JP5672589B2 - 液状エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、電子機器の実装体積を極小化するための実装システムで、液状エポキシ樹脂組成物を封止材として用いる分野において、封止材の硬化後の封止物品の反りを低く抑えるために線膨張率の低い無機充填材を多量に含有することが必須であるため、個片化や研削などの加工時の設備磨耗を低減することが必要とされる用途に関する発明である。具体的には、ウェハー全体を封止し硬化するプロセスを含むウェハーレベルCSPや、アンダーフィルしたフリップチップ接続の特殊な半導体装置や、プリンタの熱転写あるいは感熱のためのヘッド部分(サーマルヘッド)など、反りを極小化する必要がある分野などに適用される液状エポキシ樹脂組成物に関するものである。
従来より、電子部品や半導体装置を構成する半導体チップや基板等の部材を電気絶縁性を有する封止材で封止することが行われている。このような封止材としてはエポキシ樹脂を配合した液状エポキシ樹脂組成物が汎用されており、封止材を上記部材の表面に塗布した後、加熱硬化させることにより部材を封止するようにしている。しかしながら、従来では、封止材の硬化後に封止物品(電子部品や半導体装置)に反りが発生することがあった。この反りを低減するためには封止材とこれが塗布された部材との間の応力を極小化することが必要であり、封止材と部材との線膨張率の差を極小化するか、線膨張率差があっても応力とならないように弾性率を低く抑えるかのいずれかである(例えば、特許文献1−3参照)。硬化後の封止材の低線膨張率化は、シリカやアルミナなどの金属酸化物フィラーの含有量をできるだけ高めるというのが唯一の方法である。これは、液状の封止材の流動性を低下させて作業性を悪くするが、溶剤など硬化物中に残らない液体成分を適切に含有させることができる場合には流動性との両立は可能となる。
しかしながら、多量の無機充填材を含有した樹脂硬化物は研削、個片化等のその後の工程でダイシングブレード(ダイサー)や砥石の磨耗量が増大する場合が多い。そして、樹脂基板、セラミック基板、ウェハー等に一括樹脂封止されたパッケージの個片化や樹脂表面研削の工程においてブレードや砥石の磨耗はランニングコストを増加させたり、製造タクトの低下を招いたりするといった問題があった。
そこで、本発明者は、充填材として多孔質と中空の少なくともいずれか一方の粒子(多孔質粒子等)からなるものを用いることを提案し(例えば、特許文献4参照)、これにより低反りを維持しながらダイシングブレードや砥石の磨耗量を画期的に低く抑えることができ、上記問題の解決に至っている。
しかしながら、反面、上記多孔質粒子等からなる充填材は、内部に空隙を有しない中実粒子からなる充填材と比べると、内部に空隙を有しているため吸湿量が高くなり、また内部の空隙に水分のほか不純物イオンが浸入・残留して純度が劣るなどの問題があった。
特開2004−027005号公報 特開2006−232950号公報 特許第3794349号公報 特開2008−156383号公報
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、個片化や研削時のブレードや砥石の磨耗を低減することができると共に、吸湿量を低減することができる液状エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明の請求項1に係る液状エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤及び充填材を含有する液状エポキシ樹脂組成物において、前記充填材として、多孔質粒子及び中空粒子から選ばれ、200〜1100℃で焼成処理された後、カップリング剤で表面が被覆されたものが用いられ、前記液状エポキシ樹脂組成物はさらに無機イオン交換体を含有し、前記液状エポキシ樹脂組成物全量に対して前記無機イオン交換体を0.5〜3.0質量%含有し、前記液状エポキシ樹脂組成物はさらに低弾性化剤を含有し、前記液状エポキシ樹脂組成物全量に対して前記低弾性化剤を2〜5質量%含有することを特徴とするものである。
本発明の請求項1に係る液状エポキシ樹脂組成物によれば、充填材として、中実粒子ではなく、多孔質粒子及び中空粒子から選ばれるもの(多孔質粒子等)が用いられていることによって、個片化や研削時のブレードや砥石の磨耗を低減することができると共に、前記多孔質粒子等が200〜1100℃で焼成処理された後、その表面がカップリング剤で被覆されていることによって、多孔質粒子等の内部に水分等が浸入・吸着しにくくなり、吸湿量を低減することができるものである。
また、液状エポキシ樹脂組成物中に含まれる不純物イオンを無機イオン交換体で捕捉することによって、イオンマイグレーションの発生を抑えて、絶縁信頼性を向上させることができるものである。
個片化するときの様子を示す概略断面図である。 半導体装置の一例を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本発明において液状エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤及び充填材を含有するものであり、電子部品や半導体装置を構成する部材の表面に塗布し、加熱することにより封止材として使用される室温で液状のエポキシ樹脂組成物である。そして、上記充填材としては、多孔質粒子及び中空粒子から選ばれ、200〜1100℃で焼成処理された後、カップリング剤で表面が被覆されたものを用いるものである。このように、充填材としては、中実粒子ではなく、多孔質粒子及び中空粒子から選ばれるもの(多孔質粒子等)が用いられていることによって、個片化や研削時のブレードや砥石の磨耗を低減することができるものである。なお、多孔質粒子及び中空粒子とは、それぞれ内部に複数又は1つの空隙を有する粒子のことである。また、200〜1100℃の焼成処理及びカップリング剤による充填材表面の被覆処理の詳細については後述する。
ここで、多孔質粒子等としては、例えば、シリカ、アルミナ、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、窒化珪素、シリコンカーバイド、炭酸カルシウム等の各種無機フィラーを用いることができる。線膨張率を下げる目的で充填材を配合する場合には、非晶質シリカが無機充填材の中では最も線膨張率が低いため、これを用いるのが効果的である。
また、多孔質粒子等としては、球状非晶質シリカを用いるのが好ましい。このように、多孔質粒子等が球状であることによって、粘度の上昇をさらに抑えることができると共に、回路が形成されたウェハーの表面(ウェハー回路面)に対するダメージを小さくすることができるものであり、また、多孔質粒子等が熱膨張率の小さい非晶質シリカであることによって、硬化物の線膨張係数をより低下させることができるものである。
また、充填材を構成する多孔質粒子等の表面には微細な孔が形成されているおそれがあるので、あらかじめ500℃以下の温度で熱処理することにより粒子表面の微細孔を閉塞しておくのが好ましい。このような充填材を用いると、多孔質粒子等の表面の微細孔が熱処理で閉塞されていることによって、比表面積が抑えられ、樹脂粘度、チクソ指数の上昇や吸湿量の増加を抑えることができるものである。このように表面積が抑えられるため粘度の上昇や吸湿の影響を抑えることができるほか、GPC(Gel Permeation Chromatography)のように細孔に配合成分がトラップされて反応性に影響を与えたりする心配がなくなるものである。また、上記のように熱処理の温度が500℃以下であると、充填材の個々の多孔質粒子等を形成するシェル(殻)の硬度が高くなるため、中空率を高めても材料化の配合時における混合工程等でのワレ(割れ)を低減することができるものである。
また、表面の微細孔を閉塞した多孔質粒子等は、電気炉等を用いて200〜1100℃の低温で焼成処理する。この処理時間は2〜24時間であることが好ましい。焼成温度が200℃より低く、処理時間が2時間より短いと、充填材を構成する多孔質粒子等の強度が低く抑えられるので低磨耗性に優れることになるが、吸湿率が増加したり、アンモニウムイオン等の不純物イオンの量が増加したりするおそれがある。逆に、焼成温度が1100℃より高く、処理時間が24時間より長いと、吸湿率及び不純物イオンの量は低減するが、ブレード等の磨耗量が増加するおそれがある。
また、充填材の空隙体積率は10〜70%であることが好ましい。これにより、充填材の強度を保持しつつ、ブレード等の磨耗を低減する効果をより高く得ることができるものである。しかし、充填材の空隙体積率が10%を下回ると、上記の磨耗低減効果が十分ではないおそれがあり、逆に、充填材の空隙堆積率が70%を上回ると、充填材の強度が低下するおそれがある。なお、空隙体積率が50%を超える場合には、配合混合時のワレを抑える目的で、充填材の表面をエポキシシランやアミノシランなどで処理して樹脂成分との馴染みを良くし、より緩やかな攪拌により分散させる手法をとることも可能である。
また、充填材を構成する多孔質粒子等の最大粒径は1〜40μmであることが好ましい。これにより、樹脂粘度及びチクソ性を低減しつつ、50μm程度の厚みの封止樹脂層を問題なく形成することができるものである。そして、このように多孔質粒子等の最大粒径が1〜40μmであれば、この範囲内で分布を適宜に調整することで流動性を制御することが可能である。しかし、多孔質粒子等の最大粒径が1μmを下回ると、比表面積が極めて大きくなり、液状エポキシ樹脂組成物の粘度及びチクソ性を著しく高めてしまうおそれがあり、逆に、多孔質粒子等の最大粒径が40μmを上回ると、50μm程度の厚みの封止樹脂層を形成した場合に多孔質粒子等がこの封止樹脂層を貫通してしまい、封止効果が損なわれるおそれがある。
また、充填材の含有量は液状エポキシ樹脂組成物全量に対して60〜90質量%であることが好ましい。このように、充填材の含有量が60質量%以上であることによって、硬化物の線膨張係数をより低下させることができるものであり、また、充填材の含有量が90質量%以下であることによって、成形時における液状エポキシ樹脂組成物の流動性を十分に確保することができるものである。しかし、充填材の含有量が60質量%を下回ると、硬化物の線膨張係数を低下させる効果を十分に得ることができないおそれがあり、逆に、充填材の含有量が90質量%を上回ると、液状エポキシ樹脂組成物の流動性が損なわれるおそれがある。なお、充填材の含有量が90%を超えて流動性を持たせるためには溶剤成分を増やすほかないが、この場合チクソ性が増大する方向で作業性の低下が著しい。また、加熱硬化後に充填材が余り(樹脂成分が不足し)、硬化物表面に充填材が露出し、充填効果が損なわれるおそれがある。
また、充填材の一部は中実粒子でもよいが、この場合、多孔質粒子等の含有量は充填材全量に対して40質量%以上(上限は100質量%)であることが好ましい。これにより、個片化や研削時のブレードや砥石の磨耗を低減する効果をより高く得ることができるものである。しかし、多孔質粒子等の含有量が40質量%を下回ると、上記のような効果を十分に得ることができないおそれがある。特に、充填材の空隙体積率が10〜70%の範囲では、このような多孔質粒子等の含有量が40質量%を下回ると、十分な磨耗低減効果が得られなくなるおそれがある。これは高空隙体積率の充填材を全充填材中に低比率で充填してもワレ等の破壊が著しく、磨耗低減効果が発揮されないためであると推察される。
また、200〜1100℃で焼成処理した後の多孔質粒子等はその表面をカップリング剤で被覆する処理を行う。このように、多孔質粒子等が200〜1100℃で焼成処理された後、その表面がカップリング剤で被覆されていることによって、多孔質粒子等の内部に水分等が浸入・吸着しにくくなり、吸湿量を低減することができると共に、樹脂成分との相溶性(分散性)も高めることができるものである。
ここで、カップリング剤としては、シランカップリング剤やチタネートカップリング剤等を使用することができる。
このうち、シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン、さらに、エポキシ系、アミノ系、ビニル系の高分子タイプのシラン等を用いることができる。
一方、チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等を用いることができる。
これらのカップリング剤は、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。このときカップリング剤の含有量は、液状エポキシ樹脂組成物全量に対して0.1〜1質量%、又は充填材全量に対して0.1〜2質量%であることが好ましい。またカップリング剤による多孔質粒子等の表面の被覆処理は、湿式法又は乾式法により行うことができる。
また、エポキシ樹脂を樹脂の主剤として含有する。このようにエポキシ樹脂を用いることによって、熱可塑性樹脂を用いる場合に比べて、リフロー耐熱性などの信頼性を高く得ることができるものである。すなわち、アクリル系の熱可塑性樹脂やビスマレイミドなどを溶剤に溶解させて流動化させ、硬化後に溶剤を気化させることで樹脂層を形成するような手法では硬化収縮が小さくなる一方で添加する溶剤量が増大するため好ましくない。これに対して、エポキシ樹脂を用いることで封止材としての高い信頼性を実現することができるものである。
特に、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂及びこれらの水素添加型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ポリアルキレングリコール骨格含有エポキシ樹脂(例えばポリプロピレン骨格含有エポキシ樹脂など)のうち少なくとも1種のものを用いるのが好ましい。このように列挙したエポキシ樹脂のうち少なくとも1種のものを用いることによって、リフロー耐熱性などの信頼性をより高く得ることができるものであり、また、少なくとも2種以上のエポキシ樹脂を適宜に組み合わせて用いることによって、作業性に影響する粘度や硬化後の反りに影響するガラス転移温度(Tg)を適切に調整することができるものである。なお、低粘度化の可能な脂環式エポキシ樹脂では後述するフェノール系硬化剤との反応性が低いため、180℃の高い反応温度と十分な硬化時間(3時間)が必要である。また、ポリプロピレングリコール骨格を有するエポキシ樹脂ではTgが低くなってしまう傾向があるため必要に応じて適量配合する必要がある。
また、硬化剤として、フェノール性水酸基を1分子中に複数個有する化合物(フェノール系硬化剤)を含有するのが好ましい。これにより、Tgを低く設定しても、加水分解が起こりにくく、耐湿信頼性を高めることができるものである。すなわち、フェノール系硬化剤を用いることにより硬化物の加水分解が起こらないため耐湿性が向上し、例えば、ウェハー表面から突き出したポスト電極の補強効果を維持しやすく好ましい。また、液状エポキシ樹脂組成物が薄く塗り広げられた状態で硬化するような場合には硬化剤成分が揮発し、硬化不良を起こすおそれがあるが、この点においてもフェノール系硬化剤では気化しにくく、本プロセスにマッチしやすい。
また、液状エポキシ樹脂組成物には、硬化物の反りを抑える目的でシリコーンゴムなどのエラストマー成分を含有するのが好ましい。反りを低減する手法としては塗布対象物と樹脂の線膨張率差を極小化するか、樹脂の弾性率を低くして線膨張率と弾性率の積分で表される応力を極小化するか、のいずれかである。ガラス転移温度(Tg)より高い温度では樹脂硬化物はゴム状領域にあって低弾性率体であるため、このTgを室温に近づけることは低弾性率化の極めて有効な手法である(例えば、特開2004−027005号公報、特開2006−232950号公報参照)。ただし、この方法によるとTgを境に2桁以上低下するなど弾性率の低下が著しく、制御が難しい。室温での硬化樹脂の弾性率が1GPaを下回ると、本来の封止目的である機械的な強度が十分でないばかりか、個片化や研削時においてブレードや砥石が磨耗したり、電極金属の研削ダレ、ダイシング時の端部割れ、欠け(チッピング)が発生しやすくなる傾向がある。
シリコーンゴムエラストマーを用いる場合には、このシリコーンゴムエラストマーの含有量は液状エポキシ樹脂組成物全量に対して2〜5質量%であることが好ましい。シリコーンゴムエラストマーの含有量が2%を下回ると、エラストマーの添加による効果が十分ではないおそれがあり、逆に、シリコーンゴムエラストマーの含有量が5%を上回ると、硬化樹脂の硬度が発現しにくいおそれがある。
他方、線膨張率を低く抑える効果的な方法としては唯一、充填材を添加する以外にはない。充填材の添加量に応じて線膨張率を低く抑えることは可能であるが、粘度が上昇するため溶剤を加えることにより適宜に調整する必要がある。この場合、溶剤の添加量は液状エポキシ樹脂組成物全量に対して10質量%を超えない範囲でなければならない。また、多孔質でも中空でもない均質な中実の非晶質球状シリカの場合、その充填量が液状エポキシ樹脂組成物全量に対して80質量%を超えると、個片化や研削時のブレードや砥石の磨耗が著しくなるので、低線膨張率化と低磨耗の両立を図る点で多孔質粒子等を含有する充填材を用いる効果は著しく大きい。
また、液状エポキシ樹脂組成物全量に対して無機イオン交換体が0.5〜3.0質量%含有されているのが好ましい。ここで、無機イオン交換体としては、陽イオン交換タイプ(Zrを主成分とするもの)、陰イオン交換タイプ(Mg、Alを主成分とするもの)、両イオン交換タイプ(Zr、Biを主成分とするもの)のいずれを使用してもよい。また、これらの無機イオン交換体は、1種類のみを使用してもよいし、2種類以上を混合して使用してもよい。このように、液状エポキシ樹脂組成物中に含まれる不純物イオンを無機イオン交換体で捕捉することによって、イオンマイグレーションの発生を抑えて、絶縁信頼性を向上させることができるものである。しかし、無機イオン交換体の含有量が0.5質量%より少ないと、上記のような効果を十分に得ることができないおそれがある。逆に無機イオン交換体の含有量が3.0質量%より多いと、樹脂の吸湿量が増大して絶縁信頼性が低下したり、組成物の粘度の増大を招いて作業性が低下したりするおそれがある。
さらに、本発明ではその目的を損なわない限り、必要に応じて他の物質を配合することもできる。このような物質としては、分散安定剤、難燃剤、密着性付与剤、チクソ性付与剤、着色剤、希釈剤、消泡剤等を例示することができる。
そして、液状エポキシ樹脂組成物は、各成分を撹拌型の分散機で混合したり、ビーズミルで分散混合したり、3本ロールで分散混合したりすることによって製造することができるが、特に以下の方法により製造するのが好ましい。
すなわち、まず、カップリング剤で表面が被覆された多孔質粒子等を含有する充填材と、使用するエポキシ樹脂及び硬化剤の一部とを予備的に配合して混合する。予備配合に使用するエポキシ樹脂及び硬化剤の合計量は、使用する充填材の全量に対して、5〜30質量%であることが好ましく、またこのときのエポキシ樹脂と硬化剤の質量比は5:1〜1:1であることが好ましい。予備配合に3本ロール等を使用すると混合物は通常シートに近い状態となるが、次にこの混合物を30〜90℃の温度で2〜24時間加熱した後に室温(20〜30℃)に戻す。そして、この混合物にエポキシ樹脂及び硬化剤の残部を配合すると共に、必要に応じて無機イオン交換体など他の物質を配合して再度混合することによって、液状エポキシ樹脂組成物を得ることができる。このように、使用するエポキシ樹脂、硬化剤及び充填材の全部を一度に配合するのではなく、使用するエポキシ樹脂及び硬化剤の一部と充填材とを配合し、一旦加熱して室温に戻した後に残部のエポキシ樹脂及び硬化剤を配合することによって、充填材の樹脂成分との相溶性(分散性)を高めることができるものである。
上記のようにして製造された液状エポキシ樹脂組成物は、硬化後に封止物品の反りが少ないことを必要とする用途、具体的には、ウェハー全体を封止し硬化するプロセスを含むウェハーレベルCSPや、アンダーフィルしたフリップチップ接続の特殊な半導体装置や、プリンタの熱転写あるいは感熱のためのヘッド部分(サーマルヘッド)など、反りを極小化する必要がある分野に好適に使用することができる。
また、半導体装置は、上記のようにして製造した液状エポキシ樹脂組成物を樹脂基板、セラミック基板又はウェハー等の各種部材1の表面に減圧印刷機を用いて塗布し、これを加熱硬化して樹脂層2を形成した後、図1に示すように、ダイシングソー3を用いてダイシング等により個片化する方法によって、製造することができる。このような製造方法によれば、反りが小さく、封止信頼性の高い半導体装置を安価な製造コストと短い製造タクトで得ることができ、液状エポキシ樹脂組成物で形成された樹脂層2の内部にボイドを残存させないことができるものである。しかも、樹脂層2の内部には、多孔質粒子等を含有する充填材が含有されていることによって、ダイシングソー3のブレードの磨耗を低減することができるものである。
各種部材の表面に液状エポキシ樹脂組成物を塗布する方法としては、真空印刷のほか、大気圧スクリーン印刷、スピンコーターによる塗布、あるいはディスペンスによる方法や、金型による成形法などを用いることができる。ただし、スピンコート法では粘度は溶剤の添加量を増やすなどして10Pa・s以下に抑えることが好ましく、金型による成形法では逆に溶剤を添加すると硬化物中にボイドが残る原因ともなるため溶剤を含まずに粘度を200Pa・s程度に抑えることが好ましい。樹脂層にボイドを内包しないための最良の方法は減圧印刷機を用いた方法であるが、この場合は溶剤の沸点を高沸点側にシフトするなどして連続印刷性を確保する必要がある。
また、印刷を用いた方法による場合は液状エポキシ樹脂組成物の粘度は200Pa・s以下であることが好ましい。200Pa・sを超えると印刷対象への樹脂の転写が十分にされず、スキージングを繰り返す必要が生じるおそれがあるなどして好ましくない。また、溶剤を添加することで200Pa・s以下に抑えることができても添加量が10質量%を超える場合は硬化後に溶剤が残存して硬化物が脆くなってしまったり、多量の溶剤の揮発により硬化物中にボイドが生じたりするおそれがあるため好ましくない。硬化時の溶剤の揮発によるこのボイドを低減するには沸点の異なる溶剤を複数種添加して低沸点溶剤から順に緩やかに揮発させるのが一般的であるが特に真空印刷による方法ではこの限りではない。印刷時に低沸点溶剤が揮発して印刷中に粘度が上昇して連続して印刷する際に品質バラツキが発生しやすい。また硬化温度上限より溶剤の沸点が50〜100℃高ければ急激な揮発が抑えられ、徐々に溶剤が揮発するためボイドとなりにくく、硬化に要する時間に変更を加える必要もない。
また、図2に示すように、シリコンチップ等の半導体チップ4の半導体回路側の面5には樹脂層2が配置され、かつ半導体チップ4に接続された多数の電極6がその樹脂層2を貫通して配置された型式の半導体装置において、半導体チップ4の半導体回路側の面5に配置されている樹脂層2を形成するために、液状エポキシ樹脂組成物を好適に使用することができる。この形態の半導体装置は、一般にはCSP(チップスケールパッケージあるいはチップサイズパッケージ)と呼ばれる範疇のものであり、半導体チップ4を個片化する以前のシリコンウェハーの段階でCSPへの加工を行うことからWL(ウェハーレベル)あるいはWS(ウェハースケール)のCSPと呼ばれ、WL−CSP、WS−CSPと略されているものである。
液状エポキシ樹脂組成物を使用して、WL−CSPを製造するには、まず、CSPとなったときにバンプが形成される位置にあるウェハー上のパッド部7に、樹脂層2を貫通することになるポスト8としての金属を形成する。ポスト8を形成する方法としては、具体的には、パッド部7にフラックスを印刷し、その上にメタルマスクを利用して半田ボールを載せてリフローする方法や、パッド部7にハンダペーストを印刷してリフローする方法、あるいはパッド部7に銅などの金属をメッキ法により成長させる方法などがある。次に、ポスト8としての金属が形成されたウェハーに、液状エポキシ樹脂組成物を印刷し、加熱硬化させる。印刷は減圧印刷によることが好ましい。常圧印刷の場合は、印刷後に減圧下に置いて、組成物中のボイドを除く処理を行うのが好ましい。加熱硬化は、常圧でも加圧下でもよいが、加圧下の方が硬化物中のボイドをより少なくすることができる。また硬化条件は、80〜140℃で30分〜2時間の1段目硬化を行った後に、150〜210℃で1〜6時間の2段目硬化を行うという2ステップ硬化を例示できる。フェノール性水酸基を有する化合物を硬化剤として使用した場合は、このような2ステップ硬化以外にも、100〜210℃で30分〜6時間の1ステップ硬化を採用することもできる。
次に、液状エポキシ樹脂組成物の硬化後のウェハーを樹脂層2側から研磨し、ポスト8と樹脂層2の高さを揃える。必要に応じて、その後にウェハーの背面を研磨し、総厚みを小さくする工程を採ることもある。
研磨後のウェハーは、液状エポキシ樹脂組成物の硬化物が適切なTgや弾性率、線膨張係数を有していることにより、例えば、8インチ径250μm厚のウェハーに50μm厚の樹脂層2を有する場合で1mm以下の反りとなるような小さな反りを実現でき、またリフロー後の反り量についても1mm以下に抑えることが可能となる。
また、半導体チップ4の背面保護やマーキング性向上のため、ウェハーの背面に液状エポキシ樹脂組成物あるいは、他の樹脂を塗布、硬化してもよい。
次に、半田等を用いてCSPのバンプの形成を行う。具体的には、樹脂層2の表面に露出するポスト8の端面にフラックスを印刷し、その上にメタルマスクを利用して半田ボールを載せてリフローする方法や、ポスト8にハンダペーストを印刷してリフローする方法などがある。
このようにして得られたウェハーをダイシングにより個片化すると、ポスト8とバンプ9からなる金属製の電極6を備えたCSPを得ることができる。このCSPは、密着性が良く、線膨張係数も適切な液状エポキシ樹脂組成物が使用されているので、また反りが小さいため内部応力が低いので、温度サイクル性や耐湿信頼性に優れているものである。
すなわち、上記のようにして形成された半導体装置にあっては、上述した液状エポキシ樹脂組成物の硬化物により樹脂層が形成されているので、半導体装置としての反りを小さくすることができ、内部応力が低くなって優れた温度サイクル性や耐湿信頼性を実現することができると共に、リフロー時の熱履歴による反り量を低減することができるものである。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
(実施例1〜及び比較例1〜3)
下記[表1]に示す原材料の配合量(単位は質量部)及び製造方法で、実施例1〜及び比較例1〜3の液状エポキシ樹脂組成物を製造した。
ここで、下記[表1]において使用した原材料は次のものである。
(充填材)
非晶質シリカ(中実粒子、MRCユニテック株式会社製、品番「QS9」、平均粒径9μm、最大粒径35μm)
非晶質シリカ(中実粒子、株式会社アドマテックス製、品番「SO25H」、平均粒径0.6μm、最大粒径3.5μm)
多孔質シリカ(日揮触媒化成株式会社製、品番「機能性シリカマイクロビードN15」、多孔質粒子である球状非晶質シリカ、表面の微細孔を閉塞したもの、平均粒径10μm、最大粒径30μm、空隙体積率20%)
中空シリカ(電気化学工業株式会社製、品番「DBS−1030」、中空粒子である球状非晶質シリカ、表面の微細孔を閉塞したもの、平均粒径10μm、最大粒径30μm、空隙体積率20%)
なお、実施例1〜及び比較例2における多孔質シリカ並びに実施例における中空シリカは、電気炉を用いて下記[表1]に示す焼成温度で6時間焼成処理した。
(エポキシ樹脂)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YDF8170」、エポキシ当量160)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成株式会社製、品番「YD8125」、エポキシ当量175)
ナフタレン環含有エポキシ樹脂(DIC株式会社製、品番「HP4032D」、エポキシ当量141)
(硬化剤)
アリル化フェノール(明和化成株式会社製、品番「MEH8000H」、水酸基当量141)
(低弾性化剤)
シリコーンゴム(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品番「XE14−A8491」)
(溶剤)
ジエチレングリコールジエチルエーテル(ナカライテスク株式会社製、沸点180℃)
(硬化促進剤)
マイクロカプセル型潜在性硬化促進剤(旭化成工業株式会社製、品番「HXA3792」)
(着色剤)
カーボンブラック(三菱化学株式会社製、品番「MA100」)
(カップリング剤)
シランカップリング剤(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品番「A186」)
チタネートカップリング剤(味の素ファインテクノ株式会社製、品番「KR−TTS」)
(無機イオン交換体)
陽イオン交換タイプ(東亞合成株式会社製、品番「IXE−100」)
陰イオン交換タイプ(東亞合成株式会社製、品番「IXE−770F」)
両イオン交換タイプ(東亞合成株式会社製、品番「IXE−600」)
また、下記[表1]において採用した製造方法は次の通りである。
(製造方法A)
液状エポキシ樹脂組成物の構成成分であるエポキシ樹脂、硬化剤、充填材及びその他の成分を下記[表1]に示す配合量で配合し、これをプラネタリーミキサーで室温(25℃)にて混合し、さらに3本ロールにて分散させることによって、液状エポキシ樹脂組成物を製造した。
(製造方法B)
液状エポキシ樹脂組成物の構成成分であるエポキシ樹脂、硬化剤及びその他の成分(充填材及び硬化促進剤を除く)を下記[表1]に示す配合量で配合し、これをプラネタリーミキサーで室温(25℃)にて混合し、さらに3本ロールにて分散させた後、充填材及び硬化促進剤を添加してプラネタリーミキサーで再度室温(25℃)にて混合することによって、液状エポキシ樹脂組成物を製造した。
(製造方法C)
液状エポキシ樹脂組成物の構成成分であるエポキシ樹脂、硬化剤及びその他の成分(充填材、カップリング剤及び硬化促進剤を除く)を下記[表1]に示す配合量で配合し、これをプラネタリーミキサーで室温(25℃)にて混合し、さらに3本ロールにて分散させた後、あらかじめカップリング剤で表面を被覆した充填材を添加してプラネタリーミキサーで再度室温(25℃)にて混合し、さらに硬化促進剤を添加して混合することによって、液状エポキシ樹脂組成物を製造した。なお、カップリング剤は、充填材に直接噴霧することによってその表面を被覆した。
(製造方法D)
あらかじめカップリング剤で表面を被覆した充填材と、エポキシ樹脂及び硬化剤の一部(使用する充填材の全量に対して15質量%)とを配合し、これをプラネタリーミキサーで室温(25℃)にて混合すると共に3本ロールにて分散させた。次にこの混合物を45℃で5時間加熱した後に室温(25℃)に戻した。そして、この混合物にエポキシ樹脂及び硬化剤の残部並びにその他の成分(硬化促進剤を除く)を配合し、これをプラネタリーミキサーで室温(25℃)にて混合し、さらに3本ロールにて分散させた後、硬化促進剤を添加してプラネタリーミキサーで再度混合することによって、液状エポキシ樹脂組成物を製造した。なお、カップリング剤は、充填材に直接噴霧することによってその表面を被覆した。また、下記[表1]中の加熱処理は、上記45℃で5時間加熱することを意味する。
実施例1〜及び比較例1〜3で得られた液状エポキシ樹脂組成物の特性を次の方法で測定した。測定結果を下記[表1]に示す。
(1)液状エポキシ樹脂組成物の粘度
室温(25℃)にてB型粘度計を用いて測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
粘弾性スペクトロメータ(DMA)の曲げモード10Hzにて評価した。試験片は、液状エポキシ樹脂組成物を130℃で1時間加熱した後、180℃で3時間加熱して形成したものであって、5mm幅×50mm長×0.2mm厚に切り出したものを用いた。昇温は2℃/分により−60℃〜260℃まで測定した。
(3)弾性率(E’)
(2)の粘弾性スペクトロメータ(DMA)の曲げモード10Hzの25℃での弾性率(E’)を求めた。
(4)線膨張率
熱分析計TMAにより評価した。液状エポキシ樹脂組成物を硬化させて、70mm以上長×10mm幅×1〜3mm厚の試験片を形成し、この試験片を用いて昇温速度5℃/分により−60℃〜260℃まで測定した。液状エポキシ樹脂組成物の硬化は130℃で1時間加熱した後、180℃で3時間加熱して行った。
(5)反り
5インチで200μm厚のウェハーの表面に液状エポキシ樹脂組成物を直径110mmで200μm厚に塗布し、130℃で1時間加熱した後、180℃で3時間加熱することによって、硬化させた。液状エポキシ樹脂組成物の硬化後、円周端部の一点を押さえ垂直方向(z軸方向)に反り上がった最大値を測定することにより反り量を評価した。
(6)吸湿率
液状エポキシ樹脂組成物を130℃で1時間加熱した後、180℃で3時間加熱して硬化させることによって、50mmΦ×3mm厚の試験片を形成した。そしてこの試験片を120℃で15時間加熱して乾燥させ、この直後の重量を測定した。次に、121℃、100%RH、0.20MPa(2atm)、20時間の条件でプレッシャークッカーテスト(PCT)を行って上記試験片を吸湿させ、この直後の重量を測定した。そして、(吸湿率)=((吸湿後の試験片の重量)−(吸湿前の試験片の重量))×100/(吸湿前の試験片の重量)の式により、吸湿率を求めた。
(7)不純物イオン量
(6)と同様に形成した試験片を粉砕し、この粉砕物を採取して測定試料とした。そしてこの測定試料5gをメタノール4mlで湿らせた後、純水46mlを加えた。次にこれに、121℃、100%RH、0.20MPa(2atm)、20時間の条件でプレッシャークッカーテスト(PCT)を行った後、濾過を行った。そしてこの濾液を検液としてイオンクロマトグラフを用いて、不純物である陰イオン(Clイオン)及び陽イオン(Na及びNH4+イオン)の量を測定した。
(8)ブレード磨耗量
図1に示すように、部材1(200μm厚ウェハー)の表面に液状エポキシ樹脂組成物を塗布・加熱して200μm厚の樹脂層2を形成し、ダイシングソー3を用いて個片化する際のブレード磨耗量を測定した。使用装置、使用ブレード、加工条件は次の通りである。
使用装置
ディスコ社製「DFD6340 FULLY AUTOMATIC DICING SAW」
使用ブレード
「NBC−ZH2050」
加工条件
スピンドル回転数:35000rpm、送り速度:50mm/s、切削水:純水、加工距離:9.8m
(9)ダイシング時チッピング
(8)の条件で個片化した2mm□樹脂付きウェハーチップ10個について端面観察を行い、チッピングの有無を確認した。チッピングが確認されないか又は確認されても5μm未満の長さの亀裂が確認されるだけの場合には「○」、5μm以上20μm未満の長さの亀裂が確認される場合には「△」、20μm以上の長さの亀裂が確認される場合には「×」と判定した。
(10)絶縁信頼性評価
ライン幅(L)及びライン間隔(S)が共に75μmの櫛型電極(銅めっき)が設けられた基板を用い、この電極が設けられた面に液状エポキシ樹脂組成物を塗布・加熱して樹脂層を形成した。次にこの基板を85℃、85%RHの槽内に設置し、上記電極に3.5Vの電圧を印加して2000時間経過するまで抵抗値をモニタリングした。そして抵抗値が1.0×10Ωを下回った時間を不良発生時間として絶縁信頼性を評価した。
Figure 0005672589
表1にみられるように、実施例1〜では充填材の表面をカップリング剤で被覆することで吸湿率を低く抑えることができることが確認された。
また実施例1〜では、陰イオン交換タイプの無機イオン交換体により、不純物イオンとしてClイオンの量を低く抑えることができること、また実施例では、陽イオン交換タイプの無機イオン交換体により、不純物イオンとしてNa及びNH4+イオンの量を低く抑えることができること、また実施例では、両イオン交換タイプの無機イオン交換体により、不純物イオンとしてCl、Na及びNH4+イオンの量を低く抑えることができることが確認された。
また、実施例1〜ではブレード磨耗量が小さいのに対し、1200℃で焼成処理した充填材を用いた比較例2及び中実粒子のみからなる充填材を用いた比較例3ではブレード磨耗量が著しく大きいことが確認された。
また、カップリング剤で表面を被覆していない充填材を用いた比較例1では、ダイシング時にチッピングが発生することが確認された。
また、実施例1〜では絶縁信頼性が良好であるのに対し、カップリング剤による充填材表面の被覆処理、200〜1100℃の焼成処理、液状エポキシ樹脂組成物の製造時の加熱処理のいずれも行っていない比較例1では絶縁信頼性が極端に悪いことが確認された。

Claims (1)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤及び充填材を含有する液状エポキシ樹脂組成物において、
    前記充填材として、多孔質粒子及び中空粒子から選ばれ、200〜1100℃で焼成処理された後、カップリング剤で表面が被覆されたものが用いられ、
    前記液状エポキシ樹脂組成物はさらに無機イオン交換体を含有し、前記液状エポキシ樹脂組成物全量に対して前記無機イオン交換体を0.5〜3.0質量%含有し、
    前記液状エポキシ樹脂組成物はさらに低弾性化剤を含有し、前記液状エポキシ樹脂組成物全量に対して前記低弾性化剤を2〜5質量%含有することを特徴とする
    液状エポキシ樹脂組成物。
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