JP4429937B2 - 化粧板 - Google Patents
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Description
また、B.表層の化粧紙と同色に着色したクラフト紙を基材層に用いる方法では、化粧紙の色に応じて、その色に着色したクラフト紙を常時準備しておかなければならない。この場合、購入ロットが大きくなければ採算がとれないので、対応できる色の数に限界があるという問題がある。しかも、異なる色の化粧紙に対応したクラフト紙を常時準備しておかなければならないので、クラフト紙の在庫管理コストが高くなるという問題もある。
また、C.基材層を構成する晒しクラフト紙に対して、表層の化粧紙と同色の樹脂を含浸させる方法では、化粧紙の色と樹脂の色とを合わせることが困難である。その上、クラフト紙に樹脂を含浸させるための装置内において、化粧紙と同色に着色した樹脂と、装置内に残っている他の色の樹脂とが混ざり合ってしまうという問題がある。
(1)熱硬化性合成樹脂が含浸されている複数枚の紙を重ね合わせた状態で熱圧成形により一体化させて得られ、芯材に貼り付けられる化粧板であって、
前記複数枚の紙は、中心側は1枚以上の晒しクラフト紙、その晒しクラフト紙の上下両面には化粧紙を重ね合わせたものであり、
前記晒しクラフト紙の灰分は3%以下であり、
前記晒しクラフト紙により構成される基材層の熱圧成形後の厚さは2mm以下であり、
前記晒しクラフト紙に熱硬化性合成樹脂を含浸させた後の樹脂付着率は38wt%以上48wt%以下であり、
前記晒しクラフト紙により構成される基材層は、熱圧成形後の全光線透過率が34.3%以上90%以下であり、
前記化粧紙の灰分は8%以上55%以下であり、
前記化粧紙に熱硬化性合成樹脂を含浸させた後の樹脂付着率は48wt%以上55wt %以下であり、
前記化粧紙により構成される表層は、熱圧成形後の全光線透過率が30%以下であることを特徴とする化粧板。
(2)上記(1)に記載の化粧板であって、
前記熱硬化性合成樹脂は、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、あるいはポリエステル樹脂であることを特徴とする化粧板。
図1に示すように、化粧板10は、熱硬化性合成樹脂が含浸されている複数枚の紙(化粧紙12、クラフト紙14)を重ね合わせた状態で熱圧成形により一体化させたものである。この化粧板10において、前記複数枚の紙は、中心側は1枚以上のクラフト紙14、そのクラフト紙14の上下両面には化粧紙12を重ね合わせたものである。前記クラフト紙14には、灰分が3%以下の晒しクラフト紙が使用される。前記化粧紙12には、灰分が8%以上55%以下、坪量が45g/m2以上160g/m2以下の化粧紙が使用される。熱圧成形後の化粧板10において、1枚以上のクラフト紙14によって構成される中心側の層のことを、基材層20と呼ぶ。熱圧成形後の化粧板10において、化粧紙12によって構成される表面側の層のことを、表層16,18と呼ぶ。
化粧紙12あるいはクラフト紙14に含浸させる熱硬化性合成樹脂としては、熱圧成形後に硬化したときに透明あるいは半透明になる熱硬化性合成樹脂を使用する。このような樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、あるいはポリエステル樹脂などを使用することができる。この中では、メラミン樹脂の透明度が高く最も好ましい。
本発明に係る化粧板10において、表層16,18を構成する化粧紙12としては、例えば、顔料や酸化チタンを抄き込んで所望の着色を施したり、あるいは、さらにその表面にグラビア印刷により所望の模様を施した坪量45〜160g/m2程度の化粧紙を使用することができる。なお、「化粧紙」とは、化粧板10の意匠性を高めるために、図柄や模様、着色等が施されている紙のことである。
本発明に係る化粧板10において、基材層20を構成するクラフト紙14としては、晒しクラフト紙を使用する。一般に、クラフト紙は、未晒しクラフト紙と、晒しクラフト紙に大別することができるのであるが、本発明に係る化粧板10においては、漂白がなされているために白色度の高い晒しクラフト紙を使用する。なお、本発明における「晒しクラフト紙」の定義は、日本工業規格JIS−P−0001に規定されている。
化粧板10の製造方法について説明する。化粧板10は、図1に示すように、1枚以上のクラフト紙14を重ね合わせて、そのクラフト紙14の上下両面に化粧紙12を重ね合わせて、そして、クラフト紙14及び化粧紙12を加熱しながら加圧することにより製造することができる。
なお、「樹脂付着率」とは、含浸紙(樹脂を含浸させた紙のこと)における樹脂分の重量割合のことであり、以下の[1]式によって算出される。「揮発分」とは、含浸紙における揮発成分重量割合のことであり、重量測定した含浸紙を120℃±2℃の乾燥機内に20分間放置し、乾燥後の含浸紙の重量を測定した結果を基にして、以下の[2]式によって算出される。
樹脂付着率(wt%)=((含浸紙重量−原紙重量)/含浸紙重量)×100 ・・・[1]
揮発分(wt%)=((含浸紙重量−絶乾含浸紙重量)/含浸紙重量)×100 ・・・[2]
図2は、化粧板10を芯材22の上面に対して貼り付けた状態を示す斜視図である。図3は、化粧板10を芯材22の上面に貼り付けた状態を示す断面図である。なお、ここでいう芯材22とは、化粧板10を貼り付ける対象物たる板材のことである。例えば、家具の天板などが、芯材22に該当する。
図2、図3に示すように、本発明に係る化粧板10は、その使用方法は特に制限するものではないが、例えば、棚、テーブル、システムキッチンなどの天板や扉に貼り付けて使用することが可能である。また、各種家具を製造するための板材、装飾用に使用する内貼用あるいは外貼用の板材、あるいは、各種建物の内壁材等に貼り付けて使用することが可能である。化粧板10は、芯材22の上面に対して接着剤などにより貼り付けて使用することができる。
以上述べたように、化粧板10は、1枚以上のクラフト紙14によって基材層20が構成されており、この基材層20の厚さは2mm以下であり、クラフト紙14の灰分は3%以下である。熱硬化性合成樹脂が含浸されているクラフト紙14の樹脂付着率は38wt%以上48wt%以下であり、揮発分は3wt%以上9wt%以下である。プレス機による熱圧成形の際の条件は、プレス面の温度が120℃以上150℃以下、プレス圧力が5MPa以上12MPa以下である。このような条件で基材層20が形成されることによって、基材層20の全光線透過率が30%以上90%以下になる。また、化粧板10は、基材層20を中心として、表層16,18が両側に配置して一体成形されていることが本発明の特徴である。
図3に示すように、化粧板10の木口面24から基材層20の内部に侵入した可視光26は、基材層20の内部の晒しクラフト紙の繊維にぶつかりながら拡散し、上面側の表層16及び下面側の表層18にぶつかる。木口面24から侵入した可視光26は、このような乱反射を繰り返した後に、木口面24から飛び出して、再び外部から視認されるようになっている。このとき、木口面24から飛び出した可視光28は、乱反射を繰り返しているために表層16,18に近い色となっている。このため、基材層20と表層16,18の色の違いが判別しにくくなり、これらの一体感が高いために見た目に優れるという効果が得られるようになっている。
顔料及び酸化チタンを45%混抄した坪量100g/m2の淡黄色の化粧紙に、変性メラミン樹脂初期縮合液を含浸させた後に乾燥させた。これにより、樹脂付着率53wt%、揮発分6wt%のメラミン樹脂が含浸されている化粧紙を作製した。また、坪量200g/m2、灰分0%の晒しクラフト紙に、変性メラミン樹脂初期縮合液を含浸させた後に乾燥させた。これにより、樹脂付着率44wt%、揮発分7wt%のメラミン樹脂が含浸されているクラフト紙を作製した。メラミン樹脂を含浸させたクラフト紙を3枚重ね合わせて、その晒しクラフト紙の上下両側にメラミン樹脂を含浸させた化粧紙を1枚ずつ重ね合わせて積層体を作製した。このような積層体を2組準備して、この2組の積層体の間に厚さ20μmのポリプロピレンフィルムを介在させた。そして、このポリプロピレンフィルムを介在させた2組の積層体を、プレス機によって加熱しながら加圧した。このときの加圧条件は、プレス面の温度145℃、プレス圧力8MPa、加圧時間30分間である。2組の積層体を室温まで冷却させた後にプレス機から取り外すことによって2枚の化粧板を得た。この化粧板を45°の角度で切断して木口面の状態を目視により観察した。
メラミン樹脂を含浸させたクラフト紙の枚数を3枚から8枚に変更した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
晒しクラフト紙の坪量を100g/m2、灰分を3%に変更した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
顔料及び酸化チタンを20%混抄した坪量80g/m2の茶色の印刷用紙の表面にグラビア印刷により茶色の木目印刷を施した化粧紙を用いた以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
メラミン樹脂を含浸させたクラフト紙の枚数を10枚に変更した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
晒しクラフト紙の坪量を100g/m2、灰分を4%に変更した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
メラミン樹脂を含浸させたクラフト紙の樹脂付着率を35wt%、揮発分を1wt%に変更した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
坪量200g/m2でかつ灰分0%の未晒しクラフト紙を使用するとともに、クラフト紙の両面側に化粧紙を配置した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
晒しクラフト紙の片面側のみに化粧紙を配置した以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
顔料及び酸化チタンを5%混抄した坪量80g/m2の茶色の化粧紙を用いた以外は、上記実施例1と同じ要領で化粧板を作製した。
表1の実施例1〜4の結果を見ればわかるように、基材層の厚さが2mm以下であり、かつ、全光線透過率が30%以上90%以下である場合には、化粧板の木口面を観察したときに、基材層と表層が同色一体に見えることが判明した。これに対し、比較例1〜4の結果を見ればわかるように、基材層の厚さが2mmを超えているいるか、もしくは、基材層の全光線透過率が30%以上90%以下の範囲にない場合には、化粧板の木口面を観察したときに、基材層と表層の色調が異なるので、基材層と表層が同色一体に見えないことが判明した。さらに、比較例5の結果を見ればわかるように、晒しクラフト紙の片面側のみに化粧紙を配置した場合には、基材層の内部で可視光が十分に乱反射しないので、木口面を観察したときに、基材層と表層の色調が異なることが判明した。
12 化粧紙
14 クラフト紙
16,18 表層
20 基材層
22 芯材
24 木口面
26,28 可視光
Claims (2)
- 熱硬化性合成樹脂が含浸されている複数枚の紙を重ね合わせた状態で熱圧成形により一体化させて得られ、芯材に貼り付けられる化粧板であって、
前記複数枚の紙は、中心側は1枚以上の晒しクラフト紙、その晒しクラフト紙の上下両面には化粧紙を重ね合わせたものであり、
前記晒しクラフト紙の灰分は3%以下であり、
前記晒しクラフト紙により構成される基材層の熱圧成形後の厚さは2mm以下であり、
前記晒しクラフト紙に熱硬化性合成樹脂を含浸させた後の樹脂付着率は38wt%以上48wt%以下であり、
前記晒しクラフト紙により構成される基材層は、熱圧成形後の全光線透過率が34.3%以上90%以下であり、
前記化粧紙の灰分は8%以上55%以下であり、
前記化粧紙に熱硬化性合成樹脂を含浸させた後の樹脂付着率は48wt%以上55wt %以下であり、
前記化粧紙により構成される表層は、熱圧成形後の全光線透過率が30%以下であることを特徴とする化粧板。 - 請求項1に記載の化粧板であって、
前記熱硬化性合成樹脂は、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、あるいはポリエステル樹脂であることを特徴とする化粧板。
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