JP5675298B2 - 多翼遠心ファンおよびそれを用いた空気調和機 - Google Patents

多翼遠心ファンおよびそれを用いた空気調和機 Download PDF

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本発明は、スクロールケーシング内に羽根車が回転自在に設けられている多翼遠心ファンおよびそれを用いた空気調和機に関するものである。
舌部を起点とするスクロール形状のケーシング内に、複数枚のブレードを有する羽根車がモータを介して回転自在に設置されている多翼遠心ファンは、冷凍、空調、あるいは換気装置等(以下、単に空気調和機という。)の送風用ファンに広範に適用されている。かかる多翼遠心ファンでは、羽根車の回転によりスクロールケーシングの上端面に設けられている吸込み口から軸方向に吸込まれた空気が、羽根車の複数枚のブレード間を通り内周側から外周側へと遠心方向(半径方向)に偏向されて圧送され、羽根車からスクロールケーシング内の流路に吹出された後、その内周面に沿って回転方向へと送られ、吹出し口を経て外部へと送風されるようになっている。
このような多翼遠心ファンにおいて、スクロールケーシングは、羽根車の回転方向に流れる気流の動圧を回収すべく、回転方向に外径が漸次大きくされたスクロール形状とされているが、ケーシングの外径サイズをできるかぎりコンパクト化するため、スクロールケーシングを回転軸方向にも拡張し、流路断面積を回転方向に漸次拡大させるようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。また、風量により静圧が変化しても、送風効率の低下や騒音の上昇を抑制できるように、スクロールケーシングに可動部を設け、流路の回転軸方向内寸(内容積)を変更可能としたものが、特許文献3により開示されている。
特開2002−202098号公報 特開2004−204756号公報 特開2010−144545号公報
上記の多翼遠心ファンにおいて、羽根車の全周からスクロールケーシング内に吹出される気流は、羽根車内で完全に流れが半径方向に偏向されず、羽根車の主板側、すなわちスクロールケーシングの下端面側に偏った状態で斜め下方に向けて吹出される。この吹出し風は、スクロールケーシング内の流路上下の回転軸方向への流路拡張部内において、内周側に向う旋回流(渦流)を形成しながら吹出し口へと圧送される。
しかし、特許文献1,2のものは、舌部の下流域では流れの逆流や舌部からの漏れ流れ等により流れが不安定となり易いうえに、巻き始め位置では羽根車からの吹出し風量が少ないにもかかわらず、流路拡張部が必ずしも渦流の強さと大きさに対応した大きさ(幅と高さ)とされていないため、渦流が不安定となり易かった。その結果、流路内での気流の乱れを助長し、低周波音の上昇や送風効率の低下をもたらす等の課題があった。
また、特許文献3に示すものは、スクロールケーシングに可動部を設ける必要があることから、構造が複雑化することは避けられず、信頼性やコスト面において大きな課題を有している。また、渦流が形成される拡張空間が形成されなくなった場合、渦流が羽根車により近い箇所で発生し、これが騒音を増大させるおそれがあった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、スクロールケーシングの回転軸方向に拡張された流路拡張部を渦流の強さと大きさに対応した大きさとすることによって、気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、低騒音化、高効率化を図った多翼遠心ファンおよびそれを用いた空気調和機を提供することを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明の多翼遠心ファンおよびそれを用いた空気調和機は、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかる多翼遠心ファンは、舌部を巻き始めとするスクロールケーシング内に羽根車が回転軸周りに回転自在に設置されている多翼遠心ファンにおいて、前記スクロールケーシングの上下端面の前記羽根車より外側部分に回転軸方向に拡張された流路拡張部が形成されており、前記流路拡張部の吸込み口が設けられている上端面側の流路拡張部は、前記舌部を起点として回転方向への巻き角をθとしたとき、少なくとも巻き角θが30°以下の範囲において、そのスクロール位置の流路の全回転軸方向高さの5%以下の高さとされ、その上端面側の流路拡張部は、前記下端面側の流路拡張部よりも断面積が小さくされており、各々の流路拡張部の幅をB、高さをHとしたとき、H/Bが1以下とされているとともに、該上端面側の流路拡張部は、その内周側径が前記下端面側の流路拡張部の内周側径よりも大きくされ、前記H/Bが、0.5≦H/B≦1とされていることを特徴とする。
本発明によれば、舌部を巻き始めとするスクロールケーシングの上下端面の羽根車より外側部分に回転軸方向に拡張された流路拡張部が形成されており、該流路拡張部の吸込み口が設けられている上端面側の流路拡張部は、舌部を起点として回転方向への巻き角をθとしたとき、少なくとも巻き角θが30°以下の範囲において、そのスクロール位置の流路の全回転軸方向高さの5%以下の高さとされ、その上端面側の流路拡張部が、下端面側の流路拡張部よりも断面積が小さくされており、各々の流路拡張部の幅をB、高さをHとしたとき、H/Bが1以下とされているとともに、該上端面側の流路拡張部が、その内周側径が下端面側の流路拡張部の内周側径よりも大きくされ、H/Bが、0.5≦H/B≦1とされているため、スクロールケーシングの舌部の下流域における流れの逆流や舌部からの漏れ流れ等による不安定な流れを抑制することができるとともに、上端面側の流路拡張部を該部で形成される渦流の強さと大きさに見合ったものとし、上端面側の流路拡張部内に形成される渦流を安定化することができる。従って、流れの逆流や舌部からの漏れ流れ等による気流の不安定な流動を抑え、気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファンを低騒音化、高効率化することができる。また、上端面側の流路拡張部の断面積を下端面側の流路拡張部の断面積よりも小さくすることにより、上下の流路拡張部の断面積を、各々羽根車から主板側に偏って斜め下向きに吹出される気流により形成される渦流の強さと大きさに適合した大きさとすることができるとともに、略真円に近い円もしくはやや扁平な円を描く渦流を、幅Bおよび高さHが、H/B<1とされた上下の流路拡張部内で安定化させ、流路断面積を有効に利用することができるので、流路内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、多翼遠心ファンを一層低騒音化、高効率化することができる。なお、H/Bが1を超えると、渦流や気流が存在しなくなる箇所が発生し、流れが不安定化することから、低騒音化および高効率化の効果が低減する。更に、流路内で形成される渦流が小さめとなる上端面側の流路拡張部に対して、上端面側の流路拡張部の内周側径を下端面側の流路拡張部の内周側径よりも大きくすることにより、H/Bを、0.5≦H/B≦1とし、上端面側の流路拡張部を渦流の断面形状に見合った大きさの断面積とすることができる。従って、下端面側の流路拡張部における内周側上端部への吹出し風の衝突を回避しながら、各々の流路拡張部内に形成される渦流を安定化し、気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファンを低騒音化、高効率化することができる。
さらに、本発明の多翼遠心ファンは、上記の多翼遠心ファンにおいて、前記上端面側の流路拡張部の内周側部位には、前記羽根車のシュラウドの吹出し側端部と略同じ高さとされた平坦面または外側に向って下向きの円錐面とされた土手部が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、上端面側の流路拡張部の内周側部位に、羽根車のシュラウドの吹出し側端部と略同じ高さとされた平坦面または外側に向って下向きの円錐面とされた土手部が設けられているため、羽根車からの吹出し風が土手部に沿って吹出されるようになり、シュラウドと吸込み口に設けられているベルマウス間の隙間からの逆流や羽根車の上端部位から吹出される気流に対する抵抗を抑制し、シュラウドの吹出し側端部付近での吹出し風の流れを安定化することができる。従って、気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、多翼遠心ファンを一層低騒音化、高性能化することができる。
さらに、本発明の多翼遠心ファンは、上記の多翼遠心ファンにおいて、前記土手部は、前記上端面側の流路拡張部の内周側壁面を下向きに突出させることにより、前記スクロールケーシングと一体に成形されていることを特徴とする。
本発明によれば、土手部が、上端面側の流路拡張部の内周側壁面を下向きに突出させることにより、スクロールケーシングと一体に成形されているため、スクロールケーシングの流路拡張部の内周側部位に平坦面または円錐面からなる土手部を設けるに当たり、スクロールケーシングの上端面側の流路拡張部の内周側壁面を下向きに突出させてスクロールケーシングと一体に成形すればよく、樹脂製のスクロールケーシングとした場合においても、該土手部をスクロールケーシングと一体に成形することができる。従って、土手部を設けることによる工数増大やコスト上昇を抑制することができる。
さらに、本発明の多翼遠心ファンは、上述のいずれかの多翼遠心ファンにおいて、前記各流路拡張部は、前記上端面側の流路拡張部の高さをHs、前記下端面側の流路拡張部の高さをHhとしたとき、1.5Hs<Hh<2.5Hsとされていることを特徴とする。
本発明によれば、各流路拡張部が、上端面側の流路拡張部の高さをHs、下端面側の流路拡張部の高さをHhとしたとき、1.5Hs<Hh<2.5Hsとされているため、上下端面に設けられる各流路拡張部の大きさを、空気調和機に適用される多翼遠心ファンにおいて上下の流路拡張部内で形成される一般的な渦流の強さと大きさに対応した大きさとすることができる。従って、上下の流路拡張部内に形成される渦流をそれぞれ安定化し、流路内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファンを低騒音化、高効率化することができる。
さらに、本発明にかかる空気調和機は、空気送風用のファンとして、上述のいずれかの多翼遠心ファンが搭載されていることを特徴とする。
本発明によれば、空気調和機に搭載される空気送風用のファンとして、上述のいずれかの多翼遠心ファンが搭載されているため、スクロールケーシングの流路内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、低騒音化、高効率化された多翼遠心ファンを搭載することにより、建屋あるいは自動車用等の各種空気調和機の運転音の低減やファン効率の向上を図ることができ、その商品価値を高めることができる。
本発明の多翼遠心ファンによると、スクロールケーシングの舌部の下流域における流れの逆流や舌部からの漏れ流れ等による不安定な流れを抑制することができるとともに、上端面側の流路拡張部を該部で形成される渦流の強さと大きさに見合ったものとし、上端面側の流路拡張部内に形成される渦流を安定化することができるため、流れの逆流や舌部からの漏れ流れ等による気流の不安定な流動を抑え、気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファンを低騒音化、高効率化することができる。また、上端面側の流路拡張部の断面積を下端面側の流路拡張部の断面積よりも小さくすることにより、上下の流路拡張部の断面積を、各々羽根車から主板側に偏って斜め下向きに吹出される気流により形成される渦流の強さと大きさに適合した大きさとすることができるとともに、略真円に近い円もしくはやや扁平な円を描く渦流を、幅Bおよび高さHが、H/B<1とされた上下の流路拡張部内で安定化させ、流路断面積を有効に利用することができるため、流路内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、多翼遠心ファンを一層低騒音化、高効率化することができる。更に流路内で形成される渦流が小さめとなる上端面側の流路拡張部に対して、上端面側の流路拡張部の内周側径を下端面側の流路拡張部の内周側径よりも大きくすることにより、H/Bを、0.5≦H/B≦1とし、上端面側の流路拡張部を渦流の断面形状に見合った大きさの断面積とすることができるため、下端面側の流路拡張部における内周側上端部への吹出し風の衝突を回避しながら、各々の流路拡張部内に形成される渦流を安定化し、気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファンを低騒音化、高効率化することができる。
本発明の空気調和機によると、スクロールケーシングの流路内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、低騒音化、高効率化された多翼遠心ファンを搭載することにより、建屋あるいは自動車用等の各種空気調和機の運転音の低減やファン効率の向上を図ることができ、その商品価値を高めることができる。
本発明の第1実施形態に係る多翼遠心ファンを上方側から見た概略斜視図である。 図1に示す多翼遠心ファンの横断面相当図である。 図1に示す多翼遠心ファンの子午面断面相当図である。 図1に示す多翼遠心ファンの風量−騒音レベル特性を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る多翼遠心ファンの子午面断面相当図である。 本発明の参考例に係る多翼遠心ファンの子午面断面相当図である。 図1に示す本発明の第1実施形態に係る多翼遠心ファンの旋回流(渦流)の形成状態およびスクロールケーシングの構成を示す子午面断面相当図である。 本発明の第実施形態に係る多翼遠心ファンの子午面断面相当図である。 図8に示す多翼遠心ファンのスクロールケーシングの羽根車回転方向への巻き角と上下拡張部の深さとの関係を示すグラフである。 図8に示す多翼遠心ファンのスクロールケーシングによる騒音−周波数特性(A)と従来ケーシングの騒音−周波数特性(B)との比較図である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図4および図7を用いて説明する。
図1には、本発明の第1実施形態に係る多翼遠心ファンを上方側から見た概略斜視図が示され、図2には、その横断面相当図、図3には、子午面断面相当図が示されている。
多翼遠心ファン1は、流路3の外径が回転方向に漸次拡大されるようにスクロール形状とされた樹脂製のスクロールケーシング2を備えている。
スクロールケーシング2は、舌部4を起点として渦巻き状に樹脂成形された上下に2分割されている一対のケーシング5,6を一体に結合して形成されたものであり、渦巻き状の巻き終り部から接線方向に延長された吹出し口7を備えている。上ケーシング5の上端面8には、ベルマウス9が設けられ、このベルマウス9によって空気の吸込み口10が形成されている。下ケーシング6の下端面11には、図3に示されるように、モータ設置部12が設けられ、該モータ設置部12内に回転軸14を備えたファンモータ13が収容設置されている。
スクロールケーシング2内には、羽根車15が回転軸14周りに回転自在に設置されている。この羽根車15は、中央部が吸込み側に凸形状とされた円盤状の主板16と、該主板16の外周部位に放射状に配列された複数枚のブレード17と、該ブレード17の主板16と対向する端部側に設けられた環状のシュラウド18と、から構成されている。主板16の中心部には、ボス19が設けられており、該ボス19を回転軸14の軸端に固定することによって、羽根車16がファンモータ14を介して回転駆動されるように構成されている。なお、この羽根車15は、樹脂製とされている。
また、スクロールケーシング2の上下端面8,11の外周部分には、流路3の断面をそれぞれ回転軸方向に拡張する流路拡張部(凹部流路)20,21が形成されている。この流路拡張部20,21のうち、下端面11側の流路拡張部21は、その下端面がスクロールケーシング2の巻始め側から回転方向に向って漸次拡張高さが高くなるように回転軸方向に拡張された傾斜端面11Aとされている。同様に、上端面8側の流路拡張部20も、その上端面がスクロールケーシング2の巻始め側から回転方向に向って漸次拡張高さが高くなるように回転軸方向に拡張された傾斜端面8Aとされている。
さらに、流路拡張部20における傾斜端面8Aの拡張高さ(深さ)Hは、図2に示されるように、舌部4を起点として羽根車15の回転方向への巻き角をθとしたとき、少なくとも巻き角θが30°以下の範囲において、図3に示されるように、そのスクロール位置の流路3の全回転軸方向高さをHtとしたとき、Htの5%以下の高さHsi(0.05Ht>Hsi)とされている。なお、巻き角θが30°以降の範囲において、傾斜端面8Aの拡張高さHは、吹出し風量の増加に伴って次第に大きくなる渦流に対応して、漸次高くなるように構成されている。
また、本実施形態では、図7に示されるように、上端面8側の流路拡張部20の断面積が、下端面11側の流路拡張部21の断面積よりも小さくされている。これは、前述のとおり、羽根車15からの吹出し風が下端面11側に偏って斜め下方に向って吹出され、流路拡張部21内に形成される渦流の方が、流路拡張部20内に形成される渦流よりも強く大きくなることに対応するためである。その上で、上端面8側の流路拡張部20および下端面11側の流路拡張部21は、図7に示されるように、各々流路拡張部20,21の幅をB、高さをHとしたとき、H/Bが1以下となるようにしている。
さらに、本実施形態においては、図7に示されるように、上端面8側の流路拡張部20の断面積を流路拡張部21の断面積より小さくするため、上端面8側の流路拡張部20の内周側径D1を下端面11側の流路拡張部21の内周側径D2よりも大きくし、上下の流路拡張部20,21の幅をB、高さをHとしたとき、H/Bが、0.5≦H/B≦1を満たす構成としている。
斯くして、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
羽根車15の回転により吸込み口10から回転軸方向に吸込まれた空気は、羽根車15のブレード17間を通過する際に半径方向に偏向され、羽根車15の外周から半径方向に吹出される。この吹出し風は、スクロールケーシング2の流路3内を回転方向に流量が漸次増加されつつ圧送され、その間に動圧が回収されて静圧が上昇されることにより、吹出し口7から外部へと送風される。
羽根車15の外周から遠心方向に吹出される気流は、スクロールケーシング2の下端面11側に偏り斜め下方に向って吹出される傾向があり、羽根車15の回転方向に圧送される間に一部が、スクロールケーシング2の外周側側面2Aおよび上下端面8,11(傾斜端面8A,11A)に沿って内周側に向う二次流れを生成し、流路拡張部20,21内においてそれぞれ旋回流(渦流)を形成する(図6,図7参照)。この渦流は、羽根車15からの吹出し風が下端面11側、すなわち主板16側に偏って斜め下方に向って吹出されることから、下端面11側の流路拡張部21内に形成される渦流の方が、上端面8側の流路拡張部20内に形成される渦流よりも強く大きくなる。
流路拡張部20,21の大きさは、上記渦流の強さと大きさに対応していることが望ましく、これによって、流路拡張部20,21内に形成される渦流を安定化し、渦流による流路3内での気流の乱れを抑制することができる。特に、スクロールケーシング2の舌部4からの巻き角θが30°以下の範囲では、流れの逆流や舌部4からの漏れ流れ等により流れが不安定となり易いうえに、スクロールケーシング2の巻始め位置では、羽根車15からの吹出し風の量が少なく、流路拡張部20を適正な大きさにしないと、渦流が不安定化し、流路3内での気流の乱れを助長してしまう。
しかるに、本実施形態では、上端面8側の流路拡張部20の拡張高さHが、舌部4を起点として回転方向への巻き角をθとしたとき、少なくとも巻き角θが30°以下の範囲において、そのスクロール位置の流路3の全回転軸方向高さHtの5%以下の高さHsiとされている。このため、上端面8側の流路拡張部20の大きさを渦流の強さと大きさに見合ったものとし、上端面8側の流路拡張部20内に形成される渦流を安定化することができる。これによって、流れの逆流や舌部4からの漏れ流れ等による気流の不安定な流動を抑え、気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファン1を低騒音化、高効率化することができる。
図4には、本実施形態による騒音レベルの解析結果が示されている。
本実施形態の係る多翼遠心ファン1によると、図4に示されるように、上端面8側の流路拡張部20の高さHが、必要以上に高くされている従来例(特許文献1,2参照)に比べて、広い吹出し風量範囲にわたって数dB程度の騒音低減効果が得られることが確認されている。
また、図7に示されるように、上下の流路拡張部20,21の幅をB、高さをHとしたとき、H/Bを1以下として上端面8側の流路拡張部20の流路断面積を下端面11側の流路拡張部21の断面積よりも小さくすることによって、上下の流路拡張部20,21の断面積を、各々羽根車15から主板側に偏って斜め下向きに吹出される気流により形成される渦流の強さと大きさに適合した大きさとすることができるとともに、略真円に近い円もしくはやや扁平な円を描く渦流を、幅Bおよび高さHが、H/B<1とされた上下各々の流路拡張部20,21内で安定化させ、流路断面積を有効に利用することができる。
このため、スクロールケーシング2の流路3内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、多翼遠心ファン1を一層低騒音化、高効率化することができる。なお、H/Bが1を超えると、流路拡張部20,21内の渦流の位置や大きさが安定せず、スクロールケーシング2の流路3内の流れが不安定化することから、低騒音化および高効率化の効果が低減する。
さらに、図7に示されるように、流路内に形成される渦流が比較的小さめとなる上端面8側の流路拡張部20に対して、上端面8側の流路拡張部20の内周側径D1を下端面11側の流路拡張部21の内周側径D2よりも大きくすることにより、上記H/Bを、0.5≦H/B≦1とし、上端面8側の流路拡張部20の断面積を、下端面11側の流路拡張部21の断面積よりも小さい、渦流の断面形状に見合った大きさの断面積とすることができる。
これによって、下端面11側の流路拡張部21の内周側径D2が小さくなり、その内周側の上端部に対して羽根車15からの吹出し風が衝突する事態を回避しながら、各々の流路拡張部20,21内に形成される渦流を安定化し、流路3内での気流の乱れによる低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファン1を低騒音化、高効率化することができるともに、上ケーシング5および下ケーシング6の外径を等しくすることができるため、本実施形態に係る多翼遠心ファン1を用いた空気調和機への搭載性が損なわれることもない。
加えて、上記のように、スクロールケーシング2の流路3内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して低騒音化、高効率化された多翼遠心ファン1を送風用ファンとして搭載することにより、建屋あるいは自動車用等の各種空気調和機において、運転音の低減やファン効率の向上を図ることができる。従って、空気調和機を一段と高性能化し、その商品価値を高めることができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図5を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1実施形態に対して、上端面8側の流路拡張部20の内周側部位に土手部22を設けている点が異なる。その他の点については、第1実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、図5に示されるように、スクロールケーシング2の上端面8側の流路拡張部20の内周側部位に対して、羽根車15のシュラウド18の吹出し側端部と略同じ高さとされた平坦面(または外側に向って下向きの円錐面)とされた土手部22を設けた構成としている。
この土手部22は、上端面8側の流路拡張部20の内周側壁面を内面側に突出させることによって、スクロールケーシング2を構成している2分割された上ケーシング5と一体に樹脂成形されている。
このように、上端面8側の流路拡張部20の内周側部位に、羽根車15のシュラウド18の吹出し側端部と略同じ高さとされた平坦面または外側に向って下向きの円錐面とされた土手部22を設けることにより、羽根車15からの吹出し風を土手部22に沿って吹出すことができる。このため、シュラウド18とベルマウス9間の隙間からの逆流や羽根車15の上端部位から吹出される気流に対する抵抗を抑制し、シュラウド18の吹出し側端部付近での吹出し風の流れを安定化することができる。これにより、流路3内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制し、多翼遠心ファン1を一層低騒音化、高効率化することができる。
また、スクロールケーシング2の流路拡張部20の内周側部位に平坦面または円錐面からなる土手部22を設けるに当たり、スクロールケーシング2(上ケーシング5)の上端面側の流路拡張部20の内周側壁面を内面側に突出させて上ケーシング5と一体に成形すればよく、樹脂製のスクロールケーシング2とした場合においても、土手部22をスクロールケーシング2と一体に成形することができる。従って、土手部22を設けることによる工数増大やコスト上昇を抑制することができる。
[第実施形態]
次に、本発明の第実施形態について、図8ないし図10を用いて説明する。
本実施形態は、上記した第1ないし第実施形態に対して、各流路拡張部20,21の拡張高さを各々の流路内で形成される渦流に対応した大きさとしている点が異なる。その他の点については、第1ないし第実施形態と同様であるので説明は省略する。
本実施形態では、上下端面8,11に設けられた流路拡張部20,21の大きさを各々の流路内に形成される渦流に対応した大きさとすべく、上端面8側の流路拡張部20の高さをHs、下端面11側の流路拡張部21の高さHhとしたとき、1.5Hs<Hh<2.5Hsを満たす構成としている。
図9には、上記スクロールケーシング2における舌部4のアール中心Oと回転軸14の中心P(図2参照)とを結んだ位置を0degとしたときの羽根車15の回転方向への巻き角θdegと、流路拡張部(凹部流路)20,21の拡張高さ(凹部深さ)Hs,Hhとの関係がグラフ化されている。流路拡張部(凹部流路)20,21の拡張高さ(凹部深さ)Hs,Hhの流路3の全回転軸方向高さHtに対する割合は、漸次増加されるように構成されている。また、流路拡張部20の高さをHsは、回転方向の全域において流路拡張部21の高さHhの概ね1/2、つまり1.5Hs<Hh<2.5Hsを満たす高さに設定されている。
このように、上下端面8,11に設けられる流路拡張部20,21を、各々の流路の拡張高さをHs、Hhとしたとき、1.5Hs<Hh<2.5Hsを満たす高さとすることによって、各流路拡張部20,21の大きさを、空気調和機に適用される多翼遠心ファン1において上下の流路拡張部20,21内で形成される一般的な渦流の強さと大きさに対応した大きさとすることができる。このため、上下の流路拡張部20,21内に形成される渦流をそれぞれ安定化し、流路3内での気流の乱れに起因する低周波音の上昇や送風効率の低下を抑制して多翼遠心ファン1を低騒音化、高効率化することができる。
図10は、本実施形態に係るスクロールケーシング2を用いたものと、従来ケーシングを用いたものとの騒音−周波数特性を比較した図であり、図10(A)に示される本実施形態によるものでは、図10(B)に示される従来例に比べ、略700Hz以下の低周波領域での騒音ピーク値が低減されており、流路3内での気流の乱れに起因する、ブーン音と称されている低周波音の低減効果が奏されることは明らかである。
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、回転軸14が鉛直とされたバーチカルタイプの多翼遠心ファン1について説明したが、回転軸14が水平とされたホリゾンタルタイプの多翼遠心ファン1についても同様に適用できることはもちろんであり、この場合、上下端面は、左右端面と置き換えられることになる。
また、上記実施形態では、スクロールケーシング2および羽根車15が、それぞれ樹脂材製とされている例について説明したが、これに限定されるものではなく、それぞれが金属製であってもよいことはもちろんである。
1 多翼遠心ファン
2 スクロールケーシング
3 流路
4 舌部
8 上端面
10 吸込み口
11 下端面
14 回転軸
15 羽根車
18 シュラウド
20,21 流路拡張部
22 土手部
θ 巻き角
B 流路拡張部の幅
D1 上端面側流路拡張部の内周側径
D2 下端面側流路拡張部の内周側径
H 流路拡張部の高さ
Hh 下端面側流路拡張部の高さ
Hs 上端面側流路拡張部の高さ
Hsi 巻き角が30°以下の範囲の拡張部高さ
Ht 流路の全回転軸方向高さ

Claims (5)

  1. 舌部を巻き始めとするスクロールケーシング内に羽根車が回転軸周りに回転自在に設置されている多翼遠心ファンにおいて、
    前記スクロールケーシングの上下端面の前記羽根車より外側部分に回転軸方向に拡張された流路拡張部が形成されており、
    前記流路拡張部の吸込み口が設けられている上端面側の流路拡張部は、前記舌部を起点として回転方向への巻き角をθとしたとき、少なくとも巻き角θが30°以下の範囲において、そのスクロール位置の流路の全回転軸方向高さの5%以下の高さとされ、
    その上端面側の流路拡張部は、前記下端面側の流路拡張部よりも断面積が小さくされており、各々の流路拡張部の幅をB、高さをHとしたとき、H/Bが1以下とされているとともに、該上端面側の流路拡張部は、その内周側径が前記下端面側の流路拡張部の内周側径よりも大きくされ、前記H/Bが、0.5≦H/B≦1とされていることを特徴とする多翼遠心ファン。
  2. 前記上端面側の流路拡張部の内周側部位には、前記羽根車のシュラウドの吹出し側端部と略同じ高さとされた平坦面または外側に向って下向きの円錐面とされた土手部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の多翼遠心ファン。
  3. 前記土手部は、前記上端面側の流路拡張部の内周側壁面を下向きに突出させることにより、前記スクロールケーシングと一体に成形されていることを特徴とする請求項2に記載の多翼遠心ファン。
  4. 前記各流路拡張部は、前記上端面側の流路拡張部の高さをHs、前記下端面側の流路拡張部の高さをHhとしたとき、1.5Hs<Hh<2.5Hsとされていることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の多翼遠心ファン。
  5. 空気送風用のファンとして、請求項1ないしのいずれかに記載の多翼遠心ファンが搭載されていることを特徴とする空気調和機。
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