JP5673502B2 - 燃料電池システム及び燃料電池の触媒性能回復方法 - Google Patents

燃料電池システム及び燃料電池の触媒性能回復方法 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池に用いられるカソード側の白金触媒に生じた酸化皮膜を除去するために、燃料ガスの供給圧力を高くすることで、燃料ガスを還元剤としてアノードからカソードにリークさせる技術が知られている(特許文献1)。
特開2007−157604号公報
上記従来技術には、酸化皮膜の除去が不十分であるために、触媒の性能の回復が不十分であるという課題があった。
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためのものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
適用例1:触媒を用いる燃料電池によって発電を行う燃料電池システムであって、
発電が要求されている時に、前記燃料電池の電圧を、要求電力を発電するための電圧である要求電圧よりも高い値に上昇させる電圧上昇部と、
前記電圧上昇部による電圧上昇後に、前記燃料電池の電圧を前記要求電圧よりも低い値に降下させる電圧降下部とを備えることを要旨とする。
この適用例によれば、触媒の性能を効率的に回復させることができる。燃料電池の電圧が、要求電圧よりも高い値に上昇することによって、カソードの触媒に生じたアニオンが酸化される。続いて、燃料電池の電圧が、要求電圧よりも低い値に降下することによって、酸化したアニオンの吸着力が弱くなると共に、カソードの酸化皮膜が分解される。酸化したアニオンは、負荷運転時に燃料電池のカソードに供給される空気の流れによって、除去される。このように酸化皮膜と酸化したアニオンとが除去されることによって、カソードの触媒の性能が回復する。なお「燃料電池の電圧」とは、カソードとアノードとの電位差のことである。また、「要求電力」とは、供給を要求されている電力のことである。
適用例2:適用例1に記載の燃料電池システムであって、
前記電圧上昇部による電圧上昇時における前記要求電力に対する発電量の不足分と、前記電圧降下部による電圧降下時における前記要求電力に対する発電量の余剰分との差が所定範囲内であることを要旨とする。
この適用例によれば、発電電力の平均を要求電力に近いものにすることができる。
適用例3:適用例1又は適用例2に記載の燃料電池システムであって、
前記電圧降下部は、前記燃料電池の温度が所定温度以上の場合、前記電圧上昇部による電圧上昇の前に、前記電圧降下を実行し、
前記電圧上昇部は、前記燃料電池の温度が所定温度以上の場合に実行される電圧降下の後に、前記電圧上昇を実行し、
前記電圧降下部は、前記電圧上昇部による電圧上昇後に、前記電圧降下を実行することを要旨とする。
この適用例によれば、触媒の性能を効率的に回復させつつ、燃料電池の性能劣化を抑制できる。燃料電池の温度が高い時は燃料電池が乾燥している傾向にあるので、水分生成量を増加させることによって、乾燥を抑制することが好ましい。この適用例によれば、燃料電池の温度が所定値以上の場合に、電圧上昇の前に、電圧降下を実行することによって、発電電力を増大させると共に、水分生成量を増加させる。これによって乾燥が抑制され、燃料電池の性能劣化を抑制できる。その後に、電圧上昇と電圧降下とを実行することによって、触媒の性能を回復させることができる。
適用例4:適用例1から適用例3の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池の発電性能が低下したことを推定した場合に、前記電圧上昇部を動作させる性能低下推定部を備えることを要旨とする。
この適用例によれば、発電性能が低下した場合に、触媒の性能、ひいては発電性能を回復させることができる。
適用例5:適用例4に記載の燃料電池システムであって、
前記性能低下推定部は、基準よりも発電性能が低いことを検出した場合に、発電性能が低下したと推定することを要旨とする。
なお、この基準は、理論値や過去の発電電力に基づいて決定しても良いし、その他の方法で決定しても良い。
適用例6:適用例4又は適用例5に記載の燃料電池システムであって、
前記性能低下推定部は、被毒物質が通常よりも多く大気に含まれることが推定される場合、発電性能が低下したと推定することを要旨とする。
「被毒物質が通常よりも多く大気に含まれる」と推定する方法としては、例えば、被毒物質の発生源(例えば、温泉や火山)の付近に燃料電池システムが位置することや、ガスセンサーによる被毒物質の検出結果に基づく方法でも良いし、その他の方法でも良い。
適用例7:適用例4から適用例6の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記性能低下推定部は、前記電圧上昇部が前回に動作した時点から所定時間が経過した場合に、発電性能が低下したと推定することを要旨とする。
この適用例によれば、簡単な方法で、電圧上昇部の動作を制御できる。
適用例8:適用例4から適用例7の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記性能低下推定部は、発電性能の低下の度合いを推定し、
前記電圧上昇部は、前記推定された発電性能の低下の度合いが大きいほど、電圧を上昇させる時間を長くする
燃料電池システム。
この適用例によれば、電圧を上昇させる時間を適切化できる。なお「時間を長くする」とは、単調増加であっても良い。つまり、発電性能の低下の度合いが大きくなっても時間を変化させない場合を含んでも良い。
適用例9:二次電池を備える適用例1から適用例8の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記電圧上昇部は、前記二次電池による電力供給を加えることによって前記要求電力を賄うことができる場合に、前記電圧上昇を実行することを要旨とする。
燃料電池の電圧が負荷運転時よりも上昇すると、一般的には、発電電力が減少する。この適用例によれば、要求電力が賄えないのに、電圧上昇によって発電電力を低下させてしまうことを防止できる。
適用例10:適用例1から適用例9の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記電圧上昇部は、前記燃料電池の温度が所定温度未満の場合に、前記電圧上昇を実行することを要旨とする。
この適用例によれば、燃料電池の性能劣化を抑制できる。燃料電池の電圧が負荷運転時よりも上昇すると発電電力が減少し、ひいては水分の生成量も減少する。燃料電池の温度が高い時は、燃料電池が乾燥する傾向にある。燃料電池が乾燥している時に水分の生成量が減少すると、更に乾燥が進み、燃料電池の性能劣化につながる。この適用例によれば、燃料電池の温度が所定値未満の場合に、電圧上昇を実行することによって、性能劣化につながる乾燥を抑制できる。なお、この適用例の所定温度は、適用例3における所定温度と同じでも異なっていても良い。
適用例11:燃料電池に用いられる触媒の性能を回復させる触媒性能回復方法であって、
発電が要求されている時に、前記燃料電池の電圧を、要求電力を発電するための電圧である要求電圧よりも高い値に上昇させ、
その後、前記燃料電池の電圧を前記要求電圧よりも低い値に降下させることを要旨とする。
この適用例によれば、適用例1と同等の効果が得られる。
燃料電池自動車20の概略図。 負荷運転時電圧制御処理を示すフローチャート。 負荷運転時電圧制御処理の実行による各パラメーターの経時変化を示す図。
1.ハードウェア構成:
図1は、燃料電池自動車20の概略図である。図示するように、この燃料電池自動車20は、車体22に燃料電池システム30及び燃料電池自動車20の前輪駆動用のモーター170を搭載する。この燃料電池システム30は、前輪駆動用のモーター170等に電力を供給するためのものであり、燃料電池100、水素ガス供給系120、空気供給系140、冷却系160、二次電池172及びDC−DCコンバーター174を備える。
燃料電池100は、電解質膜の両側に白金触媒を用いた両電極(アノード及びカソード)を接合させた膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly/MEA)を備えるセルを積層して構成され、前輪FWと後輪RWとの間において車体22の床下に配置される。この燃料電池100は、水素ガス供給系120から供給される水素と、空気供給系140から供給される空気中の酸素との電気化学反応によって発電し、その発電電力によってモーター170を駆動する。燃料電池100の発電による電流は電流センサー102によって計測され、その計測結果は電流センサー102から後述する制御装置200へ出力される。
水素ガス供給系120は、水素ガスタンク110、水素供給経路121、供給用開閉バルブ124、減圧バルブ125及び水素供給機器126を備える。水素ガスタンク110は内部に水素ガスを貯蔵しており、水素供給経路121は水素ガスタンク110と燃料電池100とをつなぐガス経路である。一方、水素供給機器126は、水素ガスタンク110内の水素ガスを水素供給経路121経由で燃料電池100に供給する。また、供給用開閉バルブ124は、水素供給経路121を開閉する機能を持ち、減圧バルブ125は、水素供給経路121内を減圧する機能を持つ。
水素ガス供給系120は更に、水素ガス循環経路122、放出経路123、水素ガス循環ポンプ127及び水素ガス流量センサー128を備える。放出経路123は、燃料電池100によって消費されなかった水素ガス(アノードオフガス)を、大気放出するための経路である。一方、水素ガス循環経路122は、アノードオフガスを水素供給経路121に戻して循環させるための経路であり、この循環は、水素ガス循環ポンプ127が実行する。水素ガス流量センサー128は、循環する水素ガスの流量を測定するセンサーであり、放出用開閉バルブ129は、水素ガス循環経路122と放出経路123との間の経路を開閉するバルブである。なお、放出経路123は、後述する空気供給系140においても、空気を放出する経路として用いられる。
水素ガス供給系120には更に、上記の水素ガスの経路に圧損センサー190が設けられている。圧損センサー190は、水素ガスについて、燃料電池100に供給直前・直後の圧力差を、つまり燃料電池100を通過することによって生じる圧力損失(アノード圧損)を測定するものである。
一方、空気供給系140は、コンプレッサー130、空気供給経路141、排出流量調整バルブ143、加湿装置145及び空気流量センサー147を備える。空気供給系140は、大気と燃料電池100のカソードとをつなぐ経路であり、この経路は、コンプレッサー130が大気から取り込んだ空気を、空気供給経路141を通じて燃料電池100に供給する。加湿装置145は、空気供給経路141上においてコンプレッサー130と燃料電池100との間に配置されており、燃料電池100に供給される空気を加湿する。一方、排出流量調整バルブ143は、水素ガス供給系120と放出経路123との間をつなぐ経路上に配置され、燃料電池100によって消費されなかった空気(カソードオフガス)の排出圧力(カソード背圧)及び排出量を調整するバルブである。
上記の排出流量調整バルブ143から排出された空気は、加湿装置145を経て、先述した放出経路123に流入する。この加湿装置145は、気液分離機器として構成されている。つまり、加湿装置145は、カソードオフガスから水分を分離し、その分離した水分を空気供給経路141内の空気に混合するように、なおかつ、カソード背圧が高いほど分離・混合する水分量が多くなるように構成されている。よって、燃料電池100に供給される空気の湿度調整は、排出流量調整バルブ143によるカソード背圧調整によって実現できる。
一方、冷却系160は、ラジエーター150、冷却水循環経路161、バイパス162、三方流量調整弁163、冷却水循環ポンプ164及び温度センサー166を備える。冷却水循環経路161は、燃料電池100とラジエーター150との間で冷却水を循環させるための経路であり、この循環は冷却水循環ポンプ164が行う。このようにして循環する冷却水は、燃料電池100内において吸熱し、ラジエーター150において放熱することで、燃料電池100を冷却する(セル温度を低下させる)。また、バイパス162は、燃料電池100から流出した冷却水を、ラジエーター150を通過させずに再度、燃料電池100に流入させるための経路である。一方、三方流量調整弁163は、バイパス162を通過する冷却水の流量を調整する弁である。
次に、電気系統について説明する。電気系統としては、燃料電池100の他、先述した二次電池172及びDC−DCコンバーター174が備えられている。二次電池172は、DC−DCコンバーター174を介して燃料電池100に接続されており、燃料電池100による発電電力を充電することや、充電電力を他の機器へ供給することができる。二次電池172には残容量検出センサー176が接続されている。DC−DCコンバーター174は、燃料電池100の電圧制御を含む発電制御、二次電池172の充放電の制御、モーター170への電圧印加を行う。
制御装置200は、CPUやROM、RAM等を備えたいわゆるマイクロコンピューターで構成される。この制御装置200は、アクセル180や先述した種々のセンサーからの信号入力を取得し、その取得した信号に基づいてDC−DCコンバーター174やその他種々のバルブや機器等を先述したように制御することにより、燃料電池システム30を運転する。
2.負荷運転時電圧制御処理:
図2は、負荷運転時電圧制御処理を示すフローチャートである。負荷運転時電圧制御処理は、燃料電池システム30の負荷運転(発電)が要求されている時(例えば、燃料電池自動車20の走行中)に、制御装置200が主体となって実行する処理である。
一方、図3(A)は燃料電池100の電圧及び電流について経時変化を示す図、図3(B)はカソードの白金触媒に付着した硫黄(Pt-S)及び硫酸イオン(Pt-SO4 2-)並びに白金触媒に生成された酸化皮膜(PtO)の量の経時変化を模式的に例示したグラフである。なお、図3(A)は、酸化皮膜としてPtOを代表的に図示したが、酸化皮膜はPtOに限定されず、Pt(OH)2、Pt-OH、PtO2等の白金の酸化状態の少なくとも1つを含んでも良いし、含まなくても良い。図3(B)の時刻ゼロ〜時刻t1には、燃料電池100のこれまでの運転によって、硫黄及び酸化皮膜がカソードの触媒に存在していることが示されている。
まず、要求電力を発電するための負荷運転を実行する(ステップS310)。続いて、負荷運転を継続しつつ、セル温度がα以上かを判定する(ステップS320)。このαという温度は、セルの乾燥抑制を実行するのが好ましい温度として、燃料電池100の発電特性の温度依存性やセルのスペック等を勘案して予め定められた温度である。セル温度は、冷却水温度の値と同じであると見なして、温度センサー166によって測定される値を用いる。
セル温度がα未満の場合(ステップS320、NO)、発電性能が低下したかを判定する(ステップS330)。具体的には、理論上のIV特性と比べて、発電電力が所定値(例えば90%)未満であれば、発電性能が低下したと判定する。
発電性能が低下していない場合(ステップS330、NO)、ステップS310に戻り、負荷運転を続ける。一方、発電性能が低下した場合(ステップS330、YES)、二次電池172のSOC(State of Charge:充電の残量を示す値)が所定値以上かを判定する(ステップS340)。この所定値は、次のステップS350を実行することによって発電電力が低下しても、二次電池172からの供給電力を加えることによって、要求電力を賄えるか否かの判定基準として定められた値である。
SOCが所定値未満である場合(ステップS340、NO)、ステップS310に戻り、負荷運転を続ける。一方、SOCが所定値以上である場合(ステップS340、YES)、燃料電池100の電圧を、図3(A)に示すように、時間T1(図3の時刻t1〜時刻t2)に渡り、電圧V2に設定する(ステップS350)。電圧V2によって運転することを本明細書では「高電位運転」と呼ぶ。
電圧V2の値は、ステップS350が開始される度に決定する可変値である。電圧V2の値が満たす条件は、開回路電圧よりは低いこと、及び硫黄を酸化させることができることである。この条件を満たす電圧の範囲は、通常、負荷運転時の電圧よりも高くなる。この範囲において、燃料電池100の性能低下の度合いを加味して決定する。つまり、性能低下の度合いが大きければ高目の電圧値、性能低下の度合いが小さければ低目の電圧値に決定する。
一方、時間T1も、ステップS350が開始される度に決定する可変値である。時間T1が満たす条件は、発電電力が低い状態を許容できる時間を超えないことである。高電位運転は、通常、負荷運転よりも発電電力が低下するからである。この時間は、SOCに基づいて決定する。この時間内において、性能低下の度合いが大きければ長目の時間、性能低下の度合いが小さければ短目の時間に決定する。
図3(B)の時刻t1〜時刻t2に示すように、高電位運転によって、カソードの白金触媒に存在する硫黄が硫酸イオンへと酸化する。加えて、高電位は酸化作用を持つので、白金触媒上の酸化皮膜の生成が促進される。図3(B)においては、硫黄の酸化がほぼ完全に行われる場合を図示したが、必ずしも完全に酸化されなくても良い。
次に、燃料電池100の電圧を、時間T2(図3の時刻t2〜時刻t3)に渡り、電圧V1に設定する(ステップS360)。電圧V1によって運転することを本明細書では「低電位運転」と呼ぶ。電圧V1は、固定値であり、燃料電池100に損傷が生じない範囲において、理論上、発電電力が最高になる電圧値である。電圧V1は、通常、負荷運転時の電圧値よりも低い値となり、還元作用を持つ。
一方、時間T2は、ステップS350が開始される度に決定する可変値である。時間T2が満たす条件は、時間T1における実際の発電量が要求電力に対して不足した分を補うのに足りることである。この「補うのに足りる」とは、ステップS350における発電量の余剰分と上記不足分との差が所定範囲内、好ましくは、その差がゼロであることを意味する。なお、時間T2が長すぎると、生成水がアノード及びカソードのガス拡散層の細孔を閉塞してしまう場合があるので、これを防止するために、時間T2の上限を予め定めても良い。
図3(B)時刻t2〜時刻t3に示すように、低電位運転の還元作用によって酸化皮膜(PtO)が分解され、その量が減少していき、触媒として機能する白金が増えていく(PtO→Pt)。図3(B)においては、酸化皮膜の還元がほぼ完全に行われる場合を図示したが、必ずしも完全に還元されなくて良い。
加えて、低電位運転によって、硫酸イオンの白金触媒に対する吸着が弱められる。図3(B)時刻t2〜時刻t4に示すように、吸着が弱まった硫酸イオンは、カソードに供給される空気の流れによって、触媒から徐々に除去される。この除去は、生成水によって促進される。つまり、空気の流れが生成水の流れを引き起こし、この生成水の流れが硫酸イオンを洗い流すようにして触媒から除去する。図3(B)においては、硫酸イオンの除去がほぼ完全に行われる場合を図示したが、必ずしも完全に除去されなくても良い。
続いて、時間T3(図3の時刻t3〜時刻t4)に渡り、負荷運転を実行する(ステップS370)。時間T3は、過剰な生成水を除去するのに十分な時間として、予め定められた固定値である。
次に、セル温度がα以上かを判定する(ステップS380)。セル温度がα以上の場合(ステップS380、YES)、ステップS360に戻る。つまり、低電位運転(図3の時刻t4〜時刻t5)と、負荷運転(ステップS370、図3の時刻t5〜)とを再実行し、再びステップS380の判断を実行する。
上記のように、低電位運転と負荷運転とを再実行する目的は、低電位運転によって生成水が増加することを利用して、セルの乾燥を抑制することである。加えて、酸化皮膜や硫酸イオンが除去し切れていない場合は、低電位運転の再実行によって、更なる除去が実現される。
セル温度がα未満の場合(ステップS380、NO)、ステップS310に戻り、負荷運転を実行する。一方、ステップS310における負荷運転の実行中に、セル温度がα以上に達した場合(ステップS320、YES)、ステップS360に進む。ステップS350における電圧上昇の実行をスキップする理由は、セルの乾燥を進行させないためである。つまり、セル温度がα以上の場合、高電位運転によって生成水の量を減少させ、セルの乾燥を更に進行させるのではなく、低電位運転によって生成水を増やして乾燥を抑制する。
以上に説明した負荷運転時電圧制御処理の実行によって、負荷運転が要求されている時に、燃料電池100の性能回復およびセルの乾燥抑制ができる。加えて、SOCやセルの乾燥度合いを監視して、電圧を上昇させても影響が小さいタイミングで、性能回復のための処理が実行する。このため、性能回復のための処理によってSOCの低下やセルの乾燥が一時的に生じることが防止される。
さらに、時間T1、時間T2及び電圧V2に可変値を採用しているので、電圧を上昇させた影響が十分に相殺され、燃料電池システム30の運転および燃料電池自動車20の走行への影響が抑制される。
3.実施形態と適用例との対応関係:
ステップS320が適用例9を、ステップS330が性能低下推定部を、ステップS340が適用例8を、ステップS350が電圧上昇部を、ステップS350における時間T1の設定が適用例6を、ステップS360が電圧降下部を、ステップS360における時間T2の設定が適用例2を、ステップS380が適用例10を各々実現するためのソフトウェアに対応する。なお、適用例5、7に対応する実施形態は、下記変形例で述べる。
4.他の実施形態:
本発明は、先述した実施形態になんら限定されるものではなく、発明の技術的範囲内における種々の形態によって実施できる。例えば、実施形態の構成要素の中で付加的なものは、実施形態から省略できる。ここで言う付加的な構成要素とは、実質的に独立している適用例においては特定されていない事項に対応する要素のことである。また、例えば、以下のような実施形態が考えられる。
・用途は、自動車搭載用の燃料電池でなくとも、二輪車など、他の輸送用機器搭載用や家庭用発電機等どのようなものでも良い。
・除去するアニオンとしては、硫黄の他には、例えば塩素が考えられる。
・実施形態中に記載した電圧値や時間の数値は、一例であり、他の数値でも良い。
・セル温度を下げるためのステップ(ステップS320、ステップS340、ステップS370及びステップS380)の一部または全部を省いても良い。つまり、SOCやセル温度を考慮してなくても良いし、セルの乾燥抑制を目的の一つとしなくても良い。
ステップS330における触媒の性能低下を推定する方法を変更しても良い。例えば、下記の方法が考えられる。
・硫黄が通常よりも多く大気に存在していることが推定された場合に、触媒の性能が低下したと推定しても良い。この推定の手法としては、例えば、温泉地や火山地帯など、大気中における一定程度の硫黄の存在が推定される地域を一定時間、走行した場合に、硫黄が通常よりも多く大気に存在していると推定しても良いし、別途設けたガスセンサーの測定結果を用いても良い(適用例5の実施形態の一例)。
・前回の高電位運転時と比べて、IV特性が所定割合(例えば90%)になった場合に、触媒の性能が低下したと推定しても良い。
・前回の高電位運転時から一定時間が経過した場合に、触媒の性能が低下したと推定しても良い(適用例7の実施形態の一例)。
・実施形態および上記の手法の何れか二つ以上を組み合わせても良い。
時間T1、T2、T3、電圧V1及びV2の値の少なくとも一つは、実施形態と異なる方法によって決定しても良い。例えば、下記の方法が考えられる。
・何れについても、固定値でも可変値でも良い。
・要求電力の時間平均に発電電力の時間平均を近づけるために、時間T2によって調整する手法に代えて、時間T1、時間T2、電圧V1及び電圧V2の値の少なくとも一つを調整する手法でも良い。
・低電位運転時に、空気供給量を通常より少なくして、電流量を抑制することによって、燃費の向上を図っても良い。
20…燃料電池自動車
22…車体
30…燃料電池システム
100…燃料電池
102…電流センサー
110…水素ガスタンク
120…水素ガス供給系
121…水素供給経路
122…水素ガス循環経路
123…放出経路
124…供給用開閉バルブ
125…減圧バルブ
126…水素供給機器
127…水素ガス循環ポンプ
128…水素ガス流量センサー
129…放出用開閉バルブ
130…コンプレッサー
140…空気供給系
141…空気供給経路
143…排出流量調整バルブ
145…加湿装置
147…空気流量センサー
150…ラジエーター
160…冷却系
161…冷却水循環経路
162…バイパス
163…三方流量調整弁
164…冷却水循環ポンプ
166…温度センサー
170…モーター
172…二次電池
174…DC−DCコンバーター
176…残容量検出センサー
180…アクセル
190…圧損センサー
200…制御装置

Claims (10)

  1. 触媒を用いる燃料電池によって発電を行う燃料電池システムであって、
    発電が要求されている時に、前記燃料電池の電圧を、要求電力を発電するための電圧である要求電圧よりも高い値に上昇させる電圧上昇部と、
    前記電圧上昇部による電圧上昇後に、前記燃料電池の電圧を前記要求電圧よりも低い値に降下させる電圧降下部と
    を備え
    前記電圧降下部は、前記燃料電池の温度が所定温度以上の場合、前記電圧上昇部による電圧上昇の前に、前記電圧降下を実行し、
    前記電圧上昇部は、前記燃料電池の温度が所定温度以上の場合に実行される電圧降下の後に、前記電圧上昇を実行し、
    前記電圧降下部は、前記電圧上昇部による電圧上昇後に、前記電圧降下を実行する
    燃料電池システム。
  2. 請求項1に記載の燃料電池システムであって、
    前記電圧上昇部による電圧上昇時における前記要求電力に対する発電量の不足分と、前記電圧降下部による電圧降下時における前記要求電力に対する発電量の余剰分との差が所定範囲内である
    燃料電池システム。
  3. 請求項1又は請求項に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池の発電性能が低下したことを推定した場合に、前記電圧上昇部を動作させる性能低下推定部
    を備える燃料電池システム。
  4. 請求項に記載の燃料電池システムであって、
    前記性能低下推定部は、基準よりも発電性能が低いことを検出した場合に、発電性能が低下したと推定する
    燃料電池システム。
  5. 請求項又は請求項に記載の燃料電池システムであって、
    前記性能低下推定部は、被毒物質が通常よりも多く大気に含まれることが推定される場合、発電性能が低下したと推定する
    燃料電池システム。
  6. 請求項から請求項の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
    前記性能低下推定部は、前記電圧上昇部が前回に動作した時点から所定時間が経過した場合に、発電性能が低下したと推定する
    燃料電池システム。
  7. 請求項から請求項の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
    前記性能低下推定部は、発電性能の低下の度合いを推定し、
    前記電圧上昇部は、前記推定された発電性能の低下の度合いが大きいほど、電圧を上昇させる時間を長くする
    燃料電池システム。
  8. 二次電池を備える請求項1から請求項の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
    前記電圧上昇部は、前記二次電池による電力供給を加えることによって前記要求電力を賄うことができる場合に、前記電圧上昇を実行する
    燃料電池システム。
  9. 請求項1から請求項の何れか一つに記載の燃料電池システムであって、
    前記電圧上昇部は、前記燃料電池の温度が所定温度未満の場合に、前記電圧上昇を実行する
    燃料電池システム。
  10. 燃料電池に用いられる触媒の性能を回復させる触媒性能回復方法であって、
    発電が要求されている時に、前記燃料電池の温度が所定温度以上の場合、前記燃料電池の電圧を、要求電力を発電するための電圧である要求電圧よりもい値に降下させ、
    その後、前記燃料電池の電圧を前記要求電圧よりも高い値に上昇させ、
    その後、前記燃料電池の電圧を前記要求電圧よりも低い値に降下させる
    燃料電池の触媒性能回復方法。
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