JP5661203B2 - ベーン型圧縮機 - Google Patents
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Description
(ベーン型圧縮機200の構造)
図1は、本発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機200の縦断面図であり、図2は、同ベーン型圧縮機200の圧縮要素101の分解斜視図である。また、図3は、同ベーン型圧縮機200の第1ベーン5及び第2ベーン6の平面図及び正面図であり、図4は、同ベーン型圧縮機200のブッシュ7、8の斜視図である。このうち、図1において、実線で示す矢印はガス(冷媒)の流れ、そして、破線で示す矢印は冷凍機油25の流れを示している。以下、図1〜図4を参照しながら、ベーン型圧縮機200の構造について説明する。
図5は、本発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機200における図1のI−I断面図であり、図6は、同ベーン型圧縮機200の圧縮動作を示す図である。以下、図5及び図6を参照しながら、ベーン型圧縮機200の圧縮動作について説明する。
ローターシャフト4の回転軸部4bが電動要素102の回転子22からの回転力を受け、ローター部4aは、シリンダー1の貫通部1f内で回転する。このローター部4aの回転に伴い、ローター部4aのブッシュ保持部4d、4eは、ローターシャフト4の中心を中心とする円の円周上を移動する。そして、ブッシュ保持部4d、4e内にそれぞれ保持されている一対のブッシュ7、8、並びに、その一対のブッシュ7、8それぞれの間に回転可能に挟持されている第1ベーン5のベーン部5a、及び、第2ベーン6のベーン部6aもローター部4aの回転と共に回転する。第1ベーン5及び第2ベーン6は、ローター部4aの回転による遠心力を受け、ベーンアライナー部5c、6c及びベーンアライナー部5d、6dは、ベーンアライナー軸受部2b、3bにそれぞれ押し付けられて摺動しながら、ベーンアライナー軸受部2b、3bの中心を回転中心として回転する。ここで、ベーンアライナー軸受部2b、3bとシリンダー内周面1bとは同心であるため、第1ベーン5及び第2ベーン6はシリンダー内周面1bの中心を回転中心として回転することになる。そうすると、第1ベーン5のベーン部5a、及び、第2ベーン6のベーン部6aの長さ方向がシリンダー内周面1bの中心を通るように、ブッシュ7、8が、それぞれブッシュ保持部4d、4e内で、ブッシュ中心7a、8aを回転中心として回転することになる。すなわち、ベーン先端部5b、6bの円弧形状及びシリンダー内周面1bの法線が常にほぼ一致する状態で、ローター部4aが回転することになる。
図7の「角度0°」の図においては、ベーンアライナー部5c、6cの回転方向(図7では時計方向)を矢印で示している。ただし、他の角度の図においては、ベーンアライナー部5c、6cの回転方向を示す矢印は略している。ローターシャフト4の回転により、第1ベーン5のベーン部5a及び第2ベーン6のベーン部6aがシリンダー内周面1bの中心を回転中心として回転する。これによって、ベーンアライナー部5c、6cは、図7で示されるように、凹部2a内を、ベーンアライナー軸受部2bに支持されてシリンダー内周面1bの中心を回転中心として回転する。また、同様に、ベーンアライナー部5d、6dは、凹部3a内を、ベーンアライナー軸受部3bに支持されてシリンダー内周面1bの中心を回転中心として回転する。
以上の動作において、図1で示されるように、ローターシャフト4の回転によって、油ポンプ31により油溜め104から冷凍機油25が吸い上げられ、給油路4hに送り出される。この給油路4hに送り出された冷凍機油25は、給油路4iを通ってフレーム2の凹部2aに、かつ、給油路4jを通ってシリンダーヘッド3の凹部3aに送り出される。凹部2a、3aに送り出された冷凍機油25は、ベーンアライナー軸受部2b、3bを潤滑すると共に、凹部2a、3aと連通したベーン逃がし部4f、4gに供給される。ここで、密閉容器103内の圧力は高圧である吐出圧力になっているため、凹部2a、3a及びベーン逃がし部4f、4g内の圧力も吐出圧力となる。また、凹部2a、3aに送り出された冷凍機油25の一部は、フレーム2の主軸受部2c及びシリンダーヘッド3の主軸受部3cに供給され潤滑する。
図8で示されるように、実線の矢印は冷凍機油25の流れを示している。ベーン逃がし部4f内の圧力は吐出圧力であり、吸入室9及び中間室10内の圧力よりも高いため、冷凍機油25は、ベーン部5aの側面とブッシュ7との間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室9及び中間室10に送り出される。また、冷凍機油25は、ブッシュ7とローターシャフト4のブッシュ保持部4dとの間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室9及び中間室10に送り出される。また、中間室10に送り出された冷凍機油25の一部は、ベーン先端部5bとシリンダー内周面1bとの間の隙間をシールしながら吸入室9に流入する。
なお、以上の動作は第1ベーン5に対して示したが、第2ベーン6においても同様である。
図9は、本発明の実施の形態1に係るベーン型圧縮機200における「角度0°」における図1のI−I断面図であり、図10は、図9における第1ベーン5のベーン部5a周りの要部断面図である。
以上の構成のように、上記の式(1)の関係を有するように、ベーン先端部5b、6bとシリンダー内周面1bとの間に所定の適正な隙間δを設けることによって、ベーン先端部5b、6bからの冷媒の漏れを抑制しつつ、機械損失の増大による圧縮機効率の低下を抑制し、かつ、ベーン先端部5b、6bの摩耗を抑制できる。
本実施の形態に係るベーン型圧縮機200について、実施の形態1に係るベーン型圧縮機200と相違する点を中心に説明する。
図12は、本発明の実施の形態2に係るベーン型圧縮機200の角度7hが最大となる場合の第1ベーン5のベーン部5a周りの要部断面図である。
図12で示される状態は、ローター部4aの中心とブッシュ7の中心7aを結ぶ直線7fと、シリンダー内周面1bの中心とブッシュ中心7aとを結ぶ直線7gとの成す角度7hが、ローターシャフト4の一回転中で最大となっている状態である。この状態において、切り欠き面7c、7dの端部が、ブッシュ保持部4dの内周面と最も近接するが、摺動はしないように形成されている。したがって、ローターシャフト4の回転角度がその他の角度においても、切り欠き面7c、7dの端部は、ブッシュ保持部4dの内周面とは摺動しないことになる。
なお、ブッシュ8の切り欠き面8c、8d及びブッシュ保持部4eの構成は、上記のようなブッシュ7の切り欠き面7c、7d及びブッシュ保持部4dの構成と同様である。
以上のような構成によって、実施の形態1と同様の効果を得ながら、実施の形態1よりもブッシュ保持部4d、4eの損傷の可能性がより軽減されるため、信頼性を向上することができる。
本実施の形態に係るベーン型圧縮機200について、実施の形態1に係るベーン型圧縮機200と相違する点を中心に説明する。
図13は、本発明の実施の形態3に係るベーン型圧縮機200の「角度0°」における第1ベーン5のベーン部5a周りの要部断面図である。
図13で示されるように、ブッシュ7の切り欠き面7c、7dは、上に凸となる円弧形状の曲面としている。したがって、切り欠き面7c、7dの端部が、実施の形態1の場合と比較して、丸みを帯びた形状となるので、ブッシュ保持部4dの内周面と摺動しても、ブッシュ保持部4dに対する損傷の可能性が軽減される。
なお、ブッシュ8の構成は、上記のようなブッシュ7の構成と同様である。
以上のような構成によって、実施の形態1と同様の効果を得ながら、実施の形態1よりもブッシュ保持部4d、4eの損傷の可能性がより軽減されるため、信頼性を向上することができる。
本実施の形態に係るベーン型圧縮機200について、実施の形態1に係るベーン型圧縮機200と相違する点を中心に説明する。
図14は、本発明の実施の形態4に係るベーン型圧縮機200の「角度0°」における第1ベーン5のベーン部5a周りの要部断面図である。
図14で示されるように、本実施の形態に係るベーン型圧縮機200のブッシュ7は、実施の形態1と異なり、ローター部4aの中心軸側の切り欠き面7d(図5参照)は形成されておらず、ローター部4aの外周側の切り欠き面7cのみが形成されている。これによって、実施の形態1の場合と比較して、ブッシュ7とベーン部5aとの接触面積が大きくなり、したがって、ブッシュ7とベーン部5aとの接触面圧を低減することができる。
なお、ブッシュ8の構成は、上記のようなブッシュ7の構成と同様である。
以上のような構成によって、実施の形態1と同様の効果を得ながら、ブッシュ7とベーン部5a、及び、ブッシュ8とベーン部6aとの接触面圧を低減することができるので、ブッシュ7、8及びベーン部5a、6aの摩耗を低減することが可能となり、信頼性を向上することができる。
本実施の形態に係るベーン型圧縮機200について、実施の形態1に係るベーン型圧縮機200と相違する点を中心に説明する。
図15は、本発明の実施の形態5に係るベーン型圧縮機200の第1ベーン5及び第2ベーン6の平面図であり、図16は、同ベーン型圧縮機200の圧縮動作を示す図である。
図15で示されるように、Bは、ベーン部5a、6aの長さ方向を示す線であり、Cは、ベーン先端部5b、6bの円弧形状の法線である。したがって、ベーンアライナー部5c、5d、6c、6dに対して、ベーン部5a、6aは、Bの方向に傾いて取り付けられている。また、ベーン先端部5b、6bの円弧の法線Cは、線Bに対して傾いており、ベーンアライナー部5c、5d、6c、6dを形成する円弧の中心を通るように形成されている。
以上のような構成においても、図6で示される実施の形態1と同様に、ベーン先端部5b、6bの円弧形状及びシリンダー内周面1bの法線が常にほぼ一致する状態で圧縮動作を行うことができ、ベーン先端部5b、6bとシリンダー内周面1bとは常に微小な隙間を保ちつつ、非接触で回転することが可能である。
本実施の形態においても、ベーン先端部5b、6bの円弧形状及びシリンダー内周面1bの法線が常にほぼ一致する状態で圧縮動作を行うことができ、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
本実施の形態に係るベーン型圧縮機200について、実施の形態1に係るベーン型圧縮機200と相違する点を中心に説明する。実施の形態1に係るベーン型圧縮機200においては、ベーン先端部5b、6bが、シリンダー内周面1bに接触しない構成について説明したが、本実施の形態においては、ベーン先端部5b、6bが、シリンダー内周面1bに接触する構成について説明する。
なお、このベーンアライナー部12、14は、実施の形態1におけるベーンアライナー部5d、6dに相当するものである。
なお、このベーンアライナー部13、15は、実施の形態1におけるベーンアライナー部5c、6cに相当するものである。
なお、この背面溝16bは、第1ベーン部16のシリンダー内周面1bの中心側の端面において、その中心軸方向全長にわたって形成するものとしてもよい。また、第1ベーン部16及びベーン先端部16aは、それぞれ実施の形態1におけるベーン部5a及びベーン先端部5bに相当するものである。
なお、この背面溝17bは、第2ベーン部17のシリンダー内周面1bの中心側の端面において、その中心軸方向全長にわたって形成するものとしてもよい。また、第2ベーン部17及びベーン先端部17aは、それぞれ実施の形態1におけるベーン部6a及びベーン先端部6bに相当するものである。
図19で示されるように、実線の矢印は冷凍機油25の流れを示している。ベーン逃がし部4f内の圧力は吐出圧力であり、吸入室9及び中間室10内の圧力よりも高いため、冷凍機油25は、第1ベーン部16の側面とブッシュ7との間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室9及び中間室10に送り出される。また、冷凍機油25は、ブッシュ7とローターシャフト4のブッシュ保持部4dとの間の摺動部を潤滑しながら、圧力差及び遠心力によって吸入室9及び中間室10に送り出される。
なお、以上の動作は第1ベーン部16に対して示したが、第2ベーン部17においても同様である。
以上の構成のように、第1ベーン部16のベーン先端部16a及び第2ベーン部17のベーン先端部17aが、シリンダー内周面1bと摺動する動作となるが、流体潤滑状態となるので、ベーン先端部16a、17aとシリンダー内周面1bとの摺動損失は低減される。また、これによって、圧縮動作においてベーン先端部16a、17aとシリンダー内周面1bとの間からの冷媒の漏れも少なくなる。
Claims (7)
- 密閉容器と、該密閉容器内に収容された電動要素と、冷媒を圧縮する圧縮要素とを有し、
該圧縮要素が、
円筒状の内周面が形成されたシリンダーと、
該シリンダーの内部において、前記内周面の中心軸と所定の距離ずれた回転軸を中心に回転する円筒形状のローター部、及び、該ローター部に前記電動要素からの回転力を伝達する回転軸部を有したローターシャフトと、
前記シリンダーの前記内周面の一方の開口部を閉塞し、主軸受部によって前記回転軸を支承するフレームと、
前記シリンダーの前記内周面の他方の開口部を閉塞し、主軸受部によって前記回転軸を支承するシリンダーヘッドと、
前記ローター部に設けられ、前記ローター部内から突出する先端部が外側に凸となる円弧形状に形成された少なくとも1枚のベーンと、
を備えたベーン型圧縮機において、
前記ベーンの前記先端部の前記円弧形状の法線と、前記シリンダーの前記内周面の法線とが常にほぼ一致する状態で、前記ベーン、前記ローター部の外周部、及び前記シリンダーの前記内周面によって囲まれる空間で冷媒を圧縮するように前記ベーンを支持し、前記ベーンを前記ローター部に対して回転可能かつ移動可能に支持するベーン支持手段を備え、
該ベーン支持手段は、
前記ローター部の外周部近傍に、前記ローター部の中心軸方向に垂直な断面が略円形となるように該中心軸方向に貫通したブッシュ保持部と、
該ブッシュ保持部の中に挿入される一対の略半円柱状物であり、前記ブッシュ保持部内で前記ベーンを挟持するブッシュと、
前記ベーンにおける前記シリンダーの前記内周面の中心側の端面が、前記ローター部に接触しないように、前記ローター部において該ローター部の中心軸方向に貫通したベーン逃がし部と、
によって構成され、
前記ベーンの前記先端部の前記円弧形状の曲率半径は、前記シリンダーの前記内周面の曲率半径と略同一であり、
前記ブッシュは、その前記ローター部の中心側及び外周側の両端部のうち、少なくとも該外周側の端部を、冷媒の圧縮動作中に前記シリンダーの前記内周面に接触しないように切り欠いて形成された切り欠き面を有した
ことを特徴とするベーン型圧縮機。 - 前記ブッシュ保持部は、該ブッシュ保持部の半径と、前記ベーンの回転中心と前記ローター部の中心との距離との和が、前記ローター部の半径よりも大きくなるように形成された
ことを特徴とする請求項1記載のベーン型圧縮機。 - 前記ブッシュの前記切り欠き面は、冷媒の圧縮動作中、常に、該切り欠き面の端部が、前記ブッシュ保持部に摺動しないように形成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のベーン型圧縮機。 - 前記ブッシュの前記切り欠き面は、上に凸となる円弧形状の曲面となるように形成された
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のベーン型圧縮機。 - 前記ブッシュの前記切り欠き面は、前記ブッシュの前記ローター部の外周側の端部のみに形成された
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記ベーンは、前記フレーム側かつ前記ローター部の中心側の端面近傍、及び、前記シリンダーヘッド側かつ前記ローター部の中心側の端面近傍に設けられた一対の部分リング形状のベーンアライナー部を有し、
前記フレーム及び前記シリンダーヘッドの前記シリンダー側の端面に、前記シリンダーの前記内周面と同心の凹部又は溝部が形成され、
前記ベーンアライナー部は、前記凹部又は前記溝部内に嵌入され、該凹部又は該溝部の外周面であるベーンアライナー軸受部で支承された
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。 - 前記ローターシャフトは、前記ローター部と前記回転軸とが一体に形成されて構成された
ことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のベーン型圧縮機。
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