JP5662645B2 - ウレタン樹脂および塗料 - Google Patents

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Description

本発明は、新規なウレタン樹脂および該ウレタン樹脂を含む塗料に関する。本発明の塗料は、車輛座席シート、車輛内装材、家具、靴、鞄、衣料、ベルト、財布などで使用される天然皮革、合成皮革や人工皮革などの合成擬革、熱可塑性ポリオレフィン(TPO)、スラッシュ成型用熱可塑性ポリウレタンおよび塩化ビニル樹脂などのプラスチックシート状物、各種フィルム、プラスチック成型物、ゴム成型物、布、紙、木、金属など、あらゆる部材の表面の被覆剤として有用であり、形成される被膜は、耐摩耗性、基材密着性、柔軟性、耐薬品性、耐油性、滑り性、屈曲性、低温特性、レベリング性、耐久性(耐候性、耐熱性、耐加水分解性)および防汚染性などに優れている。
従来、天然皮革の表面仕上げは、天然皮革の意匠性や耐久性、摩耗性、汚染性などの機能を向上させる目的で行われている。このような機能性塗料としては、ウレタン系樹脂、硝化綿ラッカー、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリロニトリルブタジエン系樹脂などを被膜形成成分として含む塗料が使用されている。
また、合成皮革や人工皮革などの合成擬革においては、ポリウレタン系樹脂を使用したものが多く見受けられる。合成擬革は、天然皮革に近い風合いを得ることができることから、衣料用途や家具、車輛座席シートや内装材などの高級感を求められる分野に多く使用されている。特に近年においては、上記性能に加え環境対応型素材の高機能な合成擬革システム開発が強く求められている。
従来、ポリウレタン系樹脂を用いた合成擬革は、例えば、以下の主工程を経る湿式法などによって製造されている。先ず、例えば、繊維質基材層上に、ポリウレタン系樹脂のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を主体とした有機溶剤の溶液を塗布し、水中で凝固させてミクロポーラス層を形成させる。
次いで、上記ミクロポーラス層上に、各種有機溶剤に溶解したポリウレタン系樹脂溶液を、グラビアなどの塗布機でダイレクトコートし、乾燥させて表皮層(銀面層)を形成させるか、或いはポリウレタン系樹脂溶液を離型紙上に塗布し、乾燥して形成される被膜面に接着剤層を形成し、これらの層を上記ミクロポーラス層に転写する方法が挙げられる(非特許文献1)。
このように合成擬革の表皮を製造するポリウレタン系樹脂の殆どは、各種有機溶剤に溶解した溶液として使用されている。そのために、乾燥工程において、有機溶剤は大気中に放出されており、環境問題(VOC対策)、安全衛生、消防対策の観点から、有機溶剤を使用しないポリウレタン系樹脂水系分散体の必要性が高まっている。
従来のポリウレタン系樹脂水系分散体からなる被膜では、耐久性を必要とする自動車や家具用などに使用するシート素材として、基材との接着性、柔軟性、耐水性、特に、人間の皮脂に対する耐油性、耐摩耗性、耐久性(耐候性、耐加水分解性、耐熱性など)などの合成擬革の要求性能を充分に満足するものではなく、改良が求められている(特許文献1)。
その他に自動車内装材としては、インストルメントパネル、ドアトリム、コンソールボックスなどが挙げられ、従来、柔軟性、難燃性、意匠性、真空成型性およびコストバランスのよい材料である塩化ビニル樹脂が数多く使用されていた。しかし、近年、環境保護の観点からダイオキシン対策(脱ハロゲン)やリサイクルを推進する目的で、TPOと称される熱可塑性ポリオレフィンやスラッシュ成型用熱可塑性ポリウレタンが多く使用されている。
塩化ビニル系樹脂シートは、焼却による有毒ガス発生および可塑剤のブリードアウトによる健康上の安全性や物性の変化による耐久性の低下などがあるため、自動車素材市場は脱塩化ビニルへ転換してきている。それに加え、環境規制の整備や国内設備投資の回復基調を背景に、TPOやスラッシュ成型用熱可塑性ポリウレタン市場の拡大が続くとともに、自動車用素材としての実績が信頼性に繋がり、さらなる塩化ビニル樹脂の代替需要獲得が旺盛となっている。
TPOシートは、自動車用素材に適合した諸物性(耐候性、耐薬品性など)、柔軟性の制御や密度が低いため軽量化が可能であり(低燃費化)、リサイクル性などに優れる素材であるため、塩化ビニル樹脂の代替素材として有望とされている。しかしながら、TPOシートからなる自動車用内装材は、運転者が安全に走行するために防弦性を必要とし、フルマット(艶消し)調を付与することを目的に、意匠性のある艶消し用表面塗料を塗工する必要性があることに加え、耐摩耗性や耐油性(人間の皮脂やプラスチック用塗料など)に対しての性能が劣り、その対策を施さなければならない。
そこで、前記二項目の対策と意匠性を高めるために、溶剤型ウレタン系樹脂塗料で処理した後、真空成型によって自動車用内装材が作製される。さらに詳しく述べると、TPOシートを、密着性を高めるためにコロナ放電処理により表面改質をした後、塩素化ポリプロピレン層を塗布後、溶剤型艶消しタイプのポリウレタン系樹脂塗料で処理したものを自動車用内装材として成形している。
特許文献2では、耐熱性に優れた塩化ビニル系樹脂を表皮とする素材と発泡ポリウレタンからなる自動車用内装材を提案している。前記提案は、焼却による有毒ガスが発生するため環境保護の観点から好ましくない。
岩田 慶治 編、ポリウレタン樹脂ハンドブック、第571〜599頁、15.ポリウレタン皮革(昭和62年9月25日、日刊工業新聞社発行) 特開平5−5280号公報 特開平6−297624号公報
しかしながら、上記の提案技術では、全ての性能を満足させることはできず、さらに高性能な表面形成用の材料が要望されている。
従って、本発明の目的は、耐摩耗性、基材密着性、柔軟性、耐薬品性、耐油性、滑り性、屈曲性、低温特性、レベリング性、耐久性(耐候性、耐熱性、耐加水分解性)および防汚染性などに優れた被膜を与える塗料、さらには環境に配慮した塗料を提供することにある。
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基と水酸基以外の親水性基(アニオン性基またはカチオン性基)とを有する化合物(以下「化合物a」という場合がある)と、分子内に少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個のアミノ基とを有するアミノアルコール(以下「化合物b」という場合がある)と、ポリオールおよび/またはポリアミン(以下「化合物c」という場合がある)と、活性水素含有基を少なくとも1個有するポリシロキサン(以下「化合物d」という)と、ポリイソシアネート(以下「化合物e」という場合がある)とを、全活性水素含有基とイソシアネート基とをNCO/OH=0.9〜1.1のモル比(但し前記化合物bの水酸基は含まない)で反応させて得られる、同一分子中に少なくとも水酸基と親水性基とを含有するシロキサン変性ウレタン樹脂(以下「本発明の樹脂」という場合がある)を提供する。
上記本発明の樹脂の数平均分子量は、2,000〜500,000であること;化合物aからなるセグメントの含有量が0.01〜30質量%、化合物bからなるセグメントの含有量が0.01〜30質量%、化合物cからなるセグメントの含有量が10〜80質量%、および化合物dからなるセグメントの含有量が0.01〜50質量%(但しa〜dの合計は100質量%とし、上記a〜dの数値は、その合計が100質量%になる組み合わせで選ばれる)であることが好ましい。
また、本発明は、化合物aと、化合物cと、化合物dと、化合物eとを反応させ、末端イソシアネートプレポリマーを製造後に、化合物bを反応させることを特徴とする前記本発明の樹脂の製造方法と、前記本発明の樹脂を含有することを特徴とする塗料を提供する。該塗料は、さらに他の被膜形成成分を含み得る。
本発明の塗料は、さらに、少なくともいずれかの化合物が3官能以上である、ポリイソシアネート(以下「化合物e’」という場合がある)と、分子内に活性水素含有基を有する化合物(以下「化合物c’」という場合がある)とを共重合した化合物からなる三次元架橋したポリウレタンゲル微粒子(以下「粒子A」という場合がある)と、該微粒子の表面がポリウレアコロイド非水溶媒溶液から析出したポリウレアコロイド粒子(以下「粒子B」という場合がある)とからなるポリウレタンゲル微粒子(以下「粒子C」という場合がある)を含有することが好ましい。
また、本発明の塗料においては、上記粒子Bが、溶媒に対して溶媒和されている部分と非溶媒和部分とから構成されており、非溶媒和部分の粒子径が0.01μm〜1.0μmであること;粒子Bが、油脂変性ポリオールとポリイソシアネートとポリアミンとの反応で得られるポリウレアコロイド粒子であって、非溶媒和部分がウレア結合の水素結合からなっていること;粒子Cの粒子径が0.5〜100μmの範囲、円形度が0.9〜1.0の範囲、圧縮強度が0.01〜50MPaの範囲、回復率が50〜100%の範囲、および熱軟化点温度が200℃以上であることが好ましい。
また、本発明の塗料は、さらに、シリカ、シリコーン変性ウレタン系樹脂微粒子、ナイロン系樹脂微粒子、エステル系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子、フッ素系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、または反応性シロキサンを含むこと;さらにポリイソシアネート(ブロック型を含む)系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、ラジカル重合系架橋剤((メタ)アクリロイル基含有架橋剤)、カチオン重合系架橋剤(エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル系架橋剤)および有機金属錯体系架橋剤から選ばれる架橋剤を含むことが好ましい。
本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討の結果、本発明の樹脂を使用することで、環境に配慮した塗料設計が可能となり、本発明の樹脂に親水性基を導入することで、基材との界面に極性基(親水性基)が配向するために密着性に優れた塗膜が得られる。さらに親水性基(カルボキシル基)はポリオキサゾリン系架橋剤やポリカルボジイミド系架橋剤と反応し、塗膜の諸物性の向上に役立てることができる。
また、原料の一部として、化合物bを使用することで、アミノ基と水酸基の競争反応より、分子内に水酸基を含有するウレタン樹脂が得られる。本発明の樹脂は、水酸基を含有することで親水性が高まり、塗膜形成においてレベリング性が向上したり、さらには水分散イソシアネート系架橋剤を用いた時には、樹脂と架橋剤との反応性が高く、架橋剤のイソシアネート成分の失活が少なく、高性能な塗膜を得ることができる。また、ブロックイソシアネート系架橋剤を使用した場合には、1液塗料の仕様が可能となる。
また、本発明の樹脂は、分子中のシロキサンセグメントとポリウレタンセグメントとの相溶性が悪く、コーティングの際にシロキサンセグメントとポリウレタンセグメントとがミクロ相分離した塗膜が形成される。すなわち、シロキサンセグメントは、表面張力から空気側に配向させてシロキサンセグメントの特徴(滑性、耐摩耗性、耐熱性、防汚染性、非粘着性など)を発揮させる機構である。さらに、架橋剤を使用することで表面に覆われたシロキサンセグメントのさらなる特徴が出るとともに、シロキサンセグメントの移行を抑える効果がある。
シロキサンセグメントの表面張力(20.3dyn/cm)がポリウレタンセグメントの表面張力(30.4dyn/cm)の値に比べて著しく小さいため、本発明の樹脂からなる塗膜の表面は、ポリウレタンドメイン内に島状に形成されるシロキサンセグメントは表面に配向すると考えられ、表面張力の値からも支持される。
本発明の樹脂は、化合物a〜dからなる各セグメント成分の量の調整により、塗料の必要スペックに優れた塗膜が得られる。
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
本発明において、「本発明の樹脂」とは、ポリウレタン、ポリウレア、およびポリウレタン−ポリウレアの総称である。また、本発明における「活性水素含有基」は、イソシアネート基と反応性のある水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、アミノ基などの活性水素を有する基をいう。
本発明の樹脂は、化合物a〜eを反応させることで得られる。以下に本発明の樹脂の原料成分について説明する。化合物aとしては、スルホン酸系、カルボン酸系、燐酸系、アミン系などの化合物を用いることができる。
例えば、スルホン酸系化合物であれば、下記化合物およびその誘導体などが挙げられる。
また、カルボン酸系化合物であれば、ジメチロールプロパン酸、ジメチロールブタン酸およびそれらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)やγ−カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量500未満)、酸無水物とグリセリンから誘導されるハーフエステル類、水酸基と不飽和基を含有するモノマーとカルボキシル基と不飽和基を含有するモノマーとをフリーラジカル反応により誘導される化合物などが挙げられる。
アミノ系化合物の化合物aは、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミンなどのN−アルキルジアルカノールアミン、N−メチルジアミノエチルアミン、N−エチルジアミノエチルアミンなどのN−アルキルジアミノアルキルアミンを挙げることができる。
以上は本発明において使用される好ましい化合物aの例示であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示化合物のみならず、その他現在市販されていて、市場から容易に入手できる化合物aは、いずれも本発明に使用することができる。
本発明においては、上記化合物aは、未中和または中和された状態で使用してもよい。中和塩として用いる場合の中和剤としては、化合物aがアニオン基(スルホン酸系、カルボン酸系など)を有する場合は、例えば、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン、リチウム、カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基などが挙げられ、これらは併用できる。これらはカルボキシル基またはスルホン酸基の一部または全部に対し中和するのに必要な量が用いられる。
一方、化合物aが親水性基としてカチオン基(3級アミノ基)を有する場合の中和剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、アジピン酸などの有機酸、および塩酸、燐酸、硝酸などの無機酸などが挙げられ、これらは併用できる。これらの中和剤は、3級アミノ基の一部または全部に対し中和するのに必要な量が用いられる。
本発明で使用する化合物bとしては、例えば、2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、4−メチルアミノブタノール、2−ヒドロキシエチルアミノプロパノール、ジエタノールアミノプロピルアミン、1−アミノプロパンジオール、1−(メチルアミノ)プロパンジオール、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチルエタノールアミン)、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミンなどの脂肪族アミノアルコール、3−ピペラジンメタノール、2−ピペラジンエタノール、4−ピペラジノールなどのヒドロキシエチルピペラジンなどの化合物が挙げられる。これらは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
本発明で使用する化合物dは、少なくとも1個の活性水素含有基を有するポリシロキサンであり、例えば、以下のような化合物を用いることが好ましい(この中には活性水素含有基を利用して変性されたエポキシ変性ポリシロキサンも含んでいるが、イソシアネート基と反応してポリウレタン樹脂中に含有されることとなるので含めている)。
化合物dから誘導されるシロキサンセグメントは、本発明の樹脂中に含有され、ウレタン樹脂の主鎖中に含有或いは分岐した状態で含有されている。すなわち、原料である化合物dが両末端反応型であればウレタン樹脂の主鎖である幹部分に、片末端或いは分岐反応型であればウレタン樹脂の主鎖から分岐した状態で含有されることとなる。
本発明使用する化合物dとしては、例えば、以下のような化合物を用いることができる。
(1)アミノ変性ポリシロキサン
(2)エポキシ変性ポリシロキサン
上記のエポキシ化合物はポリオール、ポリアミド、ポリアミン、ポリカルボン酸などと反応させ末端活性水素を有するようにして使用することができる。
(3)アルコール変性ポリシロキサン
(4)メルカプト変性ポリシロキサン
以上列記した活性水素含有基を有するポリシロキサンは本発明において使用する好ましい化合物dであるが、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って上述の例示の化合物dのみならず、その他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物dはいずれも本発明において好ましく使用することができる。本発明において特に好ましい化合物dは2個の水酸基またはアミノ基を有するポリシロキサンである。
これらの他にもポリシロキサンをラクトンで変性したポリラクトン(ポリエステル)−ポリシロキサンおよびエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドで変性したポリエチレンオキサイド−ポリシロキサンやポリプロピレンオキサイド−ポリシロキサンなども好ましく使用される。特に好ましくは分子内に1個以上の活性水素含有基を有するポリシロキサンをラクトンで変性したポリラクトン−ポリシロキサンおよび分子内に1個以上の活性水素含有基を有するポリシロキサンをエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドなどでエーテル変性したポリエーテル−ポリシロキサンである。
ここで使用する好ましいラクトンは、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、7−ヘプタノリド、8−オクタノリド、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトンおよびδ−カプロラクトンなどである。
また、オキシアルキレン重合体の分子鎖を得るには、アルキレンオキサイド、具体的には、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、α−ブチレンオキサイド、β−ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、α−メチルスチレンオキサイドなどが挙げられ、種々の触媒の存在下に開環重合させることによって得られる。
また、本発明において前記ポリラクトン−ポリシロキサン、すなわち、分子内に1個以上の活性水素含有基を有するポリシロキサンをラクトンで変性したポリラクトン−ポリシロキサンは、分子中に1個または2個以上の活性水素含有基、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基などを有するシロキサンを、その活性水素含有基によりラクトンを開環重合させた後、減圧処理することによって得られる。
本発明に使用される化合物cのうちのポリオールとしては、ポリウレタンの製造に従来から使用されている短鎖ジオール、高分子ポリオールなどの従来公知のものが、また、ポリアミンとしてはポリウレタンの製造に従来から使用されている短鎖ジアミンなどが使用できるが、これらは特に限定されない。
短鎖ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族グリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,1−シクロヘキサンジメタノールなどの脂環式系グリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);キシリレングリコールなどの芳香族グリコールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満);ビスフェノールA、チオビスフェノール、スルホンビスフェノールなどのビスフェノールおよびそのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)などの化合物が挙げられる。
また、多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、トリス−(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパンなどが挙げられる。これらは単独あるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
高分子ポリオールとしては、例えば、以下のものが例示される。
(1)ポリエーテルポリオール、例えば、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドなど)および/または、複素環式エーテル(テトラヒドロフランなど)を重合または共重合して得られるもの、具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリテトラメチレングリコール(ブロックまたはランダム)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレングリコールなど、
(2)ポリエステルポリオール、例えば、脂肪族系ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸など)および/または芳香族系ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸、テレフタル酸など)と低分子量グリコール(例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサンなど)とを縮重合したもの、具体的にはポリエチレンアジペートジオール、ポリブチレンアジペートジオール、ポリヘキサメチレンアジペートジオール、ポリネオペンチルアジペートジオール、ポリエチレン/ブチレンアジペートジオール、ポリネオペンチル/ヘキシルアジペートジオール、ポリ−3−メチルペンタンアジペートジオール、ポリブチレンイソフタレートジオールなど、
(3)ポリラクトンポリオール、例えば、ポリカプロラクトンジオールまたはトリオール、ポリ−3−メチルバレロラクトンジオールなど、
(4)ポリカーボネートジオール、例えば、ポリヘキサメチレンカーボネートなど、
(5)ポリオレフィンポリオール、例えば、ポリブタジエングリコール、ポリイソプレングリコールまたは、その水素化物など、
(6)ポリメタクリレートジオール、例えば、α,ω−ポリメチルメタクリレートジオール、α,ω−ポリブチルメタクリレートジオールなどが挙げられる。
これらのポリオールの分子量は特に限定されないが、通常数平均分子量は500〜2,000程度である。また、これらのポリオールは単独或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
化合物cとして使用されるポリアミンとしては、短鎖ジアミン、脂肪族系、芳香族系ジアミン、ヒドラジンなどが挙げられる。短鎖ジアミンとしては、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ジアミン;シクロペンタジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環式ジアミンなどが挙げられる。また、ヒドラジン、カルボジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジンが挙げられる。これらは単独であるいは2種類以上を組み合わせて使用することができる。ポリオールおよびポリアミンとしては、ジオールまたはジアミンが好ましい。
本発明に使用する化合物eとしては、従来公知のポリウレタンの製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、好ましいものとして、トルエン−2,4−ジイソシアネート、4−メトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−イソプロピル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−クロル−1,3−フェニレンジイソシアネート、4−ブトキシ−1,3−フェニレンジイソシアネート、2,4−ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、o−ニトロベンジジンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアネートジベンジルなどの芳香族ジイソシアネート;
メチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添MDI、水添XDIなどの脂環式ジイソシアネートなど、あるいはこれらのジイソシアネート化合物と低分子量のポリオールやポリアミンを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなども当然使用することができる。
本発明の樹脂は、前記化合物a(好ましくは2個の活性水素含有基と水酸基以外の親水性基を好ましくは1個とを有する化合物)と、化合物bと、化合物cと、化合物dと、化合物eとを反応させて得られる。
本発明の樹脂の製造方法については特に限定されず、従来公知のポリウレタンの製造方法を用いることができる。例えば、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下、または不存在下に、化合物aと、化合物cと、化合物dと、化合物eとを、必要に応じて低分子ジオールを鎖伸長剤とし、イソシアネート基と活性水素含有基との当量比(NCO/OH)が、0.9〜1.1、好ましくは1.0となる配合で、ワンショット法、または多段法により、通常、20〜150℃、好ましくは60〜110℃で、理論イソシアネート%となるまで反応させて末端イソシアネートのプレポリマーを製造し、これを中和剤で水中に乳化した後、化合物bにより(必要に応じてポリアミンを併用して)プレポリマーを鎖伸長してイソシアネート基が殆どなくなるまで反応させ、必要に応じて脱溶剤工程を経て本発明の樹脂を得ることができる。このように化合物bを使用することにより、本発明の樹脂中に水酸基が導入できる。
本発明では、ウレタン合成において、必要に応じて触媒を使用できる。例えば、触媒として、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレート、スタナスオクトエート、オクチル酸亜鉛、テトラn−ブチルチタネートなどの金属と有機および無機酸の塩、および有機金属誘導体、トリエチルアミンなどの有機アミン、ジアザビシクロウンデセン系触媒などが挙げられる。
なお、本発明では、ウレタン合成は、無溶剤で行っても、必要であれば有機溶剤を用いて行ってもよい。有機溶剤として好ましい溶剤としては、イソシアネート基に対して不活性であるか、またはイソシアネート基に対して活性水素含有基よりも低活性なものが挙げられる。例えば、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、芳香族系炭化水素溶剤(トルエン、キシレン、スワゾール(コスモ石油株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)、ソルベッソ(エクソン化学株式会社製の芳香族系炭化水素溶剤)など)、脂肪族系炭化水素溶剤(n−ヘキサンなど)、アルコール系溶剤(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、エーテル系溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなど)、グリコールエーテルエステル系溶剤(エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネートなど)、アミド系溶剤(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ラクタム系溶剤(N−メチル−2−ピロリドンなど)が挙げられる。これらの内、好ましくは、回収、ウレタン合成時の溶解性、反応性、沸点、水への乳化分散性を考慮すれば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、およびテトラヒドロフランなどが好ましい。
本発明では、ウレタン合成工程においては、ポリマー末端に、イソシアネート基が残った場合、イソシアネート末端の停止反応を加えても良い。例えば、モノアルコールやモノアミンのように単官能性の化合物ばかりでなく、イソシアネートに対して異なる反応性をもつ2種の官能基を有するような化合物であっても使用することができ、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどのモノアルコール;モノエチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミンなどのモノアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが挙げられ、このなかでもアルカノールアミンが反応を制御しやすいという点で好ましい。
本発明の樹脂を製造する場合には、それぞれ前記の化合物aを0.01〜30質量%、好ましくは1〜15質量%と、化合物bを0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜15質量%と、化合物cを10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%と、化合物d0.01〜50質量%、好ましくは1〜15質量%を(但し、これらの反応成分の合計量は100質量%であり、各成分の量はその合計量が100質量%になる組み合わせである)の割合で使用する。これらの反応成分a〜dと化合物eとを、これらの反応成分中の全活性水素含有基とイソシアネート基とがNCO/OH=0.9〜1.1、好ましくは等モル(但し化合物bの水酸基は含まない)となるように、必要により適当量の鎖伸長剤(目的の分子量となる量の)の存在下に反応させる。その後に、前記の如き中和剤で水中、好ましくはイオン交換水中に分散して自己乳化型の安定した水系ウレタン樹脂とされる。
このようにして得られる本発明の樹脂の分子量は、数平均分子量(GPCで測定。標準ポリスチレン換算。)が2,000〜500,000の範囲が好ましい。
上記の原料成分のうち化合物c以外の化合物が全て2個の活性水素含有基を有する化合物である場合、本発明の樹脂の構造式は、下記の一般式で表される。一般式中のA〜D単位は以下の通りである。また、a〜dは各単位の含有割合であり、各単位を構成する前記各化合物a〜dの使用量と、反応した化合物eの量から算出される。
・A単位:化合物aから導入された単位。
・B単位:化合物bから導入された単位。
・C単位:化合物cから導入された単位。
・D単位:化合物dから導入された単位。
化合物eのセグメントを除く本発明の樹脂の構造式
−(A)a−(B)b−(C)c−(D)d− (1)
a〜dは各単位の含有割合である。aは0.01〜30質量%、好ましくは1〜15質量%、bは0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜15質量%、cは0.01〜50質量%、好ましくは1〜15質量%、dは10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%である(但し、これらの反応成分の合計量は100質量%であり、a〜dはその合計が100質量%になる組み合わせで選ばれる。)。
本発明の樹脂の製造に当たり、必要に応じて添加剤を加えてもよい。例えば、酸化防止剤(ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系など)、光安定剤(ヒンダードアミン系など)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系など)、ガス変色安定剤(ヒドラジン系など)、金属不活性剤などやこれら2種類以上が挙げられる。
次に、本発明に使用する粒子Cは、粒子Aを被覆している前記粒子Bが、溶媒に対して溶媒和されている部分と非溶媒和部分とから構成されており、非溶媒和部分の粒子径が0.01μm〜1.0μmであること、前記粒子Bが、油脂変性ポリオールと化合物e’とポリアミンとの反応で得られる粒子であって、非溶媒和部分がウレア結合の水素結合からなっていることが好ましく、また、前記粒子Cは、その粒子径が0.5〜100μmの範囲であることが好ましい。
さらに、粒子Cは、[円形度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影の周囲長]で示される円形度が0.9〜1.0であることが好ましい。ここで円形度は、株式会社セイシン企業の粒子形状画像解析装置PITA−1により上記式で算出されるものであり、円形度を円相当径(実際に撮像された周囲長と同じ投影面積を持つ真円の直径)から算出された周囲長を実際に撮像された粒子の周囲長で割った値として定義し、真円で1になり、形状が複雑になるほど小さい値となる。このため、円形度は0.9以上の極めて球状性が高い粒子が好ましく、粒子を水などに分散した分散体は、電荷的反発により、極めて安定的に分散しており、製品に使用した際には分散安定性、増粘効果を有する。なお、円形度が0.9より小さい粒子Cの場合には球形でなくなり、安定的な分散性を喪失するとともに、該粒子Cを含む塗料は塗装適性の低下や塗膜面の平滑性に不具合が生じる。
さらに、粒子Cの圧縮強度は0.01から50MPaであり、回復率が50から100%の範囲であることが好ましい。圧縮強度において、粒子Cは、粒子Aが粒子Bによって被覆されたポリウンタンゲル粒子であることから、0.01MPa以上で十分なさらさら感を得ることができ、塗膜強度、環境対応性(耐光性、耐熱性、耐水性)の観点から粒子Cの圧縮強度は50MPa以下が好ましい。
さらに、粒子Cの回復率は、圧力により変形した場合、力が解放されると同時に、元の形状に復元することが求められ、粒子Cの弾性、変形回復性があることで耐チッピング性が向上することから、50から100%の範囲であることが好ましい。ここで圧縮強度および回復率とは、樹脂粒子を株式会社島津製作所の微小圧縮試験機MCT−W500にて圧縮試験を行った場合に、粒子径に対して10%変形した時の荷重と粒子径から式[圧縮強度(MPa)=2.8×荷重(N)/{π×粒子径(mm)×粒子径(mm)}]によって算出される値である。
さらに、粒子Cの回復率は、粒子に50mNの圧力をかけ、変位した距離(L1)と圧力を解放した時に変位した距離(L2)から式[回復率(%)=L2/L1×100]によって計算される値である。なお、粒子Cの圧縮強度および回復率は、粒子Aの構成成分である化合物e’および化合物c’の種類と配合量を制御することにより調節できる。
さらに、粒子Cの熱軟化点は、200℃以上であることが好ましい。熱軟化点が低いと粒子Cを含む塗料を焼付け工程する際に140℃〜180℃環境下30分程度で加工するため、高温で粒子Cが溶融するなどの不具合が起こることがある。粒子Cの熱軟化点は熱機械分析装置(TMA、リガク(株))を用い、粒子と同じ樹脂組成のシートを作製し測定を行った。
以上の粒子Cは、その原料である化合物e’と化合物c’とを、後述のポリウレアコロイド溶液(粒子Bの分散液)を分散剤として、不活性溶媒中に乳化分散させて重合することで得られる。この際、上記ポリウレアコロイド溶液が、原料である化合物e’と化合物c’とを不活性溶媒中に容易に粒子状に乳化すること、およびこの状態で化合物e’と化合物c’とを重合反応して、粒子Aを生成し、生成した粒子Aの周囲には、上記ポリウレアコロイド溶液から析出した粒子Bが均一に付着しており、粒子Cを分散溶媒から分離した状態において、粒子Aが上記粒子Bによって均一に被覆されている。
さらに、従来の粒子AまたはCの合成過程においては、通常著しい粘度上昇が発生するが、ポリウレアコロイド溶液の存在下に上記粒子Aを合成すると、合成過程において重合液の著しい粘度上昇は発生せず、生成した粒子Cが凝集することなく、優れた分散安定性を維持するという特徴がある。この作用は従来公知の有機系乳化剤や分散安定剤とは根本的に異なる作用である。
本発明で使用する粒子Cは上記方法によって得られるが、好ましい方法は、ポリウレアコロイド溶液を、撹拌機や乳化機付きのジャケット式合成釜中の不活性溶媒中に仕込み、この中に少なくともいずれか一方が3官能以上である、化合物e’と化合物c’とを不活性溶媒溶液に添加および乳化し、これらの合成原料を反応させて粒子Cを合成する方法や、少なくとも一方が3官能以上である、化合物e’と化合物c’とを夫々別個に、ポリウレアコロイド溶液の存在下に不活性溶媒中に乳化させ、これらを反応させる方法などが挙げられる。
上記合成方法における合成温度は特に限定されないが、好ましい温度は40℃〜140℃である。また、合成時に使用するポリウレアコロイド溶液は、その固形分としての使用量は、少なくともいずれか一方が3官能以上である化合物e’と化合物c’夫々100質量部当たり0.01質量部以上を使用することができ、好ましくは0.1〜20質量部である。使用量が0.01質量部未満では生成する粒子Cの安定性が不十分で、合成過程で粒子Aの大きい凝集塊が発生し、目的とする粒子Cの分散体が得難い。一方、使用量が20質量部を越えると、化合物e’および化合物c’の乳化性には問題はなく、粒子Cの分散体は製造することができるが、乳化剤としての作用として過剰な量であり特に利点はない。
化合物e’と化合物c’との不活性溶媒中における濃度は、低い程小さい粒径の粒子Cが得られ易いが、生産性から好ましい濃度は20〜70質量部である。
粒子Aの合成に使用される化合物c’としてのポリオールとしては、好ましくはポリウレタンの製造に従来から使用されている短鎖ジオール、多価アルコールおよび高分子ポリオールなどの従来公知のものが、また、化合物c’としてのポリアミンとしてはポリウレタンの製造に従来から使用されている短鎖ジアミン、高分子ポリアミンなどが使用できるが、これらは特に限定されない。以下に使用するそれぞれの化合物について説明する。化合物c’は前記化合物cと同じであり、化合物e’は前記化合物eと同じであり、さらに下記の化合物e’が挙げられる。
化合物eのイソシアヌレート体、ビューレット体、アダクト体、ポリメリック体とした多官能のイソシアネート基を有するもので従来から使用されている公知のものが使用でき特に限定されない。例えば、2,4−トルイレンジイソシアネートの二量体、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス−(p−イソシアネートフェニル)チオフォスファイト、多官能芳香族イソシアネート、多官能芳香族脂肪族イソシアネート、多官能脂肪族イソシアネート、脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。
これらのうち、芳香族系或いは脂肪族系のどちらでも使用可能であり、好ましくは芳香族系ではジフェニルメタンジイソシアネートおよびトリレンジイソシアネート、脂肪族系ではヘキサメチレンジイソシアネートおよびイソホロンジイソシアネートなどの変性体であり、分子中にイソシアネート基を3個以上含むものが好ましく、前記化合物eの多量体や他の化合物との付加体、さらには低分子量のポリオールやポリアミンとを末端イソシアネートになるように反応させたウレタンプレポリマーなども好ましく使用される。それらを下記に構造式を挙げて例示するが、これらに限定されるものではない。
上記の化合物e’と化合物c’との種類、使用量および使用比率は、得られる粒子Cの使用目的によって決定されるが、いずれか一方の成分が3官能以上であることが必要である。例えば、化合物e’が2官能である場合には、化合物c’が3官能以上であり、また、化合物c’が2官能である場合には、3官能以上の化合物e’が必要であり、使用目的に応じて使用する官能基数を使い分ける。勿論、全ての成分が3官能以上であってもよい。また、NCO/OH比は、使用する前記原料と得られる粒子Cに要求される性能によって決定されるが、好ましくは0.5〜1.2の範囲である。
上記粒子Cの合成反応に使用し、生成する粒子Cの分散体の連続相を形成する不活性溶媒は、生成する粒子Aに対して実質的に非溶媒でありかつ活性水素含有基を有しないものである。その例として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、石油スピリット、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、脂環族炭化水素の構造を有するエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの炭化水素、ジメチルポリシロキサンなどの単独または混合物が挙げられ、これらの不活性溶媒は、該不活性溶媒と合成された粒子Cの分離工程の生産性の点からは150℃以下の沸点を有するものが好ましい。前記粒子Aの合成に際しては公知の触媒を使用すれば低温でもよいが、作業面から40℃以上の反応温度が好ましい。
上記粒子Aの合成時に乳化剤として使用するポリウレアコロイド溶液中の粒子Bは、溶媒に対して溶媒和されている部分と非溶媒和部分とから構成されており、非溶媒和部分の粒子径が好ましくは0.01μm〜1.0μmの粒子であり、かかるポリウレアコロイド溶液は、例えば、非水溶媒中で、油脂変性ポリオールと化合物e’(またはこれらの化合物からなる末端NCOプレポリマー)とポリアミンとの反応で得られる。
この反応では、反応が進むにつれて、ウレア結合同士の水素結合により、溶媒中に不溶解のウレアドメインが形成され、同時に油脂変性ポリオール鎖が溶媒中で溶媒和されることにより、非溶解性のウレアドメインの凝集などによる粒子Bの巨大化が防止され、安定なポリウレアコロイド溶液が容易に得られる。
さらに、使用する油脂変性ポリオールが、非水溶媒中での結晶性が少なく、反応が進むにつれて生じる高分子化の過程でも、溶媒中で油脂変性ポリオールを主体とするポリマー鎖がある程度自由に動き得るために、非溶解性結晶部分と溶解性非結晶部分の分離が容易に行われ、ウレア結合同士の水素結合による非溶解性結晶部分を粒子Bの中心とするウレアドメインを形成し、その周囲に溶媒和されたポリマー鎖が規則正しく外向きに配向される。これは従来のミセル下に重合することにより得られる公知のコロイド溶液の製造方法における界面活性剤とは根本的に異なる作用である。
上記ポリウレアコロイド溶液の製造方法をさらに具体的に説明する。先ず、最初に油脂変性ポリオールと化合物e’とを非水溶媒中または無溶媒で反応させ、NCO基を有するプレポリマーを合成する。次にこのプレポリマーを撹拌機付きのジャケット式合成釜に仕込み、濃度が5〜70質量%になるように非水系溶媒を添加して濃度を調整する。この溶液を撹拌しながら、予め1〜20質量%の濃度に調整したポリアミンの溶液を徐々に添加し反応を行い、ポリウレア化反応においてポリウレアコロイド溶液を製造する。
ポリアミンの添加方法は、上記の方法の他にポリアミン溶液に前記プレポリマーまたはその溶液を添加する方法でもよい。ポリマー合成のための温度は特に限定されないが、好ましい温度は20〜120℃である。ポリマー合成のための反応濃度、温度、撹拌機の形態、撹拌力、ポリアミン溶液およびプレポリマーまたはその溶液の添加速度などは特に限定されないが、ポリアミンとプレポリマーのイソシアネート基との反応は速いので、急激な反応が行われないように、反応を制御することが好ましい。
ポリウレアコロイド溶液の製造に使用する油脂変性ポリオールは、官能基が2個以下のポリオールであって、好ましい分子量は700〜3,000であるが、これに限定されない。油脂変性ポリオールの具体例としては、例えば、各種の油脂を低級アルコールやグリコールを用いてアルコリシス化する方法、油脂を部分鹸化する方法、水酸基含有脂肪酸をグリコールによりエステル化する方法などによって、油脂に約2個以下の水酸基を含有させたものが好ましく、上記の水酸基含有脂肪酸としては、例えば、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヒマシ油脂肪酸、水添ヒマシ油脂肪酸などが挙げられる。
油脂変性ポリオールと化合物e’との反応は、1<NCO/OH≦2の条件で行い、溶媒和されるプレポリマー鎖の分子量をコントロールする。このように合成されるプレポリマーの分子量は、特に限定されないが、好ましい範囲は約500〜15,000である。上記で使用される化合物e’としては、公知の化合物e’の全てが挙げられる。特に好ましいものはヘキサメチレンジイソシアネート、水添加TDI、水添加MDI、イソホロンジイソシアネート、水添XDIなどの脂肪族または脂環族系ジイソシアネートである。
ポリウレアコロイド溶液の製造に使用する非水系溶媒としては、使用原料である油脂変性ポリオール、化合物e’およびポリアミンを溶解するもので、活性水素を有さない全ての非水系溶媒を使用することができる。特に好ましいものはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、石油ベンジン、リグロイン、石油スピリット、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、トルエン、キシレン、脂環族炭化水素の構造を有するエチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサンなどの炭化水素、ジメチルポリシロキサンなどの単独または混合物が挙げられる。なお、本発明において「溶解」とは常温および高温下での溶解の両方を包含する。
ポリウレアコロイド溶液の製造に使用するポリアミンとして、例えば、短鎖ジアミン、脂肪族系ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族系ポリアミンおよびヒドラジンなどが挙げられる。短鎖ジアミンおよび脂肪族系ポリアミンとしては、例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、トリメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミンおよびポリオキシプロピレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、フェニレンジアミン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルおよび4,4’−ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミン、シクロペンタンジアミン、シクロヘキシルジアミン、4,4−ジアミノジシクロヘキシルメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス−アミノプロピルピペラジン、チオ尿素、メチルイミノビスプロピルアミン、ノルボルナンジアミンおよびイソホロンジアミンなどの脂環式ジアミンなどが挙げられる。また、ヒドラジン、カルボヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドおよびフタル酸ジヒドラジドなどのヒドラジンが挙げられる。これらは単独で或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
ポリウレアコロイド溶液の製造に使用する油脂変性ポリオール、化合物e’、ポリアミン、得られるプレポリマーの種類、使用量および使用比率は、使用する溶媒中での粒子Bの大きさおよび安定性などを制御する目的で決定される。すなわち、前記のポリウレアコロイド溶液中の粒子Bは、溶媒中で溶媒和されない結晶部分のウレアドメインと、そのウレアドメインから伸びて溶媒中で溶媒和されたポリマー鎖により形成されている。
ポリウレアコロイド溶液中の粒子Bのウレアドメインの大きさおよび溶媒和されたポリマー鎖の大きさと形態がポリウレアコロイド溶液の性質を左右する。このように、ウレアドメインと溶媒和されたポリマー鎖とで形成された粒子Bは、溶媒中で安定なポリウレアコロイド溶液であり、その溶液中の粒子Bのウレアドメインの粒径は、通常0.01〜1.0μmであり、溶媒和されているポリマー鎖の1個の分子量は約500〜15,000であり、両者の質量比はウレアドメイン(ウレア結合またはポリアミン)/ポリマー鎖が0.5〜30の範囲が好ましい。ウレア結合の割合が上記範囲未満であると、得られる粒子B中の非溶媒和性ウレアドメインが形成されにくく、粒子Bが非水溶媒に溶解し易くなり、良好なポリウレアコロイド溶液が生成されない。一方、ウレア結合の割合が上記範囲を越えると、非溶媒和性ウレアドメインが大きくなり、得られるポリウレアコロイド溶液の安定性が低下し、粒子Bの凝集が生じ易くなる。
本発明で使用する粒子Bの溶媒中における形態は、図1に示すようなものと想像される。この粒子Bの粒径の制御については、溶媒和したポリマー部分とウレアドメインを含んだ粒子B全体の大きさと、溶媒和したポリマー部分とウレアドメインのそれぞれの大きさについて、両者ともに制御が可能である。なお、先に記載の粒子Bの粒径は、ウレアドメイン部分を表現している。
安定に制御されたポリウレアコロイド溶液を製造するためには、図1のように、溶媒和したポリマー部分とウレアドメイン部分が明瞭に相分離しているのが望ましく、そのためには溶媒和されるポリマー鎖と結晶部分のウレアドメインとが混在しないように製造することが必要である。このためには、合成過程で溶媒和したポリマー部分とウレアドメイン部分が分離しやすい合成条件が要求される。
ポリウレアコロイド溶液の合成は、NCO基を有するプレポリマーの溶液およびポリアミンの溶液の両方の濃度が低く、一方の溶液に他方の溶液を添加する添加速度が遅いほど良好な結果が得られ、撹拌はプロペラミキサー撹拌で充分である。また、原料溶液の濃度が高い場合や溶液の添加速度が速い場合には、ホモジナイザーなどの使用による高剪断力の混合を行いながら合成することが好ましい。反応温度は使用する溶媒の種類と、その溶媒に対するウレアドメインの溶解度により決まるが、好ましい温度は合成を制御し易い20〜120℃であるが、この温度範囲に特に限定されない。ウレアドメインの形成は合成過程で形成する方法、或いは高温で合成したものを冷却過程で形成する方法でもよい。
ポリウレアコロイド溶液中の粒子Bの重要な因子は、その表面基の種類および濃度であり、さらには不活性溶媒中における分散性と分散粒径である。すなわち、ポリウレアコロイド溶液の乳化剤としての作用は、W/O、O/O型の乳化剤であり、化合物e’、化合物c’の親水性、疎水性の強さと不活性溶媒との相関性で作用する。これらの条件を加味して検討を加えた結果として、化合物e’、化合物c’に対するポリウレアコロイド溶液の添加量の調整で、粒子Cの粒径をコントロールすることが可能であり、前記の範囲で添加量が多い程粒径は小さくなり、少ない程粒径が大きくなる。
以上の如き原材料から得られた粒子Cの分散溶液から、常圧または減圧下で不活性溶媒を分離することによって、前記の粒子Cが得られる。粒子化に用いる装置としてスプレイドライヤー、濾過装置付き真空乾燥機、撹拌装置付真空乾燥機、棚式乾燥機など公知のものがいずれも使用でき、好ましい乾燥温度は不活性溶媒の蒸気圧、ゲル粒子の軟化温度、粒径などに影響されるが、好ましくは減圧下40〜130℃である。
このようにして製造された粒子Cの粒径は、0.5μm〜100μmで円形度が0.9〜1.0の真球状である。粒径のコントロールは、ポリウレタンの組成が同一の場合、合成釜の乳化型式(プロペラ式、錨型式、ホモジナイザー、螺旋帯式など)および撹拌力の大小に左右されるが、特に不活性溶媒中の化合物e’と化合物c’の濃度、ポリウレアコロイド溶液の種類および添加量に影響される。化合物e’と化合物c’を乳化するための機械的撹拌や剪断力は乳化の初期段階で決定され、これが強力な程分散体の粒径が小さくなる。その後の撹拌および剪断力は大きくは影響しない。かえってその力が強すぎると分散体同士の凝集を促進することになり好ましくない。
また、本発明では、上記の粒子Cの製造に当たり、原料の少なくとも一部または全部に染料や顔料などの着色剤、アルミ、マイカ、パール、紫外線吸収および/または紫外線カット成分、酸化防止剤、安定剤、体質顔料などの各種添加剤を混合して、ポリウレタンの合成を行い種々の塗料用途に適した粒子Cを得ることも可能である。
これらの粒子Cは、図2の電子顕微鏡写真(倍率500倍)に示すように、ほぼ完全に真球状の粒子であり、図3の想像図に示す如く個々の粒子Aの表面にはポリウレアコロイド溶液から析出した粒子Bが付着或は被覆されており、かつ粒子Bが非粘着性と耐熱性に優れているため、該粒子Cを分散溶媒から単に除去するのみで極めて流動性に富んだ粒子Cとなり、粒子化に当たっては従来技術における如き煩雑かつコスト高な粉砕工程や分級操作を何ら要しないなどの種々の利点を有している。
次に、本発明で使用する架橋剤としては、ポリイソシアネート系架橋剤(ブロック型を含む)、メラミン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、無機系架橋剤、ラジカル重合系架橋剤((メタ)アクリロイル基含有架橋剤)、カチオン重合系架橋剤(エポキシ、オキセタン、ビニルエーテル系架橋剤)、シラノール架橋剤などが挙げられる。特に本発明では、ウレタン基および/またはカルボキシル基などの親水性基の反応性を利用した架橋方法が好ましいが、特に限定されない。
ウレタン基および/または水酸基を利用する架橋方法としては、例えば、ポリイソシアネート系架橋剤による架橋が挙げられるが、ポリイソシアネート系架橋剤としては、従来から使用されている公知のものが使用でき特に限定されない。例えば、水分散型多官能芳香族イソシアネート、水分散型多官能脂肪族イソシアネート、水分散型脂肪酸変性多官能脂肪族イソシアネート、水分散型ブロック化多官能脂肪族イソシアネートなどのブロック型ポリイソシアネート、水分散型ポリイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。これらのポリイソシアネート系架橋剤は、適量であれば塗膜と基材シートとの密着性が向上し有効であるが、使用量が多すぎると未反応イソシアネートが残留して問題となるため、本発明の樹脂100質量部に対して120質量部以下、好ましくは1〜50質量部の範囲内である。また、シラノール系架橋剤(シリル型架橋剤)においては自己縮合により塗膜性能が向上する。
親水性基、例えば、カルボキシル基を利用する架橋方法としては、エポキシ系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、オキセタン系架橋剤、ビニルエーテル系架橋剤または金属錯体系架橋剤などの従来から使用されている公知のものが使用でき、特に限定されない。例えば、エポキシ系架橋剤としては、「エピコート」(油化シェルエポキシ社製)などの従来公知の市販されているエポキシ樹脂が挙げられる。カルボジイミド系架橋剤としては、「カルボジライト」の商品名(日清紡社製)の市販品を入手して使用することができる。前記架橋剤は、カルボジイミド基とカルボキシル基が反応してN−アシルウレアを形成し塗膜性能が向上する。
また、オキサゾリン系架橋剤は、塗料の乾燥時における低温領域(80〜100℃)では反応が遅く、一方で熱処理時の高温領域で反応が完結するので塗料の1液仕様の場合に良好である。オキサゾリン系架橋剤としては、「エポクロス」の商品名(日本触媒社製)、WS−300、WS−500、WS−700、WS−R10などの市販品を入手して使用することができる。これらの架橋剤は、架橋剤のオキサゾリン基と樹脂のカルボキシル基が反応してアミドエステルを形成し架橋構造をとる。
オキサゾリン系架橋剤としては、Tg=−5〜90℃、オキサゾリン基当量=100〜400程度のものが使用できるが、特に好ましいのはTg=−5〜25℃(室温以下)、オキサゾリン基当量=200〜350のものである。Tgが上記範囲よりも低いとブロッキングの懸念があり、一方、Tgが上記範囲よりも高いと被膜に割れが発生する。また、オキサゾリン基当量が上記範囲よりも低いと架橋剤の添加量を増やさないと目的とする性能の効果が発現せず、一方、オキサゾリン基当量が上記範囲よりも高いと、オキサゾリン基が隣接して反応性が低下し、未反応のオキサゾリン基が残存する。これらのオキサゾリン系架橋剤は、本発明の樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部以下、好ましくは1〜40質量部の範囲内である。上記架橋剤の使用量が、上記範囲よりも低いと架橋剤の効果が得られず、一方、架橋剤の使用量が上記範囲よりも高いとブロッキングの発生、成膜性の低下およびコストアップとなる。
金属錯体系架橋剤としては、チタン有機化合物系、「オルガチックス」の商品名(松本製薬工業社製)で市販されているジルコニウム有機化合物系が入手可能であり、アルミニウム、クロム、コバルト、銅、鉄、ニッケル、バナジウム、亜鉛、インジウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、イットリウム、セリウム、ストロンチウム、パラジウム、バリウム、モリブデニウム、ランタン、「ナーセム」の商品名(日本化学産業社製)で市販されているスズのアセチルアセトン錯体が入手して使用できる。オキセタン系架橋剤としては、「エタナコール」の商品名(宇部興産社製)の市販品を入手して使用することができる。ビニルエーテル系架橋剤としては、BASF社、アイエスピー・ジャパン社、丸善石油化学社、日本触媒社など、市販品を入手して使用することができる。前記架橋剤は、カチオン重合で反応したり、マイケル付加反応にてアルコキシエステル体を形成する。
また、シランカップリング架橋剤としては、「KBM−、KBE−シリーズ」の商品名(信越化学社製)で市販されている。これらの架橋剤は、適量であれば耐久性の向上に特に有効であるが、使用量が多すぎると著しい可使時間の短命化や被膜の脆化を引き起こすため、該ポリウレタン系樹脂100質量部に対して40質量部以下、好ましくは0.5〜20質量部の範囲内の使用が好ましい。
また、カチオン重合系架橋剤であるビニルエーテル系架橋剤は、ウレタン基やカルボキシル基と反応することが可能である。無論、電子線を照射することで硬化することができる。
本発明の塗料は、無溶剤で調製してもよいが、好ましくは水系媒体中、より好ましくは、イオン交換水中に前記本発明の樹脂および前記水系架橋剤を添加して溶解または分散することで得られる。該塗料固形分中における前記成分の含有量は、本発明の樹脂が、10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、および架橋剤が0.1〜50質量%、好ましくは1〜40質量%である。なお、調製した塗料の固形分は、特に限定されないが、通常、5〜100質量%程度である。
さらに意匠性付与剤(有機微粒子、無機微粒子)、抗菌剤、防黴剤、難燃剤やその他の添加剤を適宜使用することができる。有機微粒子、無機微粒子としては、例えば、シリカ、シリコーン変性ウレタン系樹脂微粒子、ナイロン系樹脂微粒子、エステル系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子、フッ素系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子、シリコーン変性ウレタン樹脂微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、反応性シロキサンなどを含み得る。
本発明で使用される前記のウレタン樹脂以外の被膜形成成分は、特に限定されない。例えば、従来公知のシロキサン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂の使用量は特に限定されないが、通常、該ポリウレタン樹脂100質量部に対して900質量部以下、好ましくは5〜400質量部の範囲である。
なお、本発明で塗料の表面処理層を形成する場合には、前記本発明の樹脂を被膜形成成分として含む表面処理層形成塗料を使用する。該塗料は、イオン交換水で調整したものでもよいし、少量の有機溶剤を用いて調製したものでもよい。有機溶剤として好ましいのは、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなども使用することができる。イオン交換水や有機溶剤を用いて調製した塗料の固形分は、特に限定されないが、通常、3〜45質量%程度である。
次に合成例、実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、文中「部」または「%」とあるのは特に断りのない限り、質量基準である。
[合成例1〜6:本発明および比較例の樹脂の合成]
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管、マンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、化合物a、化合物c、鎖伸長剤(短鎖ジオール成分)、化合物dおよびアセトン(不揮発分が70%となる量)を加えた。続いて化合物eとして所定量のヘキサメチレンジイソシアネートを加えて80℃にてジブチルチンジラウレートを触媒として樹脂のNCO%が理論値となる迄反応を行った。次いで、得られた反応物を50℃に冷却し、固形分に対し30%となるイオン交換水と中和剤としてトリエチルアミンを所定量加え、攪拌条件下で系内を均一になる迄乳化させた。得られたウレタン水分散体に化合物bとポリアミンを各々等質量の水で希釈し加え、ウレタン水分散体のNCO基と反応させた。反応は赤外吸収スペクトルで2,270cm-1の遊離イソシアネート基による吸収が消失する迄行った。最後に、系内のアセトンを真空脱気して回収した。
註)
化合物a
・DMPA:ジメチロールプロパン酸
化合物c
PCD:
・プラクセルCD220:ポリカーボネートジオール(ダイセル化学工業社製、平均分子量2,000)
化合物d
・S−1:(片末端ポリシロキサンジオール、nは整数、平均分子量3,000)
・S−2:(両末端ポリシロキサンジオール、nは整数、平均分子量1,900)
TEA:トリエチルアミン
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
EDA:エチレンジアミン
[合成例7:ミクロポーラス層用ウレタン系樹脂の合成]
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管およびマンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、カーボネートジオール(水酸基価=56)150部、エチレングリコール10部および1,4−ブチレングリコール10部を所定量のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、溶液濃度を調節した。続いて4,4’−メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)を所定量(NCO/OH=1.0)加えて80℃で反応を行い、IRスペクトルにてNCO%が消失するまで反応を行ってミクロポーラス層用の高分子量タイプのウレタン系樹脂溶液(A−1)を得た。該溶液は不揮発分30%、粘度1,200dPa・sであった。
[合成例8;無溶剤型反応性ウレタン接着剤]
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素吹き込み管およびマンホールを備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、アジピン酸20部、テレフタル酸30部および1,6−ヘキサンジオール53部を仕込み210℃まで昇温を行った。反応は200℃到達時点より3時間行った。100℃まで冷却後、所定量(NCO/OH=2.0)のイソホロンジイソシアネートを加え、さらに3時間行った。得られた反応型ウレタン変性エステル樹脂は、不揮発分100%、融点93℃であった。これを接着剤用ウレタン変性反応型エステル樹脂とする。
(ポリウレアコロイド溶液の作成)
[合成例9]
水酸基価119.5の2官能の油脂変性ポリオール(伊藤製油(株)製 URIC Y−202)100部とn−オクタン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み上記ポリオールを溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=2になるように予め用意したイソホロンジイソシアネート47.3部を1時間かけて徐々に添加し、この条件で3時間反応を続け、さらに80℃、3時間の反応を行い合成した。次にn−オクタンで濃度50%に調整し、NCO基を3.0%含有するプレポリマー溶液(PP−1)を得た。この物の分子量は1,383である。
上記のPP−1の40部と、n−オクタン60部を撹拌機付き合成釜に仕込み溶解した。撹拌しながら温度を70℃に制御しながら、予め用意したイソホロンジアミンのn−オクタンの10%溶液24.3部を5時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン(ウレア結合部)/プレポリマー鎖)×100=12.15%のポリウレアコロイド溶液(固形分18.0%)(B−1)を得た。この溶液は青い乳光色の安定な溶液であった。
[合成例10]
水酸基価119.5の2官能の油脂変性ポリオール(伊藤製油(株)製 URIC Y−202)100部とn−オクタン100部とを撹拌機付き合成釜に仕込み上記ポリオールを溶解した。撹拌しながら温度を50℃に制御し、NCO/OH=1.1になるように予め用意したイソホロンジイソシアネート26.0部を1時間掛けて徐々に添加し、この条件で3時間反応を続け、さらに80℃、4時間の反応を行い合成した。次にn−オクタンで濃度50%に調整し、NCO基を0.36%含有するプレポリマー溶液(PP−2)を得た。この物の分子量は11,834である。
上記のPP−2の20部とn−オクタン80部とを撹拌機付き合成釜に仕込み上記プレポリマーを溶解した。撹拌しながら温度を70℃に制御しながら、予め用意したイソホロンジアミンのn−オクタンの1%溶液14.4部を8時間掛けて徐々に添加し反応を完結して、(ポリアミン/プレポリマー鎖)×100=1.44%のポリウレアコロイド溶液(固形分8.9%)(B−2)を得た。この溶液は青い乳光色の安定な溶液であった。
(ポリウレタンゲル粒子Cの製造)
[合成例11]
平均分子量1,000のポリブチレンアジペート20部を60℃で溶解し、さらに下記の構造式で示されるヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレートポリイソシアネート(旭化成工業(株)製 デュラネートTPA−100、NCO%=23.1)7.3部を添加し均一に混合した。この物を予め1リットルのステンレス容器に準備した合成例9のポリウレアコロイド溶液(B−1)5.0部とn−オクタン25部の混合液の中に徐々に加え、ホモジナイザーで15分間乳化した。この乳化液は分散質の平均分散粒子径が5μmで分離もなく安定な乳化液であった。
次にこれを錨型撹拌機付き反応釜に仕込み、400rpmの回転をさせながら温度を80℃まで上げ、6時間の反応を終了しポリウレタンゲル粒子(粒子C)の溶液を得た。この溶液を100Torrで真空乾燥を行ってn−オクタンを分離し粒子C−1を得た。このものは平均粒子径が5μmで円形度が0.92の真球状の白色粉末状であった。圧縮強度は、0.35MPaで回復率は89%であった。
[合成例12]
500ミリリットルのセパラブルフラスコに、ポリウレアコロイド溶液(B−2)4部とイソオクタン150部とを仕込み混合した。次にこの液をホモミキサーで混合しながら予め50℃に加温した平均分子量785の3官能のポリラクトンポリオール100部を徐々に添加して乳化させた。さらに下記の構造式で示されるヘキサメチレンジイソシアネートアダクトポリイソシアネート(旭化成工業(株)製 デュラネート24A−100、NC0%=23.5)68.3部を徐々に添加した。
次にホモミキサーを回転しながら、温度を80℃に上げ、3時間の反応後に反応触媒としてジブチル錫ジラウレート0.005部を加え、さらに4時間の反応を行ない、粒子Cの分散液を得た。この分散液から前記と同様にして粒子C−2を得た。このものは平均粒子径が15μmで円形度が0.94の真球状の白色粉末状であった。圧縮強度は、0.60MPaで回復率は92%であった。
塗料配合例1〜8(塗料の作成例)
下記表2の配合で実施例および比較例で使用する塗料配合例1〜8を調製した。
水系架橋剤、着色剤;
・X;カルボジライトV−02(日清紡社製、カルボジイミド系架橋剤)
・Y;エポクロスWS−500(日本触媒社製、オキサゾリン系架橋剤)
・Z;WB40−100(旭化成ケミカルズ社製、水分散型イソシアネート)
・着色剤;セイカセブンDW−794ブラック(大日精化工業社製、水分散型着色剤)
実施例1(天然皮革用表面処理剤;光沢調)
牛革の原皮を塩漬けにし、塩分や汚物を洗い流し生皮の状態とし、消石灰を用いて脱毛処理を行った。さらにタンニンなめし剤を加えて処理した後、革の裏面をシェービングして厚さを揃え、規定の柔らかさ、肌、色などを出すために、染料や油脂などを加えて処理した後に水洗、乾燥してベースとなる天然皮革シートを作製した。前記天然皮革シート上に塗料配合例2をスプレー塗装(塗布量;10μm・dry)し、100℃で120秒間乾燥し、柔軟で深みのある艶を表現した天然皮革シートを作製し、得られたシートについて各種評価試験を行った。
実施例2(天然皮革用表面処理剤;光沢調)
実施例1の前処理工程を行った天然皮革シート上に塗料配合例4をスプレー塗装(塗布量;10μm・dry)し、100℃で120秒間乾燥し、耐摩耗性が良好かつ深みのある艶を表現した天然皮革シートを作製し、得られたシートについて各種評価試験を行った。
実施例3(天然皮革用表面処理剤;マット調)
実施例1の前処理工程を行った天然皮革シート上に塗料配合例3をスプレー塗装(塗布量;10μm・dry)し、100℃で120秒間乾燥し、柔軟かつ摩耗性が良好なマット調を表現した天然皮革シートを作製し、得られたシートについて各種評価試験を行った。
実施例4(TPOシート用表面処理剤)
コロナ処理をした硬度(JIS−A)75のオレフィン系熱可塑性(TPO)プライマー処理(易接着処理)したシート上に、塗料配合例3をスプレー塗装した後に、90℃90秒間乾燥して得たシートを、さらに、230℃に加温したロールで(表面側;塗装済み原反/未処理原反/未処理原反;裏側)のシートをラミネートして積層シートを作製する。さらに、シボ(模様)の入った金型を220℃、10秒間の条件下で雌引き成型して得られた成型物について各種評価試験を行った。
実施例5(TPOシート用表面処理剤)
コロナ処理をした硬度(JIS−A)75のオレフィン系熱可塑性(TPO)プライマー処理(易接着処理)したシート上に、塗料配合例5をグラビアコーティングで塗工した後に、90℃90秒間乾燥して得たシートを、さらに、220℃に加温したシボ(模様)の入ったエンボスロールで皮革調の模様を付けた後に、金型を160℃、10秒間の条件下で雄引き成型して得られた成型物について各種評価試験を行った。
実施例6(プラスチック部材用表面処理剤)
金型成形した部材に、塗料配合例6に記載の水系艶消し塗料をスプレー塗装し90℃90秒間乾燥して得られた成型物について各種評価試験を行った。
実施例7(合成擬革の表面層)
生地上に、ミクロポーラス層用ウレタン系樹脂(合成例7;A−1)100部に対し、DMF100部で希釈した配合液を1,000g/m2・Wet塗布し、凝固層(DMF/水=5/95)で10分間凝固させ、水洗浄/マングルを通して脱DMF工程を5回経た後に130℃、10分間乾燥してミクロポーラス層を仕上げたものに、塗料配合例1を膜厚40μmとなる量を塗布し120℃、3分間乾燥して作製して得られた成型物について各種評価試験を行った。
・DMF溶剤は、回収装置にて全て回収されるシステムを採用した。
実施例8(合成擬革の表面処理用処理剤)
実施例7で作製したシート上に、塗料配合例6をグラビアコーティングで塗工した後に、90℃90秒間乾燥して得たシートについて各種評価試験を行った。
実施例9(合成擬革の表面層)
離型紙上に、塗料配合例1を塗布(20μm・Dryとなる量)乾燥後(120℃、3分間乾燥)、あらかじめ100℃に加温しておいた合成例8の接着剤組成物を塗布(120μm・Dryとなる量)後、塗布したものと生地をラミネーターにて貼り合わせ、40℃で2日間熟成して合成擬革を作製したシートについて各種評価試験を行った。
・離型紙転写:離型紙は、EV130 TPD−R8(リンテック社製)
実施例10(合成擬革の表面処理用処理剤)
実施例9で作製したシート上に、塗料配合例6をグラビアコーティングで塗工した後に、90℃90秒間乾燥して得たシートについて各種評価試験を行った。
比較例1(天然皮革用表面処理剤;光沢)
実施例1と同様に前処理工程を行った天然皮革シート上に塗料配合例7をスプレー塗装(塗布量;10μm・dry)し、100℃で120秒間乾燥し天然皮革シートを作製し得られたシートについて各種評価試験を行った。
比較例2(天然皮革用表面処理剤;光沢)
実施例1と同様に前処理工程を行った天然皮革シート上に塗料配合例8をスプレー塗装(塗布量;10μm・dry)し、100℃で120秒間乾燥し天然皮革シートを作製し得られたシートについて各種評価試験を行った。
比較例3
実施例4と同様の試験を、塗料3中のパウダー分を市販ウレタンビーズにて置き換えたもので各種評価試験を行った。
パウダー分:アートパールP−800T 平均粒径7μm、(根上工業株式会社製)
ここで、各試験項目の内容と評価基準とを示す。
<VOC対策>
○;使用溶剤が0の場合
△;5%未満
×;5%以上
<外観>
○;見ための感性がよく、天然皮革調に近いもの
×;そうでないもの
<風合い>
○;ボリューム感がありソフトなもの
△;ややハードなもの
×;ハードなもの
<耐加水分解性>
ジャングル試験(温度:70℃、相対湿度95%、3週間)後の基材との接着強度を測定し、初期強度と比較した。
○;保持率が70%以上
△;69〜40%
×;40%未満
<耐光性>
サンシャインウェザオメーター試験(温度:63℃、水無、120時間)後の基材との接着強度を測定し、初期強度と比較した。
○;保持率が70%以上
△;69〜40%
×;40%未満
<耐熱性>
ギァオーブンにて試験を実施し、温度は、120℃、150時間後の基材との接着強度を測定し、初期強度と比較した。
○;保持率が70%以上
△;69〜40%
×;40%未満
<接着性試験>
塗布した面々を接着剤にて貼り合せた試験片を、新東科学(株)製のHEIDON−14DRを使用して180度剥離力を測定した。
○;1.2kg/cm以上
△;0.8kg/cm以上1.2kg/cm未満
×;1kg/cm未満
<耐寒屈曲>
フレキソ試験機にて0℃、屈曲回数2万回試験を行った。
○;変化ないもの
△;若干の亀裂があるもの
×;亀裂がひどいもの
<耐磨耗性試験>
塗布した面を、平面摩耗試験機を使用して、6号帆布、荷重500gにて外観変化するまでの摩耗回数を測定した。
○;2000回以上
△;1000〜2000回未満
×;1000回未満
以上のように、本発明によれば、天然皮革、合成擬革、人工皮革などの擬革、TPO、スラッシュ成型用熱可塑性ポリウレタンおよび塩化ビニル樹脂などのプラスチックシート状物、各種フィルム、プラスチック成型物、ゴム成型物、布、紙、木、金属など、あらゆる部材の表面に、耐摩耗性、基材密着性、柔軟性、耐薬品性、耐油性、滑り性、屈曲性、低温特性、レベリング性、耐久性(耐候性、耐熱性、耐加水分解性)および防汚染性などの性能を有する被膜を与えるウレタン樹脂および塗料が提供される。
本発明で使用するポリウレアコロイド溶液中のポリウレアコロイド粒子Bの断面の想像図。 本発明で使用するポリウレタンゲル粒子Cの写真。 本発明で使用するポリウレタンゲル粒子Cの断面の想像図。
1:溶媒和されているポリマー鎖(油脂セグメント)
2:非溶媒和部分のウレアドメイン
3:ポリウレタンゲル粒子A
4:ポリウレアコロイド粒子B

Claims (14)

  1. N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸またはその誘導体、ジメチロールプロパン酸またはジメチロールブタン酸およびそれらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)或いはγ−カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量500未満)、酸無水物とグリセリンから誘導されるハーフエステル類、水酸基と不飽和基を含有するモノマーとカルボキシル基と不飽和基を含有するモノマーとをフリーラジカル反応により誘導される化合物からなる群より選択されるいずれか1種の、分子内に少なくとも1個の活性水素含有基である水酸基と、水酸基以外の親水性基であるスルホン酸基またはカルボン酸基を有する化合物(化合物a)からなるセグメントの含有量が0.01〜30質量%と、
    2−(ヒドロキシメチルアミノ)エタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、4−メチルアミノブタノール、2−ヒドロキシエチルアミノプロパノール、ジエタノールアミノプロピルアミン、1−アミノプロパンジオール、1−(メチルアミノ)プロパンジオール、N−メチルジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、N−(β−アミノエチルエタノールアミン)、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン、3−ピペラジンメタノール、2−ピペラジンエタノールおよび4−ピペラジノールからなる群より選択される少なくともいずれか1種の、分子内に少なくとも1個の水酸基と少なくとも1個のアミノ基とを有するアミノアルコール(化合物b)からなるセグメントの含有量が0.01〜30質量%と、
    上記化合物b及び下記化合物d以外の、ポリオールおよび/または短鎖ジアミン、脂肪族系ジアミン、芳香族系ジアミンおよびヒドラジンからなる群より選択される少なくともいずれか1種のポリアミン(化合物c)からなるセグメントの含有量が10〜80質量%と、
    活性水素含有基を少なくとも1個有するポリシロキサン(化合物d)からなるセグメントの含有量が0.01〜50質量%(但し、化合物a〜dの合計は100質量%とし、上記化合物a〜dの数値は、その合計が100質量%になる組み合わせで選ばれる)と、
    ポリイソシアネート(化合物e)とを、
    全活性水素含有基とイソシアネート基とをNCO/OH=0.9〜1.1のモル比(但し前記化合物bの水酸基は含まない)で反応させ、且つ、前記化合物aと、前記化合物cと、前記化合物dと、前記化合物eとを反応させて得られる末端イソシアネートプレポリマーに、前記化合物bを反応させてなる、
    数平均分子量が2,000〜500,000の樹脂であって、同一分子中に少なくとも水酸基と親水性基とを含有することを特徴とするシロキサン変性ウレタン樹脂。
  2. 前記化合物bに、さらに必要に応じてポリアミンを併用して反応させてなる請求項1に記載のシロキサン変性ウレタン樹脂。
  3. 前記化合物aが、ジメチロールプロパン酸またはジメチロールブタン酸、およびそれらのアルキレンオキシド低モル付加物(数平均分子量500未満)或いはγ−カプロラクトン低モル付加物(数平均分子量500未満)からなる群より選択されるいずれか1種のカルボン酸系化合物である請求項1又は2に記載のシロキサン変性ウレタン樹脂。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシロキサン変性ウレタン樹脂の製造方法であって、
    前記化合物aと、前記化合物cと、前記化合物dと、前記化合物eとを反応させ、末端イソシアネートプレポリマーを製造後に、前記化合物bを反応させることを特徴とするシロキサン変性ウレタン樹脂の製造方法。
  5. 前記末端イソシアネートプレポリマーを製造後に、これを中和剤で水中に乳化し、その後、前記化合物bにより該プレポリマーを鎖伸長してイソシアネート基が殆どなくなるまで反応させる請求項3に記載のシロキサン変性ウレタン樹脂の製造方法。
  6. 前記化合物bに、さらに必要に応じてポリアミンを併用して反応させる請求項4又は5に記載のシロキサン変性ウレタン樹脂の製造方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のシロキサン変性ウレタン樹脂を含有してなることを特徴とする塗料。
  8. さらに、他の被膜形成成分を含む請求項に記載の塗料。
  9. さらに、少なくともいずれかの化合物が3官能以上である、ポリイソシアネート(化合物e')と、分子内に活性水素含有基を有する化合物(化合物c')とを共重合した化合物からなる三次元架橋したポリウレタンゲル微粒子(粒子A)と、該微粒子の表面がポリウレアコロイド非水溶媒溶液から析出したポリウレアコロイド粒子(粒子B)とからなるポリウレタンゲル微粒子(粒子C)を含有する請求項又はに記載の塗料。
  10. 前記粒子Bが、溶媒に対して溶媒和されている部分と非溶媒和部分とから構成されており、非溶媒和部分の粒子径が0.01μm〜1.0μmである請求項に記載の塗料。
  11. 前記粒子Bが、油脂変性ポリオールとポリイソシアネートとポリアミンとの反応で得られるポリウレアコロイド粒子であって、非溶媒和部分がウレア結合の水素結合からなっている請求項に記載の塗料。
  12. 前記粒子Cの粒子径が0.5〜100μmの範囲、円形度が0.9〜1.0の範囲、圧縮強度が0.01〜50MPaの範囲、回復率が50〜100%の範囲、および熱軟化点温度が200℃以上である請求項に記載の塗料。
  13. さらに、シリカ、シリコーン変性ウレタン系樹脂微粒子、ナイロン系樹脂微粒子、エステル系樹脂微粒子、シリコーン系樹脂微粒子、フッ素系樹脂微粒子、アクリル系樹脂微粒子又はポリオレフィン樹脂微粒子を含む請求項に記載の塗料。
  14. さらにポリイソシアネート(ブロック型を含む)系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、メラミン系架橋剤、ラジカル重合系架橋剤、カチオン重合系架橋剤および有機金属錯体系架橋剤から選ばれる架橋剤を含む請求項に記載の塗料。
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