JP5666065B1 - スイッチング電源回路およびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

トランス6の1次巻線11に直列に接続されるスイッチング素子7、トランス6の2次巻線21〜23,B1にダイオードD21〜D24を介して接続されるコンデンサC21〜C24および、コンデンサC21〜C24の充電電圧に基づいてスイッチング素子7のオン/オフ動作を制御する電源制御用IC8を備え、全体を制御する制御回路2は、主電源5に電源が供給されてからコンデンサC21〜C24に指令電圧が充電され、さらに予め設定されたディレイ時間の経過後に、主回路3および周辺機器回路4が動作を開始するように制御する。

Description

本発明は、スイッチング電源回路およびその制御方法に関する。
一般的に家電、産業用機器、車載用機器といった様々な電子機器は、複数の回路で構成されている。例えば、モータを可変速制御するインバータ装置に代表される電力変換装置は、モータに交流電力を供給するパワーモジュールを含む主回路、発熱したパワーモジュールを冷却するため、冷却ファンを駆動したり、モータの制御、動作に直接関わらない機器を動作させたりする周辺機器回路、マイクロコンピュータ、CPU、ASIC、FPGAといった演算処理装置が搭載され、モータを駆動する主回路にモータ駆動信号を送信したり、周辺機器回路の動作等、電力変換装置の動作全体を制御する制御回路、そしてこれらの各回路の動力源となる電力を供給する電源回路などによって構成されている。
一般的に電源回路は、変換効率が高いスイッチング電源回路が用いられている。前述のような電力変換装置の場合、電源回路の動力源となる主電源から伝達されてしまうノイズの影響を除去するため、あるいは感電防止のためなどの理由により、絶縁トランスを用いたスイッチング電源回路が用いられる。
スイッチング電源回路は、スイッチング素子、1次巻線および1つまたは複数の2次巻線を備えスイッチング素子を介して1次巻線に主電源が接続される絶縁トランス、絶縁トランスの2次巻線に接続されるダイオード、絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されるコンデンサならびに、スイッチング素子のオン/オフを制御する制御電源制御用ICといった部品によって構成される。電源制御用ICは、コンデンサの電圧値に基づいてスイッチング素子のオン/オフを制御している。スイッチング電源回路は、このオン/オフ動作により、電力の流れを制御することを基本としている。
絶縁トランスの2次巻線が1つの場合、電源制御用ICは、当該2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサの電圧値に基づいて、スイッチング素子のオン/オフの制御を行っている。これに対し、絶縁トランスに複数の2次巻線がある場合、電源制御用ICは、ある1つの2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサの電圧値に基づいて、スイッチング素子のオン/オフ制御を行うのが一般的である。
一般的に、電源制御用ICには、ダイオードを介して2次巻線に接続されたコンデンサの電圧に基づいてスイッチング素子のオン/オフ制御を行う機能と、1次巻線およびスイッチング素子に流れる電流を監視し、過大な電流が流れた場合、スイッチング素子を強制的にオフする過電流保護を行うという機能がある。
スイッチング電源回路には、電源投入時、絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサの電圧がない状態(以降、「起動時または起動中」という)と、絶縁トランスの2次巻線で生成する電力が安定供給され、コンデンサの電圧が、予め設定された所望の電圧(以下「指令電圧」という)となった状態(以降、「定常時または定常状態」という)がある。
起動時は、絶縁トランスの1次巻線に蓄積する電力エネルギーが大きくなるため、1次巻線およびスイッチング素子には過大な電流が流れる。このため、電源制御用ICの過電流保護動作が働き、スイッチング素子は強制的にオフする。その後、過電流保護動作は解除され、再びスイッチング素子はオンするが、再度の過電流保護動作によりスイッチング素子はオフする。この動作が繰り返され、2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサに電圧が充電され、定常状態になる。
これに対し、定常状態は、2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサの電圧は、指令電圧に充電されているため、1次巻線およびスイッチング素子に過大な電流は流れない。しかし、スイッチング電源回路、2次巻線に接続された回路等になんらかの異常があり、1次巻線およびスイッチング素子に過大な電流が流れた場合、電源制御用ICの過電流保護動作が働く。
電源制御用ICの過電流保護動作は、スイッチング電源回路の構成部品であるスイッチング素子およびダイオードの熱破壊、絶縁トランスの磁気飽和などを防ぐためのものである。過電流保護を動作させる電流値(以降、「過電流保護レベル電流値IDOC」という)を下げることができれば、スイッチング電源回路、2次巻線に接続された回路等になんらかの異常が発生し、1次巻線もしくはスイッチング素子に過大な電流が流れた場合、スイッチング素子の動作をすばやく遮断することができる。このため、熱容量の小さいスイッチング素子およびダイオードを採用することができるとともに、絶縁トランスの磁気飽和を防ぐことができるため、絶縁トランスの小型化も図ることができる。
例えば、2次巻線にダイオードを介して接続された回路負荷がなんらかの異常により増大した場合、2次巻線およびダイオードに過大な電流が流れると同時に、1次巻線およびスイッチング素子に流れる電流も増大する。1次巻線およびスイッチング素子に流れる電流が過電流保護レベル電流値IDOCに到達すれば、スイッチング素子は強制的にオフとなり、2次巻線への電力供給は停止される。
しかしながら、過電流保護レベル電流値IDOCを下げると、スイッチング電源回路の起動時、1次巻線に十分な電力エネルギーを蓄積することができず、2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサに対し、所望の電圧に充電することができない。そのため、コンデンサに指令電圧が充電できるような過電流保護レベル電流値IDOCを設定する必要がある。
前述の理由により、起動時に必要となる過電流保護レベル電流値IDOCに設定するため、定常時では必要のない熱容量の大きいスイッチング素子およびダイオードが必要となる。これと同時に絶縁トランスの磁気飽和防止のため、絶縁トランスも大型化し、スイッチング電源回路が大型化、コストアップするという問題がある。
上述の問題に対し、下記特許文献1には、電源制御用ICの過電流保護レベル電流値IDOCを変更する技術で、電源制御用ICの電力源となり、補助巻線にダイオードで接続されたコンデンサの電圧値を、電源制御用ICにて監視し、1次巻線およびスイッチング素子に流れる電流に対する過電流保護レベル電流を変更する技術が開示されている。例えば、前記コンデンサの電圧値が低い場合は、起動時、あるいは2次巻線に接続された回路の過負荷、短絡等が発生したものと判断し、小さい過電流保護レベル電流値IDOC(以降、「過負荷時過電流保護レベル電流値IDOC」という)を設定し、前記コンデンサの電圧値が指令電圧に到達した場合は、定常状態と判断し、従来の過電流保護レベル電流値IDOC(以降、「従来過電流保護レベル電流値IDOC」といい、過負荷時過電流保護レベル電流値IDOCよりも大きな値に設定される)を設定するように、電源制御用ICが動作をする。また、起動時のみ、過電流保護レベル電流値IDOCの変更を禁止し、スイッチング電源回路の起動を迅速に行うようにしている。上記動作により、ダイオードおよびスイッチング素子の熱容量を下げることができるため、スイッチング電源回路の構成部品を小型化することができると示されている。
特開2003−299351号公報
しかしながら、上記特許文献1に示された技術は、1次巻線、1つの2次巻線および電源制御用ICの電力源を生成する補助巻線で構成される絶縁トランスを使用するスイッチング電源回路では有効であるが、複数の2次巻線を備えた絶縁トランスを使用する場合には適さない。前述のように、スイッチング電源回路は、ある1つの2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサの電圧を電源制御用ICで監視し、スイッチング素子のオン/オフの制御を行っている。電源制御用ICが監視しない他の2次巻線に接続された回路に過負荷、短絡等の異常が発生し、電源制御用ICが監視するコンデンサの電圧が低下しない場合、過電流保護が動作する電流値は、過負荷時過電流保護レベル電流値IDOCに変更されず、従来過電流保護レベル電流値IDOCのままであり、スイッチング素子および、過負荷、短絡等が発生した回路に接続されたダイオードにも過大な電流が流れ続け、スイッチング素子およびダイオードが発熱する。そのため、熱破損を防ぐために、熱容量の大きな部品を使用しなければならない。
また、特許文献1に示された技術の場合、前述のように、補助巻線で発生する電圧値を監視することを前提とした技術であるため、DC12V電源、DC24V電源などの低電圧直流電源を主電源とし、絶縁トランスに補助巻線を備えることなく、直接低電圧直流電源を電源制御用ICの電源端子と接続するような、補助巻線を持たない絶縁トランスを使用したスイッチング電源回路には適用できない。すなわち、必ず補助巻線が必要となり、絶縁トランスの小型化の妨げになる。
また、特許文献1に示された技術は、電源制御用ICの動作を複雑にしており、電源制御用IC自体のコストアップにもつながる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、スイッチング電源回路の構成部品であるスイッチング素子、ダイオード、絶縁トランスを小型化し、低コスト化が図れるスイッチング電源回路およびその制御方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、電子機器の動作全体を制御する制御回路、前記電子機器の実動作を行う主回路および前記電子機器の実動作に関わらないその他の回路に対する動作電力を、主電源の電力に基づいて生成する動作を行うスイッチング電源回路であって、1次巻線と1つ以上の2次巻線により構成される絶縁トランスと、前記絶縁トランスの1次巻線に直列に接続され、オン/オフ制御されることによって前記主電源から前記1次巻線に電力供給を行うスイッチング素子と、前記絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されるコンデンサと、前記コンデンサの充電電圧に基づいて前記スイッチング素子のオン/オフ動作を制御する電源制御用ICと、前記2次巻線および前記ダイオードに電流が流れる時間を推定可能な時間要素を検出し、前記制御回路に検出結果を出力する2次巻線導通時間検出部と、を備え、前記制御回路は、前記主電源に電源が供給されてから前記コンデンサに予め設定された所望の電圧が充電され、前記所望の電圧が充電されてから、前記2次巻線導通時間検出部の出力信号に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作を制御することを特徴とする。
この発明によれば、スイッチング電源回路の構成部品であるスイッチング素子、ダイオード、絶縁トランスを小型化し、低コスト化が図れる、という効果を奏する。
図1は、実施の形態1にかかるスイッチング電源回路およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図である。 図2は、制御回路の構成例を示すブロック図である。 図3は、電源制御用ICの動作を説明する図である。 図4は、電源制御用ICの過電流保護動作を説明する図である。 図5は、電源投入時から定常状態に遷移する際のスイッチング電源回路の動作の変化を示す図である。 図6は、定常時のスイッチング電源回路の動作を説明する図である。 図7aは、主電源の電源電圧の変化に対するスイッチング電源回路の1次側の動作の変化を説明する図である。 図7bは、主電源の電源電圧の変化に対するスイッチング電源回路の2次側の動作の変化を説明する図である。 図8aは、過電流保護レベル電流値IDOCの設定がIDOC1のときの電流IDおよび電圧V2の動作波形を示す図である。 図8bは、過電流保護レベル電流値IDOCの設定がIDOC2(<IDOC1)のときの電流IDおよび充電電圧V2の動作波形を示す図である。 図9は、実施の形態1のスイッチング電源回路による効果を説明する図である。 図10は、実施の形態2にかかるスイッチング電源回路およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図である。 図11は、電源電圧判定部を演算処理部内にてサンプリング時間sTの離散時間系で構成する場合の一例を示す図である。 図12は、実施の形態2のスイッチング電源回路による動作および効果を説明する図である。 図13は、実施の形態3にかかる電源電圧検出部の構成例を示すブロック図である。 図14は、電圧抽出部の内部構成例を示すブロック図である。 図15は、反転増幅部の内部構成例を示すブロック図である。 図16は、電源電圧検出部の動作を説明する図である。 図17は、実施の形態4にかかるスイッチング電源回路およびその他の回路を搭載した電子機器 に関する要部構成を示すブロック図である。 図18は、制御回路に設けられるスイッチング動作判定部の内部構成例を示すブロック図である。 図19は、実施の形態4のスイッチング電源回路による動作および効果を説明する図である。 図20は、実施の形態4にかかるスイッチング動作検出部の構成例を示す図である。 図21は、実施の形態4にかかるスイッチング動作検出部の動作を説明する図である。 図22は、時間幅を計測する時間幅計測部の構成例を示す図である。 図23は、キャプチャ部の動作を説明する図である。 図24は、実施の形態5にかかるスイッチング電源回路およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図である。 図25は、実施の形態5にかかる制御回路の構成例を示すブロック図である。 図26は、変更した第1のステップの動作を説明する図である。 図27は、実施の形態6にかかるスイッチング電源回路およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図である。 図28は、2次巻線導通時間検出部の内部構成を示すブロック図である。 図29aは、制御回路の消費電流が小さいときの当該制御回路における要部の動作波形を示す図である。 図29bは、制御回路の消費電流が中程度のときの当該制御回路における要部の動作波形を示す図である。 図29cは、制御回路の消費電流が大きいときの当該制御回路における要部の動作波形を示す図である。 図30は、2次巻線導通時間検出部の入力信号と出力信号の挙動を示す図である。
以下に添付図面を参照し、本発明の実施の形態にかかるスイッチング電源回路およびその制御方法について説明する。なお、以下に示す実施の形態により本発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかるスイッチング電源回路およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図である。図1では、インバータ装置に搭載した例を示しており、スイッチング電源回路1、制御回路2、主回路3、周辺機器回路4、主電源5を有して構成される。制御回路2は、電子機器の動作全体を制御し、スイッチング電源回路1は、電子機器の実動作を行う主回路3および電子機器の実動作に関わらない主回路3以外の回路(その他の回路)に対する動作電力を、主電源の電力に基づいて生成する。
スイッチング電源回路1の構成について説明する。スイッチング電源回路1は、1次巻線11、3つの2次巻線21,22,23および1つの補助巻線B1を備えるフライバック型絶縁トランス(以降、単に「トランス」という)6ならびに、スイッチング素子7を有する。
トランス6の1次巻線11の巻き始め側には主電源5の+端子が接続され、トランス6の1次巻線11の巻き終わり側にはスイッチング素子7のドレイン端子が接続され、スイッチング素子7のソース端子と主電源5の−端子とが接続されている。スイッチング素子7のゲート端子は電源制御用IC8の信号出力端子84に接続されている。
トランス6の2次巻線21の巻き終わり側には、2次巻線21の出力電圧を整流するダイオードD21のアノード端子が接続され、ダイオードD21のカソード端子にはダイオードD21にて整流された電圧を充電するコンデンサC21の一端が接続される。コンデンサC21の他端は、トランス6の2次巻線21の巻き始め側と接続されている。さらに、2次巻線21の巻き始め側は、グランドGND2とも接続されている。なお、コンデンサC21の充電電圧V2は、制御回路2に印加され、制御回路2の電力として使用される。
トランス6の2次巻線22の巻き終わり側には、2次巻線22の出力電圧を整流するダイオードD22のアノード端子が接続され、ダイオードD22のカソード端子にはダイオードD22にて整流された電圧を充電するコンデンサC22の一端が接続される。コンデンサC22の他端は、トランス6の2次巻線22の巻き始め側と接続されている。さらに、2次巻線22の巻き始め側は、グランドGND3とも接続されている。なお、コンデンサC22の充電電圧V3は、主回路3の電力として使用するため、主回路3に接続されている。
トランス6の2次巻線23の巻き終わり側には、2次巻線23の出力電圧を整流するダイオードD23のアノード端子が接続され、ダイオードD23のカソード端子にはダイオードD23にて整流された電圧を充電するコンデンサC23の一端が接続される。コンデンサC23の他端は、トランス6の2次巻線23の巻き始め側と接続されている。さらに、2次巻線23の巻き始め側は、グランドGND4とも接続されている。なお、コンデンサC23の充電電圧V4は、周辺機器回路4の電力として使用するため、周辺機器回路4に接続されている。
トランス6の補助巻線B1の巻き終わり側には、補助巻線B1の出力電圧を整流するダイオードD24のアノード端子が接続され、ダイオードD24のカソード端子には、ダイオードD24にて整流された電圧を充電するコンデンサC24の一端が接続される。コンデンサC24の他端は、トランス6の補助巻線B1の巻き始め側と接続されている。さらに、補助巻線B1の巻き始め側は、主電源5の−端子とも接続されている。なお、コンデンサC24の充電電圧V5は、電源制御用IC8の電力として使用するため、電源制御用IC8の電源端子81に接続されている。電源制御用IC8の電源端子81は、抵抗R4を介して主電源5のプラス端子に接続されている。また、電源制御用IC8のグランド端子82は主電源5のマイナス端子に接続されている。
なお、トランス6の各定数は以下のようになっている。
・巻線数:1次巻線11:N11、2次巻線21:N21、2次巻線22:N22、2次巻線23:N23、補助巻線:NB1
・インダクタンス:1次巻線11:L11、2次巻線21:L21、2次巻線22:L22、2次巻線23:L23、補助巻線:LB1
・コアの有効断面積:Ae
また、スイッチング電源回路1の動作に関する各定数は以下のようになっている。
・スイッチング周波数:fsw(動作周波数固定のPWM制御方式とする)
・スイッチング電源回路1における入力出力間の効率:η(η=出力電力/入力電力)
コンデンサC21の充電電圧V2を抵抗R1と抵抗R2にて分圧され、フィードバック電圧VFBとして生成される。フィードバック電圧VFBは、エラーアンプ9のマイナス端子に入力される。エラーアンプ9のプラス端子には基準電源Vrefのプラス端子が接続される。なお、フィードバック電圧VFBは、充電電圧V2が指令電圧になったときが基準電源Vrefと同じ電圧値になるように抵抗R1と抵抗R2によって分圧される。
基準電源Vrefのマイナス端子は、グランドに接続される。エラーアンプ9の出力端子には抵抗R3を介してフォトカプラOIのダイオード側カソード端子が接続されている。なお、フォトカプラOIのダイオード側アノード端子には、コンデンサC21に充電されている充電電圧V2が印加される。
フォトカプラOIのトランジスタ側コレクタ端子は、電源制御用IC8の入力端子83と接続され、フォトカプラOIのトランジスタ側エミッタ端子は、主電源5のマイナス端子および電源制御用IC8のグランド端子82と接続されている。
制御回路2の構成および動作について説明する。図2は、制御回路2の構成例を示すブロック図である。制御回路2は、図1に示すインバータ装置の動作全体を制御する機能を備え、マイクロコンピュータ、CPU、ASIC、FPGA等を具備する演算処理部210、EEPROM、フラッシュROM等を具備する記憶保持部220によって構成される。
演算処理部210は、インバータ装置全体の動作を制御する機能を備える。主回路3に対し制御信号soutを出力するとともに、周辺機器回路4に対し制御信号foutを出力する。また、記憶保持部220と信号ラインで接続され、互いに情報の送受信を行っている。記憶保持部220には、スイッチング電源回路1に関連する情報が格納されている。例えば、前述のトランス6の各定数、スイッチング電源回路1の各定数、各2次巻線21,22,23にダイオードD21,D22,D23を介して接続された回路の消費電力に関する情報などが挙げられる。これらの情報は、演算処理部210に対し適宜送信される。
主回路3について説明する。一般的に、主回路3は、モータ(図示せず)を可変速制御するためにモータに交流電力を供給することができるパワーモジュール(図示せず)、このパワーモジュールを駆動するための駆動回路(図示せず)などを備える。駆動回路は、コンデンサC22の電力、制御回路2から出力される制御信号soutに基づいて動作し、パワーモジュールを駆動し、モータに交流電力を供給し、モータを回転させる。
周辺機器回路4の構成および動作について説明する。周辺機器回路4は、モータの駆動には直接関わらない機器など(例えば、冷却ファンなど)を駆動する回路であり、制御回路2から出力される制御信号foutに基づいて動作している。
主電源5について説明する。主電源5は、スイッチング電源回路1の動力源となる。主電源5として、実施の形態1では直流電源を記載しているが、単相交流電源または三相交流電源をダイオード等で整流してから平滑用コンデンサに充電し、平滑用コンデンサを動力源として使用する構成でもよい。また、直流電源の電力を平滑用コンデンサに充電し、平滑用コンデンサを動力源として使用する構成でもよい。
スイッチング素子7について説明する。スイッチング素子7は、主電源5を動力源として、スイッチングのオン/オフによって電力の流れを制御しており、電源制御用IC8から出力されるオン/オフ信号に基づいて動作を行う。実施の形態1では、スイッチング素子7はMOSFETで示しているが、その他のスイッチング素子を用いてもよい。
スイッチング電源回路1の動作を説明する。スイッチング電源回路1は、スイッチング素子7のオン/オフ動作により、主電源5から供給される電力を制御することで、トランス6の3つの2次巻線21,22,23および補助巻線B1に電力を発生させ、各整流ダイオードD21,D22,D23,D24を介してそれぞれのコンデンサC21,C22,C23,C24の電圧を生成している。スイッチング素子7のオン/オフ動作を制御しているのは、電源制御用IC8である。電源制御用IC8は、コンデンサC21の充電電圧V2に基づいて、スイッチング素子7のオン時間Ton、オフ時間Toff、あるいはスイッチング周波数fswを制御している。
(電源制御用ICの動作説明その1:オンオフ信号出力)
電源制御用IC8の動作の詳細について説明する。図3に、電源制御用IC8の動作を説明する図を示す。電源制御用IC8の動作は、エラーアンプ9およびフォトカプラOIの動作により決定される。コンデンサC21の充電電圧V2は、抵抗R1,R2によって分圧され、分圧された電圧はフィードバック電圧VFBとしてエラーアンプ9のマイナス端子に入力される。エラーアンプ9は、プラス端子に入力される基準電源Vrefの電圧値と、マイナス端子に入力されるフィードバック電圧VFBとの比較を行い、フィードバック電圧VFBと基準電源Vrefの差が小さくなるように出力端子から出力V9outを出力する。出力V9outは、フィードバック電圧VFBが基準電源Vrefよりも小さい場合、(つまり、充電電圧V2が指令電圧V2refよりも小さい場合)、V9outは増加する。一方、フィードバック電圧VFBが基準電源Vrefよりも大きい場合(充電電圧V2が指令電圧V2refよりも大きい場合)、V9outは減少する。
コンデンサC21の充電電圧V2と出力V9outの電圧差と、抵抗R3により、フォトカプラOIのダイオードに流れる電流IFは式(1)で表すことができる。
IF=(V2−V9out)/R3 …(1)
充電電圧V2が指令電圧V2refより大きい場合、エラーアンプ9の出力V9outは大きくなるため、電流IFは小さくなる。一方、充電電圧V2が指令電圧V2refより小さい場合、エラーアンプ9の出力V9outは小さくなるため、電流IFは大きくなる。
フォトカプラOIのトランジスタに流れる電流ITは、電流IFの大きさにより決定される。電流IFが大きい場合、つまり、充電電圧V2と出力V9outの差が大きい場合、フォトカプラOIのトランジスタに流れる電流ITが大きくなる。電流ITが増加すると、電源制御用IC8はオン時間Tonが短くなるように制御し、スイッチング素子7のオン時間Tonは短くなる。一方、充電電圧V2と出力V9outの差が小さく、電流IFが小さい場合、フォトカプラOIのトランジスタに流れる電流ITは小さくなり、電源制御用IC8はオン時間Tonが長くなるように制御し、スイッチング素子7のオン時間Tonは長くなる。
以上から、電源制御用IC8は、コンデンサC21の充電電圧V2を指令電圧V2refにするために、エラーアンプ9、フォトカプラOIにより、コンデンサC21の充電電圧V2を監視し、その監視結果に基づき、スイッチング素子7のオン信号およびオフ信号をスイッチング素子7のゲート端子に出力する機能を備える。
(電源制御用ICの動作その2:過電流保護動作)
つぎに、電源制御用IC8の過電流保護動作について説明する。図4に、電源制御用IC8の過電流保護動作を説明する図を示す。実線は、電源制御用IC8による過電流保護動作が有効であるときの動作であり、破線は、電源制御用IC8による過電流保護動作が無効であるときの動作を示している。
電源制御用IC8の信号出力端子84からスイッチング素子7のゲート端子に、オン信号が出力されると、スイッチング素子7がオンする。スイッチング素子7がオンすることにより、1次巻線11に、主電源5の電力が供給され、1次巻線11およびスイッチング素子7に電流IDが流れる。電流IDは、電源制御用IC8によって監視される。電源制御用IC8の過電流保護レベル電流値がIDOCである場合、電流IDが電流IDOCに達するか、あるいはこの値を越えると、過電流保護動作により、信号出力端子84から出力されているオン信号は遮断され、スイッチング素子7は強制的にオフに制御される(図示A部の波形を参照)。
以上から、電源制御用IC8は、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDを監視し、過電流保護レベル電流値IDOCと比較を行う。電流IDが過電流保護レベル電流IDOC以上となった場合、スイッチング素子7を強制的にオフにする機能を備える。
つぎに、スイッチング電源回路1に接続された主電源5に電源を供給してから、コンデンサC21の充電電圧V2が指令電圧V2refになるまでの動作について、図5を用いて説明する。図5は、電源投入時から定常状態に遷移する際のスイッチング電源回路1の動作の変化を示す図であり、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDならびに、コンデンサC21の充電電圧V2の動作を示している。時刻t00は、主電源5に電源が供給された時間である。時刻t00〜t01の期間は、コンデンサC21の電圧V2が指令電圧V2refまで充電されていない期間(以降、「起動時または起動中」という)、時刻t01以降の期間は、コンデンサC21の電圧V2が指令電圧V2refを維持している期間(以降、「定常時または定常状態」という)である。
時刻t00について説明する。前述のように時刻t00は、主電源5に電源を供給した時刻であり、スイッチング電源回路1が動作を始める時刻である。このとき、コンデンサC24には電圧が充電されておらず、制御電源用IC8は動作できない。そのため、スイッチング電源回路1の動作開始時は、主電源5から抵抗R4を介して電源制御用IC8に電力が供給され、電源制御用IC8が動作を開始する。電源制御用IC8が動作を始めると、前述式(1)に基づいて、スイッチング素子7がオン/オフ動作を始める。スイッチング素子7がオンのとき、1次巻線11およびスイッチング素子7には電流IDが流れ、1次巻線11に電力が蓄積される。このとき、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1には電力は蓄積されない。スイッチング素子7がオフすると、1次巻線11に蓄積されたエネルギーが、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に送られ、ダイオードD21,D22,D23,D24を介してコンデンサC21,C22,C23,C24に電流が流れて充電される。
時刻t00〜t01について説明する。この期間は、コンデンサC21には電圧が充電されていないため、前述式(1)からも分かるように、IFはほぼ流れない状態である。この場合、スイッチング素子7のオン時間は、電源制御用IC8の許容最大オン時間までオンする。オン時間が長くなると、スイッチング素子7に流れる電流IDは大きくなり、電源制御用IC8の過電流保護レベル電流値IDOCまで到達する。電流IDが過電流保護レベル電流値IDOCまで到達すると、過電流保護動作により、図示B部に示されるように電源制御用IC8はスイッチング素子7のスイッチング動作をオフにさせる。そして、次にオンさせる時間になるまでスイッチング素子7はオフ状態を保持する。コンデンサC21の充電電圧V2が指令電圧V2refに到達するまで、これらの動作を繰り返す。
時刻t01以降の動作について説明する。コンデンサC21の電圧V2が指令電圧V2refまで充電されると、スイッチング素子7のオン時間は適正な時間となり、過大な電流も流れなくなる。そして、同様に他のコンデンサ(C22〜C24)の電圧も十分に電圧が充電された状態になる。コンデンサC24の電圧が十分に充電されると、電源制御用IC8は、コンデンサC24の充電電圧V5を電源として動作する。
つぎに、定常状態におけるスイッチング電源回路1の動作について説明する。図6は、定常時のスイッチング電源回路1の動作を説明する図であり、定常状態のトランス6の1次巻線11の端子間電圧V11、2次巻線21の端子間電圧V21、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDならびに、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21の動作を示している。なお、2次巻線22,23、補助巻線B1およびそれぞれに接続されたダイオードD22,D23,D24の動作は、図6に示す2次巻線21およびダイオードD21等と同様の動作となるので、説明は省略する。
(スイッチング素子7がオンしたときの動作)
スイッチング素子7がオンしているとき、1次巻線11の端子間電圧V11は、主電源5の電源電圧V1と同一になり、1次巻線11およびスイッチング素子7には、電流IDが流れ、1次巻線11にエネルギーが蓄積され、トランス6のコアが磁化される。この際、2次巻線21の端子間には、巻線比N21/N11×V11の電圧がマイナス方向に発生するが、ダイオードD21により、2次巻線21およびダイオードD21には電流が流れない。
(スイッチング素子7がオフしたときの動作)
スイッチング素子7がオフしているとき、2次巻線21,22,23および補助巻線B1に電力が供給される。このため、2次巻線21の端子間電圧V21には、プラス方向に電圧が発生する。これに対し、1次巻線11の端子間電圧V11には、巻線比N11/N21×V21の電圧がマイナス方向に発生する。このとき、スイッチング素子7はオフしているので、スイッチング素子7には電流が流れない。これに対し、ダイオードD21には電流I21が流れる。
つぎに、主電源5の電源電圧と、スイッチング電源回路1の動作との関係について図7を用いて説明する。図7は、主電源の電源電圧の変化に対するスイッチング電源回路1の動作の変化を説明する図である。なお、スイッチング電源回路1の動作条件は以下のとおりとする。
(スイッチング電源回路1の動作条件)
・スイッチング周波数はfswで固定
・2次巻線に接続された回路負荷は固定、すなわちスイッチング電源回路1が供給する電力負荷は固定
・主電源5の電源電圧のみが変化
図7aは、1次巻線11の端子間電圧V11と、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDの動作波形を示している。図7bは、2次巻線21の端子間電圧V21と、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21の動作波形を示している。破線は、主電源5の電源電圧がVinの場合の動作波形を示している。実線は、主電源5の電源電圧が(1+α)×Vin(αは正の実数とする)の場合の動作波形を示している。
図7aについて説明する。前述のようにスイッチング素子7がオンすると、1次巻線11に主電源5の電力が供給され、1次巻線11およびスイッチング素子7に電流IDが流れる。主電源5の電源電圧がVinのとき、スイッチング素子7のオン時間はTonに対し、電源電圧が(1+α)×Vinのとき、スイッチング素子7のオン時間はTon−ΔTonと短くなる。スイッチング素子7がオフすると、1次巻線11およびスイッチング素子7に電流は流れなくなる。主電源5の電源電圧がVinのとき、スイッチング素子7のオフ時間はToffに対し、電源電圧が(1+α)×Vinのとき、スイッチング素子7のオフ時間はToff+ΔTonと長くなる。
(数式を使用した図7aの原理説明)
つぎに、図7aの原理について数式を使って説明する。スイッチング電源回路1の動作は、1次巻線に印加される電圧値と、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続される回路の総電力負荷により決定される。スイッチング電源回路1が定常時の2次巻線21,22,23および補助巻線B1の総電力負荷をPall、スイッチング電源回路1全体の効率をηとすると、定常時における1次巻線11に必要となる電力Pinは式(2)で表すことができる。
Pin=Pall/η …(2)
1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDのピーク電流をIDp、スイッチング素子7のオン時間をTon、1次巻線11のインダクタンスをL11とすると、IDpは式(3)で表すことができる。
IDp=V1/L11×Ton …(3)
1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDのピーク電流をIDp、平均電流をIDave、スイッチング素子7のオン時間をTon、スイッチング素子7のオフ時間をToffとすると、平均電流IDaveは式(4)で表すことができる。
IDave=1/2×IDp×Ton/(Ton+Toff)…(4)
電力Pinは、主電源5の電源電圧V1と、平均電流IDaveから、式(5)で表すことができる。
Pin=IDave×V1 …(5)
スイッチング素子7の動作の周期をTallとすると、周期Tallは式(6)で表すことができる。
Tall=Ton+Toff …(6)
また、スイッチング電源回路1が動作しているスイッチング周波数fswと、周期Tallとは式(7)の関係がある。
fsw=1/Tall …(7)
電力Pinは、ピーク電流IDp、スイッチング周波数fsw、1次巻線のインダクタンスL11から式(8)で表すことができる。
Pin=1/2×L11×IDp×fsw …(8)
式(8)から、ピーク電流IDpは式(9)で表すことができる。
IDp=√(2×Pin/(fsw×L11)) …(9)
前述の図7のスイッチング電源回路1の動作条件および式(2)から電力Pinは、効率ηが一定であるとすれば、主電源5の電源電圧V1に関わらず一定である。前述のように式(9)はピーク電流IDpを表している。式(9)の構成要素であるfsw、L11は固定値であるので、電力Pinが一定であれば、ピーク電流IDpも一定となる。
式(5)は、前述のように、主電源5の電源電圧V1と平均電流IDaveから電力Pinを算出している。主電源5の電源電圧V1がVinのときの平均電流をIDave1、電源電圧が(1+α)×Vinのときの平均電流をIDave2とすると、以下のように表すことができる。
IDave1=Pin/Vin …(10)
IDave2=Pin/((1+α)×Vin) …(11)
これらの式(10)および式(11)は、主電源5の電源電圧V1が高いと、1次巻線11およびスイッチング素子7に必要となる平均電流IDaveが小さくなるということを示している。
式(4)に式(6)の結果を使用すると、式(4)は以下のように表すことができる。
IDave=1/2×IDp×Ton/Tall (12)
式(12)をスイッチング素子7のオン時間Tonの式に変形すると式(13)で表すことができる。
Ton=2×IDave×Tall/IDp
=2×IDave/fsw/IDp …(13)
式(10)および式(11)にてそれぞれ算出したIDave1,IDave2を式(13)に入力し、算出するスイッチング素子7のオン時間を、それぞれTon1,Ton2とすると、以下のように表すことができる。
Ton1=2×IDave1/fsw/IDp
=2×Pin/Vin/fsw/IDp …(14)
Ton2=2×IDave2/fsw/IDp
=2×Pin/((1+α)×Vin)/fsw/IDp
=1/(1+α)×2×Pin/Vin/fsw/IDp
=1/(1+α)×Ton1 …(15)
オン時間Ton1とオン時間Ton2の差をΔTonとすると、以下のように表すことができる。
ΔTon=Ton1−Ton2
=Ton1−1/(1+α)×Ton1
=(α/(1+α))×Ton1 …(16)
また、式(16)のTon1をTonと置き換えると、以下のように表すことができる。
ΔTon=(α/(1+α))×Ton …(17)
さらに、式(15)のTon1をTonに置き換えると、以下のように表すことができる。
Ton2=(1/(1+α))×Ton …(18)
式(17)、式(18)は主電源5の電源電圧V1を上げると、スイッチング素子7のオン時間が短くなることを示している。例えば、主電源5の電源電圧V1を(1+α)倍にした場合、スイッチング素子7のオン時間は(1/(1+α))倍になることを示している。
(数式を使用した図7bの原理説明)
つぎに、図7aのときと同様に、図7bの原理について数式を使って説明する。前述のようにスイッチング素子7がオンしているとき、2次巻線21およびダイオードD21には電流が流れない。スイッチング素子7がオフしているときに、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる。図7aと同様に、主電源5の電源電圧がVinのとき、スイッチング素子7がオフする時間はToffとなり、Toffの期間、電流I21が流れる。これに対し、主電源5の電源電圧が(1+α)×Vinのとき、スイッチング素子7がオフする時間はToff+ΔTonになるが、電流I21が流れる期間は、Toffの期間だけでΔTonの期間中、電流I21は0となる。
2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21は、2次巻線21に接続された回路負荷、すなわち制御回路2の電力により決定される。制御回路2の電源電圧はV2であり、制御回路2に流れる電流をI2とすると、制御回路2での電力負荷P2は式(19)で表すことができる。
P2=V2×I2 …(19)
2次巻線21およびダイオードD21によって流れる電流I21のピーク電流をI21pとすると、2次巻線21の電力P21は式(20)で表すことができる。
P21=1/2×L21×I21p×fsw …(20)
電力P21と電力P2とは同じであることから、以下に示す関係がある。
P21=P2 …(21)
前述の図7の動作条件より、P2およびP21は一定であるため、式(20)から、ピークI21pは一定である。そのため、電流I2と、ピーク電流I21pには以下に示す関係がある。
I2=1/2×I21p×Toff/Tall …(22)
式(22)を式(23)に示すように変形する。
Toff=2×I2×Tall/I21p …(23)
式(23)のToffは電流I21が流れる時間を示している。電流I2、スイッチング周期Tall、ピーク電流I21pは一定であるため、Toffも一定となることを示している。
以上から、前述のように、主電源5の電源電圧を上げると、スイッチング素子7のオフ時間が長くなるが、式(23)から理解できるように、スイッチング素子7のオフ時間が長くなっても、2次巻線21に流れる電流I21が流れる期間は変わらないことも示している。
以上から、スイッチング電源回路1は以下の動作をしている。
(1)起動時、抵抗R4を介して電源制御用IC8を動作させ、スイッチング素子7を動作させるが、起動時は、コンデンサC21の電圧V2が指令電圧に到達していないため、コンデンサC21の充電電圧V2が指令電圧に到達するまでの間、過電流状態から過電流保護動作を繰り返す。
(2)定常時、スイッチング素子7がオンの時は、1次巻線11およびスイッチング素子7に電流が流れる。1次巻線11の端子間電圧V11は、電源電圧Vinと同じになり、2次巻線21の端子間電圧V21は、1次巻線11の端子間電圧V11に巻線比N21/N11が積算された値がマイナス方向に発生する。
(3)定常時、スイッチング素子7がオフの時は、1次巻線およびスイッチング素子7には電流が流れなくなる。1次巻線11の端子間電圧V11は、2次巻線21の端子間電圧V21に巻線比N11/N21が積算された値がマイナス方向に発生する。一方、2次巻線21にはプラス方向に電圧が発生し、2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れる。
(4)定常時、1次巻線11に必要となる電力Pin、1次巻線11のインダクタンスL11、スイッチング素子7のスイッチング周波数fswが同一の場合、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDの電流ピーク値IDpは一定である。
(5)定常時、主電源5の電源電圧V1が増加した場合、スイッチング素子7のオン時間Tonはその逆数でオン時間が短くなる。逆に、電源電圧V1が減少した場合、オン時間Tonはその逆数でオン時間が長くなる。
(6)定常時、2次巻線21に必要となる電力P21、2次巻線21のインダクタンスL21、スイッチング周波数fswが同一の場合、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21の電流ピーク値I21pは一定となる。
(7)定常時、主電源5の電源電圧V1が増加することにより、スイッチング素子7のオン時間TonがΔTon短くなっても、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる時間はToffのままで、ΔTonの間、電流は流れない。
(過電流保護レベルの設定に関する問題点)
つぎに、電源制御用IC8の過電流保護動作が働く過電流保護レベル電流の設定について説明する。図4にも示したように、起動時、スイッチング電源回路1は、過電流保護動作と解除を繰り返しながら、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24に電圧を充電し、電源制御用IC8が監視するコンデンサC21の電圧が十分に充電されたら、スイッチング電源回路1の動作は、定常状態になる。
図8に、過電流保護レベルの設定によるスイッチング電源回路1の動作を説明する図を示す。図8aは、過電流保護レベル電流値IDOCの設定がIDOC1のときの電流IDおよび電圧V2の動作波形を示している。図8bは、過電流保護レベル電流値IDOCの設定がIDOC2のときの電流IDおよび電圧V2の動作波形を示している。
図8aについて説明する。時刻t00は、主電源5に電源が供給された時刻、時刻t01は充電電圧V2が指令電圧V2refに到達し、スイッチング電源回路1が定常状態になった時刻を示している。時刻t00〜t01は、電源制御用IC8の過電流保護動作と解除を繰り返しながら、充電電圧V2が充電されていく期間、すなわち起動時の動作を示した期間である。図8aにおいては、過電流保護レベル電流値IDOC1により、起動時に1次巻線11に十分な電力エネルギーが蓄積されたため、時刻t01において、充電電圧V2を指令電圧V2refまで充電することができている。
図8bについて説明する。図8aと同様に、時刻t00は、主電源5に電源が供給された時刻を示している。図8bにおいては、過電流保護レベル電流値IDOC2では、起動時に1次巻線11に蓄積する電力エネルギーが十分ではなく、電圧V2を指令電圧V2refまで充電することができない状態が続いている。
図8a,図8bから、2次巻線21にダイオードD21を介して接続されたコンデンサC21に指令電圧V2refを充電できるような過電流保護レベル電流値IDOCを設定しなければならないことがわかる。
一方、過電流保護レベル電流値IDOCを上げると、定常時に2次巻線21に接続された回路に異常があり、2次巻線21側に過大な電流が流れ続け、スイッチング素子7の動作を停止する必要があるにもかかわらず、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDが、過電流保護レベル電流値IDOCに到達せずに、スイッチング素子7が動作を続ける可能性がある。
この場合、2次巻線21に接続されたダイオードD21に過大な電流が流れ続ける。そのため、ダイオードの熱破壊防止のために、ダイオードの熱容量を大きくしなければならない。また、スイッチング素子7についても、過電流保護レベル電流での動作を考慮する必要があり、過電流保護レベル電流での発熱低減のために、ダイオードと同様に熱容量を大きくしなければならない。さらにトランス6についても、1次巻線11に過大な電流が流れるため、磁気飽和を防ぐためにコアを大きくしたり、巻線数を増やしたりする必要がある。結果として、スイッチング電源回路1の構成部品が大型化し、基板サイズ大型化、ひいては装置全体のコストアップになる。
そこで、本実施の形態1では、制御回路2が主回路3、周辺機器回路4の動作の開始/停止を制御する手段を備え、以下に示す3つのステップにより、スイッチング電源回路1の動作を制御する。
(第1のステップ)
第1のステップは、主電源5への電源供給から、電圧V2が指令電圧V2refに到達するまでの期間、すなわち起動期間中の動作である。この期間では、制御回路2および電源制御用IC8に対し電力が供給される。このとき、主回路3および周辺機器回路4は動作を開始しない、すなわち主回路3および周辺機器回路4では電力消費がない状態となる。
(第2のステップ)
第2のステップは、電圧V2が指令電圧V2refに到達し、制御回路2および電源制御用IC8が動作している期間、すなわち定常期間中の動作である。この期間では、予設定されたディレイ時間Δt1が経過するまでは、主回路3および周辺機器回路4は動作を開始しない。
(第3のステップ)
第3のステップは、主回路3および周辺機器回路4が動作を開始し、全回路が動作を行う期間中の動作である。この期間では、ディレイ時間Δt1経過後、制御回路2から、主回路3および周辺機器回路4に対し、出力信号sout,foutがそれぞれ出力され、主回路3および周辺機器回路4は動作を開始する。
(第1〜第3のステップによる効果)
図9は、本実施の形態1のスイッチング電源回路1による効果を説明する図である。図9では、電流ID、電圧V2、制御回路2から主回路3への出力信号soutおよび、制御回路2から周辺機器回路4への出力信号foutの動作波形を示している。
時刻t00は、主電源5の電源電圧V1に電源が供給された時刻である。時刻t00〜t01は、前述の第1のステップであり、スイッチング電源回路1の起動時、すなわち各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24が充電される期間であり、この期間は、制御回路2および電源制御用IC8が駆動している。時刻t01は、電圧V2が指令電圧V2refに到達した時刻である。時刻t01〜t02は、前述の第2のステップであり、定常状態で制御回路2および電源制御用IC8が動作している期間である。時刻t02は、前述の第3のステップであり、制御回路2から主回路3および周辺機器回路4に出力信号sout,foutを出力した時刻である。時刻t03以降は、定常状態で、全回路が動作している状態である。以下、第1〜第3のステップのさらに詳細な動作について説明する。
(第1のステップ:時刻t00〜t01)
前述のように、第1のステップでは、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24の充電と、制御回路2、電源制御用IC8に対する電力供給が行われる。時刻t00において、主電源5に電源が供給され、スイッチング電源回路1が動作を開始する。起動時は、電源制御用IC8の過電流保護動作と解除動作とを繰り返すため、電流IDは、過電流保護レベル電流IDOCまで流れ、電圧V2が充電され、時刻t01に電圧V2が指令電圧V2refに到達する。前述のように、第1のステップでは、制御回路2および電源制御用IC8に対する電力供給を行うが、この他に各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24に対しそれぞれの指令電圧に充電する動作も行う。過電流保護レベル電流値IDOCをIDOC、コンデンサC22に対する指令電圧をV3ref、C23に対する指令電圧をV4ref、コンデンサC24に対する指令電圧をV5ref、時刻t00〜時刻t01の期間をΔts1、電源制御用IC8が消費する電流をI5とすると、以下の式で表すことができる。
1/2×L11×IDOC×fsw×Δts1
=(1/2×C21×V2ref+1/2×C22×V3ref
+1/2×C23×V4ref+1/2×C24×V5ref
+V2ref×I2×Δts1+V5ref×I5×Δts1)/η
…(24)
(第2のステップ:時刻t01〜t02)
前述のように、第2のステップでは、予め設定されたディレイ時間Δt1が経過するまでは、主回路3と周辺機器回路4の動作を開始しない。スイッチング電源回路1は、定常状態であり、制御回路2および電源制御用IC8が動作している。この期間は、コンデンサC21,C22,C23,C24は指令電圧への充電が完了しており、電流IDも過大な電流は流れず、予め設定されたディレイ時間Δt1(ここでは、Δt1=t02−t01とする)が経過するまでは、主回路3と周辺機器回路4の動作は開始しない。なお、この期間の1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流の電流ピーク値をID2pとすると、1次巻線11の消費電力は以下の式で表すことができる。
1/2×L11×ID2p×fsw=(V2×I2+V5×I5)/η …(25)
(第3のステップ:時刻t02〜t03)
前述のように、第3のステップでは、制御回路2からの出力信号sout,foutにより主回路3、周辺機器回路4の動作が開始される。ディレイ時間Δt1が経過した時刻t02にて、制御回路2から主回路3、周辺機器回路4に対し、出力信号sout,foutがそれぞれ出力される。t02〜t03の期間では、電流IDが増加している。これは、主回路3および周辺機器回路4が動作を開始し、2次巻線22,23に対する電力負荷が増加したためである。時刻t03において、スイッチング電源回路1に接続された全回路が動作をした状態で定常状態になっている。時刻t03以降の1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流の電流ピーク値をID3p、主回路3が消費する電流をI3、周辺機器回路4が消費する電流をI4とすると、1次巻線11の消費電力は以下の式で表すことができる。
1/2×L11×ID3p×fsw
=(V2×I2+V3×I3+V4×V4+V5×I5)/η …(26)
以上説明したように、実施の形態1のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、制御回路2に、主回路3、周辺機器回路4などの動作を制御する手段を備え、起動時は、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24への充電ならびに、制御回路2および電源制御用IC8への電力供給を行い、定常状態になってからは、主回路3、周辺機器回路4などを動作させるシーケンス制御を構築することで、スイッチング電源回路1における起動時の電力負荷を低減させ、過電流保護レベル電流値IDOCを大きくすることなく、すなわち過電流保護レベル電流値を切り替えることなく、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24を指令電圧に充電させること、すなわちスイッチング電源回路1の動作を定常状態にすることが可能になる。
また、実施の形態1のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、定常状態において、各2次巻線21,22,23に接続された回路に異常があった場合等、スイッチング電源回路1に異常があった場合でも、過電流保護レベル電流値IDOCを上げていないので、スイッチング素子7の動作を速やかに停止することができる。そのため、2次巻線および補助巻線B1に接続された各ダイオードD21,D22,D23,D24およびスイッチング素子7の熱容量を小さくすることができると共に、トランス6の磁気飽和をも防ぐことができる。その結果、スイッチング電源回路1の構成部品を小さくすることができ、スイッチング電源回路1の小型化、低コスト化を図ることができる。
また、実施の形態1のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、電源制御用IC8でスイッチング素子7のオン/オフ制御および過電流保護動作を行い、制御回路2で各2次巻線21,22,23にそれぞれ接続された回路における動作の開始/停止を制御して各2次巻線21,22,23における消費電力の増減制御ができるため、高機能で複雑な動作をする電源制御用IC8を用いる必要がなく、安価な電源制御用IC8を用いることができる。
また、前述の特許文献1のように補助巻線に接続されたコンデンサの電圧を監視する必要がないため、DC24V電源やDC15V電源のような定電圧直流電源を主電源とした構成である場合、トランスから補助巻線をなくすことができるため、トランスの小型化を図ることができる。
なお、実施の形態1では、図9に示すように、出力信号soutおよびfoutを同時に出力する場合を一例として示しているが、まず、soutを出力し、その後にfoutを出力するようにして、更なる電力負荷分散を行うことも可能である。また、他の2次巻線21,22,23に接続された主回路3、周辺機器回路4だけではなく、制御回路2に搭載された他の回路の動作開始を制御することも可能である。例えば、起動時は、演算処理部210および記憶保持部220のみ動作させ、定常状態になってから、制御回路2に搭載された他の回路に動作を開始するシーケンス制御系を構成することもできる。このシーケンス制御系では、制御回路2で比較器、タイマ回路等を用いたハードウェアで構成してもよいし、演算処理部210内にてソフトウェア、ロジック回路等で構成してもよい。
実施の形態2.
図10は、実施の形態2にかかるスイッチング電源回路1およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図である。実施の形態1と同様に、インバータ装置に搭載した例を示しているが、実施の形態1との相違点は、主電源5の電源電圧を監視する電源電圧検出部50を付加した点にある。電源電圧検出部50は、主電源5の電源電圧V1を検出し、制御回路2に対し、検出結果である出力信号V50を出力する機能を有している。なお、図1と同一または同等の部分については、同一符号を付して示し、重複する内容は適宜省略した説明とする。
図11は、電源電圧判定部80の内部構成例を示すブロック図である。電源電圧判定部80は、電源電圧検出部50の出力信号V50に基づいて、主電源5の電源電圧V1の診断・判定を行い、主回路3、周辺機器回路4等に対し、出力信号sout,foutをそれぞれ出力し、あるいは出力信号sout,foutを出力せずにアラーム信号を出力する。すなわち、電源電圧判定部80は、電源電圧判定部80の判定・診断結果に基づいて、主回路3と周辺機器回路4の開始/停止制御を行う機能を有している。
図11は、電源電圧判定部80を演算処理部210内にて、サンプリング時間sTの離散時間系で構成する場合の一例であり、比較器810,820、論理積830、ディレイ回路840および、NPNトランジスタ860を有して構成している。なお、図11では、電源電圧判定部80を演算処理部210内に構成しているが、演算処理部210とは別(すなわち演算処理部210の外部)に構成してもよいことは言うまでもない。
比較器810のマイナス端子および比較器820のプラス端子には、電源電圧検出部50の出力信号であるV50が入力される。比較器810のプラス端子には、電圧上限しきい値であるV50maxが入力され、比較器820のマイナス端子には、電圧下限しきい値であるV50minが入力される。比較器810および比較器820の出力信号は、論理積830に入力され、論理積830の出力信号voutは、ディレイ回路840に入力される。ディレイ回路840の出力信号s80は、NPNトランジスタ860のベース端子に入力され、NPNトランジスタ860のコレクタ端子には、制御回路2から主回路3への出力信号soutと、制御回路2から周辺機器回路4への出力信号foutが入力されている。NPNトランジスタ860のエミッタ端子は、出力信号sout、出力信号foutをそれぞれ主回路3、周辺機器回路4に出力されるように構成している。
つぎに、電源電圧判定部80の動作について説明する。まず、電源電圧検出部50の出力信号V50の値が、V50min≦V50≦V50maxであることを比較器810,820、論理積830にて確認する。V50min≦V50≦V50maxであれば、論理積830は“H”を出力する。
ディレイ回路840は、論理積830の出力voutが“H”であった場合、予め設定されたディレイ時間d×sT経過後に、NPNトランジスタ860のベース端子に“H”を出力し、NPNトランジスタ860をオンさせる。NPNトランジスタ860がオンすると、主回路3に対し出力信号soutを出力すると共に、周辺機器回路4に対し出力信号foutを出力する。このとき、主回路3が動作を開始すると共に、周辺機器回路4も動作を開始する。
すなわち、電源電圧判定部80は、電源電圧検出部50の出力信号V50が、条件:V50min≦V50≦V50maxを満足し、ディレイ時間d×sT経過後に、制御回路2から主回路3および周辺機器回路4に出力信号sout,foutをそれぞれ出力する構成となっている。なお、電源電圧検出部50は、この構成に限らず、d=1として、条件:V50min≦V50≦V50maxを満たして1サンプリング時間sT後にNPNトランジスタ860をオンさせる等の構成でもよく、また、判定しきい値を下限しきい値のみで判定する構成を採択してもよい。また、ここでは演算処理部210内に離散時間系で構成する場合を例示したが、制御回路2にて、回路等のハードウェアによる構成も可能である。
実施の形態2では、実施の形態1と同様に、制御回路2が主回路3、周辺機器回路4の動作の開始/停止を制御する手段を備え、以下に示す3つのステップにより、スイッチング電源回路1の動作を制御する。
(第1のステップ)
第1のステップは、主電源5への電源供給から、電圧V2が指令電圧V2refに到達するまでの期間、すなわち起動期間中の動作である。この期間では、制御回路2および電源制御用IC8に対し電力が供給される。このとき、主回路3および周辺機器回路4は動作を開始しない、すなわち主回路3および周辺機器回路4では電力消費がない状態となる。
(第2のステップ)
第2のステップは、電圧V2が指令電圧V2refに到達し、制御回路2および電源制御用IC8が動作している期間、すなわち定常期間中の動作である。この期間では、制御回路2に設けられる電源電圧判定部80は、電源電圧検出部50からの出力信号V50に基づいて、主電源5の電源電圧V1の診断・判定を行う。
(第3のステップ)
第3のステップでは、電源電圧判定部80の診断・判定結果に応じた処理が実行される。具体的には、電源電圧判定部80の診断・判定結果が、診断・判定基準を満足していれば、制御回路2から主回路3および周辺機器回路4に対し、出力信号sout,foutがそれぞれ出力され、主回路3および周辺機器回路4は動作を開始する。一方、電源電圧判定部80の診断・判定結果が、診断・判定基準を満たしていなければ、診断・判定基準を満たしていない主回路3、周辺機器回路4に対しては、制御回路2からの出力信号sout,foutは出力されず、代わりにアラーム信号を出力して主電源5の電源電圧に異常があることが伝達される。
図12は、実施の形態2のスイッチング電源回路1による動作および効果を説明する図であり、電流ID、電圧V2、電源電圧判定部80内のディレイ回路840の出力信号s80、制御回路2から主回路3への出力信号soutおよび、制御回路2から周辺機器回路4への出力信号foutの動作を示している。
図12において、時刻t00は、主電源5の電源電圧に電源が供給された時刻である。時刻t00〜t01は、前述の第1のステップであり、スイッチング電源回路1の起動時、すなわち各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にそれぞれダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24が充電される期間であり、この期間は、制御回路2および電源制御用IC8が駆動している。時刻t01は、電圧V2が指令電圧V2refに到達した時刻である。時刻t01〜t02は、前述の第2のステップであり、定常状態で制御回路2および電源制御用IC8が動作している期間であるのと共に、電源電圧判定部80にて、電源電圧検出部50の出力信号V50を判定する期間である。時刻t02は、前述の第3のステップであり、制御回路2から主回路3および周辺機器回路4に出力信号sout,foutを出力した時刻である。時刻t03以降は、定常状態で、全回路が動作している状態である。
(第1のステップ:時刻t00〜t01)
第1のステップでは、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にそれぞれダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24の充電と、制御回路2、電源制御用IC8に対する電力供給を行う。時刻t00において、主電源5に電源が供給され、スイッチング電源回路1が動作を開始する。前述のように、起動時は、電源制御用IC8の過電流保護動作と解除動作とを繰り返すため、電流IDは、過電流保護レベル電流値IDOCまで流れ、電圧V2が充電され、時刻t01に電圧V2が指令電圧V2refに到達する。前述のように、第1のステップでは、制御回路2および電源制御用IC8に対する電力供給を行うが、この他に各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24に対しそれぞれの指令電圧に充電する動作も行う。
(第2のステップ:時刻t01〜t02)
第2のステップでは、制御回路2にて、主電源5の電源電圧V1を確認し、他の回路の動作の可否を決定する。スイッチング電源回路1は、定常状態であり、制御回路2および電源制御用IC8が動作している。この期間は、コンデンサC21,C22,C23,C24は指令電圧への充電が完了しており、また、電源電圧判定部80にて電源電圧検出部50の出力信号V50に対する判定処理が行われているので、過大な電流IDも流れない。電源電圧検出部50の出力信号V50(すなわち主電源5の電源電圧V1)に異常がなければ、時刻t02にて、主回路3および周辺機器回路4の動作が開始されるが、電源電圧V1に異常があった場合には、アラーム信号が出力され、主電源5の電源電圧V1に異常がある旨が主回路3および周辺機器回路4に通知される。
(第3のステップ:時刻t02〜t03)
第3のステップでは、制御回路2からの出力信号sout,foutにより主回路3、周辺機器回路4の動作が開始される。時刻t02にて、電源電圧判定部80からの出力信号s80により、制御回路2から主回路3、周辺機器回路4に対し、出力信号sout,foutがそれぞれ出力される。t02〜t03の期間では、電流IDが増加している。これは、主回路3および周辺機器回路4が動作を開始し、2次巻線22,23に対する電力負荷が増加したためである。時刻t03において、スイッチング電源回路1に接続された全回路が動作をした状態で定常状態になっている。
以上の説明から理解できるように、実施の形態2のスイッチング電源回路1およびその制御方法においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。具体的には、以下の通りである。
まず、実施の形態2のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、制御回路2に、主回路3および周辺機器回路4の動作を制御する手段を備え、起動時は、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24への充電ならびに、制御回路2および電源制御用IC8への電力供給を行い、定常状態になってからは、電源電圧検出部50の出力信号V50、すなわち主電源5の電源電圧V1に基づいて、主回路3、周辺機器回路4などを動作させるシーケンス制御を構築することで、スイッチング電源回路1における起動時の電力負荷を低減させ、過電流保護レベル電流値IDOCを大きくすることなく、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24を指令電圧に充電させること、すなわちスイッチング電源回路1の動作を定常状態にすることが可能になる。
また、実施の形態2のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、定常状態において、各2次巻線21,22,23に接続された回路に異常があった場合等、スイッチング電源回路1に異常があった場合でも、過電流保護レベル電流値IDOCを上げていないので、スイッチング素子7の動作を速やかに停止することができる。そのため、2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続された各ダイオードD21,D22,D23,D24およびスイッチング素子7の熱容量を小さくすることができると共に、トランス6の磁気飽和をも防ぐことができる。その結果、スイッチング電源回路1の構成部品を小さくすることができ、スイッチング電源回路1の小型化、低コスト化を図ることができる。
また、実施の形態2のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、スイッチング電源回路1の電力源である主電源5の電源電圧V1に基づいた制御を行うので、制御回路2が安定動作開始後、電源電圧V1が電子機器の仕様範囲外である場合、主回路3、周辺機器回路4などを動作させる前に、アラーム信号等で、主電源5の電源異常を伝達することができるので、電源異常に起因する主回路3の異常動作を事前に防ぐことが可能となる。
さらに、実施の形態2のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、実施の形態1と同様に、電源制御用IC8でスイッチング素子7のオン/オフ制御および過電流保護動作を行い、制御回路2で各2次巻線21,22,23にそれぞれ接続された回路における動作の開始/停止を制御して各2次巻線21,22,23における消費電力の増減制御ができるため、高機能で複雑な動作をする電源制御用IC8を用いる必要がなく、安価な電源制御用IC8を用いることができる。
なお、前述の第3のステップの時刻t03以降の動作、すなわちスイッチング電源回路1が定常状態になった以降の動作が、以下の動作となるように、電源電圧判定部80の構成を変更してもよい。
例えば、主電源5の電圧異常があった場合でも、実動作に直接関わらない周辺機器回路4の動作の開始/停止のみを行い、実動作を行う主回路3は動作を続けるように変更する。より具体的に説明すると、主電源5の電源電圧V1が停電等により、V50が電圧下限しきい値V50minを下回った場合、実動作を行う主回路3の動作は続行させ、実動作に直接関わらない周辺機器回路4の動作のみ停止させる。この仕組みを構築すれば、停電耐量を向上させることが可能となる。例えば、モータを駆動するインバータ装置においては、停電等、電源異常に起因する異常発生時においても、モータの動作可能時間を長くすることが可能となる。
また、電圧上限しきい値V50maxおよび電圧下限しきい値V50minのうちの少なくとも1つを変更してもよい。例えば、電圧下限しきい値V50minを変更すれば、電源低下の異常に起因する異常発生時においても、主回路3、周辺機器回路4の動作を長くすることが可能となる。
なお、主回路3、周辺機器回路4を動作させた以降において、電圧上限しきい値V50maxおよび電圧下限しきい値V50minのうちの少なくとも1つを変更した後に、例えばV50が電圧下限しきい値V50minを下回った場合、主回路3、周辺機器回路4のうちの少なくとも1つの回路は停止させることが好ましい。このような制御を行えば、電源低下の異常に起因する異常発生時においても、回路全体から見た動作時間を長くできるという効果がある。
実施の形態3.
実施の形態3では、電源電圧検出部50を2次側に設ける構成について説明する。実施の形態1,2では、前述のように、電源電圧検出部50は、トランス6の1次巻線11に接続された主電源5の電源電圧V1を検出し、制御回路2に検出結果V50を送付する機能を備え、電源電圧検出部50には1次巻線11に接続された主電源5の電源電圧V1が入力され、制御回路2に対して電源電圧V1に基づいた検出値V50が出力される構成であった。
一般的に、1次巻線11に接続されている電源電圧V1を検出し、絶縁された別の電源で駆動している制御回路2に検出値V50を出力するには、フォトカプラ、アイソレーションアンプなどの専用の絶縁機構を用いる必要がある。これは、1次巻線11に接続された電源を基準とした信号パターンと、制御回路2を駆動している電源を基準とした信号パターンを接続すると、トランス6による絶縁がなくなるためである。
もちろん専用の絶縁機構により、電源電圧検出部50を構成することも可能であるが、専用の絶縁機構を使用した場合、電源基準が異なる信号パターン間では、絶縁距離を確保する必要があり、基板サイズが大きくなる。そのため、インバータ装置のサイズも大きくなる。
スイッチング電源回路1において、スイッチング素子7が、例えば図6に示すようなスイッチング動作をしている場合、トランス6の1次巻線11の端子間電圧V11には、主電源5の電源電圧V1が発生している。このとき、2次巻線21の端子間電圧V21には、巻線比N21/N11×V1の電圧がマイナス方向に発生する。そこで、実施の形態3においては、電源電圧検出部50にて、スイッチング素子7がスイッチングオンしているときの2次巻線21に発生する端子間電圧V21に基づいて、主電源5の電源電圧V1を検出する構成とする。
図13は、実施の形態3にかかる電源電圧検出部50の構成例を示すブロック図である。電源電圧検出部50は、電圧抽出部51および反転増幅部52を備える。電圧抽出部51は、トランス6の2次巻線21の端子間電圧V21を監視し、スイッチング素子7がスイッチングオンしているときのみの端子間電圧V21を検出して反転増幅部52に出力する。この端子間電圧V21は、2次巻線21の端子間電圧、すなわちダイオードD21で整流化される前の電圧である。反転増幅部52は、電圧抽出部51の出力値(信号)V51を反転増幅し、反転増幅した出力値V50を制御回路2に出力する。
図14は、電圧抽出部51の内部構成例を示すブロック図である。電圧抽出部51は、ダイオードD511、抵抗R513、抵抗R514およびコンデンサC512を有して構成される。電圧抽出部51では、2次巻線21の巻き終わり側とダイオードD511のカソードが接続され、ダイオードD511のアノードは、コンデンサC512の一端および抵抗R513の一端と接続される。抵抗R513の他端は抵抗R514の一端と接続され、抵抗R514の他端はコンデンサC512の他端と2次巻線21の巻き始め側と接続される。これらの構成により、スイッチング素子7がスイッチングオンしているときの2次巻線21の端子間電圧V21のみが抽出される。
図15は、反転増幅部52の内部構成例を示すブロック図である。反転増幅部52は、オペアンプ521、抵抗R522および抵抗R523を有して構成される。反転増幅部52では、電圧抽出部51の出力値V51が抵抗R522を介してオペアンプ521のマイナス端子に入力され、オペアンプ521のプラス端子は電源電圧V2の基準電位であるGND2と接続される。オペアンプ521の出力端子は、反転増幅部52の出力であると同時に、抵抗R523を介してオペアンプ521のマイナス端子に電気的に接続される。これらの構成により、反転増幅部52は、電圧抽出部51の出力を反転増幅する機能を実現する。この反転増幅部52により、主電源5の電源電圧V1を算出することができる。
図16は、電源電圧検出部50の動作を説明する図であり、1次巻線11の端子間電圧V11、2次巻線21の端子間電圧V21、電圧抽出部51の出力V51および、反転増幅部52の出力V50の動作波形を示している。前述のように、スイッチング素子7がオンしているとき、1次巻線11には、主電源5の電源電圧V1が印加されているため、1次巻線11の端子間電圧V11はV1となる。このとき、2次巻線21の端子間電圧V21には、N21/N11×V1の電圧がマイナス方向に発生する。スイッチング素子7がオフしているとき、2次巻線21の端子間には、プラス方向の電圧が発生し、1次巻線11の端子間には、マイナス方向にN11/N21×V21の電圧が発生する。
電圧抽出部51に、2次巻線21の端子間電圧V21、すなわちダイオードD21にて整流化される前の電圧を入力する。ダイオードD511にて、2次巻線21の端子間電圧V21がマイナス方向に発生した電圧のみを抽出する、すなわちスイッチング素子7がオンしているときの電圧のみを抽出し、コンデンサC512に入力する。さらに、抵抗R513,R514にて、電圧V51を生成する。抵抗R513,R514は、コンデンサC512に充電された電圧を分圧する機能と、放電を防止する機能を実現している。このようにして、電圧抽出部51により、マイナス方向の直流電圧が生成される。
電圧抽出部51が生成した電圧V51は、反転増幅部52に入力される。反転増幅部52は、前述のように、反転増幅回路を構成しているので、電圧V51を反転増幅した電圧を出力する。抵抗R522,R523により設定された増幅率にて電圧V51は反転増幅され、プラス方向の直流電圧値を有するV50を出力する。なお、抵抗R522,R523の抵抗値により、主電源5の電源電圧V1と等価な電圧値をV50として出力できることは言うまでもない。
また、前述のR513、R514、R522、R523の抵抗値の組合せにより、スイッチング電源回路1の動作電圧下限値V50min近辺の電圧値に特化した電圧を算出することもできる。このようにすることで、主電源5の電源電圧V1が停電等に電源断が発生した場合、より高精度に検出することができる。
以上説明したように、実施の形態3のスイッチング電源回路1によれば、制御回路2に電力供給を行う2次巻線21の端子間電圧V21の監視結果に基づいて、主電源5の電源電圧V1を検出する電源電圧検出部50を設けることとしたので、アイソレーションアンプ、フォトカプラなど専用の絶縁機構を用いる必要がなく、部品点数削減による信頼性向上および低コスト化が図れる。
また、実施の形態3のスイッチング電源回路1によれば、制御回路2と同じ2次巻線21によって生成される電源電圧V2のGND2を基準としているため、信号パターンの絶縁距離に対する要求を下げることができ、基板サイズの小型化が図れる。
実施の形態4.
図17は、実施の形態4にかかるスイッチング電源回路1およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図であり、実施の形態1,2と同様、インバータ装置に搭載した例を示している。実施の形態2では、制御回路2に対し、電源電圧検出部50の出力信号が入力されていたのに対し、実施の形態4では、電源電圧検出部50に代わり、スイッチング動作検出部70が設けられ、制御回路2に対し、スイッチング動作検出部70の出力信号tPoutが入力される構成となっている。なお、図1と同一または同等の部分については、同一符号を付して示し、重複する内容は適宜省略した説明とする。
スイッチング動作検出部70は、2次巻線21の端子間電圧V21、すなわち整流化される前の電圧を監視し、その監視電圧に基づく信号をtPoutとして制御回路2に出力する。なお、この信号tPoutは、スイッチング素子7の動作もしくは動作状態を検出するための信号であり、スイッチング素子7のスイッチングオン時間Ton、スイッチングオフ時間Toff、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる時間、あるいはスイッチング周波数fsw(スイッチング周期Tallと等価)のうちの少なくとも1つを算出することで対応可能である。なお、スイッチング動作検出部70の構成については後述する。
図18は、制御回路2の演算処理部210に設けられるスイッチング動作判定部90の内部構成例を示すブロック図である。スイッチング動作判定部90は、スイッチング動作検出部70が検出した信号tPoutに基づいて、出力信号sout,foutを出力する機能を有する。
図18は、スイッチング動作判定部90を演算処理部210内にて、サンプリング時間sTの離散時間系で構成する場合の一例であり、時間幅計測部100、比較器910,920、論理積930、ディレイ回路940および、NPNトランジスタ960を有して構成される。なお、図18では、スイッチング動作判定部90を演算処理部210内に構成しているが、演算処理部210とは別(すなわち演算処理部210の外部)に構成してもよいことは言うまでもない。
スイッチング動作検出部70から出力される信号tPoutは、時間幅計測部100に入力される。この信号tPoutを用いて時間幅計測部100が生成した信号toutは、比較器910のマイナス端子および比較器920のプラス端子に入力される。比較器910のプラス端子には、時間上限しきい値であるtoutmaxが入力され、比較器920のマイナス端子には、時間下限しきい値であるtoutminが入力される。比較器910および比較器920の出力信号は、論理積930に入力され、論理積930の出力信号t930は、ディレイ回路940に入力される。ディレイ回路940の出力信号t90は、NPNトランジスタ960のベース端子に入力され、NPNトランジスタ960のコレクタ端子には、制御回路2から主回路3への出力信号soutと、制御回路2から周辺機器回路4への出力信号foutが入力されている。NPNトランジスタ960のエミッタ端子は、出力信号sout、出力信号foutをそれぞれ主回路3、周辺機器回路4に出力されるように構成している。
つぎに、スイッチング動作判定部90の動作原理について説明する。時間幅計測部100は、スイッチング動作検出部70から出力される信号tPoutを用いて、スイッチング素子7のオン時間を表す信号toutを生成して比較器910,920に出力する。なお、信号toutは、スイッチング素子7のオン時間Tonに限られず、これに関係する時間信号として、例えばスイッチング素子7のオフ時間Toff、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる時間、スイッチング周期Tall、スイッチング周波数fswなどを算出することでもよい。
比較器910,920および論理積930は、時間幅計測部100からの信号toutが入力される。信号toutが、toutmin≦tout≦toutmaxであるか否かを判定する。toutmin≦tout≦toutmaxである場合、論理積930は、出力信号t930として“H”を出力する。
ディレイ回路940は、論理積930の出力信号t930が“H”であった場合、予め設定されたディレイ時間d×sT経過後に、NPNトランジスタ960のベース端子に“H”を出力し、NPNトランジスタ960をオンさせる。NPNトランジスタ960がオンすると、主回路3に対し、出力信号soutを出力すると共に、周辺機器回路4に対し出力信号foutを出力する。このとき、主回路3が動作を開始すると共に、周辺機器回路4も動作を開始する。
すなわち、スイッチング動作判定部90は、時間幅計測部100が生成した信号toutが、条件:toutmin≦tout≦toutmaxを満足し、ディレイ時間d×sT経過後に、制御回路2から主回路3および周辺機器回路4へ出力信号sout,foutをそれぞれ出力する構成となっている。なお、スイッチング動作判定部90は、この構成に限らず、d=1として、条件:toutmin≦tout≦toutmaxを満たして1サンプリング時間sT後にNPNトランジスタ960をオンさせる等の構成でもよい。また、ここでは演算処理部210内に離散時間系で構成する場合を例示したが、制御回路2にて、回路等のハードウェアによる構成も可能である。
図19は、実施の形態4のスイッチング電源回路1による動作および効果を説明する図であり、電流ID、電圧V2、スイッチング動作判定部90内のディレイ回路940の出力信号t90、制御回路2から主回路3への出力信号soutおよび、制御回路2から周辺機器回路4への出力信号foutの動作を示している。
図19において、時刻t00は、主電源5の電源電圧に電源が供給された時刻である。時刻t00〜t01は、前述の第1のステップであり、スイッチング電源回路1の起動時、すなわち各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にそれぞれダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24が充電される期間であり、この期間は、制御回路2および電源制御用IC8が駆動している。時刻t01は、電圧V2が指令電圧V2refに到達した時刻である。時刻t01〜t02は、前述の第2のステップであり、定常状態で制御回路2および電源制御用IC8が動作している期間であるのと共に、スイッチング動作判定部90にて、スイッチング動作検出部70の出力信号tPoutを判定する期間である。時刻t02は、前述の第3のステップであり、制御回路2から主回路3および周辺機器回路4に出力信号sout,foutを出力した時刻である。時刻t03以降は、定常状態で、全回路が動作している状態である。
(第1のステップ:時刻t00〜t01)
第1のステップでは、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にそれぞれダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24の充電と、制御回路2、電源制御用IC8に対する電力供給を行う。時刻t00において、主電源5に電源が供給され、スイッチング電源回路1が動作を開始する。前述のように、起動時は、電源制御用IC8の過電流保護動作と解除動作とを繰り返すため、電流IDは、過電流保護レベル電流値IDOCまで流れ、電圧V2が充電され、時刻t01に電圧V2が指令電圧V2refに到達する。前述のように、第1のステップでは、制御回路2および電源制御用IC8に対する電力供給を行うが、この他に各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24に対しそれぞれの指令電圧に充電する動作も行う。なお、この期間における1次巻線11に必要となる電力エネルギーは、実施の形態1で示した式(23)となるので説明は省略する。
(第2のステップ:時刻t01〜t02)
第2のステップでは、制御回路2にて、主電源5の電源電圧V1を確認し、他の回路の動作の可否を決定する。スイッチング電源回路1は、定常状態であり、制御回路2および電源制御用IC8が動作している。この期間は、コンデンサC21,C22,C23,C24は指令電圧への充電が完了しており、また、スイッチング動作判定部90にてスイッチング動作検出部70の出力信号tPoutに対する判定処理が行われているので、過大な電流IDも流れない。スイッチング素子7の動作(すなわち時間幅計測部100の出力信号tout)に異常がなければ、時刻t02にて、主回路3および周辺機器回路4の動作が開始されるが、スイッチング素子7の動作に異常があった場合には、アラーム信号が出力され、主電源5の電源電圧V1に異常がある旨が主回路3および周辺機器回路4に通知される。なお、この期間における1次巻線11に必要な電力は、実施の形態1で示した式(24)となるので説明は省略する。
(第3のステップ:時刻t02〜t03)
第3のステップでは、制御回路2からの出力信号sout,foutにより主回路3、周辺機器回路4の動作が開始される。時刻t02にて、スイッチング動作判定部90からの出力信号t90により、制御回路2から主回路3、周辺機器回路4に対し、出力信号sout,foutがそれぞれ出力される。時刻t02〜t03の期間では、電流IDが増加している。これは、主回路3および周辺機器回路4が動作を開始し、2次巻線22,23に対する電力負荷が増加したためである。時刻t03において、スイッチング電源回路1に接続された全回路が動作をした状態で定常状態になっている。なお、時刻t03以降における1次巻線11に必要な電力は、実施の形態1で示した式(25)となるので説明は省略する。
以上の説明から理解できるように、実施の形態4のスイッチング電源回路1およびその制御方法においても、実施の形態1と同様の効果が得ることができる。具体的には、以下の通りである。
まず、実施の形態4のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、制御回路2に、主回路3および周辺機器回路4の動作を制御する手段を備え、起動時は、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24への充電ならびに、制御回路2および電源制御用IC8への電力供給を行い、定常状態になってからは、スイッチング動作検出部70の出力信号tPout、すなわちスイッチング素子7の動作に基づいて、主回路3、周辺機器回路4を動作させるシーケンス制御を構成することで、スイッチング電源回路1の起動時の電力負荷を低減させ、過電流保護レベル電流値IDOCを大きくすることなく、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24を指令電圧に充電させること、すなわちスイッチング電源回路1の動作を定常状態にすることが可能になる。
また、実施の形態4のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、定常状態において、各2次巻線21,22,23に接続された回路に異常があった場合等、スイッチング電源回路1に異常があった場合でも、過電流保護レベル電流値IDOCを上げていないので、スイッチング素子7の動作を速やかに停止することができる。そのため、2次巻線21,22,23に接続された各ダイオードD21,D22,D23およびスイッチング素子7の熱容量を小さくすることができると共に、トランス6の磁気飽和をも防ぐことができる。その結果、スイッチング電源回路1の構成部品を小さくすることができ、スイッチング電源回路1の小型化、低コスト化を図ることができる。
さらに、実施の形態4のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、実施の形態1〜3と同様に、電源制御用IC8でスイッチング素子7のオン/オフおよび過電流保護動作を行い、制御回路で各2次巻線21,22,23にそれぞれ接続された各回路における動作の開始/停止を制御して各2次巻線21,22,23における消費電力の増減制御ができるため、高機能で複雑な動作をする電源制御用IC8を用いる必要がなく、安価な電源制御用IC8を用いることができる。
なお、実施の形態4では、図19に示すように、出力信号soutおよびfoutを同時に出力する場合を一例として示しているが、実施の形態1と同様に、まずsoutを出力し、その後にfoutを出力するようにして、更なる電力負荷分散を行うことも可能である。また、他の2次巻線21,22,23に接続された主回路3、周辺機器回路4だけではなく、制御回路2に搭載された他の回路の動作開始を制御することも可能である。例えば、起動時は、演算処理部210および記憶保持部220のみ動作させ、定常状態になってから、制御回路2に搭載された他の回路に動作を開始するシーケンス制御系を構成することもできる。このシーケンス制御系では、制御回路2で比較器、タイマ回路等を用いたハードウェアで構成してもよいし、演算処理部210内にてソフトウェア、ロジック回路等で構成してもよい。
つぎに、スイッチング動作検出部70の構成について説明する。前述のように、スイッチング動作検出部70は、スイッチング素子7のオン時間Tonに関係する信号を生成する機能を備える。
スイッチング素子7の動作を検出するには、スイッチング素子7のドレイン端子−ソース端子間の電圧を検出する手法、電源制御用IC8からスイッチング素子7のゲート端子に出力されるスイッチングオン信号、スイッチングオフ信号などを検出する手法が考えられる。しかしながら、前述の電源電圧検出部50の場合と同様にアイソレーションアンプ、フォトカプラといった専用の絶縁機構が必要となる。無論、専用の絶縁機構を用いたスイッチング動作検出部70を構成することも可能であるが、この場合、実施の形態1で示した電源電圧検出部50と同様の問題があり、基板サイズの大型化、インバータ装置の大型化に繋がってしまう。
スイッチング電源回路1において、例えば図6に示すようなスイッチング動作をしている場合、トランス6の1次巻線11の端子間電圧V11には、主電源5の電源電圧V1が発生している。このとき、2次巻線21の端子間電圧V21には、巻線比N21/N11×V1の電圧がマイナス方向に発生する。スイッチング素子7がスイッチングオフしている場合、2次巻線21の端子間電圧V21には、プラス方向に電圧が発生する。そこで、実施の形態4においては、2次巻線21の端子間電圧V21に基づいて、スイッチング素子7のオン時間Ton、オフ時間Toff、2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れる時間、スイッチング周波数fswのうちの少なくとも1つを検出する構成とする。
図20は、スイッチング動作検出部70の構成例を示す図であり、比較器71によって構成される。2次巻線21の巻き始め側と比較器71のプラス端子とが接続され、また、2次巻線21の巻き終わり側と比較器71のマイナス端子とが接続され、比較器71の出力がスイッチング動作検出部70の出力信号tPoutとして扱われる。2次巻線21の巻き始め側は、GND2と接続されており、比較器71のプラス端子には、GND2が接続されていることになる。これらの構成により、2次巻線21の端子間電圧V21がプラス方向に発生したとき、比較器71の出力tPout、すなわちスイッチング動作検出部70の出力信号tPoutは“H”を出力し、2次巻線21の端子間電圧V21がマイナス方向に発生したときは、tPoutは“L”を出力する。なお、この構成においては、端子間電圧V21が0である場合もtPoutは“L”を出力するものとする。
つぎに、スイッチング動作検出部70の動作について説明する。図21は、スイッチング動作検出部70の動作を説明する図であり、スイッチング電源が定常状態で動作をしており、各2次巻線に接続された負荷および効率ηが一定で、主電源5の電源電圧V1が変化したときの動作を示しており、2次巻線21の端子間電圧V21、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21および、スイッチング動作検出部70の出力tPoutの動作波形を示している。なお、破線は主電源5の電源電圧がVinのとき、実線は電源電圧が(1+α)×Vin(αは正の実数とする)のときの動作を示している。
図21にも示しているように、主電源5の電源電圧V1を変化させても、tPoutの出力値がL→H→Lの期間であるToffは変わらない。これは、前述のスイッチング電源回路1の動作の説明にも示したように、スイッチング電源回路1の定常状態において、各2次巻線21,22,23に接続された負荷および効率ηが一定である場合、主電源5の電源電圧V1が変化しても、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21の時間は変わらないためである。すなわち、Toffは、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れた時間と等価である。また、tPoutの出力値がL→H→L→H、あるいはH→L→H→Lになる期間は、スイッチング素子7のスイッチング周期Tallと等価である。しかし、図21の構成例の場合、tPoutは“H”や“L”を出力するだけで具体的な時間要素を示していない。そこで、制御回路2のスイッチング動作判定部90に設けられる時間要素計測部100にて、スイッチング素子7のオン時間を推定可能な時間要素を計測するようにする。
つぎに、時間幅計測部100の動作について説明する。前述のように、tPoutを制御回路2に入力し、tPoutがL→H→Lの期間と、L→H→L→HあるいはH→L→H→Lになる期間を計測する。図22は、時間幅の計測を行う時間幅計測部100の構成例を示す。
時間幅計測部100は、サンプリング時間sTの離散時間系として、フリーランカウンタ110、キャプチャ部120および時間幅算出部130を有して構成される。フリーランカウンタ110は、1サンプリングあたり1カウントするカウンタであり、出力fcをキャプチャ部120に入力する。キャプチャ部120は、フリーランカウンタ110と、tPoutが入力され、tPoutがL→HおよびH→Lと変化したときのカウンタ値を記憶し、時間幅算出部130に記憶結果を出力する。時間幅算出部130は、キャプチャ部120の出力に基づいて、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる時間Toffまたはスイッチング周期Tallを算出する。そして、時間幅算出部130の出力をスイッチング動作判定部90内の比較器910,920入力し、スイッチング素子7の動作を判定する。
図23は、キャプチャ部120の動作を説明する図であり、フリーランカウンタ110の出力fcおよびtPoutの動作波形を示している。tPoutが1回目のL→Hになるときのカウンタ値をfc1(L→H)、1回目のH→Lになるときのカウンタ値をfc1(H→L)、2回目のL→Hになるときのカウンタ値をfc2(L→H)、2回目のH→Lになるときのカウンタ値をfc2(H→L)としている。前述のように、キャプチャ部120により、tPoutがL→H、H→Lに変化したときのカウンタ値を記憶し、時間幅算出部130に入力する。
時間幅算出部130の動作について説明する。キャプチャ部120の出力である前述のfc1(L→H)、fc1(H→L)、fc2(L→H)、fc2(H→L)を用いて説明する。図23から、fc1(L→H)からfc1(H→L)の時間幅を測定すれば、Toffを算出することができる。前述のように、フリーランカウンタ110は、1サンプリング時間sTで1カウントするので、Toffは以下のように算出できる。
Toff=(fc1(H→L)−fc1(L→H))×sT …(27)
また、図23から、fc1(L→H)からfc2(L→H)の時間幅を測定すれば、スイッチング周期Tallを算出することができるため、Tallは以下のように算出できる。
Tall=(fc2(L→H)−fc1(L→H))×sT …(28)
あるいは、fc1(H→L)からfc2(H→L)の時間幅を測定してもTallを算出できるため、Tallは以下のように算出することもできる。
Tall=(fc2(H→L)−fc1(H→L))×sT …(29)
以上より、2次巻線21の端子間電圧V21(すなわち整流化される前の電圧)を監視することで、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流の時間Toffまたはスイッチング周期Tallといったスイッチング素子7がオンしている時間を表す時間要素を算出することができる。前述のように、時間幅算出部130の出力、すなわち時間幅計測部100の出力は、スイッチング動作判定部90内の比較器910,920に入力されるが、Toff、Tallのどちらを入力してもよいし、両方入力してもよい。
また、図20に示したスイッチング動作検出部70の構成では、スイッチング素子7がオンしている時間を表す時間要素を検出できないが、内部構成を変更することで、検出できるようになる。例えば、端子間電圧V21を反転させる反転回路を使用した構成や様々な構成が可能である。なお、スイッチング動作検出部70にてスイッチング素子7がオンしている時間を表す時間要素を検出できる場合には、スイッチング動作判定部90内の時間幅計測部100を省略し、スイッチング動作検出部70の出力を比較器910,920に入力することができる。
以上説明したように、実施の形態4のスイッチング電源回路1によれば、2次巻線21の端子間電圧V21の監視結果に基づいて、スイッチング素子7の動作を検出するスイッチング動作検出部70および時間幅計測部100を構成したので、アイソレーションアンプやフォトカプラなど専用の絶縁機構を用いる必要がなく、部品点数削減による信頼性向上やコスト削減が図れる。
また、実施の形態4のスイッチング電源回路1によれば、制御回路2と同じ2次巻線21によって生成される電源電圧V2のGND2を基準としているため、信号パターンの絶縁距離の確保の必要がなく基板サイズの小型化が図れる。
実施の形態5.
図24は、実施の形態5にかかるスイッチング電源回路1およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図であり、実施の形態1〜4と同様に、インバータ装置に搭載した例を示している。実施の形態2では、制御回路2に対し、電源電圧検出部50の出力信号V50が入力され、また、実施の形態4では、制御回路2に対し、スイッチング動作検出部70の出力信号tPoutが入力される構成を開示したが、実施の形態5では、電源電圧検出部50の出力信号V50およびスイッチング動作検出部70の出力信号tPoutの双方が入力される構成を開示するものである。なお、図1または図10と同一または同等の部分については、同一符号を付して示し、重複する内容は適宜省略した説明とする。
実施の形態5では、制御回路2には、出力信号V50およびtPoutに基づいてスイッチング電源回路1の動作を算出・診断する回路診断部500を備え、回路診断部500の出力に基づいて、制御回路2は、主回路3および周辺機器回路4の動作開始および停止を行う。
回路診断部500は、出力信号V50から算出される主電源5の電源電圧V1、tPoutから算出されるスイッチング素子7の動作状態、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流のピーク電流値、制御回路2が把握する各2次巻線21,22,23にダイオードD21,D22,D23を介して接続された回路の消費電力、トランス6の磁束密度などに基づいて、スイッチング電源回路1の動作の診断を行う。
前述の式(2)〜式(22)からもわかるように、主電源5の電源電圧V1、スイッチング素子7の動作状態、各2次巻線21,22,23に接続された回路の消費電力、トランス6の各巻線のインダクタンス、効率ηなどの値を用いて、スイッチング電源回路1の動作を診断することができる。
ここで、スイッチング電源回路1の動作の診断項目を以下に示す。
(1)主電源5の電源電圧V1
(2)スイッチング素子7の動作(スイッチング素子7のオン時間Ton、オフ時間Toff、スイッチング周波数fsw、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流)
(3)1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDの電流ピーク値IDp
(4)各2次巻線に接続された回路の消費電力Pallと、主電源の電源電圧V1、スイッチング素子7の動作の整合性確認
(5)トランス6の磁束密度ΔB
上記の診断項目のうち、(1)、(2)については、前述の実施の形態2〜4と同様の構成で診断を行うことができる。
診断項目(3)における電流ピーク値IDpについては、式(30)を用いて算出することができる。
IDp=V1/L11×Ton …(30)
ピーク電流値IDpは、電源制御用IC8で設定されている過電流保護レベル電流値IDOCとの比較や、1次巻線11の銅損および銅損に伴う発熱量の算出など様々な診断に用いることができる。
診断項目(3)について、さらに説明をする。各2次巻線21,22,23に接続された回路の消費電力Pallと、主電源5の電源電圧V1、スイッチング素子7の動作について、スイッチング素子7のオン時間Tonを用いると、式(2)、式(8)から以下のように表すことができる。
Pall/η=1/2×L11×IDp×fsw
=1/2×L11×(V1/L11×Ton)×fsw
…(31)
式(31)にて、制御回路2が把握する各2次巻線にダイオードを介して接続された回路の消費電力Pallと、IDpに整合性が取れていることを確認する。なお、L11、fswについては、既知の値であり、Pall、ηについても、設計段階で把握可能な値である。
診断項目(4)について説明する。トランス6のコアの断面積をAeとすると、磁束密度ΔBは以下の式で表すことができる。
ΔB=V1×Ton/N11/Ae …(32)
磁束密度ΔBは、トランス6の磁束密度を算出しており、ΔBが上昇すると、トランス6が磁気飽和してしまうので、ΔBを診断することで、磁気飽和に対するマージンの確認を行う。
以上、式(30)〜(32)を用いて、スイッチング電源回路1の動作状態を監視する。
実施の形態5においても、実施の形態1〜4と同様に、3つのステップでスイッチング電源回路1の動作を制御する。なお、第2ステップと第3ステップにて、スイッチング電源回路1の動作状態を診断する。
(第1のステップ:時刻t00〜t01)
第1のステップでは、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にそれぞれダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24の充電と、制御回路2、電源制御用IC8に対する電力供給を行う。時刻t00において、主電源5に電源が供給され、スイッチング電源回路1が動作を開始する。前述のように、起動時は、電源制御用IC8の過電流保護動作と解除動作とを繰り返すため、電流IDは、過電流保護レベル電流値IDOCまで流れ、電圧V2が充電され、時刻t01に電圧V2が指令電圧V2refに到達する。前述のように、第1のステップでは、制御回路2および電源制御用IC8に対する電力供給を行うが、この他に各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24に対しそれぞれの指令電圧に充電する動作も行う。なお、この期間における1次巻線11に必要となる電力エネルギーは、実施の形態1で示した式(24)となるので説明は省略する。
(第2のステップ:時刻t01〜t02)
第2のステップでは、制御回路2にて、スイッチング電源回路1の動作状態を診断する。スイッチング電源回路1は、定常状態であり、制御回路2および電源制御用IC8が動作している。この期間は、コンデンサC21,C22,C23,C24は指令電圧への充電が完了しており、また、電源電圧検出部50の出力信号V50およびスイッチング動作検出部70の出力信号tPoutに関する診断処理が行われているため、過大な電流IDも流れない。
前述の診断条件(1)の主電源5の電源電圧V1、診断条件(2)のスイッチング素子7の動作状態については、実施の形態2または実施の形態4と同様の動作で実現できるので説明は省略する。
前述の診断条件(3)について説明する。電源電圧検出部50の出力信号V50、スイッチング動作検出部70の出力tPoutに基づいて、主電源5の電源電圧をVin、スイッチング素子7のオン時間をTon2sとすると、1次巻線11のインダクタンスL11と、式(30)から、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDの電流ピーク値ID2spを算出することができる。
ID2sp=V1/L11×Ton2s …(33)
前述の診断条件(4)について説明する。1次巻線11のインダクタンスL11、効率η、スイッチング周波数fswとすると、式(30)を用いて以下のように表すことができる。
(V2×I2+V5×I5)/η=1/2×L11×ID2sp×fsw
…(34)
式(33)、式(34)で算出した結果が、制御回路2が把握している各2次巻線に接続された回路の消費電力と整合性がとれていることを確認する。
前述の診断条件(5)について説明する。第2ステップの期間での磁束密度をΔB2sとすると、このΔB2sは、主電源5の電源電圧VinおよびTon2s、トランス6のコアの有効断面積Ae、そして1次巻線11の巻線数N11、式(31)を用いて、以下のように算出することができる。
ΔB2s=Vin×Ton2s/N11/Ae …(35)
式(33)〜(35)の算出結果が適正であることを確認し、適正であれば、制御回路2からの出力信号sout、foutを出力し、主回路3、周辺機器回路4を動作させる。算出結果が適正でなければ、出力信号soutやfoutは出力させず、アラーム信号を出力し、スイッチング電源回路1の動作が適正ではないことを知らせる。
(第3のステップ:時刻t02〜t03)
第3のステップでは、制御回路2からの出力信号sout,foutにより主回路3、周辺機器回路4の動作が開始される。時刻t02にて、スイッチング動作判定部90からの出力信号t90により、制御回路2から主回路3、周辺機器回路4に対し、出力信号sout,foutがそれぞれ出力される。時刻t02〜t03の期間では、電流IDが増加している。これは、主回路3および周辺機器回路4が動作を開始し、2次巻線22,23に対する電力負荷が増加したためである。時刻t03において、スイッチング電源回路1に接続された全回路が動作をした状態で定常状態になっている。なお、時刻t03以降についても、定期的に、スイッチング電源回路1の動作状態を診断する。
前述の診断条件(1)における主電源5の電源電圧V1、診断条件(2)におけるスイッチング素子7の動作状態については、実施の形態2および実施の形態4と同様の動作で実現できるので説明は省略する。ここで、算出された主電源5の電源電圧をV1、スイッチング素子7のオン時間をTon3sとする。
前述の診断条件(3)について説明する。1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流の電流ピーク値をID3spとすると、ID3spは以下のように表すことができる。
ID3sp=V1/L11×Ton3s …(36)
前述の診断条件(4)について説明する。1次巻線11のインダクタンスL11、効率η、スイッチング周波数fswとすると、式(30)を用いて以下のように表すことができる。
(V2×I2+V3×I3+V4×I4+V5×I5)/η
=1/2×L11×ID3sp×fsw …(37)
式(35)、式(36)で算出した結果が、制御回路2が把握している各2次巻線に接続された回路の消費電力と整合性がとれていることを確認する。
前述の診断条件(5)について説明する。第3ステップの期間での磁束密度をΔB3sとし、主電源5の電源電圧VinおよびTon3s、トランス6のコアの有効断面積Ae、そして1次巻線11の巻線数N11と、式(31)を以下のように算出することができる。
ΔB3s=Vin×Ton3s/N11/Ae …(38)
各診断条件の結果は、スイッチング電源回路1の動作状態として、定期的に制御回路2に搭載させている記憶保持部220に記憶するようにしても良い。EEPROMのような不揮発性メモリに保存し、次回電源を投入したときのスイッチング電源回路1の動作状態との比較をすることもできる。
前述の第3ステップのt03以降の期間において、スイッチング電源回路1の動作状態に変動があった場合、主回路3や周辺機器回路4の動作をすぐに停止させるのではなく、動作が可能な状態であれば、主回路3や周辺機器回路4の動作を続け、予め設定された各診断条件の基準しきい値を外れたら、最初に周辺機器回路4の動作を停止し、回路診断部500により、スイッチング電源回路1の動作の診断を行う。診断結果に問題がなければ、動作を続けると同時に、周辺機器回路4に異常があることをアラーム信号で知らせる。
また、電源電圧検出部50は、実施の形態2と同様に、2次巻線21の端子間電圧V21に基づいた視する構成にすることができる。同様に、スイッチング動作検出部70も、実施の形態4と同様に、2次巻線21の端子間電圧V21に基づいた構成にすることができる。
以上の説明から理解できるように、実施の形態5のスイッチング電源回路1およびその制御方法においても、実施の形態1〜4と同様の効果が得ることができる。具体的には、以下の通りである。
まず、実施の形態5のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、制御回路2に、主回路3や周辺機器回路4の動作を制御する手段を備え、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1にダイオードD21,D22,D23,D24を介して接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24への充電ならびに、制御回路2および電源制御用IC8への電力供給を行い、定常状態になってからは、回路診断部500に出力に基づいて、すなわちスイッチング電源回路1の動作状態の診断結果に基づいて、主回路3、周辺機器回路4を動作させるシーケンス制御を構成することで、スイッチング電源回路1の起動時の電力負荷を低減させ、過電流保護レベル電流を大きくすることなく、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24を指令電圧に充電させること、すなわちスイッチング電源回路1の動作を定常状態にすることが可能になる。
また、実施の形態5のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、定常状態において、各2次巻線21,22,23に接続された回路に異常があった場合等、スイッチング電源回路1に異常があった場合でも、過電流保護レベル電流値IDOCを上げていないので、スイッチング素子7の動作を速やかに停止することができる。そのため、2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続された各ダイオードD21,D22,D23,D24およびスイッチング素子7の熱容量を小さくすることができると共に、トランス6の磁気飽和をも防ぐことができる。その結果、スイッチング電源回路1の構成部品を小さくすることができ、スイッチング電源回路1の小型化、低コスト化を図ることができる。
さらに、実施の形態5のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、実施の形態1〜3と同様に、電源制御用IC8でスイッチング素子7のオン/オフおよび過電流保護動作を行い、制御回路2で各2次巻線21,22,23にそれぞれ接続された各回路における動作の開始/停止を制御して各2次巻線21,22,23における消費電力の増減制御ができるため、高機能で複雑な動作をする電源制御用IC8を用いる必要がなく、安価な電源制御用IC8を用いることができる。
また、実施の形態5のスイッチング電源回路1およびその制御方法によれば、スイッチング電源回路1の電力源である主電源5の電源電圧V1およびスイッチング素子7の動作状態に基づいた診断を行うので、スイッチング電源回路1の動作状態を監視することができ、異常動作時の診断も速やかに行うことができる。
なお、実施の形態5に示すスイッチング電源回路1およびその制御方法では、スイッチング電源回路1を搭載する電子機器の仕様により、前述の診断項目の一部を省略することもできる。具体的には以下の通りである。
2次巻線から供給される電力が一定、すなわち2次巻線の消費電力一定の電子機器は、2次巻線およびダイオードに電流が流れる時間は一定であり、主電源5の電源電圧V1を監視できれば、スイッチング素子7のオン時間、オフ時間といったスイッチング素子7の動作に関係する時間要素を算出することができ、スイッチング電源回路1の動作状態を診断することができる。
主電源5の電源電圧V1が一定の電子機器は、スイッチング素子7の動作状態が把握できれば、スイッチング電源回路1の動作状態を診断することができる。
すなわち、電子機器の仕様により、電源電圧検出部50およびスイッチング動作検出部70のうちの何れか一方のみを使用しても、同様のスイッチング電源回路1の動作診断を行うことができる。
ところで、前述の第1のステップは、各2次巻線にダイオードを介して接続されたコンデンサに所望の電圧を充電させるとともに、制御回路2および電源制御用IC8を動作させるために電力供給を行う期間である。第1のステップでの動作を、後述するように変更可能である。
図25は、実施の形態5にかかる制御回路2の構成例を示すブロック図である。図2との比較で見れば、制御回路起動用IC230が付加されており、トランス6の2次巻線21とダイオードD21を介して接続されたコンデンサC21の両端を、制御回路起動用IC230に入力している。制御回路起動用IC230にて、コンデンサC21に充電された電圧V2を監視し、V2が指令電圧V2refに到達し、時間Δtc後に演算処理部210および記憶保持部220に起動信号RESET1を出力し、演算処理部210および記憶保持部220は動作する。
具体的な動作について説明する。図26は、変更した第1のステップの動作を説明する図であり、電流ID、電圧V2、起動信号RESETおよび、電源電圧検出部50の出力V50に関する動作波形を示している。なお、電源電圧検出部50の出力信号V50の代わりに、スイッチング動作検出部70の出力信号tPout、あるいはV50およびtPoutの両方を演算処理部210に入力してもよい。
時刻t00は、主電源5への電源供給が開始され、スイッチング電源回路1が動作を開始した時間を示している。時刻t00〜t01は、各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24の充電と、制御回路2、電源制御用IC8に対する電力供給が行われる。これに加えて、電圧V2の電圧を制御回路起動用IC230にて監視している。
時刻t01にて、各コンデンサC21,C22,C23,C24に指令電圧が充電され、電圧V2も指令電圧V2refに到達する。時刻t02にて、制御回路起動用IC230から、起動信号RESETが演算処理部210、記憶保持部220に出力され、動作を開始する。なお、起動信号RESETが“H”を出力する際には、図示C部のように、所定のディレイ時間を持たせている。
時刻t02〜t03は、演算処理部210、記憶保持部220が安定動作に入るまでの期間であり、図示D部に示されるように、時刻t03にて、演算処理部210、記憶保持部220が安定動作状態になり、電源電圧検出部50の出力V50を監視できるようになる。
以上から、変更した第1ステップは以下のように動作をする。
・ステップ1:各2次巻線21,22,23および補助巻線B1に接続されたコンデンサC21,C22,C23,C24の充電、電源制御用IC8への電力供給、制御回路起動用IC230での電圧V2の監視
・ステップ2:制御回路起動用IC230から、演算処理部210、記憶保持部220に起動信号RESETが出力され、演算処理部210、記憶保持部220が動作を開始
・ステップ3:演算処理部210、記憶保持部220の安定動作後に、電源電圧検出部50の出力信号V50の判定を実施
前述のように、演算処理部210はマイクロコンピュータやCPU、ASIC等で構成され、記憶保持部220は、フラッシュROMやEEPROMで構成される。これらのものは、供給される電源電圧が所望の電圧に到達してから起動させるのが一般的である。例えば、演算処理部210で、主電源の電源電圧V1や、スイッチング素子7の動作、スイッチング電源回路1の動作診断は、演算処理部210が安定動作状態で行う必要がある。前述の変更した第1ステップにて、演算処理部210にて、実施の形態1〜5で示した動作シーケンスを実現することができる。
実施の形態6.
図27は、実施の形態6にかかるスイッチング電源回路1およびその他の回路を搭載した電子機器に関する要部構成を示すブロック図であり、実施の形態1,2,4と同様に、インバータ装置に搭載した例を示している。実施の形態6では、制御回路2に接続されるコンデンサC21と接続されている2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れる時間を検出する2次巻線導通時間検出部1000が設けられ、2次巻線導通時間検出部1000は、2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れる時間t21outを検出し、制御回路2に対し、検出結果である出力信号t21outを出力する機能を有している。なお、これまで示した実施の形態と同一または同等の部分については、同一符号を付して示し、重複する内容は適宜省略した説明とする。
これまでの実施の形態において、スイッチング電源回路1の制御方法として、3つのステップで動作を行い、電力負荷の分散を図っているが、例えば第1のステップと第2のステップの間において、制御回路2になんらかの異常があり、ダイオードD21の熱容量を越えるような過大な電流が流れると、ダイオードD21の発熱が大きくなり熱破損の可能性がある。
前述のように電源制御用IC8は、スイッチング素子7のオン/オフ制御を行うとともに、過大な電流が流れた場合にスイッチング動作を停止する過電流保護動作を行う機能を備えている。過電流保護動作を行う過電流保護レベル電流値をIDOCとすると、1次巻線11が供給可能な最大電力Pinmaxは式(39)のように示すことができる。
Pinmax=1/2×L11×IDOC×fsw …(39)
前述の第1のステップ完了後、主回路3および周辺機器回路4は動作しておらず、動作をしているのは制御回路2および電源制御用IC8だけである。制御回路2が消費する電力をP21、電源制御用IC8が消費する電力をP51とする。この際の2次巻線の総負荷P2allは式(40)のように示すことができる。
P2all=P21+P51=P21+V5×I5 …(40)
効率をηとすると、第1のステップ完了後の、1次巻線が供給可能な電力Pinは式(41)のように示すことができる。
Pin=P2all/η …(41)
また、制御回路2に異常があった場合に流れる過大な電流値をI2maxとし、この際の電力負荷をP21maxとすると、P21maxは式(42)で示すことができる。
P21max=V2×I2max …(42)
前述のように制御回路2に異常があった場合の2次巻線の総負荷をP2allmaxとすると、式(43)で示すことができる。
P2allmax=P21max+P51=V2×I2max+P51 …(43)
前述のように、第1のステップ完了後において、制御回路2に異常があり、制御回路2が消費する電流値がI2maxであり、これが原因で、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDが過電流保護レベル電流IDOCに到達している場合、1次巻線11が供給可能な電力Pinは式(41)に示したPinmaxと等価となる。式(39)で示したPinmaxを式(41)のPinに代入するとともに、式(43)のP2allmaxを式(41)のP2allに代入すると以下のように表すことができる。
1/2×L11×IDOC×fsw=(V2×I2max+P51)/η
…(44)
このとき、制御回路2に流れる電流I2maxは、式(44)から以下のように算出することができる。
I2max
=1/2×L11×IDOC×fsw×η/V2−P51/V2
…(45)
式(45)は、制御回路2になんらかの異常があり、その際に電源制御用IC8の過電流保護レベル電流値IDOCまで1次巻線11およびスイッチング素子7に流れた場合に、制御回路2が消費する電流値を示している。
前述のようにスイッチング素子7は、過大な電流が流れた場合、電源制御用IC8で設定された過電流保護レベル電流値IDOCによりそれ以上の電流が流れない。そのため、過電流保護レベル電流値IDOCに基づきスイッチング素子7の熱容量を確保すればよい。しかし、2次巻線に接続されたダイオードは、ダイオードの熱容量を越えるような電流が流れた場合でも、過電流保護レベル電流値IDOCに基づいた1次巻線11が供給可能な電力Pinmaxまでは動作を続けてしまう。そのため、熱容量の大きなダイオードの選定や、ヒートシンクの大型化等の熱容量をあげる必要がある。
これまでの実施の形態においても、前述の第1のステップ終了後において、制御回路2になんらかの異常があった場合、電源制御用IC8にて設定された過電流保護レベル電流値IDOCに基づいた1次巻線11の供給可能な電力Pinmaxの大半が、制御回路2の消費電力となり、制御回路2の消費電流I2maxが大きくなる。そして結果として、ダイオードD21に流れる電流が過大になる。
実施の形態6では、図27に示すように、2次巻線導通時間検出部1000を設けているが、この2次巻線導通時間検出部1000は、上述したような問題点の解決に好適である。
図28は、2次巻線導通時間検出部1000の内部構成を示すブロック図である。2次巻線21の巻き終わり端子と、ダイオードD1001のアノード端子を接続し、ダイオードD1001のカソード端子と抵抗R1002の一端を接続し、抵抗R1002の他端を、抵抗R1003を介して2次巻線21の基準であるGND2を接続する。また、抵抗R1002の他端の電位をt21outとして、制御回路2に入力する。
つぎに、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21と、制御回路2が消費する電流I2の動作の関係について図29a〜図29cを用いて説明する。図29a〜図29cは、制御回路2が消費する電流I2に対するスイッチング電源回路1の2次側の動作、すなわち2次巻線21およびダイオードD21の挙動の変化を説明する図であり、具体的には、1次巻線11の端子間電圧V11、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流ID、2次巻線21の端子間電圧V21ならびに、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21の動作波形を示している。なお、スイッチング電源回路1の動作条件は以下のとおりである。
(スイッチング電源回路1の動作条件)
・スイッチング周波数fswは固定
・スイッチング電源回路1の動作状態は、前述の第1のステップ終了後の状態、すなわち、制御回路2および電源制御用IC8は動作をしており、主回路3および周辺機器回路4は動作していない状態
・主電源5の電源電圧は一定
・制御回路2が消費する電流I2のみが変化
図29a〜図29cに示されているように、制御回路2が消費する電流I2が図29a→図29b→図29cと大きくなっている。制御回路2の消費する電流I2が大きくなるにつれて、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDのピーク電流IDpと、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21のピーク電流I21pが大きくなっていることがわかる。また、制御回路2の消費する電流I2が大きくなるにつれて、スイッチング素子7のオン時間と、2次巻線21およびダイオードD21に電流I2が流れる時間(以降2次巻線導通時間とする)が長くなることがわかる。
制御回路2の消費する電流I2が増加するにつれて、前述の1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDのピーク電流IDpが大きくなる点や、スイッチング素子7のオン時間が長くなる点について説明する。2次巻線21にダイオードD21、コンデンサC21を介して接続される制御回路2の消費する電流I2が増加するということは、制御回路2の消費電力P2が増加するということであり、これにともない、2次巻線21の負荷が増加したため、1次巻線11が供給しなければならない電力Pinも増加させる必要がある。1次巻線11の電力Pinは前述の式(8)に示している通りであり、Pinを増加させるには、1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDのピーク電流IDpを大きくする必要があるためである。また、スイッチング素子7のオン時間が長くなっているのは、前述の式(30)に示したようにピーク電流IDpを大きくするには、スイッチング素子7のオン時間を長くする必要があるためである。
つぎに、制御回路2の消費する電流I2が増加するにつれて、前述の2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21のピーク電流I21pが大きくなる点や、2次巻線導通時間が長くなる点について説明する。2次巻線21にダイオードD21、コンデンサC21を介して接続される制御回路2の消費する電流I2が増加するということは、2次巻線21に必要となる電力P21を大きくしなければならない。前述のように、制御回路2の消費電力P2と2次巻線21に必要となる電力P21は同じであることから、前述の式(21)に示してあるようにP21を大きくするには、ピーク電流I21pを大きくする必要があるためである。
つぎに、2次巻線導通時間が長くなる点について、前述の式(19)、(20)、(21)、(22)に基づいて説明する。制御回路2が消費する電流I2が1.2倍となった場合、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流ピーク値をI21p1.2、2次巻線21が必要とする電力P211.2、制御回路2が消費する電力をP21.2とすると、I21p1.2は式(46)で示すことができる。
P21.2=P211.2
V2×1.2×I2=1/2×L21×I21p1.2 ×fsw
I21p1.2=√(2×V2×1.2×I2/(L21×fsw))
…(46)
制御回路2が消費する電流I2が1倍の場合、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流ピーク値I21pは、式(47)で示すことができる。
P2=P21
V2×I2=1/2×L21×I21p×fsw
I21p=√(2×V2×I2/(L21×fsw)) …(47)
式(46)、式(47)より、I21p1.2は式(48)のように示すことができる。
I21p1.2=√(1.2)×I21p …(48)
制御回路2の消費する電流I2が1.2倍のときの2次巻線導通時間をToff1.2とすると、式(22)、式(48)より、式(49)のように示すことができる。
Toff1.2=2×1.2×I2×Tall/I21p1.2
Toff1.2=2×1.2×I2×Tall/√(1.2)×I21p
Toff1.2=1.2/√(1.2)×Toff …(49)
式(49)にある1.2/√(1.2)は、1よりも大きいので、制御回路2の消費する電流I2が1.2倍になった場合、2次巻線導通時間Toff1.2が長くなることを示している。
以上よりまとめると、前述の第1のステップ終了後、制御回路2の消費する電流I2が増加した場合、スイッチング素子7のオン時間が長くなるとともに、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる期間、すなわち2次巻線導通時間が長くなる。2次巻線導通時間が長くなると、ダイオードD21の損失が大きくなるため発熱が大きくなる。
図29aおよび図29bは、スイッチング素子7がオフであり、2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れない期間がある(以降不連続モード動作とする)のに対し、図29cは、スイッチング素子7がオフの間はすべて2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れ続けるとともに、IDおよびI21ともに電流値がゼロになる期間がない状態となっている(以降連続モード動作とする)。特に連続モード動作の場合については、ダイオードD21の発熱が大きくなるだけでなく、スイッチング素子7の損失も増加するため、スイッチング素子7の発熱も大きくなる。そのため、ダイオードD21の発熱対策ももちろんのこと、スイッチング素子7の発熱対策も必要となってくる。
そこで、本実施の形態では、2次巻線21およびダイオードD21に電流が流れる時間、すなわち2次巻線導通時間を検出することで、制御回路2が消費する電流I2を監視する。2次巻線導通時間が長くなった場合、制御回路2になんらかの異常が発生し、電流I2が過大になったと判定し、判定終了後、制御回路2からアラーム信号を出力するとともに、主回路3および周辺機器回路4への電力供給を開始し、制御回路2に過大な電流が流れることを防止するとともに、スイッチング電源回路1の動作が前述の連続モード動作になることを防止する。
本実施の形態によれば、ダイオードD21に過大な電流が流れることを防ぐことができるため、ダイオードD21の熱容量を大きくする必要がなくコストアップを抑制できる。また、異常検出時、スイッチング電源回路1が電力供給する各回路にバランスよく電力を供給するため、制御回路2に電力供給を行う2次巻線21およびダイオードD21に過大な電流を流すことを防止でき、連続モード動作防止にもつながる。これにより、スイッチング素子7の熱容量も大きくする必要がなくコストアップを抑制できるという効果を奏する。
つぎに、図27および図28に示した2次巻線導通時間検出部1000の動作について説明する。
前述の第1のステップ終了後、すなわち制御回路2と電源制御用IC8のみが動作をし、主回路3および周辺機器回路4が動作をしてない状態において、スイッチング素子7がオフ時の2次巻線21の端子間電圧V21を監視し、2次巻線導通時間を検出する。
図29a〜cを見てもわかるように、スイッチング素子7がオフの際、2次巻線21の端子間電圧V21は+の電圧を発生し、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる期間は、端子間電圧V21は+の電圧を発生していることがわかる。
図30は、2次巻線導通時間検出部1000の入力信号と出力信号の挙動を示す図である。2次巻線21の端子間電圧V21、2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21ならびに、2次巻線導通時間検出部1000の出力信号であるt21outを示している。
スイッチング素子7がオンの場合、2次巻線21の端子間電圧V21はマイナスの電圧が発生し、この際、2次巻線21およびダイオードD21の電流I21はゼロである。ダイオードD1001により、電流が流れることを防止しているため、t21outに電圧は発生しない。スイッチング素子7がオンの場合、2次巻線21の端子間電圧V21は+の電圧が発生する。ダイオードD1001は導通するため、t21outには抵抗R1002と抵抗R1003により分圧された電圧が発生する。ダイオードD1001により、t21outは+の電圧のみを抽出し、抵抗R1002と抵抗R1003により、2次巻線導通時間検出部1000に流れる電流を制限するとともに、分圧したt21outを生成している。
生成された2次巻線導通時間検出部1000の出力信号であるt21outは、図30に示しているようにプラス電位のパルス信号のようになる。制御回路2に入力し、t21outを分析することで、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる期間を検出することができる。これにより制御回路2に流れる電流I2を判定することができる。
t21outの分析方法については、図22、図23に示すような実施の形態4のように、t21outのパルス幅を検出し、パルス幅に基づいて2次巻線21およびダイオードD21に流れる電流I21のピーク電流I21pや制御回路2に流れる電流I2を算出する方法や、パルス幅の閾値を設けて、パルス幅が閾値以上であった場合、主回路3や周辺機器回路4を動作させるなどが考えられる。
前述のように、制御回路2が消費する電流I2に異常があるものと判定した場合、制御回路2から出力信号soutおよびfoutを出力し、主回路3および周辺機器回路4を駆動させる。
1次巻線11およびスイッチング素子7に流れる電流IDの電流ピーク値がIDOC、すなわち過電流保護レベル電流値であった場合、1次巻線11が供給可能な電力Pinmaxは前述のとおりであるが、主回路3と周辺機器回路4が駆動した場合、式(50)で示すことができる。
Pinmax
=(V2×I2max+V5×I5+V3×I3+V4×I4)/η
…(50)
式(50)から、制御回路2に流れる電流I2maxは、式(51)のように示すことができる。
I2max
=Pinmax×η/V2−(V5×I5+V3×I3V4×I4)/V2
…(51)
式(45)と比較して、過電流保護レベル電流値IDOCの場合の、1次巻線11が供給可能な電力Pinmaxにおいても、主回路3と周辺機器回路4が電力消費を行うため、制御回路2に流れる電流I2maxを低減することができる。
また、主回路3や周辺機器回路4に電力供給を行うことで、2次巻線21およびダイオードD21に電流I21が流れる時間を低減でき、図29cのような連続モード動作を防ぐことができる。これにより、ダイオードD21の発熱はもちろんのこと、スイッチング素子7の発熱を低減することができ、熱容量を下げることができる。
以上説明したように、実施の形態6のスイッチング電源回路1によれば、第1のステップ終了後に、制御回路2になんらかの異常があり、制御回路2に流れる電流I2が過大になった場合を検出することができる。そして検出結果に基づいて、動作を停止している主回路3や周辺機器回路4の動作を開始することで、制御回路2が消費する電流I2を低減することができ、ダイオードD21に集中する発熱を低減することができる。また、スイッチング電源回路1が連続モード動作になることを防ぐことができ、スイッチング素子7の発熱を低減することができる。
なお、以上の実施の形態1〜6に示した構成は、本発明の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能であることは言うまでもない。
以上のように、本発明は、スイッチング電源回路の構成部品であるスイッチング素子、ダイオード、絶縁トランスを小型化し、低コスト化が図れるスイッチング電源回路1およびその制御方法として有用である。
1 スイッチング電源回路、2 制御回路、3 主回路、4 周辺機器回路、5 主電源、6 フライバック型絶縁トランス(トランス)、7 スイッチング素子、8 電源制御用IC、9 エラーアンプ、11 1次巻線、21,22,23 2次巻線、50 電源電圧検出部、51 電圧抽出部、52 反転増幅部、70 スイッチング動作検出部、71,810,820,910,920 比較器、80 電源電圧判定部、81 電源端子、82 GND端子、83 入力端子、84 信号出力端子、90 スイッチング動作判定部、100 時間幅計測部、110 フリーランカウンタ、120 キャプチャ部、130 時間幅算出部、210 演算処理部、220 記憶保持部、230 制御回路起動用IC、521 オペアンプ、830,930 論理積、840,940 ディレイ回路、860,960 NPNトランジスタ、1000 2次巻線導通時間検出部、B1 補助巻線、R1,R2,R3,R4,R513,R514,R522,R523,R1002,R1003 抵抗、D21,D22,D23,D24,D511,D1001 ダイオード、C21,C22,C23,C24,C512 コンデンサ、OI フォトカプラ。

Claims (25)

  1. 電子機器の動作全体を制御する制御回路、前記電子機器の実動作を行う主回路および前記電子機器の実動作に関わらないその他の回路に対する動作電力を、主電源の電力に基づいて生成する動作を行うスイッチング電源回路であって、
    1次巻線と1つ以上の2次巻線により構成される絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの1次巻線に直列に接続され、オン/オフ制御されることによって前記主電源から前記1次巻線に電力供給を行うスイッチング素子と、
    前記絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されるコンデンサと、
    前記コンデンサの充電電圧に基づいて前記スイッチング素子のオン/オフ動作を制御する電源制御用ICと、
    前記2次巻線および前記ダイオードに電流が流れる時間を推定可能な時間要素を検出し、前記制御回路に検出結果を出力する2次巻線導通時間検出部と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記主電源に電源が供給されてから前記コンデンサに予め設定された所望の電圧が充電され、前記所望の電圧が充電されてから、前記2次巻線導通時間検出部の出力信号に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作を制御することを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 前記2次巻線導通時間検出部は、前記時間要素として、スイッチング素子がオンしている時間を検出することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 前記2次巻線導通時間検出部は、前記時間要素として、スイッチング素子がオフしている時間を検出することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 前記制御回路は、前記2次巻線導通時間検出部の出力信号に基づいて、前記2次巻線の電力を使用する回路が消費する電流を判定し、その判定値に基づいて、アラーム信号を出力するとともに、前記主回路および前記その他の回路を動作させることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  5. 電子機器の動作全体を制御する制御回路、前記電子機器の実動作を行う主回路および前記電子機器の実動作に関わらないその他の回路に対する動作電力を、主電源の電力に基づいて生成する動作を行うスイッチング電源回路であって、
    1次巻線と1つ以上の2次巻線により構成される絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの1次巻線に直列に接続され、オン/オフ制御されることによって前記主電源から前記1次巻線に電力供給を行うスイッチング素子と、
    前記絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されるコンデンサと、
    前記コンデンサの充電電圧に基づいて前記スイッチング素子のオン/オフ動作を制御する電源制御用ICと、
    前記スイッチング素子のオン時間を推定可能な時間要素を検出し、前記制御回路に検出結果を出力するスイッチング動作検出部と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記主電源に電源が供給されてから前記コンデンサに予め設定された所望の電圧が充電され、前記所望の電圧が充電されてから予め設定されたディレイ時間の経過後に、前記主回路および前記その他の回路が動作を開始するように制御するとともに、
    前記スイッチング動作検出部の出力に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作を制御することを特徴とするスイッチング電源回路。
  6. 前記スイッチング動作検出部は、前記制御回路に電力供給を行う前記2次巻線の端子間電圧に基づいて前記時間要素を検出することを特徴とする請求項に記載のスイッチング電源回路。
  7. 前記制御回路は、前記スイッチング動作検出部の出力信号に基づいて、前記主回路および前記その他の回路に対する動作の開始および停止を判定するスイッチング動作判定部を備えることを特徴とする請求項またはに記載のスイッチング電源回路。
  8. 前記スイッチング動作検出部が検出する前記スイッチング素子の動作に起因する時間要素は、前記スイッチング素子のスイッチングオン時間、前記スイッチング素子のスイッチングオフ時間、前記スイッチング素子の動作周波数、前記絶縁トランスの2次巻線および2次巻線に接続されたダイオードに流れる電流の時間の何れか1つであることを特徴とする請求項に記載のスイッチング電源回路。
  9. 前記スイッチング動作判定部は、前記スイッチング動作検出部の出力信号に基づいて、前記時間要素の時間を計測する時間計測部を備えることを特徴する請求項に記載のスイッチング電源回路。
  10. 電子機器の動作全体を制御する制御回路、前記電子機器の実動作を行う主回路および前記電子機器の実動作に関わらないその他の回路に対する動作電力を、主電源の電力に基づいて生成する動作を行うスイッチング電源回路であって、
    1次巻線と1つ以上の2次巻線により構成される絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの1次巻線に直列に接続され、オン/オフ制御されることによって前記主電源から前記1次巻線に電力供給を行うスイッチング素子と、
    前記絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されるコンデンサと、
    前記コンデンサの充電電圧に基づいて前記スイッチング素子のオン/オフ動作を制御する電源制御用ICと、
    前記主電源の電源電圧を検出し、前記制御回路に検出結果を出力する電源電圧検出部と、
    前記スイッチング素子のオン時間を推定可能な時間要素を検出し、前記制御回路に検出結果を出力するスイッチング動作検出部と、
    を備え、
    前記制御回路は、前記主電源に電源が供給されてから前記コンデンサに予め設定された所望の電圧が充電され、前記所望の電圧が充電されてから予め設定されたディレイ時間の経過後に、前記主回路および前記その他の回路が動作を開始するように制御するとともに、前記電源電圧検出部および前記スイッチング動作検出部の出力に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作を制御することを特徴とするスイッチング電源回路。
  11. 前記電源電圧検出部は、前記制御回路に電力供給を行う前記2次巻線の端子間電圧を前記検出結果として出力し、
    前記スイッチング動作検出部は、前記制御回路に電力供給を行う前記2次巻線の端子間電圧に基づいて前記時間要素を検出する
    ことを特徴とする請求項10に記載のスイッチング電源回路。
  12. 前記制御回路は、前記電源電圧検出部の出力信号および前記スイッチング動作検出部の出力信号に基づいて、前記主回路および前記その他の回路に対する動作の開始および停止を判定する回路診断部を備えることを特徴とする請求項10または11に記載のスイッチング電源回路。
  13. 前記制御回路は、前記電子機器の動作全体を制御する演算処理部を備え、
    前記演算処理部には、前記回路診断部が設けられ、
    前記回路診断部は、前記電源電圧検出部の出力信号および前記スイッチング動作検出部の出力信号のうちの少なくとも1つの信号に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作を制御することを特徴とする請求項12に記載のスイッチング電源回路。
  14. 電子機器の動作全体を制御する制御回路、前記電子機器の実動作を行う主回路および前記電子機器の実動作に関わらないその他の回路に対する動作電力を、主電源の電力に基づいて生成する動作を行うスイッチング電源回路の制御方法であって、
    前記スイッチング電源回路は、
    1次巻線と1つ以上の2次巻線により構成される絶縁トランスと、
    前記絶縁トランスの1次巻線に直列に接続され、オン/オフ制御されることによって前記主電源から前記1次巻線に電力供給を行うスイッチング素子と、
    前記絶縁トランスの2次巻線にダイオードを介して接続されるコンデンサと、
    前記コンデンサの充電電圧に基づいて前記スイッチング素子のオン/オフ動作を制御する電源制御用ICと、
    を備え、
    前記制御回路の処理には、前記主電源の電力を用いて前記コンデンサに予め設定された所望の電圧を充電する第1のステップが含まれ、
    前記制御回路は、前記第1のステップの処理完了後から予め設定されたディレイ時間の経過後に、前記主回路および前記その他の回路に起動信号を出力して、前記主回路および前記その他の回路の動作を開始するように制御することを特徴とするスイッチング電源回路の制御方法。
  15. 前記制御回路の処理には、
    前記主電源の電源電圧値を判定する第2のステップと、
    前記第2のステップの判定結果に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作の開始または停止を制御し、あるいは、動作を開始させずにアラーム信号を出力する第3のステップと、
    が含まれることを特徴とする請求項14に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  16. 前記第2のステップでは、前記主電源の電源電圧値と予め設定された電圧上限しきい値とを比較すると共に、当該電源電圧値と予め設定された電圧下限しきい値とを比較し、前記電源電圧値が、前記電圧下限しきい値以上かつ前記電圧上限しきい値以下である第1条件、あるいは、前記電圧下限しきい値以上である第2条件を満たしているか否かを判定し、
    前記第3のステップでは、前記第2のステップにて前記第1条件もしくは前記第2条件の何れかを満足していると判定した場合、予め設定されたディレイ時間の経過後に、前記主回路および前記その他の回路に起動信号を出力して、前記主回路および前記その他の回路の動作を開始する制御を行うことを特徴とする請求項15に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  17. 前記第2のステップでは、前記主電源の電源電圧値と予め設定された電圧上限しきい値とを比較すると共に、当該電源電圧値と予め設定された電圧下限しきい値とを比較し、前記電源電圧値が、前記電圧下限しきい値以上かつ前記電圧上限しきい値以下である第1条件、あるいは、前記電圧下限しきい値以上である第2条件を満たしているか否かを判定し、
    前記第3のステップでは、前記第2のステップにて前記第1条件および前記第2条件の何れも満足していないと判定した場合、前記主回路および前記その他の回路に起動信号を出力せずに、前記主回路および前記その他の回路の動作を停止する制御を行うことを特徴とする請求項15に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  18. 前記第3のステップでは、前記主回路および前記その他の回路を動作させた以降において、前記主電源の電源電圧値に基づいて、前記電圧上限しきい値および前記電圧下限しきい値のうちの少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項16または17に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  19. 前記第3のステップでは、前記主回路および前記その他の回路を動作させた以降において、前記電圧上限しきい値および前記電圧下限しきい値のうちの少なくとも1つを変更した後に、前記第1条件および前記第2条件のうちの1つを満足しなくなった場合、前記主回路および前記その他の回路のうちの少なくとも1つの回路の動作を停止する制御を行うことを特徴とする請求項18に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  20. 前記制御回路の処理には、
    前記スイッチング素子のオン時間を推定可能な時間要素を検出する第2のステップと、
    前記第2のステップの検出結果に基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作の開始または停止を制御し、あるいは、動作を開始させずにアラーム信号を出力する第3のステップと、
    が含まれることを特徴とする請求項14に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  21. 前記第2のステップでは、前記時間要素と予め設定された時間上限しきい値とを比較すると共に、当該時間要素と予め設定された時間下限しきい値とを比較し、前記時間要素が、前記時間下限しきい値以上かつ前記時間上限しきい値以下である第1条件、あるいは、前記時間下限しきい値以上である第2条件を満たしているか否かを判定し、
    前記第3のステップでは、前記第2のステップにて前記第1条件もしくは前記第2条件の何れかを満足していると判定した場合、予め設定されたディレイ時間の経過後に、前記主回路および前記その他の回路に起動信号を出力して、前記主回路および前記その他の回路の動作を開始する制御を行うことを特徴とする請求項20に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  22. 前記第2のステップでは、前記時間要素と予め設定された時間上限しきい値とを比較すると共に、当該時間要素と予め設定された時間下限しきい値とを比較し、前記時間要素が、前記時間下限しきい値以上かつ前記時間上限しきい値以下である第1条件、あるいは、前記時間下限しきい値以上である第2条件を満たしているか否かを判定し、
    前記第3のステップでは、前記第2のステップにて前記第1条件および前記第2条件の何れも満足していないと判定した場合、前記主回路および前記その他の回路に起動信号を出力せずに、前記主回路および前記その他の回路の動作を停止する制御を行うことを特徴とする請求項20に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  23. 前記第3のステップでは、前記主回路および前記その他の回路を動作させた以降において、前記時間要素に基づいて、前記時間上限しきい値および前記時間下限しきい値のうちの少なくとも1つを変更することを特徴とする請求項21または22に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  24. 前記第3のステップでは、前記主回路および前記その他の回路を動作させた以降において、前記時間上限しきい値および前記時間下限しきい値のうちの少なくとも1つを変更した後に、前記第1条件および前記第2条件のうちの1つを満足しなくなった場合、前記主回路および前記その他の回路のうちの少なくとも1つの回路の動作を停止する制御を行うことを特徴とする請求項23に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
  25. 前記制御回路の処理には、
    前記主電源の電源電圧値を判定すると共に、前記スイッチング素子のオン時間を推定可能な時間要素を検出する第2のステップと、
    前記電源電圧値の判定結果および前記時間要素の検出結果のうちの少なくとも1つに基づいて、前記主回路および前記その他の回路の動作の開始または停止を制御し、あるいは、動作を開始させずにアラーム信号を出力する第3のステップと、
    が含まれること特徴とする請求項14に記載のスイッチング電源回路の制御方法。
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