JP5665302B2 - 鋼帯の電気めっき装置 - Google Patents
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Description
この電気めっき装置60は、めっき液を貯留した竪型めっき用タンク(以下、単にタンクともいう)62を有し、このタンク62内が、仕切壁63によって、ダウンパス室64とアップパス室65とに仕切られている。このダウンパス室64の上方には入側通電ロール66が、またアップパス室65の上方には出側通電ロール67が、そして、仕切壁63の下方には浸漬ロール68が、それぞれ回転可能に設けられている。なお、仕切壁63の下方には、浸漬ロール68の上面とオーバーラップする上シール板69が取付けられ、浸漬ロール68の下方には、エアーシリンダー70によって開閉可能な下シール板71が設けられている。
ストリップ61は、入側通電ロール66、浸漬ロール68、及び出側通電ロール67により、連続的にタンク62内のめっき浴中に浸漬される。このとき、ストリップ61は、入側通電ロール66と出側通電ロール67により陰極(又は陽極)に通電され、またストリップ61と対向した電極74、75が陽極(又は陰極)に通電されて、電極74と電極75の間を流れるめっき液により、電気めっきが行われる。
なお、図3(A)、(B)は、上記した電気めっき装置60のダウンパス室64に対応する部分の構造を示しているため、同一部材には同一の番号を付す。
しかし、図2に示す電気めっき装置60では、めっき液が、タンク62内のストリップ61の幅方向外側に流れ易くなるため、ストリップ61の表面を流れるめっき液の流速を十分に速くすることができず、また、その流速がストリップ61の幅方向で大きく(例えば、5%超)異なっていた。これは、電極74、75の間にストリップ61が配置され抵抗が大きくなった領域よりも、ストリップ61の幅方向両側のように抵抗が小さい領域へ、めっき液が流れ易いことによる。
しかし、エッジマスク部材92、93の幅方向外側には、電極74、75の間にストリップ61が配置された領域(エッジマスク部材92とエッジマスク部材93の間の領域)と比較して、抵抗が小さくめっき液が流れ易い領域が存在するため、ストリップ61の表面を流れるめっき液の流速を十分に速くすることができなかった。
前記鋼帯の幅方向両側にそれぞれ設けられたエッジマスク部材の更に外側に、前記めっき液の流れを妨げる抵抗部材を設け、しかも、該抵抗部材は、前記エッジマスク部材に取付けられたロッドで構成され、対向配置された前記エッジマスク部材の間隔を、前記ロッドの基側に取付けられた駆動手段により、前記鋼帯の幅に応じて調整可能にし、更に、前記ロッドは、前記エッジマスク部材の上下方向に間隔を有して複数取付けられ、
前記ロッドの幅T2と、対向配置された前記電極板の間隔S1との差、及び、前記ロッドの幅T2と、該ロッドを挟んで対向する前記竪型めっき用タンクの内壁面の間隔S2との差を、それぞれ0.5mm以上1mm以下とした。
従って、簡単な構成で、鋼帯の表面を流れるめっき液の流速を速くできると共に、めっき液の流速を鋼帯の幅方向にわたって略均一にでき、めっきの処理速度を従来よりも上昇できるので、めっき処理の高速化が図れる。
図1(A)、(B)に示すように、本発明の一実施の形態に係る鋼帯の電気めっき装置(以下、単に電気めっき装置ともいう)10は、上又は下方向にめっき液が流れる竪型めっき用タンク(以下、単にタンクともいう)11と、このタンク11内のめっき浴12中に間隔S1を有して対向配置された電極板13、14とを有し、この電極板13、14間を搬送されるストリップ(鋼帯の一例)15の幅方向両側にそれぞれ設けられたエッジマスク部材16、17の更に外側に、めっき液の流れを妨げるロッド(抵抗部材の一例)18、19を設けた装置である。以下、詳しく説明する。
このダウンパス室20は、外側ケース21と、その内壁面に取付けられた電極板13、14とで構成され、ダウンパス室20の幅方向両側下部には、めっき液の供給口22が設けられている。これにより、各供給口22から供給されためっき液は、ダウンパス室20の下方からダウンパス室20内に流入して上方へ流れた後、ダウンパス室20の上端部に設けられた排出口(図示しない)から流出するので、ダウンパス室20内にめっき液の上方向の流れ(即ち、ストリップ15の進行方向に対して向流)が形成される。
エッジマスク部材16(エッジマスク部材17も同様)は、ストリップ15の側端部に過剰にめっきされるエッジオーバーコートと、電流の裏廻りを防止するためのものであり、電極13と電極14の間に、ストリップ15の搬送方向に沿って配置されている。なお、その上下方向の長さは、電極13、14と同等であるが、長くしてもよい。
また、エッジマスク部材16は、断面正方形であるが、これに限定されるものではなく、例えば、断面長方形でもよく、また従来公知の形状でもよい。
ロッド18(ロッド19も同様)は、軸心を水平に配置した円柱状のものであり、エッジマスク部材16の外側(ストリップ15とは反対側)側方に、上下方向に間隔を有して複数(ここでは、2本)取付けられている。なお、ロッドの本数は、1本でもよく、3本以上でもよい。
本実施の形態では、間隔S1と間隔S2が同じ間隔であるため、間隔S1、S2と厚みT2との差は同一になるが、間隔S1と間隔S2が異なる間隔であれば、その差を、上記した範囲内で設定する。また、本実施の形態では、ロッド18の幅T2を、エッジマスク部材16の厚みT1より僅かに小さく設定しているが、同じでもよい。
なお、ロッド18(ロッド19も同様)は、タンク11の側方に突出するため、タンク11とロッド18との間をシールする。
各ロッド18、19の基側には、エアーシリンダー(駆動手段の一例)25、26が設けられており、このエアーシリンダー25、26を作動させて、対向配置されたエッジマスク部材16とエッジマスク部材17との間隔を、ストリップ15の幅に応じて調整可能にしている。
まず、めっき処理するストリップ15の幅に応じて、エアーシリンダー25、26を作動させ、エッジマスク部材16とエッジマスク部材17の間の距離を調整する。なお、ストリップ15の幅は、例えば、500mm以上1200mm以下程度である。
また、めっき液を各供給口22からタンク11内へ供給する共に、排出口からタンク11外へ排出することで、ダウンパス室20内の下方から上方へのめっき液の流れを形成する。このめっき液の種類には、例えば、亜鉛や錫がある。
なお、ストリップ15の搬送速度は、例えば、150m/分以上250m/分以下程度であり、最大電流密度は、例えば、150A/dm2以上250A/dm2以下程度である。この最大電流密度は、従来よりも高いため、めっきに使用する金属イオンの供給量をその消費量よりも多くする必要がある。そこで、めっき液の流速を、供給ポンプ(図示しない)により、例えば、1.0m/秒以上1.8m/秒以下(好ましくは、下限を1.2m/秒、更には1.5m/秒)程度にする。
従って、簡単な構成で、ストリップ15の表面を流れるめっき液の流速を、上記した流速に調整できると共に、めっき液の流速をストリップ15の幅方向にわたって略均一(±5%以内)にできる。これにより、めっきの処理速度を従来よりも上昇できるので、めっき処理の高速化が図れる。
また、前記実施の形態においては、ダウンパス室とアップパス室とが分離された竪型めっき用タンクを備える電気めっき装置について説明した。しかし、ダウンパス室とアップパス室とが一体となった竪型めっき用タンクを備える電気めっき装置(例えば、特許第3302170号公報の図5)についても、本発明を適用できる。
そして、前記実施の形態においては、めっき液の流れを妨げる抵抗部材として、エッジマスク部材に取付けられたロッドのみを使用した場合について説明したが、例えば、板材等の他の抵抗部材と組み合わせて、又はこれを単独で使用することもできる。
Claims (1)
- 上又は下方向にめっき液が流れる竪型めっき用タンクと、該竪型めっき用タンク内のめっき浴中に間隔を有して対向配置された電極板とを有し、該電極板間に鋼帯を隙間を有して連続的に通過させ、該鋼帯への電気めっきを行う鋼帯の電気めっき装置において、
前記鋼帯の幅方向両側にそれぞれ設けられたエッジマスク部材の更に外側に、前記めっき液の流れを妨げる抵抗部材を設け、しかも、該抵抗部材は、前記エッジマスク部材に取付けられたロッドで構成され、対向配置された前記エッジマスク部材の間隔を、前記ロッドの基側に取付けられた駆動手段により、前記鋼帯の幅に応じて調整可能にし、更に、前記ロッドは、前記エッジマスク部材の上下方向に間隔を有して複数取付けられ、
前記ロッドの幅T2と、対向配置された前記電極板の間隔S1との差、及び、前記ロッドの幅T2と、該ロッドを挟んで対向する前記竪型めっき用タンクの内壁面の間隔S2との差を、それぞれ0.5mm以上1mm以下としたことを特徴とする鋼帯の電気めっき装置。
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