JP6995736B2 - ポリウレタンウレア水分散体、艶消し塗料及び表面処理剤 - Google Patents
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Description
さらに、艶消し塗料には、良好な保存安定性、ソフトフィール性、塗装外観などが必要とされるが、従来の艶消し塗料は、これらが全て優れたものにならないこともある。
[1] 高分子ポリオール(A)、分子内に1個以上の活性水素を有しかつ親水性基を有する化合物(B)、2価アルコール(C)、及び3価以上のアルコール(T)を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート(D)と、2個の1級アミノ基と1個以上の2級アミノ基を有するポリアミン(E)と、の反応生成物であり、固形分換算の酸価が1~16mgKOH/gであるポリウレタンウレア水分散体。
[2] 前記ポリオール成分と、前記ポリイソシアネート(D)との反応生成物からなるNCO基含有ウレタンプレポリマーに、さらにポリアミン(E)を反応させた反応生成物である[1]に記載のポリウレタンウレア水分散体。
[3] 前記NCO基含有ウレタンプレポリマーが、ポリオール成分の活性水素に対する、ポリイソシアネート(D)のNCO基の比率(NCO/活性水素)を1.1~5で、ポリオール成分とポリイソシアネート(D)とを反応させて得た反応生成物であるとともに、前記NCO基含有ウレタンプレポリマーのNCO基に対する、ポリアミン(E)の1級アミノ基と2級アミノ基の合計の比率(NH/NCO)を0.3~2.1で、NCO基含有ウレタンプレポリマーにポリアミン(E)を反応させる、[2]に記載のポリウレタンウレア水分散体。
[4] 高分子ポリオール(A)に対する化合物(B)のモル比(B/A)が0.05~0.90である[1]~[3]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[5] 高分子ポリオール(A)に対する2価アルコール(C)及び3価以上のアルコール(T)の合計のモル比([C+T]/A)が0.4~3.0である[1]~[4]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[6] 2価アルコール(C)に対する3価以上のアルコール(T)のモル比(T/C)が0.01~2.00である[1]~[5]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[7] 平均粒子径が0.03~15μmである[1]~[6]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[8] 2価アルコール(C)の数平均分子量が、500未満である[1]~[7]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[9] ポリアミン(E)がジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及び2-アミノエチル-3-アミノプロピルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つである[1]~[8]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[10] 高分子ポリオール(A)がポリカーボネートポリオールである[1]~[9]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体。
[11] [1]~[10]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体を含有する艶消し塗料。
[12] [1]~[10]のいずれかに記載のポリウレタンウレア水分散体を含有する表面処理剤。
本発明のポリウレタンウレア水分散体は、高分子ポリオール(A)、分子内に1個以上の活性水素を有しかつ親水性基を有する化合物(B)、2価アルコール(C)、及び3価以上のアルコール(T)を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート(D)と、2個の1級アミノ基と1個以上の2級アミノ基を有するポリアミン(E)と、の反応生成物であり、固形分換算の酸価が1~16mgKOH/gである。
特に、2価アルコール(C)を使用することで、その他の成分の特性を引き出しながら、艶消し性や耐熱性をより優れたものにすることができる。さらに、3価以上のアルコール(T)を併用することでより高い耐熱性が得られる。
(高分子ポリオール(A))
高分子ポリオール(A)の数平均分子量は、500以上であればよいが、好ましくは500~4,000、より好ましくは1000~3000である。本発明では、比較的分子量が高い高分子ポリオール(A)を後述する2価アルコール(C)とともに使用することで、ポリウレタンウレアにソフトセグメント及びハードセグメントの両方を適切に形成しやすくなり、ポリウレタンウレア水分散体の各種性能を良好にしやすくなる。
高分子ポリオール(A)は、一分子中に2個以上の水酸基を有するポリオールであればよいが、水酸基を2つ有するジオールであることが好ましい。
なお、高分子ポリオール(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定された標準ポリスチレン換算の数平均分子量を意味する。具体的には、THFを移動相としたGPC分析(装置:東ソー株式会社製「GPC-8020」;カラム:Super AW2500+AW3000+AW4000+AW5000;以下の実施例も同様)測定により行うものである。
また、ポリエステルポリオールとしては、ポリラクトンポリオールも使用できる。ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリカプロラクトンジオール及びポリ-3-メチルバレロラクトンジオールなどが挙げられる。
ポリメタクリレートジオールとしては、例えば、α,ω-ポリメチルメタクリレートジオール及びα,ω-ポリブチルメタクリレートジオールなどが挙げられる。
上記した中では、ポリカーボネートポリオールが好ましい。ポリカーボネートポリオールを使用することで、ポリウレタンウレアの塗膜の耐溶剤性や耐熱性が良好になる。
高分子ポリオール(A)は、1種単独で使用してもよいが、2種類以上を併用してもよい。
本発明で使用される分子内に1個以上の活性水素を有しかつ親水性基を有する化合物(B)としては、ポリウレタン水分散体の水分散性を付与する成分として使用される公知の化合物を使用できる。
化合物(B)において、活性水素とは、ポリイソシアネート(D)のイソシアネート基と反応する水素原子であり、水酸基、メルカプト基、アミノ基などの水素原子が挙げられ、これらの中では水酸基の水素原子が好ましい。また、親水性基は、水分散性を付与するための官能基であり、アニオン性、カチオン性のいずれでもよいが、アニオン性であることが好ましい。アニオン性の親水性基としては、カルボキシル基、スルホ基、燐酸基などが挙げられ、これらの中ではカルボキシル基が好ましい。
尚、本発明の配合計算では、化合物(B)の親水性基を活性水素基に含めない。
これらの中では、2価アルコールのカルボン酸化合物、特にジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸などのジメチロールアルカン酸を用いることが好ましい。
2価アルコール(C)は、低分子量の2価アルコールであり、具体的には、数平均分子量が500未満の2価アルコールである。2価アルコール(C)の数平均分子量を500未満とすることで、ポリウレタンウレアにハードセグメントを導入しやすくなって耐熱性が良好となり、高温環境下で艶消し性が低下するなどの不具合が生じにくくなる。また、2価アルコール(C)を使用すると、ポリウレタンウレアにおいて、2価アルコール部分が架橋部分とはならず非架橋部分となることで、架橋及び非架橋部分が適度に混在すると推定され、艶消し性、耐スクラッチ性、ソフトフィール性などの各種性能を良好にしやすくなる。2価アルコール(C)の数平均分子量は、上記観点から、350以下が好ましく、200以下がより好ましい。また、2価アルコール(C)の数平均分子量は、実用性の観点から、60以上が好ましく、85以上がより好ましい。なお、2価アルコール(C)の数平均分子量とは、式量から算出される分子量の相加平均値である。
これらの2価アルコールは、1種単独で使用してもよいが、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、2価アルコールとしては、上記した中でも低分子量のものが好ましく、中でも脂肪族グリコール類がより好ましく、具体的には、エチレングリコール,1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコールがさらに好ましく、これらの中では水分散体における分散性の観点などから1,4-ブチレングリコールがより好ましい。
3価以上のアルコール(T)は、低分子量の3価以上のアルコールであり、具体的には、数平均分子量が92~500、好ましくは92~300の3価以上のアルコールである。
本発明では、3価以上のアルコール(T)を使用することで、ポリウレタンウレアに架橋構造を導入することが可能になる。そのため、耐熱性が良好となり、例えば、高温で加熱された後でもグロスを良好に維持することが可能になる。
ポリイソシアネート(D)としては公知の化合物を使用でき、例えば、4-メトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-イソプロピル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-クロル-1,3-フェニレンジイソシアネート、4-ブトキシ-1,3-フェニレンジイソシアネート、2,4-ジイソシアネートジフェニルエーテル、4,4’-メチレンビス(フェニレンイソシアネート)(MDI)、ジュリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、1,5-テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、o-ニトロベンジジンジイソシアネート及び4,4’-ジイソシアネートジベンジルなどの芳香環を有するジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート及び1,10-デカメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキシレンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、水素添加MDI及び水素添加XDIなどの脂環式ジイソシアネート;並びに、これらジイソシアネート化合物と、低分子量のポリオールやポリアミンを末端がイソシアネートとなるように反応させて得られるポリウレタンプレポリマーなどを使用することができる。なお、低分子量のポリオールやポリアミンとしては、分子量が500未満のものが挙げられる。
また、これら有機ポリイソシアネートの2量体、3量体や、ビューレット化イソシアネート等の変性体も挙げることができる。これらの有機ポリイソシアネートは、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明で使用するポリアミン(E)は、2個の1級アミノ基と1個以上の2級アミノ基を有するものである。ポリアミン(E)における2級アミノ基の数は、1~5個であることが好ましく、1~3個であることがより好ましい。
本発明では、ポリアミン(E)を使用することで、ポリウレタンウレアに架橋構造を導入することが可能になる。そのため、耐熱性が良好となり、例えば、高温で加熱された後でもグロスを良好に維持することが可能になる。
ポリアミン(E)としては、具体的には、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、2-アミノエチル-3-アミノプロピルアミンなどが使用でき、これらの中ではジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンが好ましく、ジエチレントリアミンがより好ましい。
ポリアミン(E)は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、ジアミンとしては、自己硬化反応型の塗料が設計できる観点から、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ変性タイプのシランカップリング剤を使用してもよい。
これらジアミンは、単独で或いは2種類以上を組み合わせて使用することができる。
また、高分子ポリオール(A)に対する2価アルコール(C)及び3価以上のアルコール(T)の合計のモル比([C+T]/A)は0.4~3.0であることが好ましく、0.4~2.5がより好ましく、0.7~2.0がさらに好ましい。モル比([C+T]/A)を下限値以上とすると、ポリウレタンウレア中のハードセグメントが適度に多くなり、艶消し性などの性能を向上させやすくなる。また、上記上限値以下とすることで、ポリウレタンウレア中のソフトセグメントを適切な量にして、塗膜のソフトフィール性、耐スクラッチ性、塗装外観、塗料の保存安定性などの性能を良好にしやすくなる。
また、比率(NCO/活性水素)は、1.2~1.8であることがより好ましい。比率(NCO/活性水素)を上記下限値以上とすることで、NCO基含有ウレタンプレポリマーの分子末端をNCO基とすることが可能になる。また、上限値以下とすることで、未反応のポリイソシアネート(D)を反応系中に必要以上に残存させることを防止できる。
なお、化合物(B)の活性水素は、上記したように好ましくは水酸基の水素原子であるので、好ましい態様において、比率(NCO/活性水素)は、ポリオール成分の水酸基に対する、ポリイソシアネート(D)のNCO基の比率(NCO/OH)を表すものとなる。
なお、本発明において、平均粒子径は、日機装株式会社製、「MICROTRAC UPA-EX150」により測定したメジアン径(D50)を意味する。
なお、ポリウレタンウレア水分散体の酸価は、化合物(B)の親水性基が中和剤などにより中和される前の酸価であり、化合物(B)などの配合量から計算値として算出することが可能である。また、得られたポリウレタンウレアにおいて、カルボキシル基などの親水性基の量を同定して算出することも可能である。本発明においては、化合物(B)などの配合量から計算値として算出している。
また、本発明のポリウレタンウレア水分散体の固形分濃度は特に限定されないが5~50質量%、好ましくは15~45量%である。
但し、本発明の効果に影響ない範囲で、界面活性剤を使用してもよい。使用し得る界面活性剤としては、例えば非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は、最終的に得られるポリウレタンウレアの各基材に対する接着性、耐水性に悪影響を及ぼさない範囲の添加量であることが好ましい。界面活性剤の添加量は、ポリウレタンウレアの固形分100質量部に対して例えば15質量部以下、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下の範囲である。
本発明のポリウレタンウレア水分散体は公知の製造方法で得ることができる。
例えば、まず、分子内に活性水素を含まない有機溶剤の存在下、または有機溶剤の不存在下で、高分子ポリオール(A)、化合物(B)、2価アルコール(C)、及び3価以上のアルコール(T)、並びにポリイソシアネート(D)を、20~150℃、好ましくは60~110℃で反応生成物が例えば理論NCO%となるまで反応してNCO基含有ウレタンプレポリマーを得る。
なお、ポリウレタンウレアをポリシロキサン変性する場合は、所望のポリシロキサン化合物を混合して上記反応を行えばよい。
次いで、得られたNCO基含有ウレタンプレポリマーを水と中和剤で乳化した後、ポリアミン(E)及び必要に応じてジアミンを加えて、ポリアミン(E)、ジアミン及び場合によっては水により、NCO基含有ウレタンプレポリマーを架橋及び鎖伸長してポリウレタンウレアとし、その後、必要に応じて脱溶剤をした後本発明のポリウレタンウレア水分散体を得ることができる。
これらのうち、溶媒回収、ウレタン合成時の溶解性、反応性、沸点、水への乳化分散性を考慮すれば、メチルエチルケトン、酢酸エチル、アセトン、およびテトラヒドロフランなどがより好ましい。
反応停止剤としては、例えば、モノアルコール、モノアミンのような単官能性化合物、イソシアネートに対して互いに異なる反応性を有する2種の官能基を有する化合物などが挙げられる。具体的には、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどのモノアルコール;モノエチルアミン、n-プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミンなどのモノアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどのアルカノールアミンなどが挙げられ、このなかでもアルカノールアミン類が反応制御しやすいという点で好ましい。
本発明の艶消し塗料は上記したポリウレタンウレア水分散体を含有するものである。また、艶消し塗料は、分散媒として水を使用するものである。本発明の艶消し塗料は、固形分がポリウレタンウレア水分散体からなるものでもよいが、ポリウレタンウレア水分散体に加えて、ポリウレタンウレア水分散体以外の樹脂、各種の添加剤を含有してもよい。また、艶消し塗料は、例えば、ディスパー、ペイントシェーカーなどによりポリウレタンウレア水分散体及びその他成分を水中に分散させてもよい。
添加剤としては、例えば、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ガス変色安定剤、金属不活性剤、着色剤、防黴剤、難燃剤、艶消し剤などから選択される1種又は2種以上を適宜使用することができる。
酸化防止剤の具体例としては、ヒンダードフェノール系、ホスファイト系、チオエーテル系などの各種酸化防止剤が挙げられる。光安定剤の具体例としては、ヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系などの各種の紫外線吸収剤が挙げられる。ガス変色安定剤の具体例としては、ヒドラジン系などが挙げられる。また、着色剤としては、公知の顔料、染料を使用すればよい。
ただし、本発明の艶消し塗料は、艶消し剤を含有しなくても高い艶消し性を得ることができるものであり、艶消し剤は含有しないか、または、本発明の効果に影響のない範囲内で含有していればよいが、艶消し剤を含有しないことが好ましい。艶消し塗料における艶消し剤の含有量は、含有する場合でも、ポリウレタンウレア水分散体(固形分基準)100質量部に対して、50質量部以下であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
また、艶消し塗料は、艶消し剤を含有せず、また、含有しても上記のように少量であると、塗膜上に艶消し剤がブリードすることが防止される。さらに、摩擦によって塗膜が剥がれ落ちたりすることもなく、耐スクラッチ性などもより優れたものとなる。
基材となるプラスチックとしては、例えば、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などのオレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエン系樹脂、スチレンアクリロニトリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)、塩化ビニル、エンジニアプラスチック、生分解性プラスチックなどの従来公知の各種のプラスチックが挙げられる。
プラスチックは、プラスチック成型品などでもよく、特に自動車用の内装材として使用される、ポリオレフィン樹脂、TPO、ポリウレタン、ポリプロピレンなどのプラスチック成型品が好ましい例として挙げられる。また、例えば、TPO基材シートの場合、コロナ放電処理されたTPO基材シート上に2液型水系ウレタン系樹脂を塗工し、さらにその上に本発明の艶消し塗料をスプレー塗装やグラビア塗装により塗工した後に、真空成型して自動車用のインストルメントパネルなどの成型品を製造することができる。
また、プラスチック成型品に本発明の塗料を直接塗工する方法や、金型上に本発明の塗料をスプレー塗装後に、ポリプロピレンやウレタン系樹脂などを金型に入れるモールド成型法なども有用である。ただし、接着性の劣るポリプロピレン成型品に本発明の塗料を塗布する場合には、予めプラスチック成型品の表面をプライマー処理することが好ましい。
本発明の艶消し塗料は、特に限定されないが、各種基材に固形分厚みが例えば3~25μmとなるように塗布した後に、例えば、90~120℃で1~3分間乾燥することで艶消し塗料からなる塗膜とすることができる。
本発明の表面処理剤は上記したポリウレタンウレア水分散体を含有するものである。例えば、基材に本発明の表面処理剤からなる被膜を形成することで、表皮材とすることができる。ここで本明細書において「被膜」とは、表面処理剤を塗布して得られた未乾燥の「塗膜」を、乾燥して得られた膜をいう。
樹脂としては、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、熱可塑性ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂、エチレンプロピレンジエン系樹脂、スチレンアクリロニトリル系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ノルボルネン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルホルマール系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、エンジニアプラスチック、生分解性プラスチックなどが挙げられる。
特に自動車用の内装材用としては、ポリ塩化ビニル樹脂、熱可塑性ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリプロピレンなどが挙げられる。
また、基材が発泡基材である場合、塩化ビニル樹脂のような基材を使用することができる。
基材の厚さは0.2~0.8mmであることが好ましく、基材が発泡基材であって、これを発泡させる場合の発泡後の厚さは0.3~4.5mmであることが好ましい。
ここで、熱が加わる工程は塗布後の乾燥以外に、意匠性を付与するためのエンボス加工等でも200℃程度の熱が一時的にかかるが、従来の場合、その際に艶消し性が低下することがある。しかし、本発明の表面処理剤は、本発明のポリウレタンウレア水分散体を用いているため、200℃程度の熱が加わっても良好な艶消し性を維持できる。
なお、接着性の劣る熱可塑性樹脂基材に本発明の表面処理剤を塗布する場合には、塗料との密着性を高めるため、プライマー処理をしたりしてもよい。
上記のようにして形成される被膜の膜厚は2~30μmが好ましい。
実施例1
攪拌機、還流冷却管、温度計、及び窒素吹き込み管を備えた反応容器を窒素ガスで置換した後、ポリカーボネートジオール(登録商標、株式会社ダイセル製のプラクセルCD220、数平均分子量2000)100部、ジメチロールプロピオン酸2.4部、1,4-ブタンジオール4.7部、トリメチロールプロパン0.5部およびアセトンを27部加え、均一に溶解させた。続いて1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート29.4部を加えて80℃で反応を行い、NCO濃度が3.1%となるまで反応を行い、NCO基含有ウレタンプレポリマーを得た。その後、50℃に冷却し、イオン交換水320部と中和剤としてのトリエチルアミン1.8部を加え、系内を均一に乳化させ、ジエチレントリアミン2.8部を投入して鎖伸長した。最後に、系内のアセトンを真空脱気して回収し、固形分濃度30%、平均粒子径3μm、酸価(固形分換算)7mgKOH/gのポリウレタンウレア水分散体を得た。得られたポリウレタンウレア水分散体の平均粒子径、酸価(固形分換算)を表1に示す。また、このポリウレタンウレア水分散体を艶消し塗料として、各種試験を行った。
各成分の配合を表1の内容とする以外は実施例1と同様にしてポリウレタンウレア水分散体を得た。得られたポリウレタンウレア水分散体の平均粒子径、酸価(固形分換算)を表1に示す。また、これらそれぞれを艶消し塗料として、各種試験を行った。
各実施例、比較例で得られた艶消し塗料をレネタチャートシート(レネタカンパニー社製)にバーコータを用いて塗布し、120℃の乾燥機で1分乾燥させ、塗膜厚さ5μmの試験シートを作製した。
直読ヘーズコンピューターHGM-2DP(スガ試験機株式会社製)を使用し、試験シート塗膜面のグロス(60°入射光/60°反射光)を測定した。
<加熱後グロス(120℃、200℃)>
試験シートを120℃で5分間加熱した後の塗膜面のグロスを上記と同様に測定した。
また、試験シートを200℃で5分間加熱した後の塗膜面のグロスを上記と同様に測定した。
試験シート塗膜面を約1kg/cm2の荷重にてスコッチブライト(住友スリーエム株式会社製)で100回擦り、表面の傷付きを以下の評価基準に従って目視にて確認した。
A:確認できる傷が0本以上5本未満
B:確認できる傷が5本以上10本未満
C:確認できる傷が10本以上
<保存安定性>
艶消し塗料を1か月室温(23℃)で静置後に沈降度合いや凝集度合いを以下の評価基準に従って目視で判定した。
A:沈殿が生成していないもの、または容易に沈殿を細分させることが可能なもの
B:一部が底に固化し再分散させることが困難なもの
C:沈殿の全体が固化し再分散しないもの
試験シート塗膜面を目視により観察して、以下の評価基準に従って塗装外観の評価を行った。
A:塗装ムラなし
B:析出物が一部あり、塗装ムラがある
C:析出物が多く塗膜にならない
<ソフトフィール性>
試験シート塗膜面を指で触り、得られた触感から下記の評価基準によりソフトフィール性を評価した。
A:弾力性がありシルクのような触感
B:弾力性がなく、若干グリップ感のある触感
C:べたつきのある触感
従来から合成皮革の製造に使用されている、以下の配合の調液からなる溶剤型表皮剤と溶剤型接着剤とを用い、下記に示す条件で表皮層と接着剤層を形成し、以下に示す基材(織物)に貼り合わせて、合成皮革を製造した。
下記の合成皮革の作成条件で、上記の条件で塗膜を形成し、表皮層と接着剤層とし、熟成した後、離型紙から剥離して合成皮革を製造した。
(調液)
・レザミンME-8106(大日精化工業(株)社製、溶剤70%含有品) 100部
・DMF 33部
(離型紙)AR-99SG
(塗布量)250μm/wet
(乾燥条件)100℃/2分→120℃/3分
(膜厚)約50μm
(調液)
・レザミンUD-750SA(大日精化工業(株)社製、溶剤25%含有品)100部
・レザミンUD-架橋剤(大日精化工業(株)社製、溶剤25%含有品) 15部
・レザミンUD-102促進剤(大日精化工業(株)社製、溶剤98%含有品)10部
・DMF 20部
・MEK 20部
(塗布量)100μm/wet
(予備乾燥条件)80℃/2分
(膜厚)約50μm
(基材との貼合わせ)織物にラミネートロールで、温度40℃/0μmにて圧着
(熟成)50℃×48時間
合成皮革の塗膜面を指で触り、得られた触感から下記の評価基準によりソフトフィール性を評価した。
A:弾力性がありシルクのような触感
B:弾力性がなく、若干グリップ感のある触感
C:べたつきのある触感
<艶消し性>
合成皮革の外観を目視にて、下記の評価基準により評価した
A:光沢感がない
B:若干光沢感がある
C:光沢感がある
Claims (12)
- 高分子ポリオール(A)、分子内に1個以上の活性水素を有しかつ親水性基を有する化合物(B)、2価アルコール(C)、及び3価以上のアルコール(T)を含むポリオール成分と、ポリイソシアネート(D)と、2個の1級アミノ基と1個以上の2級アミノ基を有するポリアミン(E)と、の反応生成物であり、固形分換算の酸価が1~10mgKOH/gであるポリウレタンウレア水分散体。
- 前記ポリオール成分と、前記ポリイソシアネート(D)との反応生成物からなるNCO基含有ウレタンプレポリマーに、さらにポリアミン(E)を反応させた反応生成物である請求項1に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 前記NCO基含有ウレタンプレポリマーが、ポリオール成分の活性水素に対する、ポリイソシアネート(D)のNCO基の比率(NCO/活性水素)を1.1~5で、ポリオール成分とポリイソシアネート(D)とを反応させて得た反応生成物であるとともに、前記NCO基含有ウレタンプレポリマーのNCO基に対する、ポリアミン(E)の1級アミノ基と2級アミノ基の合計の比率(NH/NCO)を0.3~2.1で、NCO基含有ウレタンプレポリマーにポリアミン(E)を反応させる、請求項2に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 高分子ポリオール(A)に対する化合物(B)のモル比(B/A)が0.05~0.90である請求項1~3のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 高分子ポリオール(A)に対する2価アルコール(C)及び3価以上のアルコール(T)の合計のモル比([C+T]/A)が0.4~3.0である請求項1~4のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 2価アルコール(C)に対する3価以上のアルコール(T)のモル比(T/C)が0.01~2.00である請求項1~5のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 平均粒子径が0.03~15μmである請求項1~6のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 2価アルコール(C)の数平均分子量が、500未満である請求項1~7のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- ポリアミン(E)がジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及び2-アミノエチル-3-アミノプロピルアミンからなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1~8のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 高分子ポリオール(A)がポリカーボネートポリオールである請求項1~9のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体を含有する艶消し塗料。
- 請求項1~10のいずれか1項に記載のポリウレタンウレア水分散体を含有する表面処理剤。
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