JP5664349B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、筒内噴射式の内燃機関に関する。
内燃機関のピストンの形状を種々改良することが提案されている。例えば、その一例が特許文献1に開示されている。特許文献1の内燃機関のピストンは、冠面に凹部が設けられ、該凹部は全体としてシリンダ内のタンブル流の流れに沿うように湾曲している。この凹部には、ピストンピン中心軸線と平行に直線状に延びた段部が設けられ、該段部は、成層希薄燃焼時、吸気弁間に配置された筒内噴射用燃料噴射弁からの燃料が点火プラグ側へ向けられるように立ち上がり部を有している。この立ち上がり部は、吸気弁側に向くと共に点火プラグへ向けて延びる。
特開2007−192186号公報
ところで、内燃機関の燃費向上などの観点から、より一層、ピストンの冠面つまり頂面の形状を最適化することが望まれている。特に、筒内噴射式の内燃機関では、成層燃焼時と均質燃焼時とがあり、燃焼室でそれぞれに適した流体の流れをより適切に生じさせることができれば、内燃機関の燃費をより改善できるに違いない。
そこで、本発明はかかる点に鑑みて創案されたものであり、その目的は、筒内噴射式の内燃機関において、成層燃焼のための好適な流体の流れと均質燃焼のための好適な流体の流れとを共に実現することにある。
本発明の一態様によれば、気筒内へ直接に燃料を噴射する燃料噴射弁であって、吸気側に配置され、吸気側から排気側に向けると共に前記気筒の中心軸線の方向に向けて燃料を噴射するように位置づけられている、燃料噴射弁と、前記気筒内に摺動可能に設けられるピストンであって、該ピストンの頂面に形成された凹部は吸気タンブル流を維持するように所定方向において湾曲形状を有し、前記凹部には、吸気側を向く吸気側傾斜面と排気側を向く排気側傾斜面とを有する凸部が形成され、前記燃料噴射弁から噴射された燃料の進行方向を点火プラグ方向に変えるように前記吸気側傾斜面は前記凹部から立ち上がる、ピストンとを備えた、内燃機関が提供される。
好ましくは、この内燃機関は、
気筒内へ直接に燃料を噴射する燃料噴射弁であって、吸気側に配置され、吸気側から排気側に向けると共に前記気筒の中心軸線の方向に向けて燃料を噴射するように位置づけられていて、冷間始動時に吸気行程および圧縮行程後期のそれぞれで燃料を噴射する分割噴射を行うようにまたは冷間始動時に圧縮行程後期に全ての燃料を噴射するように制御され、該圧縮行程後期における燃料噴射は所定の時期に行われる、燃料噴射弁と、
前記気筒内に摺動可能に設けられるピストンと、
該ピストンに対向する位置に配置された点火プラグと
を備え、
該ピストンの頂面に形成された凹部は吸気タンブル流を維持するように所定方向において湾曲形状を有し、前記凹部には、吸気側を向く吸気側傾斜面と排気側を向く排気側傾斜面とを有する凸部が形成され、圧縮行程後期の前記所定の時期に前記燃料噴射弁から噴射された燃料の進行方向を前記点火プラグの方向に変えるように前記吸気側傾斜面は前記凹部から立ち上がり、
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義し、かつ、前記ピストンの中心軸線に直交すると共に前記吸気側傾斜面の該第1平面上での凹部側端部を通る第2平面を定義するとき
縮行程後期の前記所定の時期において、前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線と前記凹部の表面との第1交点と、前記第1平面における前記凸部の前記吸気側傾斜面に沿うように定められる線と前記第2平面との第2交点との間の距離が0より大きくかつ前記気筒のボア径の4分の1以下の範囲内にあり、圧縮行程後期の前記所定の時期において前記第1交点は前記第2交点よりも吸気側に位置し、
圧縮行程後期の前記所定の時期における、前記第1平面において前記吸気側傾斜面に沿うように定められる前記線と前記点火プラグのギャップ中心との間の距離が所定距離範囲内にあるように前記吸気側傾斜面は形成されていて、
圧縮行程後期の前記所定の時期における前記距離は、1気筒当たりの排気量、および、圧縮行程後期の前記所定の時期に前記燃料噴射弁から噴射する燃料の1サイクルでの全燃料に対する割合である圧縮行程噴射割合と関係を有し、
該圧縮行程噴射割合は0より大きく1以下の値であり、
圧縮行程後期の前記所定の時期における前記距離をαmm、1気筒当たりの排気量をVcc、圧縮行程噴射噴割合をkinjcとしたとき、前記距離は以下の式の関係を満たす、
1+0.01×kinjc×V≦α≦4+0.025×kinjc×V
内燃機関である。
前記燃料噴射弁は前記気筒の中心軸線と交差する方向に関して扇形状に広がる燃料噴霧を前記気筒内に噴射するように構成され、前記ピストンの前記凹部は、前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線と略平行に延びる吸気側端部に位置する傾斜面であって圧縮行程における所定の時期に前記燃料噴射弁から噴射された燃料が該凹部に直接的に到達するように位置づけられた傾斜面を備えるとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、該第1平面において、前記吸気側傾斜面に沿うように定められる線が前記ピストンの前記中心軸線と成す角度が所定角度範囲内にあるように、前記吸気側傾斜面の傾きは設定されているとよい。
圧縮行程における所定の時期に前記燃料噴射弁から燃料を噴射するときにおける、前記第1平面において前記吸気側傾斜面に沿うように定められる線と前記点火プラグのギャップ中心との間の距離が所定距離範囲内にあるように前記吸気側傾斜面は形成されているとよい。
前記距離は、前記気筒の排気量が大きい程、または、圧縮行程における前記所定の時期における前記燃料噴射弁からの燃料噴射割合が多い程、長くなるように定められるとよい。
前記距離をα(mm)、1気筒当たりの排気量をV(cc)、圧縮行程の前記所定の時期における前記燃料噴射弁からの燃料噴射噴割合をkinjcとしたとき、前記距離は以下の式の関係を満たすとよい。
1+0.01×kinjc×V≦α≦4+0.025×kinjc×V
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、前記第1平面における前記凸部の高さの前記気筒のボア径に対する比が0.04以上、かつ、0.08以下の範囲内にあるように、前記凸部は構成されているとよい。
前記凸部の幅の前記気筒のボア径に対する比が0.4以上、かつ、0.7以下の範囲内にあるように、前記凸部は構成されているとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、第1平面における前記凸部の幅の前記凸部の高さに対する比が8以上、かつ、25以下の範囲内にあるように、前記凸部は構成されているとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、圧縮行程における所定の時期に前記燃料噴射弁から燃料を噴射するときにおける、前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線と前記凹部の表面との交点と、前記第1平面において前記凸部の前記吸気側傾斜面に沿うように定められる線と前記ピストンの中心軸線に直交するように定められる平面であって前記吸気側傾斜面の凹部側端部を通る平面との交点との間の距離が0より大きくかつ前記気筒のボア径の4分の1以下の範囲内にあるように、前記凸部は位置づけられているとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、前記第1平面上において前記凸部の前記吸気側傾斜面に沿うように定められる線が前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線となす角度は略90°であり、前記吸気側傾斜面における前記凹部につながる部分の曲率半径は前記第1平面における前記凸部の高さより小さく、該凸部の高さの4分の1よりも大きいとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、前記第1平面は前記凸部の中央部を通り、前記凸部の両端部のそれぞれは前記第1平面から離れ、前記凸部の前記吸気側傾斜面は、前記ピストンの上面視で、その中央部が最も排気側に位置し、該中央部からその端部に至るにしたがって吸気側に近づくように形成されているとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、前記第1平面は前記凸部の中央部を通り、前記凸部の両端部のそれぞれは前記第1平面から離れ、前記凸部の前記端部の高さは、前記凸部の前記中央部の高さに等しいまたは前記中央部の高さよりも低いとよい。
前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義するとき、前記第1平面において、前記排気側傾斜面が、前記ピストンの中心軸線に直交するように定められる平面であって前記吸気側傾斜面の凹部側端部を通る平面となす角度は30°以下かつ0°以上に定められているとよい。
前記吸気側傾斜面と前記排気側傾斜面との間の辺稜部は、0.5mm以上の曲率半径を有するように形成されているとよい。
本発明に係る実施形態が適用された内燃機関の概略図である。 図1の内燃機関のピストンの頂面図である。 図1の内燃機関のピストンの、図2のIII−III線断面模式図である。 図1の内燃機関のピストンの、図3のIV領域の拡大模式図である。 本発明に係る内燃機関に関する、実験結果を表したグラフである。 本発明に係る内燃機関に関する、実験結果を表したグラフである。 本発明に係る内燃機関に関する、実験結果を表したグラフである。 本発明に係る内燃機関に関する、実験結果を表したグラフである。 本発明に係る内燃機関に関する、実験結果を表したグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について具体的に説明する。
図1は、本発明の実施形態が適用された内燃機関10を示す概略構成図である。同図に示される内燃機関10は、シリンダブロック12に形成された燃焼室14の内部で燃料および空気の混合気を燃焼させ、気筒16内でピストン18を往復移動させることにより動力を発生するものである。なお、図1には1気筒のみが示されるが、内燃機関10は多気筒エンジンとして構成されると好ましく、本実施形態の内燃機関10は、例えば4気筒エンジンとして構成される。
各燃焼室14に臨む吸気ポートは、吸気マニホールド20に接続されている。この吸気マニホールド20上流側には、順に、サージタンク22および吸気管24が接続されている。吸気管24は、エアクリーナ26を介して図示されない空気取入口に接続されている。そして、吸気管24の中途(サージタンク22とエアクリーナ26との間)には、スロットルバルブ(本実施形態では、電子制御式スロットルバルブ)28が組み込まれている。それら、例えば吸気ポート、吸気マニホールド20、吸気管24のそれぞれは、吸気通路29の一部を区画形成する。
他方、各燃焼室14に臨む排気ポートは、排気マニホールド30に接続され、この排気マニホールド30には下流側に排気管32が接続されている。排気管32には、三元触媒を含む前段触媒装置34およびNOx吸蔵還元触媒を含む後段触媒装置36が接続されている。それら、例えば排気ポート、排気マニホールド30、排気管32のそれぞれは、排気通路38の一部を区画形成する。
内燃機関10のシリンダヘッドには、吸気ポートを開閉する吸気弁Viと、排気ポートを開閉する排気弁Veとが燃焼室14ごとに配設されている。各吸気弁Viおよび各排気弁Veは、可変バルブタイミングおよび/または可変リフト機能を有する動弁機構(図示省略)によって開閉させられる。さらに、内燃機関10は、気筒数に応じた数の点火プラグ40を有し、点火プラグ40は、対応する燃焼室14に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。ここでは、点火プラグ40は気筒16の中心軸線C上に位置するように配置されている。
さらに、内燃機関10は、図1に示されるように、燃料噴射弁42を有し、燃料噴射弁42は、対応する燃焼室14に臨むようにシリンダヘッドに配設されている。燃料噴射弁42は、吸気側に配置され、吸気側から排気側に向けると共に気筒16の中心軸線Cの方向に向けて燃料を噴射するように位置づけられている。なお、内燃機関10は、4バルブ形式のエンジンとして構成されていて、1気筒当たり2つの吸気弁Viを備えていて、燃料噴射弁42は各気筒において吸気弁Vi間に挟まれるように配置されている。そして、内燃機関10では、例えば、各燃料噴射弁42から各燃焼室14のピストン18の頂面18aに向けてガソリン等の燃料が直接噴射される。
特に、ここでは、燃料噴射弁42は気筒16の中心軸線Cと交差する方向に関して扇形状に広がる燃料噴霧(ファン噴霧)を気筒16内に噴射するように構成されている。具体的には、燃料噴射弁42の噴孔42aは、図示しないが、燃料噴射弁42の先端部分に設けられたノズル部に形成された扁平状のスリットとして形成され、そのスリットの幅および厚さ方向の各寸法は適宜に設定されて、ファン噴霧の広がり角は所望の大きさに設定される。なお、燃料噴射弁42の噴孔はこのような噴孔であることに限定されず、例えば、燃料噴射弁42は気筒16の中心軸線Cの方向に関して中空円錐形状に広がる燃料噴霧(ホロコーン噴霧)を噴射可能に構成されることもできる。
上述のスロットルバルブ28、各点火プラグ40、各燃料噴射弁42および動弁機構等は、内燃機関10の制御装置として実質的に機能するECU50に電気的に接続されている。ECU50は、何れも図示されないCPU、ROM、RAM等の記憶装置および入出力ポート等を含むものである。ECU50には、各種センサ類がA/D変換器等を介して電気的に接続されていて、例えば吸入空気量を検出するためのエアフローメータ52が接続されている。ECU50は、記憶装置に記憶されている各種マップ等を用いると共に各種センサからの出力信号に基づいて求められる検出値等に基づいて、所望の出力が得られるように、スロットルバルブ28、点火プラグ40、燃料噴射弁42、動弁機構等を制御する。
図1に示されるように、ECU50に接続されるセンサ類には、クランク角センサ54が含まれる。クランク角センサ54は、クランクシャフトに固定されるロータプレート(シグナルプレート)等を含む磁気センサまたは光電式センサ等であり、クランクシャフトの回転角度を示すパルス信号を微小時間ごとにECU50に与える。さらに、吸気通路29の吸気圧を検出するために吸気圧センサ58が設けられている。ここでは、吸気圧センサ58はサージタンク22に設けられている。また、内燃機関10の冷却水温を検出するための水温センサ60が設けられている。さらに、空燃比センサ(A/Fセンサ)62が排気通路38に設けられている。A/Fセンサ62は、排気通路の排気ガス中の空燃比に応じた電気信号をECU50に出力する。ここでは、A/Fセンサ62は、前段触媒装置34上流側の排気通路に設けられている。また、ここでは、前段触媒装置34と後段触媒装置36との間の排気通路に、O2センサ64が設けられている。O2センサ64は、排気ガス中の酸素濃度に応じた電気信号をECU50に出力する。
ECU50のROMは、燃料噴射制御用のルーチン、点火時期制御用のルーチン、スロットルバルブ制御用のルーチン等やそれらに用いられるマップ等のデータを記憶している。ECU50は、ROM等に記憶された上記種々のルーチン等のアプリケーションプログラムに従って、燃料噴射制御、点火制御、スロットル制御等を実行する。つまり、ECU50は、燃料噴射制御手段、点火時期制御手段、スロットル制御手段の各機能を備える。
ECU50は予め定められたデータ等に基づいて所定のまたは所望の運転状態に適した燃料噴射制御、点火時期制御およびスロットル制御を実行する。例えば、冷間始動時には、ECU50は、触媒暖機用の制御を行う。冷間始動時か否かは水温センサ60からの出力に基づいて求められる冷却水温が所定温度未満か否かで判定される。冷却水温が所定温度未満であるとき、冷間分割噴射モード用データに基づく燃料噴射制御が行なわれ、具体的には吸気行程および圧縮行程のそれぞれで燃料噴射弁42から燃料を噴射する分割噴射が行なわれる。当該分割噴射における、圧縮行程での燃料噴射は、ここでは、圧縮行程後期、特に、ピストン18が燃料噴射弁42に対して所定の位置にある所定の時期に、実行される。これにより、後述するようにピストン18によって噴射燃料の進行方向が変えられて、噴射燃料を点火プラグ40周辺に集めることが可能になる。さらに、このような触媒暖機用の分割噴射の際、点火時期が所定量遅角するように点火時期遅角制御が行われる。これにより所謂後燃えが生じ、この作用で排気温度が上昇し、暖機促進作用が高められる。ただし、触媒暖機を行うとき、上記分割噴射に代えて、圧縮行程、例えば圧縮行程後期である上記所定の時期にのみ燃料を燃料噴射弁42から噴射する燃料噴射制御が行われてもよい。なお、基本的に、吸気行程での燃料噴射は均質燃焼を意図し、圧縮行程での燃料噴射は成層燃焼、例えば成層希薄燃焼を意図して行われる。
ところで、ピストン18は、タンブル流の好適な維持(減衰抑制)および点火プラグ40への燃料の方向付けの両方に貢献するように設計および構成されている。以下に、ピストン18について説明する。
図2はピストン18の上面視(頂面図)であり、図3は点火プラグ40および燃料噴射弁42と共に表された、上記所定の時期でのピストン18の、図2のIII−III線断面模式図であり、図4は図3のIV領域の拡大模式図である。図2では図中右側に吸気側が位置し、図中上下方向にピストンピン孔の軸線を含む平面Pが延びるようにピストン18が表されている。平面Pはピストン18の中心軸線Oを含むように定められていて、図2中右側は吸気側、図2中左側は排気側と称される。また、平面Pに直交すると共にピストン18の中心軸線Oを含んで延びるような平面が第1平面Qとして定義される。第1平面Qは、吸気側から排気側にまたは排気側から吸気側に延びる平面であり、図3は第1平面Qにおけるピストン18の断面図に相当する。ただし、ピストン18の頂面18aには、吸気弁Viとの干渉を避けるために吸気弁リセス18bが凹設されている。なお、ピストン18の頂面18aに、排気弁Veとの干渉を避けるための排気弁リセスが凹設されてもよい。
気筒16内に摺動可能に設けられるピストン18には、その頂面18aに凹部(キャビティ)70が形成されている。凹部70は、吸気タンブル流を維持するように所定方向において連続的な形状を有するように形成されている。凹部70は、吸気側から排気側に向く方向または排気側から吸気側に向く方向において、つまり、第1平面Qに略平行な方向において実質的に滑らかに延びる、湾曲形状を有する。このような湾曲形状を有する凹部70の表面である窪み面70aは、したがって、流体の円滑な流れを保つのに貢献し、例えば燃料噴射弁42から噴射された燃料を滑らかに流すことができる。また、窪み面70aは、そのような形状を有するので、吸気通路29を介して燃焼室14に導かれた流体の流れを阻害せず、結果として吸気タンブル流が望まれるとき、良好に吸気タンブル流を維持することができる。
さらに、そのような窪み面70aの略中央につまりその縁部から離れて位置するように凸部72がピストン18の頂面18aに形成されている。凸部72は、窪み面70aからシリンダヘッド側に向けて突出するように設けられている。凸部72は、吸気弁Viや燃料噴射弁42が配置されている吸気側を向く吸気側傾斜面72aと、排気弁Veが配置されている排気側を向く排気側傾斜面72bと、それらの間に延在する交差部(辺稜部)72cとを備える。凸部72は、第1平面Qにおいて略断面三角形状を有し(図3参照)、全体的に略断面三角形状を有し得る。後述するように、凸部72の吸気側傾斜面72aは主に圧縮行程で燃料噴射弁42から噴射された燃料を点火プラグ40方向に向けることに寄与するように構成され、排気側傾斜面72bは主に気筒16内つまり燃焼室14での吸気タンブル流の形成および維持に寄与するように構成されている。
このような凸部72の表面は、窪み面70aに滑らかに連続するように形成されていて、凸部72の周囲には窪み面70aが延在する。なお、凸部72の吸気側傾斜面72aは、圧縮行程後期などピストン18が上死点近くに位置する上記所定の時期に、燃料噴射弁42の噴孔42aに実質的に対向するように形成されている。
凹部70に設けられた凸部72の吸気側傾斜面72aは燃料噴射弁42から噴射された燃料の方向を点火プラグ40方向に変えるように凹部70の吸気側に拡がる窪み面70aの吸気側部分から滑らかに立ち上がる立ち上がり面を含む。特に、ECU50が圧縮行程後期の上記所定の時期に燃料噴射弁42から燃料噴射を行うように燃料噴射制御を行うとき(図3参照)、その噴射された燃料つまり噴霧Fの進行方向を点火プラグ40に向けるように形成されている。
そして、圧縮行程後期に成層燃焼のために燃料噴射弁42から噴射された燃料がより好適に凹部70に到達して凸部72の吸気側傾斜面72aによって点火プラグ40方向に向けられるように、凹部70の吸気側に拡がる窪み面70aの吸気側部分は形付けられている。ピストン18の凹部70は、燃料噴射弁42の噴霧中心軸線Dの方向(噴霧方向)と略平行に延びる吸気側端部に位置する傾斜面70bを備え、該傾斜面70bは少なくとも圧縮行程における上記所定の時期に燃料噴射弁42から噴射された燃料が直接的に到達するように位置づけられている(図2、3参照)。このような傾斜面70bは、本実施形態の場合、2つの吸気弁リセス18bに挟まれるように延在する(図2参照)。
凸部72は、全体的には面Pに略平行に延在するが、図2の上面視において略弧状であり、全体的に吸気側に開くように形づくられている。ここでは、図2から明らかなように、第1平面Qは凸部72の中央部72dを通り、凸部72の両端部72eはそれぞれ第1平面Qから離れて位置する。そして、凸部72の吸気側傾斜面72aは、ピストン18の上面視で、その中央部が最も排気側に位置し、該中央部からその端部に至るにしたがって吸気側に近づくように形成されている。これにより、吸気側傾斜面72aは、よりいっそう、燃料噴射弁42から噴射された燃料を適切に受けて、該燃料を点火プラグ40方向に向けて、点火プラグ40周りに適切に集めることができる。
また、凸部72の吸気側傾斜面72aの傾きはそのような点火プラグ40周囲への燃料の集中を適切に可能にするように設定されている。吸気側傾斜面72aの傾きは、ピストンの中心軸線Oを基準にして定めることができる。ピストン18の中心軸線Oに直交する平面であって第1平面Qにおける吸気側傾斜面72aの窪み面70aからの立ち上がり部つまり凹部側端部Aを通る平面を第2平面Rとして定義するとき、この第2平面Rに対する吸気側傾斜面72aの角度を吸気側傾斜面72aの傾斜角度θ1(図4参照)として用いることができる。この傾斜角度θ1はここでは吸気側傾斜角度と称され得、特に第1平面Qにおいて定められ得る(図4参照)。この傾斜角度θ1は所定角度範囲内に設定される。
加えて、凸部72の吸気側傾斜面72aの傾きは、燃料噴射弁42の噴霧中心軸線Dに対して関係付けられている。具体的には、ここでは、第1平面Q上において吸気側傾斜面72aに沿うように定められる線L1が燃料噴射弁42の噴霧中心軸線Dとなす角度φが略90°をなすように吸気側傾斜面72aの傾斜角度は定められている。これは、点火プラグ40側へより適切に燃料を方向付けるためである。そして、そのような噴射燃料の方向の変化をより好適に生じさせるために、吸気側傾斜面72aにおける凹部70につながる部分、つまり窪み面70aと吸気側傾斜面72aとの結合部72fの曲率半径は、第1平面Qにおける凸部72の高さより小さく、凸部72の高さの4分の1よりも大きい範囲内で設定される。なお、凸部72の高さhに関しては後述される。
このような凸部72の吸気側傾斜面72aと凹部70の窪み面70aとの作用により、例えば、圧縮行程において燃料噴射を行ったとき、点火プラグ40周囲に燃料を適切に集めることが可能になる。したがって、成層燃焼を適切に生じさせることができ、燃費・出力性能を向上させることができる。なお、上記したように、燃料は適切に点火プラグ40方向に流されるので、ピストン18に燃料が付着して排気エミッションが悪化することを避けることができる。
他方、凸部72は、気筒16内つまり燃焼室42での吸気タンブル流の形成および維持にも貢献するように構成されている。吸気タンブル流は、ピストン18の頂面18aに沿って主に排気側から吸気側に流れる流れを含み得る。このような流れが凸部72で剥離せず、凹部70の表面を這うように維持されることで、吸気タンブル流を維持することが可能になる。
具体的には、排気側傾斜面72bの傾きは、所定角度範囲内に設定されている。特に、排気側傾斜面72bの傾斜角度は、ピストン18の中心軸線Oを基準として定められ得、第2平面Rに対する排気側傾斜面72bに沿うように定められる線L2の角度を排気側傾斜面72bの傾斜角度θ2(図4参照)として用いることができる。この傾斜角度θ2はここでは排気側傾斜角度と称され得、特に第1平面Qにおいて定められ得る(図4参照)。この傾斜角度θ2は所定角度範囲内に設定される。好ましくは、排気側傾斜角度θ2は、30°以下かつ0°以上に定められるとよく、さらに好ましくは、30°以下かつ10°以上に設定される。
さらに、凸部72はその中央部72dが最も高く、端部72eに至るにしたがってその高さがわずかに減少するように構成されている。つまり、凸部72の端部72eの高さは、凸部72の中央部72dの高さよりも低い。これにより、凸部72での流体の剥離がより抑制され得、吸気タンブル流の減衰が抑制され得る。しかし、本発明は、高さが中央部72dと端部72eとで実質的に等しい凸部をも許容する。
なお、凸部72の交差部72cにはフィレットが設けられ、交差部72cは0.5mm以上の曲率半径を有するように形成されているとよい。凸部72での流体の剥離が抑制され、燃焼室14での流体の流れを良好に維持するためである。
以上述べたように、ピストン18の頂面18aには、凸部72を有する凹部70が形成される。これにより吸気タンブル流の維持と点火プラグ40周囲への燃料の集中とが可能になり、均質燃焼および成層燃焼の好適な両立が可能になる。以下、凹部70および凸部72の形状、大きさ等に関する最適条件を説明する。
圧縮行程後期の上記所定の時期に成層燃焼のために燃料噴射弁42から噴射された燃料がより好適に点火プラグ40方向に向けられるように、吸気側傾斜面72aの傾きは所定の傾きに設定される。図3、4に基づいて吸気側傾斜面72aについて説明する。図3において、つまり第1平面Qにおいて、吸気側傾斜面72aに沿うように定められた線L1がピストン18の中心軸線Oおよび/または気筒16の中心軸線Cと成す角度が所定角度範囲内にあるように、吸気側傾斜面72aの傾きは設定されている。より具体的には、吸気側傾斜面72aの傾斜角度θ1は、点火プラグ40のギャップ40a中心の位置との関係で定められることができる。圧縮行程の上記所定の時期に燃料噴射弁42から燃料を噴射するときにおける、第1平面上Qにおける線L1と点火プラグ40のギャップ中心40aとの間の距離αは所定距離範囲内にあるように吸気側傾斜面72aは形成されるとよい。
距離αは、当該1の気筒16の排気量が大きい程、または、圧縮行程後期の上記所定の時期における燃料噴射弁42からの燃料噴射割合が多い程、長くなるように定められることができる。なお、この燃料噴射割合とは、上記したように燃料噴射制御において分割噴射を行う場合に、吸気行程での燃料噴射量と圧縮行程での燃料噴射量との合計に対する圧縮行程での燃料噴射量の割合であり、圧縮行程に全ての燃料が噴射される場合には圧縮行程における燃料噴射弁42からの燃料噴射割合は1である。なお、ここでは、圧縮行程後期の所定の時期における燃料噴射弁42からの燃料噴射割合は、圧縮行程噴射割合と称されることができる。具体的には、圧縮行程の上記所定の時期に燃料噴射弁42から燃料を噴射するときにおける、第1平面上Qにおける線L1と点火プラグ40のギャップ中心40aとの間の距離α(mm)は、(1)式の関係を満たすとよい。ただし、1気筒当たりの排気量をV(cc)、圧縮行程における上記所定の時期における燃料噴射弁42からの燃料噴射割合をkinjcとする。
1+0.01×kinjc×V≦α≦4+0.025×kinjc×V (1)
この(1)式の関係は、実験結果の分析により導き出されていて、その実験結果の一部が図5に示される。図5(a)は、所定サイクル分の図示平均有効圧Pmiの変動率(Pmi変動率)と距離αとの関係を表したグラフであり、図5(b)は排気量(cc)と圧縮行程噴射割合との積に対してPmi変動率を所望の値つまり所定の値以下にする距離αの範囲を示すグラフである。Pmi変動率に関してのその所定の値は、燃焼安定性つまりトルク変動の観点から許容される範囲を規定するように定められ、ここでは図5(a)に点線で表されている。そして、図5(a)、(b)では、エンジン回転速度およびエンジン負荷を略同じくした実験の結果が同一記号で表され、Pmi変動率が最も小さい結果が黒印で表され、図5(b)には、Pmi変動率が所定の値以下となった結果のみが表されている。なお、図5(b)に表された範囲ADは、図5の結果などにより導き出された望ましい範囲である上記(1)式の関係を満たす範囲に相当する。また、図5(a)に結果が表された実験では、吸気行程および圧縮行程のそれぞれで燃料噴射弁42から燃料を噴射し、圧縮行程での燃料噴射割合を0.5とした。また、当該実験では、1気筒当たりの排気量が500ccの内燃機関を用いた。そして、各実験では、実験中、エンジン回転速度を所定回転速度で略一定とし、エンジン負荷も所定負荷で略一定とした。このような実験結果に基づいて、Pmi変動率が所定の値以下となる範囲として、上記(1)式の関係が導き出された。
さらに、凸部72の形状および大きさは、タンブル流の好適な維持および点火プラグ40への燃料の方向付けの両立を可能にするように、細かく定められるとよい。凸部72の形状および大きさについて、さらに説明する。
第1平面Qにおける凸部72つまり吸気側傾斜面72aの高さ(凸部高さ)hの気筒16のボア径Bに対する比が0.04以上、かつ、0.08以下の範囲になるように、凸部72つまり吸気側傾斜面72aは構成されることが望ましい。この範囲は実験により導き出され、その範囲が図6のグラフに基づいて説明される。ただし、図4に表されるように、第1平面Qにおける高さhとは、第1平面Qにおける窪み面70aと凸部72との境界部Aを通る平面つまり第2平面Rと、凸部72の交差部72cとの間の、ピストン18の中心軸線Oの方向における距離に相当する。
図6には、凸部高さh/ボア径Bに対する、Pmi変動率および正味熱効率ηeが表されている。Pmi変動率は、上記した通りであり、分割噴射実行時の実験結果である。これに対して、正味熱効率ηeは、均質燃焼が生じるように燃料噴射弁42から燃料を噴射したときの値である。なお、図6の実験では、エンジン回転速度を所定回転速度で略一定とし、エンジン負荷も所定負荷で略一定とした。
図6の実験でも、Pmi変動率が(図6(a)に点線で表されている)上記所定の値以下となる範囲が望ましい領域とした。その結果、0.04以上という凸部高さh/ボア径Bの範囲が導き出された。他方、図6(a)からは凸部高さh/ボア径Bが0.08を超える範囲ではPmi変動率の改善が認め難いことが分かった。また、図6(b)の結果からは、凸部高さh/ボア径Bが大きくなるほど、正味熱効率ηeは低下し、燃費は悪化する傾向を示すことが分かった。したがって、図6(a)、(b)の関係から、燃焼安定性および燃費性能の観点から、0.08以下という凸部高さh/ボア径Bの範囲が導き出された。なお、より好ましくは、凸部高さh/ボア径Bは図6にプロットされた結果に相当する0.065以下の範囲である。
さらに、凸部72の幅(凸部幅)w(図2参照)の気筒16のボア径Bに対する比が0.4以上、かつ、0.7以下の範囲にあるように、凸部72は構成されることが望ましい。この範囲は実験により導き出され、その範囲が図7のグラフに基づいて説明される。
図7には、凸部幅w/ボア径Bに対する、Pmi変動率および正味熱効率ηeが表されている。Pmi変動率および正味熱効率ηeは、上記した通りである。なお、図7の実験では、エンジン回転速度を所定回転速度で略一定とし、エンジン負荷も所定負荷で略一定とした。
図7の実験でも、Pmi変動率が(図7(a)に点線で表されている)上記所定の値以下となる範囲が望ましい領域とした。その結果、0.4以上という凸部幅W/ボア径Bの範囲が導き出された。他方、図7(a)からは凸部幅w/ボア径Bが0.7を超える範囲ではPmi変動率の改善が認め難いことが分かった。また、図7(b)の結果からは、凸部幅w/ボア径Bが大きくなるほど、正味熱効率ηeは低下し、燃費は悪化する傾向を示すことが分かった。したがって、図7(a)、(b)の関係から、燃焼安定性および燃費性能の観点から、0.7以下という凸部幅w/ボア径Bの範囲が導き出された。
さらに、第1平面Qにおける凸部72の幅wの凸部72の高さhに対する比が8以上、かつ、25以下の範囲内にあるように、より好ましくは、8以上、かつ、22以下の範囲にあるように、凸部72は構成されることが望ましい。この範囲は実験により導き出され、その範囲が図8のグラフに基づいて説明される。
図8には、凸部幅w/高さhに対して、Pmi変動率および正味熱効率ηeが表されている。Pmi変動率および正味熱効率ηeは、上記した通りである。なお、図8の実験では、エンジン回転速度を所定回転速度で略一定とし、エンジン負荷も所定負荷で略一定とした。
図8の実験でも、Pmi変動率が(図8(a)に点線で表されている)上記所定の値以下となる範囲が望ましい領域とした。その結果、実験範囲(図8に表した範囲である6以上かつ25以下の範囲)での凸部幅w/高さhに対するPmi変動率は全般的に良好であった。他方、図8(b)の結果からは、凸部幅w/高さhが8未満の領域では、正味熱効率ηeが低下する傾向を示すことが分かった。したがって、図8(a)、(b)の関係から、燃焼安定性および燃費性能の観点から、8以上という凸部幅w/高さhの範囲が導き出された。
さらに、圧縮行程における上記所定の時期に燃料噴射弁42から燃料を噴射するときにおける、燃料噴射弁42の噴霧中心軸線Dと凹部72の窪み面72aとの交点Aと、第1平面Qにおいて吸気側傾斜面に沿うように定められる線L1と面Rとの交点Dとの間の距離βが0より大きくかつ気筒16のボア径の4分の1以下の範囲内にあるように凸部72は位置づけられることが望ましい。この範囲は実験により導き出され、その範囲が図9のグラフに基づいて説明される。
図9の実験でも、Pmi変動率が(図9(a)に点線で表されている)上記所定の値以下となる範囲が望ましい領域とした。その結果、距離β/ボア径Bが0より大きくかつ0.25以下の範囲にあることが好ましいことが導き出された。この範囲は、距離βが、0より大きく、かつ、ボア径B/4以下の範囲にあることが好ましいことを意味する。
以上、上記したように、ピストンを構成し、該ピストンを燃料噴射弁の噴射方向と関係付けて構成することで、優れた作用効果が奏される。均質燃焼運転時においては、上記したような湾曲形状を有する凹部がピストンの頂面に形成されるので、そして、さらに凸部が上記したように形成されるので、吸気タンブル流がしっかりと維持され、好ましくは圧縮行程後期まで燃焼室に強い流動が保たれる。したがって、燃焼室での混合気均質性が向上し、燃料への点火が良好に行われる。その結果、燃焼速度の増大等が生じ、それにより熱効率および出力性能が向上する。他方、圧縮行程後期に燃料噴射を行うときには、上記したような吸気側傾斜面を有する凸部を備える凹部がピストンに形成されるので、点火プラグ近傍に適切に成層混合気を形成し、大幅な点火遅角燃焼を安定して行わせることが可能になる。したがって、排気エミッションを改善することができる。そして、これらは、ファン形状噴霧に対しても、両立できる。
以上、本発明を実施形態等に基づいて説明した。本発明はその実施形態に限定されず、本発明には、特許請求の範囲によって規定される本発明の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が含まれる。
10 内燃機関
18 ピストン
29 吸気通路
38 排気通路
40 点火プラグ
42 燃料噴射弁
70 凹部(キャビティ)
72 凸部
72a 吸気側傾斜面
72b 排気側傾斜面
72c 交差部

Claims (11)

  1. 気筒内へ直接に燃料を噴射する燃料噴射弁であって、吸気側に配置され、吸気側から排気側に向けると共に前記気筒の中心軸線の方向に向けて燃料を噴射するように位置づけられていて、冷間始動時に吸気行程および圧縮行程後期のそれぞれで燃料を噴射する分割噴射を行うようにまたは冷間始動時に圧縮行程後期に全ての燃料を噴射するように制御され、該圧縮行程後期における燃料噴射は所定の時期に行われる、燃料噴射弁と、
    前記気筒内に摺動可能に設けられるピストンと、
    該ピストンに対向する位置に配置された点火プラグと
    を備え、
    該ピストンの頂面に形成された凹部は吸気タンブル流を維持するように所定方向において湾曲形状を有し、前記凹部には、吸気側を向く吸気側傾斜面と排気側を向く排気側傾斜面とを有する凸部が形成され、圧縮行程後期の前記所定の時期に前記燃料噴射弁から噴射された燃料の進行方向を前記点火プラグの方向に変えるように前記吸気側傾斜面は前記凹部から立ち上がり、
    前記ピストンの中心軸線を含み吸気側から排気側に延びる第1平面を定義し、かつ、前記ピストンの中心軸線に直交すると共に前記吸気側傾斜面の該第1平面上での凹部側端部を通る第2平面を定義するとき
    縮行程後期の前記所定の時期において、前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線と前記凹部の表面との第1交点と、前記第1平面における前記凸部の前記吸気側傾斜面に沿うように定められる線と前記第2平面との第2交点との間の距離が0より大きくかつ前記気筒のボア径の4分の1以下の範囲内にあり、圧縮行程後期の前記所定の時期において前記第1交点は前記第2交点よりも吸気側に位置し、
    圧縮行程後期の前記所定の時期における、前記第1平面において前記吸気側傾斜面に沿うように定められる前記線と前記点火プラグのギャップ中心との間の距離が所定距離範囲内にあるように前記吸気側傾斜面は形成されていて、
    圧縮行程後期の前記所定の時期における前記距離は、1気筒当たりの排気量、および、圧縮行程後期の前記所定の時期に前記燃料噴射弁から噴射する燃料の1サイクルでの全燃料に対する割合である圧縮行程噴射割合と関係を有し、
    該圧縮行程噴射割合は0より大きく1以下の値であり、
    圧縮行程後期の前記所定の時期における前記距離をαmm、1気筒当たりの排気量をVcc、圧縮行程噴射噴割合をkinjcとしたとき、前記距離は以下の式の関係を満たす、
    1+0.01×kinjc×V≦α≦4+0.025×kinjc×V
    内燃機関。
  2. 前記燃料噴射弁は前記気筒の中心軸線と交差する方向に関して扇形状に広がる燃料噴霧を前記気筒内に噴射するように構成され、
    前記ピストンの前記凹部は、前記凸部の前記吸気側傾斜面よりも吸気側に位置しかつ前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線と略平行に延びる吸気側端部に位置する傾斜面であって圧縮行程後期における前記所定の時期に前記燃料噴射弁から噴射された燃料が該凹部に直接的に到達するように位置づけられた傾斜面を備え、該傾斜面は 圧縮行程後期の前記所定の時期において、前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線と前記凹部の表面との前記第1交点よりも吸気側に延在する、請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記圧縮行程噴射噴割合は0.5または1である、請求項1または2に記載の内燃機関。
  4. 前記凸部の高さは前記第2平面からの前記ピストンの軸線方向の高さとして定義され、
    前記第1平面における前記凸部の高さの前記気筒のボア径に対する比が0.04以上、かつ、0.08以下の範囲内にあるように、前記凸部は構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の内燃機関。
  5. 前記凸部の幅は前記第1平面に直交する方向の前記凸部の長さとして定義され、
    前記凸部の幅の前記気筒のボア径に対する比が0.4以上、かつ、0.7以下の範囲内にあるように、前記凸部は構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の内燃機関。
  6. 前記凸部の高さは前記第2平面からの前記ピストンの軸線方向の高さとして定義され、
    前記凸部の幅は前記第1平面に直交する方向の前記凸部の長さとして定義され、
    前記凸部の幅の前記第1平面における前記凸部の高さに対する比が8以上、かつ、25以下の範囲内にあるように、前記凸部は構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の内燃機関。
  7. 前記凸部の高さは前記第2平面からの前記ピストンの軸線方向の高さとして定義され、
    前記第1平面上において前記凸部の前記吸気側傾斜面に沿うように定められる前記線が前記燃料噴射弁の噴霧中心軸線となす角度は略90°であり、
    前記吸気側傾斜面は前記凹部から滑らかに立ち上がり、該滑らかに立ち上がる部分の曲率半径は前記第1平面における前記凸部の高さより小さく、該凸部の高さの4分の1よりも大きい、請求項1から6のいずれかに記載の内燃機関。
  8. 前記第1平面は前記凸部の中央部を通り、前記凸部の両端部のそれぞれは前記第1平面から離れ、
    前記凸部の前記吸気側傾斜面は、前記ピストンの上面視で、その中央部が最も排気側に位置し、該中央部からその端部に至るにしたがって吸気側に近づくように形成されている、請求項1から7のいずれかに記載の内燃機関。
  9. 前記凸部の高さは前記第2平面からの前記ピストンの軸線方向の高さとして定義され、
    前記第1平面は前記凸部の中央部を通り、前記凸部の両端部のそれぞれは前記第1平面から離れ、
    前記凸部の前記端部の高さは、前記凸部の前記中央部の高さに等しいまたは前記中央部の高さよりも低い、請求項1から8のいずれかに記載の内燃機関。
  10. 前記第1平面において、前記排気側傾斜面が前記第2平面となす角度は30°以下かつ10°以上の角度である、請求項1から9のいずれかに記載の内燃機関。
  11. 前記吸気側傾斜面と前記排気側傾斜面との間の辺稜部は、0.5mm以上の曲率半径を有するように形成されている、請求項1から10のいずれかに記載の内燃機関。
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