JP5733247B2 - 電気めっき鋼板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

電気めっき鋼板の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気めっき鋼板の製造方法及び製造装置に関し、具体的には、例えば搬送速度100m/分以上といった高速通板を行ってもめっきムラの発生を抑制できる表面外観に優れる電気めっき鋼板の製造方法及び製造装置に関する。
図11は、縦型めっきセル0の構成例を示す説明図であり、図12は、横型めっきセル0−1の構成例を示す説明図であり、さらに、図13は、ラジアル型めっきセル0−2の構成例を示す説明図である。
所定のライン速度で連続移動する被めっき材である鋼帯1への連続電気めっき装置は、セルの形状によって、図11に示す縦型セル0,図12に示す横型セル0−1,図13に示すラジアル型セル0−2に大別される。何れのセル型式においても、鋼帯1に対して所定距離離間して電極2が設置されるとともに、鋼帯1及び電極2の間にめっき液3を供給するためのめっき液噴出ノズル4が配置される。
図11に示す縦型セル0を例にとってその構造を説明すると、めっきセル6に侵入した鋼帯1は、下部に位置するシンクロール5の回りを周回して上方へ向きを変えて、めっき液3から抜け出る。めっきセル6の中には、鋼帯1から所定距離離れて鋼帯1を挟み込むように一対の電極2,2が2組配置される。鋼帯1が上から下へ移動する側(図11における左側)をダウンパスと称し、鋼帯1が下から上へ移動する側(図11における右側)をアップパスと称する。ダウンパスの電極2,2の下側およびアップパスの電極2,2の上側には、鋼帯1と電極2との間にめっき液3を供給するためのめっき液噴出ノズル4が配置される。
めっき液3から出てきた鋼帯1は、コンダクターロール7に巻かれて搬送方向を変えられ、次のめっきセル(図示しない)へ向けて移動する。コンダクターロール7に巻かれている間の鋼帯1は、ホールダウンロール8によってコンダクターロール7に押圧される。
図11,12及び13に示す各種セル0,0−1,0−2を用いる電気めっき鋼板の製造時には、外観不良の一つであるめっきムラが発生することがある。このような電気めっきセルでのめっきムラ発生の一つの因子として、電極2,2間の気泡の存在が挙げられている。
電極2,2間に存在し得る気泡としては、めっき反応に伴い発生する酸素(および場合よっては水素)によるものや、アップパス側のめっき液面近傍に位置するめっき液噴出ノズル4からの噴流により空気が巻き込まれることによるものが挙げられる。このような気泡が一対の電極2,2間に滞留した状態でめっきすることによって鋼帯1の表面にめっきムラが発生するとされている。
気泡によるめっきムラの対策としては、特許文献1には、めっき液3中に含まれる気泡を電極2,2の外部へ排出するために、めっき液噴出ノズル4及び電極2間の隙間にシールロールを設けて均一めっきすること、及び、アップパス側に取り付けられているめっき液面近傍に位置するめっき液噴出ノズル4からめっき液を噴出することによって外気を吸引するためにめっき液噴出ノズル4の直近にシールロールを設けることが、いずれも開示されている。
特許文献2には、ラジアル型セル0−2に設けられているスリット状のめっき液噴出ノズル4からめっき液3を、鋼帯1及び電極2の間に均一に噴射して、めっき時に発生する酸素ガス等を排出することによってめっき外観を向上することが開示されている。
特開平1−301884号公報 特開昭62−80293号公報
ところで、電気めっき鋼板の生産性を高めるためには、鋼帯1の搬送速度、つまり電極2,2間を鋼帯1が通過する速度が高いことが求められる。ところが、実際には鋼帯1の搬送速度を高めるとかえって白点状のめっきムラが多発する。また、連続する鋼帯1同士の接合部(溶接部)において、この白点状のムラはより発生し易い。鋼帯1の搬送速度を速くするとめっき液との相対速度が稼げるので美麗なめっきを得るのに有利と思われるし、少なくとも前述した気泡の発生や滞留とは直接関係なさそうであるため、この傾向は従来から知られてはいるものの、そのメカニズムや対策は明らかでなかった。このため、電気めっき鋼板のこれまでの製造では、めっきムラの発生状況をモニタリングしながら、めっきムラが発生しない範囲で鋼帯1の搬送速度を、随時調整して可及的に高める対応をとっており、めっきムラの発生が電気めっき鋼板の生産性の向上を阻害する要因の一つとなっていた。
特許文献1、2により開示された発明では、確かにめっき外観の向上にある程度の効果は認められるものの、例えば搬送速度100m/分以上といった高速通板時には、従来と同様にめっきムラが発生してしまい、高速通板と表面品質に優れるめっき外観の両立を図ることはできなかった。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、例えば搬送速度100m/分以上といった高速通板を行っても、例えば、黒スジ、黒点、白スジ、さらには白点と呼ばれる各種の散発めっきムラの発生を抑制しながら、表面外観に優れる電気めっき鋼板を製造することができる方法及び装置を提供することを目的とする。
図14は、散発的に白点状のめっきムラが発生した電気めっき鋼板の表面を模式的に示すマクロ写真であり、図15は、白点の箇所(異常部)とその付近で白点でない箇所(正常部)と、それぞれの表面を示すミクロ写真である。
図15に示すように、異常部のめっきの結晶形態を正常部のめっきの結晶形態と比較すると、めっき結晶の配列が顕著に相違するために異常部と正常部との間に輝度差を生じ、これによりめっきムラとして視認されるものと考えられる。
本発明者らは、めっきムラの発生原因、すなわちめっきの結晶形態が部分的に異なる原因が、従来から提唱されてきた電気分解により発生する酸素ガス起因説や、アップパス側めっき液面近傍に位置するノズルからの噴流による空気巻き込み説以外にもあるのではないかと考えた。そこで、原因究明のため、図1,2に示す縦型めっきセルの模擬設備(水モデル可視化実験装置20)を用いた現象の観察を試みた。
図1は、水モデル可視化実験装置20の概略構成を示す説明図であり、図2は、被めっき材を模擬したエンドレスベルト21,水噴出ノズル22,透明な材質で製作された模擬電極23及び可視化水槽24等から構成される図1の水モデル可視化実験装置20の主要部の構成を示す説明図である。
図1,2に示すように、可視化水槽24の内部にはシンクロール25が配置され、可視化水槽24の上方には駆動ロール26,ホールダウンロール27及びテンションロール28が配置される。エンドレスベルト21は、駆動ロール26,シンクロール25,テンションロール28に掛け渡されて無限に周回する。
水噴出ノズル22には、循環タンク29,循環ポンプ30,グローブ弁31及びオリフィス流量計32からなる噴流水供給系33が設けられており、水噴出ノズル22から吐出される水の供給量を調節できるように構成されている。
この水モデル可視化実験装置20を用いた観察の結果、エンドレスベルト21が下向きに水に侵入する際に、エンドレスベルト21に巻き込まれた空気が水中で気泡となり、一部の気泡は、特にエンドレスベルト21の搬送速度が速い場合や、水噴出ノズル22からの水の吐出量が小さい場合に、模擬電極23の内部にまで到達した。また、エンドレスベルト21に溶接部を模擬するための段差を設けておくと、段差付近でこの現象が顕著であった。これらの傾向は、白点状のめっきムラ発生の傾向とよく一致した。
このような観察結果に基づき検討を加え、以下に列記するこれまでには知られていなかった新たな知見A〜Fを得て、本発明を完成した。
(A)めっきムラの発生原因として、ガス同伴現象もあげられる。これは、図11の縦型めっきセル0においては、被めっき材である鋼帯1がダウンパス(鋼帯1が下方向に通板される過程)でめっき液3に侵入する際に、めっき浴面に接触する雰囲気ガスが鋼帯1に巻き込まれて鋼帯1と電極2との間に侵入する現象である。
(B)このガス同伴現象は、図11に示す縦型セル0であれば、同図における記号Aの位置において発生する。
(C)ガス同伴現象に起因するめっきムラは、例えば搬送速度100m/分以上といった高速通板時に特に顕著に発生する。
(D)ガス同伴現象に起因する気泡が電極2と鋼帯1との間に侵入することを積極的に阻止するためには、電極2の上端部(めっき液噴出ノズル4の設置位置とは反対側の端部)における電極2と鋼帯1の間を、鋼帯1の搬送方向と対向する方向へ流れるめっき液の流速を高める必要がある。そのためには、単純には、めっき液噴出ノズル4からのめっき液の吐出量を増加させることが有効である。しかし、めっき液の吐出量を増加するにはポンプの能力や配管の構造などの要因から、現実には制約があることが多い。
(E)これに対し、前記のめっき液の流速がめっき液噴出ノズル4から噴出された直後から電極2の上端部に達するまでの間における減速が少ない流れを形成することによって、吐出量をさほど増加しなくともガス同伴現象を抑制することができる。具体例としては、めっき液噴出ノズルの構造を最適化すること、具体的には、(i)めっき液噴出ノズルと電極との間の距離の短縮、及び、めっき液噴出ノズルのリップの細型化を図ること、さらに必要に応じて、(ii)めっき液噴出ノズルによるめっき液の噴出方向の最適化、めっき液噴出ノズルの出口部への平行部の設置、めっき液噴出ノズルのリップへの段差の形成を図ることによって、ガス同伴現象を抑制できるようになる。
V≧0.8×Vs−1.4 ・・・・・・・(1)
V≧Vn−0.6 ・・・・・・・(2)
ただし、式(1)及び式(2)において、
V:前記電極のめっき液出側端部の位置における、鋼帯の搬送方向と逆向きのめっき液の流速(m/s)
Vn:前記めっき液噴出ノズルから前記電極及び前記鋼帯の間に吐出される、前記鋼帯の単位幅当りのめっき液の流量と前記電極及び前記鋼帯との間隔から計算されるめっき液の流速(m/s)
Vs:鋼帯の搬送速度(m/s)
である。
)めっき液を収容するめっきセルと、
所定の搬送速度で所定の搬送方向へ搬送される鋼帯から所定の距離だけ離間して前記めっき液中に配置される電極と、
前記電極の鋼帯搬送方向出側端部に配置され、管状のヘッダー、及び、該ヘッダーにキリ孔を介して装着される先狭まり形状部を有する上下のリップを備えるとともに、前記電極と前記鋼帯との間に前記鋼帯の搬送方向と対向する方向へめっき液を噴出するめっき液噴出ノズルと
を備える電気めっき鋼板の製造装置であって、
前記めっき液噴出ノズルと前記電極との間の、前記搬送方向への距離は3mm以下であること、
前記上下のリップ間の角度は30度以下であること、
鋼帯の搬送速度が100m/分以上のときに、前記電極及び前記鋼帯の間に形成される鋼板の搬送方向に対向するめっき液の流れが式(1)及び式(2)を満たして前記鋼帯の前記めっき液への侵入に伴うガスの同伴を抑制し得ること、及び
前記電極の上端部が前記めっきセルに収容されためっき液の液面と略一致する位置に存在するように、前記鋼帯の両側に対向して配置されること、及び、前記鋼帯の搬送方向と逆向きのめっき液の流れが前記めっき液噴出ノズルから前記上端部にかけて形成されること
を特徴とする電気めっき鋼板の製造装置。
V≧0.8×Vs−1.4 ・・・・・・・(1)
V≧Vn−0.6 ・・・・・・・(2)
ただし、式(1)及び式(2)において、
V:前記端部位置における、前記鋼帯の搬送方向と逆向きのめっき
液の流速(m/s)
Vn:前記めっき液噴出ノズルから前記電極及び前記鋼帯の間に噴出される、前記鋼帯
の単位幅当りのめっき液の流量と前記電極及び前記鋼帯との間隔から計算されるめっき液
の流速(m/s) ただし、0.53≦Vn≦1.73
Vs:鋼帯の搬送速度(m/s) ただし、1.67≦Vs≦3.17
である。
)前記上下のリップは、それぞれの先端の開口方向が前記鋼帯と前記電極との間に指向するように、前記ヘッダーに装着されることを特徴とする()項に記載された電気めっき鋼板の製造装置。
)前記キリ孔は、前記ヘッダーの半径方向に対して傾斜し、かつ前記搬送方向に対して30〜40度交差する方向へ向けて設けられることを特徴とする()項または()項に記載された電気めっき鋼板の製造装置。
本発明により、例えば搬送速度100m/分以上といった高速通板を行っても散発めっきムラの発生を抑制しながら、美麗で均一な優れためっき外観を有する電気めっき鋼板を安定して製造することができ、電気めっき鋼板の品質及び生産性をいずれも向上することができる。
図1は、水モデル可視化実験装置の概略構成を示す説明図である。 図2は、被めっき材を模擬したエンドレスベルト,水噴出ノズル,透明な材質で製作された模擬電極及び可視化水槽等から構成される図1の水モデル可視化実験装置の主要部の構成を示す説明図である。 図3は、縦型めっき設備における空気同伴現象に起因しためっきムラの発生機構及び空気同伴現象の抑制機構に関する説明図であり、右図は、左図において鋼帯の溶接部がめっき液に侵入するときの様子を示す説明図である。 図4は、縦型めっき設備における空気同伴現象に起因しためっきムラの発生機構及び空気同伴現象の抑制機構に関する説明図であり、鋼帯がめっき液に侵入する液面付近を拡大して示す。 図5は、本発明に係る縦型の電気めっき鋼板のめっき装置を模式的に示す説明図である。 図6は、めっき液噴出ノズルの構成を模式的にかつ簡略化して示す説明図である。 図7は、解析領域を示す説明図である。 図8は、従来のめっき液噴出ノズル及び本発明に係るめっき液噴出ノズルそれぞれの構成を示す断面図である。 図9は、解析結果の一例を模式的に示す説明図であって、搬送速度が150m/分である場合におけるめっき液噴出ノズルの出口近傍の流速ベクトルを、本発明例及び従来例のそれぞれについて示す。 図10は、解析結果をまとめて示すグラフであって、めっき液噴出ノズルからの吐出流量とめっきムラが発生しない搬送速度との関係を示す。 図11は、縦型めっきセルの構成例を示す説明図である。 図12は、横型めっきセルの構成例を示す説明図である。 図13は、ラジアル型めっきセルの構成例を示す説明図である。 図14は、散発的に白点状のめっきムラが発生した電気めっき鋼板の表面を模式的に示すマクロ写真である。 図15は、白点の箇所(異常部)とその付近で白点でない箇所(正常部)と、それぞれの表面を示すミクロ写真である。
本発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。なお、一般的に、電気めっき鋼板の製造装置における雰囲気ガスは空気であることが多いので、以降の説明では「同伴ガス」を「同伴空気」と称する。また、主として図1に示す縦型セル0を例にとって以降の説明を行うが、本発明は横型セルやラジアル型セルに対しても同様に適用される。
以下では、まず縦型めっきセルにおける空気同伴現象とこれを抑制するための本発明に係る方法について説明し、次いで、製造装置について説明する。
1.空気同伴現象とその抑制方法
図3,4は、縦型めっき設備における空気同伴現象に起因しためっきムラの発生機構及び空気同伴現象の抑制機構に関する説明図である。図3の右図は、図3の左図において鋼帯21の溶接部がめっき液に侵入するときの様子を示した図であり、図4は、鋼帯21がめっき液に侵入する液面付近を拡大した図である。
前述した水モデル可視化装置20での観察結果からも理解されるように、ダウンパスにおいて鋼帯21がめっき液に侵入する際に、図4に示すように鋼帯21に同伴空気35が巻き込まれてめっき液中に気泡35が生じる。この気泡35は、鋼帯21の通板に随伴して下向きに移動しようとし、一方で浮力及びめっき液の上向きの流れ(対向流)36により上向きに移動しようとする。鋼帯21の搬送速度が大きいほど気泡35は下向きへの移動が可能になり、その結果、電極23の上端部よりも下の位置に到達する。この状態でめっきすれば、気泡35の存在によるめっきムラが発生する。
また、鋼帯21の溶接部がダウンパスのホールドダウンロール27を通過する際には、図3の右図に示すように、鋼帯21の溶接点にホールドダウンロール27が押されコンダクターロール26との隙間が僅かに開く。このとき、コンダクターロール26とホールダウンロール27との間の上部に溜まっているめっき液が、コンダクターロール26とホールダウンロール27との間を通って下方へ落下し、鋼帯21の表面のめっき液の液膜がこの部分では厚くなる。これにより、鋼帯21がめっき液に侵入する際に巻き込まれる気泡35の量が多くなる。その結果、溶接部付近においてめっきムラの発生が増加する。
このような空気同伴現象によるめっきムラを抑制するには、電極23の上端部位置におけるめっき液の上向きの流れ(対向流)36を大きくすること、具体的には、後述する実施例から理解されるように、鋼帯21の搬送速度が100m/分以上の高速通板条件下で、電極23の上端部位置におけるめっき液の上向きの流れ36が式(1)を満足するようにすることが有効である。
V≧0.8×Vs−1.4 ・・・・・・・(1)
式(1)において、Vは、電極23の上端部位置におけるめっき液の上向きの流速(m/s)であり、Vsは、鋼帯23の搬送速度(m/s)である。
めっき液の上向きの流れ36を大きくするには、単純には、めっき液噴出ノズル22から吐出されるめっき液の吐出量を増やせばよい。しかし、実際の設備においては、めっき液の吐出量を上げるには、ポンプの能力や配管の構造などの要因の制約を受ける。これに対し、めっき液噴出ノズル22の構造や配置を工夫することにより、式(2)を満たすようなめっき液流を形成することによって、配管系の大がかりな増強等を伴うことなくめっきムラを抑制することができる。
V≧Vn−0.6 ・・・・・・・(2)
式(2)において、Vnは、めっき液噴出ノズル22から電極23及び鋼帯21の間に吐出される、鋼帯21の単位幅当りのめっき液の流量と電極23及び鋼帯21との間隔から計算されるめっき液の流速(m/s)である。
ここで、逆に、式(1)及び式(2)からめっきムラの抑制に必要な流速Vnを求めると、鋼帯21の搬送速度が120m/分のときには、0.8m/sである。めっきセルの、鋼板21と電極23の間隔を20mmとし、めっき液の吐出幅を1600mmとすると最低限必要なめっき液の吐出量は約90m/hrとなる。吐出量約90m/hrは、例えば既存の電気めっきラインにおいても、ポンプや配管系の大がかりな改造を行わなくとも問題なく得られる値である。
2.製造装置
図5は、本発明に係る縦型の電気めっき鋼板のめっき装置0を模式的に示す説明図である。実際の電気めっき鋼板製造ラインでは、このようなめっき装置を通常、数セル〜数十セル備えている。また、図6は、めっき液噴出ノズル4の構成を模式的にかつ簡略化して示す説明図である。
同図に示すように、このめっき装置0は、めっきセル6と、電極2と、めっき液噴出ノズル4とを備える。
[めっきセル6]
めっきセル6は、めっき液3を収容する。めっきセル6はいわゆる縦型めっきセルである。
鋼帯1は、所定のライン速度で所定の搬送方向へ搬送され、めっきセル6に侵入し、下部に位置するシンクロール5の回りを周回して搬送方向を上方へ変えて、めっき液3から抜け出る。めっきセル6の中には、鋼帯1から所定距離離れて鋼帯1を挟み込むように一対の電極2,2が2組配置される。ダウンパスの電極2,2の下側およびアップパスの電極2,2の上側には、鋼帯1と電極2との間にめっき液3を供給するためのめっき液噴出ノズル4が合計4本配置される。
めっき液3から出てきた鋼帯1は、コンダクターロール7に巻かれて、次のめっきセル(図示しない)へ移動する。コンダクターロール7に巻かれている間の鋼帯1は、ホールダウンロール8によってコンダクターロール7に押圧されている。
めっきセル6はこの種のものとして慣用されるものでよく、そのようなめっきセル6は当業者にとっては周知であるので、めっきセル6に関するこれ以上の説明は省略する。
[電極2]
ダウンパスの電極2,2、およびアップパスの電極2,2は、いずれも、搬送される鋼帯1から所定の距離だけ離間して、めっき液3中に配置される。
電極2はこの種のものとして慣用されるものでよく、そのような電極2は当業者にとっては周知であるので、電極2に関するこれ以上の説明は省略する。
[めっき液噴出ノズル4]
図6に示すように、めっき液噴出ノズル4は、めっき液3中の電極2の下端部(すなわち鋼帯1の搬送方向の出側の端部)に配置される。めっき液噴出ノズル4は、管状のヘッダー9,及び,ヘッダー9にキリ孔10を介して装着される先狭まり形状部11を有する上下のリップ12,12を備えている。
図6において、めっき液噴出ノズル4の最上部と電極2の最下端部との間の、搬送方向(図6における上下方向)への距離は、3mm以下であり、望ましくは0〜1.5mmである。この距離を3mm以下とすることによって、前述した式(1)及び式(2)を満たす所望のめっき液流を形成することができる。従来のめっき液噴出ノズルではこの距離は20mm程度である。
図6において、リップ12の先狭まり形状部11の先端の、搬送方向に対する角度θは30度以下であることが望ましく、15度以下であることがさらに望ましい。この角度θが30度を超えると、リップ12の内部をめっき液3が循環する循環流が形成され易くなり、上記所望のめっき液流を形成することができなくなるからである。角度θは望ましくは10度以上である。従来のめっき液噴出ノズルではこの角度θは50度程度である。
図6に示すように、上下のリップ12,12は、それぞれの先端の開口方向が搬送方向を略指向するように、ヘッダー9に装着されることが望ましい。電極2及び鋼帯1の間にめっき液3が流入し易くなるので、上記所望のめっき液流を形成できる。
図6に示すように、リップ12は、噴出孔径が一定である平行部13を先端に有することが望ましい。平行部13を有することにより、吐出されるめっき液流を整流することができ、上記所望のめっき液流を形成できる。
図6に示すように、キリ孔10は、ヘッダー9の半径方向に対して傾斜し、かつ搬送方向に対して30〜40度交差する方向へ向けて設けられることが望ましい。キリ孔11をこの方向へ向けて設けることにより、圧力損失を低減でき、上記所望のめっき液流を形成できる。
さらに、図6に示すように、リップ12は、その先端に段差部14を有することが望ましい。段差部14を有することにより、上下のリップ12,12の先端の先狭まり形状部11からの吐出流が電極2の出側端部において横方向へ流出することを抑制でき、これにより、上記所望のめっき液流を形成できる。
次に、汎用数値解析ソフトFluent(アンシス・ジャパン(株)製)を用いて、本発明に係るめっき装置0を解析した結果を説明する。
図7は、解析領域を示す説明図であり、図8は、従来のめっき液噴出ノズル15−1及び本発明に係るめっき液噴出ノズル15それぞれの構成を示す断面図である。
この解析では、以下に列記する本発明で規定する条件1〜9を満足するめっき液噴出ノズル15と、この条件を満足しない従来例のめっき液噴出ノズル15−1それぞれについて、吐出流に及ぼすライン速度及び流量の影響を調査した。
1.吐出流量:単位幅当り60〜200m/h
2.めっき液噴出ノズル15と電極16との間の、搬送方向への距離:3mm以下
3.先狭まり形状部の先端の、搬送方向に対する角度:30度以下
4.上下のリップそれぞれの先端の開口方向が指向する方向:搬送方向
5.上下のリップにおける平行部の有無:有り
6.キリ孔の指向方向:ヘッダーの半径方向に対して傾斜し、かつ搬送方向に対して30〜40度交差する方向
7.リップの段差部の有無:有り
なお、従来例のめっき液噴出ノズル13−1の諸元は以下の通りであった。
・吐出流量:単位幅あたり150〜200m/h
・めっき液噴出ノズル15−1と電極16との間の搬送方向への距離:20mm
・先狭まり形状部の先端の角度:30度
・リップ先端の指向方向:鋼帯17の表面かつ電極16の下端より下の方向
・リップにおける平行部の有無:無し
・キリ孔の設置範囲:ヘッダー中心角度で30度(ヘッダー中心を基準)
解析結果の一例を図9に模式的に示し、解析結果をまとめたグラフを図10に示す。
図9は、鋼帯17の搬送速度が150m/分である場合におけるめっき液噴出ノズル15、15−1の出口近傍の流速ベクトルを、本発明例及び従来例のそれぞれについて示す説明図である。
本発明例のめっき液噴出ノズル15は、従来例のめっき液噴出ノズル15−1と比較して、小さな吐出流量でも鋼帯17と電極16との間に効果的にめっき液を供給でき、上向きの流速が大きい流れを形成できる。
図10は、めっき液噴出ノズル15,15−1からの吐出流量とめっきムラが発生しない搬送速度との関係を示すグラフである。
めっき液噴出ノズル15,15−1からの吐出流量200m/hが、めっき液循環ポンプの吐出能力の上限である。従来例のめっき液噴出ノズル15−1を用いる場合と本発明によるめっき液噴出ノズル15を用いる場合について記すが、何れの場合も鋼帯17の搬送速度の増加に伴ってめっきムラを抑制するために必要な吐出流量は増加する。
しかし、従来例のめっき液噴出ノズル15−1では、吐出めっき液が電極16の間に侵入する効率が低いため、搬送速度100m/分の場合で150m/hの吐出流量が必要になり、搬送速度150m/分のライン速度の場合には、めっき液循環ポンプの能力上限によりめっきムラのない電気めっき鋼板を製造することはできない。
これに対し、本発明によるめっき液噴出ノズル15からの噴流は、従来例のめっき液噴出ノズル15−1よりも電極16の間に侵入し易い構造であるため、同じ搬送速度で比較すると、より少ない吐出流量でめっきムラのない電気めっき鋼板を製造することができる。
さらに、めっき液循環ポンプの能力上限である200m/hまで吐出すれば、従来例のめっき液噴出ノズル15−1では150m/分までしか鋼帯17の搬送速度を上昇することができなかったが、本発明によるめっき液噴出ノズル15を用いれば、鋼帯17の搬送速度を、190m/分の高速にしても、めっきムラのない電気めっき鋼板を製造することができるようになる。
このように、従来のめっき液噴出ノズル15−1では、空気同伴現象に起因する気泡が電極16と鋼帯17との間に侵入することを阻止できないのに対し、本発明に係るめっき液噴出ノズル15によれば、空気同伴現象に起因する気泡が電極16と鋼帯17との間に侵入することを確実に阻止でき、めっき液循環ポンプの能力を増強することなく、めっきムラを発生せずに鋼帯1の搬送速度を、100m/分以上に高めることができるようになる。
0 めっき装置
1 鋼帯
2 電極
3 めっき液
4 めっき供給ノズル
5 シンクロール
6 めっきセル
7 コンダクターロール
8 ホールダウンロール
9 ヘッダー
10 キリ孔
11 先狭まり形状部
12 リップ
13 平行部
14 段差部
15 本発明例のめっき液噴出ノズル
15−1 従来のめっき液噴出ノズル
16 電極
17 鋼帯
20 水モデル可視化実験装置
21 エンドレスベルト
22 水噴出ノズル
23 模擬電極
23a 開口部
24 可視化水槽
25 シンクロール
26 駆動ロール
27 ホールダウンロール
28 テンションロール
29 循環タンク
30 循環ポンプ
31 グローブ弁
32 オリフィス流量計
33 噴流水供給系
34 液面
35 同伴空気(気泡)
36 対向流

Claims (3)

  1. めっき液を収容するめっきセルと、
    所定の搬送速度で所定の搬送方向へ搬送される鋼帯から所定の距離だけ離間して前記めっき液中に配置される電極と、
    前記電極の鋼帯搬送方向出側端部に配置され、管状のヘッダー、及び、該ヘッダーにキリ孔を介して装着される先狭まり形状部を有する上下のリップを備えるとともに、前記電極と前記鋼帯との間に前記鋼帯の搬送方向と対向する方向へめっき液を噴出するめっき液噴出ノズルと
    を備える電気めっき鋼板の製造装置であって、
    前記めっき液噴出ノズルと前記電極との間の、前記搬送方向への距離は3mm以下であること、
    前記上下のリップ間の角度は30度以下であること、
    鋼帯の搬送速度が100m/分以上のときに、前記電極及び前記鋼帯の間に形成される鋼板の搬送方向に対向するめっき液の流れが式(1)及び式(2)を満たすこと、及び
    前記電極の上端部が前記めっきセルに収容されためっき液の液面と略一致する位置に存在するように、前記鋼帯の両側に対向して配置されること、及び、前記鋼帯の搬送方向と逆向きのめっき液の流れが前記めっき液噴出ノズルから前記上端部にかけて形成されること
    を特徴とする電気めっき鋼板の製造装置。
    V≧0.8×Vs−1.4 ・・・・・・・(1)
    V≧Vn−0.6 ・・・・・・・(2)
    ただし、式(1)及び式(2)において、
    V:前記上端部位置における、前記鋼帯の搬送方向と逆向きのめっき液の流速(m/s)
    Vn:前記めっき液噴出ノズルから前記電極及び前記鋼帯の間に噴出される、前記鋼帯の単位幅当りのめっき液の流量と前記電極及び前記鋼帯との間隔から計算されるめっき液の流速(m/s) ただし、0.53≦Vn≦1.73
    Vs:鋼帯の搬送速度(m/s) ただし、1.67≦Vs≦3.17
    である。
  2. 前記上下のリップは、それぞれの先端の開口方向が前記鋼帯と前記電極との間に指向するように、前記ヘッダーに装着されることを特徴とする請求項に記載された電気めっき鋼板の製造装置。
  3. 前記キリ孔は、前記ヘッダーの半径方向に対して傾斜し、かつ前記搬送方向に対して30〜40度交差する方向へ向けて設けられることを特徴とする請求項または請求項に記載された電気めっき鋼板の製造装置。
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