JP5678888B2 - 通信伝達装置、通信カプラ及びインピーダンス調整シート - Google Patents

通信伝達装置、通信カプラ及びインピーダンス調整シート Download PDF

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Description

本発明は、シート状の信号伝達装置と、その上に設置して信号伝達装置に信号を伝達する通信カプラとからなる通信システムにおいて、特に通信時の電磁漏洩を抑制する漏洩電磁界抑制技術に関する。
本願は、2009年9月1日に出願された特願2009−202113号に対し優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、空間に電磁波を伝搬させて無線通信を行う従来の無線システムに代わるものとして、特許文献1及び2に示されるような、シート状の通信媒体に電磁界を伝搬させて通信を行う新たな通信システムが開発され実用化されるに至っている。
このような通信システムは、図13に示すように通信媒体となるシート状の信号伝達装置1と、インターフェースとなる通信カプラ2とから構成される。
信号伝達装置1は、下部電極を構成する第1シート導体部3と、該第1シート導体部3と間隔をおいて配置されたメッシュ状の第2シート導体部4と、前記第2シート導体部4の上部に設けられた第1誘電体層5と、これら第1シート導体部3及び第2シート導体部4の挟間領域に設けられた第2誘電体層6と、を有するシート状構造とされている。
また、通信カプラ2は、図13に示すように、通信素子を形成する円盤状の内部導体10と、該内部導体10を覆うように形成されてカプラ筐体11を構成する外部導体12と、これら導体10・11に接続された同軸ケーブル13と、を有するものであって、該同軸ケーブル13は、通信機器14に接続されている。そして、このような構成によって、通信機器14から入出力される信号を含む電磁界が同軸ケーブル13を伝わり、内部導体10及び外部導体12を伝搬して信号伝達装置1に注入された後、該信号伝達装置1内を伝搬して、別の通信カプラ(図示略)との間で通信を行う。
また、通信カプラ2の他の形態として、図14に示される構造のものもある。
この通信カプラ15は、信号伝達装置1上に設置されて通信信号又は電力送受用の板状のアンテナ回路16及び信号・電力送受用回路(図示略)と、該アンテナ回路16を覆うように形成されたカップ形状のカプラ筐体17と、を有するものである。そして、このような構成によって、カプラ筐体17のアンテナ回路16を介して通信信号が電磁界となって信号伝達装置1に注入された後、該信号伝達装置1内を伝搬して、別の通信カプラ(図示略)との間で通信を行う。
また、特許文献3〜5に示される通信装置でも、上記特許文献1及び2と同様に、互いに対向する導電部となるシート状体に挟まれる領域に電磁場を存在させ、2つのシート状体の間の印加電圧を変化させることで、電磁場を進行させて通信を行う技術が示されている。
具体的には、特許文献3に示される通信装置は、第1信号伝達層(第2シート導体部4)と、電源層又は接地層である第2信号伝達層(第1シート導体部3)の少なくとも一層とを含んだ積層構造を有する信号伝達装置を具備するものであって、これら第1、第2信号伝達層の間には、互いをショートさせるためのスイッチが設けられている。
また、特許文献4に示される通信装置は、いずれもシート状(布状、紙状、箔状、板状、膜状、フィルム状、メッシュ状など、面としての広がりを持つ、第1導体部(第2シート導体部4)と第2導体部(第1シート導体部3)との積層構造を有する信号伝達装置を具備するものであって、該信号伝達装置に対して、通信を行うためにループアンテナもしくはダイポールアンテナを通信カプラとする構成が示されている。
また、特許文献5に示される通信装置は、シート状の第1導体層(第2シート導体部4)と第2導体部(第1シート導体部3)とが積層された信号伝達装置を具備するものであって、該第1、第2導体部からなる基板には、通信素子から発信される電磁波を減衰して反射および漏洩を防止するくさび形状の電波吸収体が形成されている。
特開2007−82178号公報 特開2007−281678号公報 特開2005−93603号公報 特開2007−150654号公報 特開2007−53337号公報
上記特許文献1〜5に示される通信装置では、通信カプラ2を通じて、信号伝達装置1を構成しているシート状アンテナの中に注入された電力が、第2シート導体部4を形成しているシートのエッジで反射し、信号伝達装置1の内部には定在波が発生する。このような定在波においては、第1シート導体部3と、第2シート導体部4との間の電界の強い部分と弱い部分が交互に現れる。特に、第2シート導体部4を形成しているメッシュ状シートのエッジ部分に現れた電界は空間に放射され、この放射された電界が他の電子機器に悪影響を与える可能性があり、この様な問題のため、該エッジからの電磁波漏洩を抑制する手法が求められている。また、電力伝送と通信で別の周波数を用いる場合、通信が信号伝達装置1内部に定在波を起こさないようにしたい、更に、電力伝送時に信号伝達装置1内部に定在波を発生させたとしても、可能な限り通信する信号の損失を少なくしたい、という要望がある。
上記問題点を図15及び図16を参照して具体的に説明する。図15は、先の図13又は図14の通信システムにおける信号伝達手段1の第2シート導電体4の部分を示す平面図であり、また、図16は、図13又は図14の接続方式によるシートインピーダンスの変化を示す図である。
図15に符号4Aで示される箇所は、第2シート導体部4上にて通信カプラ2の外部導体12が設置されるメッシュの穴が無い導体面であり、4A以外の第2シート導体部4には、符号4Bで示すように同一形状のメッシュが形成されている。
このような第2シート導体部4において、導体面4Aとメッシュ4Bとの境ではシートインピーダンスが大きく変化する。このような場所では、電磁波の反射が発生する。通信面(4A)では、面内を伝播する電磁波のシート上面方向へのエバネッセントな漏洩によって、通信カプラとの通信を実現している。このようなエバネセントな成分のみでは、遠方界への電磁波の放射は少ない。しかしながら、インピーダンスが急激に変化し、電磁波の一部がインピーダンスの不連続部分で反射すると、電磁波の進行方向が急激に変化し、エバネセントモードでない状態になる。このため、遠方界への電磁波の放射が発生し、これにより高品質の通信を行うことができないという不具合が生じる。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、通信カプラと信号伝達装置との接続箇所から電磁漏洩が発生することを抑制して、通信と電力伝送を両立することができる漏洩電磁界抑制技術を提供するものである。
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。本発明は、通信カプラを通じて伝達された信号を電磁界として伝搬させて通信を行う信号伝達装置であって、下部電極を構成する第1シート導体部と、該第1シート導体部と狭間領域を介して積層されたメッシュ状の第2シート導体部とを有し、前記第2シート導体部には、シートインピーダンスが連続的に変化するメッシュサイズ可変領域が形成されている。
また、本発明は、信号伝達装置に対して信号を送受信するための通信カプラであって、通信素子が収納されるカプラ筐体を有し、該カプラ筐体に、前記信号伝達装置のメッシュ状導体部上に設置された際にシートインピーダンスを連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域体を形成した。
また、本発明は、下部電極を構成する第1シート導体部と、該第1シート導体部と狭間領域を介して積層されたメッシュ状の第2シート導体部とを有し、通信信号を電磁界として伝搬される信号伝達装置に取り付けられるインピーダンス調整シートであって、前記第2シート導体部の端部上面にメッシュ穴を部分的に塞ぐように貼り付けられて、シートインピーダンスが連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域を有する。
本発明によれば、シートインピーダンスが連続的に変化するメッシュサイズ可変領域が形成される。例えば、メッシュサイズ可変領域として、各列にて同一サイズのメッシュ穴を有してなるメッシュ列を多数列設けるとともに、各メッシュ列のメッシュ穴を、隣接するメッシュ列に対して段階的にサイズ変更する構成とした。このようなメッシュサイズ可変領域を、大電力を送電する場合の通信面端部、又は通信カプラを設置した際の通信カプラ周辺に設置することで、従来のようなインピーダンス不連続部からの放射を大幅に低減することができる。結果、これら箇所からの電磁波漏洩を抑制し、安全に信頼性の高い通信又は電力送電を行うことが可能となる。
本発明の実施例1を示す信号伝達手段を表す図であって、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図2の信号伝達手段において第2シート導電体の位置に応じたシートインピーダンスを示すグラフである。 実施例1の変形例1(1)を示す平面図である。 実施例1の変形例1(2)を示す平面図である。 実施例1の変形例2を示す平面図である。 実施例1の変形例3(1)を示す平面図である。 実施例1の変形例3(2)を示す平面図である。 本発明の実施例2を示す通信カプラであって、(A)は正面図、(B)は平面図である。 図8の通信カプラを信号伝達手段の第2シート導電体上に設置した状態の平面図である。 本発明の実施例3を示すインピーダンス調整シートを展開した状態を示す平面図である。 図10のインピーダンス調整シートを信号伝達手段に設置した実施例3の正面図である。 図10のインピーダンス調整シートを信号伝達手段に設置した実施例3の平面図である。 図11A及びBの変形例を示す正面図である。 従来の通信システムを示す正断面図である。 図13とは異なる構造の通信システムを示す正断面図である。 図13又は図14の通信システムにおける信号伝達手段の第2シート導電体部分を示す平面図である。 図15の信号伝達手段において第2シート導電体の位置に応じたシートインピーダンスを示すグラフである。 実施例1における表裏のシート導体部をショートさせた例の断面図である。 本発明を適用した実施例における放射電界強度の周波数特定を比較例とともに示す特性図である。
[実施例1]
本発明の実施例1を図1〜図7を参照して説明する。
図1(A)及び(B)は、通信カプラ(図示略)から伝達された信号を電磁界として伝搬させて通信を行う通信媒体としての信号伝達装置20を示す断面図、及び平面図である。信号伝達装置20は、下部電極を構成する第1シート導体部4と、該第1シート導体部4と間隔をおいて配置されたメッシュ状の第2シート導体部3と、これらシート導体部4・3との間隙23に設けられて、誘電体層又は気体又は発泡して空気を多く含む誘電体からなる狭間領域6と、から構成された積層体である。
第2シート導体部3は、図1(B)に示すように、図13に示される通信カプラ2のカプラ筐体11となる外部導体12、又は図14に示される通信カプラ15のカプラ筐体17等が設置されるメッシュの穴が無い導体面25と、従来と同様の一定のメッシュサイズを有して通信面となる格子状のメッシュ部26と、これら導体面25とメッシュ部26との間に位置する長尺のメッシュサイズ可変領域27と、からなる。(尚図1(A)では、便宜上第1誘電体層5の上部に各領域25、26、27を表記したが、これらの領域25、26、27は、第2シート導体部3の領域を示している)
中間に位置するメッシュサイズ可変領域27は、長さ方向に沿うメッシュ列27Aが複数列(図1(A)では5列)隣接配置されている。メッシュサイズ可変領域27は、図1中右側に位置する格子状のメッシュ部26を構成しているメッシュ穴のサイズから、段階的にサイズを小さくして、図中左側に位置する穴無し導体面25に接続する構造とされている。つまり、長さ方向に沿う各メッシュ列27Aに位置するメッシュ穴のサイズが、メッシュ部26から導体面25に向けて徐々に小さくなるように設定されている。
また、前記メッシュサイズ可変領域27は、メッシュ穴間が同一線幅に設定されるとともに、メッシュ穴が小さくなる程、同一のメッシュ列27A内において該メッシュ穴が高密度に形成されている。
そして、通信媒体の上下2枚の導体シート(第1導体シートト4及び第2導体シート3)内を伝播する電磁波の電界と磁界の比を用いてシートのインピーダンスを表す場合、本実施例1で示すように、第2導体シート3のインピーダンスが大きく変化する部分(本例では、第2シート導体部3における導体面25とメッシュ部26との間)に、メッシュ穴のサイズを連続的に小さくしたメッシュサイズ可変領域27を設けておけば、図2に示すように、実質的にインピーダンスを徐々に変化させるようにすることができ、従来の図15、図16で示すような、実質的にインピーダンスが極端に大きく変化する不連続な部分を低減することができる。
すなわち、シートインピーダンスの大きく変化する場所では、電磁波の反射が発生する。通信面では、面内を伝播する電磁波のシート4・3の上面方向へのエバネッセントな漏洩によって、通信カプラとの通信を実現している。エバネセントな成分のみでは、遠方界への放射は少ない。しかしながら、インピーダンスが急激に変化し、電磁波の一部がインピーダンスの不連続部分で反射すると、電磁波の進行方向が急激に変化し、エバネセントモードでない状態になるため遠方界への放射が発生する。このため、図1、図2のように連続的にシートインピーダンスが変化するようなメッシュサイズ可変領域27を設けることにより、電磁波の反射を防ぎ、遠方界への電磁波放射を抑制することができる。
以上詳細に説明したように本実施例1に示す通信伝達装置によれば、第2導体シート3のインピーダンスが大きく変化する部分(本例では、第2シート導体部3における導体面25とメッシュ部26との間)に、シートインピーダンスが連続的に変化するメッシュサイズ可変領域27を形成する、具体的には、具体的には、メッシュサイズ可変領域27として、各列にて同一サイズのメッシュ穴を有してなるメッシュ列27Aを多数列設けるとともに、各メッシュ列27Aのメッシュ穴を、隣接するメッシュ列27Aに対して段階的にサイズ変更する構成とし、このようなメッシュサイズ可変領域27を、例えば、通信カプラ2のカプラ筐体11(図13参照)又は通信カプラ15のカプラ筐体17(図14参照)に隣接設置する、又は大電力を送電する場合の通信面端部に配置する等により、従来のようなインピーダンス不連続部からの放射を大幅に低減することができ、その結果、これら箇所からの電磁波漏洩を抑制し、安全に信頼性の高い通信又は電力送電を行うことが可能となる。
なお、上記実施例1に示す第2シート導体部3は以下のように変形しても良い。
〔変形例1〕
上記実施例1に示す第2シート導体部3では、通信カプラ2の外部導体12の設置箇所に、メッシュ穴が無い導体面25を位置させるようにしたが、これに限定されず、このような導体面25を、図3に示すようにショート端、オープン端に位置させるようにしても良い。
すなわち、ショート端(例えば、導体で上下シート4・3が接続された部分)、オープン端(例えば、EGB(エレクトリックバンドギャップ)構造等が形成された部分)を導体面25とし、該導体面25とメッシュ部26との間に、連続的にシートインピーダンスを変化させることができるメッシュサイズ可変領域27を位置させるようにしても良い。
また、上述したショート端、オープン端が配置される第2シート導体部3の導体面25の形状は直線状に限定されず、図4に示すような、角部に位置させるために、折れ曲がった曲折形状であっても良い。
〔変形例2〕
上記実施例1に示す第2シート導体部3では、一定の大きさのメッシュ穴のサイズを有する格子状のメッシュ部26に隣接するようにメッシュサイズ可変領域27を設けたが、このようなメッシュサイズ可変領域27は、図5に示すように、大サイズのメッシュ穴を有する格子状のメッシュ部30と、小サイズのメッシュ穴を有する格子状のメッシュ部31との間に、該メッシュ部30・31のメッシュを接続するように、各列毎に徐々にメッシュサイズを可変させることで形成しても良い。
そして、このような構成によって、メッシュサイズの違う、メッシュ部30・31という2つの通信媒体を接続する際にも、インピーダンスが極端に大きく変化する不連続な部分を低減することが可能な本技術を適用することが可能となる。
〔変形例3〕
上記図1〜図5では、第2シート導体部3のメッシュサイズ可変領域27において、同一のメッシュ列27A内で、メッシュ穴が小さくなる程、同一線幅で高密度に形成するようにしたが、連続的にシートインピーダンスが変化するような構造としては、図6に示すような、前記メッシュサイズ可変領域27を、穴間隔又は格子間隔を不変とし、かつ小さなメッシュ穴を有する列になる程、同一のメッシュ列27A内において、線幅が相対的に太くなるような構造とすることも可能である。
また、連続的にシートインピーダンスが変化するような構造として、図7のように第2シート導体部3の枠(符号22Aで示す)を三角形に形成することで、穴の開口面積が徐々に小さくなるような構造とするようにしても良い。このとき、前記枠22Aは、複数のメッシュ列27Aの各列に配置されて、各列のメッシュ穴の大きさが漸次変化するように該メッシュ列27Aを部分的に閉鎖する。
[実施例2]
本発明の実施例2を図8及び図9を参照して説明する。
図8に符号40で示すものは、信号伝達装置41に対して信号を送受信するための通信カプラである。該通信カプラ40は、例えば、図13又は図14に示す構成のものが使用され、符号42で示されるカプラ筐体(図13のカプラ筐体11、図14のカプラ筐体17に相当)の外面部に、外方に突出するように、シートインピーダンスが連続的に変化するメッシュサイズ可変領域体43が設けられる構成とされている。
このメッシュサイズ可変領域体43は、図8に示すように、各列にて同一サイズのメッシュ穴を有してなるメッシュ列43Aが同心円状にかつ多数列設けられるとともに、各メッシュ列43Aのメッシュ穴が、隣接するメッシュ列43Aに対して段階的にサイズ変更されるように設けられている。
そして、このメッシュサイズ可変領域体43は、図8に示すように、通信カプラ40が信号伝達装置41の上面に取り付けられた場合に、該信号伝達装置41を構成している第2シート導体部44の同一形状のメッシュ穴を部分的に閉鎖し、これによって通信カプラ40と信号伝達装置41との間に、シートインピーダンスが連続的に変化する領域を形成することが可能となる。
以上詳細に説明したように本実施例2に示す通信カプラ40によれば、カプラ筐体42の外部導体の外面部に外方に突出するように設けられて、シートインピーダンスが連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域体43を設けるようにした。具体的には、通信カプラ40のカプラ筐体42に、シートインピーダンスが連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域体43を設けたので、該通信カプラ40が信号伝達装置41の上面に取り付けられた状態で、該信号伝達装置41を構成している第2シート導体部44の同一形状のメッシュ穴を部分的に閉鎖し、これによって通信カプラ40と信号伝達装置41との間に、シートインピーダンスが連続的に変化する領域を形成することができ、これによって従来のように、インピーダンス不連続部からの放射を大幅に低減することができ、信号伝達装置41上に設置した際の電磁波漏洩を抑制し、安全に信頼性の高い通信又は電力送電を行うことができる。
なお、前記メッシュサイズ可変領域体43としては、図8(B)に示す構成に限定されず、実施例1の図6に示すように、同一のメッシュ列43A内において、穴間隔又は格子間隔を不変とし、かつ小さな穴を有する列になる程、線幅が相対的に太くなるように設定しても良い。
[実施例3]
本発明の実施例3に係わるインピーダンス調整シートについて図10〜12を参照して説明する。
図10に示されるインピーダンス調整シート50は、図11A及びBに示すように、下部電極を構成する第1シート導体部51(図11Aでは符号4に対応)及び該第1シート導体部51と狭間領域52(図11Aでは符号6に対応)を介して積層されたメッシュ状の第2シート導体部53(図11Aでは符号3に対応)からなる信号伝達装置54に取り付けられるものであって、接着剤と非金属からなる接着テープ58上に導電性物質を積層することで全体が形成されている。
すなわち、このインピーダンス調整シート50は、図10に示すようにメッシュサイズ可変領域55と、シート厚み部56と、下面シート部57とを一体に有する構成であって、前述の接着テープ58を介して、信号伝達装置54の端部を包むように貼付した場合に、図11A及びBに示すように、メッシュサイズ可変領域55は、該信号伝達装置54の第2シート導体部53を構成しているメッシュ列53A内の同一形状のメッシュ穴を部分的に塞ぎ、また、シート厚み部56は、1シート導体部51と第2シート導体部53との狭間領域52を塞ぐように配置され、また、下面シート部57は、該信号伝達装置54の第1シート導体部51の下面に配置される。なお、シート厚み部56と下面シート部57との境界を図10では二点鎖線で示している。
また、前記インピーダンス調整シート50のメッシュサイズ可変領域55は、各列にて同一サイズのメッシュ穴を有してなるメッシュ列55Aが多数列設けられるとともに、各メッシュ列55Aのメッシュ穴が、隣接するメッシュ列55Aに対して段階的にサイズ変更されるように設けられている。
そして、インピーダンス調整シート50は、図11A及びBに示すように、信号伝達装置54に取り付ける際に、メッシュサイズ可変領域55のメッシュ列55Aを、第2シート導体部53のメッシュ列53Aに列を一致させて重ねることで、第2シート導体部53のメッシュ列53A内にある同一形状のメッシュ穴を部分的に閉鎖し、その結果、信号伝達装置54にシートインピーダンスが連続的に変化する領域を形成することが可能となる。
以上詳細に説明したように本実施例3に示すインピーダンス調整シート50によれば、信号伝達装置54の第2シート導体部53の端部上面に、メッシュ穴を部分的に塞ぐように貼り付けられて、シートインピーダンスを連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域55を設けるようにした。これによって、インピーダンス調整シート50を図11A及びBに示すように、信号伝達装置54に取り付けた場合に、該インピーダンス調整シート50のメッシュサイズ可変領域55が、第2シート導体部53のメッシュ列53A内にある同一形状のメッシュ穴を部分的に閉鎖し、これによって該信号伝達装置54に、シートインピーダンスを連続的に変化する領域を形成することができ、その結果、このようなメッシュサイズ可変領域55に、例えば、通信カプラ2のカプラ筐体11(図13参照)又は通信カプラ15のカプラ筐体17(図14参照)を隣接設置する、又は大電力を送電する場合の通信面端部を配置する等により、従来のようなインピーダンス不連続部からの放射を大幅に低減することができ、その結果、これら箇所からの電磁波漏洩を抑制し、安全に信頼性の高い通信又は電力送電を行うことが可能となる。
なお、上記実施例3のメッシュサイズ可変領域55は、上述した図10、図11A/Bの構成に限定されず、図12に示すように、第2シート導体部53のメッシュ穴を部分的に塞ぐように貼り付けられて、かつ三角形状に形成された複数の導体シート60から構成しても良い。これら複数の導体シート60は、第2シート導体部53に貼り付けた場合に、該第2シート導体部53を構成する複数のメッシュ列55Aの各列に配置されて、各列のメッシュ穴の大きさが漸次変化するように該メッシュ列53Aを部分的に閉鎖し、これによって先の図10、図11A/Bのメッシュサイズ可変領域と同様の効果を奏する。
また、インピーダンス調整シート50のメッシュサイズ可変領域55としては、図10に示す構成に限定されず、実施例1の図6に示すように、同一のメッシュ列55A内において、穴間隔又は格子間隔を不変とし、かつ小さな穴を有する列になる程、線幅が相対的に太くなるように設定しても良い。
また、上記インピーダンス調整シート50は、信号伝達装置54において、シート導体部51と第2シート導体部53との狭間領域52を塞ぐシート厚み部56、第1シート導体部51の下面に配置される下面シート部57を設けたが、これらシート厚み部56及び下面シート部57は必須構成ではなく、メッシュサイズ可変領域55のみで、上述した図10〜図12に示すように、第2シート導体部53のメッシュ穴を部分的に塞ぐようにしても良い。
なお、第1、第2のシート導体の端部を互いに接続していわゆるショート端とすることも有効である。
すなわち、図17は、ショート端を有する信号伝達装置20を示す断面図であって、下部電極を構成する第1シート導体部4と、該第1シート導体部4と間隔をおいて配置されたメッシュ状の第2シート導体部3との間には、これらを互いに接続するショート端導体61が設けられている。
図18は、本発明を適用し、7mmメッシュにシートインピーダンス可変領域を設けて、ショート端とした場合の電磁波漏洩抑制効果を示す。比較のために、単に7mmメッシュでオープン端とした場合のシートの条件(即ち本発明による改善前)と、7mmメッシュの端部に35mmのメッシュサイズ可変領域、5mmのメタル領域を設け、且つ端部をショート端にした場合の条件(即ち本発明により改善後)とについて示した。このように、表裏のシート導体を端部でショートさせた場合、ショートさせない場合に比べ、GHz帯域で10dB〜15dBの放射抑制効果が得られた。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
本発明は、シート状の信号伝達装置と、その上に設置して信号伝達装置に信号を伝達する通信カプラとからなる通信システムにおいて、特に通信時の電磁漏洩を抑制する漏洩電磁界抑制構造に関する。
20 信号伝達手段
3 第2シート導電体
27 メッシュサイズ可変領域
27A メッシュ列
40 通信カプラ
41 信号伝達手段
42 カプラ筐体
43 メッシュサイズ可変領域体
43A メッシュ列
44 第2シート導体部
50 インピーダンス調整シート
53 第2シート導体部
54 信号伝達手段
55 メッシュサイズ可変領域
55A メッシュ列
56 シート厚み部
57 下面シート部
60 導体シート
61 ショート端導体

Claims (5)

  1. 通信カプラを通じて伝達された信号を電磁界として伝搬させて通信を行う信号伝達装置であって、
    下部電極を構成する第1シート導体部と、
    該第1シート導体部と狭間領域を介して積層され、シートインピーダンスがシート端部に向かって連続的に変化するメッシュサイズ可変領域を有するメッシュ状の第2シート導体部とを具備し、
    前記メッシュサイズ可変領域は、シート端部からの距離に応じた同一サイズのメッシュ穴を有するメッシュ列を複数具備し、
    前記各メッシュ列のメッシュ穴のサイズが、隣接するメッシュ列に対してシート端部に向かって段階的に小さくなるように変更され、
    前記メッシュサイズ可変領域のメッシュ穴間は同一線幅を有し、
    前記メッシュ穴が小さくなる程、同一のメッシュ列内において該メッシュ穴が高密度に形成され、
    前記同一のメッシュ列と、これに連なる他のメッシュ列との格子が互いに位置をずらして配置された
    通信伝達装置。
  2. 前記第1シート導体部と第2シート導体部との端部を互いに電気的に接続するショート端導体を更に具備する請求項1に記載の通信伝達装置。
  3. 信号伝達装置に対して信号を送受信するための通信カプラであって、
    通信素子が収納されるカプラ筐体と、
    該カプラ筐体の周囲に設けられ、前記信号伝達装置のメッシュ状導体部上に設置された際にシートインピーダンスを該カプラ筐体に向かって連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域とを具備し、
    前記メッシュサイズ可変領域は、カプラ筐体からの距離に応じた同一サイズのメッシュ穴を有するメッシュ列を複数具備し、
    前記各メッシュ列のメッシュ穴のサイズが、隣接するメッシュ列に対してカプラ筐体に向かって段階的に小さくなるように変更され、
    前記メッシュサイズ可変領域のメッシュ穴間は同一線幅を有し、
    前記メッシュ穴が小さくなる程、同一のメッシュ列内において該メッシュ穴が高密度に形成され、
    前記同一のメッシュ列と、これに連なる他のメッシュ列との格子が互いに位置をずらして配置された
    通信カプラ。
  4. 下部電極を構成する第1シート導体部と、該第1シート導体部と狭間領域を介して積層されたメッシュ状の第2シート導体部とを有し、通信信号を電磁界として伝搬される信号伝達装置に取り付けられるインピーダンス調整シートであって、
    前記第2シート導体部の端部上面にメッシュ穴を部分的に塞ぐように貼り付けられた場合、前記信号伝達装置のシートインピーダンスをシート端部に向かって連続的に変化させるメッシュサイズ可変領域を形成して構成され、
    前記メッシュサイズ可変領域には、狭間領域に位置するシート厚み部を介して、前記信号伝達装置の第1シート導体部の下面に貼り付けられる下面シート部が設けられ、
    前記メッシュサイズ可変領域は、シート端部からの距離に応じた同一サイズのメッシュ穴を有するメッシュ列を複数具備し、
    前記各メッシュ列のメッシュ穴のサイズが、隣接するメッシュ列に対してシート端部に向かって段階的に小さくなるように変更され、
    前記メッシュサイズ可変領域のメッシュ穴間は同一線幅を有し、
    前記メッシュ穴が小さくなる程、同一のメッシュ列内において該メッシュ穴が高密度に形成され、
    前記同一のメッシュ列と、これに連なる他のメッシュ列との格子が互いに位置をずらして配置された
    インピーダンス調整シート。
  5. 通信カプラを通じて伝達された信号を電磁界として伝搬させて通信を行う信号伝達装置であって、
    下部電極を構成する第1シート導体部と、
    該第1シート導体部と狭間領域を介して積層され、シートインピーダンスがシート端部に向かって連続的に変化するメッシュサイズ可変領域を有するメッシュ状の第2シート導体部とを具備し、
    前記メッシュサイズ可変領域は、シート端部からの距離に応じた同一サイズのメッシュ穴を有するメッシュ列を複数具備し、
    前記各メッシュ列のメッシュ穴のサイズが、隣接するメッシュ列に対してシート端部に向かって段階的に小さくなるように変更され、
    前記メッシュサイズ可変領域は、メッシュ穴間隔又は格子間隔を不変とし、
    前記メッシュ穴が小さくなる程、前記メッシュ列のメッシュ穴又は格子を囲む線幅が相対的に太くなる
    通信伝達装置。
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