JP5678461B2 - 化粧板及び化粧板の製造方法 - Google Patents
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本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、コア層と、このコア層に積層された化粧層とを加熱加圧して形成された化粧板であって、コア層は、熱硬化性樹脂が含浸された複数の晒しクラフト紙を積層して成り、熱硬化性樹脂は、メラミン樹脂にアクリル樹脂が添加され微粉シリカは添加されない組成物であって、熱硬化性樹脂が含浸されたコア層100重量%に対して48重量%超54重量%以下の割合で含浸されていることを特徴とする化粧板を提供するものである。
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、コア層に化粧層を積層した上で加熱加圧して化粧板を製造する化粧板の製造方法であって、複数の晒しクラフト紙に熱硬化性樹脂を含浸し積層してコア層を形成し、熱硬化性樹脂として、メラミン樹脂にアクリル樹脂が添加され微粉シリカは添加されない組成物を使用し、熱硬化性樹脂を熱硬化性樹脂が含浸されたコア層100重量%に対して48重量%超54重量%以下の割合で含浸することを特徴とする化粧板の製造方法を提供するものである。
コア層12は、化粧板10全体の厚み調整や、化粧板10に、剛性や、また、添加剤の種類によっては湿気に対するバリア性、不燃性等の機能性を付与するために用いられる。このコア層12は、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する液状のワニスを調製し、これを紙基材に含浸させた後、約50℃〜60℃程度で加熱乾燥により溶剤を除去して、熱硬化性樹脂を半硬化させた状態のプリプレグを積層して形成することができる。なお、この場合、ワニスを紙基材に含浸させる方法にも、特に限定はなく、通常行われるキスコーターを用いる方法を採ることもできるし、ディップによる方法を採ることもできる。
一方、化粧層14は、その本来の材質には、特に限定はなく、本発明においても、通常の化粧層と同様に、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する液状のワニスを調製し、これをグラビア印刷紙等の紙基材に含浸させた後、約50℃〜60℃程度で加熱乾燥により溶剤を除去して、熱硬化性樹脂を半硬化させた状態のプリプレグを使用することができる。なお、この場合、樹脂成分を含有したワニスの基材への含浸方法についても、コア層12の場合と同様の手段を採ることができる。
上記のコア層12と化粧層14は、通常の高圧樹脂化粧板10の場合と同様に、図1に示すように、コア層12の上に化粧層14を積層して加熱加圧することにより、化粧板10とすることができる。この加熱加圧の温度は、化粧層14に含浸された熱硬化性樹脂の種類等に応じて、当該樹脂の硬化に適した温度に適宜設定した上で、60〜100kg/cm2程度の圧力で加圧することが好ましい。
まず、この表1から解るように、アクリル樹脂を添加しなかった比較例1では、樹脂量比率が高い結果、クラックが生じ、また、寸法変化率も大きく、充分なクラック安全率を達成することができなかった。同様に、アクリル樹脂を添加しても、樹脂量比率(RC)が48重量%以下とした比較例2についても、比較的寸法変化率が大きく、同様に充分なクラック安全率を達成することができなかった。この点、本発明の実施例1〜3については、いずれも、クラックは発生せず、また、寸法変化率が小さく、充分なクラック安全率を達成できていることが解る。この場合、特に、共に樹脂量比率が49.5重量%で、かつ、2枚のプリプレグからコア層を形成した実施例3と比較例1とを比べると、メラミン樹脂にアクリル樹脂を添加すれば、樹脂量比率(RC)を48重量%超に設定しても、樹脂フローを抑制でき、良好な耐クラック性を得られることができ、2枚のプリプレグでも充分な強度を確保することができることが立証された。なお、これらの比較例1、2については、ベースワニスとして、ホルマリン/メラミンのモル比が高い汎用メラミン樹脂を使用したことから、ホルマリンの放散量が大きい点でも問題があった。
また、アクリル樹脂を添加したものの樹脂量比率(RC)を48重量%以下に抑える代わりに、4枚のプリプレグを積層した比較例3については、積層数が増加する結果手間とコストが高騰し、また、耐煮沸性試験においても、層間強度が低下するためか、若干の膨れが生じる等の問題があった。また、透過性を高めるために微粉シリカを添加した比較例4についても、フィラーを添加する分、コストが高騰すると共に、耐煮沸性においても、微粉シリカが水分を吸収するためか重量増加率が激しく、膨れが生じる問題があった。この点、本発明の実施例1〜3については、コストを高騰させることなく、良好な耐煮沸性も確保することができ、特に、実施例3のように、比較例3の半分の2枚のプリプレグとしても、充分な耐煮沸性を確保できていることから、良好なコストパフォーマンスを維持しつつ、高性能を確保することができたといえる。
更に、この表1から解るように、従前からのフェノール樹脂を使用した比較例5については、樹脂量比率(RC)を抑えた結果、コスト的には申し分ないが、やはり、化粧板の断面の意匠性を確保することはできなかった。一方、本発明の実施例1〜3では、断面の意匠性が良好であるのは勿論であること、特に、コスト面に着目すると、特に、本発明の実施例3については、樹脂量比率(RC)を高めつつも、コア層12を2枚のプリプレグから形成しているため、良好なコストパフォーマンスを実現させることができたといえる。
以上より、本発明の実施例では、メラミン樹脂を用いて良好な意匠性を確保する場合において、充分な層間強度を確保するために樹脂量比率(RC)を高めても、樹脂フローが生じてクラックが生じることがなく、また、強度が高まる結果、2枚のプリプレグからコア層を形成しても、高性能を確保することができる点で、コストパフォーマンスにも優れる化粧板を実現できることが実証された。
12 コア層
12A、12B 熱硬化性樹脂が含浸された晒しクラフト紙
14 表面層
Claims (8)
- コア層と、前記コア層に積層された化粧層とを加熱加圧して形成された化粧板であって、前記コア層は、熱硬化性樹脂が含浸された複数の晒しクラフト紙を積層して成り、前記熱硬化性樹脂は、メラミン樹脂にアクリル樹脂が添加され微粉シリカは添加されない組成物であって、前記熱硬化性樹脂が含浸されたコア層100重量%に対して48重量%超54重量%以下の割合で含浸されていることを特徴とする化粧板。
- 請求項1に記載された化粧板であって、前記コア層は、2枚の前記熱硬化性樹脂が含浸された晒しクラフト紙を積層して成ることを特徴とする化粧板。
- 請求項1又は請求項2のいずれかに記載された化粧板であって、前記コア層は、加熱加圧後において2mm以下の厚みを有することを特徴とする化粧板。
- 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された化粧板であって、前記メラミン樹脂と前記アクリル樹脂との混合比率が、固形分の重量%の比率で、メラミン樹脂:アクリル樹脂=9:1〜5:5の範囲内であることを特徴とする化粧板。
- コア層に化粧層を積層した上で加熱加圧して化粧板を製造する化粧板の製造方法であって、複数の晒しクラフト紙に熱硬化性樹脂を含浸し積層して前記コア層を形成し、前記熱硬化性樹脂として、メラミン樹脂にアクリル樹脂が添加され微粉シリカは添加されない組成物を使用し、前記熱硬化性樹脂を前記熱硬化性樹脂が含浸されたコア層100重量%に対して48重量%超54重量%以下の割合で含浸することを特徴とする化粧板の製造方法。
- 請求項5に記載された化粧板の製造方法であって、2枚の前記熱硬化性樹脂が含浸された晒しクラフト紙を積層して前記コア層を形成することを特徴とする化粧板の製造方法。
- 請求項5又は請求項6のいずれかに記載された化粧板の製造方法であって、加熱加圧後の前記コア層を2mm以下の厚みに形成することを特徴とする化粧板の製造方法。
- 請求項5乃至請求項7のいずれかに記載された化粧板の製造方法であって、前記メラミン樹脂と前記アクリル樹脂との混合比率を、固形分の重量%の比率で、メラミン樹脂:アクリル樹脂=9:1〜5:5の範囲内とすることを特徴とする化粧板の製造方法。
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