JP5668038B2 - 車両のフロントピラー部構造 - Google Patents

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本発明は、車両のフロントガラスの幅方向両側に位置し、ルーフパネルの前側を支持するフロントピラー部構造に関するものである。
従来、車両のフロントピラー部構造としては、車体の前面側に設けられたフロントガラスと、車体の幅方向両側に設けられたフロントドアと、フロントガラスとフロントドアとの間に位置するフロントピラーと、フロントピラーの外面側に設けられたピラーアウタカバーと、を備え、フロントガラスとピラーアウタカバーとの間に段差を形成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このフロントピラー部構造では、降雨時の車両の走行中において、フロントガラスの前面を幅方向両側に向かって流れる雨水をフロントガラスとピラーアウタカバーとの段差に沿って流通させることによって、フロントドアのガラス部分への雨水の流通を規制し、車両の降雨時の走行中における側方の視界を保持している。
特開2011−5939号公報
前記フロントピラー部構造では、車両の走行中において、フロントガラスとピラーアウタカバーとの間の段差によって空気の流れが乱れるため、空気抵抗が大きくなるおそれがある。また、前記フロントピラー部構造では、降雪時の車両の走行中において、フロントガラスに付着した雪をワイパで払拭すると、ワイパによって払拭された雪がフロントガラスのピラーアウタカバーとの間の段差部分に堆積してしまい、必要な視界を確保することができなくなるおそれがある。さらに、前記フロントピラー部構造では、フロントガラスとピラーアウタカバーとの間の段差が、車両の意匠上の見栄えを悪くする原因となる場合がある。
そこで、本発明は、降雨時の車両の走行中のフロントドアのガラス部分への雨水の流通を規制するとともに、車両の走行中における空気抵抗の軽減、降雪時の排雪性の向上および車両の見栄えの向上を図ることが可能な車両のフロントピラー部構造を提供することを目的とする。
第1の発明に係る車両のフロントピラー部構造は、車体の前面側に設けられたフロントガラスと、車体の幅方向両側に設けられたフロントドアと、フロントガラスとフロントドアとの間に位置するフロントピラーと、フロントピラーの外面側に設けられたピラーアウタカバーと、を備えた車両のフロントピラー部構造であって、フロントピラーとピラーアウタカバーとの間には、車両前面から流入する空気と雨水とが流通可能な流通路が設けられ、流通路には、フロントガラスとフロントガラスに隣接する部分の外面がフロントガラス側の外面と略同一の高さとなるように形成されたピラーアウタカバーとの隙間部分に開口されて形成され、空気および雨水を流入させる流入口と、空気と雨水とを分離する気水分離手段と、ピラーアウタカバーの長手方向略全長にわたって設けられ、車両略後方に向けて開口し、気水分離手段によって分離された空気を排出する空気排出口と、空気排出口の長手方向略全長に沿って設けられた複数のルーバであって、排出する空気を車両の上方向へと誘導する導出手段と、が設けられ、空気排出口の幅寸法は流入口の幅寸法より小さく形成されてなることを特徴とする。
本発明によれば、降雨時の車両の走行中にフロントガラスの前面を幅方向両側に向かって流れる雨水は流通路を流通するので、フロントガラスとピラーアウタカバーとが隣接する部分において、フロントガラスの外面とピラーアウタカバーの外面との高さを同一の高さとしても、フロントドアのガラス部分への雨水の流通を抑制することが可能となる。したがって、フロントガラスとピラーアウタカバーとが隣接する部分の外面高さを同一にすることで、車両の走行中における空気抵抗の軽減が可能になるとともに、降雪時の排雪性および車両の見栄えを向上させることができる。
また、本発明によれば、フロントピラーとピラーアウタカバーとの間から、雨水と分離した空気が略車両後方に向けて排出されるので、当該排出された空気の流れによって、降雨時の車両の走行中に車両外側からフロントドアのガラス部分へ向かう雨水を遮断することが可能になる。
車両の全体斜視図である。 図1のA−A´断面図である。 フロントピラー部の内部斜視図である。 フロントピラー部の側面部の断面図である。
図1乃至図4は、本発明の一実施形態を示すものである。
本発明のフロントピラー部構造を備えた車両1は、図1に示すように、車室の上面側に設けられたルーフパネル2と、車室の前面側に設けられたフロントガラス3と、車室の幅方向両側に設けられたフロントドア4と、フロントガラス3とフロントドア4との間に設けられたフロントピラー部10と、を備えている。フロントガラス3の前面の下部には、ワイパ3aが設けられており、ワイパ3aによってフロントガラス3に付着した雨水や雪が払拭される。フロントドア4には、フロントピラー部10の下端近傍に対応する位置にドアミラー4aが設けられている。
フロントピラー部10は、図2に示すように、フロントピラー20と、フロントピラー20の車室内側に設けられたピラーインナカバー30と、フロントピラー20の車室外側に設けられたピラーアウタカバー40と、を備えている。
フロントピラー20は、ピラーリンホースパネル21と、ピラーリンホースパネル21の車室内側に設けられたピラーインナパネル22と、ピラーリンホースパネル21の車室外側に設けられたピラーアウタパネル23と、を有し、これらの部材21,22,23を一体とすることによって強度が保持される。
ピラーインナカバー30は、例えば合成樹脂製の部材からなり、フロントピラー20を車室内側から覆っている。
ピラーアウタカバー40は、例えば合成樹脂製の部材からなり、フロントガラス3とフロントドア4との間に位置するフロントピラー20を外側から覆っている。また、ピラーアウタカバー40は、フロントガラス3側の外面が、フロントガラス3のピラーアウタカバー40に隣接する部分の外面と略同一の高さとなるように形成されている。ピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間には、車両1の走行中にフロントガラス3の外面を流通した空気や雨水が流通可能な流通路41をピラーアウタカバー40フロントピラー20との間に形成するための流通路形成板42がピラーアウタパネル23の外面に沿って設けられている。ここで、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面と、フロントガラス3のピラーアウタカバー40に隣接する部分の外面とが略同一の高さに形成されている、とは、厳密に同一の高さとなる場合だけではなく、例えば2mmから3mm程度の差を有する場合も含まれる。
図2、図3、および図4に示すように、ピラーアウタカバー40の内面側には、流通路形成板42に向かって突出するとともに、ピラーアウタカバー40の長手方向に延びる少なくとも1つのリブ40aが設けられている。また、流通路形成板42には、ピラーアウタカバー40に向かって突出するとともに、流通路形成板42の長手方向に延びる少なくとも1つのリブ42aが設けられている。これにより、流通路41は、リブ40a,42aによってフロントガラス3側からフロントドア4側に向かって蛇行して延びるように形成される。
また、流通路41には、フロントガラス3の外面を流通した空気や雨水を流入させる流入口41aと、流通路41に流入した雨水を分離して空気を外部に排出する空気排出口41bと、流通路41に流入して空気と分離された雨水を排出する図示しない排水口と、が設けられている。流入口41aは、フロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間部分に前方に向かって開口され、フロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間の寸法が、所定の幅寸法W1に形成されている。また、空気排出口41bは、フロントドア4の近傍において、車両の後方に向けて開口され、ピラーアウタカバー40と流通路形成板42との隙間の寸法が、所定の幅寸法W2に形成されている。また、流通路41におけるリブ40a,42aの先端部と、リブ40a,42aの延長上に位置するピラーアウタカバー40または流通路形成板42との間の幅寸法は、流入口41aのフロントガラス3とピラーアウタカバー40との隙間の幅寸法W1と略同一に形成されている。なお、流入口41aの幅寸法W1は、空気排出口41bの幅寸法W2よりも大きく形成されている。排水口は、フロントピラー20の下端部および上端部の近傍において外部に開口されている。
また、空気排出口41bには、空気の流通方向を所定方向に案内する複数のルーバ41cが、それぞれの上面と下面とが向かい合うようにピラーアウタカバー40の長手方向に並列して設けられている。ルーバ41cは、後方に向かって上方に傾斜した状態で、幅方向両端部がピラーアウタカバー40と流通路形成板42に支持されている。
また、ピラーアウタカバー40の外面の短手方向中央部には、ピラーアウタカバー40の外面に付着した雨水をフロントピラー20の下端側または上端側に案内するための溝40bが長手方向に延びるように形成されている。
以上のように構成されたフロントピラー部構造において、走行中の車両1のフロントガラス3の幅方向両側の空気は、大部分が図2において矢印Aで示すように、ピラーアウタカバー40の外面側に沿って流通して車両1の後方へと流通する。一方、一部の空気は、図2において矢印Bで示すように、流入口41aから流通路41へと流入して流通路41を流通し、矢印Cで示すように、空気排出口41bから車両1の後方へと排出される。
このとき、走行中の車両1のフロントガラス3の幅方向両側から流入口41aを経て流通路41へと流入した空気は、リブ40a,42aによって蛇行しながら、空気排出口41bへと到達する。そして、図3および図4に示すように、空気排出口41bにおいてルーバ41cによって上向きに案内される。すなわち、空気排出口41bから車両1の後方向に排出される空気の流通方向は、斜め上向きとなる。
また、空気排出口41bの幅寸法W2は、流入口41aの幅寸法およびリブ40a,42aによって制限された流通路41内の幅寸法であるW1よりも小さく形成されているため、流入口41aから流入したときの空気の流速よりも、空気排出口41bから排出される空気の流速が速くなる。そのため、ピラーアウタカバー40の外面側を経て車両1の後方へと流通する空気(矢印A)よりも、流通路41を経て車両1の後方へと流通する空気(矢印C)の方が、速い流速となる。
このように、流通路41を流通した空気は、ルーバ41cによって上方向へと向きを案内されるとともに、排出口41bを流入口41aよりも狭く形成した(W2<W1)流通路41の構造によって流速が速められて車両1の後方へと流通する。
また、車両1の降雨時の走行において、フロントガラス3に付着した雨水は、ワイパ3aによって払拭され、一部の雨水がフロントガラス3の幅方向両側に向かって流通する。このとき、フロントガラス3の幅方向両側の雨水は、フロントガラス3とピラーアウタカバー40との間に設けられた流入口41aに空気と共に流入して流通路41を流通する。流通路41に流入した雨水は、リブ40a,42aに接触してリブ40a,42aに付着することで、共に流通路41に流入した空気と分離される。リブ40a,42aに付着して空気と分離された雨水は、矢印Dで示すように、リブ40a,42aに沿って流通し、フロントピラー20の下端部または上端部に設けられた排水口から外部に排出される。このため、流通路41において空気と分離された雨水は、フロントドア4のガラス部分を流れることはなく、雨水による車室側面側の視認性の低下を防止することが可能となる。
また、降雪時の車両1の走行において、フロントガラス3に付着した雪は、ワイパ3aによって払拭され、一部の雪がフロントガラス3の幅方向両側に向かって移動する。このとき、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面は、フロントガラス3のピラーアウタカバー40に隣接する部分の外面と略同一の高さであるため、フロントガラス3の幅方向両側に雪が溜まることなく、車両1の側方に落下させることが可能となる。
また、流通路41に流入した空気は、流入口41aに流入したときよりも加速した状態で、上方向に向きを変えて空気排出口41bから後方に排出される。したがって、空気排出口41bから排出されて流通する空気(矢印C)は、ピラーアウタカバー40の外面側を経て車両1の後方へと流通する空気(矢印A)よりも速い流速となる。そのため、降雨時の車両1の走行中において、矢印Aに示す空気と共に雨水が流通したり、車両1の側方からフロントドア4のガラス部分に向かって雨水が飛来したりしたとしても、それらの雨水は、矢印Cに示す空気に合流することになる。したがって、ピラーアウタカバー40の外面側を経て車両1の後方へと流通する雨水や、車両1の側方から飛来する雨水を、フロントドア4のガラス部分へ接触する前に、後方へ上向きに吹き飛ばすことができる。
このように、本実施形態の車両のフロントピラー部構造によれば、降雨時の車両1の走行中は、フロントガラス3の前面を流通した雨水は、流入口41aから流通路41に流入し、リブ40a,42aに接触することによって空気と分離されてフロントピラー20の下端部または上端部に設けられた排水口から外部に排出される。また、ピラーアウタカバー40の外面側を経て車両1の後方へと流通する雨水や、車両1の側方からフロントドア4のガラス部分に向かって飛来する雨水は、空気排出口41bから排出される空気によって、フロントドア4のガラス部分への接触する前に後方へ上向きに吹き飛ばされる。したがって、降雨時の車両1の走行において、フロントドア4のガラス部分への雨水の付着を軽減して車室側面側の視認性を向上させることができる。
また、これにより、ピラーアウタカバー40のフロントガラス3側の外面を、フロントガラス3のピラーアウタカバー40と隣接する部分の外面と同一の高さとなるように形成することが可能となるので、車両1の走行中における空気抵抗の低減が可能になるとともに、車両の降雪時における走行中にフロントガラス3の幅方向両側に雪が堆積することを防止し、車両1の見栄えを向上させることが可能となる。
なお、本実施形態においては、流通路41に設けられたリブ40a,42aが気水分離手段に相当する。しかし、これに限らず、例えば、吸湿性素材からなる部材を用いて雨水を吸収してもよいし、流通路41に網を張って水を付着させてもよいし、空気が透過するものの水は透過しない膜によって空気と雨水を分離させてもよい。また、本実施形態では、ピラーアウタカバー40の内面に1つのリブ40aを設け、流通路形成板42に2つのリブ42aを設けるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、ピラーアウタカバー40および流通路形成板42の一方に1つのリブが設けられているものでもよいし、ピラーアウタカバー40および流通路形成板42の両方に複数のリブが設けられているものでもよい。
また、本実施形態においては、空気排出口41bに設けられた複数のルーバ41cが導出手段に相当する。しかし、これに限らず、例えば、空気排出口41bの開口部を傾斜した筒状部材として、排出する空気の流通方向を斜め上向きに変えるようにしてもよい。
また、本実施形態では、空気排出口41bの幅寸法W2を、流入口41aの幅寸法およびリブ40a,42aによって制限された流通路41内の幅寸法であるW1よりも小さく形成したものを示したが、これに限られるものではない。例えば、空気排出口41bの縦寸法を、流入口41aの縦寸法よりも小さく形成するようにしてもよい。
さらに、本実施形態では、ピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間に、流通路41を形成するための流通路形成板42を設けるようにしたものを示したが、これに限られるものではない。流通路形成板42を用いることなくピラーアウタカバー40とフロントピラー20との間に流通路を形成するようにしてもよい。この場合、フロントピラー20に直接リブを形成すれば同様の効果を得ることが可能になる。また、中空形状に形成されたピラーアウタカバーによってフロントピラー20の外面を覆うようにしてもよい。この場合も、中空のピラーアウタカバーの内部にリブを設けた流通路を形成すれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
1 車両
2 ルーフパネル
3 フロントガラス
4 フロントドア
10 フロントピラー部
20 フロントピラー
30 ピラーインナカバー
40 ピラーアウタカバー
40a リブ
41 流通路
41a 流入口
41b 空気排出口
41c ルーバ
42 流通路形成板
42a リブ

Claims (1)

  1. 車体の前面側に設けられたフロントガラスと、車体の幅方向両側に設けられたフロントドアと、フロントガラスとフロントドアとの間に位置するフロントピラーと、フロントピラーの外面側に設けられたピラーアウタカバーと、を備えた車両のフロントピラー部構造であって、
    フロントピラーとピラーアウタカバーとの間には、車両前面から流入する空気と雨水とが流通可能な流通路が設けられ
    流通路には、フロントガラスとフロントガラスに隣接する部分の外面がフロントガラス側の外面と略同一の高さとなるように形成されたピラーアウタカバーとの隙間部分に開口されて形成され、空気および雨水を流入させる流入口と、空気と雨水とを分離する気水分離手段と、ピラーアウタカバーの長手方向略全長にわたって設けられ、車両略後方に向けて開口し、気水分離手段によって分離された空気を排出する空気排出口と、空気排出口の長手方向略全長に沿って設けられた複数のルーバであって、排出する空気を車両の上方向へと誘導する導出手段と、が設けられ、
    空気排出口の幅寸法は流入口の幅寸法より小さく形成されてなることを特徴とする車両のフロントピラー部構造。
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