JP5664049B2 - 光走査装置及びレーザレーダ装置 - Google Patents

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本発明は、光走査装置、該光走査装置を有するレーザレーダ装置に関する。
光走査装置の光偏向器は、振動ガルバノメーター、ポリゴンミラー、MEMSミラーなどの機械式偏向器と、音響光学素子や電気光学素子などの非機械式光偏向器とに大別される。光偏向器の利用分野としては、レーザープリンタ、バーコードリーダ、プロジェクタ、レーザレーダなどが挙げられる。レーザレーダは、測量、環境計測、自動車の前方監視などさまざまな分野で実用化されている。
特許文献1には、車載レーザレーダにおいて、測定対象が遠距離である場合と近距離である場合とで空間分解能を一定とする目的で、光ビームの走査角と広がり角を可変にする構成が開示されている。
特許文献2には、距離に応じて複数の空間分解能を設定する目的で、計測領域に向けて走査するレーザ光の走査ピッチを変更するという方法が開示されている。
特許文献3では、凸面鏡を備えた走査角拡大の光学系を用いたレーザレーダにおいて、走査角が大きい領域でも空間分解能を一定とすることを目的として、可動コリメートレンズを用いてビーム広がり角を抑制する方法が開示されている。
レーザレーダでは、測定対象が遠距離であっても近距離であっても走査面内の空間分解能が一定であることが望ましい。また、近距離では広い走査角を有することが望ましく、長距離では狭い走査角であっても差し支えない。
しかしながら、従来のレーザレーダ用の光偏向器では、距離に応じて複数の走査角および空間分解能を設定するためには、光偏向器やその周辺の光学素子が大型化する、または複雑な制御が必要となる、または機械的的な可動部分を有するために構成が複雑になるという問題があった。
特許文献1に記載の方式では、測定対象までの距離に応じて光偏向器の走査角を変化させる必要があるとともに、測定対象までの距離に応じて光ビームの広がり角を変化させるためにレーザダイオードとコリメートレンズの距離を制御する必要があるため、複雑な構成になるという問題を避けられない。
特許文献2に記載の方式では、レーザ光源の発振タイミングとパルス周期、または連続レーザ光の変調周期と位相を制御する必要があり、また光学スキャン装置のスキャン速度をリアルタイムに変更する必要があるために、装置の制御が複雑になるというという問題を避けられない。
特許文献3に記載の方式では、可動コリメートレンズを用いているので、複雑な構成になるという問題を避けられない。
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたもので、複数の走査角および空間分解能を設定することができる光走査装置を、小型かつ簡便な構成で実現することを、その主な目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、光源と、該光源からの出射光を偏向する光偏向素子と、該光偏向素子の光進行方向後段に配置され、異なる拡大率を有する走査角およびビーム広がり角の複数の拡大レンズ系とを有し、前記光偏向素子により偏向されたビームを前記複数の拡大レンズ系のいずれかに導いて、複数の走査角および空間分解能を得る光走査装置において、前記光源と前記光偏向素子とがそれぞれ1つ設けられ、前記光偏向素子と前記複数の拡大レンズ系との間に、ビームの進行方向を変化させて前記複数の拡大レンズ系のいずれかに選択的に導く光スイッチが設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の光走査装置において、前記光スイッチは、前記複数の拡大レンズ系に個別に対応して並列に配置され、それぞれがビームを直進させる場合と進行方向と直交する方向に向きを変える場合とに選択的に切り替え可能な構成を有していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の光走査装置において、前記光偏向素子が、電気光学結晶の基板に分極制御技術を用いて電気光学プリズムを作製することにより形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項に記載の光走査装置において、前記電気光学結晶が、ニオブ酸リチウム、酸化マグネシウム添加ニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタルのうちのいずれかであることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記複数の拡大レンズ系はそれぞれ、凸レンズと、該凸レンズの光進行方向下流に位置する凹レンズとのペアからなることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、レーザレーダ装置において、光源から出射されるパルス波または変調波からなる出射光を対象物に向けて走査する光走査装置と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算器と、を有するレーザレーダ装置において、
前記光走査装置が、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光走査装置であることを特徴とする
本発明によれば、複数の走査角および空間分解能を設定することができる光走査装置を、小型かつ簡易な構成で実現することができる。
本発明の第1の実施形態(参考例)に係るレーザレーダ装置の構成を示すブロック図である。 光走査装置の構成を示す概要平面図である。 光偏向素子に印加する電圧と偏向角との関係を示すグラフである。 測定対象までの距離と各ビームの測定範囲との関係を示す図である。 第2の実施形態(参考例)に係る光走査装置の構成を示す概要平面図である。 第3の実施形態に係る光走査装置の構成を示す概要平面図である。
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
図1乃至図4に基づいて第1の実施形態(参考例)を説明する。図1は本実施形態に係る車載用のレーザレーダ装置10の構成を示すブロック図である。例えば車の前方下部に取り付けられるレーザレーダ装置10は、光走査装置12と、受光器14と、電圧制御装置16と、センシング制御装置18等を有している。光走査装置12は、光源装置20と光偏向素子22とを備え、電圧制御装置16は光偏向素子22への電圧印加を制御する。
センシング制御装置18は、バス24を介して図示しない主制御装置等へ電気的に接続されている。
図2に、複数の走査角および空間分解能を設定することができる光走査装置12の構成の概要を示す。
光偏向素子22は、複数の光偏向素子(1、2、3・・・N)を並列に配置して構成されている。光偏向素子22の前段(光進行方向上流)には、複数の光偏向素子に個別に対応して複数の光源(1、2、3・・・N)が配置されており、光源装置20を構成している。
光偏向素子22の後段(光進行方向下流)には、複数の光偏向素子に個別に対応して、異なる拡大率を有する走査角およびビーム広がり角の拡大レンズ系(1、2、3・・・N)26が配置されている(図1では省略)。
光偏向素子22は、電気光学結晶の基板28に複数の光偏向素子(1〜N)を形成することにより構成されている。光偏向素子の実現方法としては、ニオブ酸リチウムなどの強誘電体結晶の分極制御技術を用いて、プリズム型の分極ドメインを形成しその分極軸方向に電圧を印加することによって屈折率を変化させ、光を偏向させる方法が挙げられる。
この方法によれば、プリズム型の分極ドメインをフォトリソグラフィーにもとづいた方法で形成することができるので、多数のプリズムを同一の結晶基板上に集積することが可能であるので、本発明における光偏向素子の形成方法として好ましい方法である。
また、ニオブ酸リチウム結晶による光偏向素子はバルク型、導波路型のいずれでもよく、バルク型の場合にはビームの面積を大きくすることができるので高パワーのビームを偏向することができ、導波路型の場合には導波路に光を閉じ込めることによって電極間隔を小さくすることができるので、低電圧での光偏向が可能となる。
複数の光源は半導体レーザや固体レーザなど特に限定はされないが、半導体レーザをアレイ状に配置すれば小型かつ簡便な構成が可能である。
各拡大レンズ系26は、凸レンズと凹レンズのペアから構成されている。凸レンズn(n=1・・・N)、凹レンズn(n=1・・・N)の焦点距離は、それぞれf1n、f2nである。ビームが偏向角θ、広がり角Δθで凸レンズnと凹レンズnのペアを通過すると、θ、Δθともに同じ割合で拡大される。
このときの拡大率αとf1n、f2nの関係は次のように表される。
1n==αL/(α―1)
2n=L/(α―1)
α=f1n/f2n
ここでLは、凸レンズnと凹レンズnの間隔である。なお、拡大率が1でよい場合には、凸レンズおよび凹レンズを取り除けばよい。
図3はN=3として、光走査装置12を製作し動作させたときの、電気光学結晶に印加する電圧と偏向角の関係である。
電気光学結晶はニオブ酸リチウムであり、厚さ10μmの導波路として、その上下にクラッド層と電極を配置している。電極を介して電圧制御装置16により電圧が印加される。
各光偏向素子は分極制御技術を用いて、プリズム型の分極ドメインを形成することによって実現した。プリズム型の分極ドメインは長さ20mmの間に20連作製されている。電気光学結晶28のサイズは25mm×6mm×0.5mmである。
走査角およびビーム広がり角の拡大のレンズ系の拡大率αおよび焦点距離f1n、f2nは、次のように設定した。
ビーム1の拡大率α=1.0
拡大率1倍なので、レンズ系は不要
ビーム2の拡大率α=1.5
1n=15mm、f2n=10mm
ビーム3の拡大率α=3.0
1n=7.5mm、f2n=2.5mm
凸レンズと凹レンズの間の距離は、レンズを組付けする筐体の設計および製作が容易となるように5mmで一定となるように設計した。
ビーム1の走査角は約±100mradであり、その広がり角=2mrad、ビーム2の走査角は約±150mradであり、その広がり角=3mrad、ビーム3の走査角は約±300mradであり、その広がり角=6mradとなった。
これをレーザレーダ装置に応用し、90mまでの範囲の測定を行う場合について述べる。図4は測定対象までの距離に応じて、0mから30mまではビーム3、30mから60mまではビーム2、60mから90mまではビーム1で測定を行う場合の概略図である。
このとき、測定に用いるビームを切り替える境界となる距離での空間分解能は次の通りとなる。
ビーム1で測定する最も遠方の30mにおいては、ビーム1の広がり角が6mradであるので18cm、ビーム2で測定する最も遠方の60mにおいては、ビーム2の広がり角が3mradであるので18cm、ビーム1で測定する最も遠方の90mにおいては、ビーム1の広がり角が6mradであるので18cmとなり、すべての測定領域において18cm以下の空間分解能を得ることができる。ビームの切り替えはセンシング制御装置18によってなされる。
なお、ここではビームを切り替える距離が等間隔の場合を示したが、必ずしも等間隔である必要はなく、その場合には測定距離に応じて拡大レンズ系の拡大率を設定すればよい。
このように本発明によれば、並列に配置された光偏向素子の前段に複数の光源、並列に配置された光偏向素子の後段に、異なる拡大率を有する走査角およびビーム広がり角の拡大レンズ系を配置することによって、複数の走査角および空間分解能を設定することができる光走査装置を小型かつ簡便に実現することができる。
センシング制御装置18は、各光源(半導体レーザ)の点灯タイミング及び消灯タイミングに関する情報を電圧制御装置16に通知する。
電圧制御装置16は、上記タイミング情報に基づいて印加電圧Vを制御する。半導体レーザが点灯している時間内に印加電圧Vを変化させることにより、光偏向素子から射出される光束を偏向することができる。
受光器14は、光偏向素子22から射出され、車両の前方にある物体から反射された光束を受光する。受光器14は受光量に応じた信号(光電変換信号)を生成し、センシング制御装置18に出力する。
距離値演算器としてのセンシング制御装置18は、そのときに点灯している半導体レーザ及びそのときの印加電圧Vから光束の射出方向を求め、該射出方向と受光器14からの信号に基づいて、物体の大きさ、車両に対する物体の位置などを求める。
ここで得られたデータは、時間情報とともに監視データとして図示しないメモリに格納される。上記主制御装置は、メモリに格納されている監視データに基づいて車両の前方に物体があるか否か、物体があるときにその物体が移動しているか否か、該物体が移動しているときにはその移動方向及び移動速度を求める。この情報は図示しない表示装置に表示される。
本実施形態では、上記のように電気光学プリズムを電気光学結晶に分極制御技術を用いて集積化するので、装置の小型化が可能である。
また、走査角およびビーム広がり角拡大のレンズ系は、固定焦点のレンズを固定位置で実現しているので、電気光学プリズムの構成の簡便さとあわせて装置全体が小型かつ簡便な構成となる。
本実施形態では、拡大レンズ系を凸レンズと凹レンズのペアとして構成したが、これに限定される趣旨ではなく単レンズで構成してもよい。
図5に基づいて第2の実施形態(参考例)を説明する。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない限り既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
本実施形態では光源装置20は単一の光源で構成されており、光源装置20と光偏向素子22との間には、所定の拡大レンズ系に対応する光偏向素子を選択するための光スイッチ36が配置されている。
光スイッチ36は、複数の光偏向素子に個別に対応して複数(1、2、3・・・N)配置されている。
ビーム1を出力するときには光スイッチ1をON、すなわち図5において光が直進するような状態とする。光ビームn(n=2からNまで)を出力するときには、光スイッチ1をOFF、すなわち図5において光の進行方向がそれまでの進行方向と直角の方向へと変化するような状態とし、光スイッチnをON、すなわち図5において光の進行方向がそれまでの進行方向と直角の方向へと変化するような状態とする。
光スイッチ36としては、たとえばMEMSミラーや電気光学効果を利用した全反射ミラーなどが挙げられ、いずれも小型かつ簡便な構成とすることが可能である。
このように本発明によれば、並列に配置された光偏向素子の前段に単一の光源および光偏向素子を選択するための複数の光スイッチ、並列に配置された光偏向素子の後段に異なる拡大率を有する走査角およびビーム広がり角の拡大レンズ系を配置することによって、複数の走査角および空間分解能を設定することができる光走査装置を実現することできる。
図6に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では光源装置20が単一の光源で構成されているとともに、光偏向素子22が単一の光偏向素子で構成されており、光偏向素子22と拡大レンズ系26との間には、所定の拡大レンズ系を選択するための光スイッチ36が配置されている。
ビーム1を出力するときには光スイッチ1をON、すなわち図6において光が直進するような状態とする。光ビームn(n=2からNまで)を出力するときには、光スイッチ1をOFF、すなわち図6において光の進行方向がそれまでの進行方向と直角の方向へと変化するような状態とし、光スイッチnをON、すなわち図6において光の進行方向がそれまでの進行方向と直角の方向へと変化するような状態とする。
このように本発明によれば、単一の光偏向素子の前段に単一の光源、単一の光偏向素子の後段に異なる拡大率を有する走査角およびビーム広がり角の拡大レンズ系と、拡大レンズ系を選択するための複数の光スイッチを配置することによって、複数の走査角および空間分解能を設定することができる光走査装置を実現することができる。
10 レーザレーダ装置
12 光走査装置
20 光源
22 光偏向素子
26 拡大レンズ系
28 電気光学結晶の基板
36 光スイッチ
特開2000−75030号公報 特開2008−241273号公報 特許4151358号公報

Claims (6)

  1. 光源と、該光源からの出射光を偏向する光偏向素子と、該光偏向素子の光進行方向後段に配置され、異なる拡大率を有する走査角およびビーム広がり角の複数の拡大レンズ系とを有し、
    前記光偏向素子により偏向されたビームを前記複数の拡大レンズ系のいずれかに導いて、複数の走査角および空間分解能を得る光走査装置において、
    前記光源と前記光偏向素子とがそれぞれ1つ設けられ、前記光偏向素子と前記複数の拡大レンズ系との間に、ビームの進行方向を変化させて前記複数の拡大レンズ系のいずれかに選択的に導く光スイッチが設けられていることを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1に記載の光走査装置において、
    前記光スイッチは、前記複数の拡大レンズ系に個別に対応して並列に配置され、それぞれがビームを直進させる場合と進行方向と直交する方向に向きを変える場合とに選択的に切り替え可能な構成を有していることを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1又は2に記載の光走査装置において、
    前記光偏向素子が、電気光学結晶の基板に分極制御技術を用いて電気光学プリズムを作製することにより形成されていることを特徴とする光走査装置。
  4. 請求項に記載の光走査装置において、
    前記電気光学結晶が、ニオブ酸リチウム、酸化マグネシウム添加ニオブ酸リチウム、ニオブ酸タンタルのうちのいずれかであることを特徴とする光走査装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の光走査装置において、
    前記複数の拡大レンズ系はそれぞれ、凸レンズと、該凸レンズの光進行方向下流に位置する凹レンズとのペアからなることを特徴とする光走査装置。
  6. 光源から出射されるパルス波または変調波からなる出射光を対象物に向けて走査する光走査装置と、前記出射光が対象物で反射した反射光を受光する受光手段と、出射光と反射光の時間差または位相差から対象物までの距離値を演算する距離値演算器と、を有するレーザレーダ装置において、
    前記光走査装置が、請求項1〜5のいずれか1つに記載の光走査装置であることを特徴とするレーザレーダ装置。
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