JP5660867B2 - 色素成分の測定方法及び測定用試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、試料中の色素成分を定量する方法および定量用試薬、特に酪農分野における、家畜の健康状態、栄養状態を把握するために行う、生体試料中の色素成分、特にβカロテンを定量する方法および定量用試薬に関する。
試料中の成分を定量する方法には、高速液体クロマトグラフィー(以下HPLCと略)法、各種質量分析や光学的手法が挙げられる。
光学的手法としては、吸光度測定による比色法が広く用いられている。一般的な比色法は、定量対象となる成分を試薬や酵素と反応させ、反応前後における吸光度変化を測定するというものであり、例えば特許文献1には、ビリルビンを測定するために、試料にビリルビンオキシターゼを作用させそれにより生じる変化を光学的に測定する方法が記載されている。
また、定量対象と試薬との反応を妨害する成分の影響を回避するため、前処理により妨害物質を分解等して、影響を解消する方法も用いられている。特許文献2には、生体試料中に多量に存在する可能性のあるビリルビン、溶血の影響((1)ビリルビン、溶血のもつ還元作用、および(2)ビリルビン、溶血の吸収極大付近を測定波長または2波長測定とする測定においてビリルビン、溶血に起因する吸光度変化)による測定値の誤差を回避するために、生体処理を過酸化物の存在下で前処理し、続いて前処理された生体試料中の成分を測定する方法が記載されている。しかし該前処理は、定量対象と試薬との反応を妨害する物質を除去することを主な目的としているため、前記過酸化物の反応特異性、選択性については全く検討されていない。
以上のように従来の吸光度法は、測定対象成分とその測定対象成分と特異的に反応する試料を作用させ、その反応前後を比較するものであり、重複または近接する測定波長に吸収をもつ2種または3種以上の色素成分が混在している場合に、測定対象成分に影響を与えずに、同波長に吸収をもつ測定対象以外の色素成分の影響を回避する方法は知られていない。
一方、定量方法として、βカロテンのような成分の測定においては、HPLC法が主として用いられている。HPLC法は、有機溶媒等を用いた検体前処理を必要とし、多くの時間と経費を要することに加え、抽出や遠心分離を行うための特別の機器を必要とするため、日常的に多数検体を処理することは容易ではなく(非特許文献1)、また多量の廃液をもたらす。
そこで、非特許文献2には、例えばβカロテンの測定において、HPLC法を使用せず、抽出溶液を分光光度計で測定するといった方法も報告されているが、HPLC法と同様の抽出操作を必要とするため、多数検体を処理するのは容易ではない。また、廃液の処理に関する問題も解決されていない。
βカロテンは、ビタミンAの前駆体としてビタミンAと同様に、発育、成長、分化、生殖等に欠かすことのできない重要な物質であり、またビタミンAの前駆物質であるだけでなく、抗酸化作用や免疫能向上に対する重要性が指摘されている。
さらに、非特許文献2には、ウマやウシにおいて、βカロテンはビタミンA前駆物質として乳房炎や胎盤停滞などの疾病を防ぐ役割の他に、単独で卵巣機能へ作用することも明らかにされている。血清中βカロテン濃度が100μg/dL以下の牛は繁殖障害の発生が高いという結果が認められている。さらに、粗飼料中のβカロテン含量が高い場合と低い場合でのβカロテンおよびビタミンA製剤の添加効果について検討が行われ、βカロテン製剤添加により、繁殖性向上への効果がみとめられたと述べている。
また、乳牛においては、血中βカロテン濃度を維持することは、繁殖成績の向上または乳質の向上に効果があるとされ、肉牛においては、血中βカロテンを一定濃度に抑えることは、肉質の向上に効果があるとされている。
また、肥育牛の肉質の向上のため、ある一定月齢期にレチノール濃度を低く維持する飼育法(レチノール制御)が近年かなり普及している。そのため、飼料に配合するイナワラのレチノール濃度を低く抑える他に、レチノール前駆体であるβカロテンの濃度も低く抑える必要がありβカロテン含量が低いイネ品種の改良が行われている。その効果を確認したり、レチノール制御の状態を確認したりする際にも、血中レチノール濃度とともに血中βカロテン濃度の測定が重要になっている。
しかしながら、上記のとおり、従来技術において、生体試料中のβカロテンのHPLC法による測定には数々の問題があったため、本来家畜の健康状態、栄養状態を把握するのに必要であるβカロテンの検査は十分に実施できていなかった。
そのため、有機溶媒などを用いた、煩雑な前処理操作を必要とせず、簡易に検体中の色素成分、特にβカロテンを測定する測定方法ならびに測定用試薬の提供が長い間望まれていた。
特開2006−34178号公報 特開2006−81471号公報
厚生労働省監修、食品衛生検査指針 理化学編、日本食品衛生協会、1991年6月25日、第一章、6、(7)、p.54〜60) 小野 斉、グリーンテクノ情報、NPO法人 グリーンテクノバンク、2008、Vol.4 No.2
本発明の課題は、抽出などの煩雑な前処理操作を必要とせずに、色素成分、特に生体試料中のβカロテンを簡易に定量する分析方法および同分析方法に用いる試薬を提供することにある。
本発明者らは、上記事情に鑑み鋭意検討した結果、定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが定量対象とする色素成分は退色させない物質を含有する試薬を添加し、その後定量対象とする色素成分を退色させる試薬を添加するという、試料中の成分を選択的に順次退色させるという新規な方法を見出し、これによりβカロテンなどの生体試料中の色素成分を、煩雑な前処理を行わなくても、簡易に測定することができる本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下に関する。
(a)試料中の色素成分を定量する分析方法であって、定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質を含有する試薬を添加する工程を含む、前記分析方法。
(b)さらに、定量対象とする色素成分を退色させる物質を含有する試薬を添加する工程を含む、(a)に記載の分析方法。
(c)試料が生体試料である、(a)または(b)に記載の分析方法。
(d)定量対象とする色素成分がβカロテンである、(a)〜(c)のいずれかに記載の分析方法。
(e)定量対象とする色素成分以外の色素成分が、ビリルビンである、(d)に記載の分析方法。
(f)生体試料が、血清および/または血漿である(c)〜(e)のいずれかに記載の分析方法。
(g)生体試料が、ウシ由来である、請求項(c)〜(f)のいずれか一項に記載の分析方法。
(h)(a)〜(g)のいずれかに記載の分析方法に用いる試薬であって、定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質を含有する、前記試薬。
(i)定量対象とする色素成分が、βカロテンである、(h)に記載の試薬。
(j)定量対象とする色素成分以外の色素成分が、ビリルビンである、(i)に記載の試薬。
(k)定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質が、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選択される1種又は2種以上である、(h)〜(j)のいずれかに記載の試薬。
(l)定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質が、過酸化水素である、(k)に記載の試薬。
(m)(b)〜(g)のいずれかに記載の分析方法に用いる試薬であって、定量対象とする色素成分を退色させる物質を含有する、前記試薬。
(n)定量対象とする色素成分がβカロテンである、(m)に記載の試薬。
(o)定量対象とする色素成分を退色させる物質が、亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウムおよびN−ブロモスクシンイミドからなる群から選択される1種又は2種以上である、(m)または(n)に記載の試薬。
(p)定量対象とする色素成分を退色させる物質が亜硝酸ナトリウムである、(o)に記載の試薬。
(q)試料中の色素成分を定量する分析方法に用いるための試薬セットであって、試料中の定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質を含有する試薬、および定量対象とする色素成分を退色させる物質を含有する試薬を含む、前記試薬セット。
(r)試料が生体試料である、(q)に記載の試薬セット。
(s)定量対象とする色素成分がβカロテンである、(q)または(r)に記載の試薬セット。
(t)定量対象とする色素成分以外の色素成分が、ビリルビンである、(q)〜(s)のいずれかに記載の試薬セット。
(u)定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質が過酸化水素であり、定量対象とする色素成分を退色させる物質が亜硝酸ナトリウムである、(q)〜(t)のいずれかに記載の試薬セット。
(v)自動分析装置を用いる、(a)〜(g)のいずれかに記載の方法。
本発明は、煩雑な前処理(溶媒抽出操作等)を必要とせず、簡易に試料(生体試料を含む)中の色素成分、特にβカロテンを測定できるため、自動分析装置への適用が可能である。また本発明では有機溶媒を使用しないため、有機溶媒廃液を処分する必要がない。さらに本願発明は酵素を含有しない試薬を用いることができるため、酵素法によって懸念される、劣化を考慮する必要がなく、保存安定性に優れた試薬を提供することができる。
したがって、本発明により、βカロテンのような色素成分の測定を容易に行えるようになり、家畜の健康状態や栄養状態の把握のために検査を必要とする現場に、大いに貢献するものである。
図1はβカロテンの濃度と吸光度変化量の関係を示すグラフである。 図2は、ウシ血清を用いたHPLC法と本発明法との相関性を示すグラフである。
本発明は、試料中の色素成分を定量する分析方法であって、定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質を含有する試薬(以下、第一試薬という)を添加する工程を含む、前記分析方法であり、試料としては、生体試料および食品(飲料を含む)が挙げられる。
生体試料としては、これに限定するものではないが、ヒトまたは動物由来の血液、特に血清および/または血漿または尿が挙げられる。本発明は、特に、ウシ由来の血清および/または血漿中のβカロテンの測定に有効である。
定量対象とする色素成分としては、あらゆる色素成分が対象となり得るが、例えばリコピン、βカロテン等が挙げられる。
定量対象とする色素成分がβカロテンの場合βカロテンは、450nm付近に吸収を持つ色素であるため、純品であれば450nmの吸光度を測定することで濃度の測定を行うことができる。しかしながら、血清(血漿)中には、450nm付近に吸収を持つ物質が他にも多く含まれているβカロテン以外の色素成分としては、ビリルビンやヘモグロビンが上げられる。しかし、ヘモグロビンは赤血球中に存在する成分であり、何らかの要因により、赤血球が破損しなくては、血清もしくは血漿中に放出されないため、最も主たる色素成分はビリルビンである。
本発明は、これに限定するものではないが、色素成分の退色を、酸化反応を利用して行なうことができる。ここで、例えばβカロテンを定量対象とする場合、定量対象ではないビリルビンも、酸化反応により容易に退色するため、ビリルビンに特異的な酸化剤を用いて、ビリルビンを選択的に退色させた後βカロテンを退色させるという本発明の方法は、極めて画期的である。
定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質としては、このような性質を有する物質であれば、特に限定されないが、例えば、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸銅(II)五水和物、バナジン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。第一試薬は、これら物質の1種又は2種以上を含有する。
定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分がビリルビンであり、定量対象とする色素成分がβカロテンである場合、ビリルビンとの反応性およびβカロテンを退色させる物質との組み合わせの観点から、前記定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質は、好ましくは過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、より好ましくは過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムであり、特に好ましくは過酸化水素である。
特に、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムがビリルビンに対し高い反応性を示す理由については必ずしも明らかではないが、−O−O−結合を有する物質が、ビリルビンに対し高い反応性を示すことが考えられる。
定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させる物質の添加量は物質によりその至適量は異なるが、例えば、過酸化水素の場合は、0.5〜50mmol/Lであり、好ましくは1.0〜15mmol/L、さらに好ましくは2.5〜10mmol/Lであり、次亜塩素酸ナトリウムの場合は、3.0〜200mmol/Lであり、好ましくは15〜150mmol/L、さらに好ましくは30〜100mmol/Lであり、過ホウ酸ナトリウムの場合は、0.5〜100mmol/Lであり、好ましくは1.0〜50mmol/L、さらに好ましくは2.5〜50mmol/Lであり、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムの場合は、0.5〜50mmol/Lであり、好ましくは1.0〜50mmol/L、さらに好ましくは2.5〜50mmol/Lである。
本発明は、さらに、定量対象とする色素成分を退色させる物質を含有する試薬(以下、第二試薬という)を添加する工程を含む。定量対象とする色素成分を退色させる物質としては、亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、N−ブロモスクシンイミド等が挙げられる。第二試薬は、これら物質の1種又は2種以上を含有する。
定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分がビリルビンであり、定量対象とする色素成分がβカロテンである場合、ビリルビンとの反応性およびβカロテンを退色させる物質との組み合わせの観点から、前記定量対象とする色素成分を退色させる物質は、好ましくは亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、N−ブロモスクシンイミドであり、より好ましくは亜硝酸ナトリウムである。
特に、亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、N−ブロモスクシンイミドがβカロテンに対し高い反応性を示す理由については、必ずしも明らかではないが、亜硝酸ナトリウムにおいては、ビリルビンを退色させる物質間との相互作用(酸化反応)が生じることなくβカロテンとの酸化反応が進行すると考えられる。過ヨウ素酸ナトリウム、N−ブロモスクシンイミドに関しては、酸化還元電位(酸化力)が高い値を示すことが関係していると考えられる。
定量対象とする色素成分を退色させる物質の添加量は物質によりその至適量は異なるが、例えば、亜硝酸ナトリウムの場合では、第二試薬中で0.5〜200mmol/Lであり、好ましくは2.5〜100mmol/L、さらに好ましくは15〜60mmol/Lであり、過ヨウ素酸ナトリウムの場合は、5〜200mmol/Lであり、好ましくは5〜100mmol/L、さらに好ましくは10〜50mmol/Lであり、N−ブロモスクシンイミドの場合は、0.5〜50mmol/Lであり、好ましくは2.5〜20mmol/L、さらに好ましくは5〜15mmol/Lである。
本発明に色素成分の退色には、酸化反応を利用することが好ましい。本発明者らは、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質ならびに定量対象とする色素成分を退色する物質の酸化還元電位から、ある程度の傾向を予測することが可能であることもまた見出した。
第一試薬のpHは3.0〜7.0が良く、好ましくは4.5〜6.5、さらに好ましくは5.5〜6.5である。pHを維持するために、コハク酸や、グッド緩衝液(MES)、Tris−HClなどの緩衝剤を用いることができる。その他、必要に応じてTriton X405、Triton X100、LMTなどの界面活性剤やProclin 300、Kathon CG、などの防腐剤を添加することもできる。
第二試薬のpHは2.0〜8.0が良く、好ましくは3.0〜7.0、さらに好ましくは3.5〜6.0である。pHを維持するためにコハク酸や、酢酸、クエン酸、グッド緩衝液(MES)などの緩衝剤を用いることができる。その他、必要に応じてTriton X405、Triton X100、LMTなどの界面活性剤やProclin 300、Kathon CGなどの防腐剤を添加することもできる。界面活性剤は、βカロテンなどの定量対象とする色素成分の溶解性を上げる効果を有し、自動分析装置などの短時間での反応が求められる場合に効果的である。
本発明の試料中の色素成分を定量する分析方法に用いるための試薬セットは、試料中の定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させるが、定量対象とする色素成分は退色させない物質を含有する試薬(第一試薬)、および定量対象とする色素成分を退色させる物質を含有する試薬(第二試薬)を含む。
本発明者らは、この第一試薬と第二試薬の組み合わせにより、第二試薬と定量対象とする色素成分との反応性が異なることをも見出した。とりわけ、過酸化水素と亜硝酸ナトリウムとの組み合わせ、過硫酸アンモニウムとN−ブロモスクシンイミドとの組み合わせ、過ホウ素酸ナトリウムと亜硝酸ナトリウムとの組み合わせが、βカロテンとの高い反応性を有する。
この理由については、必ずしも明らかではないが、第一試薬に第二試薬を追加することにより生じる、ビリルビンを退色させる物質とβカロテンを退色させる物質間における酸化反応などの相互作用に対し、第二試薬とβカロテンとの酸化反応が優先して進行しているためと考えられる。
本発明の試薬セットに含まれる各成分の濃度、試薬のpH、および/または反応温度などの反応条件は、第一試薬と第二試薬との組み合わせにより、適宜変更することができる。典型的には、第一試薬のpHが、3.0〜7.0、好ましくは4.5〜6.5、さらに好ましくは5.5〜6.5であり、第二試薬のpHが2.0〜8.0、好ましくは3.0〜7.0、さらに好ましくは3.5〜6.0である。反応温度はこれに限定されないが、好ましくは汎用の自動分析装置において分析することができる室温付近の温度であり、より好ましくは20〜40℃であり、さらに好ましくは37℃である。また、反応中は、第一試薬と第二試薬で反応温度は同一であることが好ましい。
本発明によれば、定量対象とする色素成分を含む生体試料と第一試薬とを混合し、試料中に共存する定量対象とする色素成分の測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、定量対象とする色素成分以外の色素成分を退色させた後、吸光度Aを測定し、さらに該反応溶液と第二試薬とを混合し、試料中のβカロテン退色させた後、吸光度Bを測定し、測定した吸光度Aと吸光度Bからβカロテンの濃度を算出することができる。
定量対象とする色素成分を算出する方法は、定量対象とする色素成分の標準液を使用し、その変化量を基準としても良いし、定量対象とする色素成分の測定波長における吸光係数から算出しても良い。
標準液を用いた場合の計算式
定量対象とする色素成分の濃度(μg/dL)=(吸光度A×(S+R1)/T−吸光度B)×C
S:検体量、R1:第一試薬量、T:全反応液量、C:標準液濃度(μg/dL)
吸光係数を用いた場合の計算式
定量対象とする色素成分の濃度(μg/dL)=((吸光度A×(S+R1)/T−吸光度B)×T)/(E1% cm×S)×10
S:検体量、R1:第一試薬量、T:全反応液量、E1%cm:吸光係数(1%)
吸光度の測定は、定量対象とする色素成分が極大吸収を示す波長付近で行なうのが望ましい。定量対象とする色素成分がβカロテンの場合は、450〜500nm付近が望ましい。
本発明によるβカロテンの測定は、U−3200形、U−3300形などの分光光度計、H−7170S形、H−7180形、BM−1650形などの汎用型自動分析装置などで行うことができる。
特に、本発明は、大量の試料を短時間で測定できる自動分析装置を用いて測定を行うことができる点において、格別の利点を有する。自動分析装置を用いる場合には、要求される平均反応時間が、第一試薬反応および第二試薬反応に対して、それぞれ5分程度と大変短い。本発明の試薬は、この短時間に反応を完結することができる。
以下に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
〔実施例1〕
以下に示す条件で、各種物質がβカロテン及びビリルビンを退色させるかを調査した。
検体βカロテン標準液279μg/100ml(水溶性バイオカロテン 協和発酵バイオ(株)製を生理食塩水に溶解して調製)
ビリルビン標準液 2.6mg/100ml(ビリルビン標準液 関東化学(株)製を精製水で希釈して調製)
測定にはJCA-BM1650形自動分析装置を使用した。また、酸化還元電位の測定は、マルチ水質計MM60Rにより測定した。
試薬組成を表1、測定条件を表2、測定結果を表3に示す。
Figure 0005660867
Figure 0005660867
Figure 0005660867
注:無添加試薬と比較し、退色させる効果が認められたものは○、退色させる効果が認められないものは×で示した。
過ホウ酸ナトリウム、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、バナジン酸アンモニウム、硫酸銅(II)五水和物、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムではβカロテンの退色は認められず、ビリルビンのみに退色が認められることから、βカロテンの測定波長と重複または近接する波長に吸収を持つ、βカロテン以外の色素成分を退色させるがβカロテンは退色させない物質として使用できることが分かる。亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過ヨウ素酸カリウム、N−ブロモスクシンイミドはビリルビンも退色させるがβカロテンを退色させる効果が認められることから、βカロテンの色素を退色させる物質として使用することができる。
〔実施例2〕
以下に示す条件で、以下に示す検体の測定を行った。
検体:830μg/100mL βカロテン標準液を10段階に希釈したもの 測定試薬の組成を、表4に示す。
測定にはJCA-BM1650自動分析装置を使用した。測定パラメーターは表2と同様である。
Figure 0005660867
測定結果を図1に示す。
図1に示すようにβカロテンの濃度に依存して吸光度変化量が増加することが確認された。
〔実施例3〕
以下に示す条件で、ウシ血清中のβカロテンの測定を行い、対照法(HPLC)法との比較を行った。
測定試薬の組成は、表4と同様である。
測定にはJCA-BM1650自動分析装置を使用した。測定パラメーターは表2と同様である。
検体:ウシ血清
対照法のHPLC法は、「平成13年度 家畜保健衛生所年報 第43回岐阜県家畜保健衛生業績発表会全文 ビタミンA、βカロチンおよびビタミンE定量のための血清(血漿)処理方法の検討」に記載の方法で行った。測定結果を図2に示す。
ウシ血清を用いた 対照法のHPLC法と本発明法との相関性は、相関係数 r=0.9792と相関性が認められた。
〔実施例4〕
以下に示す条件で、第一試薬と第二試薬との組み合わせに対する、第二試薬とβカロテンとの反応性ついて調査した。測定には、H−7170S形自動分析装置を使用した。試薬組成を表5、測定条件を表6、測定結果を表7に示す。
Figure 0005660867
Figure 0005660867
Figure 0005660867
過酸化水素と亜硝酸ナトリウムの組み合わせを100%としたときの、第二試薬とβカロテンとの反応性から、組み合わせにより反応性が異なることが分かる。いずれの組み合わせも、正確に濃度換算を必要としない、濃度の大小のみを比較する場合には、問題なく使用することができる。濃度換算が必要な場合には、正確度の観点から過酸化水素と亜硝酸ナトリウムの組み合わせを100%としたときの相対値が50%〜120%が好ましい。
本発明は、生体試料の前処理を行わずに簡便に色素成分を定量する分析方法および分析試薬を提供することができ、特にβカロテンを定量においては、畜産分野においてウシの繁殖力の維持、生産性の向上などに利用される。

Claims (15)

  1. 試料中のβカロテンを定量する分析方法であって、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸銅(II)五水和物、バナジン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の物質を含有する試薬を添加する工程を含む、前記分析方法。
  2. さらに、βカロテンを退色させる物質を含有する試薬を添加する工程を含む、請求項1に記載の分析方法。
  3. 試料が生体試料である、請求項1または2に記載の分析方法。
  4. 生体試料が、血清および/または血漿である請求項3に記載の分析方法。
  5. 生体試料が、ウシ由来である、請求項3または4に記載の分析方法。
  6. 試料中のβカロテンを定量する分析方法に用いるための試薬であって、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸銅(II)五水和物、バナジン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の物質を含有する、前記試薬。
  7. 物質が、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項6に記載の試薬。
  8. 物質が、過酸化水素である、請求項7に記載の試薬。
  9. 請求項2〜5のいずれか一項に記載の分析方法に用いる試薬であって、βカロテンを退色させる物質を含有する、前記試薬。
  10. βカロテンを退色させる物質が、亜硝酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウムおよびN−ブロモスクシンイミドからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項9に記載の試薬。
  11. βカロテンを退色させる物質が亜硝酸ナトリウムである、請求項10に記載の試薬。
  12. 試料中のβカロテンを定量する分析方法に用いるための試薬セットであって、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、硫酸銅(II)五水和物、バナジン酸アンモニウム、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウムからなる群から選択される1種又は2種以上の物質を含有する第一試薬、およびβカロテンを退色させる物質を含有する第二試薬を含む、前記試薬セット。
  13. 試料が生体試料である、請求項12に記載の試薬セット。
  14. 第一試薬に含有される物質が過酸化水素であり、βカロテンを退色させる物質が亜硝酸ナトリウムである、請求項12または13に記載の試薬セット。
  15. 自動分析装置を用いる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
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