JP5672884B2 - 圧電振動素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電振動素子及びその製造方法に関する。
従来、小型のアクチュエータとして、圧電セラミックからなる圧電体を備える圧電振動素子が広く使用されている。圧電振動素子は、一般的に、圧電体と、圧電体に電圧を印加するための一対の電極を備えている。この一対の電極間に交流電圧を印加することにより、圧電体が振動する。これにより、駆動力が発生する。
特開平9−162452号公報
ところで、圧電セラミックからなる圧電体は、駆動時に比較的高い電界が印加される。このため、例えば、圧電体のクラックなどの隙間に水が侵入し、圧電体の表面と水とが接触すると、水中の電解質が媒介となり、圧電体が絶縁破壊する場合がある。このため、圧電セラミックからなる圧電体を備える圧電振動素子では、圧電体に水が接触することに起因する性能劣化を如何に抑制するかが問題となる。
例えば、上記特許文献1には、セラミック素体の表面に濡れ性の悪いコーティング剤からなる被膜を形成することにより、セラミック素子の耐湿性を向上することが記載されている。この技術を圧電振動素子にも応用し、圧電体の表面と水との接触を抑制するための保護膜を形成することも考えられる。
しかしながら、圧電体の表面に耐湿性を向上するための保護膜を形成した場合であっても、圧電振動素子が駆動されると、圧電体の分極工程によって生じた圧電体内部の残留応力などの影響により、圧電体のクラックが発生または成長して、保護膜と圧電体との間の空間が拡大する。この空間に保護膜を透過した湿気がたまると結露しやすくなり、その結果、水と圧電体とが接触してしまい、圧電振動素子の特性が劣化するという問題がある。
本発明は、係る点に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐湿性に優れた圧電振動素子を製造し得る方法及び耐湿性に優れた圧電振動素子を提供することにある。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法は、圧電セラミックからなる圧電体と、圧電体に電圧を印加するための一対の電極とを有する素子本体と、素子本体の表面の少なくとも一部の上に形成される保護膜とを備える圧電振動素子の製造方法に関する。本発明に係る圧電振動素子の製造方法は、分極工程と、振動工程と、保護膜形成工程とを備えている。分極工程は、一対の電極を介して素子本体に電圧を印加することにより圧電体を分極させる工程である。振動工程は、分極工程の後に、素子本体に対して、一対の電極を介して交流電圧を印加することにより素子本体を振動させる工程である。保護膜形成工程は、振動工程を開始した後に、素子本体の表面の少なくとも一部の上に、保護膜を形成する工程である。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法のある特定の局面では、振動工程において、分極工程で圧電体に印加した電圧と同極性の交流電圧であって、一方の電圧振幅が圧電体の抗電界以上の電圧値を有する交流電圧を素子本体に印加する。この場合、より優れた耐湿性を実現することができる。従って、より優れた信頼性を実現することができる。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法の他の特定の局面では、振動工程において圧電体にクラックを発生させる。保護膜形成工程において、保護膜がクラックの内部にまで至るように保護膜を形成する。この場合、より優れた耐湿性を実現することができる。従って、より優れた信頼性を実現することができる。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法の別の特定の局面では、保護膜形成工程において、素子本体の少なくとも一部の上に、硬化性樹脂を塗布し、硬化性樹脂を硬化させることにより保護膜を形成する。そうすることにより、クラックの内部にまで保護膜を容易に形成することができる。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法のさらに他の特定の局面では、硬化性樹脂の塗布を減圧雰囲気中で行う。そうすることにより、保護膜をクラックの内部にまでより確実に形成することができる。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法のさらに別の特定の局面では、内部に電極の少なくとも一部が形成されており、圧電セラミックからなるマザーブロックを形成し、マザーブロックを複数の素子本体に分断する分断工程をさらに行い、分断工程の後に振動工程を行う。この場合、分断工程において生じた残留応力も確実に開放することができる。また、分断工程において生じたクラックの内部にも保護膜が形成される。従って、より優れた耐湿性を実現することができる。
本発明に係る圧電振動素子の製造方法のまたさらに他の特定の局面では、振動工程を終了した後に、保護膜形成工程を行う。そうすることにより、より確実に耐湿性を向上させることができる。
本発明に係る圧電振動素子は、素子本体と、保護膜とを備えている。素子本体は、圧電体と、一対の電極とを有する。圧電体は、圧電セラミックからなり、分極されている。一対の電極は、圧電体に電圧を印加するためのものである。保護膜は、素子本体の表面の少なくとも一部の上に形成されている。保護膜は、電体内への水分の侵入を抑制する。圧電体には、圧電体の表面から延びるクラックが形成されている。保護膜は、クラックの内部にまで至るように形成されている。圧電体には、圧電振動素子を駆動したときに圧電体に新たなクラックが形成されたり、クラックが実質的に進展したりする大きさの残留応力が残存していない。
本発明に係る圧電振動素子のある特定の局面では、一対の電極は、第1及び第2の電極を有する。第1の電極は、第1の内部電極と第1の外部電極とを有する。第1の内部電極は、圧電体の内部に形成されている。第1の外部電極は、圧電体の表面上に形成されており、第1の内部電極に電気的に接続されている。第2の電極は、第2の内部電極と第2の外部電極とを有する。第2の内部電極は、圧電体の内部に形成されており、第1の内部電極と圧電体の分極方向において対向している。第2の外部電極は、圧電体の表面上に形成されており、第2の内部電極に電気的に接続されている。クラックは、第1及び第2の内部電極の少なくとも一方にまで至っている。
本発明に係る圧電振動素子の他の特定の局面では、一対の電極は、第1及び第2の電極を有する。第1の電極は、第1の内部電極と第1の外部電極とを有する。第1の内部電極は、圧電体の内部に形成されている。第1の外部電極は、圧電体の表面上に形成されており、第1の内部電極に電気的に接続されている。第2の電極は、第2の内部電極と第2の外部電極とを有する。第2の内部電極は、圧電体の内部に形成されており、第1の内部電極と圧電体の分極方向において対向している。第2の外部電極は、圧電体の表面上に形成されており、第2の内部電極に電気的に接続されている。クラックは、圧電体の表面のうち、第1または第2の外部電極が形成されている部分から延びている。
本発明によれば、耐湿性に優れた圧電振動素子を製造し得る方法及び耐湿性に優れた圧電振動素子を提供することができる。
本発明を実施した一実施形態に係る圧電振動素子の略図的斜視図である。 図1の線II−IIにおける略図的断面図である。 図2の線III−IIIにおける略図的断面図である。 図3のIV部分の略図的拡大断面図である。 マザーブロックの略図的斜視図である。
以下、本発明を実施した好ましい形態の一例について、図1〜図3に示す圧電振動素子1を例に挙げて説明する。但し、圧電振動素子1は、単なる例示である。本発明に係る圧電振動素子は、圧電振動素子1に何ら限定されない。
圧電振動素子1は、例えば、HDD用読み取りヘッド駆動用アクチュエータ、カメラモジュールのレンズ用アクチュエータ、携帯電話機のバイブレーターなどとして用いられる。
圧電振動素子1は、高さ方向zに沿って分極されている圧電体10を備えている。圧電体10は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛系セラミックなどの圧電セラミックにより形成されている。
本実施形態では、圧電体10は、角柱状に形成されている。圧電体10は、第1及び第2の端面10a、10bと、第1〜第4の側面10c〜10fとを有する。もっとも、本発明においては、圧電体の形状は特に限定されない。本発明において、圧電体は、例えば、円柱状であってもよいし、錐台状であってもよい。
本実施形態では、図4に模式的に示すように、圧電体10には、圧電体10の表面から内部に向かって延びている複数のクラック17が形成されている。一部のクラック17は、後述する第1及び第2の内部電極11a、12aの少なくとも一方にまで至っている。また、一部のクラック17は、圧電体10の表面のうち、後述する第1または第2の外部電極11b、12bが形成されている部分から圧電体10の内部に向かって延びている。
圧電振動素子1は、圧電体10に電圧を印加するための第1及び第2の電極11,12を有する。本実施形態では、これら第1及び第2の電極11,12と、上記圧電体10により、素子本体15が構成されている。
第1及び第2の電極11,12は、適宜の導電材料により形成することができる。第1及び第2の電極11,12は、例えば、Ag,Cu,Al,Au,Ptなどの金属は、Ag−Pd合金などのこれらの金属のうちの少なくとも一種を含む合金などにより形成することができる。
第1の電極11は、第1の内部電極11aと、第1の外部電極11bとを有する。一方、第2の電極12は、第2の内部電極12aと、第2の外部電極12bとを有する。
第1及び第2の内部電極11a、12aは、圧電体10の内部に形成されている。具体的には、第1及び第2の内部電極11a、12aのそれぞれは、第1及び第2の端面10a、10bと平行に配置されている。第1及び第2の内部電極11a、12aは、高さ方向zに沿って交互に配列されている。第1及び第2の内部電極11a、12aは、高さ方向z、すなわち、本実施形態における分極方向において圧電体層10Aを介して相互に対向している。本実施形態では、詳細には、この第1及び第2の内部電極11a、12aに挟持されている圧電体層10Aが厚み方向zに分極されている。
第1及び第2の内部電極11a、12aは、第1〜第4の側面10c〜10fに露出している。第1の内部電極11aの第1の側面10cにおける露出部と、第2の内部電極12aの第3の側面10eにおける露出部とは、絶縁層13によって覆われている。絶縁層13は、適宜の絶縁材料により形成することができる。絶縁層13の形成に好ましく用いられる絶縁材料としては、例えば、エポキシ、フェノール、シリコン樹脂などが挙げられる。
第1の外部電極11bは、第1の側面10cの上に形成されている。具体的には、第1の外部電極11bは、第1の側面10cの実質的に全体を覆うように形成されている。ここで、第1の内部電極11aの第1の側面10cにおける露出部は、絶縁層13によって覆われていない一方、第2の内部電極12aの第1の側面10cにおける露出部は、絶縁層13によって覆われている。このため、第1の外部電極11bは、第1の内部電極11aと電気的に接続されている一方、第2の内部電極12aとは、電気的に接続されていない。
一方、第2の外部電極12bは、第3の側面10eの上に形成されている。具体的には、第2の外部電極12bは、第3の側面10eの実質的に全体を覆うように形成されている。ここで、第1の内部電極11aの第3の側面10eにおける露出部は、絶縁層13によって覆われている一方、第2の内部電極12aの第3の側面10eにおける露出部は、絶縁層13によって覆われていない。このため、第2の外部電極12bは、第2の内部電極12aと電気的に接続されている一方、第1の内部電極11aとは、電気的に接続されていない。
以上のように、本実施形態では、圧電体10の表面のうち、第1及び第2の端面10a、10bと、第2及び第4の側面10d、10fが、第1または第2の電極11,12により覆われていない。それら第1または第2の電極11,12に覆われていない第1及び第2の端面10a、10bと、第2及び第4の側面10d、10fのうち、第2及び第4の側面10d、10fの上には、保護膜16a、16bが形成されている。具体的には、本実施形態では、保護膜16a、16bによって、第2及び第4の側面10d、10fの実質的に全体が覆われている。すなわち、本実施形態では、素子本体15の表面の少なくとも一部の上に保護膜16a、16bが形成されている。なお、絶縁層13は必ずしも必要ではない。例えば、第1及び第2の内部電極11a、12aを第1または第3の側面10c、10eに露出しないように形成することにより、第1及び第2の内部電極11a、12aと、第2または第1の外部電極12b、11bとを電気的に絶縁してもよい。この場合は、絶縁層は不要となる。
保護膜16a、16bを設けることによって、圧電体10の内部への水分の侵入を抑制することができる。なお、保護膜16a、16bの材料としては、水が浸透しない材料、つまり、非透水性の材料や、非透湿性の材料が好ましく用いられる。非透水性の材料により保護膜16a、16bを形成することにより、水の透過を抑制することができる。また
、非透湿性の材料により保護膜16a、16bを形成することにより、水蒸気が膜を通過することを抑制することができる。このような材料としては、例えば、エポキシ樹脂等の樹脂材料が挙げられる。また、保護膜16a、16bは、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などのエネルギー線硬化性樹脂等の硬化性樹脂の硬化物により形成されていてもよい。なお、保護膜16a、16bの非透水性は、圧電体10の非透水性よりも高い方が好ましい。この場合、圧電体10のクラックに水が侵入することをより効果的に抑制できるためである。また、保護膜16a、16bの非透湿性は、圧電体10の非透湿性よりも高い方が好ましい。この場合、圧電体10のクラック内に結露が発生することをより効果的に抑制できるためである。もっとも本発明においては、保護膜の非透水性及び非透湿性が圧電体の非透水性及び非透湿性よりも低くても良い。
本実施形態では、保護膜16a、16bは、上記複数のクラック17のうちの少なくとも一部の内部にまで至るように形成されている。本実施形態では、具体的には、保護膜16a、16bは、複数のクラック17の実質的に全ての内部にまで至るように形成されている。より具体的には、保護膜16a、16bは、複数のクラック17の実質的に全ての先端部にまで至るように形成されている。
次に、本実施形態における圧電振動素子1の製造方法について説明する。
まず、図5に示すように、内部に第1の内部電極11a形成用の導電パターン21と、第2の内部電極12a形成用の導電パターン22とが厚み方向に沿って交互に形成されている、圧電セラミックからなる生のマザーブロック20を用意する。このマザーブロック20は、例えば、表面に導電パターン21,22が印刷されたセラミックグリーンシートと、表面に導電パターンが印刷されていないセラミックグリーンシートとを適宜積層し、必要に応じて静水圧プレスなどのプレスを行うことにより形成することができる。
次に、生のマザーブロック20を焼成する。その後、例えば、ダイシングなどにより、図5に示すカットラインLに沿ってマザーブロック20を複数の素子に分断する(分断工程)。その後、得られた素子の対向する一対の側面上に第1及び第2の外部電極11b、12bを形成することにより、素子本体15を完成させることができる。なお、第1及び第2の外部電極11b、12bは、例えば、導電性粒子を含む導電性ペーストを塗布し、乾燥した後に、焼き付けることにより形成することができる。
次に、第1及び第2の電極11,12を介して素子本体15に、抗電界以上の電圧値の直流電圧を印加することにより、圧電体10を高さ方向zに沿って分極させる(分極工程)。分極工程において、抗電界以上の電界が印加される活性領域における歪量は、抗電界以下の電界が印加される非活性領域における歪量よりも大きいため、活性領域と非活性領域で境界領域に応力が残留する。
次に、素子本体15に対して、第1及び第2の電極11,12を介して交流電圧を印加することにより、素子本体15を振動させる(振動工程)。この振動工程においても、分極工程と同様に、活性領域における歪量が非活性領域における歪量よりも大きいため、境界領域に相対的に大きな応力が作用する。このため、分極工程によって生じた圧電体10内の残留応力と振動工程によって生じた圧電体10内の応力とが重なり合って、圧電体10の破壊応力より大きくなるように、換言すれば、上記分極工程によって生じた圧電体10内の残留応力が開放される程度の電圧及び期間で行う。そうすることにより、圧電体10に予めクラック17を発生させておく。特に、製造された圧電振動素子1の使用時にさらなるクラックが発生しないように、振動工程において十分にクラックを活性領域と非活性領域の境界領域近傍に発生させておくことが好ましい。従って、振動工程においては、分極工程で圧電体10に印加した電圧と同極性の交流電圧であって、一方の電圧振幅が圧電体10の抗電界以上の電圧値を有する交流電圧を素子本体15に印加しておくことが好ましい。
そして、振動工程を開始した後に、素子本体15の表面の少なくとも一部の上、具体的には、本実施形態では、圧電体10の第2及び第4の側面10d、10fの上に、保護膜16a、16bを形成する(保護膜形成工程)。この保護膜形成工程は、振動工程を開始した後であれば、どの段階で開始してもよいが、振動工程を終了した後に保護膜形成工程を行うことが好ましい。
また、保護膜形成工程においては、保護膜16a、16bが圧電体10に形成されたクラック17の内部にまで至るように形成することが好ましく、クラック17の先端部に至るように形成することがより好ましい。
このように保護膜16a、16bを形成する方法の具体例としては、圧電体10にクラック17を発生させた素子本体15の側面10d、10fの上に、熱硬化性樹脂を塗布し、熱硬化させることにより保護膜16a、16bを形成する方法が挙げられる。また、熱硬化性樹脂の塗布を減圧雰囲気中で行うことにより、クラック17の内部にも保護膜16a、16bをより確実に形成することができる。また、例えば、圧電体10にクラック17を発生させた素子本体15の側面10d、10fの上に、光硬化性樹脂を塗布し、光照射により硬化させることにより保護膜16a、16bを形成する方法が挙げられる。
また、硬化性樹脂を塗布する方法としては、例えば、スクリーン印刷法等の各種印刷法の他に、素子を硬化性樹脂に浸漬する方法も挙げられる。
ところで、通常は、製造工程を簡略化する観点からも、本実施形態とは異なり、振動工程を行わずに保護膜形成工程を行う。この場合であっても、例えば、圧電振動素子を駆動させる前においては、素子内への水分の侵入を抑制することができる。しかしながら、この場合は、製造された圧電振動素子に、分極工程や分断工程(具体的には、例えば、ダイシング工程)において生じた応力が残留した状態となっている。このため、圧電振動素子を振動させると、圧電振動素子の残留応力が開放され、圧電体に既に形成されている微少クラックが進展したり、新たなクラックが生じたりする場合がある。このようにクラックが新たに発生したり進展したりすると、圧電体に保護膜を形成していた場合であっても、これらのクラックに起因して保護膜に応力が加わり、その結果、保護膜にクラックが形成される場合がある。保護膜にクラックが形成されると、そのクラックが、水の素子内への侵入経路となる。また、圧電体のクラックが発生または成長することによって圧電体に被膜された保護膜と圧電体との間及び圧電体内部の空間が拡大することによって、その圧電体内部空間に結露した液体としての水が生じる。このため、素子内への水分侵入を十分に抑制することができなくなる。特に、互いに絶縁されている素子表面に形成される外部電極と素子表面近傍に配置される内部電極との間には、活性領域と非活性領域との境界領域が存在するため、クラックにより互いに絶縁されていた外部電極と内部電力とが短絡すると、圧電素子が駆動できなる。従って、圧電振動素子の耐湿性が素子の使用に伴って低下していく傾向にある。また、残留応力の開放によるクラックが発生する際に圧電体の微粉化による外界への粉塵の放出や、圧電体の破損といった問題が発生する虞もある。
それに対して本実施形態では、保護膜形成工程を開始する前に、振動工程を行う。これにより、圧電体10の残留応力を開放し、残留応力が開放されるときに発生するクラックを予め発生させておく。その上で、保護膜16a、16bを形成する。このため、圧電体10に発生したクラック17の内部にも保護膜16a、16bが形成される。従って、耐湿性に優れており、特性劣化し難い圧電振動素子1を製造することができる。
また、圧電体10には、圧電振動素子1を駆動したときに圧電体10に新たなクラックが形成されたり、クラックが実質的に進展したりする大きさの残留応力が残存していない。あるいは、圧電体10の活性領域と非活性領域と境界領域に残留する応力と、駆動電界が圧電素子に印加されるとき活性領域と非活性領域と境界領域に生じる駆動応力とを合わせた応力が、圧電体10の破壊応力より小さくなる圧電素子である。このため、圧電振動素子1の使用時に、圧電体10の微粉化や、第1及び第2の電極11,12の破損も生じがたい。従って、信頼性の高い圧電振動素子1を製造することができる。
特に、振動工程において、分極工程で圧電体10に印加した電圧と同極性の交流電圧であって、好ましくは、少なくとも一方の電圧振幅が圧電体10の抗電界以上かつ絶縁破壊電圧未満の電圧値を有する交流電圧を素子本体15に印加しておくことにより、圧電振動素子1の残留応力を確実に開放しておくことができる。従って、耐湿性をより優れたものとすることができ、より優れた信頼性を実現することができる。分極工程で圧電体10に印加した電圧と同極性の交流電圧であって、一方の電圧振幅値が圧電体10の抗電界以上であり絶縁破壊電圧未満である電圧値を有し、かつ、他方の電圧振幅値が印加した電圧と同極性の0近傍であり坑電界未満である電圧値を有する交流電圧を素子本体15に印加しておくことがより好ましい。そうすることにより、分極方向と印加電界と逆方向の電界が印加されることに起因する圧電体10の分極度の低下を抑制しつつ、圧電振動素子1の残留応力をより確実に、より短時間で開放することができる。
また、保護膜16a、16bを形成するための硬化性樹脂の塗布を、減圧雰囲気中で行うことにより、クラック17内に保護膜16a、16bを確実に形成することができる。従って、より優れた耐湿性及び信頼性を実現することができる。
より優れた耐湿性及び信頼性を得る観点からは、保護膜16a、16bをクラック17の先端部にまで至るよう形成することが好ましい。
また、本実施形態では、分断工程の後に振動工程を行う。従って、分断工程において生じた残留応力も確実開放した状態で保護膜16a、16bを形成することができる。また、分断工程において生じたクラック17内にも保護膜16a、16bを形成することができる。従って、さらに優れた耐湿性及び信頼性を実現することができる。
なお、保護膜形成工程を分極工程開始後、分極工程終了前に開始してもよい。但し、圧電体10を好適に分極させ、かつ、保護膜16a、16bを好適に形成する観点からは、分極工程終了後に保護膜形成工程を開始することが好ましい。
クラック17の発生態様がどのような場合であっても、クラック17内に保護膜16a、16bが形成されていなければ、クラック17の発生により耐湿性は劣化する。しかしながら、クラック17が第1及び第2の内部電極11a、12aの少なくとも一方にまで至っている場合や、圧電体10の表面のうち、第1または第2の外部電極11b、12bが形成されている部分からクラック17が延びている場合には、耐湿性の劣化が激しい。従って、耐湿性を向上できる本実施形態の技術は、そのような場合に特に有効である。
なお、上記実施形態では、第2及び第4の側面10d、10fの上に保護膜16a、16bを形成する例について説明した。但し、本発明は、この構成に限定されない。例えば、第2及び第4の側面10d、10fの上に加えて、第1及び第2の端面10a、10bの上にも保護膜を形成してもよい。また、第1及び第2の外部電極11b、12bの少なくとも一部の上にも、保護膜を形成してもよい。例えば、第1及び第2の外部電極11b、12bのリード端子が接続される部分を除いた全体の上にも、保護膜を形成するようにしてもよい。
1…圧電振動素子
10…圧電体
10A…圧電体層
10a…第1の端面
10b…第2の端面
10c…第1の側面
10d…第2の側面
10e…第3の側面
10f…第4の側面
11…第1の電極
11a…第1の内部電極
11b…第1の外部電極
12…第2の電極
12a…第2の内部電極
12b…第2の外部電極
13…絶縁層
15…素子本体
16a、16b…保護膜
17…クラック
20…マザーブロック
21,22…導電パターン

Claims (7)

  1. 圧電セラミックからなる圧電体と、前記圧電体に電圧を印加するための一対の電極とを有する素子本体と、前記素子本体の表面の少なくとも一部の上に形成される保護膜とを備える圧電振動素子の製造方法であって、
    前記一対の電極を介して前記素子本体に電圧を印加することにより前記圧電体を分極させる分極工程と、
    前記分極工程の後に、前記素子本体に対して、前記一対の電極を介して交流電圧を印加することにより前記素子本体を振動させる振動工程と、
    前記振動工程を開始した後に、前記素子本体の表面の少なくとも一部の上に、前記保護膜を形成する保護膜形成工程と、
    を備える、圧電振動素子の製造方法。
  2. 前記振動工程において、前記分極工程で前記圧電体に印加した電圧と同極性の交流電圧であって、一方の電圧振幅が前記圧電体の抗電界以上の電圧値を有する交流電圧を前記素子本体に印加する、請求項1に記載の圧電振動素子の製造方法。
  3. 前記振動工程において前記圧電体にクラックを発生させ、
    前記保護膜形成工程において、前記保護膜が前記クラックの内部にまで至るように前記保護膜を形成する、請求項1または2に記載の圧電振動素子の製造方法。
  4. 前記保護膜形成工程において、前記素子本体の少なくとも一部の上に、硬化性樹脂を塗布し、前記硬化性樹脂を硬化させることにより前記保護膜を形成する、請求項3に記載の圧電振動素子の製造方法。
  5. 前記硬化性樹脂の塗布を減圧雰囲気中で行う、請求項4に記載の圧電振動素子の製造方法。
  6. 内部に前記電極の少なくとも一部が形成されており、圧電セラミックからなるマザーブロックを形成し、前記マザーブロックを複数の前記素子本体に分断する分断工程をさらに備え、
    前記分断工程の後に前記振動工程を行う、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電振動素子の製造方法。
  7. 前記振動工程を終了した後に、前記保護膜形成工程を行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電振動素子の製造方法。

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