JP5667809B2 - 光学式ガスセンサ - Google Patents
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Description
レーザー光により監視対象空間を走査し、当該レーザー光の波長をラマンシフトした波長に透過波長中心を有する第1の光学バンドパスフィルターによりラマン散乱光を集光し、1素子の受光素子により電気信号に変換し、第1の時間波形を測定すると共に、前記第1の光学バンドパスフィルターの透過光と波長域が異なる光を透過する第2の光学バンドパスフィルターにより特定波長の光を集光し、1素子の受光素子により電気信号に変換し、時間波形を測定し、続いて第1の時間波形と第2の時間波形との差分をとり、レーザー光の走査位置情報に基づいて監視対象空間の対応する位置座標を着色したラマン散乱光信号画像を作成し、それを監視対象空間の背景画像上に重畳表示することで水素ガスを可視化することを特徴とする水素ガス可視化方法及びそのシステム(特許文献2参照)、
対象空間にレーザー光を照射し、窒素ガスからの散乱光を集光機構で集光し、第一の受光機構でラマン散乱光信号強度を測定する第一工程、第一工程と同期して、対象空間にレーザー光を照射し、対象ガスの散乱光を集光機構で集光し、第二の受光機構でラマン散乱光信号強度を測定する第二工程、窒素ガスと対象ガスのラマン散乱光強度の強度比に基づいて対象空間における対象ガスの濃度を計算する第三工程、とを含むガス濃度遠隔計測方法およびその装置(特許文献3参照)がある。
また、高濃度ガスのみならず低濃度のガスを測定することも求められている。例えば、水素ガスは常温常圧の空気中で濃度4%から75%の範囲では急激に燃焼反応が進むため、高圧ガス保安法では、ガスセンサとして爆発下限濃度の1/4の濃度(1%)以下を測定する能力が求められている。
第2の発明は、第1の発明において、前記反射機構が、レーザー光を通過させ、かつ、前記単一の受光機構へ前方および後方ラマン散乱光を導光する後方反射部材を備えることを特徴とする。
第3の発明は、第1の発明において、前記光ファイバーが、前記レーザー装置と光学的に接続される第1の光ファイバー(17)と、前記ガスセルと光学的に接続される第2の光ファイバー(12)と、前記受光機構と光学的に接続される第3の光ファイバー(18)とからなり、さらに、第1ないし第3の光ファイバーと光学的に接続される光ファイバーカプラを備えることを特徴とする。
また、軽量・小型であり、ケーブルで接続された可動自在な検出部が完全防爆型のガスセンサを提供することが可能となる。
さらには、高濃度のガスから低濃度のガスまで測定可能なガス濃度測定技術を提供することが可能となる。
図1は、本発明に係る第1の実施形態の構成図である。第1の実施形態の光学式ガスセンサは、レーザー装置1からパルス状に発振されたレーザー光を、穴あきミラー2bの貫通孔を通過させてガス測定空間3に照射し、ガス測定空間3に発生したラマン散乱光を受光器7a、7bで受光するものである。受光器7aは、前方ラマン散乱光を受光するためのものであり、受光器7bは、後方ラマン散乱光を受光するためのものである。なお、穴あきミラーに代えてダイクロイックミラーを用いてもよい。
バンドパスフィルター5a、5bは、狭帯域の光学フィルターで、検出するガスのラマンスペクトルのピークに透過波長中心を有している。ガスの種別毎に使用するバンドパスフィルターも異なるため、バンドパスフィルターは検出するガスの数と同じ数だけ用意される。例えば、複数の波長選択フィルターを備えた回転式あるいはスライド式のフィルタホルダー(切換機構)を設け、水素ガスの濃度を検出する場合には中心波長416.5nmのフィルターを選択し、窒素ガスの濃度を検出する場合には中心波長386.5nmのフィルターを選択することが開示される。
ガス濃度の測定時間は、レーザーの発振繰り返し周波数に依存する。機器の組み合わせや加算回数などの条件にもよるので一概にはいえないが、例えば、レーザーの発振繰り返し周波数は数百Hz以上とするのが好ましく、1kHz以上とするのがより好ましい。
第1の実施形態では、穴あきミラーの穴にレーザー光を通過させる構成によりレーザー光の反射・散乱光が低減されるので、SNの向上を図ることが可能である。
図2は、本発明に係る第2の実施形態の構成図である。
レーザー装置1、穴あきミラー2、ガス測定空間3、レーザーカットフィルター4、バンドパスフィルター5、対物レンズ6、および受光器7は、第1の形態と同様である。本実施の形態では、前方散乱光を全反射ミラー8で反射し、前方散乱光と後方散乱光を同一の受光系で観察するので、受光機構は単一の受光系とする点で第1の実施形態と異なる。
本実施の形態では、散乱強度の大きい前方ラマン散乱光を全反射ミラーで後方に押し返して、後方散乱光と前方散乱光を合わせて測定することで大きな信号を得ることを可能としている。また、レーザー光も全反射ミラー8で後方に反射することによりさらに多くの前方散乱光を発生することができる。したがって、本実施の形態は、低濃度の測定に特に好適である。
図3は、本発明に係る第3の実施形態の構成図である。
レーザー装置1、穴あきミラー2、ガス測定空間3、レーザーカットフィルター4、バンドパスフィルター5、対物レンズ6、および受光器7は、第2の形態と同様である。本実施の形態では、全反射ミラー8の代わりに、全反射ミラー8と凹面回析光子9を組み合わせてなる反射機構を用いて、レーザー光を受光機構とは異なる方向に反射させ、前方ラマン散乱光だけを全反射ミラー8に反射させる点で第2の実施形態と異なる。すなわち、本実施の形態では、レーザー光とラマン散乱光の波長が異なることを利用し、回折格子とミラーを用いて特定波長の光だけを後方に反射させることを可能とした。
凹面回析光子9あるいは全反射ミラー8を可動して反射角を変更することにより、任意のガスに起因するラマン散乱光を受光機構側に反射させることが可能である。
図4は、本発明に係る第4の実施形態の構成図である。
本実施の形態では、レーザー光とラマン散乱光の伝送に光ファイバーを利用する構成であり、例えば、建造物の死角になった部分や暗渠部などにおけるガスを検知するのに適している。この実施の形態によれば、光ファイバーの先端に設けられた完全防爆型の非常に小さな検出部を構成することが可能である。
レーザー装置1からからパルス状に発振されたレーザー光は、ダイクロイックミラー10を透過し、光ファイバー12を伝送され、球レンズ13からガス測定空間3に入射される。ガス測定空間3で生じた前方ラマン散乱光は、全反射ミラー8により反射され、後方ラマン散乱光と共に球レンズ13を介して光ファイバー12に入射され、ダイクロイックミラー10により受光機構に反射される。
凸レンズ11は、レーザー光を光ファイバー端面に集光する集光レンズとして作用し、同時に光ファイバーから出るラマン散乱光の拡散を防止する(平行光に近くする)コリメートレンズとしての作用を奏する。レーザー光とラマン散乱光の波長が違うため焦点位置が異なるが、本実施の形態では、レーザー光の集光を優先し、ラマン散乱光の平行度を犠牲にしている(バンドパスフィルターは平行光が入射した場合に本来の特性が得られるが、実際の測定においては概ね平行光であれば問題はない)。
レーザー光を透過し、ラマン散乱光を反射するダイクロイックミラー10によって波長を選択する。前方および後方からのラマン散乱光測定強度はレーザー光の偏光に無関係であるので、シングルモード光ファイバーやマルチモード光ファイバーが利用できる(但し、レーザー光軸に対して横方向から測定する場合は、レーザー光の偏波面によって散乱光強度が大きく異なるため、偏波保持光ファイバーでレーザー光を伝送する必要がある)。
ラマン散乱光の信号強度は、
(レーザー光強度(光子数))×(分子数)×(ラマン散乱断面積)×(受光面積)×(距離)−2
で求められる(ただし吸収が無い場合)。ここで、(ラマン散乱断面積)はcm2・sr−1 、(受光面積)×(距離)−2は立体角となり、単位はsrである。この関係を図7に模式図的に示す。
図8は、分子数Nの測定対象ガスに強度Pのレーザー光線を照射し、O地点で発生したラマン散乱光を離隔距離Lで検出する場合の模式図である。受光開口面積をs、光学系効率をK、受光素子の量子効率(光→電流変換率)をγ、負荷抵抗をRとした場合の信号強度S(R)は、下記式1により算出することができる。
図5は、本発明に係る第5の実施形態の構成図である。
レーザー装置1からからパルス状に発振されたレーザー光は、光源側光ファイバー17に入射され、光ファイバーカプラ14、光ファイバー12および球レンズ13を介してガス測定空間3に照射される。ガス測定空間3で生じた前方ラマン散乱光は、全反射ミラー8により反射され、後方ラマン散乱光と共に球レンズ13を介して光ファイバー12に入射され、光ファイバーカプラ14により受光側光ファイバー18に入射され、受光機構に伝送される。
光学フィルターは平行光が入射した場合に本来の特性が得られるため、コリメートレンズ15により光ファイバーから出るラマン散乱光を平行光に近い状態にしている。
図6は、本発明に係る第6の実施形態の構成図である。
第6の実施形態では、レーザー光の伝送とラマン散乱光の伝送を2芯の光ファイバー19を用いて行う構成である。第5の実施形態の光ファイバーカプラ14と光ファイバー12が2芯の光ファイバー19に置き換えられた点以外は、第6の実施形態と同じである。
レーザー装置1からパルス状に発振された波長355nmのレーザー光は、球面両凹レンズ21および球面両凸レンズ22で拡径され、偏光ビームスプリッタ23、偏光解消板24、スペイシャルフィルター25を介して、照射断面積の大きい平行光としてガスセル3内に照射される。
本実施例では、ガスセル3からの前方ラマン散乱光を検出する第1の受光系と、後方ラマン散乱光を検出する第2の受光系を備える。第1の受光系は、カラーフィルター41a、エッジフィルター42a、バンドパスフィルター5a、球面平凸レンズ6aおよび受光器7aを備え、第2の受光系は、カラーフィルター41b、エッジフィルター42b、バンドパスフィルター5b、球面平凸レンズ6bおよび受光器7bを備える。
バンドパスフィルター5は、検出するガスに対応するものが選択されて使用される。異なるガスの濃度を順次測定できるように、受光器7a、7bの前には複数のバンドパスフィルターを備えたフィルター切換機構(図示せず)が設けられている。表2に各機器の仕様を示す。
実施例における測定条件は、レーザーの発振繰り返し周波数40Hz、光電子増倍管の印加電圧−650V、加算回数(平均化処理回数)256回、一回の測定時間6.4秒、データ処理時間0.1秒、測定間隔7秒であった。
ここで測定時間は、レーザーの発振繰り返し周波数を高くすることで短縮することができる。例えば、市販されているレーザー装置には、発振繰り返し周波数が1kHzのものがあり、これを使用すると測定時間は0.3秒程度となる。測定時間とデータ処理時間を合わせて0.4秒程度の時間となるので、0.5秒間隔での測定が実行可能となる。
図12は、大気中の窒素ガス(濃度約80%)の前方および後方ラマン散乱光の測定結果を示すグラフである。
実施例1のガスセンサによれば、穴あきミラーの穴にレーザー光を通過させる構成を採用することで、レーザー光の反射・散乱光を低減することでき、SNの向上を図ることが可能である。
符号1のレーザー装置、2の穴あきミラー、3のガスセル、5のバンドパスフィルター、6の対物レンズ、21の球面両凹レンズ、22の球面両凸レンズ、23の偏光ビームスプリッタ、24の偏光解消板、25のスペイシャルフィルターは、41のカラーフィルター、42のエッジフィルターおよびフィルター切換機構(図示せず)は、実施例1と同じである。
本実施例では、ガスセル3を挟んで穴あきミラー2と対向する全反射ミラー8を設けることにより、前方および後方ラマン散乱光を一の受光系により検出する点で実施例1と相違する。図13に、実施例2のガスセンサの構成図を、表3に全反射ミラー8の仕様を示す。
図15は、大気中の窒素ガス(濃度約80%)濃度80%の窒素ガスの前方および後方ラマン散乱光の測定結果を示すグラフである。なお、後方散乱光のみの測定は、全反射ミラー8を外して行った。
2 穴あきミラー
3 ガス測定空間(ガスセル)
4 レーザーカットフィルター
5 バンドパスフィルター
6 集光レンズ
7 受光器
8 全反射ミラー
9 凹面回析格子
10 ダイクロイックミラー
11 凸レンズ
12 光ファイバー
13 集光レンズ(球レンズ)
14 光ファイバーカプラ(ビームスプリッタ)
15 コリメートレンズ
17 光源側光ファイバー
18 受光側光ファイバー
19 2芯光ファイバー
21 球面両凹レンズ
22 球面両凸レンズ
23 偏光ビームスプリッタ
24 偏光解消板
25 スペイシャルフィルター
26 レーザービームダンパ
Claims (3)
- 測定対象ガスが導入されるガスセルと、
ガスセルにレーザー光を照射するレーザー装置と、
ガスセルからのラマン散乱光を反射する反射機構と、
反射機構により反射された前方および後方ラマン散乱光を集光するための波長選択フィルターを有する単一の受光機構と、
ガスセルにレーザー光を入射し、ガスセルからの前方および後方ラマン散乱光を前記単一の受光機構に伝送する光ファイバーと、
ガスセルからの前方および後方ラマン散乱光を前記光ファイバーの端面に集光する集光レンズと、
前方および後方ラマン散乱光に基づき測定対象ガスの濃度を算出する演算部と、を備え、検出対象となる一のガスの種別に応じた波長選択フィルターを選択可能に構成されたガスセンサであって、
前記反射機構が、前記集光レンズと対向して設けられ、レーザー光およびガスセルからの前方ラマン散乱光を反射する前方反射部材を備え、
前記ガスセル、前記集光レンズおよび前記前方反射部材が前記光ファイバーのケーブルで接続された可動自在な完全防爆型の検出部を構成することを特徴とするガスセンサ。 - 前記反射機構が、レーザー光を通過させ、かつ、前記単一の受光機構へ前方および後方ラマン散乱光を導光する後方反射部材を備えることを特徴とする請求項1のガスセンサ。
- 前記光ファイバーが、前記レーザー装置と光学的に接続される第1の光ファイバー(17)と、前記ガスセルと光学的に接続される第2の光ファイバー(12)と、前記受光機構と光学的に接続される第3の光ファイバー(18)とからなり、
さらに、第1ないし第3の光ファイバーと光学的に接続される光ファイバーカプラを備えることを特徴とする請求項1のガスセンサ。
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