いくつかの研究が音波泳動法の成功を報告している(J.Davickら、68Phys. Ther. 1672 (1988); J. Griffinら、47 Phys. Ther.594(1967); J.GriffinおよびJ.Touchstone, 42 Am. J. Phys. Med. 77 (1963); J.Griffinら、44Am. J.Phys. Med. 20(1965); D. Levyら、83 J. Clin. Invest. 2074; D.Bommannanら、9Pharm.Res. 559 (1992))が、他は否定的な結果を得ている(H.Bensonら、69 Phys. Ther.113 (1988); J.McElnayら、20Br. J. Clin. Pharmacol. 4221
(1985); H. Pratzelら、13J. Rheumatol.1122 (1986))。齧歯類の皮膚が用いられた系は
、最も期待できる結果を示したが、ヒト皮膚が用いられた系は、一般に,期待に反する結
果を示している。齧歯類の皮膚はヒト皮膚よりもずっと浸透性が高いことが当業者に周知であり、従って上記の結果は、ヒト皮膚を通じる経皮的送達および/またはモニタリング
に適用される場合の、音波泳動法の効果的な利用法を当業者に教示していない。
分析物のモニタリング、およびまた身体への薬物送達における超音波エネルギーの使用における有意な改善が、同時係属中の1993年11月15日に出願された米国特許出願第08/152,442号(現在の米国特許第5,458,140号)、および1993年12月8日に出願された米国特許
出願第08/152,174号(現在の米国特許第5,445,611号)に開示されそして特許請求の範囲
に記載される(これら両方とも本明細書中に参考として援用される)。これらの発明において、分析物の経皮サンプリングまたは薬物の経皮送達は、強度、位相、もしくは周波数、またはこれらパラメーターの組合せにおいて調整される音波エネルギーの、化学的浸透エンハンサーの使用と組み合わた使用により達成される。ニードル穿孔、水力学的噴射、レーザー、エレクトロポレーション、または他の方法により導入される穿孔を介して角質層を通して制御可能に分子を押し込み、そして/または汲み上げるために、必要に応じて
、周波数、強度、および/または位相を調整する音波エネルギーの使用もまた開示される
薬物の送達を増強するための角質層における微細孔の形成(すなわち、微細穿孔)は、種々の研究の主題であって、そしてこのような技術の特許の発行に至った。
Jacquesら(88J. Invest. Dermatol.88-93 (1987))は、下にある表皮を有意に損傷す
ることなく角質層を切除するために十分な波長、パルス長、パルスエネルギー、パルス数、およびパルス反復率を有するパルスレーザー光を用いて皮膚のある領域の角質層を切除し、次いで切除した領域に薬物を付与することにより薬物を投与する方法を教示する。この研究は、Jacquesらへの米国特許第4,775,361号の発行に至った。紫外レーザー照射の使用による皮膚の切除は、Laneら、121Arch.Dermatol.609-617(1985)によってより以前に
報告された。Jacquesらは、光の少数の波長および高価なレーザーの使用に制限される。
Tankovich(米国特許第5,165,418号(以下、「Tankovich'418」))は、皮膚組織を蒸
発させるに十分なエネルギーの1つ以上のレーザーパルスをヒトまたは動物の皮膚に照射して皮膚に表皮を通して伸びる穴を開け、そして少なくとも1つの血管を切断し、所定量の血液がその穴を通してそれが回収され得るように放出させることにより血液サンプルを得る方法を開示する。従って、Tankovich'418は、薬物が身体に送達され得るかまたは身
体からの分析物が分析され得るような、角質層の非侵襲性または最小限侵襲性である浸透化処理としては不適切である。
Tankovichら、米国特許第5,423,803号(以下、「Tankovich'803」)は、美容的適用に
ためのヒト皮膚における表在性表皮皮膚細胞のレーザー除去法を開示する。この方法は、表皮外層に光吸収性「混入物質」を付与する工程、およびこの混入物質のある量を角質層の細胞内空間中にもしくはこれを通じて押し入れる工程、ならびに、混入物質により吸収されたエネルギーの量がいくつかの表皮皮膚細胞を引き剥がすに十分なエネルギーで混入物質を爆発させる十分な強度のレーザー光のパルスを浸潤された皮膚に照射する工程を包含する。Tankovich'803はさらに、レーザービームのその波長において混入物質によるエ
ネルギーの高い吸収があるべきであること、レーザービームが1μsより短い持続時間の
パルスビームでなければならないこと、混入物質が表皮の上層中にもしくはこれを通じて押し入れられねばならないこと、および混入物質がレーザーエネルギーの吸収により表皮細胞を引き剥がすに十分なエネルギーで爆発しなければならないことを教示する。この発明もまた、薬物送達または分析物回収の方法を開示も示唆もしていない。
RavenらのWO92/00106は、波長750〜860nmの赤外線に対して高度に吸収性である化合物
を、選択された組織に投与し、そしてその領域に、対応する赤外線を、化合物が投与された組織の熱気化が起こるに十分であるが化合物が投与されなかった組織の気化が起こるには不十分なパワーで照射することにより、身体から非健康的な組織を選択的に除去する方法を記載する。この吸収性化合物は、(例えば、インドシアニングリーン、クロロフィル、ポルフィリン、ヘム含有化合物、またはポリエン構造を含む化合物のように)水または血清に可溶であるべきであり、そしてパワーレベルは、50〜1000W/cm2の範囲にあるかま
たはこれよりさらに高い。
KonigらのDD259351は、赤外および/または近赤外スペクトル領域において放射を吸収する媒体を腫瘍組織中に沈着させる工程、および浸潤された組織に適切な波長のレーザー光を照射する工程を包含する腫瘍組織の熱処理のためのプロセスを教示する。吸収性媒体は、メチレンブルー、還元ポルフィリンまたはその凝集体、およびフタロシアニンブルーを含み得る。600〜700nmに強い吸収のあるメチレンブルー、および647nmおよび676nmで発光するクリプトンレーザーが例示される。パワーレベルは、少なくとも200mW/cm2であるべ
きである。
同じ部位へセロハンテープの付与および除去を繰り返すことによって、角質層を、皮膚の小さい領域からはぎ取ることにより、任意の量の間質液を容易に回収し得、この間質液は次いで多数の目的の分析物についてアッセイされ得ることが示されている。同様に、「テープをはぎ取られた」皮膚はまた、化合物の身体内への経皮送達に対して浸透性であることが示されている。不運にも、「テープはぎ取り」は、開放性のただれを残し、これは治癒するのに何週間もかかり、そしてこの理由および他の理由により、広範な適用における経皮的輸送を増強するために受容可能な実施であるとは考えられていない。
上記のように、パルスレーザー(例えば、193nmで作動するエキシマーレーザー、2.9μm近くで作動するエルビウムレーザー、または10.2μmで作動するCO2レーザー)は、ヒト
の角質層に小さな穴を効果的に切除するために用いられ得ることが示されてきた。これらのレーザー切除技術は、送達穴および/またはサンプリング穴を角質層を通して開けるた
めの選択的でそして潜在的に非外傷性の方法に対する可能性を提供する。しかし、これらの光源に関連する法外に高いコストのために、この概念に基づいて開発された市販の製品は存在していない。本明細書中で開示される発明は、非常に緊密に規定された空間的および時間的解像度で生体膜中にもしくはこれを通して熱エネルギーを直接伝導する方法を規定することにより、非常に低コストのエネルギー源を用いて生体膜の所望の微小切除を作製することを可能にする。
前述の問題および/または欠陥を考慮すると、より迅速な時間フレームで身体の分析物
を最小限侵襲的または非侵襲的にモニタリングするために生体膜の浸透性を安全に増強する方法の開発は、当該分野において著しい進歩であり得る。生物の選択された領域中に薬物への経皮流動速度を最小限侵襲的にまたは非侵襲的に増強する方法を提供することは、当該分野における別の著しい進歩であり得る。
薬物および他の化合物の送達における著しい発展は、生体膜(例えば、皮膚または粘膜)の浸透性を増加させる種々の技術の使用を通じてなされている。より一層見込みのある進歩は、前記した出願で開示されるように、微細孔を作製するための技術を通じてなされた。
それにもかかわらず、生体膜の選択された深部での微細孔を形成することによってこれらの技術を改良すること、および分子量およびサイズに関して小さな化合物および大きな化合物の両方を、微細孔を通じて身体内へ送達することが所望される。
発明の要旨
本発明は、生物の選択された部位への浸透物の経膜流動速度を増強するための方法を提供する。この方法は、(a)生体膜に微細孔を形成する手段により、選択された部位で生体膜を穿孔し、これにより浸透物の流動性に対する生体膜の障害特性を減少させること、および(b)穿孔された選択部位と有効量の透過物を含む組成物とを接触させ、これにより生物内への浸透物の経膜流動速度が増強されることによりにより浸透物に対する生物の選択された部位の浸透性を増強する工程を包含する。
本発明は、生物中への浸透物の流動性を増加させるためのエンハンサーを生物の部位へ適用する工程をさらに含む、経膜流動速度を増強する方法をさらに提供する。本発明はまた、エンハンサーが音波エネルギーを含む方法、そしてより詳細には、音波エネルギーが約10Hzから1000MHzの範囲の周波数で部位に適用され、そしてその音波エネルギーは、周
波数変調、振幅変調、位相変調、およびそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーにより調整される方法を提供する。あるいは、エンハンサーは、電磁場(より詳細にはイオン導入法)または磁場、または機械的な力、化学的エンハンサー、また熱エンハンサーを含む。さらには、本発明は音波増強、電磁場増強、機械的増強、熱増強、または化学的増強のいずれかが、それらの任意の組合せで、微細孔中へのまたは微細孔を通じての浸透物の経膜流動速度を増加させるために、適用され得る方法をさらに提供する。
本発明はまた、エンハンサーを用いて経膜流動速度をさらに増強する方法を提供し、ここで、部位でのエンハンサーは、微細孔周辺の組織への浸透物の流動速度を増加させるために適用される。このエンハンサーは音波エネルギーを含み得る。さらに、音波エネルギーは、約10Hzから1000MHzの範囲の周波数で部位に適用され、そして音波エネルギーは、
周波数変調、振幅変調、位相変調、およびそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーにより調整される。あるいは、エンハンサーは、音波もしくは熱エネルギー、エレクトロポレーション、イオン導入、化学的エンハンサー、機械力、または磁場、あるいはこれらの任意の組合せを含む。
本発明は、生物の該部位へのエンハンサーの適用をさらに含む、浸透物の経膜流動速度を増強する方法をさらに含み、ここで音波もしくは熱エネルギー、エレクトロポレーション、イオン導入法、化学的エンハンサー、機械力、または磁場の方法の任意の方法が、これらの任意の組合せ(音波もしくは熱エネルギー、エレクトロポレーション、イオン導入法、化学的エンハンサー、機械力、または磁場を組み合わせる方法をさらに含む)で、微細孔周辺の組織への浸透物の流動速度を増強するためにこれらの任意の組合せが適用され得る。
本発明はまた、外層内および外層下で経膜流動速度をさらに増強する方法を含み、ここで、部位での生体膜の穿孔は、以下からなる群から選択される手段により達成される:(a)微細孔が生体膜に部位で形成されるように、生体膜の部位(約1000μmまでにわたっ
て)を熱源に接触させることによる生体膜の除去;(b)直径約1000μmまでの微細孔を
形成するために、目盛りが付けられたマイクロランセットを使用した生体膜の刺孔形成;(c)直径約1000μmまでの生体膜上への音波エネルギーのビームによる、の生体膜の除
去;(d)直径約1000μmまでの微細孔を形成するために流体の高圧噴射を使用した、生
体膜の力学的刺孔;および(e)直径約1000μmまでの微細孔を形成するために短い電気
パルスを使用した生体膜の刺孔。さらに、本発明は、部位へ効果的な量の熱エネルギーを伝導的に転移させるために、熱源を部位と(約1000μmまでにわたる)に接触させ、その
結果、該部位のいくらかの水および他の気化性物質の温度がそれらの沸点を超えて上昇し、生体膜の該部位に選択された深さに微細孔を形成することにより穿孔を達成する方法を含み、または、部位へ効果的な量の熱エネルギーを伝導的に転移させるために熱源を部位(約1000μmまでにわたって)接触させ、その結果、該部位のいくつかの組織の温度が、
熱分解を生じる温度まで上昇し、生体膜の該部位に選択された深さに微細孔を形成することにより穿孔を達成する方法を含む。さらには、本発明は、これは、パルス光源の発光範囲にわたって十分な吸光を示す有効量の物質で少なくとも該部位を処理する工程、およびパルス光源からの一連のパルス出力を物質に集中させ、その結果、物質を、有効量の熱エネルギーを生体膜に伝導的に転移させて温度を上昇させるに十分に加熱し、これにより微細孔を作製する工程をさらに包含する、該部位で生体膜を穿孔する方法を含む。本発明はまた、パルス光源が、生体膜により有意に吸収されない波長で発光する方法を含む。本発明は、パルス光源が約630〜1550nmの範囲で発光するレーザーダイオードである方法、パ
ルス光源が約700nm〜3000nmの範囲で発光するレーザーダイオードポンピング光学パラメ
トリック発振機である方法、パルス光源が、アークランプ、白熱ランプ、および発光ダイオードからなる群から選択される部品である方法をさらに含む。本発明はまた、生体膜の微細孔がいつ所望の大きさ(幅、長さ、および深さを含む)に達したかを決定するための検知システムを提供する工程をさらに含む方法、そしてさらに、検知システムは、該部位からの反射光を受容し、そして反射光を、光を受容し信号をコントローラー(ここで、信号は光量を表示する)に送るための検出器に集中させるための光収集手段、および信号を受容しそして予め選択された信号を受容した場合に光源を停止させるために、検出器および光源に接続されたコントローラー、あるいは、微細孔が形成された場合の、生物内の異なる深さでの生体膜の電気インピーダンスの変化を検出し得る電気インピーダンス計測システムを含む。
本発明はまた、前記部位および隣接組織を冷却することをさらに含む、外層の中および真下の経膜流動速度を増強させるための方法を提供し、その結果、前記部位および隣接組織が冷却状態となる。前記冷却手段は、ペルチェ素子(Peltier device)を含む。
本発明はまた、前記部位を穿孔する前に、少なくとも前記部位が滅菌されるような光を使用して前記部位を照射することをさらに含む、外層の中および真下の経膜流動を増強させるための方法を包含する。
本発明はまた、前記部位を固体エレメント(ここで、前記固体エレメントは、有効量の熱エネルギーを前記生体膜へと伝導的に移して温度を上昇せ、それによりマイクロプレートを作成する熱供給源として機能する)と接触させることをさらに含む、外層の中および真下の経膜流動を増強させるための方法を包含する。さらに、前記熱供給源は、前記部位の温度を約10ナノ秒から50ミリ秒以内に100℃を超えるまでに、調節し、次いで、約1ミリ秒から50ミリ秒以内のおおよその周囲温度まで前記部位の温度を回復するために構築され、そしてこの昇温サイクルおよび周囲温度までの回復サイクルは、所望の深さまで生体膜を穿孔するために有効に1回以上繰り返される。本発明はさらに、前記部位のおおよその周囲温度までの前記回復が、前記部位との接触からの前記熱供給源の除去により実施され、そしてこの調節パラメーターが、動物被験体への感覚を減少させるために選択される、熱供給源の使用方法を含む。
本発明は、前記部位および隣接組織を通して前記固体エレメントと前記生物体との間の電気的インピーダンスをモニタリングするための手段、およびインピーダンスにおいて付随する変化を生じる前記穿孔のような前記固体エレメントの位置を前進させるための手段を提供することをさらに含む、熱供給源および検出システムを使用して経膜流動速度を増強させるための方法を包含し、前記前進手段は、選択されたインピーダンスが得られるまで、固体エレメントの加熱中に固体エレメントが前記部位と接触するように固体エレメントを前進させる。さらに、本発明は、前記固体エレメントを前記部位との接触から除去する手段をさらに含み、ここで前記モニタリング手段は前記部位の表面の下にある選択された層を接触させることに関連して、インピーダンスの変化を検出し得、そして前記固体エレメントを前記部位との接触から除去するために前記除去手段に信号を送り得る。
固体エレメント(ここで前記固体エレメントは、オームの加熱エレメントを通して電流を送達することにより加熱され、そして、さらに、ここで前記固体エレメントは、それが前記固体エレメントが電気伝導成分および前記固体エレメントの温度を含むように形成される)を使用して経膜流動速度を増強させるための方法は、前記導電性エレメントを通して調整された電流を通過させることにより調整される。さらに、本発明は、前記固体エレメントが、調整可能な磁場中に位置づけされる方法を包含し、ここで磁場に電気を加えることで、固体エレメントを加熱するために充分な電気的渦電流を生じる。
本発明はまた、直径約1000μmまでの微細穿孔を形成するために更正されたミクロ皮針による前記部位の穿刺により、直径約1000μmまでの微細穿孔を形成するために前記部位へ向けられる音波エネルギーの電子線により、直径約1000μmまでの微細穿孔を形成するために、高圧ジェットの液体による前記生体膜の水力学的な穿刺により、またはあるいは、直径約1000μmまでの微細穿孔を形成するために電気的短波動による前記生体膜の穿刺により穿孔が達成される経膜流動速度を増強させる方法を含有する。
本発明は、浸透性物質の経膜流動速度を増強させる方法をさらに含み、ここで前記浸透性物質は核酸を含む。より詳細には、本発明は、前記核酸がDNAを含むかまたは前記核酸がRNAを含む方法を含有する。
本発明は、生体膜中の微細穿孔が、深さ1から30ミクロンの範囲で生体膜の外層部まで広がり、深さ10から200ミクロンの範囲で生体膜の外層部を通して広がり、深さ100から5000ミクロンの範囲で生体膜の接合組織層まで広がり、または深さ1000から10000ミクロンの範囲で生体膜の接合組織層を通して広がる浸透性物質の経膜流動速度を増強させる方法をさらに包含する。
本発明は、微細穿孔が、選択される浸透性物質の所望の活性を促進するために決定された深さまで生体膜を浸透する、浸透性物質の経膜流動速度を増強させる方法をさらに含有する。
本発明は、浸透性物質の経膜流動速度を増強させる方法をさらに包含し、ここで、浸透性物質がポリペプチドを含み、ここでポリペプチドはタンパク質またはペプチドであり、そしてここでポリペプチドはさらに以下を含む:インシュリンまたは放出因子;炭水化物(ここで炭水化物はヘパリンを含む);鎮痛剤(鎮痛剤はオピエート;ワクチン;またはステロイドを含む)。
本発明は、浸透性物質(浸透性物質はキャリヤー(carrier)に結合する)の経膜流動速
度を増強させるための方法をさらに包含する。本発明は、キャリヤーがリポソーム;脂質複合体;微細粒子;またはポリエチレングリコール化合物を含む方法をさらに包含する。より詳細には、本発明は、浸透性物質が、浸透性物質がキャリヤーと結合する方法との組合せのワクチンである方法をさらに包含する。
本発明は、浸透性物質が生物体中に存在する分析物の近傍中の場合、刺激物に対するその検出し得る応答を変化させる能力を有する物質を含む、浸透性物質の経膜流動速度を増強させる方法をさらに包含する。
本発明の目的は、生体膜(角質層または皮膚の別の層を含む)、または植物の粘膜または外層中の微小穿孔を通して身体内への、所望であれば、血流への、薬物または他の分子の経膜流動速度を制御するための方法を提供することである。
音波エネルギー、浸透エンハンサー、圧力勾配、電磁気エネルギー、熱エネルギーなどとを組み合せて、生体膜の穿孔を通して身体内へ薬物を送達する方法を提供することは、本発明のさらに他の目的である。
本発明の目的は、生体膜の穿孔を通して身体内から分析物を制御可能に回収するために穿孔を使用して生体膜の障壁特性を最小化し、これらの分析物のモニタリングを可能にすることである。
音波エネルギー、浸透エンハンサー、圧力勾配、電磁気エネルギー、力学的エネルギー、熱エネルギーなどとを組み合せて、生体膜中の微細穿孔を通して体内の選択された分析物をモニタリングする方法を提供することもまた、本発明の目的である。
これらおよび他の目的は、個体の身体内の分析物の濃度をモニタリングするための方法を提供することにより達成され得る。この方法は、個体の身体表面の選択された領域の生体膜の分析物に対する浸透性を、以下の手段により増強する工程を包含する。
(a)下にある組織に重大な損傷を任意に起こさずに生体膜に微細穿孔を形成し、それ
によって生体膜の分析物の回収に対する障壁特性を減少することにより、選択された領域の生体膜を穿孔する工程;
(b)分析物の選択された量を回収する工程;および
(c)回収された分析物を定量する工程。
1つの別の好ましい実施態様において、本発明の方法は、約5kHzから100MHzの範囲に
ある周波数で音波エネルギーを穿孔された選択領域に適用する工程をさらに包含する。ここで、この音波エネルギーは、周波数変調、振幅変調、位相変調、およびこれらの組合せからなる群より選択されるメンバーによって変調される。別の好ましい実施態様では、本発明の方法は、個体の身体の選択された領域を磁気エネルギ、熱エネルギー、力学的エネルギー、または音波エネルギーの適用とともに化学的エンハンサーと接触させ、分析物回収をさらに増強する工程をさらに包含する。
生体膜の穿孔は、(a)約1000μmまでを横切って、生体膜の選択された領域を、選択された領域において組織に結合した水および他の気化し得る物質の温度が、水および他の気化し得る物質の沸点を超えて上昇し、それによって選択された領域中の生体膜を除去するように熱供給源と接触させることにより生体膜を切除する工程;(b)直径約1000μmまでの穿孔を形成するように較正された微小ランセットで生体膜を穿孔する工程;(c)生体
膜を、密接に焦点を合わせられた音波エネルギーのビームを角質層上に焦点を合わせることにより切除する工程;(d)流体の高圧ジェットで生体膜を水力学的に穿孔し、直径約1000μmまでの穿孔を形成する工程、および(e)電気の短いパルスで生体膜を穿孔し、直
径約1000μmまでの穿孔を形成する工程、からなる群より選択される手段により達成され
る。
生体膜を熱で切除する1つの好ましい実施態様は、少なくとも選択された領域を、パルス光源の発光範囲にわたって強い吸収を示す有効量の色素で処置する工程、およびパルス光源からの一連のパルスの出力を、色素上に、この色素が熱を角質層に伝導的に移すために十分に加熱され、選択された領域で組織に結合した水および他の気化し得る物質の温度を水および他の気化し得る物質の沸点を超えて上昇するように焦点を合わせる工程を包含する。好ましくは、パルス光源は、皮膚により有意に吸収されない波長を放射する。例えば、パルス光源は、約630から1550nmの範囲で発光するレーザーダイオード、約700nmと3000nmの範囲で発光する光学パラメトリックス発振器で駆動されるレーザーダイオード、またはアークランプ(arc lamp)、白熱電球、および発光ダイオードからなる群から選択さ
れるメンバーであり得る。角質層の障壁性質が克服された場合、測定用の検出システムもまた提供され得る。1つの好ましい検出システムは、選択された領域から反射された光を受け取りそして発光ダイオード上に反射された光の焦点を合わせるための光収集手段、焦点を合わせられた光を受け取りそしてコントローラーに信号を送る発光ダイオードであって、シグナルが反射された光の質を示す、発光ダイオード、および信号を受け取りそして予め選択されたシグナルが受け取られると、パルス光源を遮断するための発光ダイオードならびにパルス供給源に接続されたコントローラーを備える。
別の好ましい実施態様において、本発明の方法は、生体膜および隣接組織の選択された領域を、穿孔の前、間、および/または後に、上記選択された領域および隣接組織が選択された冷却された定常状態条件であるように冷却手段で、冷却する工程をさらに包含する。
なお別の好ましい実施態様において、本発明の方法は、間質液が微細穿孔から滲出するように生体膜を切除する工程、この間質液を回収する工程、および回収された間質液中で分析物を分析する工程を包含する。間質液を回収した後、微細穿孔は、レーザーダイオードまたは他の光源から有効量のエネルギーを、微細穿孔中に残存する間質液が凝固させられるように付与することにより塞がれ得る。好ましくは、真空が、間質液の回収を増強するために穿孔された選択された領域に適用される。
なお別の好ましい実施態様において、本発明の方法は、生体膜を穿孔する前に、少なくとも選択された領域を光で照射し、この光で照射された選択された領域が滅菌される工程を包含する。
生体膜を穿孔する別の好ましい方法は、選択された領域と、固体エレメントとを、選択された領域の温度が周囲温度から100℃を超えるまで約10〜50ms以内に上昇するように接
触させる工程、および次いで選択された領域の温度をほぼ周囲温度まで約1〜50ms以内に
戻す工程を包含し、ここで温度を上昇させる工程およびほぼ周囲温度に戻す工程のこのサイクルは生体膜の障壁特性を減少させるために効果的である複数回繰り返される。好ましくは、ほぼ周囲温度までに戻す工程は、固体エレメントを生体膜との接触から引き離すことにより行われる。固体エレメントと身体との間の電気的インピーダンスを、生体膜の選択された領域および隣接組織を通してモニタリングするための手段、および切除が抵抗の減少と同時に起こるように固体エレメントの位置を進行させるための手段を提供することもまた好ましい。ここでこの進行させるための手段は、固体エレメントの加熱の間に固体エレメントが生体膜と接触するように固体エレメントを進行させる。さらに、固体エレメントを生体膜との接触から引き離すための手段を提供することもまた好ましく、ここで、モニタリング手段は、生体膜の下にある層またはその層との接触に関連するインピーダンスの変化を検出し得、そして固体エレメントを生体膜との接触から引き離すための引き離し手段に、信号を送り得る。固体エレメントは、オーム発熱エレメントにより加熱され得、高い抵抗点を有する電流ループを有し得、ここで高い抵抗点の温度が、変調された電流を上記電流ループを通して通過させて熱をもたらすことにより変調され、または励起コイルの変調可能な交流磁場に、電流波腹点に交流を通過することにより固体エレメントを内部のオーム損失により加熱するに十分な渦電流を発生するように配置され得る。
身体の選択された領域への活性な浸透物の経皮流動速度を増強する方法であって、以下の工程により、身体表面の選択された領域の生体膜層の活性な透過物に対する浸透性を増大する工程を包含する。
(a)下にある組織に重大な損傷を任意に起こさずに生体膜に微細穿孔を形成し、そし
てそれにより活性な浸透物の流動性に対する生体膜の障壁特性を減少させる手段により、選択された領域の生体膜を穿孔する工程;および
(b)穿孔された選択領域を、有効量の浸透物を含む組成物と、浸透物の身体への流動
性が増強されるように接触させる工程。
好ましい実施態様において、本発明の方法は、穿孔された選択領域に流体のストリーミング(streaming)効果を作成するのに効果的な時間および強度および周波数でエネルギーを適用し、それにより浸透物の身体への経皮流動速度を増強する工程をさらに包含する。
個体の身体表面の選択された皮膚領域に入れ墨(tatoo)を適用するための方法がまた提
供され、この方法は以下の工程:
(a)下にある組織に重大な損傷を有意に起こさずに角質層に微細穿孔を形成し、そし
てそれにより浸透物の流動性に対する角質層の障壁特性を減少させる手段により、選択された領域の角質層を穿孔する工程;および
(b)インクの身体への流動性が増強するように、穿孔された選択領域を、有効量の入
れ墨用インクを含む組成物と接触させる工程、
を包含する。
個体の血液から、生体膜の選択された領域中の上記個体の間質液への分析物の拡散において時間的な遅れを減少させるための方法がなおさらに提供され、この方法は、冷却手段を上記選択された皮膚領域に適用する工程を包含する。
間質液の蒸発およびその蒸気圧を減少させる方法が、なおさらに提供され、ここで上記間質液は個体の生体膜の選択された領域における微細穿孔から回収され、上記選択された生体膜領域に冷却手段を適用する工程を包含する。
なおさらなる実施態様によれば、本発明は、皮膚または粘膜または植物の外層のような生体膜中に選択された深さで形成される微細穿孔を通して身体へ生物活性剤を送達するための方法に関する。本発明の方法は、当該分野で公知である任意の穿孔技術による、生体膜の外層の穿孔を含むが、生体膜へのまたは生体膜を通って、十分なそして所望である深さまでの穿孔を含み、そして低分子量または高分子量およびサイズの有効量の生物活性剤により、穿孔された部位と接触する工程を含む。このプロセスは、生物活性剤が送達される前、間、または後のいずれかのさらなる透過増強測定の適用により増強され得る。例えば、音波エネルギー、イオントフォレシス、磁場、エレクトロポレーション、化学的浸透エンハンサー、浸透圧および大気圧測定は、生体膜の外層の下層の透過度を増強するために穿孔部位へ適用され得る。
以上から、本発明は、以下を提供する。
1.生物の選択された部位への浸透性物質の経膜流動速度を増強するための方法であって、
(a)生体膜を、該選択された部位で、該生体膜において微細穿孔を形成する手段によ
って穿孔し、それにより、該生体膜の該浸透性物質の流動に対する障壁特性を減少させる工程;および
(b)該穿孔された選択された部位を、該浸透性物質の有効量を含む組成物と接触させ
、これにより該生物への該浸透性物質の該経膜流動速度が増強される工程、
の手段により、該浸透性物質に対する該生物の該選択された部位の浸透率を増強する工程を包含する、方法。
2.前記生物の前記部位にエンハンサーを適用して、該生物への前記浸透性物質の前記流動を増加させる工程をさらに包含する、項目1に記載の方法。
3.前記エンハンサーが、音波エネルギーを含む、項目2に記載の方法。
4.前記音波エネルギーが、約10Hz〜1000MHzの範囲の周波数で、前記部位に適用され、
ここで該音波エネルギーが、周波数調節、振幅調節、位相調節、およびそれらの組合せからなる群より選択されるメンバーの手段によって調節される、項目3に記載の方法。
5.前記エンハンサーが電磁場を含む、項目2に記載の方法。
6.前記電磁場がイオン導入を含む、項目5に記載の方法。
7.前記電磁場が磁場を含む、項目5に記載の方法。
8.前記エンハンサーが機械力を含む、項目2に記載の方法。
9.前記エンハンサーが化学的エンハンサーを含む、項目2に記載の方法。
10.項目3、4、5、6、7、8、または9に記載の方法のいずれかが、それらの任意の組合せに適用されて、前記微細穿孔へ、または該微細穿孔を介して前記浸透性物質の前記経膜流動速度を増加し得る、項目2に記載の方法。
11.前記部位での前記エンハンサーが、前記微細穿孔を囲む組織への前記浸透性物質の前記流動速度を増加するように適用される、項目2に記載の方法。
12.前記エンハンサーが音波エネルギーを含む、項目11に記載の方法。
13.前記音波エネルギーが、約10Hz〜1000MHzの範囲の周波数で、前記部位に適用され
、ここで該音波エネルギーが、周波数調節、振幅調節、位相調節、およびそれらの組合せからなる群より選択されるメンバーの手段によって調節される、項目12に記載の方法。14.前記エンハンサーがエレクトロポレーションを含む、項目11に記載の方法。
15.前記エンハンサーがイオン導入を含む、項目11に記載の方法。
16.前記エンハンサーが化学的エンハンサーを含む、項目11に記載の方法。
17.前記エンハンサーが機械力を含む、項目11に記載の方法。
18.前記エンハンサーが電磁場を含む、項目11に記載の方法。
19.前記エンハンサーが、項目12、13、14、15、16、17、および18に記載の方法のそれらのいずれかの組合せを含む、項目11に記載の方法。
20.項目19に記載の方法をさらに含む、項目10に記載の方法。
21.前記部位における前記生体膜の前記穿孔が、(a)該生体膜の該部位を熱源と接触
させることによって、該生体膜を除去し、その結果微細穿孔が、該生体膜において該部位で形成される工程;(b)該生体膜を、校正された微小ランセットで穿孔し、微細穿孔を
形成する工程;(c)該生体膜への音波エネルギービームによって、該生体膜を除去する
工程;(d)該生体膜を、流動の高圧ジェットで水力学的に穿孔して、微細穿孔を形成す
る工程、および(e)前記生体膜を、電気の短いパルスで穿孔して、微細穿孔を形成する
工程、からなる群より選択される手段によって達成される、項目1に記載の方法。
22.前記穿孔が、前記部位を、約1000μmにわたって、熱源と接触させて、有効量の熱
エネルギーを、該部位に伝導的に移し、その結果該部位における水および他の気化物質のいくつかの温度が、前記生体膜において該部位で選択深度まで微細穿孔を作製するためにそれらの気化点を越えて上昇されることによって達成される、項目21に記載の方法。
23.前記穿孔が、前記部位を、約1000μmにわたって、熱源と接触させて、有効量の熱
エネルギーを、該部位に伝導的に移し、その結果、該部位での組織のいくつかの温度が、熱分解が生じる点まで上昇され、前記生体膜において該部位で選択深度まで微細穿孔を作製することによって達成される、項目21に記載の方法。
24.少なくとも前記部位を、パルス光源の発光範囲を越える十分な吸収を示す有効量の物質で処理する工程、および該パルス光源から該物質への一連のパルスの出力に焦点をあわせ、その結果、該物質が、前記生体膜へ有効量の熱エネルギーを伝導的に移すのに十分加熱されて、温度を上昇し、それにより微細穿孔を作製する工程を包含する、項目21に記載の方法。25.前記パルス光源が、前記生体膜によって有意に吸収されない波長で発する、項目24に記載の方法。
26.前記パルス光源が、約630〜1550nmの範囲で発するレーザーダイオードである、項
目25に記載の方法。
27.前記パルス光源が、約700〜3000nmの範囲で発するレーザーダイオードポンプ光学
パラメトリック発振器である、項目25に記載の方法。
28.前記パルス光源が、アークランプ、白熱ランプ、および発光ダイオードからなる群より選択されるメンバーである、項目25に記載の方法。
29.前記生体膜における微細穿孔が、所望の寸法に達しているか否かを決定するための検出システムを提供する工程をさらに包含する、項目21に記載の方法。
30.前記検出システムが、前記部位から反射された光を受け、そして該光を受けるための検出器に該反射された光を焦点させ、そしてシグナルをコントローラーに送るための、光収集手段を含み、ここで、該シグナルは該光の性質を示し、コントローラーは、予め選択されたシグナルが受信された場合に、該シグナルの受信および該光源の遮断のために、該検出器および該光源に接続されている、項目29に記載の方法。
31.前記検出システムが、前記微細穿孔が形成されるような生物への異なる深度での生体膜のインピーダンスにおける変化を検出し得る、電気的インピーダンス測定システムを含む、項目29に記載の方法。
32.前記部位および隣接する組織を冷却し、その結果該部位および隣接する組織を冷却状態にする工程をさらに包含する、項目21に記載の方法。
33.前記冷却手段が、Peltierデバイスを含む、項目32に記載の方法。
34.前記部位を穿孔する前に、少なくとも該部位を光で照射し、その結果該部位が殺菌される工程をさらに包含する、項目21に記載の方法。
35.前記部位を固体エレメントと接触させ、ここで該固体エレメントが、前記生体膜へ有効量の熱エネルギーを伝導的に伝達するための熱源として機能して、温度を上昇させ、それにより微細穿孔を作製する工程を包含する、項目21に記載の方法。
36.前記熱源が構築されて、前記部位の温度を、約10ナノ秒〜50ミリ秒内で100℃を越
えるように調節し、次いで該部位の温度を、約1ミリ秒〜50ミリ秒内でほぼ周囲温度に戻し、そしてここで温度を上昇しそして周囲温度に戻すサイクルが、前記所望の深度にまで前記生体膜を穿孔するのに有効に1回以上反復される、項目35に記載の方法。
37.前記部位のほぼ周囲温度に戻す前記工程が、前記熱源を該部位との接触から取り除くことによって行われる、項目36に記載の方法。
38.前記調節パラメーターが、動物被験体に対する感覚を減少させるように選択される、項目36に記載の方法。
39.項目35の前記固体エレメントと前記生物との間の電気的インピーダンスを、前記部位および隣接する組織を通してモニターするための手段、および該固体エレメントの部分を進行させ、その結果、前記穿孔がインピーダンスに付随する変化を生じ、前記進行手段が該固体エレメントを進行させ、その結果該固体エレメントが、該固体エレメントの加熱の間、該選択されたインピーダンスが得られるまで該部位と接触されるための手段を提供する工程をさらに含む、項目31に記載の方法。
40.前記固体エレメントを前記部位との接触から取り除くための手段であって、ここでモニタリング手段が、該部位の表面の基底にある選択された層を接触することに関連するインピーダンスにおける変化を検出し得、そして該取り除く手段にシグナルを送信して、該固体エレメントを該部位との接触から除き得る手段をさらに包含する、項目38に記載の方法。
41.前記固体エレメントが、オーム加熱エレメントを介して電流を送達することによって加熱される、項目35に記載の方法。
42.前記固体エレメントが形成され、その結果、それが電気的伝導成分を含み、そして該固体エレメントの温度が、調節された電流を伝導エレメントを介して通過させることによって調節される、項目35に記載の方法。
43.前記固体エレメントが、調節可能な磁場に配置され、ここで磁場の励磁が、該固体エレメントを加熱するのに十分な渦電流を産生する、項目35に記載の方法。
44.前記穿孔が、微細穿孔を形成するように校正された微小ランセットで前記部位を穿孔することによって達成される、項目21に記載の方法。
45.前記穿孔が、前記部位に指向される音波エネルギーのビームによって達成される、項目21に記載の方法。
46.前記穿孔が、前記生体膜を、液体の高圧ジェットで水力学的に穿孔して、微細穿孔を形成することによって達成される、項目21に記載の方法。
47.前記穿孔が、前記生体膜を、電気的に短いパルスで穿孔し、微細穿孔を形成することによって達成される、項目21に記載の方法。
48.前記浸透性物質が核酸を含む、項目1に記載の方法。
49.前記核酸がDNAを含む、項目48に記載の方法。
50.前記核酸がRNAを含む、項目48に記載の方法。
51.前記生体膜における前記微細穿孔が、1〜30ミクロンの深度の範囲の該生体膜の外側の層の部分へ伸張する、項目1に記載の方法。
52.前記生体膜における微細穿孔が、10〜200ミクロンの深度の範囲の該生体膜の外側
の層の部分へ伸張する、項目1に記載の方法。
53.前記生体膜における微細穿孔が、100〜5000ミクロンの深度の範囲の該生体膜の接
続組織層の部分へ伸張する、項目1に記載の方法。
54.前記生体膜における微細穿孔が、1000〜10000ミクロンの深度の範囲の該生体膜の
接続組織層の部分を介して伸張する、項目1に記載の方法。
55.前記微細穿孔が、決定された深度へ前記生体膜を透過して、前記選択された浸透性物質の所望の活性を促進する、項目1に記載の方法。
56.前記浸透性物質がポリペプチドを含む、項目1に記載の方法。
57.前記ポリペプチドがタンパク質である、項目56に記載の方法。
58.前記ポリペプチドがペプチドを含む、項目56に記載の方法。
59.前記ペプチドがインシュリンを含む、項目58に記載の方法。
60.前記ペプチドが放出因子を含む、項目58に記載の方法。
61.前記浸透性物質が炭水化物を含む、項目1に記載の方法。
62.前記炭水化物がヘパリンを含む、項目61に記載の方法。
63.前記浸透性物質が鎮痛剤を含む、項目1に記載の方法。
64.前記鎮痛剤がオピエートを含む、項目63に記載の方法。
65.前記浸透性物質がワクチンを含む、項目1に記載の方法。
66.前記浸透性物質がステロイドを含む、項目1に記載の方法。
67.前記浸透性物質がキャリアと結合する、項目1に記載の方法。
68.前記キャリアがリポソームを含む、項目67に記載の方法。
69.前記キャリアが脂質複合体を含む、項目67に記載の方法。
70.前記キャリアが微粒子を含む、項目67に記載の方法。
71.前記キャリアがポリエチレングリコール化合物を含む、項目67に記載の方法。
72.項目66に記載の方法と組み合わせた、項目65に記載の方法。
73.前記浸透性物質が、前記生物内に存在する分析物に近接する刺激物へのその検出可能な応答を変化させる能力を有する物質を含む、項目1に記載の方法。
図面のいくつかの図の簡単な説明
図1は、レーザーダイオード光を送達し、そして穿孔の進行をモニタリングするためのシステムの概略を示す。 図2は、穿孔をモニタリングするための閉ループフィードバックシステムの概略を示す。 図3Aは、冷却デバイスを備える光学的穿孔システムの概略を示す。図3Bは、図3Bに従う例示的な冷却デバイスの概略の平面図を示す。 図4は、機械的アクチュエーターを有するオーム加熱デバイスの概略を示す。 図5は、高抵抗電流ループ加熱デバイスの概略を示す。 図6は、誘導性加熱を用いる加熱を変調するためのデバイスの概略を示す。 図7は、インピーダンスの変化を使用して穿孔の程度を決定する、閉ループインピーダンスモニターの概略を示す。 図8A〜Dは、フタロシアニン銅で処理をし、次いで、20msのパルス周期の間に4000J/cm2のエネルギー密度で、それぞれ、0、1、5、および50パルスの810nm光を受けたヒト皮膚の断面を示す。 図8A〜Dは、フタロシアニン銅で処理をし、次いで、20msのパルス周期の間に4000J/cm2のエネルギー密度で、それぞれ、0、1、5、および50パルスの810nm光を受けたヒト皮膚の断面を示す。 図9〜11は、光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の温度分布のグラフ表示を示す。 図9〜11は、光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の温度分布のグラフ表示を示す。 図9〜11は、光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の温度分布のグラフ表示を示す。 図12および13は、光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、角質層および生存表皮のそれぞれにおける時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図12および13は、光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、角質層および生存表皮のそれぞれにおける時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図14〜16は、組織が穿孔前に冷却された光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図14〜16は、組織が穿孔前に冷却された光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図14〜16は、組織が穿孔前に冷却された光学的穿孔を用いるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図17〜19は、組織が熱ワイヤで加熱されたシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図17〜19は、組織が熱ワイヤで加熱されたシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図17〜19は、組織が熱ワイヤで加熱されたシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図20〜22は、穿孔前に、組織が熱ワイヤで加熱され、そして組織が冷却されたシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図20〜22は、穿孔前に、組織が熱ワイヤで加熱され、そして組織が冷却されたシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図20〜22は、穿孔前に、組織が熱ワイヤで加熱され、そして組織が冷却されたシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布、角質層における時間の関数としての温度、および生存表皮における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図23および24は、組織がTankovich'803の操作パラメーターに従って光学的に加熱されるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布および角質層における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図23および24は、組織がTankovich'803の操作パラメーターに従って光学的に加熱されるシュミレートされた熱穿孔事象の間の、それぞれ、温度分布および角質層における時間の関数としての温度のグラフ表示を示す。 図25は、時間の関数として間質液(ISF;)および血液()のグルコースレベルのグラフ表示を示す。 図26は、図25のISFグルコースデータと血液グルコースデータとの間の異なる期間の分散プロット表示を示す。 図27は、図25からの血液グルコースレベルに対するISFの相対偏差のヒストグラムを示す。 図28は、個体の皮膚上の選択された領域へ薬物を送達するための例示的な送達装置の断面を示す。 図29A〜Cは、選択された領域へのリドカインの送達により影響される皮膚の領域のグラフ表示を示す。ここで、角質層は、穿孔されるか(図29A〜B)または穿孔されていない(図29C)。 図30は、吸引単独()ならびに吸引および超音波の組合せ()により微細穿孔から採集した間質液の量を比較するプロットを示す。 図31、32、および33は、それぞれ、間質液を採集するための超音波トランスデューサー/真空装置の斜視図、同じ装置の断面図、および同じ装置の断面概略図を示す。 図31、32、および33は、それぞれ、間質液を採集するための超音波トランスデューサー/真空装置の斜視図、同じ装置の断面図、および同じ装置の断面概略図を示す。 図31、32、および33は、それぞれ、間質液を採集するための超音波トランスデューサー/真空装置の斜視図、同じ装置の断面図、および同じ装置の断面概略図を示す。 図34A〜Bは、それぞれ、手で握れる大きさの超音波トランスデューサーの平面図およびそのへら状端部の側面図を示す。 図35は、テストステロンの経皮送達における微細穿孔効果の増強を示すグラフ表示である。
好ましい実施態様の詳細な説明
本発明は、本明細書中で開示される特定の構成、プロセス工程、および材料に限定されないことを理解すべきである。なぜなら、このような構成、プロセス工程、および材料は、多少変更し得るからである。また、本明細書中で使用される用語は、特定の実施態様のみを記載する目的のために使用され、そして限定することを意図せず、なぜなら、本発明の範囲は、添付の請求の範囲およびその等価物よりのみ制限されることも理解すべきである。
本明細書および添付の請求の範囲に使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに単数であることを示さない限り、複数の対象を含むことに注意しなければならない。従って、例えば、「薬物(単数)」の送達方法に対する言及は、2つ以上の薬物の混合物の送達に対する言及を含み、「分析物(単数)」に対する言及は、1つ以上のこのような分析物に対する言及を含み、そして「浸透エンハンサー」に対する言及は、2つ以上の浸透エンハンサーまたは超音波およびエレクトロポレーションのような技術の混合物に対する言及を含む。
従って、本明細書中に記載される場合、単数形は複数形と交換可能に使用され得、そしてその反対もまた同様であり、すなわち「層(単数)」は複数の層を意味することが可能であり、「層(複数)」は単数の層を意味することが可能である。
本明細書中で用いられる場合、「含むこと(including)」または「含む(includes)」な
どは含むことを意味し、制限を意味しない。
本発明に記載されている、および請求されている以下の専門用語は、以下に記載される定義に従って使用される。
本明細書中に用いられる場合、「生物」は、本明細書中に記載される方法によって作用を受ける動物全体または植物全体を意味する。
本明細書中に用いられる場合、「穿孔」、「微細穿孔」、または任意のこのような類似の用語は、分析のために表面の下から分析物を通過させるため、または選択された目的のために体内に透過性物質もしくは薬物を通過させるため、あるいは特定の医学的または外科的手順のために、生体膜の障壁特性を減少させるために皮膚または粘膜あるいは生物の外層のような生体膜内に、またはこれらを通る、所望の深さに小さな穴または孔を形成させることを意味する。本明細書中にいう微細穿孔プロセスとは、エレクトロポレーションによって形成される開口と主に微細孔の最少の大きさにより区別される。一方、エレクトロポレーションによって形成される開口は、代表的に、どの寸法もほんの数nmである幅1ミクロン以上、そして少なくとも1ミクロンの深さである。それにもかかわらず、エレクトロポレーションは、透過性物質が微細孔を通って組織のこれらのより深い層へと通過した後、生物の外層の下への、標的組織による選択された透過性物質の取り込みを容易にするのに有用である。好ましくは、穴または微細孔は直径約1mm以下であり、そしてより好
ましくは直径約300μm以下であり、そして以下に記載されるように選択された深さに達する。
本明細書中に用いられる場合、「微細孔」または「孔」は、微細穿孔方法によって形成された開口を意味する。
本明細書に使用される場合、「切除」は、細胞、または生体膜または組織のいくつかの部分を含む他の成分を含み得る物質の、以下のいずれかによって引き起こされる制御された除去を意味する:このような物質の蒸発性成分のいくらかまたは全てが、気化が生じる点まで加熱され、そしてこの相転移に起因する、得られた迅速な体積膨張によって、この物質およびおそらくいくらかの隣接する物質が切除部位から除去される場合に放出される、運動エネルギー;穿孔部位での、組織のいくらかまたは全ての熱分解、機械的分解、または音波分解。
本明細書中に使用される場合、組織の切除または組織の穿刺は同じエネルギー供給源の利用により達成され得る。
本明細書中に使用される場合、「組織」は、細胞、生体膜、骨、コラーゲン、体液、および生物のある部分を含むものを含むがこれらに制限されない、生物の成分を意味する。
本明細書中に使用される場合、「音波(sonic)」または「音響(acoustic)」は相互
交換可能であり、そして0.01Hz以上の振動数範囲にわたる。
本明細書中に使用される場合、「超音波」とは、20,000Hz以上の上限のない振動数を含む音波の部分集合をいう。
本明細書中に使用される場合、「穿刺」または「微細穿刺」は、動物の皮膚もしくは粘膜層または植物の組織外層のような生物学的な膜の全体にまたは部分的に穴を開けるための機械的手段、水力学的手段、音波手段、電磁的手段、または熱的手段の使用を意味する。
「切除」および「穿刺」は、同じ穿孔という目的、すなわち、必要に応じて内在組織に有意に損傷を有することなく、生物学的な膜中に穴または孔を作製することを達成という範囲で、これらの用語は相互交換可能に用いられ得る。
本明細書中に使用される場合、「透過(penetration)増強」または「浸透(permeation)増強」は、生物活性薬剤、薬物、分析物、色素(dye)、染料(stain)、微粒子、ミクロ
スフェア、化合物、または他の化学的処方物(「透過性物質」とも呼ばれる)に対する、皮膚もしくは粘膜もしくは頬膜または植物の組織外層のような生物学的な膜の浸透エンハンサー使用による浸透性(すなわち、生物活性薬剤、薬物、分析物、染料、微粒子、ミクロスフェア、化合物、または他の化学的処方物が生物学的な膜を浸透し、そして生体膜を通る分析物の回収または生体膜を通り、かつ内在組織への物質の送達を容易にする速度を増加するため)の増加を意味する。このようなエンハンサーの使用によってもたらされる増強された浸透は、例えば、拡散用の器具を用いた動物皮膚またはヒト皮膚を通る、透過性物質としての色素の拡散を観察することにより観察され得る。
本明細書中に使用される場合、「透過エンハンサー」「浸透エンハンサー」「エンハンサー」などは、透過性物質、分析物、または他の分子の、皮膚を横切る流動性を増加させる全ての物質および技術を含み、そしてこれは機能性によってのみ限定される。言い換えると、全ての細胞包膜傷害性化合物および溶媒ならびにエレクトロポレーション、イオン導入法、磁場、音波エネルギー、熱エネルギー、またはその部位への局所的なマッサージのような機械的な圧力もしくは機械的な操作のような物理的技術ならびに任意の化学的エンハンサーが包含されることが意図される。
本明細書中に使用される「化学的エンハンサー」は、透過性物質または分析物の流動性を増加させる物質、または生物学的な膜を横切る他の物質を意味し、そしてこれは機能によってのみ限定される。
本明細書中に使用する「色素」「染料」などは、相互変換可能に使用され、そして組織を切除してその中に微細穿孔を形成するために使用されるパルス光源の発光範囲のいくらかまたは全てにわたって適切な吸収を示す、生物学的に適切な発色団をいう。
本明細書中に使用する「経皮(transdermal)」もしくは「経皮(percutaneous)」または「経膜(transmembrane)」もしくは「経粘膜(transmucosal)」もしくは「経頬(transbuccal)」は、薬物の有効な治療血中レベルまたは組織レベルを達成するための生体膜または組織中への、もしくはそれを通る透過性物質の通過、または分析物分子が体外で回収され得るように、生体膜もしくは組織を通って、体内に存在する分子(「分析物」)の外への通過を意味する。
本明細書中に用いられる場合、「生物活性薬剤」、「透過性物質」、「薬物」もしくは「薬理学的に活性な薬剤」または「送達可能な物質」または他の類似の用語は、以前から当該分野で公知である方法、および/あるいは本発明中で教示される方法による送達に適切な、任意の化学的または生物学的な物質もしくは化合物を意味し、これは生物学的効果、または薬理学的効果のような所望の効果を含み、これは(1)生物に対して予防効果を有し、そして所望でない生物学的効果を妨げること(例えば、感染を妨げること)、(2)疾患により引き起こされる状態を軽減すること(例えば、疾患の結果として引き起こされる疼痛または炎症を軽減すること)、(3)生物から疾患を軽減すること、低減すること、または完全に排除することのいずれか、および/または(4)必要に応じて、可逆的
な様式で、特定の分析物の濃度の変化に反応し得、そしてこのようにする際、この領域への、電磁的、機械的、または音波的であり得るエネルギーの適用に対する、この化合物または処方物の測定可能な応答の検出可能な移動を引き起こし得る化合物または処方物の、生物の生存可能な組織層内への配置を含むが限定しない。この効果は、局部麻酔効果を提供するように局所的または全身性であり得る。本発明は、微細穿孔技術によるもの以外は新規透過性物質または新たな活性薬剤クラスには関しない。しかし、経皮、経粘膜、経膜、または経頬送達に代表的に用いられない物質が今や使用可能であり得る。むしろ、本発明は当該分野に存在するか、または活性薬剤として後に確立され得、かつ本発明による送達に適した生物活性薬剤または透過性物質の送達の態様に関する。
このような物質は、生物に正常に、送達(皮膚を含む、身体表面および膜を介して、ならびに注入(針の、水力学的もしくは超過速度(hypervelocity)の方法を含む)による送
達を含む)される広範なクラスの化合物を包含する。一般に、これは、以下のものを含むが、これらに限定されない:ポリペプチド(タンパク質およびペプチド(例えば、インスリン)を含む);放出因子(黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)を含む);炭水化物(ヘパリンを含む);核酸;ワクチン;および抗感染薬(例えば、抗生物質および抗ウイルス剤)のような薬理学的に活性な薬剤;鎮痛薬および鎮痛薬の組合せ;食欲抑制薬;駆虫薬;抗関節炎薬;抗喘息剤;抗痙攣薬;抗鬱薬;抗糖尿病剤;止瀉薬;抗ヒスタミン薬;抗炎症剤;抗片頭痛製剤;制吐薬;抗悪性腫瘍薬;抗パーキンソン薬;止痒薬;抗精神病薬;解熱薬;鎮痙薬;抗コリン薬;交感神経模倣薬;キサンチン誘導体;心血管製剤(カリウムチャンネルブロッカーおよびカルシウムチャンネルブロッカー、βブロッカー、αブロッカーならびに抗不整脈薬を含む);降圧薬;利尿薬および抗利尿薬;血管拡張薬(全身冠状血管拡張薬、末梢血管拡張薬、大脳血管拡張薬を含む);中枢神経系興奮薬;血管収縮薬;咳および風邪の製剤(鬱血除去薬を含む);エストラジオール、テストステロン、プロゲステロンおよび他のステロイドのようなホルモンならびに誘導体および類似体(副腎皮質ステロイドを含む);催眠薬;免疫抑制薬;筋弛緩薬;副交感神経遮断薬;覚醒剤;鎮静薬;および精神安定薬。本発明の方法により、イオン化および非イオン化浸透性物質の両方が送達され得、同様に、50ダルトン未満から1,000,000ダルトンより大きい
範囲の分子量の物質を含む任意の分子量の浸透性物質が送達され得る。
本明細書中に使用する、浸透性物質の「有効」量は、所望の局所的または全身的効果、および任意の処置に伴う合理的な利益/危険比での実行を提供するために十分な量の化合
物を意味する。本明細書中に使用する、エンハンサーの「有効」量は、組織浸透性における所望の増加および所望の透過の深さ、投与の速度、および送達される浸透性物質の量を提供するために選択された量を意味する。
本明細書中に使用する、「キャリア」または「ビヒクル」とは、他の浸透性物質との投与に適切である使用量で有意の薬理学的活性を有さないキャリア材料をいい、そして当該分野で公知の任意のこのような物質(例えば、任意の液体、ゲル、溶媒、液体希釈剤、可溶化剤、ミクロスフェア、リポソーム、マイクロパーティクル(microparticles)、脂質複合体など)を含む。これは、使用および投与される量で十分に非毒性であり、そして投与される薬物と有害な様式で相互作用しない。本明細書中における使用に適切なキャリアの例として、水、緩衝液、鉱物油、シリコーン、無機ゲルもしくは有機ゲル、水性エマルジョン、液糖、脂質、マイクロパーティクル、蝋、ワセリン(petroleum jerry)、ならびに種々の他の油およびポリマー材料が挙げられる。
本明細書中に使用する、「生体膜」は、生物のある領域を別の領域から隔離し、そして多くの例では、生物をその外環境から隔離する、生物内に存在する組織物質を意味する。従って、皮膚および粘膜および頬膜ならびに植物外層が含まれる。また、細胞壁もしくは血管がこの定義内に含まれる。
本明細書中に使用する、「粘膜」もしくは「粘膜(mucosa)」とは、口、鼻咽頭、咽喉、気道、尿生殖器管、肛門、眼、腸の上皮内層および膀胱、結腸、肺、血管、心臓などのような内視鏡的装置により受容可能な他の全ての表面をいう。
本明細書中に使用する、「頬膜」は、口の粘膜を示す。
本明細書中に使用する、「外層」および「結合組織層」は、生体膜の部分であり以下の意味を有する。「外層」は、皮膚の表皮もしくは粘膜の上皮内層もしくは植物の外層の全てまたは部分を意味する。当該分野で周知であるように、ほとんどの動物上皮の表在部分は角質層である。上皮のより深部は、本明細書中以後で簡単に「生存細胞層」と呼ぶ。外層の下は「結合組織層」である。結合組織層は皮膚の真皮、もしくは粘膜内の固有層、もしくは植物または動物の他の下層組織を意味する。
本明細書中に使用する、「生物」もしくは「個体」もしくは「被験体」もしくは「身体」とは、本発明が適用され得る、任意のヒト、動物もしくは植物をいう。
本明細書中に使用する、「分析物」は、本発明において教示される技術によりまたは当該分野において既に公知の技術により生体膜を通る通過に適切な化学的または生物学的な物質もしくは化合物であって個体が身体内のその濃度または活性を知ることを所望し得る任意の物質もしくは化合物を意味する。グルコースは皮膚を通る通過に適切な糖であるので、分析物の特定の例であり、そして個体、例えば、糖尿病を患う個体は、その血液グルコースレベルを知ることを所望し得る。分析物の他の例として、ナトリウム、カリウム、ビリルビン、尿素、アンモニア、カルシウム、鉛、鉄、リチウム、サリチル酸、抗体、ホルモンもしくは外因性送達物質などのような化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中に使用する、生体膜もしくは層自体の「中へ」もしくは「中」は、1つ以上の層(例えば、角質層の全体もしくは部分または皮膚の外層全体もしくはその一部)のみへの浸透もしくは通過を示す。
本明細書中に使用する、生体膜もしくは層自体の「通る」は、生体膜もしくはその層の奥行全体の通ることを意味する。
本明細書中に使用する、「経皮流動速度」は、被験体の皮膚を通る、外への任意の分析物の通過の速度、または被験体の皮膚(外部環境から生物を隔離する)内のおよび皮膚を通る、任意の生物活性剤、薬物、薬理学的に活性な薬剤、色素(dye)、粒子または色素(pigment)の通過速度である。「経粘膜流動速度」および「経口流動速度」とは、粘膜および頬膜を通るこのような通過をいい、そして「経膜流動速度」とは、任意の生体膜を通るこのような通過をいう。
本明細書中に使用する、「経皮的」、「経粘膜的」、「経頬的」および「経膜的」は、それらの使用の情況で適切なように相互に交換可能に使用し得る。
本明細書中に使用する、「強度振幅」、「強度」および「振幅」は同義的に使用され、そして音波、熱、機械もしくは電磁エネルギーシステムにより生成されるエネルギー量をいう。
本明細書中に使用する、「周波数変調」または「掃引」は、所定の時間期間における音波、熱、機械もしくは電磁エネルギーの周波数における、連続的な、勾配的または段階的な変化を意味する。周波数変調は、所定の時間期間における周波数の勾配的または段階的な変化、例えば、1秒間に5.4〜5.76MHz、または0.1秒間に5〜10MHz、または0.1秒間に10〜5MHz、あるいは特定の用途に適切な任意の他の周波数範囲または時間期間である。複合変調は、同時に周波数および強度の両方の変化を含み得る。例えば、米国特許第5,458,140号の図4Aおよび4Bは、それぞれ、単一の音波エネルギートランスデューサーに対して
同時に適用される振幅および周波数の変調を表し得る。
本明細書中に使用する、「振幅変調」は、所定の時間期間における音波、熱、機械もしくは電磁エネルギーの振幅もしくは強度における、連続的な、勾配的なまたは段階的な変化を意味する。
本明細書中に使用する、「位相変調」は、音波、熱、機械もしくは電磁エネルギーもしくはシグナルの(その初期状態から相対的に変化する)タイミングを意味する。例を米国特許第5,458,140号の図4Cに示す。シグナルの周波数および振幅は同一のままであり得る
。位相変調は、その以前の状態または別のシグナルを参照して時間的に、そのシグナルを選択的に遅らせるかまたは進ませるような可変の遅滞と共に実行され得る。
本明細書中に使用する、「シグナル」もしくは「エネルギー」は同義で使用され得る。本明細書中に述べるように、音波、熱、機械もしくは電磁エネルギーと、周波数、強度または位相変調あるいはその組合せ、および音波、熱、機械もしくは電磁エネルギーと組み合わせた化学的エンハンサーの使用を用いる種々の適用において、約0.01Hz〜1000MHzの
間の周波数範囲にわたって変化し得、約0.1Hzと30MHzとの間の範囲が好適である。
本明細書中に使用する、「非侵襲性」は、被験体の一部分(皮膚もしくは粘膜を含む)へ、針、カテーテル、または他の侵襲性医療器具の侵入を必要としないことを意味する。
本明細書中に使用する、「最小侵襲性および「非侵襲性」は、同義である。
本明細書中に使用する、「マイクロパーティクル」もしくは「ミクロスフェア」もしくは「ナノパーティクル(nanoparticles)」もしくは「ナノスフェア」もしくは「リポソー
ム」もしくは「脂質複合体」は、相互に交換可能に使用し得る。
生体膜の穿孔のための手段
生体膜における微細孔の形成は、種々の状態の当該技術の手段およびその改良である本明細書中に開示される特定の手段により達成され得る。以下の技術および実施例は生体膜の穿孔に関してなされたものであるが、本明細書中で述べた改善もまた、粘膜もしくは頬膜または植物の外層の穿孔に適用されることを理解するべきである。
米国特許第4,775,361号においてJacquesらにより、およびLaneら、上述、により記載されるレーザー切除の使用は、エキシマーレーザーを用いて角質層を切除するための手段を確かに提供する。193nmの波長および14nsのパルス幅で、約0.24〜2.8μmの角質層が、約70〜480mJ/cm2の放射体曝露で各レーザーパルスにより除去され得ることが見出された。パルスエネルギーが増加するにつれ、角質層から取り除かれる組織が大きい程、この層の完全な穿孔に必要であるパルスはより少なくなる。熱緩和時間の制限内で、組織切除をもたらす適切な微小破裂を引き起こすために、角質層により吸収されなければならない放射体曝露のより低い閾値は、50ミリ秒(ms)時間内で約70mJ/cm2である。換言すれば、合計70mJ/cm2が50ミリ秒ウインドウ間で送達されなければならない。これは、70mJ/cm2の単一パルスで、または7mJ/cm2の10パルスで、または50ミリ秒時間の間の1.4ワット/cm2の連続照度で行われ得る。放射体曝露の上限は、下にある組織に損傷を与えることなく角質層を切除する放射体曝露であり、そして光源、光の波長、および当業者の経験および知識の範囲内にある他の変数から経験的に決定され得る。
「送達」とは、エネルギー適用の状況において、所定量のエネルギーが切除される組織により吸収されることを意味する。193nmのエキシマーレーザー波長で、本質的に100%の吸収が、最初の1または2μmの角質層組織内で起こる。角質層が約20μmの厚さであると仮定すると、より長い波長(例えば、670nm)では、入射光の約5%のみが、この20μm層
内に吸収される。このことは、高パワービームの約95%が、角質層の下にある組織に通過することを意味し、ここで、著しい損傷を引き起こすようである。生物活性薬剤を送達する状況において、この用語は、所望の位置に生物活性薬剤を提供することを意味する。
分析物が抽出されるかあるいは透過性物質が送達される、下にあるおよび隣接する組織に対して、出血、熱、または他の受容されない損傷を引き起こすことなく、生体膜または他の選択された皮膚、粘膜、あるいは組織層を穿孔するために必要な程度の大きさのパワーのみを使用することが理想である。
エキシマーレーザー由来のエネルギーより経済的なエネルギーの供給源を使用することは有益である。遠UV領域の波長で光を発光するエキシマーレーザーは、例えば、可視およびIR領域(600〜1800nm)にある波長で光を発光するダイオードレーザーより、操作および維持するためにかなり多く費用がかかる。しかし、より長い波長で、生体膜は漸増的により透明になり、そして主に、下にある組織において吸収が起こる。
本発明は、局所的に適用する場合に、身体への物質の膜貫通輸送を容易にするか、または分析のために身体内の分析物に接近するために、生体膜の障壁機能を取り除く迅速かつ最小の外傷を与える方法を容易にする。この方法は、生体膜標的領域への小面積熱源の接触適用で始まる手順を利用する。
熱源は、ここで記載されるように、いくつかの重要な特性を有さなければならない。第1に、熱源は、生体膜との接触が小面積に限定されるようなサイズ、代表的には、直径約1〜1000μmでなければならない。第2に、それは、周辺の表面温度から生体膜内の十分
量の成分の蒸発温度を超えるまで、接触点における生体膜の温度を調節し、次いで、周期時間でおよそ周辺の温度にまで回復させ、生存組織に対して付随する損傷および被験体に対する外傷を最小にする能力を有さねばならない。この調節は、電気的に、機械的に、または化学的になされ得る。
さらに、選択された適用について、熱源が、30%を超える水含量を有する組織に接触して置かれる場合、これらの組織における熱分散が、100℃未満に熱源の最大温度を限定す
るに十分であるように、その温度を上昇させるに十分小さな熱質量および限定されたエネルギー供給源の両方を有する場合、微小穿孔プロセスの固有の深さを限定する特徴が促進され得る。一旦、熱プローブが角質層を通して表皮のより下の層にまたは貫通して透過されると、この特徴は熱蒸発プロセスを効果的に停止させる。
しかし、生体膜の外層のすぐ下の層の水分を含んだ生存組織層へ、または通過して十分なエネルギーを送達し続け得る熱プローブを利用する場合、穿孔プロセスは、選択された深度に身体へ連続し、例えば、皮膚の場合、表皮、真皮を通過して、そして所望されるならば、下方の皮下層を含む、より深い層を貫通して透過し得る。システムが、角質層、粘膜、もしくは頬粘膜直下の生存組織へまたは貫通していくらかの深さになる微細穿孔を作製するように設計される場合の問題は、主に、隣接組織への損傷および穿孔プロセスの際の被験体の感覚をいかに最小にするかである。実験的には、本発明者らは、用いられる熱プローブが、直径数百ミクロンに過ぎないように物理的に規定され、そして支持基盤から数ミリメートルまで突き出ている活性な加熱されたプローブチップを有する、固体の電気的にまたは光学的に加熱されるエレメントである場合、電流の単一パルス、または複数パルスは、十分な熱エネルギーを組織へまたは貫通して送達し、物理的設計によって可能な深さ、例えば、支持基盤が構成エレメントとして、組織へまたは貫通して透過の程度を制限する、本質的には、新鮮な穿孔されていない組織を接触させるために、熱プローブが微細穿孔へ透過し得る深さを制限するように作用するまで、切除を透過させ得ることを示した。組織と接触させる場合、この熱プローブの電気的および熱特性が、エネルギーパルスをこのプローブの温度を十分迅速に調節させれば、この型の深い組織穿孔は、被験体に対して本質的に疼痛を与えず達成され得る。実験は、必要量の熱エネルギーがおよそ20ミリ秒以内でプローブに送達される場合、この手順は無疼痛であることを示した。逆に、エネルギーパルスが、約20ミリ秒を超えて出力されなければならない場合、被験体への感覚は、パルス幅が広くなるにつれ、急激にかつ非線形的に増加する。
この型の選択された深さの穿孔を支持する、電気的に加熱されたプローブ設計は、50〜150ミクロン直径のタングステンワイヤを鋭いキンク(kink)に屈曲させ、この点で最小の
内部半径を有する180度に近い屈曲を形成することにより造られ得る。次いで、この微小
な「V」型ワイヤ片は、「V」の点が、その上に被覆された銅電極を有する支持片からある程度の距離をおくように取り付けられ得る。ワイヤがこの支持から離れている距離は、ワイヤが加熱された場合の組織へのまたは組織を貫通する最大透過距離を規定する。タングステン「V」の各脚部は、順に電流のパルス回路に接続され得る支持キャリア上の電極の一方に付着される。電流が適切に制御された様式でワイヤに送達される場合、ワイヤは、所望の温度に迅速に加熱され、電流の単一パルスまたは複数パルスで熱的切除プロセスをもたらす。プローブの動力学的インピーダンスをモニタリングし、そしてタングステンエレメントの抵抗対温度の係数を知ることによって、接触点の温度の閉ループ制御は、容易に樹立され得る。また、プローブの接触点およびいくらかの距離をおいて配置される第2の電極からの身体を通過するインピーダンスを動力学的にモニターすることによって、孔の深さは、より深く身体へ浸透するにつれて、組織の異なるインピーダンス特性に基づいて評価され得る。
この型の選択される深さの穿孔を支持する光学的に加熱されるプローブ設計は、光ファイバーを採用し、そして固体キャップまたはコーティングからなるチップを一方の先端に配置することにより、造られ得る。レーザーダイオードのような光源が、ファイバーの他方の先端に結合される。ファイバーに面しているチップの側は、光子がファイバーの先端に達し、そしてこの面に衝突する場合、光子のいくらかが、吸収され、次いでチップの加熱を引き起こすように、光源によって放出される波長の範囲にわたって、十分高い吸収係数を有さねばならない。このチップ、ファイバー、および供給源構築の特定の設計は、広範に変化し得る。しかし、50〜1000ミクロン直径の全体的な直径を有するファイバーは、今日ではありふれた部材である。そして光学的エネルギーを数千ワットまで放出する供給源は、同様にありふれている。実際の熱プローブを形成するチップは、高融点物質(例えば、タングステン)から製作され得、ファイバーの先端で円筒孔へのファイバーの挿入を可能にするように精密に製作することによりファイバーへ付着され得る。チップの遠位の先端が、このチップからの熱拡散を制限し、そして用いられる光学的パルス幅の時間枠内で、チップをファイバーへ付着する支持シリンダーをバックさせるように製作される場合、このチップに入射する光子は、組織表面に対して配置される、ファイバー側および接触側の両方において迅速に温度を上昇させる。組織表面に対するファイバー/チップ構築の
位置づけは、直下の組織が切除されるにつれて、チップ自体は組織中に進むように、いくらかのバネ張力下で表面に対してチップを保持するように設計された単純な機構を用いて達成され得る。このことは、熱切除プロセスを、所望される限り組織中へまたは組織を貫通して連続させることを可能にする。この光学的に加熱されるプローブ設計のさらなる特徴は、ファイバーによって集められる加熱されたチップからの黒体放射エネルギーをモニターすることによって、チップ温度の非常に単純な閉ループ制御が、もたらされ得ることである。また、先述のように、プローブの接触点およびいくらかの距離を置いて配置された第2の電極からの身体を貫通するインピーダンスを動力学的にモニターすることにより、孔の深さは、身体へより深く浸透するにつれて、組織の異なるインピーダンス特性に基づいて決定され得る。この設計について、パルス幅と感覚との間の関係は、本質的に、先述された電気的に加熱されたプローブに関して同一である。
インピーダンスは、任意の手段によって作製される孔の深さを決定するために用いられ得る。これは、選択された深さの孔を作製するための制御系への、入力として使用され得る。測定されるインピーダンスは、選択された生物における選択された組織のインピーダンス特性を強調するように選択された周波数で測定された複合インピーダンスであり得る。
本発明のさらなる特徴は、他の透過増強技術と生体膜の外層の穿孔とを組み合わせることによって得られ得る効率の大きな増加である。この技術は、生体有効性(bio-effective)であるように及ぶことが必要である内部隙へのまたはこれを貫通する所望の化合物の有
効な送達に対する種々の障壁について機能するように、目下至適化され得る。特に、裸の、フラグメントされた、カプセル化されたまたは別の薬剤と結合したかのいずれかのDNA
化合物を送達する場合、細胞を殺傷することなく所望の取り込み、続いて治療の実施を可能にするように、生細胞にDNAを取り込ませることが、しばしば所望される。エレクトロ
ポレーション、イオン導入法、および超音波は、一時的に細胞膜および他の内部組織膜において開口を形成させ得ることが、当該分野で周知である。角質層もしくは粘膜層、または植物の細胞壁、そして所望であれば、上皮および真皮、または植物へより深く、突破させることによって、エレクトロポレーション、イオン導入法、磁場、および音波エネルギーは、今や、これらの下にある組織障壁において選択的に作用するように調整され得るパラメーターとともに用いられ得る。例えば、任意の電磁気的または音波エネルギー増強手段に関して、増強の特異的作用が、孔の任意の部分に、例えば、孔の底部に、電極、音波および磁場形成デバイスなどの設計のような用いられる集束手段の設計によって焦点を合わせるように設計され得る。あるいは、エンハンサーは、孔全体または孔周囲の領域に、より一般的に焦点を合わせ得る。エレクトロポレーションの場合では、50〜150ボルトを
超えるパルスを日常的に用いて角質層または粘膜層をエレクトロポレーションする場合、我々が提示する環境においては、わずか数ボルトのパルスが、標的化された組織内の細胞、毛細管または他の膜をエレクトロポレーションするに十分であり得る。これは、原理的には、生体膜の外表面が一旦開口されると、電極の間に存在する絶縁層の数が劇的に減少することに起因する。同様に、イオン導入は、これらの穿孔された層を貫通する体液の流れに対する物理的インピーダンスの劇的な減少に起因して、非常に少ない電流量で微細穿孔を通る、DNAを含む液体媒体の流れを調節するのに効果的であることが示され得る。
以前は、超音波は、微細穿孔を通してこの障壁を排除することにより、角質層または粘膜層の穿孔を促進するために用いられたが、本発明者らは、標的組織内の細胞、毛細管または他の構造を透過可能にするために音波エネルギーを利用する機会を作り出した。エレクトロポレーションおよびイオン導入の場合におけるように、本発明者らは、物質の膜貫通流動における著しい改良をもたらすために必要とされる音波エネルギーレベルは、角質層または粘膜層がインタクトなままである場合より、遥かに低いことを実証した。これらの活性な方法の全て、すなわち、エレクトロポレーション、イオン導入、磁場、機械的影響力または超音波の操作様式は、単独または組み合わせて適用される場合、生体膜の穿孔がもたらされた後では、1つの細胞膜が物質の送達のために開口されているようなインビトロでの適用で代表的に用いられるパラメーターに最も類似する。
熱源を生体膜の表面と接触させて配置すると、周辺温度の開始点から123℃を超えるピ
ーク温度まで、そしてほぼ周辺の表面温度にもどる一連の1つ以上の温度調節を通してサイクルされる。微小穿孔プロセスの動物の感覚的知覚を最小にするかまたは取り除くために、これらのパルスは持続期間で限定され、そしてパルス間の間隔は、生体膜の生存組織層および最も詳細には、神経分布した組織の冷却を可能にするのに十分長く、神経分布した組織内で約45℃未満の平均温度を達成する。これらのパラメーターは、熱プローブと下にある真皮中の神経分布した組織との間に位置する、ヒト皮膚の生存表皮組織の熱時間定数(およそ30〜80ms)に基づく。パルス熱エネルギーのこの適用の結果は、小さな標的ス
ポット内の角質層にまたは貫通して、十分なエネルギーが伝導され、この容量の組織の局所的温度が、角質層内の組織に結合した水含量の気化点より十分に高く上昇されることである。温度が100℃より上に増加するとき、この局在化されたスポット内の角質層の水含
量(代表的には5%〜15%)は、非常に急速に蒸発および膨張するように誘導され、この蒸発事象の近傍に位置する角質層内のこれらの角質細胞の蒸発により駆動される除去を引き起こす。米国特許第4,775,361号は、123℃の角質層温度が、この温度でこの型のフラッシュ蒸発が起こる閾値を示すことを教示する。その後の熱エネルギーパルスが適用される場合、微細孔が、角質層を下って表皮の次の層(淡明層)まで形成されるまで、角質層のさらなる層が取り除かれる。熱パルスの持続時間を、1未満の表皮の熱時間定数に限定し、そして任意の熱エネルギーを表皮にまたは貫通して伝導させて、十分に長い十分な時間の間、散逸させることにより、表皮の生存層の温度の上昇は最小である。これは、被験体に対していずれの感覚もなく、かつ下にあるおよび周囲の組織に損傷を与えることなく、微細穿孔プロセス全体が生じることを可能にする。熱プローブが300℃を超える温度を達
成し得る場合、穿孔のいくつかは、組織の直接熱分解に起因し得る。
本発明は、生物の生体膜に、約1〜1000μm直径の、顕微鏡的な穴(すなわち、微細孔
)を無痛でまたはほとんど感覚を伴わず作製するための方法を包含する。この方法を首尾良く行うことの鍵は、生体膜と接触して保持される、適切な熱エネルギー供給源または熱プローブの作製である。適切な熱プローブを製作することにおける原理的な技術的難題は、生体膜と所望の接触を有し、しかも十分に高い周波数で熱変調され得るデバイスを設計することである。
選択された光源により発光される波長で光を吸収するその能力のために選択された適切な光吸収性化合物(例えば、色素または染料あるいは任意の薄いフィルムまたは物質)と生体膜とを接触させることにより、適切な熱プローブを製作することが可能である。この例では、選択された光源は、通常生体膜により吸収されない波長で発光するレーザーダイオードであり得る。色素、染料、薄いフィルムまたは物質の局所層の表面上の小さなスポットに、光源の焦点を合わせることにより、標的領域は、それに焦点を合わせた光束の強度を変えることにより温度調節され得る。角質層に、レーザー源により発光される波長で光を吸収するその能力により選択された適切な光吸収性化合物(例えば、色素または染料、薄いフィルムまたは物質)を最初に局所適用することにより、エキシマーレーザーより長い波長で発光するレーザー源からのエネルギーを利用することが可能である。同じ概念が任意の波長で適用され得、そして適切な色素または染料および光学波長を選択しなければならないのみである。適切な色素およびこの色素の最大吸収波長はどれであるのか見出すために、任意の参考マニュアルを見る必要があるのみである。1つのこのような参考文献は、Green,TheSigma-AldrichHandbook of Stains,Dyes and Indicators,AldrichChemicalCompany,Inc.Milwaukee,Wisconsin(1991)である。例えば、フタロシアニン銅(PigmentBlue15;CPC)は約800nmで吸収する;フタロシアニン銅テトラスルホン酸(AcidBlue249)
は約610nmで吸収する;そしてインドシアニングリーンは、約775nmで吸収する;そして
クリプトシアニンは約703nmで吸収する。CPCは、以下の理由のためこの実施態様には特に良好に適切である:それは、非常に安定でかつ不活性な化合物であり、移植可能な縫合糸における色素としての使用のために、既にFDAにより許可されている;750nm〜950nmの波
長で非常に強く吸収し、この波長は、レーザーダイオードおよびLEDのような多くの低コ
ストの半導体発光素子と良く一致し、さらに、この領域の光学的バンド幅は、同様に、任意の有意な量で皮膚組織により直接吸収されない;CPCは非常に高い気化点(真空下で>550C)を有し、そして液相を経ることなく、固相から気相に直接移行する;CPCは比較的低
い熱拡散定数を有し、それに焦点を合わせた光エネルギーを、「熱スポット」の周囲CPC
への横方向への拡散が非常に少なく、焦点において直接その領域のみを選択的に加熱し、それによって接触熱プローブの空間的規定を補助する。
この開示の目的は、適切な色素、染料、フィルムまたは物質の網羅的なリストを作成することではない。なぜなら、このようなことは、当業者によって、容易に入手可能なデータから容易に確かめられ得るからである。
同じことが、任意の所望の特定のパルス光源についてあてはまる。例えば、この方法は、パルス光源として、機械的にシャッターを付け、焦点を合わせた白熱ランプを用いて行われ得る。種々のカタログおよび販売文書は、近UV、可視および近IR範囲において動作する多くのレーザーを示している。代表的なレーザーは、2×10-8Jのパワー出力、415nmの
波長で動作する、HammamatsuPhotonicSystems PLP-02モデル;15Jのパワー出力、685nmの波長で動作する、HammamatsuPhotonicSystemsPLP-05モデル;2×106Jのパワー出力、約800〜810nmの波長で動作する、SDL,Inc.,SDL-3250シリーズパルスレーザー;500mWのパワ
ー出力、約670nmの波長で動作する、SDL,Inc.,SDL-8630モデル;15,000mWのパワー出力、790〜830nmの波長で動作する、UniphaseLaserModelAR-081-15000;30mWのパワー出力、690nmの波長で動作する、ToshibaAmerica ElectronicTOLD9150モデル;および50mWのパワ
ー、780nmの波長で動作する、LiCONIX,Diolite800-50モデルである。
本発明の目的のために、パルスレーザー光源は、約100nm〜12,000nmの範囲の広範な波
長にわたって放射を発光し得る。エキシマーレーザーは、代表的には、約100〜400nmの範囲にわたって発光する。約193nm〜350nmの範囲の波長を有する市販のエキシマーレーザーが現在入手可能である。好ましくは、レーザーダイオードは、約380〜1550nmの発光範囲
を有する。周波数倍化レーザーダイオードは、約190〜775nmの発光範囲を有する。約1300nm〜3000nmの範囲のより長い波長は、レーザーダイオードポンプ光学パラメトリック発振器を用いて利用され得る。所定量の研究がレーザー技術について行われれば、これらの範囲は時間と共に広がることが予測される。
任意の光源がレーザー、短アークランプ(例えば、キセノンフラッシュランプ)、白熱ランプ、発光ダイオード(LED)、日光、または任意の他の供給源由来であるか否かに拘わ
らず使用され得るので、送達または吸収されるエネルギーは、任意の光源として、レーザーから得られる必要はない。従って、電磁的放射を送達するために使用される特定の器具は、それに関連する波長およびエネルギーほど重要ではない。適切な波長(すなわち、約100nm〜約12,000nmの範囲)で必要なエネルギーを送達し得る任意の適切な器具は、本発
明の範囲内にあると考えられ得る。必須の特徴は、エネルギーが光吸収性化合物により吸収され、その局在化された熱を引き起こし、続いて、許可された時間枠内に切除される組織に十分な熱を伝導を引き起こさなければならないことである。
1つの例示的な実施態様において、熱プローブ自体は、微細孔が作製される部位を覆うのに十分大きい個体の皮膚の選択された領域に接触するように配置された、好ましくは約5〜1000μmの厚さの、固体の、生物学的に活性でない物質である薄層から形成される。
化学的化合物の特定の処方物は、光吸収化合物にエネルギーを提供することについて選択された光源のスペクトルの領域にわたって高い吸収を示すように選択される。プローブは、例えば、固体の化合物のシートであり得るか、適切な光吸収化合物で処理されたかまたは被膜されたかまたはそれを含むフィルムであり得るか、あるいは沈殿物もしくはキャリア中の懸濁物としての皮膚への光吸収化合物の直接貼布であり得る。光吸収熱プローブの形態にかかわらず、いかなる局所的な温度上昇も依然として十分に場所的に定められ、そして熱損失の主要な態様が皮膚とプローブとの間の接触点を通して生体膜への直接伝導を好ましく介するように、プローブは十分低い側面熱拡散係数を示さなければならない。
プローブの必要とされる温度調節は、プローブ層へ光源を集束することにより、およびこの光源の強度を調節することにより達成され得る。照射された領域内で吸収されたエネルギーが十分に高い場合、プローブ層が加熱される。送達されたエネルギーの量、続いて焦点におけるプローブ層の加熱速度およびピーク温度の両方が、光源のパルス幅およびピーク電力を変えることにより容易に調節され得る。この実施態様では、熱プローブを形成する集束入射光エネルギーにより加熱された少容量のプローブ層であり、実際の穿孔部位より広い範囲にわたって適用され得るさらなるこのプローブ層の物質は副次的である。550℃より高い温度までその固相状態を維持する比較的高い融点を有する固相光吸収化合物
(例えば、銅フタロシアニン(CPC))を用いることにより、熱プローブは急速に数百℃の
温度になり得、そしてなお生体膜と接触したままこの熱エネルギーを角質層へまたは角質層を通して伝える。さらに、この実施態様は、ほとんどのエネルギーが生体膜組織に通常吸収されない、放出スペクトルを有する光源を選択することを含む。
一旦、標的化された領域が光吸収性プローブ層をそれに接触するように配置すると、光源が処置領域の表面と一致するように配されたビームの焦点くびれで活性化されるとき、熱プローブは形成される。焦点くびれにおける光エネルギー密度および光吸収化合物内で生じる吸収量は、光源の焦点により規定される小さなスポットの範囲内の光吸収化合物の温度が、数ミリ秒内で123℃より高い温度になるのに十分であるように設定される。熱プ
ローブの温度が上昇するにつれて、生体膜へのまたは生体膜を通した伝導はエネルギーをこれらの組織へまたはこれらの組織を通して送達し、生体膜の局所温度を上昇させる。十分なエネルギーが生体膜のこの小領域へまたはこの小領域を通して送達されて、局所温度を、これらの組織内に含まれるいくらかの水および他の気化可能な成分の沸点より高い温度に上昇させるとき、この物質の急速な蒸発が生じ、この部位の生体膜の任意の部分を除去し、そして微細孔を形成する。
光源のスイッチをつけたり消したりすることにより、熱プローブの温度は迅速に調節され得、そしてこれらの組織の選択的な切除が達成され得、これにより、生体膜の最初の10〜30μmのみを選択的に通過し得る、非常に正確な大きさの穴が作製され、またはより深
く作成され得る。
本実施態様のさらなる特徴は、生体膜または下層の組織により吸収されるエネルギーを通常ほとんど有しない光源を選択することにより、および十分に高い開口数を有するように集束および送達レンズを設計することにより、熱プローブ自体にたまたま吸収されなかった少量の送達された光が、体内に深く貫通するにつれて素早く分岐することである。送達された波長でほとんど吸収がないので、光源から直接生体膜へ送達されるエネルギーは本質的に全くない。ビーム分岐および未処置組織中の低レベルの吸収に起因する組織中の連結エネルギーのこの3次元希釈は、光ビームと組織との間に完全に穏和な相互作用を生じ、それによってなされる損傷はない。
本発明の1つの好ましい実施態様では、レーザーダイオードが、800±30 nmの放出波長を有する光源として使用される。熱プローブは、細かく砕かれた銅フタロシアニン(CPC)
の沈殿物から形成された0.5cmのスポットを有する接着側で処理された移植接着テープの
局所貼布により形成され得る。CPCは800nmのスペクトル領域で極度に高い吸収係数(代表的にはレーザーダイオードからの放射エネルギーの95%より大きい吸収)を示す。
図1は、このようなレーザーダイオードから個体の生体膜の選択された領域に光を送達し、そして穿孔プロセスの進行をモニタリングするためのシステム10を示す。このシステムは、コントローラー18に連結したレーザーダイオード14を備える。コントローラー18は光のパルスの強度、持続時間、および間隔を制御する。レーザーダイオードは、単数または複数の採集レンズ26に指向するビーム22を放出し、このレンズ26が、ミラー30にビームを集束する。次いで、このビームはミラーにより単数または複数の対物レンズ34に反射され、このレンズ34はビームを予選択点38に集束する。この予選択点はxyzステージ42の面
およびその対物穴46と対応し、その結果個体の生体膜の選択された領域が照射され得る。xyzステージは、xyzステージの位置が制御され得るようにコントローラーに連結される。このシステムはまた、モニター器54に連結したCCDカメラ50を備えるモニターシステムを
備える。CCDカメラは、穿孔プロセスの進行をモニター上で視覚的にモニタリングし得る
ように対物レンズと共焦的に整列される。
本発明の別の例示的な実施態様では、検出フォトダイオードと、切除光源で共焦的に整列された採集光学とのシステムが提供される。図2は、この実施態様において用いられるセンサーシステム60を示す。このシステムは、光ビーム68を放出するための光源64を備え、このビーム68は、予選択点76(例えば、個体の皮膚の表面領域80)にてビームを集束する送達光学システム72に指向される。光が皮膚と接触する部分が反射され、そして他の光が照射された領域から放出される。この反射されかつ放出された光の一部はフィルター84を通過し、次いで、採集光学システム88を通過し、このシステム88は、フォトダイオード92上に光を集束する。コントローラー96は、レーザーダイオードおよびフォトダイオードの両方に連結され、これらはそれぞれ、レーザーダイオードの出力を制御し、フォトダイオードに達する光を検出する。皮膚から放出されたスペクトルの選択された部分のみがフィルターを通過する。標的化された領域から反射され放出された光の移動を分析することにより、このシステムは、角質層が破損されたときを検出する能力を有し、次いで、このフィードバックを用いて光源を制御し、角質層の微細穿孔が達成された場合に光のパルスを失活させる。この型の活性閉ループフィードバックシステムを用いることにより、1個体から次の個体への変動にもかかわらず、最小パワー要求で、角質層に均一な大きさの微細孔を生じる、自己調節的な、一般的に適用可能なデバイスが得られる。
別の例示的な実施態様では、冷却デバイスが皮膚に対するシステムの界面に組み込まれている。図3Aは、その例示的な模式図を示す。このシステム100では、光源104(コントローラー106に連結している)は光ビーム108を放出し、これは送達光学システム112を通過
してそれにより集束される。このビームは、送達光学システムにより予選択点116(個体
の皮膚120の選択された領域のような)へ集束される。ペルチェデバイスまたは他の冷却
手段のような冷却デバイス124は、皮膚と接触してその表面を冷却する。冷却デバイス124の好ましい実施態様(図3B)では、集束光ビームが通過して皮膚と接触する中心穴128が存
在する。図3Aについて再び言及すれば、熱シンク132がまた冷却デバイスと接触して好ま
しく配置される。その中央に光の焦点と一致する小さな穴を有する冷却デバイスを提供することにより、穿孔が作製される一般的な領域の組織が5℃〜10℃に冷却され得る。この冷却は、使用者への潜在的な感覚および穿孔部位直下の表皮に対する付随するあらゆる損傷の可能性を非冷却実施態様から有意に減少させる点で、システムが操作により大きな安全限界を与える。さらに、モニタリング適用のために、冷却は、間質液の蒸発を最小化し、そしてまた、このような間質液の表面張力を減少させるような、有利な物理的特性をまた提供し得る。なおさらに、組織の冷却が、このような冷却された組織における血流の局在化された増大を引き起こすことが知られているので、これは血液から間質液への分析物の拡散を促進し、かつ送達されたパーミアント(permeants)の細孔から離れるかまたは
細孔の根底にある組織の中への拡散を促進する。
この方法はまた、他のマイクロ外科技術に適用され得る。ここでは、光吸収化合物/熱プローブを切除される領域に貼布し、次いで、光源を用いて、選択された標的部位のプローブの温度を選択的に調節する。これは、生じた蒸発-切除プロセスを介して組織に影響
する。
本発明のさらなる特徴は、その有用物が通過した後に微細孔を密封することを援助するために光源を使用することである。特に、内部の分析物のためのモニタリングの場合、微細孔を作製し、そして間質液のいくらかの量をこの開口部を通して抽出する。十分な量の間質液を採集した後、光源を、微細孔内の間質液の迅速なクロッティング(clotting)または凝固を促進するために、低パワーレベルで再活性化する。孔中の流体の凝固またはクロッティングを強行することによって、体内のこの開口部は効果的に密封され、従って感染の危険性を減少させる。また、微細孔の形成およびその密封の両方のための光源自体の使用は、任意のデバイスまたは装置による体内への物理的な透過のない、本質的に無菌の手順である。さらに、光エネルギーにより誘導される熱ショックは、切除部位に偶然に存在し得るいかなる微生物をも殺傷する。
この光学的滅菌の概念は、プロセスにおけるさらなる工程を包含するように拡張され得る。ここでは、光源はまず、集束されない様式で適用され、これは、生じる微細孔の実際のサイズを超える100μm以上に広がる照射された領域を有する標的領域を覆う。集束されていないビームが適用される領域を選択することにより、束(flux)密度を切除閾値よりずっと下であるが皮膚の表面を有効に滅菌するのに十分に高いレベルに対応して減少させ得る。より大きな領域の十分に長い曝露の後、ビームを滅菌するために、1つの連続的な工程または一連のパルスのいずれかにおいて、このシステムは、次いで鋭く集束された切除態様に配置され、そして光学微細穿孔プロセスが開始する。
本発明の別の例示的な実施態様は、小さな直径ワイヤのような固体エレメントから所要熱プローブを作製することである。先に記載された実施態様におけるように、熱プローブの接触表面は、許容された所要時間(好ましくは、高温で約1〜50ms(オン時)、およ
び低温で少なくとも約1〜50 ms(オフ時)の間)内で、周囲生体膜温度から123℃より高
い温度へその温度を調節することができなければならない。特に、5ms周辺の「オン」時および50msのオフ時の間150℃より高い温度まで調節できることは、個体にほとんどまた
は全く感覚を感じさせない非常に有効な熱切除を生じる。
固体エレメント熱プローブ接触領域の温度を調節するためのいくつかの方法が、首尾良く実行され得る。例えば、短い長さのワイヤは、溶接鉄のチップにおいて用いられるオーム加熱エレメントのような、外部加熱エレメントにより所望の高温まで上昇し得る。図4は、機械的アクチュエーターを有するオーム加熱デバイス140を示す。オーム加熱デバイ
スは、固体エレメント熱プローブ148に連結したオーム熱源144を備える。このオーム熱源はまた、断熱マウント152を介してソレノイドのような機械的調節デバイス156に連結している。この配置で、固体エレメントプローブのチップが構造の物理的パラメーター(すなわち、オーム熱源の温度、固体エレメントの長さおよび直径、固体エレメントを取り囲む空気の温度、および固体エレメントを構成する材料)により規定されるいくらかの平衡温度で安定化する定常状態に達し得る。一旦所望の温度に達したら、生物体の生体膜160の
選択された領域の温度の調節を、交互にワイヤのホットチップを生体膜と接触して配置し(好ましくは、5msオン時)、次いでそれを空気中に引っ込める(好ましくは、50msオフ時)機械的調節デバイスを介して直接行う。
別の例示的な例(図5)は、コントローラー178に連結した電源174を備えるデバイス170を示す。電源は、高い抵抗点を示すような構造に形成された固体エレメント186を備える電流ループ182に連結している。好ましくは、この固体エレメントはマウント190上に保持され、そして絶縁体194は電流ループの異なる部を分離している。よって、温度の所望の
調節が、固体エレメントを通る電流を単に調節することにより達成される。固体エレメントの熱量が適切にサイズ化され、そして電源に連結する電極により提供される放熱が十分な場合、固体エレメントの予熱および冷却時間は数ミリセカンドで達成され得る。固体エレメントを生体膜198の選択された領域と接触させて生体膜を加熱し、選択された切除を
達成する。
図6では、固体エレメント熱プローブで生体膜を穿孔するなお別の例示的な例を示す。このシステム200では、固体エレメント204は、励磁コイルであるワイヤコイル208により
形成された変調可能交流磁場内に配置され得る。そこに連結したコントローラー212によ
って励磁コイル内に交流を励磁することにより、渦電流が、内部抵抗損を介して直接的に加熱される十分な強度の固体エレメント熱プローブ中に誘導され得る。これは、本質的に、ツールのチップを熱処理するか、あるいは真空管またはフラッシュ管中の電極から除気することを誘導するために通常用いられる誘導加熱システムの小型バージョンである。誘導加熱法の利点は、固体エレメント熱プローブ中へ送達されるエネルギーが密に制御され得、そして熱プローブそれ自体とは電気的に直接接続されていない励磁コイルの電気的制御を介して容易に変調され得ることである。固体エレメント熱プローブの熱量、およびプローブのチップと接触した生体膜の熱量が既知であれば、送達された誘導エネルギーを制御することは、生体膜220との接触点216における温度の正確な制御をし得る。誘導加熱が達成され得る低周波数では生体膜組織が本質的に非磁性であるので、適切に選択された周波数が励磁コイル中で用いられる場合、この交流電磁場は生物体の組織上でなんの効果も有さない。
機械的に制御される接触調整が用いられる場合、さらなる特徴が単純な閉ループ制御システムを取り込むことにより具現化され得る。ここでは、プローブチップと被検体の皮膚との間の電気インピーダンスがモニタリングされる。この様式において、プローブの位置は、被検体の皮膚と接触するようにされ得、接触がなされれば抵抗の段階的な減少により示され得、次いで所望の「オン時」の間そこに保持され、その後引っ込められ得る。音声コイル機構、単純なソレノイド、カムクランクまたはベルクランクを有するロータリーシステムなどのような、いくつかの型の線形アクチュエーターが、この形態の閉ループ制御のために適切である。利点は、熱除去が進行するにつれて、熱プローブチップの位置が同様に生体膜中に進み得、所要熱エネルギーの効率的な移行を促進するための良好な接触を常に確実にすることである。また、皮膚の穿孔のために、角質層および表皮の電導特性の変化が、穿孔プロセスが完全である洗練された閉ループ検査を提供するために用いられ得る。すなわち、抵抗が表皮に達したことを示したら、穿孔プロセスを停止する時期である。同様のインピーダンスの変化が他の層と同様に良好に透過深度の制御に使用し得る 図7は、このような閉ループインピーダンスモニターの例示的な例を示す。このシステム230では、ワイヤ熱プローブ238に連結したオーム熱源234がある。熱源は、断熱マウント242を通して機械的変調器246にマウントされている。コントローラー250は、ワイヤおよび皮膚254に連結され、ここでコントローラーは皮膚の選択された領域258中のインピーダンスの変化を検出し、そして所定のレベルが得られるときにコントローラーは穿孔プロセスを停止する。
水力学的な穿孔手段と同じラインに沿って、マイクロランセットが、形成された孔を通して薬物のような透過性物質を投与する目的のために、または分析のための孔を通して分析物を回収するために、角質層をちょうど貫通するように適合される。このようなデバイスは、非浸潤性のデバイスおよび/または技術と比較して「最小浸潤性」であると考えられる。血液を回収するための角質層下を貫通するマイクロランセットの使用が周知である。このようなデバイスは、Becton-DickinsonおよびLifescanのような製造者から市販されており、そして貫通の深さを制御することにより本発明で利用し得る。体液を採集するためのマイクロランセットデバイスの例としては、Ericksonら、国際公開PCT出願WO95/10223(1995年4月20日公開)に言及される。この出願は、皮下組織へ貫通することなく皮膚
の表皮層へまたは表皮層を通して貫通して、血中グルコースレベルなどをモニタリングするために体液を採集するためのデバイスを示す。
生体膜の穿孔はまた、音波手段を用いて達成され得る。音波穿孔は、光源を用いる代わりに、音波エネルギーの非常に強固に集束されたビームが切除される角質層の領域に送達されることを除いて、上述の光学手段の変型である。同レベルのエネルギーが必要である。すなわち、70mJ/cm2/50msの閾値がなお吸収されねばならない。親出願第08/152,442号
(現在米国特許第5,458,140号)および同第08/152,174号(現在米国特許第5,445,611号)に記載と同様のパルス集束超音波変換器を利用して、分析物の経皮サンプリングまたは薬物の経皮送達のために、強度、相、または周波数あるいはこれらのパラメーターの組み合わせにおいて変調された音波エネルギーの送達で使用されるのと同様に、切除のために必要なエネルギー密度を送達する。これは、角質層を通して薬物を入れるか、または分析のために体液を表面に引き出すために、同じ変換器の使用を、微細孔を最初に作製するために用いることを可能にするという利点を有する。
さらに、エレクトロポレーションあるいは電流の短いバーストまたはパルスは、微細孔を形成するのに十分なエネルギーをもって角質層へ送達され得る。エレクトロポレーションは生体膜に孔を生じることについて当該分野で公知であり、そしてエレクトロポレーション装置は市販されている。従って、当業者は、装置およびその使用のための条件を本明細書中に提供されるガイドラインに従って過度の実験をすることなく選択し得る。
本発明の方法により角質層で生じた微細孔は、膜貫通的に送達される多様な分子量の治療的化合物の高流動速度を許容する。さらに、体内へのこれらの非傷害性の顕微鏡的開口部は、それらの内部濃度を決定するためにアッセイされ得る、体内の種々の分析物への接近を可能にする。
実施例1
この実施例において、皮膚サンプルを以下のように調製した。表皮膜を、ヒト屍体全皮膚からKlingmanおよびChristopher,88 Arch.Dermatol.702 (1963)の熱分離法により分
離した。この方法は、全厚皮膚の温度60℃への60秒間の曝露を含み、この時間の後、角質層および表皮(表皮膜)の一部を真皮から静かに引き剥がした。
実施例2
実施例1の手順により調製された、熱分離角質層サンプルを、1cm2の切片に切り分け
た。次いで、これらの小さいサンプルをスライドの上に載せそして中央に6mmの穴を有する感圧性接着剤塗布ディスクを皮膚サンプルの上に適用することにより、これらをガラスのカバースライドに付着させた。次いで、サンプルを実験的試験のために準備した。いくつかの場合には、中性の緩衝化リン酸溶液または純水中に数時間浸すことにより、皮膚サンプルを水和させた。
これらの未処理の皮膚サンプルの試験として、およそ810、905、1480および1550ナノメーターで放出するいくつかの異なる赤外レーザーダイオードの出力をサンプルに適用した。送達光学システムを、横に25μmの焦点くびれを最終対物が0.4の開口数を有して生じるように設計した。焦点に送達される全パワーを測定して、810nmと1480nmのレーザーダイ
オードについて50と200ミリワットとの間にあるようにした。このレーザーダイオードは
連続波(CW)の様式で操作可能であった。905nmおよび1550nmのレーザーダイオードを、お
よそ10から200ナノ秒長の高ピークパワーパルスを5000Hzまでの反復速度で産出するよう
に設計した。パルスレーザーについては、ピークのパワーレベルを測定して、905nmで45
ワットそして1550nmで3.5ワットであるようにした。
これらの操作条件下では、どのレーザーからも、皮膚サンプルに対する明らかな影響はなかった。標的領域を60秒間連続的に照射し、次いで顕微鏡で検査した結果、いかなる可視的な影響もなかった。さらにサンプルを、改変されたFranzセル(代表的には、経皮送
達系を化学的透過エンハンサーに基づいて試験するために用いられる)中に置き、膜の一つの側から他方の側への電導率を、レーザーによる照射の前と後の両方において測定し、そして何の変化も示さなかった。4人の異なるドナーからの皮膚サンプルにおいて行われたこれらの試験に基づき、これらの波長において光学的エネルギーの皮膚組織へまたは皮膚組織を通してのカップリングは小さすぎて影響が検出不可能であると結論した。
実施例3
実施例2の条件下で光エネルギーで照射された場合の生存被験体への潜在的な感覚を評価するために、6人のボランティアを用いて、各レーザー源の出力を彼らの指先、前腕および手の甲に適用した。810、905、および1550nmレーザーの場合には、被験体はレーザーが点けられた時または消された時に感じることができなかった。1480nmレーザーの場合には、70mWCWで操作する1480nmレーザーによる照射の間にいくらかの感覚があり、そして短時間後には、水吸収バンドの1つによる1480nm放射の吸収に起因して、小さな水泡が皮膚の下に形成された。明らかに、吸収されたエネルギーの量は、水泡の形成を誘導するのに十分であったが、角質層の切除を生ずるのには十分ではなかった。また、1480nmの光の吸収は、より深く、十分に水和された(85%から90%の水含有率)表皮および真皮の組織において主に起こり、比較的乾燥した(10%から15%の水含有率)角質層の組織においては起こらなかった。
実施例4
天然の状態にある皮膚に対して影響がないことを実証した(実施例3)上で、一連の化学的化合物を、光エネルギーの吸収、次いでこの吸収されたエネルギーの伝導を介しての角質層の標的組織へまたは標的組織を通しての移動における有効性について評価した。試験された化合物には、Indiaインク;「SHARPIE」ブランドの消えない黒、青、および赤のマーキングペン;メチレンブルー;フクシン(fuschian)レッド;epolite#67(保護レーザーゴーグルのためのポリカーボネートレンズに成型するために開発された吸収化合物);ヨードチンキ;ヨードポリビニルピロリドン複合体(「BETADINE」);銅フタロシアニン;およびプリンターのインクが含まれる。
実施例2に記載されたCWレーザーダイオードの両方を用いて、陽性の切除結果が、これら全ての製品を用いた場合に、実施例1に従って調製された熱分離角質層のインビトロサンプルにおいて観察された。しかし、いくつかの製品は他の製品よりもより良好な性能を示した。特に、銅フタロシアニン(CPC)およびepolite#67は、最も効果的な製品であった
。CPCのよりよい性能についての1つの推定的な理由としては、500℃よりも高いその高い沸点、およびCPCがその固相をこの温度まで維持するという事実があげられる。
実施例5
銅フタロシアニンは、移植可能な縫合における使用に関してすでにFDAにより認可され
ており、そしてMerckインデックスにヒト生体適合性に関してやや温和なそして安定な分
子として列挙されているので、採られた次の段階は、健常なヒトのボランティアの皮膚へのCPCおよび集束光源の局所適用を組合せることであった。微細に砕粉されたCPCのイソプロピルアルコール中の懸濁液を調製した。用いられた適用方法は、溶液を振盪し、次いで標的部位に小滴を適用することであった。アルコールが気化するにつれ、次いで、固相のCPCの微細で均一なコーティングが皮膚の表面上に残った。
次いで図1に示す装置を、個体の皮膚の選択された領域を参照プレートに対して配置することにより、その部位に適用した(ここでCPCは局所的に皮膚の上にコートされている
)。参照プレートは、中央に4mmの穴を有するおよそ3cm×3cmの薄いガラス窓からなる。次いで、CPCで被覆された領域が中央の穴の中にくるように配置した。次いで、共焦点
のビデオ顕微鏡(図1)を用いて皮膚の表面に鋭く焦点が合うようにした。ビデオシステムにおいて最も鋭く焦点が合うように皮膚を配置することはまた、レーザーシステムの焦点が皮膚の表面に一致するようにビデオシステムを配置することになった。次いで操縦者は、ビデオモニター上で標的部位における影響を観察しながら、レーザー光のパルスを活性化した。操縦者は、微細孔の深さが増加するにつれ微細孔におけるレーザースポットの集束ずれの程度を測定することにより、貫通の程度を視覚的に評価した。これは、切除された表面を組織の中へ、カメラ/レーザー源の位置を「z」軸に沿って皮膚の中へ向かって動かすことによって本質的に追跡することにより、操縦者が動力学的に補正し得る。角質層が表皮まで除去されているところで、穴の底の外見が顕著に変わり、より湿っぽくそしてより光るようになる。この変化を観察したら、操縦者はレーザーを脱活性化した。多くの場合、被験体の水和状態ならびに他の生理学的条件に依存して、間質液の劇的な流出が、この小さな領域にわたって角質層の障壁機能が除去されたことに応答して起こった。ビデオシステムを用いて、この穿孔部位での間質液の利用可能性の視覚的な記録を記録した。
実施例6
CPCを透明な粘着性テープに適用し、次いでこれを個体の皮膚上の選択された部位に接
着させることを除いては、実施例5の手順に従った。結果は実質的に実施例5の結果と類似していた。
実施例7
所定の色素混合物および付随する損傷の情報について切除の閾値パラメーターを決定するために、当該分野で周知の方法に従って、屍体の皮膚上で組織学的実験を行った。皮膚サンプルの一番上の表面を、アルコール中の銅フタロシアニン(CPC)溶液で処理した。ア
ルコールが気化した後、固相CPCの局所層は、皮膚表面上にわたって平均の厚さ10〜20μmで分布した。図8Aは、レーザー適用前の全厚皮膚の断面図を示す。ここで、CPC層270、角質層274、および下にある表皮層278を示す。図8Bは、810nm光の単一パルスが直径80μmの円にエネルギー密度4000J/cm2で20msのパルス時間適用された後のサンプルを示す。有意
の量のCPCが角質層の表面上に、切除されたクレーター282の中心においてさえも、まだ存在することは注目に値する。実験室測定は、CPC上に入射する光エネルギーのたった約10
%のみが実際に吸収され、他の90%は反射されるかまたは後方散乱されることを示すことはまた注目すべきである。従って、所望の加熱を生じ得る色素層に送達される有効エネルギーフ束(flux)は、約400J/cm2だけである。8Cは、810nm光の5つのパルスが適用され
た後のサンプルを示し、ここで角質層障壁は下にある組織に損傷を与えずに除去された。これらの結果は、「理想の」光学的に調節された熱切除性能を良く表している。図8Dは、50パルスが適用された後のサンプルを示す。損傷を受けた組織286は、切除されなかった
組織の炭化および下にある組織の熱変性に起因して表皮層中に存在した。図8A〜8Cは、脱水、凍結、および画像化のための調製物のアーチファクトに起因した角質層と下にある表皮層との間の分離を示す。
実施例8
熱の切除機構の詳細を試験するために、熱切除法の種々の異なる実施態様を試行し得る皮膚組織の数学モデルを構築した。このモデルは、表面に局所的に投入された特定の熱フラックス、およびいくらか距離が離れている表面からの熱の除去を用いて、層状の半無限(semi-infinite)媒体における温度分布を計算する。すなわち、対流は、この2者の間で
適用される。線対称の時間依存的拡散の方程式は、ADI法(alternating-direction-implicitmethod)を使用して、円柱状の座標において解かれる。(注意:一定温度B.C.を低い方の境界に適用し、z>infとして扱う;そしてゼロ半径の熱フラックスを、最大半径の境界
に適用し、r>infとして扱う)。層は表面に対して平行であり、そして以下のように定義される:(1)色素;(2)角質層;(3)下層の表皮;および(5)真皮。半無限媒体中の深さおよび熱の特性、密度(rho)、比熱(c)、および伝導性(k)は、各層について明記されなければ
ならない。
第1に、皮膚上の熱移動係数hを、周囲の大気温度、皮膚表面温度、および真皮の温度によって決定される「定常の」「1-D」温度分布に基づいて計算する。色素は存在しない
と仮定して、皮膚表面上に「h」を提供する。次いで、このプログラムによって色素層表面でのこの「h」の使用、または色素表面に所望される別の「h」の投入が可能になる。次に、「定常の」温度分布を、色素表面での明記された「h」を用いて、全ての層(色素
層を含む)を通して計算する。この温度分布は、時間依存的な加熱の問題についての初期
条件である。これは、「m−ファイル」初期mを構成する。次いで、このプログラムは、時間的に進行させ、計算し、そして各工程の温度領域を提示することによって、時間依存的な温度分布を解明する。
本明細書中で記載される方法の各実施態様(そのそれぞれについて経験的なデータが集
められている)が、操作パラメーターの少なくとも1セットについてモデル化されている
。これは角質層の切除がどのようにして正確かつ制御可能な様式で達成され得るかを示す。シミュレーションの出力を、以下の異なる二つの形式のグラフにより示す:(1)皮膚の
断面図、これは、この図の最上部にプロットされた、3つの臨界温度閾値を規定する3本の等温線と共に、異なる組織層を示す、および(2)2つの異なる温度対時間のプロット、
1つは標的部位の直下にある角質層の中心部の地点についてであり、もう一方は表皮の生存細胞層と角質層の下面との境界の地点についてである。これらのプロットは、ミクロ熱電対を組織中へ移植することが可能であるかのように熱パルスを適用すると、各地点での温度が経時的にどのように変動するかを示す。さらに、このモデルの適用によって、この方法が使用され得る範囲内である、パラメーター限界の調査が可能になり、本方法の実施の2つの重要な局面のために外部の限界を設定し得る。第1に、本方法を疼痛または所望されない組織の損傷を伴わずに使用し得る範囲内である、外延を規定する一般的な場合を示す。
本発明のいくつかの異なる実施態様において記載されるように、与えられた熱源のいずれについても、以下の点で、被験体の皮膚組織に対する効果が最適でなくなる点が存在する。それは、被験体が疼痛知覚を感知する、または下層の表皮および/または真皮中の生存細胞が温度を持続する、という点である。これによって、十分に長期間維持される場合、これらの組織に損傷が与えられる。従って、最適に加熱した局所銅フタロシアニン(CPC)色素の実施態様を基準線の方法として用いて試験シミュレーションを行って、異なる皮
膚組織層の熱時間定数が、本方法が疼痛または隣接組織層の損傷を伴わずに用いられ得る領域を本質的にどのように規定するかを確立した。
図9および10は、皮膚および局所色素層の概略断面図を示す。各図において、3本の別々の等温線を示す:(1)123℃、この温度で組織中の水分の蒸発が組織の切除を生じる;(2)70℃、この温度が数秒間維持された場合、生存細胞が損傷を受ける;および(3)45℃、被験体が疼痛の知覚を感知する平均的な温度。この疼痛閾値は、いくつかの基本的な生理学の教科書に記載されているが、経験からこの閾値はいくらか主観的であることが示されている。実際、同一の個体での反復試験では、穿孔部位が互いに数ミリメートル以内で異なると、有意に異なる知覚量を示し得る。これはおそらく穿孔部位に関係した神経末端への近接度によるものである。
グラフ上の寸法は、色素および皮膚の層を規定する平坦な境界と共に、それらの異なる層を示す(mで測定)。含まれる寸法について平均的な意味で、実際の皮膚組織は、より回
旋状の境界を有しているが、このモデルは実際の組織に存在する熱勾配の良好な近似値を提供する。ここ、およびこれに続く全てのシミュレーションで用いた、CPC色素層および
種々の皮膚層の厚さの寸法は、以下の通りである;色素、10m;角質層、30m;下層の表皮、70m;および真皮、100m。
この特定のシミュレーションのためにこのモデルで用いたさらなる条件は、以下の表に示す:
これらのシミュレーションを行う場合、以下の控えめな仮定を課する:
1.角質層のある部分が、その温度が含有水分の熱蒸発についての切除閾値温度を既に超えていることが示され得るが、この事象はモデル化されておらず、そしてこの蒸発によって生じる組織の続く熱エネルギーの損失は、このシミュレーションに計算に入れていない。これにより、シミュレーションを開始した時点から、下層の組織において示されるわずかな温度上昇がもたらされる。
2.同様に、銅フタロシアニン(CPC)色素層のある部分が蒸発点の550℃に達したことが示されたとき、この事象はモデル化されていないが、この温度は単にこのレベルに完全に限定されている。このことによっても、シミュレーションが進行するにつれて、下層における続くわずかな温度上昇がもたらされる。
これらの単純化をこのモデルにおいて用いたときでさえ、ドナーの組織サンプルでの臨床的研究と組織学的研究との両方に基づく、実行の予測値と実行の経験的観察値との間の相関は、顕著である。図9および10において注目すべき重要なデータは、熱パルスが適用される時間の長さ、および等温線によって示される3つの異なる閾値温度の位置である。
図9では、21ミリ秒のパルス長を用いており、70℃の等温線は、表皮中の角質層と生存細胞層とを分離する境界をちょうど横切る。これらの条件下でのドナー皮膚サンプルでのインビトロの研究では、50ミリ秒で送達された熱エネルギーの50パルスにより、生きている細胞のこの最上層に検出可能な損傷が生じる(図8Dを参照のこと)。しかし、インビトロの研究において、これらの同一の操作パラメーターでの熱エネルギーの5パルスによっては、これらの組織には何らの顕著な損傷も生じなかったことも示された。少なくとも一過性の意味では、たとえ見かけの損傷閾値を超え得たとしても、この温度は、実際に細胞に何らかの損傷を生じさせるには、いくらかの累積的な時間の間維持されなけれなならないことが理にかなうようである。にもかかわらず、このシミュレーションによって示される基本的な情報は、熱パルスを400ジュール/cm2の流束密度(fluxdensity)で20ミリ秒未満、「オン時」に保つ場合、たとえ切除の閾値等温線が角質層中にまたは角質層を通して十分に移動したとしても、下層の表皮内の生存細胞に損傷は生じない。言い換えれば、「オン時」が適切に短くなるように調節された低流束密度の熱エネルギー源を使用することにより、角質層の切除は、下層の表皮内の隣接する細胞にいかなる損傷も与えることなく達成され得る(図8Cを参照のこと)。このことは、大部分はおそらくこれらの2つの組織層の熱の拡散率が有意に異なることによる。すなわち、角質層は、約10%から20%しか水分を含まず、熱伝導率が0.00123J(S*cm*K)であり、表皮(0.00421J(S*cm*K))よりもはるか
に低い。このことによって、切除が生じる地点に強力な空間的限定を維持しながら、温度を角質層に蓄積させ得る。
図10では、図9で概略した損傷の閾値臨界点で開始した大筋で同一のシミュレーションを、さらに長い時間で行う。加熱されている色素の直径60μmの環の内で、400ジュール/cm2の同一の流束密度で58ミリ秒間熱パルスをオンにすることによって、45℃の疼痛知覚の等温線は、ちょうど、真皮に含まれる皮膚の神経支配された(innervated)層に入った。さらに、損傷の閾値等温線は、図9で見られるよりもさらに表皮層へと有意にさらに移動した。このシミュレーションをこの方法で行った多くの臨床的研究と関係付けて、モデルの精度の優れた変型が、このモデルが、熱プローブを個体が感知する前に皮膚に適用し得る「オン時」期間をほぼ正確に示すという点で、得られる。臨床試験において、制御可能なパルス発生器を使用して、皮膚上の銅フタロシアニン(CPC)色素の局所的な層に適用
される一連の光パルスの「オン時」と「オフ時」とを設定した。80ミリ秒の一定の「オフ時」を維持する一方で、被験体が軽い「疼痛」知覚を訴えるまで「オン時」を段階的に増加した。例外なく、この研究に関与した全ての被験体は、45ミリ秒と60ミリ秒との間の「オン時」で、最初の「疼痛」を訴えたが、これはモデルによって予測されたものと非常に近似していた。さらに、「疼痛」の知覚に関して予め述べられていた部位−部位の変わりやすさが、これらの臨床研究において注目された。従って、「疼痛」として訴えられたものは、最初の明確な知覚が気付かれ得る時点である。1つの部位では、これが痛みとして訴えられ得、一方、隣接する部位では、同一の被験体は、単に「気づき得る」として訴えられ得る。
この臨床研究の1つのエレメントは、同じ部位でさえ、熱パルスの不規則なパルス列が、被験体の精神生理的神経知覚と共に作用して、知覚された感覚の真性の減少を引き起こし得るということの理解である。例えば、一連のより短い長さの熱パルスを用いて、その領域のニューロンを飽和させ、このシナプス接合部で利用し得る神経伝達物質を瞬時に涸渇させ、それによって「疼痛」のメッセージを送る能力を制限し得る。次いで、これによって、これらの短いパルスに続く、より長いパルスが、この順序の最初に適用された場合よりも気づきにくくなることが可能になる。従って、いくつかの任意に生じさせたパルス列で一連の実験を行い、その結果はこの仮説と一致した。この状況についての類似点は、非常に熱い浴槽に最初に足を入れると、最初は疼痛を感じるが、熱知覚に対して順応するにつれてすぐに耐え得るようになる場合の知覚において見出され得る。
実施例9
本発明の1つの目的は、隣接する生存組織にいかなる顕著な損傷も与えることなく、無痛で角質層に微細穿孔を達成することである。実施例8および図9〜10に概略したシミュレーションに記載するように、微細穿孔がこのような無痛かつ非外傷性の様式で達成され得る、切除の標的スポット内の所定の熱エネルギー束密度のいずれもについても、境界が存在するようである。インビボおよびインビトロの研究の両方が、事実その通りであることを示し、そしてこれにより、経験的方法による、非常によく働くようであるいくつかの操作パラメーターの開発が可能になった。以下のシミュレーションのセットは、この方法が、これらの特定のパラメータを使用した場合にどのように働くかを示す。
最初の場合では、10パルスのパルス列(10ミリ秒の「オフ時」で分けられる10ミリ秒の
「オン時」)を、CPCで覆った皮膚に適用する。図11は、このパルス列が終了した直後の皮膚組織における最終的な温度分布を示す。見られ得るように、3つの臨界温度閾値を示す等温線は、角質層の切除が、真皮層神経には知覚が全くなく、かつ下層の表皮の生存細胞へのまたは生存細胞を通しての損傷の閾値の交差がほとんど無く達成されたことを示す。前述したように、実際に永久的な損傷を細胞に与えるためには、表皮細胞は特定の箇所まで加熱されなければならないのみならず、ある一定の時間(一般には約5秒間と考えら
れる)、その温度で維持されなければならないようである。図12および図13は、時間
を関数とした角質層および生存表皮の温度をそれぞれ示し、「オン時」の間の加熱および「オフ時」の間の冷却が全体で10サイクルであることを示している。行ったインビボ研究についてのこのシミュレーションに関して、このシミュレーションに適合するように設定した系パラメーターを伴う穿孔試みの90%より多くにおいて、角質層の有効な穿孔は、被験体に疼痛を伴わずに達成され、そして数日後の続く穿孔部位の顕微鏡検査では、組織への目立った損傷は見られなかったことに留意されたい。ドナーの全層皮膚サンプルで行ったインビトロの研究もまた、モデルの挙動予測と一致した。
実施例10
インビボの経験的研究とこれらのシミュレーションとの両方を行うにあたり、皮膚を予冷することによって、疼痛または隣接する組織への損傷が起こる確率を減少させるための微細穿孔のプロセスの最適化が補助されるようである。実際に、単純な冷却したプレートを穿孔プロセスの前に皮膚に配置することによって、これは容易に達成され得る。例えば、穿孔標的部位を囲む直径1cm円に冷却したペルティエプレートを適用して、このプレートを数秒間約5℃で維持すると、組織の温度は顕著に低下する。実験室でこの目的のために使用する実験デバイスの概略図を図3A〜Bに示す。図11と図14、図12と図15、および図13と図16の比較により、実施例9で概略した実行において用いられるものと正確に同じ10サイクルのパルス列を適用することによって、皮膚組織への温度の浸透または皮膚組織を通しての温度の浸透の制御がどれだけ改善されたかを理解し得る。さらに、角質層は表皮および真皮に比較して比較的低い温度拡散率および比熱を有することが有利である。一旦冷却されると、表皮および真皮の高度に水和した組織は、その温度を上昇させるためにより大きな熱エネルギー投入を要求し、一方、角質層は、比較的乾燥した構造により、切除の閾値まで迅速に加熱され得る。
実施例11
一旦、角質層の効果的な無痛の切除および微細穿孔の基礎になるエネルギーを皮膚組織にまたは皮膚組織を通じて送達する基本的な熱伝導機構が理解されると、図4〜7に示すホットワイヤ実施態様のような、必要とされる迅速な接触点の温度変調を達成するためのいくつかの異なる特定の方法が考えられ得る。
本明細書中で記載するように、基本的な実施態様は、オーム加熱エレメント(図4)(例
えば、小さなコードレスのはんだごてのチップ)を使用する。適切なサイズの比較的非反
応性のワイヤがその回りを巻き付け、ワイヤの少量が、ヒーターの本体から突き出された状態にある。定電流源で電気を印加する場合、ヒーターはある温度に達すると、数秒以内に、周囲の大気への対流損失によって定常状態に達する。同様に、ワイヤ(この熱システ
ムの一部である)は、定常状態に達して、その結果、ワイヤのまさにそのチップが、ほぼ
任意温度(これらのタイプの構成エレメントでは約1000℃まで)に上昇し得る。このチップは、所望の大きさの微細孔を正確に提供するようにサイズ決定され得る。
実験室では、チップから突き出ている約2mmのワイヤを伴う「WAHL」コードレスはんだごての置き換え可能なチップに据え付けられた、直径80μmのタングステンワイヤが使用
されている。熱電対を用いて、チップの温度はその定常状態で測定され、そして定電流設定を変化させることによって、700℃を超える定常状態の温度に容易に達し得ることが留
意される。所望の変調を達成するために、低質量の、高速応答電気機械的アクチュエーターを、ワイヤの位置が200Hzの速度までで2mmを超えて直線的に移動され得るようチップに連結した。次いで、精密ステージ上に装置全体を備え付けることによって、この振動しているチップは、一回10ミリ秒未満の時間のみ皮膚に接触し(「オン時」)、一方、任意に長い期間の「オフ時」がパルス発生器を適宜にセットすることによって達成され得るような様式で、非常に制御可能に皮膚表面と接触し得た。これらのインビボの研究によって、穿孔を受けている被験体が、ワイヤのチップが皮膚と接触していると知る前にさえ、穿孔は、実際に達成され得ることが示された。
光学的に加熱された局所CPC色素の実施態様とこの実施態様との性能を比較するために
、以下のシミュレーションを実施例8の手順に従って行った。本質的に、初期条件を変えるだけで、ホットワイヤの実施態様は同一のシミュレーションコードを用いて行われ得る。ワイヤとの接触は本質的に瞬時に起こるので、CPC色素層において時間依存的な熱の蓄
積はなく、そしてワイヤが皮膚との接触から物理的に除去される場合、加熱されたCPC色
素層での場合のような、表面上になお残る残熱は存在しない。また、ワイヤそれ自身が切除/微細穿孔についての標的される領域を規定するので、角質層への適用前に熱エネルギ
ーの横への拡散はあってはならない。「ホットワイヤ」実施態様の比較性能を図17〜19に示す。
実施例12
この実施例では、実施例10の手順に従って皮膚を予冷した以外は、実施例11の手順に従った。同様に、標的部位を予冷することによって、「ホットワイヤ」実施態様と同様の明確な結果が得られる。「ホットワイヤ」アプローチの予冷したシミュレーションの結果を、図20〜22に示す。
実施例13
本開示の背景の導入で議論したように、Tankovichの'803特許は、一見したところ本発
明の請求の範囲に類似しているようである。本実施例では、シミュレーションモデルを、Tankovich'803において明記された操作パラメーター(すなわち、1sのパルス幅および40,000,000W/cm2の出力レベル)で設定した。図23および24は、これらの条件下では、
角質層のどの部分も、水分が瞬時に蒸発する閾値である123Cに達せず、従って角質層の
切除/微細穿孔が生じないことを示す。実際、このタイプの高いピーク出力を適用すれば
、局所色素層への短時間のパルスは、皮膚に影響を及ぼさずに単に皮膚の表面の色素を蒸発させるのみである。従って、この実施例から、Tankovichの'803に明記される条件は、
本発明の請求の範囲では有効でないことが示される。
実施例14
この実施例では、実施例6の手順に従って皮膚を穿孔した後に得た間質液を採取して分析し、そのグルコース濃度を決定した。データを4人の糖尿病でない被験体およびグルコース負荷試験を受けている6人のI型糖尿病の被験体について得た。被験体の年齢は、27から43歳の範囲であった。研究の目的は、被験体から十分な間質液(ISF)を無痛的に採取
するための方法の有用性を試験して、ISFサンプルのグルコース含量についてのアッセイ
を可能にし、次いでこれらの濃度を被験体の全血中に存在するグルコースレベルと比較することであった。
全ての被験体に、血液およびISFのグルコースアッセイの両方を、Miles-Bayerからの「ELITE」システムを使用して行った。10人の被験体全員が同一の測定プロトコルを受け、
インスリン依存性糖尿病の被験体についてはグルコース負荷およびインスリン注射について考慮した調整を行った。
研究の基本的な設計は、適度な数のボランティア(このうち何人かは糖尿病であり、何
人かは糖尿病でない)を募集することであり、彼らから、一連のISFと全血とのサンプルの対を3〜4時間の研究期間を通して3〜5分毎に採取した。血液およびISFのサンプルを
共にグルコースについてアッセイし、そして血中グルコースレベルと間質液との間の統計学的関係を決定した。全血のグルコースレベルと比較して、仮説をたてたISFグルコース
レベルの時間的な遅れを試験するために、研究の被験体をそのグルコースレベルが顕著で劇的な変化を表すように誘導した。これは、各被験体を試験の開始前の12時間絶食させ、次いで、3つの絶食した血液およびISFのグルコースレベルのセットで各被験体の基準線
グルコースレベルを確立した後に、被験体にグルコース負荷を与えることによって行った。基準線レベルを確立した後、被験体に以下のガイドラインに基づいて甘いジュースの形態でのグルコース負荷を与えた:
i.対照被験体については、グルコース負荷を体重1ポンドあたり0.75グラムのグルコースに基づいて算出した。
ii.インスリン依存性糖尿病の被験体については、グルコース負荷は50グラムのグルコースであった。さらに、グルコース負荷の摂取の直後、糖尿病の被験体には、速効性インスリンの通常の午前の用量の自己注射を行わせた。糖尿病の被験体が300mg/dLを上回る絶食時グルコースレベルを示す場合には、最初にインスリンの自己注射を行ってもらい、そして血中グルコースレベルが120mg/dL未満に低下した後にグルコース負荷を提供した。
募集した各被験体には、まず「インフォームド・コンセント」文書において研究について完全に説明した。彼らは公式的にこのプログラムに参加する前にこの文書を理解し、そしてそれに署名することが求められた。受諾に際し、彼らは病歴についての質問表を完成した。実行した詳細な臨床的手順は以下の通りであった:
(a)被験体は、研究の前夜の午後9:00から絶食し、水のみを摂取した。カフェイン、たばこ、果汁はこの期間中許可されなかった。
(b)被験体は、翌日の午前9:00までに試験の施設に到着した。
(c)被験体は、研究手順の間リラックスできるように、リクライニングチェアに座った。
(d)被験体が到着したときから開始して3〜5分間隔で全血およびISFのサンプルの
両方を採取し、次の3〜4時間これを続けた。データを採取した期間は、被験体の血中グルコースレベルがグルコース負荷後に正常な範囲に戻り、そして安定した時に基づいた。ISFサンプルを、光学穿孔であるISFポンプ法(以下により詳細に記載)を用いて採取した。各ISFサンプルは、ほぼ5μL容量であり、ELITE試験片(strip)を満たすに十分であることを確実にした。血液サンプルを、従来の指穿刺ランセット(fingerpricklancet)を用いて
得た。ISFおよび血液のサンプルの両方を、Miles-BayerからのELITE家庭用血糖値測定器
システムでグルコースについて迅速にアッセイした。「真の」血中グルコースレベルの評価値を改善するために、各指スティックサンプルについて2つの別々のELITEアッセイを
行った。
(e)与えられた個体について全データ採取期間を通して同一部位からのISFの連続し
た採取を容易にするために、5×5行列の25の微細孔を被験体の上部前腕部に作製した。各微細孔は直径が50μmと80μmとの間であり、それぞれは300μm離れていた。中央に6mmの穴を有する直径30mmのテフロン(登録商標)ディスクを、感圧接着剤で被験体の前腕部に接着し、そして6mmの中央の穴が5×5行列の微細孔にわたって位置するように、設置
した。小さな吸引ホースを接続し、穿孔した領域に軽く減圧(10〜12インチHg)を適用することにより、微細孔を通してISFを体外へ流出させるように誘導し得る便利な方法がこの
接着によって可能になった。(登録商標)ディスクの最上部に、透明なガラス窓を設置し、これによって操作者がその下の微細穿孔される皮膚を直接目視することが可能になった。5μLのISF滴が皮膚の表面上に形成された場合、この窓を通してその部位を視覚的にモニタリングすることによりこれは容易に確認され得た。この減圧のレベルは、約5ポンド/インチ(PSI)の公称圧力勾配を生じた。微細孔が全くなければ、ISFは、軽度の減圧の
みを用いて被験体の身体から採取され得なかった。
(f)最初の3つのサンプルの対を採取した後、被験体に非常に甘くしたオレンジジュースの形態でグルコース負荷を与えた。与えたグルコースの量は、糖尿病でない被験体については体重1ポンドあたり0.75グラムであり、そして糖尿病の被験体については50グラムであった。糖尿病の被験体にはまた、グルコース負荷の摂取と同時に、この50グラムレベルのグルコースに基づいて適切に算出した投与量で、速効性のインスリンの注射(定期
的)を自己投与させた。インスリンの注射を受けたときと注射の最大の効果が現れる時と
の間の通常の1.5〜2.5時間の遅れで、糖尿病の被験体は、300mg/dLまでの範囲で血中グルコースレベルが上方向へ偏位し、次いで、インスリンが効果をもたらすにつれ正常な範囲へ急速に低下することを示すことが予測された。糖尿病でない被験体は、標準的なグルコース耐性試験のプロフィールを示すことが予測され、これは、代表的にはグルコース負荷の投与後の45分から90分までに、150mg/dLと220mg/dLとの間で血中グルコースレベルがピークに達し、次いで次の1時間程度にわたってその正常な基準線レベルに急速に低下することを示した。
(g)グルコース負荷の投与、またはグルコース負荷およびインスリン注射の投与に続き、被験体に、次の3〜4時間の間に5分毎に、ISFおよび指穿刺全血のサンプルの採取
を、同時に行った。3つの連続するサンプル中の血中グルコースレベルが被験体のグルコースが安定したことを示したときに、サンプリングを終了した。
これらのデータの試験に際して、いくつかの特徴が明らかであった。特に、ELITE試験
片の特定のバッチのいずれについても、血液について示されたレベルと比較して、血糖測定器(glucometer)でmg/dLのグルコースで示された出力において、明らかなずれが存在す
る。読みとり値の上昇は、ISF中にヘマトクリットが存在しないこと、およびISFと全血との間の電解質濃度の正常な差異によると予測される。この出力におけるずれの基礎となる理由にかかわらず、参照アッセイとの比較によって、真のISFグルコースレベルがELITEシステムによって出された値と直線的に相関することが決定された。そのスケーリング係数は、ELITE片のいずれの特定のバッチについても一定であった。結果として、ISFグルコースレベル値対全血測定値の比較については、一次の直線相関がISFデータに対して以下の
ように適用された:ISFグルコース=0.606*ISFELITE+19.5。
ISFグルコースレベルを測定するために使用した場合、このELITE血糖測定器の出力のスケーリングは、全データセットにわたって、血中グルコースレベルを評価するためにISF
の使用に関する誤差項(error terms)を試験することが可能になる。もちろん、線形スケーリングが全くなくても、ISFグルコース値と血中グルコースレベルとの間の相関は、ス
ケーリングした場合と同一である。
ISFグルコースの題目に関する公開された大多数の文献ならびに予備的なデータに基づ
くと、ISFグルコースレベルと指スティックからの全血中に存在するグルコースレベルと
の間には、15〜20分の遅れが観察されることがもともと予測された。このことは、分析時にデータが示したものではない。特に、各個体のデータセットを解析して、ISFグルコー
スレベルと血中グルコースレベルとの間の最大の相関を達成するために必要とされた時間のずれを決定したとき、被験体のこのセットについての最悪の場合の時間の遅れはわずか13分であり、そして平均的な時間の遅れは、わずか6.2分であったことが発見された。数
人の被験体は、ほとんど瞬間的(約1分)な時間的追従を示した。
このデータセットで観察された最小の遅れ量に基づいて、図25に示すグラフは、長期の時間スケールで次々に連結した全10個のグルコース負荷試験を示す。全臨床データセットを全く同じ様式で処理した場合、ISFグルコースレベルと血中グルコースレベルとの間
で高レベルの追従を示す、時間のずれがまったくないデータが示される。全データセットを全体的にずらして最良の時間的追従評価値を見出した場合、ISFグルコースレベルと血
中グルコースレベルとの間の相関は、2分の遅れでr=0.97のr値でピークになる。これはr=0.964のずれのない相関からごく些細に改善されただけである。従って、分析の残
りについては、ISF値を時間のずれを課さずに処理する。すなわち、血液およびISFのグルコースレベルの各セットを、同時に採取したデータ対として扱う。
ずれのないEliteISF読みとり値をISF中に存在する比例グルコースを反映するようにス
ケーリングした後、これらのデータに関する誤差を試験することは可能であった。これに関して最も単純な方法は、2つのELITE指スティック血中グルコース読みとり値の平均値
が実際に絶対的に正しい値であると仮定し、次いでスケーリング化ISF値をこれらの平均
血中グルコース値と単に比較することである。これらのデータは以下の通りである:標準偏差血液-ISF、13.4mg/dL;ISFの分散係数、9.7%;2つのELITEの標準偏差、8.3mg/dL;および血液の分散係数(Miles)、6%。
これらのデータが示すように、血液に基づく測定値は既に誤差項を含む。実際、製造業者が公開した性能データは、ELITEシステムが、5%と7%との間の見かけの分散係数(CV)を有し、これは、血中のグルコースレベルおよびヘマトクリット量に依存していること
を示している。
ISFグルコースと血中グルコースとの間の差異項をさらに見たものを、図26に分散プ
ロットの形で示す。この図では、90%信頼区間の上部および下部の境界もまた、参考のために示す。たった2つの例外だけで、100mg/dL未満の血中グルコースレベルの範囲内の全てのデータがこの90%信頼区間の誤差バー内に収まっていることが認められることは興味深い。このことは、低血糖への傾向が消失する結果が、糖尿病の使用者にとって顕著に有意であるので、重要である。すなわち、それらを高めに予測するよりも40〜120mg/dLでグルコースレベルを低めに予測することがはるかに良い。
本質的に、ELITEシステムをISFで使用したときの基本的なアッセイ誤差が全血でのELITEの使用に関連したアッセイ誤差に匹敵すると仮定した場合、血中グルコースからのISFグルコースの偏差は以下のように記載され得る:
ISF偏差=[(ISF実測値)2+(ISF実測値)2]1/2
この式を上記の値に適用して、ISF誤差項の評価した「真の」値を求め得る:
ISF実測値=[(ISF偏差)2−(血液実測値)2]1/2
すなわち、式を解くと、ISF実測値=[(13.4)2−(8.3)2]1/2=10.5mg/dl
血中グルコースレベルに対するISFの相対偏差のヒストグラムを図27に示す。
生体膜における孔を通る薬物送達
本発明はまた、薬物(現在は経膜的に送達されている薬物を包含する)を、角質層もしくは他の生体膜における微細孔を通して送達するための方法を包含する。1つの例示的な実施態様では、送達は、穿孔部位の上のリザーバーに溶液を入れることにより達成される。別の例示的な実施態様では、圧力勾配を、送達をさらに増強するために使用する。なお別の例示的な実施態様では、音波エネルギーを、送達をさらに増強するための圧力勾配と共にまたは用いずに、使用する。音波エネルギーは、伝統的な経皮的パラメーターに従って操作され得るか、または瞬間的に記載される音響流動効果の利用によって操作され得る。これにより、送達溶液を穿孔された生体膜に押し込む。
実施例15
本実施例は、局所鎮痛剤であるリドカインの送達のための角質層穿孔の使用を示す。リドカイン溶液はまた、角質層を横切るその受動的拡散を増強するために設計された化学的浸透増強処方物を含んでいた。例示的な送達装置300の図面を図28に示し、ここでは、装
置は、薬物含有溶液312を保持するためのリザーバー308を囲むハウジング304を備える。
ハウジングの上部は、音波エネルギーを提供し、角質層324中の微細孔320を通して薬物含有溶液の輸送を補助するための超音波トランスデューサー316を備える。超音波トランス
デューサー中のポート328は、角質層中の微細孔を通して薬物含有溶液の輸送をさらに補
助するために、それに対する圧力の付与を可能にする。送達装置は、個体の皮膚の選択された領域に対して、それが、少なくとも1つの、そして好ましくは複数の微細孔の上に置かれるように適用される。ハウジングの下部に付着された接着層332は、この装置を、リ
ザーバー中の薬物含有溶液が微細孔と液体連絡するように、皮膚に接着させる。微細孔を通しての薬物の送達は、下にある表皮336および真皮340中への輸送をもたらす。
5人の被験体について、超音波とともに穿孔を用いて薬物送達の有効性を試験した。この実験では、親指と上腕との間で等しい間隔で配置され、約3インチ離れた被験体の左前腕上の2つの部位を用いた。親指近くの部位を、部位1と呼び、親指から最も遠い部位を部位2と呼ぶ。部位1は、対照として用い、ここでは、リドカインおよびエンハンサー溶液を、同じ送達装置300を用いて、しかし任意の角質層の微細穿孔または音波エネルギー
を用いずに適用した。部位2を、1cmの直径の円内に含まれる格子中で0.8mmの間隔で配
置された24の穴で穿孔した。部位2中の微細孔を実施例6の手順に従って生成した。リドカインおよび低レベルの超音波を適用した。超音波の適用を、0.4ボルトのピーク間入力(peak topeakinput)を用い、65.4kHz基礎周波数を伴う10Hzで生じる1000カウントのバ
ースト(burst)、即ち、15ミリ秒のバーストの間エネルギー化し、次いで次の85ミリ秒の
間は切られるトランスデューサーを用いたパルス変調信号を用い、バースト方式(burst mode)にセットされた注文製造のZevex超音波トランスデューサーアセンブリを用いて行った。増幅器のトランスデューサーへの測定された出力は、0.090ワットRMSであった。
リドカインの適用の後、試験部位を横切って30ゲージのワイヤで擦ることにより感覚測定を行った。実験を両方の部位で行い、部位1では10〜12分間および部位2では2回の5分間の間隔を、同じ部位に対して連続的に適用した。両方の部位を、10〜0のスケールを用いるしびれ感について評価した。ここで、10はしびれ感のないことを示し、そして0は試験された被験体により報告されたような完全なしびれ感を示した。以下の結果の要約は5人の被験体すべてについてである。
対照部位である部位1は、10〜12分でほとんどまたは全くしびれ感を示さなかった(ス
ケール7〜10)。約20分で、溶液が完全に角質層に浸透するにつれて、いくらかのしびれ感(スケール3)が部位1で観察された。部位1は、リドカイン適用の終了時にきれいにされた。部位2は、穿孔を含む1cm円中でほぼ完全なしびれ感(スケール0〜1)を示した。この1cm直径の円の外側では、しびれ感は、2.5cm直径の円では1までほぼ直線的に減少
し、2.5cm直径の円の外側ではしびれ感はなかった。第2回目の付与後の部位2の評価は
、約1.2cm直径の全体としてわずかにより大きなしびれの円を生じ、しびれ感は、前腕に
対して垂直な2〜2.5cmの直径と前腕に対して平行な2〜6cmの直径とを有する不規則な
卵形パターンで1まで直線的に減少した。この領域の外側ではしびれ感は認められなかった。代表的な被験者に対して得られた例示の結果のグラフ表示を図29A〜Cに示す。図29A
および29Bは、それぞれ、5および10分後に(穿孔された)部位2で得られた結果を示す。
図29Cは、部位1(穿孔のない対照)で得られた結果を示す。
経皮流動を増強するための音波エネルギーおよびエンハンサー
音波トランスデューサーにより生成した音波エネルギー領域(field)の物理学が、音波
周波数が他の方法により変調され得、達成される流動速度を改善し得る方法において利用され得る。本明細書で参考として援用される米国特許第5,445,611号の図1に示されるよ
うに、音波トランスデューサーのエネルギー分布は、近領域(nearfield)および遠領域(farfield)に分けられ得る。長さNにより特徴付けられる近領域は、最初のエネルギー最小から最後のエネルギー最大までのゾーンである。最後の最大の遠位にあるゾーンが遠領域である。近(N)領域パターンは、多数の密接な間隔で配置された局所圧力ピークおよび空白(null)が優勢である。近領域ゾーンの長さNは、周波数、サイズ、およびトランスデューサー面の形状、および超音波が通って伝わる媒体中の音の速度の関数である。単一トランスデューサーについては、その通常操作範囲内の強度変動は、線形様式である以外は、音波エネルギー分布の性質に影響しない。しかし、複数トランスデューサーを備えたシステムについては、すべてが周波数および振幅の両方において変調され、個々のトランスデューサーの相対強度は、それが皮膚であるか別の媒体であるか否かに拘わらず、音波媒体中のエネルギー分布に影響する。
例えば、約1〜20%の範囲内で、適度の量だけ音波エネルギーの周波数を変えることにより、ピークおよび空白のパターンは、相対的に一定なままであるが、近領域ゾーンの長さNは周波数に正比例して変化する。周波数の顕著な変化(例えば、2以上の係数)は、ト
ランスデューサー中に異なるセットの共鳴または振動モードを生成する可能性が高く、有意にかつ予期不能な異なる近領域エネルギーパターンを生じる。従って、音波周波数における適度な変化を用いて、ピークと空白の複合パターンは、アコーディオン様様式で圧縮または伸張される。周波数変調の方向を選択することにより、これらの局所圧力ピークのシフトの方向は制御され得る。皮膚の表面で音波エネルギーを適用することにより、音波周波数の選択的変調は、皮膚を通るこれらの局所圧力ピークの動きを、身体の内部に向かって、または身体の表面に向かってのいずれかに制御する。高から低への周波数変調は、圧力ピークを身体内に駆動し、その一方、低から高への周波数変調は、圧力ピークを、身体内から皮膚の表面に向かってかつ皮膚を通って身体の外側に引っ張る。
この適用のための代表的なパラメーターを、例えば、1.27cm直径の音波トランスデューサーおよび名目上10MHzの操作周波数および水の音響インピーダンスに類似の音響インピ
ーダンスを仮定すると、1MHzの周波数変調は、角質層の近傍で近領域エネルギーパターンのピークと空白の約2.5mmの動きを生成する。分析物の経皮的および/または経粘膜的回収の展望からは、この程度の動きは、角質層の十分に下の領域、そして表皮、真皮、およびその下のその他の組織さえへの接近を提供する。任意の所定のトランスデューサーについて、この周波数変調が最も効果的である周波数の最適範囲が存在し得る。
皮膚を横切る薬物または分析物の流動性はまた、抵抗力(拡散係数)または駆動力(拡散
に対する勾配)のいずれかを変えることにより増加させ得る。流動性は、いわゆる浸透または化学的エンハンサーの使用により増強され得る。
化学的エンハンサーは、2つの主な成分のカテゴリー、即ち、細胞エンベロープ混乱性化合物および溶媒、または細胞エンベロープ混乱性化合物と溶媒との両方を含む二元系から構成される。
細胞エンベロープ混乱性化合物は、局所的薬学的調製物において有用であるとして当該技術分野で公知であり、そしてまた皮膚を通じる分析物の回収において機能する。これらの化合物は、角質層の細胞エンベロープの脂質構造を混乱させることにより皮膚浸透を補助すると考えられている。これら化合物の包括的なリストは、本明細書中に参考として援用される1982年6月13日に公開された欧州特許出願第43,738号に記載されている。任意の細胞エンベロープ混乱性化合物が本発明の目的に有用であると考えられる。
適切な溶媒は、水;プロピレングリコールおよびグリセロールのようなジオール;エタノール、プロパノール、および高級アルコールのようなモノアルコール;DMSO;ジメチルホルムアミド;N,N-ジメチルアセトアミド;2-ピロリドン;N-(2-ヒドロキシエチル)ピロリドン、N-メチルピロリドン、1-ドデシルアザシクロヘプタン-2-オンおよびその他のn-
置換-アルキル-アザシクロアルキル-2-オン(アゾン)などを含む。
1985年8月27日に発行された、Cooperの米国特許第4,537,776号は、浸透増強のための
特定の二元系の使用を詳述する先行技術および背景情報の優れた要約を含む。その開示の完全性のため、その中で用いられる情報および用語を本明細書中に参考として援用する。
同様に、上記で言及した欧州特許出願第43,738号は、親油性薬理学的活性化合物送達用の細胞エンベロープ混乱性化合物の広範なカテゴリーとともに、溶媒として選択されたジオールを用いることを教示する。細胞エンベロープ混乱性化合物およびジオールの開示における詳細さのために、欧州特許出願第43,738号のこの開示もまた、本明細書中に参考として援用される。
メトクロプラミド浸透を増強するための二元系が、1985年8月21日に公開された、英国特許出願第GB 2,153,223 A号に開示され、そしてC8-32の脂肪族モノカルボン酸(C18-32の場合不飽和および/または分枝)の一価アルコールエステルまたはC6-24脂肪族モノアルコ
ール(C14-24の場合不飽和および/または分枝)および2-ピロリドン、N-メチルピロリドン
などのようなN-環状化合物からなる。
プロピレングルコールモノラウレートおよびメチルラウレートとともに、ジエチレングリコールモノエチルまたはモノメチルエーテルからなるエンハンサーの組合せは、プロゲステロンおよびエストロゲンのようなステロイドの経皮送達を増強することが、米国特許第4,973,468号に開示されている。グリセロールモノラウレートおよびエタノールからな
る、薬物の経皮送達のための二重のエンハンサーが、米国特許第4,820,720号に示されて
いる。米国特許第5,006,342号は、エステル/エーテルの各脂肪酸/アルコール部分が約8
〜22炭素原子である、C2からC4アルカンジオールの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエーテルからなる、経皮薬物投与のための多くのエンハンサーを列挙している。米国特許第4,863,970号は、局所適用のための浸透増強組成物を示し、この組成物は、所定量の、
オレイン酸、オレイルアルコール、およびオレイン酸のグリセロールエステルのような1つ以上の細胞エンベロープ混乱性化合物;C2またはC3アルカノールおよび水のような不活性希釈剤を含む浸透増強ビヒクル中に含まれる活性透過性物質を含む。
その他の化学的エンハンサーは、二元系に必ずしも関連せず、Herschler、米国特許第3,551,554号;Herschler、米国特許第3,711,602号;およびHerschler、米国特許第3,711,606号で教示されるようなDMSOまたはDMSOの水溶液、ならびにCooper、米国特許第4,557,943号に記載されるようなアゾン(n-置換-アルキルアザシクロアルキル-2-オン)を含む。
いくつかの化学的エンハンサーシステムは、毒性および皮膚過敏のような負の副作用を有し得る。米国特許第4,855,298号は、皮膚刺激特性を有する組成物を含む化学的エンハ
ンサーにより引き起こされる皮膚過敏を、抗刺激効果を提供するに十分な所定量のグリセリンを用いて低減する組成物を開示する。
角質層の微細穿孔と、化学的エンハンサーの使用をともなう音波エネルギー適用の組合せは、角質層を通じる分析物回収または浸透送達の改善された速度を生じ得るので、利用された特定のキャリアビヒクルおよび特に化学的エンハンサーは、このいくつかが上記で述べられそして本明細書中に参考として援用されている先行技術ビヒクルの長いリストから選択され得る。当該技術分野で容易に入手可能であるものを特に詳細に記述しまたは列挙する必要があるとは考えられない。本発明は、化学的エンハンサー自身の使用に関せず、そして皮膚を通じる薬物の送達に有用なすべての化学的エンハンサーは、光学的微細穿孔において色素とともに、かつまた皮膚表面の下からおよび皮膚表面を通じて分析物の測定可能な回収または皮膚表面を通じる透過性物質または薬物の送達を行うことにおいて音波エネルギーとともに機能すると考えられる。
実施例16
変調された音波エネルギーおよび化学的エンハンサーを、ヒト死体皮膚試料での経皮流動を制御する能力について試験した。これらの試験では、表皮膜は、実施例1の熱分離法によりヒト死体全体皮膚から分離した。表皮膜を切断し、そして角質層を上部(ドナー)区画または下部(レシーバー)区画のいずれかに面して浸透セルの二等分の間に配置した。改変されたFranzセルを用いて、米国特許第5,445,611号の図2に示されるように表皮を保持した。各Franzセルは、1つ以上のクランプを用いて一緒に保持された上部チャンバーと
下部チャンバーからなる。下部チャンバーは、そこを通じて物質が添加または取り出され得るサンプリングポートを有する。角質層試料は、上部チャンバーと下部チャンバーとの間に、それらが一緒にクランプで固定されるときに保持される。各Franzセルの上部チャ
ンバーは改変されて、超音波トランスデューサーを、角質層膜の1cm以内に配置させるよ
うにする。メチレンブルー溶液を指標分子として用い、角質層の浸透を評価した。各実験のプロセスおよび結果の視覚による記録を、ビデオカメラおよびビデオカセットレコーダー(示さず)を用いて日時を記録した磁気テープ形式で得た。さらに、試料を、吸収分光光度計を用いる測定のために回収し、実験の間に角質層膜を浸透した色素の量を定量した。使用に適した化学的エンハンサーは、上記のような広範な範囲の溶媒および/または細胞
エンベロープ混乱性化合物にわたって変動し得る。利用された特定のエンハンサーは、50/30/15/2.5/2.5容量比のエタノール/グリセロール/水/グルセロールモノオレート/メチルラウレートであった。音波エネルギーを生成かつ制御するためのシステムは、プログラム可能な0〜30MHzの任意の波形発生器(StanfordResearchSystemsModel DS345)、20ワッ
ト0〜30MHz増幅器、および15および25MHzにそれぞれピーク共鳴を有する2つの非焦点超音波浸漬トランスデューサーを備えていた。同じドナーからの角質層試料の試験のために6つのセルを同時に調製した。一旦角質層試料を取り付け、それらを、任意の試験がなされる前に少なくとも6時間の間、蒸留水を用いて水和させた。
実施例17
化学的エンハンサーなしの音波エネルギーの効果
実施例16で上記したように、熱分離した表皮を、特に他に注記されなければ、表皮側を上に向け、そして角質層側を下に向けてFranzセル中に置いた。下部チャンバーを蒸留水
で満たす一方、上部チャンバーを蒸留水中の濃縮メチレンブルー溶液で満たした。
熱分離された表皮:上部チャンバーをメチレンブルー溶液で満たした直後、セルの1つにトランスデューサーを完全に浸漬して音波エネルギーを適用した。この配置は、例えば、トランスデューサーを、皮膚のひだの反対側に有すること、または音波エネルギーを、同様に配置された反射体プレートから反射させられるようにしてひだの他の側から収集デバイス中に分析物を「押す」ために用いられることに相当する。音波エネルギーセッティングは、最初、20ボルトピーク間(P-P)入力波形に等しい強度で、名目上25MHzの操作周波数にセットする。これは、おおよそ、トランスデューサーに対して1ワットの平均入力電力および同様に、この特定のトランスデューサーについて製造者の公称値1%の変換効率を仮定すると、活性領域の0.78cm2表面または0.13ワット/cm2の音波強度にわたって約0.01ワットの音波出力電力に相当する。3つの他の対照セルは、それらに適用される音波エ
ネルギーを有さなかった。5分後に音波エネルギーを遮断した。この間隔の間に任意のセルで角質層を横切る色素流動の可視的な指標は観察されず、2mlのレシーバー媒体中、約0.0015%(v/v)より低いレベルの色素溶液を示した。
これらの同じ3つの対照セルおよび1つの実験セルの試験を以下のように継続した。音波エネルギーの強度は、70ボルトピーク間入力12ワット平均パワー入力の駆動装置から利用できる最大限の可能な出力、または(0.13ワット/cm2)の音波出力強度まで増加させた。また、周波数をセットして30MHzから10MHzに変調または掃引(sweep)した。この20MHzの
掃引は1秒あたり10回実施し、即ち、掃引速度は10 Hzであった。これらの入力パワーレ
ベルでは、オーバーヒートを避けるために音波エネルギートランスデューサーをモニタリングする必要があった。接触熱電対をトランスデューサーの本体に付与し、そしてパワーのオンとオフをサイクルさせて42℃以下でトランスデューサーの最大温度を維持した。1分オンおよび1分オフの約50%のデューティサイクルで、約30分のサイクル最大パワーの後、なおメチレンブルー色素による角質層の肉眼で検出可能な浸透はなかった。
次いで、冷却水ジャケットを音波エネルギートランスデューサーに取り付け、最大エネルギーレベルでさらなる励起を可能にした。同じ3つの対照セルおよび1つの実験セルを用い、音波エネルギーを、最大パワーで12時間実験セルに付与した。この時間の間、上部チャンバー中の流体の温度は、インビボの角質層の通常温度約31℃をほんのわずかに超える、ほんの35℃まで上昇した。上記のように、付与された音波エネルギーの12時間後、4つのセルすべてにおいて、角質層を通る色素流動の可視的な証拠がないことは明らかであった。
実施例18
化学的エンハンサーなしの音波エネルギーの効果
穿孔された角質層:6つのセルを、実施例16で上記したように調製した。Franzセルの
上部チャンバーおよび下部チャンバーを保持するクランプを、上部区画を下部区画から通常シールするために必要な程度よりきつく、そして熱分離された表皮試料中に穿孔および「ピンホール」を人工的に導入する程度まで締めた。色素溶液を各セルの上部チャンバーに添加したとき、角質層中に形成された穿孔を通じる下部チャンバー中への色素漏失の即座の可視的な兆候があった。角質層が小さな「ピンホール」を有してこのように穿孔された細胞に音波エネルギーを付与したとき、角質層中のピンホールを通じる流体の輸送における急速な増加が観察された。指標色素分子の輸送速度は、音波エネルギーが付与されるか否かに直接関係した。即ち、音波エネルギーの付与は、角質層中のピンホールを通じる指標分子の即座の(ほぼ0.1秒未満の遅延時間)パルスを引き起こした。指標分子のこのパ
ルスは、音波エネルギーの遮断に際し即座に止まった(ほぼ0.1秒未満の遮断遅延)。パル
スは上記のように繰り返し得た。
実施例19
音波エネルギーおよび化学的エンハンサーの効果
2つの異なる化学的エンハンサー製剤を用いた。Chemical Enhancer 1またはCE1は、50/30/15/2.5/2.5容量比のエタノール/グリセロール/水/グリセロールモノオレエート/メチルラウレートの混合物であった。これらは、一般に、薬学的賦形剤としての使用についてFDAにより安全、即ちGRASと見なされる成分である。化学的エンハンサー2またはCE2は、
経皮薬物送達の増強に非常に効果的であることが示された実験製剤であるが、一般に、長期間の経皮送達適用には刺激的過ぎると考えられている。CE2は、エタノール/グリセロール/水/ラウラドン(lauradone)/メチルラウレートを50/30/15/2.5/2.5の容量比で含んでいた。ラウラドンは、2-ピロリドン-5-カルボン酸(「PCA」)のラウリル(ドデシル)エステルであり、そしてまたラウリルPCAとも呼ばれる。
6つのFranzセルを、熱分離された表皮を表皮層を下に設置、即ち、角質層側を上に向
けたことを除いて先(実施例16)のようにセットアップした。水和は、各試料を一晩蒸留水に曝すことにより確立した。実験を始めるために、6つのすべてのセル中の下部チャンバー中の蒸留水をメチレンブルー色素溶液で置き換えた。上部チャンバーを蒸留水で満たし、そしてセルを約30分間観察し、色素の通過がないことを確認し、いずれの細胞にもピンホール穿孔のないことを確認した。なにも見いだされなかったとき、上部チャンバー中の蒸留水を4つのセルから取り除いた。その他の2つのセルは、蒸留水対照として供した。次いで、2つの実験セルの上部チャンバーをCE1で満たし、そして他の2つの実験セルをCE2で満たした。
音波エネルギーを、2つのCE2セルの1つに直ちに付与した。25 MHzトランスデューサ
ーを、0.13ワット/cm2の最大強度で10 MHzから30MHzまで0.1秒毎の周波数掃引(sweeping)で用いた。50%デューテイサイクルで付与された音波エネルギーの10-15分後、色素流動
が肉眼で検出された。他の5つのセルでは色素流動は検出されなかった。
次いで、同じセッティングでCE1を含む2つのセルのうちの1つに音波エネルギーを付
与した。5分以内に上部チャンバー中に色素が出現し始めた。従って、化学的エンハンサーをともなう音波エネルギーは、角質層を通るマーカー色素の経皮流動速度を著しく増加し、そして遅延時間を低減した。
実施例20
音波エネルギーおよび化学的エンハンサーの効果
2つの化学的エンハンサーCE1およびCE2の製剤を、グリセリンを除いて調製し、そしてこれらのCE1MGおよびCE2MGと呼ぶ新たな製剤を、先のように試験した。水をグリセリンの代わりに置き換え、その他の成分の比率は変えなかった。3つのセルを、改変されたFranzセル中に、熱分離された表皮試料の表皮側を、チャンバーの上側に向けて調製した。次
いで、これらの試料を8時間蒸留水中で水和させた。水和工程の後、下部チャンバー中の蒸留水を、CE1MGまたはCE2MGのいずれかで置き換え、そして上部チャンバーを色素溶液で満たした。音波エネルギーを、3つのセルの各々に連続的に付与した。
パルス状の、周波数変調された音波エネルギーを10分未満の合計時間付与したとき、角質層試料の浸透性における顕著な増加が観察された。角質層の浸透性は、化学的エンハンサーおよび音波エネルギーの両方に曝された領域を横切って比較的均一に変わった。色素が角質層を横切り得た「ピンホール」穿孔は観察されなかった。経皮流動速度は、音波エネルギーをオンまたはオフにすることによりすぐに制御可能であった。音波エネルギーをオフにすると、皮膚試料を通じて能動的に輸送される肉眼で観察できる色素がないように、経皮流動速度をすぐに低下させるように見えた;恐らく、速度は受動的拡散の速度まで減少した。音波エネルギーを再びオンにするとすぐに高レベルの流動速度を取り戻した。変調されたモードは、変調された速度で経皮流動速度における規則的な脈動増加を提供するようであった。音波エネルギーを一定の周波数にセットしたとき、この構成の経皮流動速度における最大の増加は、約27MHzで生じるようであった。
3つすべての試料を用いて同じ結果が得られ、次いでセルからすべての流体を取り除き、そして角質層の両側に蒸留水をかけた。次いで、すぐに下部チャンバーを蒸留水で満たし、そして上部チャンバーを色素溶液で再び満たした。セルを30分間観察した。角質層試料中に穴は観察されず、そして下部チャンバー中に大量の色素は検出されなかった。下部チャンバー中に、先の曝露からの皮膚試料中に捕獲された色素およびエンハンサーに恐らく起因して少量の色素が肉眼で見えるようになった。さらに12時間後、検出された色素の量はなお非常に少量であった。
実施例21
音波エネルギーおよび化学的エンハンサーの効果
穿孔された角質層:実施例16と同じドナーからの熱分離された表皮試料を用い、表皮側をチャンバーの上側に向けて3つのセルを調製した。試料を8時間水和させ、次いで下部チャンバー中の蒸留水をCE1MGまたはCE2MGのいずれかで置き換えた。次いで上部チャンバーを色素溶液で満たした。角質層試料中のピンホール穿孔は、色素を、角質層試料を通って下にあるエンハンサー含有チャンバー中に漏失させた。音波エネルギーを付与した。音波エネルギーを付与するとすぐに、色素分子が急速に孔を通じて押された。上記で示したように、孔を通る色素の急速な流動は、音波エネルギーの付与と直接にかつ即座に相関していた。
実施例22
音波エネルギーおよび化学的エンハンサーの効果
低コスト音波エネルギートランスデューサーTDK#NB-58S-01(TDKCorp.)を、経皮流動速
度を増強するその能力について試験した。このトランスデューサーのピーク応答は、約5.4MHzであると測定され、他の局所ピークが、約7MHz、9MHz、12.4MHz、および16MHzで
生じた。
次いで、このTDKトランスデューサーを、5.4MHzで、CE1MGと組み合わせた経皮流動速度を増強するその能力について試験した。表皮側を下部チャンバーに向けて3つのセルをセットアップし、次いで皮膚試料を8時間水和させた。色素溶液を下部チャンバーに置いた。トランスデューサーを、CE1MG中に浸漬した上部チャンバー中に置いた。音波エネルギ
ー励起として5.3から5.6MHzに掃引された周波数を用いると、顕著な量の色素が角質層を
通って移動し、そして5分でセルの回収ウェルに検出された。トランスデューサーが48℃の温度に達する局所加熱が生じた。音波エネルギーなしのCE1MGを用いる対照では、24時
間の曝露は、音波エネルギーをともなう5分の曝露より少ない色素を回収ウェル中に生成した。
本実施例は、低コストの、低周波数音波エネルギートランスデューサーが、適切な化学的エンハンサーと組み合わせて用いられるとき、経皮流動速度に著しく影響し得ることを示す。理論的には、化学的エンハンサーとともに用いたとき、より高い周波数の音波エネルギーがより多くのエネルギーを角質層中に集中するが、より低い周波数の変調された音波エネルギーは、経皮流動速度を加速し、この技術を有用かつ実際的にし得る。
実施例23
ヒト皮膚を横切る分子移動の証明:上記のTDKトランスデューサーおよびCE1MGを用いる試験を、このトランスデューサーの最高の局所共鳴ピークの1つである約12.4MHzで、12.5から12.8MHzまでの2Hz速度での周波数掃引および0.1W/cm2未満の音波エネルギー密度
を用いて繰り返した。熱分離した表皮の表皮側を下に向け、色素溶液を下部チャンバーに置き、そしてエンハンサー溶液および音波エネルギーを上部チャンバー中に置いた。5分以内に顕著な量の色素が、角質層を横切って回収ウェル中に移動した。トランスデューサーにおけるオーム加熱は、5.4MHzで駆動される同じトランスデューサーを用いたときより顕著に少なく、化学的エンハンサーの温度増加はほんの約33℃であった。
これらの低効率レベルでさえ、CE1MGおよびTDKトランスデューサーからの音波エネルギーを用いて得た結果は、モニタリング方向で顕著であった。米国特許第5,445,611号の図3Aおよび3Bは、モニタリング方向で測定された経皮流動速度で3つの別のセルから得たデ
ータのプロットを示す。5分の時点でさえ、容易に測定可能な量の色素が、角質層の外側で、化学的エンハンサー中に存在し、これは表皮側から角質層を通り皮膚試料の「外側」領域までの輸送を示す。
身体から分析物を回収およびモニタリングするための音波エネルギーまたは音波エネルギー/化学的エンハンサーアプローチの使用を最適化するために、目的の分析物の量をア
ッセイする手段が必要である。ユニットが、化学的エンハンサーを用いるかまたは用いないで音波エネルギーによって分析物を回収するプロセスにある間に複数の読み値を得るアッセイシステムは、広範な集団の基礎にわたって標準化し、かつ異なる皮膚特性および流動速度について規準化する必要性をなくする。回収システム中の分析物濃度が増加する時間に2つまたはそれ以上のデータ点をプロットすることにより、曲線に適合するアルゴリズムを適用して、曲線に関連する分析物の回収または流動速度を、平衡が達成される点に対して記載し、それによって区間(interval)濃度の測定を確立するパラメーターを決定し得る。この曲線の一般形は、個体により不変であり;パラメーターのみが変化する。一旦これらのパラメーターが確立されると、この関数の定常状態解法を解くこと(即ち時間は
無限大に等しい)、即ち、完全な平衡が確立される場合は、体内の分析物の濃度を提供す
る。従って、このアプローチは、皮膚浸透性における個体の変動に拘わらず、集団のすべてのメンバーについて、測定を、同じ量の時間で所望の正確さのレベルにすることを可能にする。
いくつかの現存する検出技術が、本出願に適用可能であり、目下存在する。D.A.Christensen、1648Proceedings ofFiberOptic, Medical andFluorescent Sensors and Applications223-26(1992)を参照のこと。1つの方法は、ほぼ平行な様式で一緒に密接に配置さ
れている一対の光ファイバーの使用を含む。ファイバーの1つは、これを通って光エネルギーが伝達される供給源ファイバーである。他方のファイバーは感光ダイオードに連結された検出ファイバーである。光が供給源ファイバーを通って伝達されるとき、光エネルギーの一部である減衰波が、ファイバー表面に存在し、そしてこの光エネルギーの一部が検出ファイバーにより収集される。検出ファイバーは、捕獲した減衰波エネルギーを、それを測定する感光ダイオードに伝達する。このファイバーは、バインダーで処理されて測定されるべき分析物を引き付けかつ結合する。分析物分子が表面に結合する場合(分析物グ
ルコースのコンカナバリンAのような固定化レクチンへの、または固定化抗グルコース抗
体への結合のように)、2つのファイバー間の減衰波カップリングの量は変化し、そして
検出ファイバーにより捕獲されそしてダイオードにより測定されるエネルギー量も同様に変化する。短時間にわたって検出された減衰波エネルギーのいくつかの測定は、平衡曲線を記載するパラメーターの迅速な測定を支持し、それ故、身体内の分析物濃度の可能な計算を行う。このシステムを用いる5分以内の測定可能なフラックスを示す実験結果(米国
特許第5,445,611号の図3Aおよび3B)は、正確な最後の読み値に対する十分なデータが、5分以内に採集されることを示唆する。
その最も基礎的な実施態様では、音波エネルギーの付与および分析物の採集にに利用され得るデバイスは、天然または合成材料のいずれかの吸収パッドを備え、これは、用いられる場合、化学的エンハンサーの、そして皮膚表面からの分析物を受けるリザーバーとして供される。このパッドまたはリザーバーを、皮膚表面の選択された領域上に、受動的にまたは、革ひもまたは接着テープのような適切な固定手段によりに補助されるかのいずれかで、適所に保持される。
音波エネルギートランスデューサーは、パッドまたはリザーバーが皮膚表面とトランスデューサーとの間にあり、そして適切な手段により適所に保持されるように配置される。電源がトランスデューサーに連結され、そしてスイッチ手段または任意の他の適切な機構により活性化される。トランスデューサーは活性化されて、周波数、位相または強度が変調された音波エネルギーを送達し、所望により、用いられる場合化学的エンハンサーを、リザーバーから皮膚表面を通って送達し、次いで、皮膚表面からリザーバー中に分析物を収集する。所望の固定されまたは変化する時間の後、トランスデューサーを不活性化する。今や目的の分析物を含むパッドまたはリザーバーは取り出され、分析物を、例えば、実験室で利用する任意の数の従来の化学的分析により、またはポータブルデバイスにより定量し得る。あるいは、分析物を定量するための機構を、分析物の収集のために用いるデバイス中に、デバイスの一体部分としてまたは付属物としてのいずれかとして構築され得る。分析物をモニタリングするデバイスは、本明細書に参考として援用される米国特許第5,458,140号に記載されている。
実施例24
上記のような穿孔された皮膚表面を通じる試料採集の後、グルコースのような分析物を検出するための代替法は、酵素手段の使用により達成され得る。いくつかの酵素的な方法が、生物学的試料中のグルコースの測定のために存在する。1つの方法は、グルコースオキシダーゼを用いて試料中のグルコースを酸化し、グルコノラクトンおよび過酸化水素を発生させることを包含する。無色の色原体の存在下で、次いで過酸化水素を、ペルオキシダーゼによって水および発色産物に転換する。
グルコースオキシダーゼ
グルコース グルコノラクトン+H2O2
2H2O2+ 色原体 H2O2+発色産物
発色産物の強度は、流体中のグルコースの量に比例する。この色は、従来の吸光度法または反射率法の使用により測定され得る。既知濃度のグルコースを用いる校正により、発色の量を用いて、採集した分析物中のグルコースの濃度を決定し得る。関係を決定するために試験することにより、被験体の血液中のグルコース濃度を計算し得る。次いで、この情報をフィンガー穿孔からの血中グルコース試験から得た情報を用いたのと同じ方法で用い得る。結果は5〜10分以内に得られ得る。
実施例25
グルコース濃度の可視表示または読み出しを用いる任意のシステムは、診断医または患者にインスリンの投与または他の適切な投薬の必要性を示す。一定のモニタリングが所望され、そして矯正動作がほとんど同時にとられる必要がある重要な看護またはその他の状況では、表示は、適切な様式でのインスリンの投与またはその他の投薬の引き金となる適切な信号手段と連結され得る。例えば、外部または内部刺激に応答して活性化され得る、腹膜またはその他の体腔中に移植されるインスリンポンプがある。あるいは、角質層の微細穿孔による可能な増加した経皮流動速度および本発明で記載されたその他の技術を利用して、グルコース感知システムからの信号により調整された流動速度の制御を備えたインスリン送達システムを経皮的に実施し得る。このように、医療要求をモニタリングおよび/または診断するのみならず、矯正動作を同時に提供する、完全な生物医学的制御システ
ムが利用可能であり得る。
同様の特性の生物医学的制御システムは、正確な電解質バランスを維持すること、またはプロスタグランジンのような測定された分析物パラメーターに応答して鎮痛薬を投与することのようなその他の状況で提供され得る。
実施例26
聞こえる音と同様に、音波は、異なる特性を有する別の媒体に遭遇する場合、反射、屈折、および吸収を行い得る[D.Bommannanら、9 Pharm.Res.559(1992)]。反射器またはレ
ンズを用いて、目的の組織中の音波エネルギーの分布を集め得るかまたはそうでなければ制御し得る。ヒト身体上の多くの位置に対して、肌のひだ(fold offlesh)がこのシステ
ムを支持することを見出し得る。例えば、耳たぶは、音波の周波数および強度を変えることにより実現されることと同様の、方向制御を奏すること(例えば、分析物または浸透物
を穿孔された角質層を通して「押すこと」)を補助するために反射器またはレンズの使用
を可能にする便利な位置にある。
実施例27
複数の音波エネルギートランスデューサーを用いて、穿孔された角質層を通る経皮流動の方向を、身体内にまたは身体からのいずれかに、選択的に向け得る。耳たぶのような皮膚のひだは、トランスデューサーをひだのいずれかの側上に位置させ得る。トランスデューサーは、選択的にまたは段階的な様式でエネルギーを与えられ、所望の方向に経皮流動を増強し得る。トランスデューサーまたは音響回路のアレイ(array)を構築し、レーダー
およびマイクロ波通信システムについて開発されたものと類似の段階的アレイ概念を用いて、目的の領域内に音波エネルギーを向けかつ集め得る。
実施例28
この実施例では、熱分離された表皮試料が、最初、エキシマーレーザー(例えば、Lambda PhysikのモデルEMG/200;193nm波長、14nsパルス幅)で処理され、本明細書に参考とし
て援用される米国特許第4,775,361号に記載される手順に従って角質層を切除することを
除いて、実施例19の手順に従った。
実施例29
この実施例では、熱分離された表皮試料が、最初、1,1'-ジエチル-4,4'-カルボシアニ
ンヨウ化物(Aldrich、 max=703nm)で処理され、次いで、合計70mJ/cm2/50msを送達して
色素処理した試料にモデルTOLD915Oダイオードレーザー(ToshibaAmericaElectronic、690nmで30mW)を用いて角質層を切除することを除いて、実施例19の手順に従った。
実施例30
この実施例では、色素がインドシアニングリーン(Sigmaカタログ番号I-2633; max=775nm)であり、そしてレーザーがモデルDiolite800-50(LiCONiX、780nmで50mW)であること
を除いて、実施例29の手順に従った。
実施例31
この実施例では、色素がメチレンブルーであり、そしてレーザーがモデルSDL-8630(SDLInc.;670nmで500mW)であることを除いて、実施例29の手順に従った。
実施例32
この実施例では、色素が浸透エンハンサー、例えば、CE1を含む溶液中に含まれている
ことを除いて、実施例29の手順に従った。
実施例33
この実施例では、色素およびエンハンサーを含む溶液が、超音波に曝すことにより補助されて角質層に送達されることを除いて、実施例29の手順に従った。
実施例34
この実施例では、パルス光源が400〜1100nmの広範囲にわたり発光するが、システム中
に配置されたバンドパスフィルターを有して約650〜700nmの波長領域に出力を制限する短アークランプであることを除いて、実施例31の手順に従った。
実施例35
この実施例では、熱分離された表皮試料が、最初、下にある組織に到達することなく、角質層中に微細穿孔を生成するように校正されたマイクロランセット(BectonDickinson)
を用いて穿孔されたことを除いて、実施例19の手順に従った。
実施例36
この実施例では、熱分離された表皮試料が、最初、70-480mJ/cm2/50msの範囲に集めら
れた音波エネルギーで処理され、角質層を切除することを除いて、実施例19の手順に従った。
実施例37
この実施例では、角質層が、最初、流体の高圧ジェットを用いて水力学的に穿孔され、約100μmの直径までの微細穿孔を形成することを除いて、実施例19の手順に従った。
実施例38
この実施例では、角質層が、最初、電気の短パルスを用いて穿孔され、約100μm直径までの微細穿孔を形成することを除いて、実施例19の手順に従った。
実施例39
音響学的ストリーミング
治療物質の身体中への送達および/または身体内から外部リザーバー中への生体膜中に
形成された微細穿孔を通る流体の回収における音波エネルギーの新たな機構および適用がここで記載される。本発明のさらなる局面は、生物の外層下の生組織のインタクトな細胞(例えば、ヒト皮膚の表皮および真皮)のまわりおよびその間を流れる流体に対する音響学的ストリーミング(streaming)効果を引き起こす音波エネルギーの利用である。音響学
的ストリーミングは、これによって音波エネルギーが流体媒体と相互作用し得る十分に実証されたモードである。Nyborg,PhysicalAcousticsPrinciples and Methods、265-331
頁、VolII-Part B、Academic Press、1965。音響学的ストリーミング現象の最初の理論的分析は、Rayleigh(1884、1945)により与えられた。この対象の広範な処理において、Longuet-Higgins(1953-1960)は、任意の振動する円筒形表面の近傍に近づく結果となる二次元の流れに適用可能な結果を生じた。任意の表面に対する三次元近似は、Nyborg(1958)により開発された。Fairbanksら、1975UltrasonicsSymposiumProceedings, IEEEカタログ番
号 75,CHO 994-4SUにより記載されたように、音波エネルギー、および音響学的ストリー
ミング現象は、多孔性媒体を通る流体の流動性の促進において非常に有用であり得、潜在的受動的にまたは圧力勾配のみを付与した場合の50倍までの流動速度の測定可能な増加を示す。
超音波を利用するすべての以前の経皮送達または抽出努力は、角質層を浸透化するために設計された音波エネルギーと皮膚組織との間の相互作用の方法に絞られていた。関連する相互作用の正確なモードは、角質層中の温度の局所的な上昇、そして結果として生じる角質細胞間の細胞間腔における脂質ドメインの融解に専ら起因すると仮定されてきた。Srinivasanら。他の研究者らは、角質層中の構造のマイクロキャビテーションおよびまたはせん断が、流体がより容易に流れ得るチャンネルを切り開くことを示唆した。一般に、経皮流動速度の増強のための音波システムの設計は、身体中に送達される薬物を含むゲル化または液体調製物の局所的な適用と組み合わせて用いる場合、被験体に対し「深い加熱」効果を生じるように設計された現存する治療的超音波ユニットの適用が、身体中への薬物流動速度における定量化し得る増加を生成し得るという初期の理解に基づいてきた。この生体膜に微細穿孔を作成する本明細書で教示された方法の意味では、音波エネルギーの使用は、今や古典的に定義された音移動(sonophoresis)の概念とは全く新たなおよび異なる意味であると考えられ得る。
Franzセルの角質層(SC)中に存在したかまたは作成された小穴がインビトロ研究で用い
られた米国特許第5,458,140号および同第5,445,611号に述べられた実験的発見に基づき、穿孔されたSC試料のいずれかの側上の流体リザーバーに適切に駆動された超音波トランスデューサーが適用された際には、この穿孔された膜を通じて送液され得る流体の大きな流動速度の「音響学的ストリーミング」事象が生成され得る。
本明細書で教示された、生物の生体膜に制御された微細穿孔を作成する方法を用いて、生物中にまたは生物からの流体の誘導に対する音波/流体相互作用の流体ストリーミング
モードの適用が、ここで実際的に探索され得る。例えば、臨床研究は、400μm平方中の一連の4つの80μm直径の微細穿孔を作成し、そして次いでこの領域に対して穏和な(Hgの10〜12インチ)の吸引を付与することにより、平均約1μlの間質液を誘導して、身体を外部チャンバー中に外部収集のために残し得ることを示した。穿孔部位を取り囲む組織の2〜6mm中に、内側に収束する同心円状の圧力波を能動的に発生するように構成された、小さな低パワーの音波トランスデューサーをこのシステムに追加することにより、このISF流
動速度が50%まで増加され得ることが証明された。
皮膚組織における音波エネルギーの直接吸収のいくつかの形態(加熱を生成するために
必要とされるような)を作成する要望から我々自身を解放することにより、皮膚組織がそ
れに対して実質的に透明である、即ち、1kHzから500KHzの非常に低周波数の領域にある
音波エネルギーの周波数が決定され得る。試験された最も低い周波数のいくつかでさえ、有意な音響学的ストリーミング効果が、インビボ試験を観察するために顕微鏡を用いることにより観察され得、ここでは被験体の皮膚が微細穿孔され、そしてISFが誘導されて身
体から出て、皮膚の表面にプールされた。音波トランスデューサーにエネルギーを与えることにより、ISFが渦巻く場合、粒子物質の小片がISFとともに運ばれるような、音響学的ストリーミングの量の劇的な可視的徴候が示された。示された代表的な動きの大きさは以下のように記載され得る:皮膚の表面上のISFの3mm直径の円形のプールに対して、単一
の可視粒子は、1秒あたりほぼ3つの完全な軌道を完成しているように観察され得た。これは、2.5mm/秒より大きい直線流体速度に等しい。この作用のすべては、組織中への100mW/cm2より小さい音波パワーレベルで証明された。
皮膚の上部表面、およびそこでの流体の活動を容易に観察し得るが、音波エネルギーの皮膚組織層内へのカップリングに応答して、これらの組織層内で動力学的になにが起こっているのかを評価することはさらにより困難である。このような大きな流体速度(例えば2.5mm/Sを超える)が表面上でこのように容易に誘導され得れば、生存真皮組織中に存在す
る細胞内チャンネルにおいて流体の流れにおけるいくらかの顕著な増加がまた、この音波エネルギー入力に応答して実現され得ると仮定し得る。現在のところ、低周波数の音波エネルギーが穿孔部位を取り囲む円中の領域に付与された場合の、所定のセットの微細穿孔を通して回収されたISFにおける増加が定量された。この実験では、穏和な吸引(HG10〜12インチ)にのみ基づくISF回収技術を、全く同じ装置を用いて、しかし音波トランスデューサーをかみ合わせて交替させた。一連の10の2分の回収期間にわたって、5つが単なる吸引でそして5つが吸引と音波エネルギー活性の両方で、音波供給源を活性化することにより、ほぼ50%より多いISFが同じ時間期間で回収可能であったことを観察した。これらの
データを図30に示す。ISF流動速度におけるこの増加は、音波エネルギーに起因する試験
被験体からの感覚の増加の報告はなく実現された。この実験に用いた装置を図31〜33に図示する。図31〜33中のトランスデューサーアセンブリは、ほぼ8mmの内径および4mmの壁厚を有する、圧電材料の厚壁シリンダーからなる。シリンダーは、電場が外径および内径の金属被覆加工された表面を亘って付与される場合、シリンダーの壁の厚さが場の極性に応答して膨張または収縮するように極性を与えられている。実際には、この構成は、中央の穴の中に吸引されている組織を急速に圧搾するデバイスを生じ、これらの組織中に存在する流体に対して内放射状音響学的ストリーミング効果を生じる。この内側への音響学的ストリーミングは、穴の中央にある微細穿孔の位置によりISFをもたらすように応答し、
そこでそれは身体を外部採集に向かわせ得る。
図34A-Bに示される類似のデバイスが構築され、そして試験され、そして類似の初期結
果を生じた。図34A-Bの型では、Zevex,Inc.,Salt Lake City, Utahにより構築された超音波トランスデューサーを、音波ホーン(horn)に付加されたへら型伸長部を有するように改変した。4mm穴が、この伸長部の0.5mm厚のへら端部中に配置された。活性化された場合
、原則的な動きは、へらの長さに沿って長軸方向にあり、本質的に急速な前後の動きを生じる。4mmの穴の配置により引き起こされる金属へらの物理的摂動は、この点で、非常に活性な、しかし無秩序な大きな置換挙動を生じる。使用では、被験体の皮膚は、この穴に吸引され、そして次に音波エネルギーが、図33に図示されるのと類似の様式で皮膚中に伝えられた。
超音波のこの新たな適用の新規な局面は以下の基礎的な領域に存在する:
1.音波エネルギーの機能は、もはや、Langer、Kost、Bommannanおよびその他により
教示されたようなSC障壁膜を透過化することに焦点をあわせる必要はない。
2.皮膚組織にほとんど吸収されないかなり低い周波数システムを利用し得、間質液を含む表皮細胞間の細胞間経路内に所望の流体ストリーミング現象をなおさらに作成し得る。
3.組織とその中にある流体との相互作用のモードは、音波の文献で、細胞膜をせん断し、そして受動拡散プロセスを加速し得る古典的な振動性の相互作用とは独特かつ異なるモードとして認識されたいわゆる「ストリーミング」モードである。
音波トランスデューサーに付与される幾何学的配置、周波数、パワーおよび変調を最適化することにより、穿孔された皮膚部位を通る流体流動における有意な増加が達成され得ることが示された。これらのパラメーターの最適化は、この顕微鏡的なスケールの環境で流体の流れの関係を支配する非線形を開発するために設計される。200kHz以下の周波数を用い、任意の検出可能な加熱またはその他の負の組織相互作用なしに、大きな流体効果が観察され得る。これらの測定可能な効果を生成するために必要な音波パワーレベルは非常に低く、代表的には、平均パワーレベルは100ミリワット/cm2以下である。
従って、上記の実施例は、代表的システムであり、診断目的のためおよび浸透物の経皮送達のために、分析物の採集および定量における超音波または超音波および化学的エンハンサーの利用で採用され得る。本発明は、生体膜の穿孔とその後の音波エネルギーの適正な使用が、特に化学的エンハンサーの使用をともなう場合に、非侵襲性のまたは最小侵襲性の分析物の経皮的な測定または浸透物の送達を可能にするという発見に関する。しかしながら、本発明は、特定の例示のみに制限されない。多くの穿孔技術およびエンハンサーシステムが存在し、そのいくつかは、角質層を通る特定の分析物の検出および回収または浸透物の送達に、他よりも良好に機能し得る。しかし、本明細書中で呈示された指針内で、最適穿孔、エンハンサー、または付与される音波エネルギーの最適時間、強度および周波数、ならびに付与される音波エネルギーの周波数、振幅および位相の調節を得るための一定の量の実験は、当業者により容易に実施され得る。従って、本発明は、以下の請求項およびその機能的な等価物によってのみ範囲が制限される。
さらなる進歩および改善
微細穿孔法の進歩および改善は、送達適用について特に適切なように実行されてきたが、それに限定されるものではない。一つの進歩は、上述の微細穿孔技術のいずれか一つを使用して、特に身体内への薬物または生物活性物質の送達のために、皮膚、粘膜、または植物外層を含む生体膜内へ、または生体膜を通過して選択された深さまで穿孔することである。別の進歩は、生体膜内に形成された微細穿孔を通しての生物への生物活性物質送達である。さらに別の他の進歩は、微細穿孔法の前、その間、または後に、薬物または生物活性物質のような物質を皮膚または粘膜内部層内に、またはそれを通過して送達する場合に、微細穿孔した皮膚または粘膜内部の層の透過性を増加するために、浸透増強手段を適用することである。
生体膜内に形成される微細穿孔は、選択された深さまで伸長し得る。表皮内に伸長する微細穿孔は、角質層のみ、生細胞層内の選択された深さ、またはその下部にある結合組織層にまで貫通し得る。同様に、粘膜内に形成される場合は、微細穿孔は、上皮層の表層部のみ、または上皮内膜内の選択された深さ、またはその下部の固有層およびその下部組織内にまで貫通し得る。微細穿孔の深さは、いずれの場合においても生体膜の全深さを通して伸長し得る。
選択された深度への微細穿孔法の実例として、角質層下の完全に水和した生細胞層内へ、またはその細胞層を通して十分なエネルギー送達を継続し得る熱プローブを利用する場合には、穿孔プロセスは、身体内へ選択された深さまで継続し、表皮、真皮を通して、そして所望ならばその下の皮下層内へ、またはそれを通して貫通し得る。表皮、真皮、上皮内膜または固有層内の生組織内に、またはそれを通過してある距離を伸びる微細穿孔が作製されるようにシステムを設計する場合の懸念は、いかに近接組織への損傷および穿孔プロセスの間の被験者への感覚(sensation)を最小にするかである。
実験的に、本発明者らは、使用される熱プローブが、固体の電気的にまたは光学的に加熱されるエレメントであり、直径数百ミクロン以下であって支持基部から数ミリメーターまで突出するように物理的に限定された活性な熱プローブチップである場合は、電流の単一パルス、または複数パルスが、切除が、その物理的設計が許容する限りの深度まで、すなわち支持基部が組織内、または組織を通過する貫通度を限定するまで、貫通するのを可能にするために必要な熱エネルギーを組織内に送達し得ることを提示した。その熱プローブの電気的および熱的特性が、組織との接触において、エネルギーパルスが、そのプローブの温度を十分に急速に変調し得る場合には、この型の深部組織穿孔法は、本質的には被験者に無痛で達成し得る。実験は、熱エネルギー必要量がプローブに約20ミリ秒(20〜50
ミリ秒)未満以内に送達される場合には、手順が無痛であること示した。反対に、エネルギーパルスが、約20ミリ秒(20〜50ミリ秒)を越えて延長されなければならない場合、パルス幅の伸長に伴って、被験者に対する感覚は急速かつ非直線的に増加する。
同様に、この型の選択された深さの穿孔を支持する電気的に加熱されたプローブの設計は、50〜150ミクロン直径のタングステンワイヤを湾曲させて鋭利にねじり、この点にお
いて最小内径をもつ180度に近い湾曲を形成することによりなされ得る。次いで、ワイヤ
のこの細密な「V」形部分は、「V」が、銅電極が埋め込まれた支持部からある一定の長さまで伸長するように備え付けられ得る。支持体から伸長するワイヤの長さは、ワイヤ加熱時の組織中への最大貫通距離を規定する。このタングステン「V」の各末端は、電流パル
ス回路に接続し得る支持キャリア上の電極の一つに接着される。電流が適切に制御された様式でワイヤに送達された場合、ワイヤは、電流の単一パルスまたは複数パルスにおいて熱切除プロセスをもたらすための所望の温度まで急速に加熱する。プローブの動力インピーダンスの測定およびタングステンエレメントの温度に対する抵抗係数を認知することにより、接点の温度の閉ループ制御を容易に確立し得る。また、プローブ接点および距離を置いて設置された第2の電極から身体を通したインピーダンスの動力学的にモニターすることにより、身体内により深く貫通する場合は、組織の異なるインピーダンス特性に基づいてプローブの深さを決定し得る。一旦、選択された生物の選択された組織のインピーダンス特性が日常的に決定されると、このパラメーターは、穿孔深度の決定に使用され得、そして穿孔深度制御のための制御システムにおいて使用され得る。
同様に、この型の選択された深さの穿孔を支持する光学的に加熱されたプローブの一つの実施態様は、光ファイバーをとって、一端に固体キャップまたはコーティングからなるチップを配置することにより作製し得る。レーザーダイオードのような光源をファイバーの他端に結合させる。ファイバーに面するチップ面は、光源が発光する波長範囲にわたって、光量子がファイバー末端に到着して、この面に衝突する時に、そのいくつかが吸収されて、その後チップを加熱するのに十分な吸収係数を有さなければならない。このチップ、ファイバー、および光源のアセンブリのための特定の設計は、広範に変化し得るが、約50ー1000ミクロンの大きな直径を有するファイバーは現在一般的であり、そして数千ワットまでの光学エネルギーを放射する光源が同様に一般的である。実際の熱プローブを形成するチップは、タングステンのような高融点物質から作製され得、ファイバー末端における円柱状口径内へのファイバー挿入を可能とするように機械加工してファイバーに付着させ得る。チップ遠位端が、このチップからの熱拡散を制限し、そして使用される光パルス幅の時間枠内でチップをファイバーに付着させる支持円柱をバックアップするように作製されている場合、このチップ上での光量子事象は、ファイバー側、および組織表面に対して配置されている接触側の両方の温度を急速に上昇させる。ファイバー/チップアセンブ
リの組織表面上における配置は、チップを表面に対してある一定のバネ張力下で保持し、従ってその下部組織が切除される際に、チップ自身は組織内に進行するように設計された単純な機構により達成され得る。これにより熱切除プロセスは、所望の限り、組織中へまたは組織を通して持続させ得る。この光学的に加熱されたプローブの設計のさらなる特徴は、ファイバーにより収集される加熱されたチップからの黒体放射エネルギーをモニターすることにより、チップ温度の極めて単純な閉ルーブ制御がもたらされ得ることである。また、前述のように、プローブ接点および距離を置いて設置された第2の電極からの身体を通したインピーダンスの動力学的にモニターすることにより、身体内により深く貫通する場合は、組織び異なるインピーダンス特性に基づいてプローブの深さを見積もり得る。パルス幅とこの設計による感覚との間の関係は、前述の電気的に加熱したプローブについてと本質的にじ様である。
例えば、いくつかのワクチン投与法は、ランゲルハンス細胞もしくは樹状細胞、またはこの免疫応答に重要なその他の細胞の近くにあるように真皮層内に送達された場合に、最も効果的であることが知られている。これは、表皮を通過するように設計された穿孔の深さ、すなわち多くの場合、約180ミクロンから250ミクロンの深さ、を意味する。
別の例として、いくつかのタンパク質およびペプチドを送達する場合、投与部位における浸透物質に対する免疫応答を最小化し、そして同時に皮膚組織内のプロテアーゼ活性領域を迂回することが望ましい。この場合、皮膚内に300ミクロンの深さまで到達するよう
なさらにより深い孔が望ましい。
あるいは、浸透物質の迅速な初期吸収を最小化し、そしてより長期間に渡る制御放出を提供するための角質層の障壁機能を保留するために、無傷の角質層の最小厚の層を残すことが望ましいこともある。
本発明のそのさらなる特徴は、現在では生体膜層の穿孔と、様々な障壁において機能するように至適化され、生体効果に必要である望ましい化合物の内部空間への送達をもたらし得るその他の浸透増強技術とを組み合わせることにより獲得され得る大きな効率の増大である。特に、裸の、フラグメント化した、被包化した、またはその他の物質に結合させた核酸化合物を送達する場合、しばしば、所望の吸収とその後の治療成績を可能とするために、細胞を死滅させることなく生細胞内に、核酸を持ち込むことを所望する。エレクトロポレーション、イオン導入、磁場および熱また音波エネルギーの適用は、細胞膜およびその他の内部組織内に、一時的に開口を形成させ得る。本発明者らが、角質層または粘膜の上皮層または植物の外層、および所望ならば、表皮および真皮または植物内深部、を突破する方法を提示したので、今では、エレクトロポレーション、イオン導入、磁場および熱また音波エネルギーは、下層にあるこれらの組織障壁に選択的に作用し、細胞、毛細管、または標的組織内の他の膜を透過するように調整し得るパラメーターと共に使用され得る。エレクトロポレーション、イオン導入、磁場および熱または音波エネルギーは以前はこの用途には適用不能であった。
50〜150ボルトを越えるパルスが角質層、粘膜外層、または植物外層を電気穿孔するた
めに日常的に使用されるエレクトロポレーションの場合は、本発明者らが提示する環境においては、わずか数ボルトまたはそれ以下のパルスが、標的組織内の細胞、毛細管、または他の膜を電気穿孔するためにはで十分である。これは主として、一旦皮膚、粘膜層、または植物外層が開口すると、電極間に存在する絶縁層の数が劇的に減少することに起因する。
同様に、イオン導入は、これらの穿孔層を通過する液体流に対する物理的インピーダンスの劇的減少に起因する極めて少量の電流による微細穿孔を通しての核酸を含む液体培地の流量の調整のために効果があることが示され得る。
音波エネルギーの場合、古典的には音波エネルギーは角質層または粘膜層の浸透をこの障壁を排除することにより加速するために使用されてきたのに対して、音波エネルギーは今では標的組織内の細胞、毛細管、またはその他の膜の浸透化のために使用され得る。エレクトロポレーション、イオン導入の場合と同様に、本発明者らは、物質の貫通膜流量において顕著な改善をもたらすのに必要な音波エネルギーレベルが、皮膚や粘膜層が無傷の場合と比較してかなり低量であることを証明した。その他の浸透増強測定は、微細穿孔部位における浸透圧または物理的圧力(例えば、微細穿孔を通して生物内に特定の液体流を強要するために浸透物質レザーバーに軽い気圧を適用する)の変化を含む。
これら全ての活性な方法、すなわちエレクトロポレーション、イオン導入、磁場または熱または音波エネルギーの操作の態様は、単一でまたは組み合わせで適用される場合には、皮膚、粘膜層、または植物外層の穿孔実施後、物質の送達のために単一細胞膜が開口されるインビトロ適用において代表的に使用されるパラメーターを使用し得る利点を有する。これらのパラメーターの例は、文献において周知である。例えば、Sambvrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual 第二版、Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、New York、1989。
本発明の方法によって生体膜内に作製された微細穿孔は、高(および低)分子量治療用化合物の経皮的、経粘膜的、または経膜的高流量率送達を可能にする。さらには、身体へのこれらの非外傷性(non-traumatic)顕微鏡用開口は、体内における様々な分析物への
接近を可能とし、これらの分析物は体内濃度測定のためにアッセイされ得る。
生物活性物質の送達
本発明による別の進歩は、以下のような生物活性物質の送達目的の生体膜の穿孔法の使用を含む:例えば、タンパク質およびペプチド(例えば、インスリン)を含むポリペプチド;LHRHを含む放出因子;炭水化物(例えば、ヘパリン);核酸;ワクチン;および次のような薬理学的に活性な物質、例えば、抗生物質や抗ウイルス剤のような抗感染剤;鎮痛剤および鎮痛剤の組み合わせ;食欲抑制剤;抗駆虫剤;抗関節炎剤;抗喘息剤;抗痙攣剤;抗うつ剤;抗糖尿病剤;止痢剤;抗ヒスタミン剤;抗炎症剤;抗偏頭痛調剤;制吐剤;抗腫瘍剤;抗パーキンソン氏病薬;止痒剤;抗精神病剤;解熱剤;鎮痙剤;抗コリン剤;交感神経刺激剤;キサンチン誘導体;カリウムおよびカルシウムチャネルブロッカー、ベータブロッカー、アルファブロッカーおよび抗不整脈治療剤を含む、心臓血管系調製物;降圧剤;利尿剤と抗利尿剤;一般冠状動脈、末梢および脳を含む血管拡張剤;中枢神経系刺激剤;血管収縮剤;鬱血除去剤を含む、咳および感冒用調剤;エストラジオール、テストステロン、プロゲステロンのようなホルモン、およびコルチコステロイドを含むその他のステロイドとその誘導体およびアナログ;睡眠薬;免疫抑制薬;筋肉弛緩薬;副交感神経遮断薬;精神刺激薬;鎮静薬;および神経安定薬。本発明による方法により、イオン化および非イオン化薬物両方の送達が可能であり、高分子量、中分子量、または低分子量薬物もまた送達し得る。
DNAおよび/またはRNAの送達は、ポリペプチド発現の達成、免疫応答の刺激、または「
アンチセンス」核酸、特にアンチセンスRNAの使用によるポリペプチド発現の抑制のため
に使用され得る。「ポリペプチド」という用語は、本明細書においては、特定のサイズが指定されない限り、特にそのサイズには制限無く使用され、タンパク質を含む全ての長さのペプチドを含む。発現され得る代表的ポリペプチドは、以下から成る群から選択される:オキシトシン、バソプレッシン、副腎皮質刺激ホルモン、表皮成長因子、プロラクチン、黄体形成ホルモン、放出ホルモン、成長ホルモン、成長ホルモン放出因子、インスリン様成長因子、インスリン、エリスロポエチン、レプチンのような肥満タンパク質、ソマトスタチン、グルカゴン、グルカゴン様インスリン分泌性因子、副甲状腺ホルモン、インターフェロン、ガストリン、インターロイキンー2およびその他のインターロイキンおよび
リンホカイン、テトラガストリン、ペンタガストリン、ウロガストロン、セクレチン、カルシトニン、エンケファリン、エンドルフィン、アンギオテンシン、レニン、ブラジキニン、バシトラシン、ポリミキシン、コリスチン、チロシジン、グラミシジン、および合成アナログ、改変体とその薬理学的に活性なフラグメント、モノクローナル抗体およびワクチン。この群は限定的であることは意図されない、発現され得るペプチドまたはタンパク性薬物に対する唯一の限定は、その機能性の1つである。DNAおよび/またはRNAの送達は
、遺伝子治療、ワクチン接種、および生物内に核酸またはポリペプチドがインビボで投与されるべき治療状況において有用である。例えば、本明細書中で参考として援用される米国特許第5,580,859号。
本発明の一つの例示的実施態様は、生体膜の穿孔を含むポリペプチドの長期投与の獲得、および次いで生体膜内のこの孔を通してのポリペプチドをコードするDNAの送達のため
の方法であり、これにより組織細胞はDNAを取り込み、少なくとも1カ月、より好ましく
は少なくとも6カ月間ポリペプチドを産生する。本発明の別の例示的実施態様は、生体膜の穿孔を含むポリペプチドの一過性発現の獲得、および次いで生体膜のこの孔を通してのポリペプチドをコードするRNAまたはDNA送達のための方法であり、これにより組織細胞(例えば、皮膚、粘膜、毛細管または下部組織)は、RNAまたはDNAを取り込み、約20日未満、通常では約10日未満、およびしばしば約3〜5日未満の期間ポリペプチドを産生する。RNAまたはDNAを取り込む細胞は、生体膜、下部組織、または毛細管によって到達し得る他の標的組織の細胞を含み得る。
DNAおよび/またはRNAは、必要に応じてキャリアまたはビヒクル内の裸の核酸であり得
、および/またはミクロスフェア、リポソーム内に含まれ得、および/またはトランスフェクション促進タンパク質、微粒子、脂質複合体、ウイルス粒子、荷電性または中性脂質、炭水化物、リン酸カルシウム、またはその他の沈降剤、および/または核酸を安定させるための他の物質と結合し得る。核酸は、染色体内に組み込まれるか、またはプラズミド内、または裸のポリヌクレオチドとして組み込まれないかのいずれかでウイルスベクター内に含まれ得る。核酸はポリペプチドをコードし得、あるいは、例えば、細胞内において選択されたポリペプチドの翻訳を阻害するためのアンチセンスRNAをコードし得る。核酸がDNAである場合は、それ自体非複製型であるDNA配列であり得るが、レプリケーターをさら
に含むプラズミド内に挿入される。DNAはまた、ヒトにおいて機能的であるCMV IEPプロ
モーターのような転写プロモーターを含み得る。DNAはまた、DNA転写のためのポリメラーゼをコードし得る。一つの好ましい実施態様において、DNAは、ポリペプチドおよびDNA転写用ポリメラーゼのいずれもコードする。このDNAはポリメラーゼ、またはそれをコード
するmRNAと合わせて送達され得、mRNAは細胞内で翻訳される。本実施態様において、このDNAは、好ましくはプラズミドであり、そしてポリメラーゼは好ましくは、T7ポリメラー
ゼのようなファージポリメラーゼであり、ここでT7ポリメラーゼ遺伝子はT7プロモーターを含むべきである。
本方法は、特定のポリペプチドの欠陥、欠損、または変異と関連する疾患を処置するために使用され得る。本発明の別の局面に従って、本方法は、個体の免疫法を提供し、ここでこのような個体はヒトまたは動物であり、この個体に対するDNAおよび/またはRNAを送
達を含み、ここでDNAおよび/またはRNAは、免疫原に対する免疫応答を誘導する免疫原性
翻訳産物をコードする方法である。本方法は、体液性免疫応答、細胞性免疫応答、またはその混合を誘導するために使用され得る。
実施例40
この例示的な実施例は、mRNAの調製および送達を示す。
一般的に、本発明の実施において、mRNAのインビトロでの転写に適切なプラスミドが、実質的に無制限数のcDNAを用いて当業者によって容易に構築され得ることが明らかであるはずである。このようなプラスミドは、選択されるRNAポリメラーゼについてのプロモー
ター、続いて5’非翻訳領域、3’非翻訳領域、およびポリアデニル化領域について鋳型を有利に含み得る。これらの5’および3’の非翻訳領域間には特有の制限部位が、任意の選択されたcDNAのプラスミド中への挿入を容易にするために存在するべきである。次いで、選択された遺伝子を含むプラスミドのクローニング後、プラスミドを、ポリアデニル化領域での消化によって直鎖状にし、そしてインビトロで転写させてmRNA転写物を形成させる。これらの転写物は、好ましくは、5’キャップを有して提供される。あるいは、5’非翻訳配列(例えば、EMC)が使用され得、これは、5’キャップを必要としない。
容易に入手可能なSP6クローニングベクター(pSP64T)は、効率的に翻訳されるmRNAで
ある、Xenopusのグロビン遺伝子由来の5’および3’隣接領域を提供する。開始コドンを
含む任意のcDNAをこのプラスミド中に導入し得、そしてmRNAを得られる鋳型DNAから調製
する。この特定のプラスミドを、目的のポリペプチドをコードする選択された任意のcDNAを挿入するために、BglIIで消化し得る。良好な結果が、直鎖状にし、次いでSP6RNAポリ
メラーゼで転写させた場合に、pSP64Tで得られ得るが、ファージT7RNAポリメラーゼとと
もにpSP64TのXenopusのグロビン隣接配列を使用することが好ましい。これを、pSP64T由
来の約150bpのHindIII/EcoRIフラグメントを精製すること、およびこのフラグメントを
直鎖状にしたpIBI131(International Biotechnologies,Inc., New Haven, Conn.から市販されている)の約2.9kbのHindIII/EcoRIフラグメントにT4リガーゼを用いて挿入する
ことによって達成する。得られるプラスミド(pXBG)を、2つのXenopusのグロビン配列
間に存在する独特のBglII部位での目的の任意の遺伝子を受容させるため、および選択さ
れた遺伝子のT7ポリメラーゼでの転写のために適合させる。
外因性のポリヌクレオチドのインビボでの発現を実証するための便利なマーカー遺伝子は、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)である。pSV2-CAT(ATCC
番号 37155)の小さなBamHI/HindIIIフラグメントに由来するCAT遺伝子、およびBglII消化したpXBGの両方を、E.coliDNAポリメラーゼのKlenowフラグメントとともにインキュベ
ートして平滑末端を生成させ、次いで、T4 DNAリガーゼを用いて連結させてpSP-CATを形
成させた。次いで、このプラスミドをPstIおよびHindIIIで消化し、そして小さなフラグ
メントはpSP64Tの5’および3’-グロビン隣接配列間にCAT遺伝子を含む。T7プロモーターを含有するプラスミドpIBI131もまたPstIおよびHindIIIで消化し、そして長いフラグメントを精製する。次いで、このフラグメントをT4DNAリガーゼを用いてCAT遺伝子を含有するフラグメントに連結して、プラスミドpT7CAT-Anを形成させる。
pT7CAT-AnプラスミドDNAを、当該分野で周知の方法(例えば、米国特許第5,580,859号
)に従って精製する。次いで、得られる精製されたプラスミドDNAを過剰のPstIでポリア
デニル化領域の下流で直鎖状にし、次いで得られる直鎖状のDNAを精製し、そして米国特
許第5,580,589号の実施例5の方法に従ってインビトロで転写させる。次いで、得られるmRNAを、米国特許第5,580,859号の実施例5の方法に従って精製する。これは、本発明の送達に十分に純粋である。
精製したmRNAを、微細穿孔手順に従って、個体上の選択した部位を、生物学活性を最適化するように選択した孔の深さで穿孔すること、およびmRNAが細胞によって取り込まれる場合、mRNAが皮膚または粘膜を通って内在組織まで通過するように、このような部位へ有効量のmRNAを送達することによって送達する。穿孔した角質層または粘膜を通過するこの送達を、音波エネルギーを用いて、および/または実施例15の手順に従う音波エネルギーの使用によって、ならびに/あるいは細胞性の取り込みを増強させるためにエレクトロポレーションで、ならびに/あるいは皮膚もしくは粘膜中の孔を通じる流れを誘導するための圧力の差を用いて補助し得る。さらに、送達を、体内への孔を通じるmRNAの拡散を増強するため、または細胞へのmRNAの取り込みを容易にするために、mRNAをキャリア溶液(例えば、正に荷電した脂質複合体またはリポソーム)中に配置することによって補助し得る。
実施例41
この実施例は、HIVのgp120タンパク質をコードするmRNAでの個体の免疫化を示す。mRNAは、gp120の遺伝子(AIDS ResearchandReagentProgram, National Institute of Allergy and Infectious Disease,Rockville,MDからのpIIIenv3-1)を実施例40のプラスミ
ドpXBGに挿入することを除いて、実施例40の手順に従って調製する。gp120遺伝子を含むmRNAを、実施例40の手順に従って送達する。
実施例42
この実施例においては、HIVのgp120タンパク質をコードするDNAでの個体の免疫化を示
す。gp120遺伝子を、P.Muzzinら(Correction ofObesity and Diabetes in Genetically
Obese Mice by LeptinGene Therapy, 93 Proc.Nat’l Acad. Sci. USA 14804-14808(1996);G.Chenら、Disappearance ofBody Fat inNormal Rats Induced by Adenovirus-mediatedLeptin Gene Therapy,93Proc. Nat’lAcad. Sci. USA 14795-99(1996)、これらは本明細書中で参考として援用される)の手順に従って組換えアデノウイルスに挿入する。生じるDNAは、実施例41の手順に従って送達される。
実施例43
本実施例において、HSV-2の糖タンパク質DをコードするDNAでgp120タンパク質をコー
ドするDNAを置換したこと、およびさらに有効量の糖タンパク質Dと組合せたこと除いて
、実施例42の手順に従う。
実施例44
本実施例では、肥満タンパク質レプチンをコードする核酸(例えば、ヒトレプチンまたはラットレプチンcDNA(C. Guoxunら、DisappearanceofBody Fat in Normal Rats Induced by Adenovirus-mediatedLeptin, 93 Proc. Nat’lAcad.Sci. USA 14795-99(1996))、またはマウスレプチンcDNA(P.Muzzinら、Correctionof ObesityandDiabetes in
Genetically Obese Mice by Leptin Gene Therapy, 93Proc. Nat’l Acad. Sci.USA14804-14808(1996)、これらの両方は、本明細書中で参考として援用される)を、適切なプラスミドベクター中で送達する。哺乳動物発現ベクターpEUK-C1(Clonetech,PaloAlto,
Calif.)を、クローニングした遺伝子の一時的な発現のために設計する。このベクター
は、pBR322複製起点および細菌中での増殖のためのアンピシリン耐性マーカーを含み、そしてSV40複製起点、SV40後期プロモーター、ならびに哺乳動物細胞中で選択された遺伝子の複製および発現のためのSV40後期ポリアデニル化シグナルもまた含む、4.9kbのプラス
ミドである。独特のXhoI、XbaI、SmaI、SacI、およびBamHI制限部位のマルチクローニン
グ部位(MCS)を、SV40後期プロモーターとSV40後期ポリアデニル化シグナルとの間に配
置する。MCS中にクローニングしたDNAフラグメントをSV40後期プロモーターからRNAへ転
写させ、そしてクローニングしたフラグメント中の最初のATGコドンから翻訳させる。SV40VPIプロセシングシグナルを使用して、クローニングしたDNAの転写物をスプライシング
し、そしてポリアデニル化する。レプチン遺伝子を、当該分野で周知の技術(例えば、J.Sambrookら、MolecularCloning:ALaboratoryManual(第2版、1989)、これは、本明
細書中で参考として援用される)を使用してpEUK-C1のMCSにクローニングする。生じるプラスミドを、上記の実施例に記載の手順に従って、皮膚または粘膜の穿孔後にヒトまたは動物の個体に送達する。
実施例45
ヘパリンの送達。ヘパリンは、1時間あたりおよそ1000から5000IUの静脈注入に等価である基底レベルの維持、5000〜1000IUのヘパリンまたは1500〜6000IUの低分子量のヘパリンの1日に2回の皮下注射が代表的な臨床的投与量である、有用な治療用物質である。通常は、ヘパリンは、経皮送達系の良好な候補とは考えられない。なぜなら、この物質の5000〜30000Daの分子量に主に起因する皮膚の通過に対するその比較的高い抵抗性のためで
ある。本明細書中に開示される微細穿孔技術を使用して、例えば、微細穿孔が配置されている皮膚表面に付着させた送達リザーバーから十分な量のヘパリンを投与した場合に、ヘパリンの有意な流速を容易に達成した。ヘパリン溶液を、約100μmの深さまで穿孔した皮膚に適用し、これによって、受動的な拡散またはイオントフォレイシス法(約1mA/cm2
)との併用のいずれかを可能にする。これを、下部組織への微細穿孔を通じるヘパリンの輸送に十分な時間適用する。ヘパリンの送達の証拠を、受動的なおよびイオントフォレイシス法による増強された送達の両方のインビボ部位について顕微鏡試験によって示されるような、拡大した毛細血管の膨張および透過性によって観察した。主な駆動力として受動的な拡散を使用して有意なヘパリンの流れを示すことに加えて、高度に荷電した化合物であるヘパリンは、活性な制御可能な流速を可能にするために微細穿孔と電場との組み合わせのための天然の候補であり、そして同じ数の微細穿孔を通じる可能であるよりも早い流速が、受動的拡散法を用いて可能である。健常な男性のボランティアの手掌の前腕上の部位が1平方cmの面積中に36個の微細穿孔のマトリックスを作製することによって調製した、1つの実験を行った。イオントフォレイシスシステムのためのヘパリンナトリウム溶液および陰性電極を含有する小さいリザーバーを、この部位に取り付けた。陽性電極を、イオントフォレイシスシステムの販売元であるIomedから入手したヒドロゲル電極を使用し
て、いくらかの距離をあけて被験体の皮膚に取り付けた。このシステムを1平方cmあたり0.2ミリアンペアで10分間実施した。この期間の後、この部位の顕微鏡試験によって、毛
細血管の血管拡張によってヘパリンの送達の直接の証拠を示した。そして、吸引力を微細穿孔からの間質液のサンプルを抽出するために適用した場合、十分な赤血球がこの力のもとで毛細血管を出て、回収したISFをピンク色に色づける。このことは、この領域における増大した血管浸透性を示す。さらに、赤血球が凝固するかどうかを見るためにわきに配置する場合、凝固が起こらないことは、作業中の組織中に存在するヘパリンの抗凝固効果を示す。
実施例46
インシュリンの送達:インシュリン(健常な個体中に通常存在する多くの化合物のような)は、例えば、外因性のインシュリンを必要とする糖尿病の個体中で、規定レベルおよび食事に応答する拍動性のボーラス様式で、ならびに被験体の活性レベルの両方で維持されなければならないポリペプチドである。現在、このことは、作用の早い皮下注射および作用の遅い処方物によって達成される。インシュリンの分子量(代表的には、約6000)のために、伝統的な経皮法または経粘膜法では、臨床的に有用なレベルでは送達され得ない。しかし、皮膚または粘膜のバリヤー層を通じて微細穿孔を開くことによって、生存組織中へのインシュリンの送達を可能にする明らかな通路が提供される。ここで、これらの組織中に存在する間質性の液体は、リンパ系および毛細血管のベッドへおよびその中へのインシュリンの拡散(浸透圧的に駆動することを含む)を可能にし、これによって臨床的に有用な量を送達する。Boehringer-MannheimCo.から購入した3500IU/mlの組換えヒトインシュリンを含有する濃縮したインシュリン溶液を、4平方cmを覆う手掌の前腕の被験体の皮膚の孔をあけた領域に対してレザーバー中で適用した。健常な44歳の男性の、糖尿病ではない被験体を、実験の開始の14時間前に絶食させた。静脈内および指の血液サンプルを、送達期を開始する前および後に定期的に採取し、そしてグルコース、インシュリン、およびC-ペプチドについてアッセイした。指の血液のグルコースデータは、約4時間後に
有意なおよび迅速な被験体のグルコースレベルの抑制を示し、10分間のサイクルにわたって開始時の100mg/dlから67mg/dlに低下し、次いで続く10分間で100まで回復し、このことから、送達されたインシュリンにかかわり、そしてそれを補う被験体のカウンター調節システムに起因すると仮説を立てた。44khzおよび0.2ワット/平方cmでの超音波作動の付加を含むこの手順の繰り返しは、送達の開始後30分未満に109mg/dlから78mg/dlに低下する
被験体のグルコースレベルによって示されるような、インシュリンのより迅速な送達を示した。実施例45の場合のように、ヘパリンの送達について、低電流イオントフォレイシスシステムをより大きい流動速度を容易にし、そして電流を変化させることによってこの流動速度を調節する能力を提供するために、微細穿孔と組合せ得、これによって組み立てられるべきシステムの要求される型についての送達を可能にする。インシュリンを用いた以前の研究は、代表的には、比較的高いイオントフォレイシス電流が完全な角質層の強力なバリア特性を克服するために必要とされることを示す。角質層または粘膜の穿孔により、および必要に応じて標的化される生物学膜中へまたはそれを介してより深い孔を作製するために穿孔パラメーターを設定することによって、より低い電流密度が、所望のインシュリン流動速度を生じるために必要とされる。
同様に、荷電していないまたは低く荷電したインシュリン処方物について、微細穿孔を通る活性な流動性の増強は、音波の場または音波泳動法(sonophoresis)(これは、組織へのインシュリンの押し込みを補助するために、通常超音波として記載される周波数を含み得る)を組合せることによってもたらされ得る。音波の場のさらなる特徴は、組織にわたって血流への所望の吸収が行われ得るより大きな容積の組織にインシュリンが到達させる、生存可能な組織内の種々の障壁の浸透性を増強するその能力である。音波エネルギーを調節することは、より深い組織へまたは貫通する微細穿孔を通る化合物の総流動を調節することにおいて非常に有効であると示されており、これによってボーラス送達系を開発するための第2の手段を提供する。
皮下注射として与える場合、インシュリン吸収の実際の経路は、依然としていくつかの議論の主題である。これが依然として明らかではない理由の1つは、集団内で、または同じ被験体においてもなお、注射ごとの基準について、実証される生体利用可能性の広範に変化するレベルである。1つの仮定される経路は、毛細管を通じて血流に入る直接的な吸収である。このプロセスを増強するための方法は、表面の穿孔を用いるエレクトロポレーションと組合せることであり、ここで、エレクトロポレーションは、毛細管の内皮膜の領域中での作用に対して特異的に最適化されており、これによって、この直接的な吸収を増強するために一時的に多数の開口部を作製する。以前に記載されているイオン導入法および音波泳動法を用いる場合、外表面の下のこれらの組織層中のエレクトロポレーションのこの型を実行するために必要とされるエレクトロポレーションシステムの総電圧振幅レベルは、しばしば、生体膜の外部層の大量のインピーダンスの低下に起因して、インタクトな外表面を通る浸透に必要とされるよりも低い。
実施例47
微粒子の送達:リポソーム、脂質複合体、ナノスフェアを含むミクロスフェア、PEG沈
殿した(PEGellated)化合物(ポリエチレングリコールと混合した化合物)および薬物送達系の一部としての他の微粒子の使用は、多くの種々の特異的な適用について十分に開発されている。特に、体の組織中の内因性の成分(例えば、皮膚、組織、血流またはリンパ中に存在するマクロファージまたは他の細胞中のプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、または炭水化物分解酵素)によって容易に崩壊される化合物を扱う場合、生体利用可能性の増大および/または徐放を、これらの技術の1つを利用することによってしばしば実現し得る。現在、一旦当業者がこれらの技術の1つを適用すると、処方物を、一般には、ある型の注射を介して送達する。本発明は、生体膜(例えば、皮膚または粘膜)を通過しかつ選択された深さまで体内に微細穿孔を作製することによって、この型の微粒子が皮膚または粘膜を介して送達されることを可能にする。上記のインシュリンの実施例に記載されるように、微細穿孔、エレクトロポレーション、イオン導入法、音波エネルギー、エンハンサー、および部位の機械的刺激(例えば、圧力または摩擦)を、特定の処方物の送達および/または取り込みを増強するために、任意の組合せで組合せ得る。いくつかの操作した微粒子の場合において、孔は、特定の生物学的に活性な領域をバイパスするように、または選択された領域内に粒子を配置するように設計された最適な深さを有し得る。いくつかの微粒子送達系について、表面下組織への、またはそれを貫通してそれらが送達された後の粒子へのエネルギー入射を、活性な化合物の加速された放出を誘発するために使用し得、これによって治療用物質の流動速度の外部制御を可能にする。
実施例48
移植可能な分析物のモニタリングのための微粒子:微粒子の別の適用は、治療薬としてではなく、非侵入的に調べられ得るプローブ化合物のキャリアとして、例えば、体内の特定の分析物のレベルに関する情報を得るために外部読み取り系から電磁気照射によって粒子を送達することである。一例は、グルコース特異的蛍光団化合物を孔性のミクロスフェア中に取り込むことである。これは、周辺組織中に存在するグルコースレベルに依存し、振幅、波長、または蛍光寿命のいずれかにおいてその蛍光応答を変化させる。蛍光団を700nmから1500nmまでの範囲の励起波長を用いて活性であるように設計する場合、低コスト
の赤外光源(例えば、LEDまたはレーザーダイオード)を使用して、その蛍光応答を刺激
する。この蛍光応答は、700nmから1500nmまでのこの範囲に同様に存在する。これらの波
長では、皮膚および粘膜組織はほとんど吸収せず、従って、単純な系をこれらの様式で構築することが可能である。
グルコースは、実験的な寿命の蛍光プローブが開発され、そして光学的な刺激および検出方法を用いて皮膚を通じて良好に調べられる皮下に挿入されたポリマー移植物中に取り込まれる、1つの候補分析物である。これは、単に、微細穿孔を介する生存組織層への、またはそれを貫通する送達を可能にするために、これらの実験的移植物の適切な大きさの微粒子への再形成を必要とする。しかし、任意の分析物を標的化し得、そして送達される微粒子を調べる方法は、光学的なエネルギーではなく磁場または電場を介し得る。
実施例49
ワクチンの送達
細菌、ウイルス、トキソイド、または混合ワクチンを、固体、液体、懸濁物、または必要とされる場合はゲルとして調製する。この処方物は、ペプチド、タンパク質、炭水化物、DNA、RNA、完全な微生物、アジュバント、キャリアなどの任意の1つまたは組合せを含み得る。個体の選択された部位(皮膚または粘膜)に、上記の実施例45に記載する手順に従って穿孔し、そしてワクチンを穿孔した部位に適用する。微細穿孔の深さは、送達されるワクチンの型に依存し得る。この送達は、エレクトロポレーション、イオン導入法、磁気エネルギーまたは音波エネルギー、エンハンサー、および部位の機械的刺激(例えば、圧力または摩擦)で、細胞性の取り込みを増強するための上記の手順、ならびに/あるいはエレクトロポレーション、イオン導入法、磁気エネルギーまたは音波エネルギー、エンハンサー、および部位の機械的刺激(例えば、圧力または摩擦)の使用に従って補助され得る。さらなるまたは補強する用量を同じ様式で送達し、個体の免疫を達成し得る。
実施例50
テストステロンの送達:市販の入手可能なテストステロンパッチ(TheraTech,Inc.のAndrodermR patch)を、この浸透の送達に適用する場合、微細穿孔の利点を評価するための一連の実験において使用した。性機能亢進の男性被験体を2日間Androderm治療を受けさ
せ、その後、一連の静脈血サンプルを、この被験体の基底レベルのテストステロンが確立するためにその後の24時間まで採取した。次いで、2つの2.5mgのAndrodermパッチを製造業者に推奨されるように取り付け、そして静脈血サンプルの同様のセットを採取して、使用された経皮流動増強方法のみがパッチに含まれる化学的浸透エンハンサーである場合のテストステロンレベルを測定した。洗浄期間のさらに2日後、次いで、2つのAndroderm
パッチを同様に取り付けたが、しかし、取り付けの前に標的部位での皮膚表面に1部位あたり72個の微細穿孔で穿孔した。各孔は、約80μmの幅、および300μmの長さの寸法で、
そして80から120μmの深さにおよぶ。穿孔した送達位相について、同様の一連の静脈血サンプルを採取し、テストステロンを測定した。24時間のこれらの全てによるデータを、「経皮的テストステロン送達に対する微細穿孔の効果」と名づけた図35に示す。これらのデータの注目すべき特徴は、微細穿孔が存在する場合に、被験体血液のテストステロンレベルがはるかにより迅速に上昇し、4時間を超える穿孔していないサイクル上昇端よりも本質的に優先する。曲線の傾きおよび曲線の下の面積を見ることによって、本発明者らは、3倍を超える流速が最初の4時間の間に微細穿孔によって起こったことを計算し得る。
実施例51
アルプロスタジルの送達:アルプロスタジルまたはPGE1は、その血管拡張性挙動による男性の勃起性機能障害を処置するために治療的に使用されるプロスタグランジンである。この薬物についての標準的な送達様式は、陰茎の基部への直接的な注射であるか、または尿道へ挿入される坐剤を介する。一連の実験を、2人の健常な男性のボランティアで行った。各被験体は、皮膚の表面から測定した場合に、およそ100ミクロンの深さの孔を作製
する熱の孔パラメーターセットを用いて、陰茎幹の基部の領域上に12から36個の微細穿孔をあけることによって調製された1平方cmの部位を有した。濃縮したアルプロスタジルの溶液を、穿孔部位上に配置した小さいレザーバーパッチ中に配置した。次いで、超音波トランスデューサーをレザーバーの上部の置き、そして活性化し、そして被験体の勃起性および他の臨床的な応答をビデオテープに記録した。両方の被験体が、陰茎の有意な量の充血を生じ、適用された用量で70%以上の完全な勃起を達成すると概算した。さらに、送達された薬物の全身的なレベルに対する頬の潮紅応答を観察した。送達時間の30分から60分にわたって、両方の被験体は、顔面、首、胸部、および腕にまでおよぶ深在性の頬の潮紅を生じた。勃起応答および頬の潮紅の両方が、薬物(周知の血管拡張因子)の臨床的に活性な量の送達の証拠を提供する。
実施例52
インターフェロンの送達:インターフェロンは、約17〜22,000の分子量のタンパク質であり、これは、種々の疾患状態(たとえば、ウイルス感染(例えば、B型肝炎およびC型肝炎)、免疫疾患(例えば、多発性硬化症)、およびガン(例えば、毛様細胞性白血病))を処置するために臨床的に投与される。これらのタンパク質の性質に起因して、インターフェロンは、現在は、注射によって投与されなければならない。なぜなら、これらは、経口で与えることができず、そして伝統的な経皮または粘膜を介する送達方法には大きすぎるからである。微細穿孔技術によるインターフェロンの送達を実証するために、1mlの送達溶液中に溶解された1mgあたり1億国際単位のインターフェロンの特異的活性を有するインターフェロンを含有する、αインターフェロン溶液の100マイクロリットルのアリ
コートを、150〜180μmの深さにまで穿孔した、穿孔された皮膚の1平方cmの領域に適用
する。従って、健常なヒト被験体の大腿上の毛細血管床の不足を生じる。試行を、インターフェロン溶液の有害な加熱を生じることなく下部組織へまたはそれを貫通して、孔を介するインターフェロンの移動を加速するために、純粋に受動的な拡散および十分な振幅、周波数、およびその調節でのその領域に対する音波エネルギーの適用のいずれかを使用して実施する。静脈血採取を、両方の試行について種々の時間の間隔で行い、そしてラジオイムノアッセイおよび生体アッセイを使用してインターフェロンレベルについてアッセイする。インターフェロンを、モニターした4時間にわたって血清中で検出する。音波によって増強させた送達実験についてのインターフェロンレベルは、受動的な実験についてよりも早く検出される。別の実験において、インターフェロンは、乾燥粉末形態で、直接、皮膚の穿孔領域の微細穿孔に投与される。インターフェロンは、上記と同じ技術を使用して血清中で検出される。別の試験において、インターフェロン溶液は、頬粘膜の穿孔組織に、裏打ちフィルムをともなって、または伴わずに、ゲル中に適用される。静脈血を採取し、そしてインターフェロンレベルについてアッセイする。インターフェロンは、モニターした3時間に渡って血清中で検出される。別の実験において、インターフェロンは、生体侵食性マトリクスを含む錠剤中に、穿孔された頬粘膜の領域にわたって錠剤の接触を提供する、粘膜接着性ポリマーマトリックスとともに組み込まれる。インターフェロンは、上記と同じ技術を使用して血清中で検出される。
実施例53
モルヒネの送達:モルヒネの溶液を、ヒト被験体の手掌側の前腕上の穿孔領域に適用する。正の圧力勾配を使用して、モルヒネの存在について適切な時間の間隔で採取した静脈血のアッセイによって決定されるように、体内へのモルヒネの基底送達速度を提供する。約3〜6ng/mlのモルヒネの基底レベルを達成する。必要な場合には、さらなる圧力ボー
ラスを、モルヒネの送達においてスパイクを生じるように適用する。さらなる圧力ボーラスを、超音波の使用によって1つの試験において達成する;または圧力スパイクの使用によって別の実験において達成する。モルヒネの基底レベルが持続的に適用され、必要な場合には定期的にモルヒネの送達におけるスパイクを用いるこの型の送達は、慢性および突発的な痛みを処置することにおいて有用である。
実施例54
植物への疾患耐性DNAの送達:選択したトウモロコシ植物の種子を、微細穿孔する。種
子を、疾患耐性タンパク質をコードするDNAを含む浸透性処方物の溶液中に入れる。音波
エネルギーを必要に応じて用いて、トウモロコシの種子へのDNAの送達を増強する。種子
を発芽させ、そして成熟するまで生長させる。得られる成熟したトウモロコシ植物の種子は、ここで、疾患耐性遺伝子を有する。
実施例55
植物へのDNAの送達:テンサイの種子を、微細穿孔する。種子を、ヒト成長ホルモンをコードするDNAを含む浸透性処方物の溶液中に入れる。エレクトロポレーション、イオン
導入法、音波エネルギー、エンハンサー、およびこの部位の機械的な刺激(例えば、圧力)を使用して、種子へのDNAの送達を増強し得る。種子を発芽させ、そして成熟するまで
生長させる。得られる成熟したテンサイ植物の種子をここで回収し、そして続く精製および臨床的使用のためにヒト成長ホルモンが抽出され得る。
実施例56
蛍光デキストラン粒子(MW約10,000ダルトン)を、約80μmの深さにおよぶ36個の微細
穿孔を形成したヒト被験体の手掌側の前腕上の1平方cmの皮膚を覆うレザーバーパッチによって水溶液中に適用した、1つの実験を行った。レザーバーパッチを、5分間放置した。穿孔部位および周辺の領域を、組織中への透過性物質の浸透を評価するために蛍光ビデオ顕微鏡で画像化した。蛍光は、5分以内のデキストランの有意な浸透が、最も近い微細穿孔から2mmを超えて離れて生じたことを示した。10分後に使用したビデオアッセイシステムは、さらなる拡散を示し、その結果、蛍光のフラッシュは孔から10mmに拡大した。この実験は、この技術が10,000の分子量を有する透過性物質の送達を可能にするという明らかな証拠を提供する。

Claims (12)

  1. 生物体へ浸透性物質を送達するための装置であって、該装置は、以下:
    a)該生物体の生体膜を選択された領域で穿孔して、該生物膜に直径1〜1000μmの微細穿孔を少なくとも1つ形成するための伝導性加熱固体エレメントであって、該選択された領域の組織結合水および他の気化物質の温度が該水および他の気化物質の気化点よりも上に上昇するように、該穿孔するための伝導性加熱固体エレメントが該選択された領域と実質的に物理的に接触することで、伝導によって該生体膜の該選択された領域に十分なエネルギーを送達することによって、該生体膜を切除し、それにより、該選択された領域の該選択膜を除去する、伝導性加熱固体エレメント;
    を備え、
    該伝導性加熱固体エレメントは、該伝導性加熱固体エレメントが接触する該領域の温度を前記気化点よりも高い温度へと昇温させる10ナノ秒から50ミリ秒以内の昇温サイクルと、それに続き該領域の温度を回復させる1ミリ秒から50ミリ秒以内の回復サイクルとを、複数回繰り返すように構成されている、
    前記装置。
  2. 前記伝導性加熱固体エレメントと前記生物体との間の電気的インピーダンスをモニタリングする手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
  3. 前記モニタリングする手段によって得られる電気的インピーダンスに基いて、下記(A)〜(C)の操作のうちの少なくとも1つが行われるように構成されている、請求項2に記載の装置。
    (A)穿孔の深さを決定すること。
    (B)選択された電気的インピーダンスが得られるまで、加熱中の前記伝導性加熱固体エレメントが前記生物体の領域と接触するように、該伝導性加熱固体エレメントを前進させること。
    (C)該伝導性加熱固体エレメントを前記生物体の領域との接触から除去すること。
  4. 前記浸透性物質が、核酸、インスリン、インターフェロンおよびヘパリンからなる群から選ばれる物質である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
  5. 前記浸透性物質が、キャリアと結合する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
  6. 前記キャリアが、リポソームを含む、請求項5に記載の装置。
  7. 前記キャリアが、脂質複合体を含む、請求項5に記載の装置。
  8. 前記キャリアが、微粒子を含む、請求項5に記載の装置。
  9. 前記キャリアが、ポリエチレングリコール化合物を含む、請求項5に記載の装置。
  10. 生物体内の分析物をモニタリングするための装置であって、
    (A)該生物体の生体膜の選択された領域に微細穿孔を形成し、それによって、該領域の生体膜の障壁特性を減少させるよう構成された孔形成デバイスと、
    (B)前記領域の微細穿孔を通して、分析物を回収するデバイスと、
    (C)前記回収された分析物を定量するデバイスと、
    を有し、
    前記(A)の孔形成デバイスは、伝導性加熱固体エレメントを備えており、
    該伝導性加熱固体エレメントは、該生物体の生体膜を選択された領域で穿孔して、該生物膜に直径1〜1000μmの微細穿孔を少なくとも1つ形成するためのものであって、該選択された領域の組織結合水および他の気化物質の温度が該水および他の気化物質の気化点よりも上に上昇するように、該穿孔するための伝導性加熱固体エレメントが該選択された領域と実質的に物理的に接触することで、伝導によって該生体膜の該選択された領域に十分なエネルギーを送達することによって、該生体膜を切除し、それにより、該選択された領域の該選択膜を除去するように構成されており、かつ、
    該伝導性加熱固体エレメントは、該伝導性加熱固体エレメントが接触する該領域の温度を前記気化点よりも高い温度へと昇温させる10ナノ秒から50ミリ秒以内の昇温サイクルと、それに続き該領域の温度を回復させる1ミリ秒から50ミリ秒以内の回復サイクルとを、複数回繰り返すように構成されている
    前記装置。
  11. 前記伝導性加熱固体エレメントと前記生物体との間の電気的インピーダンスをモニタリングする手段をさらに備える、請求項10に記載の装置。
  12. 分析物が、グルコース、ナトリウム、カリウム、ビリルビン、尿素、アンモニア、カルシウム、鉛、鉄、リチウム、サリチル酸、抗体、ホルモン、または、外因性送達物質である、請求項10記載の装置。
JP2013046499A 1996-12-31 2013-03-08 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔 Expired - Lifetime JP5680685B2 (ja)

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US77841596A 1996-12-31 1996-12-31
US08/778,415 1996-12-31
PCT/US1997/011670 WO1998000193A1 (en) 1996-07-03 1997-07-03 Multiple mechanical microporation of skin or mucosa
WOPCT/US97/11670 1997-07-03

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013016445A Division JP5657040B2 (ja) 1996-12-31 2013-01-31 生物体へ浸透性物質を送達するための、または、生物体から分析物を抽出するための装置

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2013165967A JP2013165967A (ja) 2013-08-29
JP2013165967A5 JP2013165967A5 (ja) 2014-03-13
JP5680685B2 true JP5680685B2 (ja) 2015-03-04

Family

ID=25113276

Family Applications (5)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53029898A Withdrawn JP2001512329A (ja) 1996-12-31 1997-12-30 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
JP2008157298A Withdrawn JP2008307391A (ja) 1996-12-31 2008-06-16 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
JP2009203124A Withdrawn JP2010005425A (ja) 1996-12-31 2009-09-02 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
JP2013016445A Expired - Fee Related JP5657040B2 (ja) 1996-12-31 2013-01-31 生物体へ浸透性物質を送達するための、または、生物体から分析物を抽出するための装置
JP2013046499A Expired - Lifetime JP5680685B2 (ja) 1996-12-31 2013-03-08 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔

Family Applications Before (4)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP53029898A Withdrawn JP2001512329A (ja) 1996-12-31 1997-12-30 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
JP2008157298A Withdrawn JP2008307391A (ja) 1996-12-31 2008-06-16 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
JP2009203124A Withdrawn JP2010005425A (ja) 1996-12-31 2009-09-02 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
JP2013016445A Expired - Fee Related JP5657040B2 (ja) 1996-12-31 2013-01-31 生物体へ浸透性物質を送達するための、または、生物体から分析物を抽出するための装置

Country Status (9)

Country Link
EP (2) EP1314400B1 (ja)
JP (5) JP2001512329A (ja)
AT (1) ATE365026T1 (ja)
AU (1) AU5623298A (ja)
CA (2) CA2276312C (ja)
DE (1) DE69737836T2 (ja)
DK (1) DK1314400T3 (ja)
ES (1) ES2289192T3 (ja)
WO (1) WO1998029134A2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180079916A (ko) * 2017-01-03 2018-07-11 (주)엠큐어 약물주입홀의 개폐가 가능한 니들모듈
KR20180079915A (ko) * 2017-01-03 2018-07-11 (주)엠큐어 약물주입홀이 형성된 니들모듈

Families Citing this family (96)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0921840B1 (en) * 1996-07-03 2003-05-28 Altea Therapeutics Corporation Multiple mechanical microporation of skin or mucosa
US20060002949A1 (en) 1996-11-14 2006-01-05 Army Govt. Of The Usa, As Rep. By Secretary Of The Office Of The Command Judge Advocate, Hq Usamrmc. Transcutaneous immunization without heterologous adjuvant
US6517532B1 (en) 1997-05-15 2003-02-11 Palomar Medical Technologies, Inc. Light energy delivery head
US6527716B1 (en) 1997-12-30 2003-03-04 Altea Technologies, Inc. Microporation of tissue for delivery of bioactive agents
US6173202B1 (en) 1998-03-06 2001-01-09 Spectrx, Inc. Method and apparatus for enhancing flux rates of a fluid in a microporated biological tissue
CA2330211A1 (en) * 1998-06-08 1999-12-16 Karel Petrak Formulations for electroporation
ES2317699T3 (es) 1998-07-14 2009-04-16 Altea Therapeutics Corporation Eliminacion controlada de una membrana biologica mediante una carga pirotecnica para un transporte transmembranico.
EP1148902A1 (en) * 1999-01-22 2001-10-31 PowderJect Research Limited Method of enhancing needleless transdermal powdered drug delivery
CA2376368C (en) 1999-06-08 2009-08-11 Altea Technologies, Inc. Apparatus for microporation of biological membranes using thin film tissue interface devices, and method therefor
US20040039342A1 (en) * 2000-06-08 2004-02-26 Jonathan Eppstein Transdermal integrated actuator device, methods of making and using same
AU6076200A (en) 1999-07-08 2001-01-30 Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. Exothermic bandage
US6890553B1 (en) 1999-07-08 2005-05-10 Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. Exothermic topical delivery device
US20030078499A1 (en) 1999-08-12 2003-04-24 Eppstein Jonathan A. Microporation of tissue for delivery of bioactive agents
US7113821B1 (en) 1999-08-25 2006-09-26 Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. Tissue electroperforation for enhanced drug delivery
US7133717B2 (en) 1999-08-25 2006-11-07 Johnson & Johnson Consumer Companies, Inc. Tissue electroperforation for enhanced drug delivery and diagnostic sampling
US7089053B1 (en) * 1999-10-14 2006-08-08 Pola Chemical Industries Inc Compositions for drug administration by electroporation
WO2001076553A2 (en) * 2000-04-06 2001-10-18 Sontra Medical, Inc. Method and device for enhanced transdermal drug delivery
US7404815B2 (en) 2000-05-01 2008-07-29 Lifescan, Inc. Tissue ablation by shear force for sampling biological fluids and delivering active agents
IL137689A0 (en) * 2000-08-03 2001-10-31 L R Res & Dev Ltd System for enhanced chemical debridement
AU2001288774B2 (en) * 2000-09-08 2006-06-29 Alza Corporation Methods for inhibiting decrease in transdermal drug flux by inhibition of pathway closure
IL155097A0 (en) 2000-09-28 2003-10-31 Nanocyte Inc Methods, compositions and devices utilizing stinging cells/capsules for delivering a therapeutic or a cosmetic agent into a tissue
US7632522B2 (en) 2000-09-28 2009-12-15 Nanocyte Inc. Use of stinging cells/capsules for the delivery of active agents to keratinous substances
US6882884B1 (en) 2000-10-13 2005-04-19 Soundskin, L.L.C. Process for the stimulation of production of extracellular dermal proteins in human tissue
US6794376B2 (en) * 2000-12-06 2004-09-21 William Beaumont Hospital Methods and compositions for enhancing diffusion of therapeutic agents through tissue
AU2002252378B2 (en) 2001-03-19 2007-10-18 Intercell Usa, Inc. Transcutaneous immunostimulation
JP2005530695A (ja) * 2002-02-15 2005-10-13 ザイコス インク. 生理活性物質を細胞内に導入するエレクトロポレーション法
US9918665B2 (en) 2002-03-11 2018-03-20 Nitto Denko Corporation Transdermal porator and patch system and method for using same
AU2003215878A1 (en) 2002-03-26 2003-10-08 Nanocyte Inc. Stinging cells expressing an exogenous polynucleotide encoding a therapeutic, diagnostic or a cosmetic agent and methods compositions and devices utilizing such stinging cells or capsules derived therefrom for delivering the therapeutic, diagnostic or cosmetic agent into a tissue
WO2003089043A2 (en) 2002-04-19 2003-10-30 Transpharma Medical Ltd. Handheld transdermal drug delivery and analyte extraction
US7276058B2 (en) 2002-06-19 2007-10-02 Palomar Medical Technologies, Inc. Method and apparatus for treatment of cutaneous and subcutaneous conditions
US8016811B2 (en) 2003-10-24 2011-09-13 Altea Therapeutics Corporation Method for transdermal delivery of permeant substances
WO2006111201A1 (en) 2005-04-18 2006-10-26 Pantec Biosolutions Ag Laser microporator
US8834862B2 (en) 2005-04-19 2014-09-16 Nanocyte Inc. Methods, compositions and devices utilizing stinging cells/capsules for conditioning a tissue prior to delivery of an active agent
US7856985B2 (en) 2005-04-22 2010-12-28 Cynosure, Inc. Method of treatment body tissue using a non-uniform laser beam
EP1928537B1 (en) 2005-09-02 2015-01-21 Intercell USA, Inc. Devices for transcutaneous delivery of vaccines and transdermal delivery of drugs
WO2007035444A2 (en) 2005-09-15 2007-03-29 Palomar Medical Technologies, Inc. Skin optical characterization device
JP4921795B2 (ja) 2006-01-06 2012-04-25 株式会社東芝 超音波薬剤導入装置及び医用画像診断装置
US7586957B2 (en) 2006-08-02 2009-09-08 Cynosure, Inc Picosecond laser apparatus and methods for its operation and use
US9132031B2 (en) 2006-09-26 2015-09-15 Zeltiq Aesthetics, Inc. Cooling device having a plurality of controllable cooling elements to provide a predetermined cooling profile
US8192474B2 (en) 2006-09-26 2012-06-05 Zeltiq Aesthetics, Inc. Tissue treatment methods
JP2010507627A (ja) * 2006-10-25 2010-03-11 パンテック バイオソリューションズ アクチェンゲゼルシャフト 皮膚に関連した症状の広域疑似全身的治療
EP2120825B8 (en) 2007-01-22 2017-05-24 Nitto Denko Corporation Transdermal porator and patch system
US20080287839A1 (en) 2007-05-18 2008-11-20 Juniper Medical, Inc. Method of enhanced removal of heat from subcutaneous lipid-rich cells and treatment apparatus having an actuator
US8523927B2 (en) 2007-07-13 2013-09-03 Zeltiq Aesthetics, Inc. System for treating lipid-rich regions
JP5474791B2 (ja) 2007-08-21 2014-04-16 ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド 脂肪組織の冷却のような皮下脂質リッチ細胞の冷却の監視
JP5466161B2 (ja) 2007-10-09 2014-04-09 トランスファーマ メディカル リミテッド 磁気的なパッチ連結物
CA2696227A1 (en) 2007-10-17 2009-04-23 Transpharma Medical Ltd. Dissolution rate verification
KR101464058B1 (ko) 2007-12-05 2014-11-20 시네론 메디컬 리미티드 일회용 전자기 에너지 애플리케이터 및 그 사용방법
US8603073B2 (en) 2008-12-17 2013-12-10 Zeltiq Aesthetics, Inc. Systems and methods with interrupt/resume capabilities for treating subcutaneous lipid-rich cells
US8606366B2 (en) 2009-02-18 2013-12-10 Syneron Medical Ltd. Skin treatment apparatus for personal use and method for using same
AU2010242785B2 (en) 2009-04-30 2014-03-06 Zeltiq Aesthetics, Inc. Device, system and method of removing heat from subcutaneous lipid-rich cells
US9919168B2 (en) 2009-07-23 2018-03-20 Palomar Medical Technologies, Inc. Method for improvement of cellulite appearance
JP5503741B2 (ja) * 2009-07-30 2014-05-28 アルマ レーザー エルティーディー. ソノトロード
US9014799B2 (en) * 2009-10-08 2015-04-21 Palo Alto Research Center Incorporated Transmucosal drug delivery device and method including electrically-actuated permeation enhancement
US8834423B2 (en) 2009-10-23 2014-09-16 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Dissolvable microneedle arrays for transdermal delivery to human skin
JP2013517897A (ja) 2010-01-25 2013-05-20 ゼルティック エステティックス インコーポレイテッド 熱を皮下多脂質細胞から相変化冷却剤を介して非侵襲的に除去するための家庭用アプリケータ及びそれと関連した装置、システム及び方法
US8958610B2 (en) * 2010-07-13 2015-02-17 Scott McNulty System, method and apparatus for sensing biometric information
US8676338B2 (en) 2010-07-20 2014-03-18 Zeltiq Aesthetics, Inc. Combined modality treatment systems, methods and apparatus for body contouring applications
PT2753352T (pt) 2010-09-03 2017-03-08 Intercell Usa Inc Péptido isolado das proteínas da toxina a e da toxina b de c. difficile e suas utilizações
WO2012103242A1 (en) 2011-01-25 2012-08-02 Zeltiq Aesthetics, Inc. Devices, application systems and methods with localized heat flux zones for removing heat from subcutaneous lipid-rich cells
WO2013158299A1 (en) 2012-04-18 2013-10-24 Cynosure, Inc. Picosecond laser apparatus and methods for treating target tissues with same
EP4112112A1 (en) * 2012-05-01 2023-01-04 University of Pittsburgh - Of the Commonwealth System of Higher Education Tip-loaded microneedle arrays for transdermal insertion
US9844460B2 (en) 2013-03-14 2017-12-19 Zeltiq Aesthetics, Inc. Treatment systems with fluid mixing systems and fluid-cooled applicators and methods of using the same
US9545523B2 (en) 2013-03-14 2017-01-17 Zeltiq Aesthetics, Inc. Multi-modality treatment systems, methods and apparatus for altering subcutaneous lipid-rich tissue
US10285757B2 (en) 2013-03-15 2019-05-14 Cynosure, Llc Picosecond optical radiation systems and methods of use
US10517892B2 (en) * 2013-10-22 2019-12-31 Medtronic Minimed, Inc. Methods and systems for inhibiting foreign-body responses in diabetic patients
WO2015117026A2 (en) 2014-01-31 2015-08-06 Zeltiq Aesthetics, Inc. Treating systems and methods for treating cellulite and providing other treatments
US10675176B1 (en) 2014-03-19 2020-06-09 Zeltiq Aesthetics, Inc. Treatment systems, devices, and methods for cooling targeted tissue
USD777338S1 (en) 2014-03-20 2017-01-24 Zeltiq Aesthetics, Inc. Cryotherapy applicator for cooling tissue
US10278334B2 (en) 2014-04-07 2019-05-07 Premier Citrus Apz, Llc Systems and methods for delivering nucleic acids to a plant
US11178823B2 (en) 2014-04-07 2021-11-23 Premier Citrus Apz, Llc Systems and methods for using light energy to facilitate penetration of substances in plants
US9265260B1 (en) 2014-04-07 2016-02-23 Gpd Technologies Llc Systems and methods for using light energy to facilitate penetration of substances in plants
US10952891B1 (en) 2014-05-13 2021-03-23 Zeltiq Aesthetics, Inc. Treatment systems with adjustable gap applicators and methods for cooling tissue
US10935174B2 (en) 2014-08-19 2021-03-02 Zeltiq Aesthetics, Inc. Stress relief couplings for cryotherapy apparatuses
US10568759B2 (en) 2014-08-19 2020-02-25 Zeltiq Aesthetics, Inc. Treatment systems, small volume applicators, and methods for treating submental tissue
US9459201B2 (en) 2014-09-29 2016-10-04 Zyomed Corp. Systems and methods for noninvasive blood glucose and other analyte detection and measurement using collision computing
US10441768B2 (en) 2015-03-18 2019-10-15 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Bioactive components conjugated to substrates of microneedle arrays
WO2017066768A1 (en) 2015-10-16 2017-04-20 University Of Pittsburgh-Of The Commonwealth System Of Higher Education Mullti-component biio-active drug delivery and controlled release to the skin by microneedle array devices
WO2017070112A1 (en) 2015-10-19 2017-04-27 Zeltiq Aesthetics, Inc. Vascular treatment systems, cooling devices, and methods for cooling vascular structures
CA3008016C (en) * 2015-12-10 2020-06-30 Premier Citrus Apz, Llc Systems and methods for using light energy to facilitate penetration of substances in plants
US11744889B2 (en) 2016-01-05 2023-09-05 University of Pittsburgh—of the Commonwealth System of Higher Education Skin microenvironment targeted delivery for promoting immune and other responses
CN108472151B (zh) 2016-01-07 2020-10-27 斯尔替克美学股份有限公司 在组织冷却期间施用器与皮肤之间的温度依赖性粘附
US10765552B2 (en) 2016-02-18 2020-09-08 Zeltiq Aesthetics, Inc. Cooling cup applicators with contoured heads and liner assemblies
US11191278B2 (en) 2016-03-25 2021-12-07 Premier Citrus Apz, Llc Systems and methods for delivering nucleic acids to a plant
US9554738B1 (en) 2016-03-30 2017-01-31 Zyomed Corp. Spectroscopic tomography systems and methods for noninvasive detection and measurement of analytes using collision computing
US10682297B2 (en) 2016-05-10 2020-06-16 Zeltiq Aesthetics, Inc. Liposomes, emulsions, and methods for cryotherapy
US11382790B2 (en) 2016-05-10 2022-07-12 Zeltiq Aesthetics, Inc. Skin freezing systems for treating acne and skin conditions
US10555831B2 (en) 2016-05-10 2020-02-11 Zeltiq Aesthetics, Inc. Hydrogel substances and methods of cryotherapy
IL269610B2 (en) 2017-03-27 2023-11-01 Novoxel Ltd System, device and method for delivering intradermal solution
US11076879B2 (en) 2017-04-26 2021-08-03 Zeltiq Aesthetics, Inc. Shallow surface cryotherapy applicators and related technology
AU2019225242B2 (en) 2018-02-26 2023-08-10 Cynosure, Llc Q-switched cavity dumped sub-nanosecond laser
CN110604867A (zh) * 2018-06-15 2019-12-24 博健通大健康(深圳)有限公司 一种超声中频导药仪
US11446175B2 (en) 2018-07-31 2022-09-20 Zeltiq Aesthetics, Inc. Methods, devices, and systems for improving skin characteristics
US11622943B2 (en) * 2019-05-10 2023-04-11 Chamkurkishtiah Panduranga Rao System and method for allergen-specific epicutaneous immunotherapy
CN112490602B (zh) * 2020-10-19 2021-09-24 电子科技大学 一种基于多层结构的THz导波调控装置
WO2023161966A1 (en) * 2022-02-24 2023-08-31 Teoresi S.P.A. Device for inducing cell permeability in a portion of tissue by opto-poration

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5850905Y2 (ja) * 1981-05-27 1983-11-19 桜アルミ株式会社 温熱治療器
JPS58121943A (ja) * 1982-01-16 1983-07-20 小林 敏男 高周波脱毛装置用脱毛針
JPS6268466A (ja) * 1985-09-24 1987-03-28 大盛商事株式会社 つぼ当て治療器
US4775361A (en) * 1986-04-10 1988-10-04 The General Hospital Corporation Controlled removal of human stratum corneum by pulsed laser to enhance percutaneous transport
WO1989006555A1 (en) * 1988-01-21 1989-07-27 Massachusetts Institute Of Technology Transport of molecules across tissue using electroporation
US5749847A (en) * 1988-01-21 1998-05-12 Massachusetts Institute Of Technology Delivery of nucleotides into organisms by electroporation
US5115805A (en) * 1990-02-23 1992-05-26 Cygnus Therapeutic Systems Ultrasound-enhanced delivery of materials into and through the skin
JPH04150871A (ja) * 1990-10-12 1992-05-25 Azusa Eng:Kk 流動磁場応用健康用具
IT1244667B (it) * 1991-03-28 1994-08-08 Enea Procedimento di microperforazione laser di cellule.
CA2066963A1 (en) * 1991-05-15 1992-11-16 Norio Daikuzono Laser light irradiation apparatus
US5225282A (en) * 1991-12-13 1993-07-06 Molecular Bioquest, Inc. Biodegradable magnetic microcluster comprising non-magnetic metal or metal oxide particles coated with a functionalized polymer
JP3368603B2 (ja) * 1992-02-28 2003-01-20 オリンパス光学工業株式会社 遺伝子治療用処置具
DE69229128T2 (de) * 1992-04-24 2000-02-24 Surgical Laser Tech Medizinische vorrichtung
US5342355A (en) * 1992-10-19 1994-08-30 Laser Centers Of America Energy delivering cap element for end of optic fiber conveying laser energy
US5643252A (en) * 1992-10-28 1997-07-01 Venisect, Inc. Laser perforator
US5458140A (en) * 1993-11-15 1995-10-17 Non-Invasive Monitoring Company (Nimco) Enhancement of transdermal monitoring applications with ultrasound and chemical enhancers
JPH09512006A (ja) * 1994-04-13 1997-12-02 チバ−ガイギー アクチェンゲゼルシャフト 時間的に調節された薬物供給システム
CA2194010A1 (en) * 1994-06-24 1996-01-04 Ooi Wong Pulsatile delivery systems of biologically active agents using electro voltage pulsing for controlling membrane permeability
US5586981A (en) * 1994-08-25 1996-12-24 Xin-Hua Hu Treatment of cutaneous vascular and pigmented lesions
AU5869796A (en) * 1995-05-22 1996-12-11 Ned A. Godshall Micromechanical patch for enhancing the delivery of compound s through the skin
WO1997004832A1 (en) * 1995-07-25 1997-02-13 Massachusetts Institute Of Technology Enhanced transdermal transport using ultrasound
TR199800347T1 (xx) * 1995-08-29 1998-05-21 Spectrx, Inc. �la� uygulamas� i�in insan derisinin mikro-g�zeneklendirilmesi ve uygulamalar�n g�zlemlenmesi.
EP0921840B1 (en) * 1996-07-03 2003-05-28 Altea Therapeutics Corporation Multiple mechanical microporation of skin or mucosa

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20180079916A (ko) * 2017-01-03 2018-07-11 (주)엠큐어 약물주입홀의 개폐가 가능한 니들모듈
KR20180079915A (ko) * 2017-01-03 2018-07-11 (주)엠큐어 약물주입홀이 형성된 니들모듈
KR101929761B1 (ko) * 2017-01-03 2018-12-17 (주)엠큐어 약물주입홀이 형성된 니들모듈
KR101938187B1 (ko) * 2017-01-03 2019-01-14 (주)엠큐어 약물주입홀의 개폐가 가능한 니들모듈

Also Published As

Publication number Publication date
EP1314400A3 (en) 2003-10-15
ATE365026T1 (de) 2007-07-15
EP0952850A2 (en) 1999-11-03
JP2013099586A (ja) 2013-05-23
JP2001512329A (ja) 2001-08-21
WO1998029134A3 (en) 1998-10-15
CA2789115A1 (en) 1998-07-09
EP1314400A2 (en) 2003-05-28
AU5623298A (en) 1998-07-31
DE69737836T2 (de) 2008-03-06
EP1314400B1 (en) 2007-06-20
JP2013165967A (ja) 2013-08-29
DK1314400T3 (da) 2007-10-15
JP5657040B2 (ja) 2015-01-21
DE69737836D1 (de) 2007-08-02
CA2789115C (en) 2014-04-29
ES2289192T3 (es) 2008-02-01
CA2276312C (en) 2012-11-27
JP2010005425A (ja) 2010-01-14
JP2008307391A (ja) 2008-12-25
CA2276312A1 (en) 1998-07-09
WO1998029134A2 (en) 1998-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5680685B2 (ja) 生物活性薬剤送達のための組織微穿孔
US7758561B2 (en) Microporation of tissue for delivery of bioactive agents
US6527716B1 (en) Microporation of tissue for delivery of bioactive agents
JP3899427B2 (ja) 薬物送達および鑑視適用のためのヒト皮膚の微細穿孔
US6142939A (en) Microporation of human skin for drug delivery and monitoring applications
CA2329167C (en) Method and apparatus for enhancing flux rates of a fluid in a microporated biological tissue
JP2001511668A (ja) レーザー支援による局所麻酔薬などの浸透
EP1563788B1 (en) Microporation of human skin for drug delivery and monitoring applications
RU2209031C2 (ru) Формирование микропор в коже человека для доставки лекарственных препаратов и мониторинга
AU762824B2 (en) Interstitial fluid monitoring

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131210

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140129

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140331

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20140409

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20140409

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140627

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20141224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5680685

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

EXPY Cancellation because of completion of term