JP5661495B2 - 金属管の引抜方法及び引抜装置 - Google Patents

金属管の引抜方法及び引抜装置 Download PDF

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Description

本発明は、例えば複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置におけるOPC感光ドラム用基体として好適に用いられる、寸法精度に優れた引抜管を製造できる金属管の引抜方法及び引抜装置に関する。
なお、本明細書の記載において、引抜方法及び引抜装置における「後方」とは引抜管に対して素管側の方向を表し、「前方」とは素管に対して引抜管側の方向を表す。
近年、複写機、レーザービームプリンタ、ファクシミリ等の電子写真装置におけるOPC感光ドラム用基体として、大量生産に適した無切削管が多用されるようになっている。無切削管の一つに、アルミニウム押出素管を引抜加工したED管があり、複数の製品管を1回の引抜きで生産できる点で大量生産に向いており、市場拡大に伴う大量消費に応える製法として注目されている。
このED管は、まずアルミニウム製のビレットを押出してアルミニウム押出素管を得、該押出素管を所定長さに切断した後、ダイスとプラグによる1パスまたは2パス以上の引抜加工を行って、所定形状(外径、内径、肉厚)に規定されたアルミニウム管を得た後、切断、端部の面取り加工、洗浄を行い、寸法と外観を検査することによって製造されている。
かかる感光ドラム用基体用アルミニウム管の引抜加工においては、高度の表面平滑性と寸法精度、とりわけ管のフレ精度を得るための引抜装置が提案されている(特許文献1、2)。また、寸法精度を高めるために2パス以上の連続引抜を行うこともある。
特許文献1に記載の引抜用金型は、高度の表面平滑性を達成するために、ダイスのアプローチ角とベアリング長さを規定したものである。また、特許文献2に記載の引き抜き加工機は、引抜中に内面成形用のプラグを支持するロッド棒が撓まないように支持する構造を有している。
特公平4−13044号公報 特開平9−29324号公報
しかしながら、上述したように多くの工程を経て製作されるED管は、素管を押出す際のビレット成分、押出素管の外径、肉厚、硬度等の多くのバラツキ要素を含んでいるため、寸法精度や表面品質を高めることは容易ではなかった。
そもそも、押出管の寸法精度を向上させるために引抜くことは公知であり、多くの製品製造において引抜加工が行われている。この場合、管の焼付きを防止するための潤滑油の供給は、管の内面に対しては傾けた管内に予め潤滑油を流し込んでおき、外面に対しては予め潤滑油を塗布しておく方法、或いは引抜加工中に潤滑油を随時流下させる方法が採用されていた。
しかしながら、感光ドラム基体用のED管のように長い素管を高速で2パス以上の連続引抜きをする場合には、管の内面に予め潤滑油を流入させておくことは困難である。このため、プラグに潤滑油を塗布して素管内に挿入し、そのまま引抜かざるを得なかった。かかる引抜方法では、外面は随時潤滑油を供給できるのに対し、内面は引抜途中で潤滑油が不足して焼付きが発生することがあった。即ち、素管の内面に付着された潤滑油は、プラグ近傍位置においては引抜加工熱により油温度が上昇して、粘度が低下するので、その自重により素管の内面の下側領域に滞留しやすく、素管の内面の上側領域は潤滑油が枯渇しやすく、これにより焼付が生じることがあった。焼付きが発生するとキズが発生するだけでなく、加工熱によって寸法精度を低下させる原因となる。潤滑油切れは、素管の長さが長いほど、また引抜速度が速いほど生じやすいため、長い素管を高速で引抜いてED管の生産性を高めるには内面の焼付きを克服することが課題となっている。
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、引抜時の管の内面に確実に潤滑油を付着できて焼付を防止することのできる金属管の引抜方法及び引抜装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1]金属製素管を、外面を成形するダイスと内面を成形するプラグとの間に通すことで引抜加工する金属管の引抜方法において、
前記プラグのベアリング部を通過する前の素管の内面に潤滑油を付着させる時に、該素管の内面における上半分の領域における単位時間当たりの付着量(g/秒)を「X」とし、前記素管の内面における下半分の領域における単位時間当たりの付着量(g/秒)を「Y」としたとき、
X>Y>0
の関係式が成立するように潤滑油を付着させることを特徴とする金属管の引抜方法。
[2]前記プラグを支持する中空のロッドの上半分の領域に1又は複数個の上側吐出口が設けられ、前記ロッドの下半分の領域に1又は複数個の下側吐出口が設けられ、上側吐出口の総開口面積は、下側吐出口の総開口面積より大きいものとなされ、前記ロッド内に潤滑油を供給して前記上側吐出口及び前記下側吐出口から潤滑油を吐出させることによって、前記X>Y>0の関係式が成立するように潤滑油を付着させることを特徴とする前項1に記載の金属管の引抜方法。
[3]金属製素管を、外面を成形するダイスと内面を成形するプラグとの間に通すことで引抜加工する引抜装置において、
前記プラグを支持する中空のロッドの上半分の領域に1又は複数個の上側吐出口が設けられ、前記ロッドの下半分の領域に1又は複数個の下側吐出口が設けられ、上側吐出口の総開口面積は、下側吐出口の総開口面積より大きいことを特徴とする金属管の引抜装置。
[4]引抜方向における前記上側吐出口と前記プラグのベアリング部との距離が20cm以下である前項3に記載の金属管の引抜装置。
[5]前記吐出口に前記ロッドの外周面から突出するノズルが設けられている前項3または4に記載の金属管の引抜装置。
[1]の発明では、プラグのベアリング部を通過する前の素管の内面に潤滑油を付着させる時に、該素管の内面における上半分の領域における単位時間当たりの付着量を「X」(g/秒)とし、前記素管の内面における下半分の領域における単位時間当たりの付着量を「Y」(g/秒)としたとき、X>Y>0の関係式が成立するように潤滑油の付着を行うから、プラグのベアリング部通過前の素管内面の上半分の領域に付着させた潤滑油の一部は、付着後に素管がプラグのベアリング部に移動するまでにその自重により素管の内面の下側領域に移動して滞留付着する一方、素管の内面の下半分領域にもX>Y>0の関係式が成立する状態で潤滑油を付着せしめ、かつプラグのベアリング部通過前の素管内面の上半分の領域にX>Y>0の関係式が成立する状態で潤滑油を付着させる(随時供給する)ので、引抜加工時の素管内面の上半分領域における潤滑油の枯渇(潤滑油切れ状態)を防止することができ、引抜の際の焼付を防止することができる。即ち、本引抜方法によれば、焼付のない引抜管を製造することができる。
プラグのベアリング部通過前の素管の内面の下半分領域については、引抜きにより前方に排出される量のみ潤滑油を供給すればよいのであるが、これはX>Y>0の関係式が成立するように潤滑油の付着を行うことで対応することができ、このように必要最小限の潤滑油供給(付着)で引抜加工できるという利点もある。
なお、前記関係式「X>Y>0」は、プラグのベアリング部通過前の素管の内面に潤滑油を付着させた時の付着量の関係を規定したものであって、例えば潤滑油が上半分の領域に付着した後において経時的にその自重等により他の領域(下半分の領域)に移動する量は考慮しない(付着した後の潤滑剤の移動量は無視する)ものとする。
[2]の発明では、プラグを支持する中空のロッドの上半分の領域に1又は複数個の上側吐出口が設けられ、ロッドの下半分の領域に1又は複数個の下側吐出口が設けられ、上側吐出口の総開口面積は、下側吐出口の総開口面積より大きいものとなされているから、ロッド内に潤滑油を供給して上側吐出口及び下側吐出口から潤滑油を吐出させることで、前記X>Y>0の関係式が成立するように潤滑油の付着を行うことができ、引抜加工時の素管内面の上半分領域における潤滑油の枯渇(潤滑油切れ)を十分に防止できるので、引抜の際の焼付を十分に防止することができる。
[3]の発明(引抜装置)では、プラグを支持する中空のロッドの上半分の領域に1又は複数個の上側吐出口が設けられ、前記ロッドの下半分の領域に1又は複数個の下側吐出口が設けられ、上側吐出口の総開口面積は、下側吐出口の総開口面積より大きい構成であるから、これら吐出口から潤滑油を吐出させることにより、プラグ通過前の素管の内面における上半分の領域の少なくとも一部に潤滑油を十分に付着させることができると共に下半分の領域の少なくとも一部にも潤滑油を付着させることができて、引抜の際の焼付を防止することができる。また、下側吐出口の総開口面積は、上側吐出口の総開口面積より小さい構成であるから、必要最小限の潤滑油供給(付着)で引抜加工できるという利点もある。
[4]の発明では、引抜方向における前記上側吐出口と前記プラグのベアリング部との距離が20cm以下であるから、潤滑油の塗布位置(素管の内面の上半分領域への)からプラグのベアリング部までの距離が短く、引抜加工時の素管内面の上半分領域における潤滑油の枯渇(潤滑油切れ)を十分に防止できるので、引抜の際の焼付を十分に防止することができる。
[5]の発明では、吐出口にロッドの外周面から突出するノズルが設けられており、潤滑油の吐出位置が素管の内面に近づくので、ロッドの外径に対して素管の内径が大きい場合でも、吐出口から吐出した潤滑油を素管の内面の所望の位置に確実に付着させることができる。
本発明の引抜方法を実施するための引抜装置の一実施形態を示す縦断面図である。 図1の装置におけるロッド及び素管の断面図である。 更に他の実施形態に係る引抜装置におけるロッド及び素管の断面図である。 素管の内部にプラグ及びロッドを挿入する挿入作業中においてロッドの上側吐出口及び下側吐出口から潤滑油を吐出させている状態を示す断面図である。 比較例1で使用した引抜装置におけるロッド及び素管の断面図である。 比較例2で使用した引抜装置におけるロッド及び素管の断面図である。
図1は、本発明の金属管の引抜方法を実施するための引抜装置1の一例を示す縦断面図である。この引抜装置1は、引抜用工具と、金属製素管2の外面及び内面に潤滑油を供給する潤滑油供給部とを備えている。本発明の引抜方法及び引抜装置1は、金属製素管2を水平方向に引抜いて引抜加工するものである。
前記引抜用工具は、引抜ダイス10とプラグ11とから構成されている。前記ダイス10は、ダイスケース12内に嵌合されたダイス本体13を備え、前記ダイス本体13は、中央のダイス孔の内周面にアプローチ部14とこれの前方側に続くベアリング部15とを有している。
前記プラグ11は、中空管からなるロッド20の先端に取り付けられて支持されている。前記プラグ11は、外周面にアプローチ部16とこれの前方側に続くベアリング部17とを有している。
金属製素管2をダイス10とプラグ11との間に通して水平方向に引き抜くことにより、管の外面がダイス本体13のベアリング部15によって成形されるとともに、管の内面がプラグ11のベアリング部17によって成形され、引抜管3が製作される。
外面用潤滑油供給部として、ダイス10の後方の上部位置に供給管18が先端を下方に向けて配置されている。図示しないタンクから供給される潤滑油Lは、供給管18の先端から素管2に向かって吐出され、素管2の外面の上部に付着した潤滑油Lは外面を伝って素管2の外面の全周に供給され、過剰な潤滑油Lは流れ落ちる。そして、素管2の外面に潤滑油Lが付着した状態で、素管2がダイス10とプラグ11との間に通されることによって引抜加工が行われる。
内面用潤滑油供給部として、プラグ11を支持する中空のロッド20の頂部に上側吐出口21が1個設けられ、前記中空ロッド20の底部に下側吐出口22が1個設けられている(図1、2参照)。前記上側吐出口21の開口面積は、前記下側吐出口22の開口面積より大きい。本実施形態では、上側吐出口21の形成数は1個であり、下側吐出口22の形成数は1個であるから、上側吐出口21の総開口面積は、前記下側吐出口22の総開口面積よりも大きい。前記ロッド20の中空部(中空内部空間)は、潤滑油Lの供給路として利用される(図1参照)。図示しないタンクからロッド20の中空部にその後方から供給される潤滑油Lは、上側吐出口21及び下側吐出口22から吐出される(図1参照)。上側吐出口21から吐出された潤滑油Lは、素管2の内面の上半分の領域の少なくとも一部に付着し、その後、素管2の内面を伝って周方向に拡がる。また、下側吐出口22から吐出された潤滑油Lは、素管2の内面の下半分の領域の少なくとも一部に付着する。
このようにして素管2の外面と内面に潤滑油Lを供給して素管2を水平方向に引抜くことによって、引抜管3が製作される。
しかして、プラグ11のベアリング部17を通過する前の素管2の内面に潤滑油Lを付着させる時に、前記ロッド20内に潤滑油Lを供給して前記上側吐出口21及び前記下側吐出口22から潤滑油Lを吐出させると、上側吐出口21の総開口面積は前記下側吐出口22の総開口面積よりも大きいので、
X>Y>0
の関係式が成立するように潤滑油Lの付着が行われる。
なお、前記「X」は、素管の内面における上半分の領域(図2で素管の内面における一点鎖線Hより上側の領域)における単位時間当たりの付着量(g/秒)であり、前記「Y」は、素管の内面における下半分の領域(図2で素管の内面における一点鎖線Hより下側の領域)における単位時間当たりの付着量(g/秒)である。
プラグ11のベアリング部17通過前の素管2の内面の上半分の領域に付着させた潤滑油Lの一部は、付着後に素管2がプラグ11のベアリング部17に移動するまでの間にその自重により素管2の内面の下側領域に移動して滞留付着する一方、素管2の内面の下半分領域にもX>Y>0の関係式が成立する状態で潤滑油の付着が行われ、かつプラグ11のベアリング部17通過前の素管2の内面の上半分の領域に潤滑油を付着させる(随時供給する)ので、引抜加工時の素管内面の上半分領域における潤滑油の枯渇(潤滑油切れ状態)を防止できて、即ち素管2の内面の全周にわたって潤滑油Lを付着せしめた状態で引抜加工を行う(ダイス10のベアリング部15とプラグ11のベアリング部17との間に通して引抜加工する)ことができて、引抜の際の焼付を防止することができる。
前記引抜装置1において複数本の素管2を順次引き抜く場合、引抜加工と素管内面への潤滑油供給は下記(i)〜(vi)を繰り返して行う。
(i)ロッド20内に潤滑油Lを供給して上側吐出口21及び下側吐出口22から吐出することにより、素管2の内面に潤滑油Lを供給しながら引抜きを行う
(ii)素管2の引抜きが完了した後、潤滑油Lの供給を停止する
(iii)引抜管3を引抜装置1から取り出して、次の素管を引抜装置1にセットする
(iv)潤滑油Lの供給を再開する
(v)潤滑油Lの吐出量が安定するまで供給する
(vi)(i)に戻る。
本発明では、プラグ11のベアリング部17を通過する前の素管2の内面に対し上記特定の付着(X>Y>0の関係式が成立する潤滑油の付着)を行うに際し、該特定の付着の時期は、上記実施形態(図1、2)のように素管2をダイス10に挿通セットした後であってもよいし、或いは素管2をダイス10に挿通セットする前であってもよい。
素管2をダイス10に挿通セットした後に上記特定の付着を行う他の形態としては、図3に示す例を挙げることができる。図3の引抜装置では、プラグ11を支持する中空のロッド20の頂部に上側吐出口21が設けられ、該上側吐出口21にロッド20の外周面から突出する上側ノズル31が接続され、該上側ノズル31の先端が略上方に向けて開口して先端開口部32が形成されている。また、ロッド20の下半分の領域における左斜め下方に一方の下側吐出口22が設けられ、ロッド20の下半分の領域における右斜め下方に他方の下側吐出口22が設けられ、各下側吐出口22にそれぞれ下側ノズル33が接続固定され、該下側ノズル33の先端が略斜め下方に向けて開口して先端開口部34が形成されている。この図3の構成では、上側吐出口21の総開口面積は、下側吐出口22の総開口面積よりも大きい。
しかして、プラグ11のベアリング部17を通過する前の素管2の内面に潤滑油Lを付着させる時に、ロッド20内に潤滑油を供給して上側吐出口21(先端開口部32)及び下側吐出口22(先端開口部34)から潤滑油を吐出させると、上側吐出口21の総開口面積は下側吐出口22の総開口面積よりも大きいので、
X>Y>0
の関係式が成立するように潤滑油Lの付着が行われる。これにより、前記実施形態と同様に、引抜加工時の素管内面の上半分領域における潤滑油の枯渇(潤滑油切れ状態)を防止できて、即ち素管2の内面の全周にわたって潤滑油Lを付着せしめた状態で引抜加工を行う(ダイス10のベアリング部15とプラグ11のベアリング部17との間に通して引抜加工する)ことができて、引抜の際の焼付を防止することができる。
一方、素管2をダイス10に挿通セットする前に上記特定の付着を行うものとして図4に示す例を挙げることができる。図4では、素管2の内部にプラグ11及び中空のロッド20を挿入する挿入作業中において、ロッド20の頂部の上側吐出口21及び底部の下側吐出口22から潤滑油Lを吐出させることによって(なお上側吐出口21の総開口面積は下側吐出口22の総開口面積よりも大きい)、素管2をダイス10に挿通セットする前の段階において既に、前記特定の付着(X>Y>0の関係式が成立する潤滑油の付着)を実施するものである。
上記引抜装置1(図1、2)において、引抜方向における上側吐出口21とプラグ11のベアリング部17との距離は20cm以下に設定されているのが好ましい。また、図3の引抜装置1において、引抜方向における上側ノズル31の先端開口部32とプラグ11のベアリング部17との距離は20cm以下に設定されているのが好ましい。このような範囲に設定されていることで、潤滑油Lの塗布位置(素管の内面の上半分領域への)からプラグ11のベアリング部17までの距離が短いので、引抜加工時の素管内面の上半分領域における潤滑油の枯渇(潤滑油切れ)を十分に防止できて、引抜の際の焼付を十分に防止できる。
本発明では、引抜対象の素管2の長さを限定するものではないが、短い素管に対しては従来のように引抜前に潤滑油をプラグに塗布しておくことでも内面の潤滑性を確保できるので、長い素管を引抜く場合に顕著な効果を奏するものであり、長い素管の引抜きに適している。具体的には、2m以上、特に2.5m以上の素管に対して顕著な効果が得られるものである。
本発明において、引抜対象の金属製素管2の素材(金属種)は、特に限定されず、例えば、アルミニウム、鉄、銅、或いはこれらの合金等が挙げられる。本発明は、長い素管を引抜く場合に顕著な効果が得られることから、感光ドラム基体用アルミニウム管の製造に適している。
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれら実施例のものに特に限定されるものではない。
参考例1>
図1、2に示す構成を備えた引抜装置1を用いて金属製素管2の引抜加工を行った。アルミニウム合金(Mn:1.12質量%、Si:0.11質量%、Fe:0.39質量%、Cu:0.16質量%、Zn:0.01質量%、Mg:0.02質量%を含み、残部アルミニウムおよび不可避不純物)からなるビレットを、押出温度520℃、押出速度5m/分の条件で押出し、外径32mm、肉厚1.5mmの円筒管を得、これを2.2mに切断したものを前記金属製素管2として用いた。
前記引抜装置1において、ダイス10のアプローチ部14のアプローチ角は15°であり、ダイス10のベアリング部15のベアリング長さは15mmであり、プラグ11のアプローチ部16のアプローチ角は7°であり、プラグ11のベアリング部17のベアリング長さは2mmである。
引抜装置1の供給管18の先端から潤滑油Lを素管2の外面に向かって吐出させると、素管2の外面の上部に付着した潤滑油Lは外面を伝って素管2の外面の全周に供給され、過剰な潤滑油Lは流れ落ちる。
前記引抜装置1では、プラグ11を支持する中空のロッド20の頂部に上側吐出口21が1個設けられ、ロッド20の底部に下側吐出口22が1個設けられ、上側吐出口21の開口面積は0.07cm2、下側吐出口22の開口面積は0.008cm2であり、上側吐出口21の総開口面積は、下側吐出口22の総開口面積より大きい。
前記中空ロッド20内に潤滑油Lを供給して上側吐出口21及び下側吐出口22から潤滑油を吐出させることで、プラグ11のベアリング部17を通過する前の素管2の内面に潤滑油Lを付着させる時に、素管2の内面における上半分の領域における単位時間当たりの付着量を0.5g/秒とし、素管2の内面における下半分の領域における単位時間当たりの付着量を0.04g/秒とした。
上記のような態様で素管2の外面及び内面に潤滑油Lを供給しながら、引抜速度30m/分、外径減少率16%、断面積減少率32%で引抜加工を行って、引抜管3を得た。なお、外面用及び内面用潤滑油Lとして、共栄油化株式会社製「ストロールES150」(粘度:1.4×10-42/s)を用いた。
得られた引抜管3を、引抜装置1から搬送コンベアに移載して室温まで放冷し、長さ260mmに切断した。
<実施例
引抜装置として、図3に示す構成を備えた引抜装置1を用いた以外は、参考例1と同様にして長さ260mmの引抜管3を得た。なお、図3の引抜装置1では、プラグ11を支持する中空ロッド20の頂部に上側吐出口21が1個設けられ、中空ロッド20の下半分の領域に下側吐出口22が2個設けられ、上側吐出口21(上側ノズル21の先端開口部32)の開口面積は0.12cm2であり、1個の下側吐出口22(1個の下側ノズル22の先端開口部34)の開口面積は0.008cm2であり、上側吐出口21の総開口面積は、下側吐出口22の総開口面積より大きい。また、プラグ11のベアリング部17を通過する前の素管2の内面に潤滑油Lを付着させる時に、素管2の内面における上半分の領域における単位時間当たりの付着量は0.6g/秒であり、素管2の内面における下半分の領域における単位時間当たりの付着量は0.12g/秒であった。
<比較例1>
引抜装置として、図5に示すようにロッド20の頂部に開口面積が0.12cm2の上側吐出口21が1個設けられ、ロッド20の底部に開口面積が0.12cm2の下側吐出口22が1個設けられた構成(上側吐出口21の総開口面積と下側吐出口22の総開口面積とが同一である構成)を備えた引抜装置を用いた以外は、参考例1と同様にして長さ260mmの引抜管3を得た。
<比較例2>
引抜装置として、図6に示すようにロッド20の頂部に開口面積が0.008cm2の上側吐出口21が1個設けられ、ロッド20の底部に開口面積が0.12cm2の下側吐出口22が1個設けられた構成(上側吐出口21の総開口面積は下側吐出口22の総開口面積より小さい構成)を備えた引抜装置を用いた以外は、参考例1と同様にして長さ260mmの引抜管3を得た。
Figure 0005661495
上記のようにして得られた引抜管3における焼付発生の有無、状態を調べ、下記判定基準に基づいて焼付防止性を評価した。これらの評価結果を表1に示す。
(判定基準)
「○」…焼付が全く発生しなかった
「×」…引抜管の内面の上半分の領域に焼付が発生した。
表から明らかなように、本発明の引抜方法によれば、焼付が発生していない引抜管を製造することができる。
本発明に係る金属管の引抜方法は、複数本の金属製素管の連続引抜加工において素管の内面に確実に潤滑油を付着させることができるので、感光ドラム基体用アルミニウム管の量産に適している。
1…引抜装置
2…金属製素管
3…引抜管
10…ダイス
11…プラグ
20…ロッド
21…上側吐出口
22…下側吐出口
31…ノズル(上側)
33…ノズル(下側)
H…素管の中心を通る水平面
L…潤滑油

Claims (3)

  1. 金属製素管を、外面を成形するダイスと内面を成形するプラグとの間に通すことで引抜加工する金属管の引抜方法において、
    前記プラグを支持する中空のロッドの上半分の領域に1又は複数個の上側吐出口が設けられ、前記ロッドの下半分の領域に1又は複数個の下側吐出口が設けられ、上側吐出口の総開口面積は、下側吐出口の総開口面積より大きいものとなされ、前記吐出口に前記ロッドの外周面から突出するノズルが設けられ、
    前記プラグのベアリング部を通過する前の素管の内面に潤滑油を付着させる時に、該素管の内面における上半分の領域における単位時間当たりの付着量(g/秒)を「X」とし、前記素管の内面における下半分の領域における単位時間当たりの付着量(g/秒)を「Y」としたとき、前記ロッド内に潤滑油を供給して前記上側吐出口及び前記下側吐出口から潤滑油を吐出させることによって、
    X>Y>0
    の関係式が成立するように潤滑油を付着させることを特徴とする金属管の引抜方法。
  2. 金属製素管を、外面を成形するダイスと内面を成形するプラグとの間に通すことで引抜加工する引抜装置において、
    前記プラグを支持する中空のロッドの上半分の領域に1又は複数個の上側吐出口が設けられ、前記ロッドの下半分の領域に1又は複数個の下側吐出口が設けられ、上側吐出口の総開口面積は、下側吐出口の総開口面積より大きく、
    前記吐出口に前記ロッドの外周面から突出するノズルが設けられていることを特徴とする金属管の引抜装置。
  3. 引抜方向における前記上側吐出口と前記プラグのベアリング部との距離が20cm以下である請求項に記載の金属管の引抜装置。
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