JP5660595B2 - 導電紙とその製造方法、導電性セルロース組成物とその製造方法、物品、電子デバイス - Google Patents

導電紙とその製造方法、導電性セルロース組成物とその製造方法、物品、電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、導電紙とその製造方法、導電性セルロース組成物とその製造方法、物品、及び電子デバイスに関する。
紙は、水の付加および/または除去によってセルロースからなる植物繊維間の水素結合を制御できるため、リサイクルするのに理想的である。将来において持続可能な社会を実現するには、産業が変化し、紙のようにリサイクル可能な天然材料を用いる必要がある。エレクトロニクスも例外であってはならない。しかし、植物繊維はそもそも非導電性であるため、紙の電子的な用途はこれまで非常に限られていた。
例えば、下記特許文献1には、導電性高分子を内添した紙パルプを抄紙して導電性高分子複合紙を得ることが提案されている。
特開2000−160500号公報
しかし、同公報の図1からもわかるように、この紙は高々1S/cm程度の導電率しか示さず、電気・電子的な用途に用いるには導電性があまりにも不十分なものであった。
本発明は、上記事情に鑑みて成されたものであって、電子デバイスにも十分適用できる優れた導電性を備えた導電紙、及び導電性セルロース組成物と、それらの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の導電紙は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質が導電性ポリマーであることを特徴とする。
本発明の導電紙は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする。
本発明の導電紙は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、イオン液体を含むことを特徴とする。
本発明の導電性セルロース組成物は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質が導電性ポリマーであることを特徴とする。
本発明の導電性セルロース組成物は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする。
本発明の導電性セルロース組成物は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、イオン液体を含むことを特徴とする
本発明の導電紙の製造方法は、イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、前記混合物にセルロースを分散させることにより、前記セルロースと前記導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態となった導電性セルロースを含む分散液を調製する工程2と、前記分散液を乾燥させる工程3と、を有することを特徴とする。
本発明の導電性セルロース組成物の製造方法は、イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、前記混合物にセルロースを分散させることにより、前記セルロースと前記導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態となった導電性セルロースを含む分散液を調製する工程2と、を有することを特徴とする。
この導電紙は、セルロースと導電性物質とが互いに絡み合って相互に均一に分散した構造を有する。本発明の導電紙によれば、セルロースと導電性物質との混和物である導電性セルロースが絡み合って固体を構成しているため、内部に導電性物質のネットワークが形成され、良好な導電性を呈する。
セルロースと導電性物質の混和の程度は、これらの混和物を分散媒に分散させたときに相分離しない程度であればよい。さらにセルロースと導電性物質とが相互に分離不可能な程度に混合されていると、より良好な導電性が得られ、またリサイクル性にも優れた導電紙となる。
上記導電紙は、イオン液体を含むものであってもよい。本発明の導電紙は、その製造工程にイオン液体を用いる。イオン液体を含んでいる場合、より良好な導電率が得られる。また、液体成分であるため、カーボンナノチューブや導電性ポリマーなどの硬いものが多い導電性物質の添加による硬化を抑えることができ、柔らかく質感に優れた導電紙とすることができる。すなわち、イオン液体は導電紙の可塑剤としても作用する。
上記導電紙は、液体に溶かして再生可能である。すなわち本発明の導電紙は、通常の紙と同様に極めて容易にリサイクルすることが可能である。
上記導電紙は、導電率が1S/cm以上であることが好ましい。本発明の導電紙における導電率に制限はないが、1S/cm以上であれば、導電性部材として好適に用いることができる。さらに、導電率は50S/cm以上であることが好ましく、この程度の導電率があれば電子デバイスの配線等に好適に用いることができる。
上記導電紙は、導電性物質がカーボンナノチューブであることが好ましく、カーボンナノチューブの長さが1μm以上10cm以下であることがより好ましい。
また上記導電紙は、導電性物質が導電性ポリマーであることも好ましい。
本発明の導電紙を構成する導電性物質として、カーボンナノチューブ又は導電性ポリマーを用いることで、優れた導電率を有する導電紙を構成することができる。
上記導電紙は、イオン液体が親水性である構成とすることもできる。この構成によれば、親水性の導電紙が得られる。また、イオン液体が疎水性である構成とすれば、疎水性の導電紙を得ることができる。
上記導電紙では、他の導電性物質が混在していることも好ましい。この構成によれば、さらに導電性を向上させたり、機械的特性を向上させることもできる。上記他の導電性物質としては、例えば金属や導電性ポリマーを用いることができる。
次に、本発明の導電性セルロース組成物は、セルロースと導電性物質とが混和していることを特徴とする。この構成によれば、導電紙の構成材料として、あるいは導電性を有する液体材料として好適な導電性セルロース組成物を提供することができる。セルロースと導電性物質とが混和していることで、これらの混和物である導電性セルロースは分散媒に均一に分散して相分離しない分散液となる。
上記導電性セルロース組成物は、イオン液体を含んでいてもよい。イオン液体を含む場合、イオン液体が導電性物質とセルロースの双方に親和性を示すため、導電性物質とセルロースとがより均一に相互に分散した導電性セルロース組成物となる。導電性セルロース組成物の製造工程ではイオン液体が用いられるため、通常は、導電性セルロース組成物はイオン液体を含むものとなる。
上記導電性セルロース組成物は、他の導電性物質が混在していてもよい。この構成によれば、他の導電性物質によってさらに導電性セルロース組成物に機能性を付与することができる。
上記導電性セルロース組成物は、ペースト状、又はゲル状、又は液状であることが好ましい。このような液体組成物とすることで、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサーなどを含むあらゆる印刷機のインク(液体材料)として用いて所定のパターンに印刷することができる導電性セルロース組成物となる。
本発明の物品は、本発明の導電紙、又は本発明の導電性セルロース組成物を備える。
また本発明の電子デバイスは、本発明の導電紙、又は本発明の導電性セルロース組成物を備える。
本発明の導電紙の製造方法は、イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、前記混合物にセルロースを分散させて分散液を調製する工程2と、前記分散液を乾燥させる工程3と、を有する。
この製造方法によれば、イオン液体の作用により導電性物質とイオン液体とが均一に分散した混合物を得ることができ、さらにこの混合物にセルロースを加えたときにも、イオン液体の作用によってセルロースと導電性物質とイオン液体とが均一に分散した分散液を得ることができる。これにより、セルロースと導電性物質とが混和した導電性セルロースを含む分散液を得ることができる。そして、分散液を乾燥させることで、導電性セルロースを有する導電紙を製造することができる。
上記導電紙の製造方法は、前記分散液の乾燥物から、前記イオン液体を除去する工程4、をさらに有していてもよい。この製造方法によれば、導電紙からイオン液体を除去し、回収することができる。そして、回収したイオン液体は再利用できるため、導電紙の製造コストを大幅に低減することができる。
上記導電紙の製造方法では、前記イオン液体が親水性である場合に、前記分散液を調製する工程で分散媒として水を添加することが好ましい。この製造方法によれば、導電性物質とセルロースとが均一に分散された導電性セルロースを有する親水性の導電紙を製造することができる。
上記導電紙の製造方法では、前記イオン液体が疎水性である場合に、前記分散液を調製する工程で水以外の分散媒を添加することが好ましい。この製造方法によれば、導電性物質とセルロースとが均一に分散された導電性セルロースを有する疎水性の導電紙を製造することができる。水以外の分散媒としては、例えばエタノールやメタノールなどの親水性有機溶剤を用いることができ、セルロースの種類に応じて適宜変更してもよい。
本発明の導電性セルロース組成物の製造方法は、イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、前記混合物にセルロースを分散させて分散液を調製する工程2と、を有することを特徴とする。この製造方法によれば、導電性物質とセルロースとが混和した導電性セルロースが分散された分散液としての導電性セルロース組成物を製造することができる。
本発明によれば、セルロースと導電性物質を混和させたことで、高い導電率と大きな機械的可撓性、耐久性を得られる導電紙を提供することができる。また本発明の導電紙は、容易にリサイクル可能である。
また本発明によれば、導電性紙の高い導電率を利用した物品及び電子デバイスを提供することができる。
本発明の製造方法によれば、高い導電率を有する導電紙及び導電性セルロース組成物を容易に製造することができる。
導電性セルロース組成物を示す図。 導電紙の製造方法を示すフロー図。 カーボンナノチューブを用いた導電紙の製造プロセスの一例を示す図。 PEDOTを用いた導電紙の製造プロセスの一例を示す図。 セルロース含有量と導電率の関係を示すグラフ。 カーボンナノチューブ導電紙とPEDOT−PSS導電紙の平面SEM写真。 曲げ半径に対する抵抗値の変化を示すグラフ。 導電紙の伝送特性を測定した結果を示すグラフ。 導電紙の電気的特性を示すグラフ。 導電紙をリサイクルしたときの導電率の変化を示したグラフ。 リサイクル後のカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙の平面SEM写真。 親水性と疎水性の導電紙におけるセルロース含有量と導電率の関係を示すグラフ。 親水性と疎水性の導電紙における水中に浸したときの抵抗率の変化を示すグラフ。 カーボンナノチューブの種類による導電率の差異を示すグラフ。 電子デバイスの一例としてのタッチセンサの説明図。 電子デバイスの一例としてのタッチセンサの説明図。
符号の説明
10 導電性セルロース、11 セルロース繊維、12 カーボンナノチューブ、100 タッチセンサ、101 導電紙キャパシタ、102 導電紙配線、103 絶縁紙
以下に本発明の好ましい実施の形態を説明するが、本発明はこれらの形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内において様々な変形が可能である。
(導電性セルロース組成物及び導電紙)
本発明の導電性セルロース組成物は、セルロースと導電性物質とが混和した導電性セルロースを有するものであり、場合によっては、導電性セルロースに吸蔵されたイオン液体を含むものである。そして、本発明の導電性セルロース組成物は、イオン液体の有無、水や有機溶剤等の分散媒の有無や特性に応じて、例えば、液体状、ゲル状、固体状、紙状などの種々の形態を採りうる。
図1(a)は、本発明に係る導電性セルロース組成物を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)に示す繊維を拡大して示す模式図である。
図1(a)に示すように、本発明に係る導電性セルロース組成物は、多数の導電性セルロース10を含む。個々の導電性セルロース10は、図1(b)に示すように、セルロース繊維11の周囲に導電性物質であるカーボンナノチューブ12が多数絡みついた構造を有している。
セルロース繊維11とカーボンナノチューブ12は、繊維同士が複雑に絡み合い、水や有機溶剤などの分散媒に導電性セルロース10を分散させてもセルロース繊維11とカーボンナノチューブ12とが相分離しない程度にまで混ざり合っている。このような状態を、本発明ではセルロースと導電性物質とが「混和した」状態と定義している。なお、混和しているセルロース繊維11とカーボンナノチューブ12とは、これらを損傷することなく分離することは不可能であり、分離不可能に混ざり合った状態ということもできる。
なお、図1に示す導電性セルロース10は、本発明に係る導電性セルロース組成物の一例を示したものであり、詳細は後述するが、導電性物質はカーボンナノチューブ12に限定されるものではなく、例えば金属ナノチューブや導電性ポリマーを用いることもできる。
本発明の導電性セルロース組成物の代表的な形態は、導電性セルロース10の分散液をシート状に成形して乾燥させた導電紙である。本発明に係る導電紙は、母材のセルロースの特性、形態を損なうことなく、紙としての機能を所有しつつ、同時に導電性物質から付与される高い導電性をも兼ね備えている。
かかる導電紙は、本発明によりはじめて実現が可能となった革新的な新しい材料であり、その優れた導電性によって、電子回路の配線パターン等に好適に用いることができるものである。
また、セルロース(セルロース繊維11)と導電性物質(カーボンナノチューブ12)とが混和した導電性セルロース10により構成されるため、導電紙中に導電性物質の複雑なネットワークが形成されている。そのため、従来から知られている導電性物質を紙に含浸させた導電紙では到底得られなかった高い導電率を得ることができる。本発明に係る導電紙及び導電性セルロース組成物の好適な導電率に上限はないが、導電材料自体の導電率を凌駕する導電性を得ることはできない。導電率が1S/cm以上であれば、電子回路の配線として用いることができ好適である。
また、本発明の導電紙では、上記のように内部に導電性物質のネットワークを有しているため、折り曲げたり伸ばしたりしても導電性を失うことがない。したがって、従来の紙の上に導電性物質の層を形成した導電紙では得られない優れた可撓性、加工性を具備した導電紙である。
さらに、通常の紙が水に溶かすだけで容易にリサイクルできるのと同様に、本発明の導電紙は、水や溶剤に容易に再分散させることができる。したがって、熱などの高エネルギーを与えることなく容易にリサイクルすることができる。
なお、本発明に係る導電紙の導電性や曲げ耐性、リサイクル性については、後段の実施例において詳細に説明している。
また本発明の導電紙は、紙状や薄膜状に限らず、型枠などを用いて導電性セルロース組成物を固形物(棒状、箱状、枠状、筒状などの三次元構造物)に加工したものも含む。さらには、固体の導電紙に機械加工を加えてもよい。例えば、板状の導電紙をプレス加工等により延伸することで薄くしてもよい。このような固形物として形成された導電紙や加工を施した導電紙も、物品の導電部材や電子回路の構成部材として好適に用いることができる。
本発明の導電紙は、通常、導電性セルロース10とともに、その製造工程で用いたイオン液体を含んでいる。イオン液体は、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩である。イオン液体の詳細については後段の製造方法の説明において述べるが、このイオン液体も、本発明の導電紙において導電率を高める作用を奏する。また、イオン液体は常温で液体であるため、イオン液体を含んだ導電紙はしっとりとしたなめらかな質感を呈し、より紙に近いものとなる。
なお、イオン液体は、導電紙や導電性セルロース組成物からソックスレー法などを用いて除去することもできる。イオン液体を除去した導電紙(導電性セルロース組成物)の導電性は、イオン液体を含む場合と比較して低下するが、除去したイオン液体は回収することができ、導電性セルロース組成物の製造に再利用することができる。このようにイオン液体を循環利用する製造プロセスを採用することで、導電性セルロース組成物の製造コストを大幅に低減することが可能である。
また本発明の導電性セルロース組成物の他の代表的な形態は、導電性セルロース10の分散液である。かかる分散液は、イオン液体や分散媒の性状により液体状、ゲル状、ペースト状など種々の形態を採りうる。このような流動性を有する分散液は、熱や乾燥等で固化させることで導電紙に加工でき、成形加工された導電紙を製造するのに好適である。
すなわち、調製された導電性セルロースの分散液を、スクリーン印刷、インクジェット印刷、ディスペンサーなどを含むあらゆる印刷機のインク(液体材料)として用いて所定のパターンに印刷し、次いで乾燥させることにより、導電紙から成るパターンや配線を容易に形成することができる。このようにして、導電性セルロースからなるパターンや配線を備える物品や、導電性セルロース組成物を備える電子回路を製造することができる。
また、導電紙、又は導電性セルロースの分散液には、導電性セルロースを構成する導電性物質と同一あるいは異なる導電性物質を添加することができる。例えば、導電性セルロースの分散液に、さらにカーボンナノチューブや銀ナノチューブなどの繊維状導電体を添加することで、さらに高い導電性や紙としての強さを得ることもできる。
以下、本発明に係る導電性セルロース組成物の構成要素について具体的に説明する。
まず、導電性セルロース10を構成する導電性物質としては、単層カーボンナノチューブ(SWNT)及び多層カーボンナノチューブ(MWNT)を含むカーボンナノチューブ12に限らず、銀をはじめとした金属ナノチューブ(金属ナノファイバー)、導電性ポリマーなど、導電性を有する材料であればいかなる導電性物質も用いることができる。
ただし、導電性物質はセルロースと混和させることができる形態である必要がある。そのため、導電性物質の種類は問わないが、セルロースの繊維と同等以下のサイズに製造又は加工された導電性物質が用いられる。
高導電性を持ち、かつ紙のようにしなやかな導電紙あるいは導電性セルロース組成物を実現するためには、導電性の高い導電性物質を用いることが重要である。特にカーボンナノチューブを用いる場合、カーボンナノチューブが長いこと、純度が高いこと、及び比表面積が高いことが好ましい。そのため、一般的に比表面積が低く、長さも短い多層カーボンナノチューブより、比表面積が高く、長さも長い単層カーボンナノチューブがより好ましい。
まず、カーボンナノチューブは、可能な限り長いものであることが望ましい。
これは、導電性セルロース組成物中のカーボンナノチューブのネットワーク(編み目構造)が長いカーボンナノチューブにより構成された場合、より電気を通す経路が多く形成でき、かつ折り曲げた場合においてもネットワークがより破壊されにくいためである。
導電性セルロース組成物において高導電性、しなやかさを得る上での導電性物質の長さには上限はないが、一般的に長い材料はより分散性が低くなり導電性セルロース組成物の製造が困難となる。例えば、カーボンナノチューブを用いる場合には、長さが1μm以上10cm以下の長さのカーボンナノチューブは分散性が良く、高純度のものが得やすく、高導電性、しなやかさを得る上で好ましい。長さが1μm以下となると、導電率が極端に下がるので、好ましくない。逆に長さが10cm以上のカーボンナノチューブは分散性が悪く、かつ分散処理中に容易に切断される。
なお、カーボンナノチューブは、ナノスケールの直径をもちつつ、長さは長い非常に細長いナノマテリアルであるため、一本一本の長さを測定することは非常に困難である。本発明の場合には、カーボンナノチューブの長さを測定するに際して、以下の方法を用いることができる。
まず、カーボンナノチューブとイオン液体との混合物、あるいはかかる混合物にセルロースを分散させた分散液を有機溶剤等で薄く希釈した液体試料を調製する。次いで、液体試料を基板上に滴下後乾燥させたものを、走査型原子間力顕微鏡等で観察する。このとき、一本一本のカーボンナノチューブの長さではなく、バンドル(カーボンナノチューブの束)の長さを測定する。
走査型原子間力顕微鏡で測定したカーボンナノチューブのバンドルの長さと、バンドルを構成するカーボンナノチューブの長さには相関性があり、長いカーボンナノチューブにより構成されるバンドルは長くなる。これにより、カーボンナノチューブの長さを評価可能である。
本発明の場合、カーボンナノチューブの特性や長さに制限はなく導電性セルロース組成物を作製できるが、より高い導電性、しなやかさを得られる長いカーボンナノチューブとしては、スーパーグロース法により作製したカーボンナノチューブを例示することができる。
スーパーグロース法によるカーボンナノチューブの製造方法は、例えば、国際公開第06/011655号パンフレットに記載されている。スーパーグロース法は、水分添加CVD法によりカーボンナノチューブを合成する技術であり、長く高純度の単層カーボンナノチューブが得られる。スーパーグロース法では、成長基板上に垂直配向したカーボンナノチューブ配向集合体を成長させることができ、このカーボンナノチューブ配向集合体を成長基板から剥離して用いることができる。本発明においてこの剥離したカーボンナノチューブ配向集合体を用いる場合には、カーボンナノチューブ配向集合体の高さをカーボンナノチューブの長さとして規定することができる。
次に、高導電性を得るためには、カーボンナノチューブが可能な限り高純度であることが望ましい。
ここでいう純度とは、炭素純度であり、カーボンナノチューブの重量の何パーセントが炭素で構成されているかを示す。高導電性、高い伸長率を得る上での純度に上限はないが、製造上の都合から、99.9999%以上のカーボンナノチューブを得ることは困難である。金属などの不純物を含んで炭素純度が90%に満たないと、金属不純物が製造プロセス中に凝集し、カーボンナノチューブがセルロースの繊維に絡みづらくなって混和が不十分になるため、高導電性、高い曲げ耐性を得ることが困難となる。これらの点から、カーボンナノチューブの純度は90%以上であることが好ましい。
カーボンナノチューブの純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より得られる。後述する具体例で用いたスーパーグロース(SG)単層カーボンナノチューブ(SWNT)を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素が99.98%、鉄が0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。
次に、高導電性、高い曲げ耐性を得るためには、カーボンナノチューブが可能な限り高比表面積であることが望ましい。
これは、高比表面積のカーボンナノチューブは、表面が多いため、導電性セルロース組成物の製造プロセスで用いるイオン液体との界面が多くなり相互作用しやすいためである。また、高比表面積のカーボンナノチューブは、カーボンナノチューブ以外の炭素不純物、金属等の炭素以外の不純物の含有が少なく、上記した理由で好適である。比表面積が600m/gに満たない単層カーボンナノチューブは、金属などの不純物もしくは炭素不純物を重量の数十パーセント(40%程度)含んでおり、単層カーボンナノチューブ本来の機能を発現することができず、不適である。
単層カーボンナノチューブの比表面積は、一般的には大きければ大きいほど好ましいが、理論的に上限があり、未開口のものは1300m/g程度であり、開口したものは2600m/g程度である。
単層カーボンナノチューブの比表面積は、液体窒素の77Kでの吸脱着等温線の計測によって求めることができる。その一例として、単層CNT配向集合体30mgについて、BELSORP−MINI(株式会社日本ベル製)を用いて計測した吸脱着等温曲線から求めることができる(吸着平衡時間は600秒とした)。本発明で用いた、単層カーボンナノチューブの吸脱着等温曲線からBrunauer,Emmett,Tellerの方法で比表面積を計測したところ、1100m/gであった。
なお、開口処理温度を350℃から600℃に変化させることにより、1000m/g〜2300m/gの範囲で単層カーボンナノチューブの比表面積を変化させることができ、かかる単層カーボンナノチューブは高い導電性を有する本発明のセルロース組成物を実現するのに好適である。
一方、導電性ポリマーとしては、ポリアニリン系高分子、ポリピロール系高分子、ポリチオフェン系高分子等を挙げることができる。特に高導電性のポリマーとして、例えば、ポリパラフェニレン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン(以下単にPEDOTと記す)を挙げることができる。典型的な例はPEDOTであり、その水性分散液はTAケミカル社より商品名「Baytron PH500」として市販されている。またPEDOTを用いる場合にはジメチルスルホキシドを併用することが好ましい。ジメチルスルホキシドの添加により、PEDOTの導電性を著しく向上させることができる。
セルロースと混和する導電性物質として導電性ポリマーを用いた場合には、導電性ポリマーのサイズがセルロース繊維11やカーボンナノチューブ12と比べて小さいため、図1(b)に示したようにセルロース繊維11に絡みつくのではなく、セルロース繊維11の表面を覆うように導電性ポリマーが吸着して導電性セルロース10となる。このようにセルロース繊維11に導電性ポリマーが吸着した導電性セルロース10は、分散媒に分散させてもセルロース繊維11と導電性ポリマーとが相分離することはなく、このような状態を本発明ではセルロースと導電性ポリマーとが混和した状態と定義している。このように吸着した導電性ポリマーは、セルロース及び導電性ポリマーを損傷することなく分離することができない状態にある。
本発明において用いられるセルロースは、特に制限されるものではなく、通常の抄紙に用いられるセルロース材料(集合体はパルプ)のいかなるものであってもよい。一般的に知られているパルプは、セルロースの繊維から形成されている。例えば、木材パルプ、古紙パルプ、非木材パルプ、より具体的には針葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなどあらゆる繊維状のパルプでもかまわない。
またセルロースとしては、天然セルロース、再生セルロース、綿セルロース、リンター、レイヨン、非晶セルロースなど、あらゆるセルロースを用いることができる。さらには、これらのパルプ、セルロースに限らず、水素結合を生じる繊維であれば原料として使用できるため、草・藁・竹などの原料からパルプを抽出したものでもかまわない。
上記のパルプ及びセルロースのうちでも、特に導電性に優れた紙を得るためには、あらかじめ細かいセルロース繊維に解繊されたミクロフィブリルセルロースを用いることが好ましい。かかるミクロフィブリルセルロースもまた特に制限されるものではなく、市販のいかなるものであってもよい。市販のミクロフィブリルセルロースの典型的な例としては、ダイセル化学工業社製のCelishがある。
(導電性セルロース組成物及び導電紙の製造方法)
例えば導電性物質としてカーボンナノチューブを用いる場合、本発明の導電性セルロース組成物においては、カーボンナノチューブが組成物内に均一分散されているほど高い導電性が得られる。つまり、高導電性及びしなやかさを兼ね備える本発明の導電性セルロース組成物を実現するためには、長く、純度が高く、比表面積が高いカーボンナノチューブを、その機能を損なわずに、如何にセルロース中に均一分散するかが肝要となる。
一般的には、カーボンナノチューブは非常に溶解性が低い材料で、セルロースとの親和性は低く、セルロース内に分散しない。そのために、カーボンナノチューブを均一分散し、高導電性及びしなやかさを兼ね備えた導電性セルロース組成物及び導電紙の実現は著しく困難であった。
本発明者は誠意工夫を重ね、カーボンナノチューブを含み導電性材料とセルロースの分散性を高めるために、イオン液体を用いると好適であることを見出した。
例えば、特開2005−176428号公報に記述されているように、カーボンナノチューブとイオン液体は親和性が高く、カーボンナノチューブをイオン液体中に分散処理することで、ゲル状になる。このようにカーボンナノチューブとイオン液体のゲル状組成物が形成される詳しい機構は現時点では不明であるが、イオン液体が一本一本のカーボンナノチューブに吸着し、カーボンナノチューブ同士をくっつけているファンデルワールス力を弱めていると考えられる。その結果、通常容易にバンドル化するカーボンナノチューブが、イオン液体中で分散し、ゲル状組成物を形成する。いわば、カーボンナノチューブの分散剤としてイオン液体が機能すると考えられる。
さらに本発明においては、発明者は、イオン液体と混和するセルロースおよび導電性物質を用いると、上記ゲル状組成物中にセルロースを均一に分散させた分散液を得ることができることを見いだし、本発明の導電性が高く、紙のしなやかさを兼ね備える導電性セルロース組成物及び導電紙を製造する方法を実現した。
混和により、導電性セルロース組成物が形成される詳しい機構は現時点では不明であるが、導電性物質に吸着したイオン液体が、セルロースとも親和性を持ち混和することで、導電性物質をセルロース中に溶け込ませることを可能にし、通常ではセルロース中に分散が困難なカーボンナノチューブなどの導電性物質がセルロース中に均一に分散するものと考える。
ここで、上記分散液における混和とは、イオン液体と、セルロースや母材となるパルプ、必要に応じて水や有機溶剤を含む分散溶液が相分離しない程度に混ざり合うことを言う。混和の程度に上限はなく、実質的に、導電性セルロース組成物とイオン液体、そして必要に応じて水や有機溶剤が混ざり合い、最終的に高導電性、しなやかさを兼ね備える導電性セルロース組成物を製造できる程度であれば良く、通常イオン液体とセルロースやセルロースのパルプ、必要に応じて水や有機溶剤を含む分散液が数時間、より好ましくは数日間相分離しない程度であれば好適である。イオン液体とセルロースやセルロースのパルプ、必要に応じて水や有機溶剤が相溶性を示すことは、より良い分散性を実現するために好ましい。ここで、相溶性とは、2種類または多種類の物質が相互に親和性を有し、溶液または混和物を形成する性質をいう。
本発明の導電性セルロース組成物の製造方法は、上記知見に基づき成されたものであり、イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、前記混合物にセルロースを分散させて分散液を調製する工程2と、を有することを特徴とする。
また本発明の導電紙の製造法は、上記知見に基づき成されたものであり、イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、前記混合物にセルロースを分散させて分散液を調製する工程2と、前記分散液を乾燥させる工程3と、を有することを特徴とする。
以下、これら導電性セルロース組成物及び導電紙の製造方法について、図面を参照しつつ説明する。
図2は、本発明の一実施形態である導電紙の製造方法を示すフロー図である。図2に示すように、本発明の導電紙の製造方法は、導電性物質とイオン液体との混合物を調製する混合物調製工程S1と、得られた混合物にセルロースを分散させて分散液を調製する分散液調製工程S2とにより導電性セルロース組成物を作製する工程を含み、さらに得られた導電性セルロース組成物を乾燥させて導電紙を作製する乾燥工程S3を含む。導電紙からイオン液体を回収するイオン液体回収工程S4は、必要に応じて実施される工程である。
混合物調製工程S1で用いられる導電性物質としては、先に記載のように、セルロースと混和可能な導電性物質であればいかなるものも用いることができる。すなわち、カーボンナノチューブや金属ナノチューブ、高導電性ポリマー等を用いることができる。
本発明において、イオン液体とは、常温溶融塩または単に溶融塩などとも称されるものであり、常温を含む幅広い温度域で溶融状態を呈する塩である。本発明においては、従来から知られた各種のイオン液体を使用することができ、例えば、特許第3676337号公報や特許第3880580号公報に記載されているものを挙げることができる。
本発明においては、かかるイオン液体として、親水性および疎水性イオン液体のいずれをも用いることができる。親水性イオン液体としては、例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム テトラフルオロボレート(DEMEBF)を挙げることができる。ただし、この親水性イオン液体に限らず、水と混和するイオン液体は、このプロセスに用いることができる。
疎水性イオン液体としては、例えば、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(DEMETFSI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(EMIBF)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート(EMIPF)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(EMITFSI)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート(BMIBF)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ヘキサフルオロホスフェート(BMIPF)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(BMITFSI)を挙げることができる。
また、特に制限されるものではないが、導電性物質及びセルロースと親和性が高く、分散処理をした際にゲル状となるイオン液体は、本発明に係る導電性セルロース組成物の製造に有用である。
また、分散液調製工程S2では、混合物調製工程S1で得られた混合物に直接セルロースを分散させてもよく、必要に応じて水や有機溶剤などの分散媒を用いることができる。
親水性のイオン液体を用いている場合には、水を好適な分散媒として用いることができる。一方、疎水性のイオン液体を用いている場合には、親水性有機溶剤を用いることが好ましい。有用な親水性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ギ酸、酢酸、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミドを挙げることができ、典型的な例はエタノールである。
なお、有機溶剤は、上記に限定されるものではなく、用いるセルロースを分散、溶解する溶剤を適宜選択して用いることができる。具体的にはトルエン、キシレン、四塩化炭素等も用いることが可能である。
また、上記に挙げた水や有機溶剤などの分散媒は、分散液調製工程S2に限らず、混合物調製工程S1においても必要に応じて用いることができる。特に、導電性ポリマーであるPEDOTを導電性物質として用いる場合には、混合物調製工程S1において、PEDOT及びイオン液体に、有機溶剤であるジメチルスルホキシドを添加することが好ましい。ジメチルスルホキシドの添加により、PEDOTの導電性を著しく向上させる効果が得られる。
本発明の導電性セルロース組成物としては、有機溶剤内で分散するものも、水中で分散するものも製造することができる。本発明では、混合物調製工程S1で用いるイオン液体と、セルロースを加えた後の分散液調製工程S2で用いる分散媒との組み合わせによって、導電性セルロース組成物及び導電紙の親水性、疎水性をコントロールすることができる。
具体的には、親水性の導電セルロース組成物及び導電紙を作製する場合、水と混和するセルロースと、水と混和するイオン液体を用いる。すなわち、混合物調製工程S1において、イオン液体として例えばDEMEBFを用い、分散液調製工程S2において、分散媒に水を用いて導電性物質とイオン液体と、水と混和するセルロースとを含む分散液を調製する。
一方、疎水性の導電性セルロース組成物及び導電紙を作製する場合、疎水性イオン液体およびそれと混和する有機溶剤、有機溶剤と混和する導電性物質を用いる。すなわち、混合物調製工程S1において、例えばDEMETFSIやBMIBFを用い、分散液調製工程S2において、分散媒に例えばエタノールを用いて導電性物質とイオン液体とセルロースとを含む分散液を調製する。
なお、分散媒及びセルロースには混和可能な組み合わせを選択する。例えば、ミクロフィブリルセルロースはエタノールやメタノールなどの極性を持つ溶媒(上述した親水性有機溶剤)に溶解することができるため、これらの組み合わせは疎水性導電紙の製造に好適に用いることができる。
以下、本発明の導電性セルロース組成物及び導電紙の製造方法のうち、特に好ましいプロセスの一例を、図2を参照しながら、以下に具体的に説明する。
まず、混合物調製工程S1では、上記の導電性物質及びイオン液体を用意し、これらを均一に混ぜ合わせる。これにより、導電性物質とイオン液体との混合物(ゲル状組成物)を調製する。
本発明の導電性セルロース組成物の製造に際して、各成分の混合分散にはジェットミル、ボールミル、超音波分散機、乳鉢、自動乳鉢等を用いることができる。これらの装置は、カーボンナノチューブや導電性ポリマーなどの導電性物質をゲル状組成物中により均一に分散させる観点、及び混合処理によるカーボンナノチューブの切断や導電性ポリマーの低分子化を回避する観点から選択される。カーボンナノチューブの切断を防止する観点からはジェットミルを用いることが好ましい。
なお、カーボンナノチューブとイオン液体とを混合したゲル状組成物を作製する方法は、本手法に限らず、特許第3676337号公報、特許第3880560号公報、特許第3924273号公報、特開2004−255481号公報、特開2005−176428号公報などに記載の公知の手法を用いることもできる。また、先に記載の装置を用いた混合分散方法や上記文献に記載の方法に限定されるものではなく、導電性物質とイオン液体とを均一に混合分散させることができる方法であれば、任意の方法を採用することができる。
次に、分散液調製工程S2では、混合物調製工程S1で得られた導電性物質とイオン液体とを含むゲル状組成物と、セルロースとを、必要により水や有機溶剤を添加して混合、分散させる。これにより、液状、ペースト状、ゲル状等の分散液の形態を成す本発明の導電性セルロース組成物を得る。
なお、水や有機溶剤の添加又は除去により、得られる分散液(導電性セルロース組成物)の粘度を調整することもできる。すなわち、分散液調製工程S2の前、途中、後などに、ゲル状組成物又は分散液に適宜、水や有機溶剤を追加することで、分散液の粘度を低下させることができる。あるいは、分散液調製工程S2の前、途中、後などに、ゲル状組成物又は分散液に含まれる水や有機溶剤を蒸発等させて一部除去し、分散液の粘度を上昇させることもできる。
また、分散液調製工程S2における混合分散にも、ジェットミル、ボールミル、超音波分散機、乳鉢、自動乳鉢等を用いることができ、これらのうちでもカーボンナノチューブの切断を防止できるジェットミルを用いることが好ましい。ただし、これらの装置を用いた混合分散方法に限定されるものではなく、導電性物質とイオン液体とセルロースとを均一に混合分散させることができる方法であれば、任意の方法を採用することができる。
次に、乾燥工程S3では、分散液調製工程S2で得られた分散液(導電性セルロース組成物)に含まれる水や有機溶剤の一部又は全部を、乾燥、加熱、真空引き等の手段を用いて除去し、導電性セルロース組成物固化する。これにより、本発明の導電紙を得る。
なお、乾燥工程S3において所望の形状の導電紙を得るために、乾燥工程S3に先立って、分散液調製工程S2で得られた分散液(導電性セルロース組成物)を成形加工してもよい。成形加工は、流動性のあるペースト状や液状の組成物を成形加工する公知の手法を用いることができ、塗布、印刷、押し出し、キャスト、射出等を例示できる。
ただし、導電性セルロース組成物の成形加工は、分散液の状態で行う場合に限られない。すなわち、乾燥工程S3で導電性セルロース組成物を固化した後、得られた導電紙を所望の形状に機械加工してもよい。例えば、プレス加工などによって導電紙の厚みを薄くすることもできる。
さらに、乾燥工程S3で得られた導電紙は、イオン液体回収工程S4に供することができる。このイオン液体回収工程S4は、必要に応じて実施される工程であり、ソックスレー法などを用いて導電紙からイオン液体を除去する。これにより、導電性物質とセルロースとからなる導電紙が得られる。
イオン液体が除去された導電紙の導電性は、イオン液体を含む導電紙よりも低下する。しかしその一方で、導電紙から除去したイオン液体を回収し、図2に示すように、混合物調製工程S1で再利用することができる。これにより、製造コストを大幅に低減することができる。
また、図2では、乾燥後の導電紙をイオン液体回収工程S4に供することとしているが、分散液調製工程S2で得られた分散液(導電性セルロース組成物)をイオン液体回収工程S4に供してもよい。この場合にも、導電性セルロース組成物からイオン液体を回収し、再利用することが可能である。
なお、以上に説明した製造工程は、本発明に係る導電性セルロース組成物及び導電紙を得るための製造工程の一例であり、上記例に限定されるものではない。すなわち、適宜必要に応じて、一部工程を省略したり、順序を変更しても良い。また必要に応じて、適切な工程において、他の導電性物質や他のセルロース、他の溶剤、他のイオン液体を添加してもよい。
以上、詳細に説明したように、本発明の導電性セルロース組成物及び導電紙の製造方法によれば、混合物調製工程S1において、イオン液体を用いたことで導電性物質とイオン液体とが均一に混合された混合物(ゲル状組成物)を得ることができる。特に、導電性物質としてバンドルを形成しやすいカーボンナノチューブを用いた場合にも、イオン液体の作用によりバンドルを1本1本のカーボンナノチューブに分離しつつ分散させることができる。また、導電性物質として導電性ポリマーを用いた場合にも、導電性ポリマーに親和性を示すイオン液体中に導電性ポリマーを均一に分散させることができる。
また、本発明の製造方法では、混合物調製工程S1で得られたゲル状組成物(混合物)に、必要に応じて分散媒を用いつつセルロースを分散させることで、セルロースと導電性物質とをイオン液体を介して混和させ、セルロースと導電性物質とが混和してなる導電性セルロースを均一に分散させた分散液(導電性セルロース組成物)を得ることができる。
そして、セルロースと導電性物質とが混和してなる導電性セルロースを均一に分散させた分散液から水や有機溶剤等を除去することで、導電性セルロースが絡み合い、内部に形成された導電性物質のネットワークによって高い導電性を発現する本発明の導電紙を得ることができる。
また、イオン液体回収工程S4を実施すれば、作製した導電紙や分散液(導電性セルロース組成物)からイオン液体を回収することができる。そして、回収したイオン液体は混合物調製工程S1で再利用することができるため、製造コストを大幅に低減することができる。
(導電紙のリサイクル方法)
さらに、本発明の導電紙は、容易にリサイクルすることができる。図2に示すように、乾燥工程S3又はイオン液体回収工程S4を経て作製された導電紙は、溶解工程S5において液体に溶かすことで、導電性セルロースが均一に分散した分散液(導電性セルロース組成物)にすることができる。そして、導電紙を溶解して得られた分散液は、必要に応じて成形加工した後、再度乾燥工程S3に供することで、導電紙として再生することができる。
溶解工程S5は、水や有機溶剤などの分散媒に、使用済みの導電紙を浸漬し、攪拌する工程である。溶解工程S5で用いる分散媒は、溶解する導電紙の親水性、疎水性の別に応じて適宜選択する。すなわち、親水性の導電紙を溶解する場合には分散媒として水を用い、疎水性の導電紙を溶解する場合には分散媒として有機溶剤(水以外の分散媒)を用いる。さらに、分散媒としては、溶解工程S5に供する導電紙を製造する際に、分散液調製工程S2で用いた分散媒と同一のものを用いることが好ましい。なお、必要に応じて分散媒にイオン液体を添加してもよい。
このように、本発明の導電紙は、分散媒に溶解させるという極めて簡便な工程でリサイクルすることができる。従来の電子デバイスでは導電部材に金属が用いられており、そのリサイクルには加熱などの高エネルギーが必要であったが、本発明の導電紙を用いることで、熱などの高エネルギーを与えることなく容易にリサイクル可能な電子デバイス等を形成することが可能になる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の技術範囲は本実施例に限定されるものではない。
[カーボンナノチューブを用いた導電紙]
図3は、導電性物質としてカーボンナノチューブを用いた導電紙の製造プロセスの一例を示す図である。図3中、Step1、Step2、及びStep3は、本発明の導電紙の製造方法における混合物調製工程S1、分散液調製工程S2、及び乾燥工程S3にそれぞれ対応する。
本実施例では、導電性物質であるカーボンナノチューブとして、スーパーグロース(SG)法により作製した単層カーボンナノチューブ(純度99.98%超、長さ1mm未満、直径3nm)を使用した。かかるカーボンナノチューブは、例えば、WO2006/011655に記載の方法を用いて基板から垂直し成長させた、カーボンナノチューブ配向集合体を成長基板から剥離して得られるものである。
また、イオン液体として、テトラフルオロホウ酸N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム(DEMEBF)を用いた。
まず、Step1(混合物調製工程S1)では、上記の単層カーボンナノチューブ50mgを、親水性のイオン液体であるテトラフルオロホウ酸N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム(DEMEBF)100mgと混合し、得られた懸濁液を6時間にわたって自動粉砕システムにかけた。これにより、単層カーボンナノチューブとイオン液体との混合物(カーボンナノチューブ分散ゲル)を得た。
次に、Step2(分散液調製工程S2)では、Step1で得られたカーボンナノチューブ分散ゲル150mgに、分散媒としての脱イオン水10mlと、ミクロフィブリルセルロース(ダイセル化学工業社製Celish、セルロースを10%含む水性液)200mgとを順次に添加した。その後、得られた混合物をスターラーにより25℃にて1時間にわたって撹拌し、次いでSMT社製UH−50を用いて30℃にて10分間にわたって超音波処理した。これにより、単層カーボンナノチューブと、イオン液体と、ミクロフィブリルセルロースとが均一に分散した導電性セルロース組成物(ナノチューブ分散水溶液)を得た。
次に、Step3(乾燥工程S3)では、Step2で得られたナノチューブ分散水溶液を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製プレートの上にドロップキャスティングし、24時間かけて風乾した。これにより、導電性物質としてカーボンナノチューブを用いた導電紙(カーボンナノチューブ導電紙)を得た。
[高導電性ポリマーを用いた導電紙の製造方法]
次に、導電性物質として、高導電性ポリマーを用いた例を、図4を参照しつつ説明する。
図4は、導電性物質としてPEDOTを用いた導電紙の製造プロセスの一例を示す図である。図4中、Step1、Step2、及びStep3は、本発明の導電紙の製造方法における混合物調製工程S1、分散液調製工程S2、及び乾燥工程S3にそれぞれ対応する。
本実施例では、高導電性ポリマーとして、高分子量ポリスチレンスルホン酸水溶液中で3,4−エチレンジオキシチオフェンを重合させて得られた高導電性ポリマーであるPEDOTの水性分散液(TA ケミカル社製Baytron PH500、PEDOT含有量1wt%)を用いた。
また、イオン液体として、テトラフルオロホウ酸N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム(DEMEBF)を用いた。
さらに、PEDOTの導電性を向上させる添加剤としてジメチルスルホキシド(DMSO)を用いた。
まず、Step1(混合物調製工程S1)では、PEDOT1%水溶液4g(PEDOT40mg)を、親水性イオン液体(DEMEBF)50mg、及びジメチルスルホキシド(DMSO)200mgと混合した。これにより、PEDOTとイオン液体との混合物(PEDOT−PSSゲル)を得た。
次に、Step2(分散液調製工程S2)において、Step1で得られたPEDOT−PSSゲルに、分散媒としての脱イオン水10mlと、ミクロフィブリルセルロース100mgとを順次に添加した。その後、得られた混合物を25℃にて1時間にわたって撹拌した。これにより、PEDOTと、イオン液体と、ミクロフィブリルセルロースとが均一に分散した導電性セルロース組成物(PEDOT−PSSゲル分散水溶液)を得た。
次に、Step3(乾燥工程S3)において、PEDOT−PSSゲル分散水溶液をドロップキャスティングによってPTFEプレート上に注ぎ、24時間かけて風乾した。これにより、導電性物質として高導電性ポリマー(PEDOT−PSS)を用いた導電紙(PEDOT−PSS導電紙)を得た。
[導電率評価]
次に、上記カーボンナノチューブ及び高導電性ポリマーを用いた導電紙の導電率評価を行った結果について説明する。評価に際しては、上記に説明した各製造プロセスにより、セルロース含有量5〜66wt%の範囲で代えた複数種類の導電紙を作製し、それらについて導電率の測定を行った。導電率測定は高精度電源測定ユニットを用いた四端子法により行なった。
図5は、セルロース含有量と導電率の関係を示すグラフである。図6は、カーボンナノチューブ導電紙とPEDOT−PSS導電紙の平面SEM写真である。
本発明では、セルロースの含有量が12wt%で、SWNTとDENEBFの混合比が1:2のときに、最大の導電率(72S/cm)が得られた。本発明者が知る限り、これまでに報告されている柔らかい材料(紙もしくはポリマー)における最大値であり、以前に報告されている非絶縁紙(例えば、Yoon SH,Jin HJ,Kook MC,Pyun YR (2006) Electrically conductive bacterial cellulose by incorporation of carbon nanotubes, Biomacromolecules 7: 1280-1284)の導電率(0.1S/cm程度)よりも3桁程大きい。
単層カーボンナノチューブは共有結合が強くバンドルを形成しやすいため、ポリマーや他の材料と混合したときに凝集しやすい。しかし、本発明で用いているイオン液体は、単層カーボンナノチューブの絡み合いを阻止することができる。これにより、紙の柔らかさに悪い影響を与えることなく単層カーボンナノチューブの含有量を30wt%という大きな値にすることができ、高アスペクト比のスーパーグロースカーボンナノチューブをミクロフィブリルセルロースに均一に分散させることができた。その結果、上記のように大きな導電率を実現できた。
また図6に示すように、カーボンナノチューブ導電紙の場合、セルロースの含有量が40wt%を超えると、厚い多孔性の導電紙となった。一方、セルロースの含有量が10wt%未満のときには、多孔性で脆いカーボンナノチューブ導電紙となった。セルロース含有量が12wt%のものは、最も表面が滑らかであり、この条件が導電率が最も高いことから、単層カーボンナノチューブが最も均一に分散されていると考えられる。
一方、PEDOT−PSS導電紙の場合には、図6に示すように、セルロースの含有量が増えるにつれて表面は粗くなった。セルロースの含有量が50wt%を超えると厚く多孔性のPEDOT−PSS導電紙となった。セルロースの含有量が5wt%未満のときには脆いPEDOT−PSS導電紙となった。本発明では、セルロースの含有量が10wt%で、PEDOTとDENEBFの混合比が4:5のときに、最大の導電率(75S/cm)が得られた。
PEDOT−PSS導電紙の導電率と柔らかさに対してイオン液体が重要な役割を果たしていることが認められた。セルロースとイオン液体なしにPEDOTを用いて形成した膜は、100S/cmを超える大きな導電率を示した。しかし、この膜は非常に脆く、曲げ応力を膜に加えると必ず電気的、機械的な劣化が起こった。また、セルロースを添加したPEDOTを用いて作製した紙でも相変わらず脆く、柔らかさは改善されなかった。しかし、十分な量のイオン液体をPEDOTに添加すると、PEDOTはゲル状になり、セルロースに一様に分散した。得られたPEDOT−PSS導電紙は導電率が大きいだけでなく、可撓性と柔らかさにも優れていた。
[曲げ耐性評価]
図7は、本実施例で作製したカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙を曲げたときの曲げ半径に対する抵抗値の変化を示すグラフである。測定は、正確な機械式ステージを備えた応力装置を用いて導電紙を曲げ、曲げた後の抵抗値を測定することにより行った。
図7に示すように、カーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙のいずれにおいても、曲げたときの抵抗値はほぼ一定であり、抵抗値の変動幅は、完全に折り曲げた(曲げ半径が100μm未満)ときでも無視できる程度に小さい。このことから、本発明の導電紙が大きな機械的可撓性を有しており、曲げ応力下での耐久性に優れていることが確認された。
従来の紙またはプラスチックシートの表面に金属薄膜を形成した導電紙や導電性シートでは、折り曲げたときに金属薄膜と紙/プラスチックの界面に応力が作用し金属薄膜が容易に破断されていた。これに対して、本発明では、導電性セルロースを互いに絡み合わせて導電紙を構成しているため、大きな導電率と大きな機械的可撓性/耐久性の両方を同時に実現することができる。
また、PEDOT−PSS導電紙において優れた曲げ耐性が得られることは注目すべき結果である。イオン液体及びミクロフィブリルセルロースを用いずに作製された従来のPEDOT膜は、非常に脆いために曲げ応力を加えることができなかった。これに対して、本実施例のPEDOT−PSS導電紙は、完全に折り曲げることが可能であり、従来のPEDOT膜とは著しく異なる性質を有している。これは、イオン液体とPEDOTの混合物がゲルを形成し、ミクロフィブリルセルロースに一様に分散させることができたためであると考えられる。
[電力伝送評価]
図8は、本実施例で作製したカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙の伝送特性を測定した結果を示すグラフである。銅配線における測定結果も比較のために示してある。
測定は、ネットワーク分析装置(Agilent社製4395A)を用いて行なった。測定に用いたカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙の長さ、幅、厚さは、それぞれ、30mm、5mm、70μmとした。
図8に示すように、カーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙の伝送損失は、100MHzまで−2dB以内であった。銅配線の伝送損失と比較しても差は37%未満であった。
本発明の導電紙の別の重要な利点は、紙の中を流れる電流がイオンではなく電子に依存していることにある。これにより、図示のようにMHz領域で優れた電気的特性を実現することができる。
ここで、図9はカーボンナノチューブ導電紙とPEDOT−PSS導電紙の電気的特性を示すグラフである。図9(a)は伝送特性を示すグラフであり、(b)は温度と導電率との関係を示すグラフである。
図9(a)に示すように、カーボンナノチューブ導電紙を通じて伝送できる最大電力は35Wであり、PEDOT−PSS導電紙を通じて伝送できる最大電力は38Wであった。伝送特性の測定は、13.56MHzの電力発生装置(ULVAC社製RGN−1302)と、伝送される電力を測定するためのスペクトル分析装置(Agilent社製4395A)を用いて行なった。
また、図9(b)に示すように、ばらつきはあるものの、カーボンナノチューブ導電紙、PEDOT−PSS導電紙のいずれも、300℃まで加熱した後も優れた導電率を保持しており、耐熱性にも優れていることが確認された。
[リサイクル性評価]
カーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙は、いずれも水を用いてリサイクルすることができる。これらの導電紙を水に浸すと、導電性セルロース間の水素結合が水によって弱くなる。その結果、紙を形成している導電性セルロースが急速に水に溶解し、導電性セルロースが分散した分散液に戻る。その後、得られた分散液を乾燥させることで、精製などの追加の工程を経ることなしに導電紙を形成することができる。かかる導電紙の再生は、印刷により形成された回路パターンに対しても、全く同様にして行うことができる。
図10は、本実施例で作製したカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙をリサイクルしたときの導電率の変化を示したグラフである。図11は、リサイクル後のカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙の平面SEM写真である。
リサイクル方法は、まず、カーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙を、30℃の水中で1時間攪拌してこれらの導電紙を溶解させ、カーボンナノチューブ分散水溶液及びPEDOT−PSS分散ゲル水溶液とする。その後、得られた分散液をドロップキャスティングによって再びPTFEプレートの上に注ぎ、24時間かけて風乾させ、それぞれカーボンナノチューブ導電紙及びPEDOT−PSS導電紙として再生する。以上の工程を1サイクルとして、図10に示すように10回のリサイクルを行い、リサイクルする度に導電率の測定を行った。
図10に示すように、リサイクル回数が増えるにしたがって導電率はやや低下する傾向にあるものの、電気的特性の著しい低下は観察できなかった。また図11に示すように、リサイクル10回後においても、導電紙の状態には大きな変化がないことが観察された。
このように、極めて容易に、かつ、極めて多数回にわたってリサイクルが可能であることは、省資源、環境保護の観点からばかりでなく、電気・電子回路の作成効率の観点からも極めて多大な利点をもたらすものである。また、このように加熱プロセスまたは高エネルギープロセスを必要としないリサイクル可能な導体はこれまで報告されていない新規な導電性材料である。
[親水性/疎水性導電紙比較]
導電紙は、親水性イオン液体を用いて作製すると親水性となり、親水性イオン液体の代わりに疎水性イオン液体を用いると疎水性となる。
本例では、疎水性の導電紙を作るため、先のカーボンナノチューブ導電紙の製造工程において、DEMETFSIを疎水性イオン液体として使用し、カーボンナノチューブ分散ゲルを分散させるのにエタノールを使用して疎水性のカーボンナノチューブ導電紙を作製した。疎水性カーボンナノチューブ導電紙における単層カーボンナノチューブとイオン液体(DEMETFSI)の含有量の比は1:1とした。
また同様にして、先のPEDOT−PSS導電紙の製造工程において、DEMETFSIを疎水性イオン液体として使用し、分散媒としてエタノールを使用して疎水性のPEDOT−PSS導電紙を作製した。
図12(a)は、親水性のカーボンナノチューブ導電紙と疎水性のカーボンナノチューブ導電紙とについて、セルロース含有量に対する導電率の変化を対比したグラフである。図12(b)は、親水性のPEDOT−PSS導電紙と疎水性のPEDOT−PSS導電紙とについて、セルロース含有量に対する導電率の変化を対比したグラフである。
図12に示すように、カーボンナノチューブ導電紙、PEDOT−PSS導電紙のいずれについても、親水性と疎水性の間で導電率にはほとんど差異がない。より詳しくは、疎水性のカーボンナノチューブ導電紙の導電率は67S/cmであり、そのときの単層カーボンナノチューブとDEMETFSIの含有量の比は1:1である。一方、疎水性のPEDOT−PSS導電紙の導電率は55S/cmであり、そのときのPEDOTとDEMETFSIの含有量の比は2:3である。
次に、図13は、親水性及び疎水性のカーボンナノチューブ導電紙と、親水性及び疎水性のカーボンナノチューブ導電紙を、それぞれ水中に浸したときの抵抗値の変化を示すグラフである。
図13に示すように、疎水性のカーボンナノチューブ導電紙は、水に浸しても抵抗値がまったく変化しなかった。これに対して、親水性のカーボンナノチューブ導電紙は、浸漬直後から抵抗値が上がり始める。これは、親水性のカーボンナノチューブ導電紙はセルロースが数秒のうちに水に溶け始めるためである。
また、導電率が大きな(60S/cm)親水性のカーボンナノチューブ導電紙の結果と、導電率が小さい(5S/cm)親水性のカーボンナノチューブ導電紙の結果とを比較することは興味深い。両者とも、セルロースの含有量によって導電率が変化しているが、抵抗値の変化は導電率が小さいカーボンナノチューブ導電紙の方が著しく大きい。これは、導電率の小さいカーボンナノチューブ導電紙は、セルロース含有量が多いために多孔性の膜になっており、より溶解しやすいためである。
一方、疎水性のPEDOT−PSS導電紙も、水に浸しても抵抗値はさほど上昇しないが、長時間浸漬すると抵抗値が上がり始める。これは、PEDOT−PSSが水溶性であり、水中で不安定であることに起因する。これに対して親水性のPEDOT−PSS導電紙は、カーボンナノチューブ導電紙と同様に、浸漬直後から抵抗値が上がり始めるが、抵抗値の上昇率がカーボンナノチューブ導電紙よりもかなり大きい。これは、セルロースとPEDOT−PSSの両方が水溶性であるためである。
[カーボンナノチューブの長さによる特性比較]
図14は、導電性物質としてスーパーグロース法で作製した単層カーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ導電紙(図中に「SG」と示す)と、市販のHiPco法で作製された単層カーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ導電紙(図中に「HiPco」と示す)との比較を示す図である。
図14に示すように、スーパーグロース法による単層カーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ導電紙(SG)は、HiPco法による単層カーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ導電紙(HiPco)よりもはるかに大きな導電率を示した。導電性物質として市販のHiPco法による単層カーボンナノチューブを用いたカーボンナノチューブ導電紙では、導電率が5.7S/cmであり、従来知られている導電紙と比べれば十分大きい導電率であるが、スーパーグロース法による単層カーボンナノチューブを用いた導電紙はさらに10倍以上の導電率が得られた。スーパーグロース法による単層カーボンナノチューブの大きなアスペクト比は、大きな導電率を得る上で重要であることが分かる。
さらに、スーパーグロース法による単層カーボンナノチューブを用いた導電紙の表面は、HiPco法による単層カーボンナノチューブを用いた導電紙の表面よりもはるかに滑らかであった。これは、スーパーグロース法による単層カーボンナノチューブはセルロースの中に一様に分散させうることを意味している。
[電子デバイス]
図15及び図16は専ら紙からなるタッチセンサシステムを示す図である。
図15(a)は紙配線によって鉛直方向と水平方向に接続された8×8個の導電紙キャパシタを含む紙のみからなるタッチセンサの写真である。図15(b)はタッチセンサの回路図である。図16(a)は、図15に示すタッチセンサの2×2セルの概略図である。図16(b)は時間の関数としてのタッチセンサのセルの容量変化を示す説明図である。
図15及び図16に示すように、タッチセンサ100は、縦横に延在する導電紙配線102と、導電紙配線102の交差部に対応して形成された導電紙キャパシタ101(サイズ:5×5mm)とを備えている。マトリクス状に配列された複数の導電紙キャパシタ101がタッチセンサ100の個々のセルを構成している。
図16(a)に示すように、タッチセンサ100は、厚さ15μmの絶縁紙103の両面に、導電紙パターン105が形成された構成を備える。絶縁紙103の図示上面に形成された導電紙パターン105は、矩形状の電極101aと導電紙配線(ビット線)102aとを有する。絶縁紙103の図示下面に形成された導電紙パターン105は、矩形状の電極101bと導電紙配線102b(ワード線)とを有する。互いに対向して配置された電極101a及び電極101bと、これらの間に挟まれた絶縁紙103とが、導電紙キャパシタ101を構成している。
そして、図16(a)に示すように、タッチセンサ100のセル(導電紙キャパシタ101)の1つに指で触れると、図16(b)に示すように、対応するセル(導電紙キャパシタ101)の容量が、例えば45pFから150pFへと変化する。これにより、タッチセンサ100上の指が触れた位置を検出することができる。タッチセンサ100の応答時間は100ミリ秒未満であり、この高い感度と高速応答は、本発明の導電紙の大きな導電率をフルに活用したことで実現できたものである。
本発明によれば、十分な導電性と弾性とを有する導電紙及び導電性セルロース組成物を提供することができる。これらの導電紙及び導電性セルロース組成物は、種々の物品の導電性部材に好適に用いることができ、特に電子デバイスに好適に用いることができる。
また本発明の導電紙は、通常の紙と同様に容易にリサイクルが可能であり、省資源、環境保護の観点からばかりでなく、電気・電子回路の作成効率の観点からも極めて多大な利点をもたらすものである。

Claims (23)

  1. セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質が導電性ポリマーであることを特徴とする導電紙。
  2. セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする導電紙。
  3. セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、イオン液体を含むことを特徴とする導電紙。
  4. 液体に溶かして再生可能である請求項1から3のいずれか1項に記載の導電紙。
  5. 導電率が1S/cm以上である請求項1からのいずれか1項に記載の導電紙。
  6. 前記導電性物質がカーボンナノチューブである請求項3から5のいずれか1項に記載の導電紙。
  7. 前記カーボンナノチューブの長さが1μm以上10cm以下である請求項に記載の導電紙。
  8. 前記導電性物質が導電性ポリマーである請求項3から5のいずれか1項に記載の導電紙。
  9. 前記イオン液体が親水性である請求項3から8のいずれか1項に記載の導電紙。
  10. 前記イオン液体が疎水性である請求項3から8のいずれか1項に記載の導電紙。
  11. 他の導電性物質が混在している請求項1から10のいずれか1項に記載の導電紙。
  12. セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質が導電性ポリマーであることを特徴とする導電性セルロース組成物。
  13. セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、前記導電性物質がカーボンナノチューブであることを特徴とする導電性セルロース組成物。
  14. セルロースと導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態で混和した導電性セルロースを有し、イオン液体を含むことを特徴とする導電性セルロース組成物。
  15. 他の導電性物質が混在している請求項12から14のいずれか1項に記載の導電性セルロース組成物。
  16. ペースト状、又はゲル状、又は液状であることを特徴とする請求項12から15のいずれか1項に記載の導電性セルロース組成物。
  17. 請求項1から11のいずれか1項に記載の導電紙、又は請求項12から16のいずれか1項に記載の導電性セルロース組成物を備えた物品。
  18. 請求項1から11のいずれか1項に記載の導電紙、又は請求項12から16のいずれか1項に記載の導電性セルロース組成物を備えた電子デバイス。
  19. イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、
    前記混合物にセルロースを分散させることにより、前記セルロースと前記導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態となった導電性セルロースを含む分散液を調製する工程2と、
    前記分散液を乾燥させる工程3と、
    を有することを特徴とする導電紙の製造方法。
  20. 前記分散液の乾燥物から、前記イオン液体を除去する工程4、をさらに有する請求項1に記載の導電紙の製造方法。
  21. 前記イオン液体が親水性である場合に、前記分散液を調製する工程で分散媒として水を添加する請求項19又は20に記載の導電紙の製造方法。
  22. 前記イオン液体が疎水性である場合に、前記分散液を調製する工程で水以外の分散媒を添加する請求項19又は20に記載の導電紙の製造方法。
  23. イオン液体と導電性物質との混合物を調製する工程1と、
    前記混合物にセルロースを分散させることにより、前記セルロースと前記導電性物質とが互いに絡み合い又は吸着し、分散媒中でも相分離しない状態となった導電性セルロースを含む分散液を調製する工程2と、
    を有することを特徴とする導電性セルロース組成物の製造方法。
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