後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
本体と、前記本体に回転可能に収容され、光ファイバを巻き付けるためのボビンと、を備え、前記ボビンは、隔壁部を有し、前記隔壁部は、前記隔壁部の内側と外側との間で前記光ファイバを導くためのファイバ用溝を有し、前記光ファイバの一端側を前記隔壁部の内側に収納しつつ、前記ファイバ用溝によって前記隔壁部の外側に導かれた前記光ファイバを前記隔壁部の外壁面に巻き付けることによって、前記光ファイバを収納することを特徴とする収納ケースが明らかとなる。
このような収納ケースによれば、隔壁部の外壁面に光ファイバが巻き付けられた状態であっても、隔壁部の内側に収納した光ファイバを引き出すことができる。
前記隔壁部の内側に環状の内溝部が形成されていることが望ましい。これにより、環状の内溝部に光ファイバを巻き回して収納できるので、狭いスペースに効率よく光ファイバを収納できる。
前記内溝部の内側に隆起部が形成されており、前記隆起部は、前記光ファイバの前記一端側に設けられたコネクタを固定するためのコネクタ固定部を有することが望ましい。これにより、内溝部に収納する光ファイバの終端に設けられたコネクタを固定できる。
前記隔壁部は、前記コネクタの端部を固定するコネクタ端固定部を有することが望ましい。これにより、コネクタの寸法が長くなっても、コネクタから延び出る光ファイバの曲率半径を十分確保できる。
前記コネクタ端固定部及び前記コネクタ固定部は、前記内溝部よりも浅く形成されていることが望ましい。これにより、コネクタがコネクタ端固定部及びコネクタ固定部に固定されると、内溝部に収納された光ファイバが外れにくくなる。
前記本体と、前記ボビンと、前記ボビンに巻き付けた前記光ファイバとを覆うための上蓋を更に備え、前記上蓋は、前記内溝部に対向して形成された環状凸部を有し、前記コネクタの上側に前記環状凸部が配置されることが望ましい。これにより、収納ケースの内部でのボビンの回転位置によらず、コネクタが外れにくくなる。
前記隔壁部は、2つの前記ファイバ用溝を備えており、前記光ファイバの一端側を前記隔壁部の内側に収納しつつ、一方の前記ファイバ用溝によって前記光ファイバを前記隔壁部の外側に導くとともに、前記光ファイバの他端側を、他方の前記ファイバ用溝によって前記隔壁部の内側に導きつつ、前記光ファイバを前記隔壁部の内側に収納することが望ましい。これにより、光ファイバの両端側をともに隔壁部の内側に収納できる。
===第1実施形態===
<収納ケースの構成>
図1Aは、収納ケース1の全体斜視図である。図1Bは、収納ケース1の上蓋50を開けた様子の斜視図である。図2は、収納ケース1の分解斜視図である。
以下の説明では、図示するように、各方向を定義する。すなわち、収納ケース1を載置したときの載置面に垂直な方向を「上下方向」とし、上蓋50の側を「上」とし、本体10側を「下」とする。つまり、本体10を基準としたときに、上蓋50の側が「上」となり、逆側が「下」となる。また、収納ケース1から光ファイバ3を引き出すときの光ファイバ3の方向を「前後方向」とし、光ファイバ3を引き出す側を「前」、逆側を「後」とする。また、上下方向及び前後方向に垂直な方向を「左右方向」とし、前から見たときの方向に従って「右」と「左」を定義する。
収納ケース1は、光ファイバ3を収納するためのケースである。光ファイバ3の終端には、光電変換素子(発光素子又は受光素子)を内蔵したコネクタ5(光モジュール)が設けられている。但し、光電変換素子を有しないコネクタが設けられても良い。また、光ファイバ3の片側の終端のみにコネクタ5が設けられても良いし、いずれの終端にもコネクタ5が設けられていなくても良い。ここでは、光ファイバ3の長さは数十メートルから百メートル程度を想定している。但し、この長さに限定されるものではなく、これより長くても短くても良い。
収納ケース1は、本体10と、ボビン30と、上蓋50とを備えている。本体10に対してボビン30は回転可能であり、これにより、ボビン30を回転させつつ、ボビン30に光ファイバ3を巻き取らせたり、ボビン30から光ファイバ3を引き出したりすることができる。また、本体10とボビン30の上から上蓋50が覆いかぶせられており、光ファイバ3が塵埃などから保護される。
収納ケース1を構成する各構成要素(本体10、ボビン30、上蓋50)は、それぞれ、左右対称に形成されている。これにより、光ファイバ3をボビン30に巻き付けるとき、どちらの方向(上から見て時計回り、反時計回り)にも巻き付けることが可能である。
収納ケース1を構成する各構成要素(本体10、ボビン30、上蓋50)は、それぞれ、プラスチックによって一体成型加工(真空成型加工)されている。ここでは、材料にPET(ポリエチレンテレフタラート)を採用しているが、他にもPC(ポリカーボネート)、PVC(ポリ塩化ビニル)、透明PS(ポリスチレン)、色つきのPS(ポリスチレン)、PP(ポリプロピレン)などを用いることも可能である。透明な材料によって収納ケース1を構成すれば、外部から中身を確認できるので便利である。
収納ケース1の本体10及び上蓋50は、上から見て四角形状である。このため、多数の収納ケース1を横方向(前後方向又は左右方向)に隙間無く並べることが可能であり、収納ケース1の保管スペースを小さくすることができる。また、上から見て本体10及び上蓋50が四角形状であるため、本体10に上蓋50を覆いかぶせたときに、上蓋50が本体10に対してずれにくいため、上蓋50が安定する。
・本体10
図3は、本体10の斜視図である。本体10は、収納ケース1のベースとなる部材であり、ボビン30を回転可能に収容する部材である。本体10は、ボビン収容部11と、縁部13とを有する。
ボビン収容部11は、ボビン30を回転可能に収容するための部位であり、本体10の中央部に形成された凹所である。
ボビン収容部11の中央には、軸支持部11Aが形成されている。軸支持部11Aは、ボビン30の下方に設けられた回転軸31を支持する部位である。軸支持部11Aは、ボビン収容部11の底面11Bから上側に突出した円筒形状の部位であり、円筒形状の軸支持部11Aにボビン30の回転軸31が嵌合することになる。
ボビン収容部11の底面11Bには、凸状接点11Cが複数形成されている。凸状接点11Cは、ボビン30の下面(詳しくは、ボビン30の鍔部32の下面)との接触面積を減らすための突起である。ボビン30との接触面積を減らすことによって、ボビン30の回転が滑らかになる。凸状接点11Cは、ボビン30を支えるために少なくとも3個必要であるが、ここでは安定性を考慮して8個形成されている。
縁部13は、ボビン収容部11を囲む部位である。縁部13の内側には、ボビン30を囲い込むような円筒状の内周面13Aが形成されている。縁部13の外側には、四方に外周面13Bが形成されている。上から見ると内周面13Aが円形状であり外周面13Bが矩形状であり、四隅にスペースができるため、後側の二隅には補強用リブ13Cが形成され、前側の二隅にはファイバ通過溝13Dが形成されている。
ファイバ通過溝13Dは、本体10の内側と外側との間で光ファイバ3を導くための溝であり、光ファイバ3の収納時又は敷設時に光ファイバ3が通過する溝である。ファイバ通過溝13Dは、内周面13Aの接線方向となる前後方向に沿って形成されている。ファイバ通過溝13Dの中央部には、コネクタ収容部13Eが形成されている。コネクタ収容部13Eは、コネクタ5を収容するための部位である。外周面13Bの下縁には、収納ケース1を載置面に載置するための縁底部13Fが形成されている。図4Aに示すように、縁底部13Fは上蓋50の縁底部と重なるが、縁底部13Fの4隅の丸み(いわゆるR)の半径は、上蓋50のものよりも大きい。これにより、上蓋50の四隅が本体10よりも外側に突出し、この突出した部分を指に引っ掛けるための「つまみ」として機能させ、上蓋50を本体10から外しやすくしている。但し、縁底部13Fの4隅の丸みの半径が、図4Bに示すように上蓋50のものよりも小さくても良いし、同じでも良い。
図5Aは、収納ケース1を積載可能にする構造の説明図である。図5Bは、収納ケース1を積載した様子の側面図である。
縁部13の外周面13Bは、下側ほど外側になるように勾配している。また、ボビン収容部11の下面が縁底部13Fよりも若干上側に形成されている。これにより、収納ケース1を積み重ねたときに、下の収納ケース1の上部が上の収納ケース1の縁底部13Fの内側に収まるため、収納ケース1を積載させやすくなる。
・ボビン30
図6Aは、ボビン30を右上から見た斜視図である。図6Bは、ボビン30を右下から見た斜視図である。図6Cは、ボビン30を右から見た側面図である。図7Aは、ボビン30を本体10に収容した様子の斜視図である。図7Bは、ボビン30を本体10に収容した様子の側面図である。
ボビン30は、本体10のボビン収容部11に収容され、光ファイバ3を巻き付けるための部材(回転体)である。ボビン30は、回転軸31と、鍔部32と、隔壁部33と、内溝部34と、隆起部35と、2つの突起部36とを有する。
回転軸31は、ボビン30の回転中心となる軸であり、ボビン30の中央に形成されている。回転軸31は、本体10の方へ向かって、ボビン30の下側に形成されている。回転軸31は、本体10の軸支持部11Aに嵌合し、ボビン30が本体10に対して回転可能に支持される。回転軸31が本体10の軸支持部11Aに嵌合することによって、ボビン30の回転軸31の位置が安定し、ボビン30に光ファイバ3を巻き付けやすくなり、また、ボビン30から光ファイバ3を引き出しやすくなる。
鍔部32は、ボビン30に巻き付けられる光ファイバ3を下から支持する部位である。鍔部32は、回転軸31を中心とする円盤状の部位であり、隔壁部33の下縁から外側に形成されている。円盤状の鍔部32の上面は、ボビン30(詳しくは隔壁部33の外壁面33A)に巻き付けられた光ファイバ3を支持することになる。ボビン30に巻き付けられた光ファイバ3を鍔部32が下から支持することによって、ボビン30を回転させてボビン30に光ファイバ3を巻き付ける作業が容易になる。
鍔部32の下面は、本体10のボビン収容部11の底面11Bと対向することになる。ボビン収容部11の底面11Bに凸状接点11Cが形成されているため、鍔部32の下面は、凸状接点11Cと接触している。なお、本体10のボビン収容部11に凸状接点11Cを形成する代わりに、ボビン30の鍔部32の下面に凸状接点(下側に向かって凸となるボビン側の突起)を形成することによって、本体10とボビン30との接触面積を減らしても良い。
隔壁部33は、外側に巻き付けられる光ファイバ3と内側に収納される光ファイバ3とを隔てる部位である。隔壁部33は、回転軸31を中心とする円筒形状の部位であり、隔壁部33の外壁面33Aには、光ファイバ3が巻き付けられる。このため、円筒形状の外壁面33Aの半径は、光ファイバ3に許容される曲率半径(許容曲率半径)よりも大きい。隔壁部33は、鍔部32と内溝部34との間に配置されている。隔壁部33には、ファイバ用溝33Cと、コネクタ端固定部33Dとが形成されている。ファイバ用溝33Cは、隔壁部33の内側と外側との間で光ファイバ3を導くための溝である。コネクタ端固定部33Dは、コネクタ5の端部を固定するための窪みであり、隔壁部33の内側に形成されている。なお、コネクタ端固定部33Dは、内溝部34よりも浅く形成されている。なお、光ファイバ3の内側の端部にコネクタが無い場合、コネクタ端固定部33Dを設けなくても良い。
内溝部34は、隔壁部33の内側で光ファイバ3を収納するため部位である。内溝部34は、回転軸31を中心とする環状の溝であり、隔壁部33の内側に形成されている。例えば収納ケース1に100m程度の光ファイバ3を収納するとき、内溝部34に2〜3m程度の光ファイバ3が収納され、残りの光ファイバ3が隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられることになる。環状の内溝部34の半径は、光ファイバ3の許容曲率半径よりも大きい。内溝部34に光ファイバ3を収納することによって、隔壁部33の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられた状態であっても、内溝部34に収納した光ファイバ3(及びその終端のコネクタ5)を引き出すことが可能になる。
なお、内溝部34の底面は、鍔部32よりも上側に形成されている。つまり、内溝部34は、鍔部32の上面よりも浅く形成された溝である。これにより、内溝部34に光ファイバ3を収納しやすくなるとともに、内溝部34に収納された光ファイバ3を取り出しやすくなる。
隆起部35は、内溝部34の内側に形成された部位である。隆起部35は、回転軸31を中心とする円柱状の部位である。隆起部35の外周面35Aと隔壁部33の内壁面33Bとの間に、内溝部34があり、光ファイバ3が収納されることになる。円柱状の隆起部35の外周面35Aの半径は、光ファイバ3の許容曲率半径よりも大きい。隆起部35には、コネクタ固定部35Bが形成されている。コネクタ固定部35Bは、コネクタ5を固定するための溝(窪み)である。コネクタ固定部35Bは、光ファイバ3を保護するブーツをも包含できるように形成されている。コネクタ固定部35Bの延長線上に、隔壁部33のコネクタ端固定部33Dが位置している。なお、コネクタ固定部35Bは、コネクタ端固定部33Dと同様に、内溝部34よりも浅く形成されている。なお、光ファイバ3の内側の端部にコネクタが無い場合、コネクタ固定部35Bを設けなくても良い。
突起部36は、ボビン30の他の部位よりも上側に突出した部位である(図6C参照)。2つの突起部36が設けられており、回転軸31を挟むように配置されている。ボビン30に光ファイバ3を巻き付けるとき、突起部36を手でつかみ、ボビン30を回転させることになる。つまり、突起部36は、ボビン30を回転させるための「つまみ」としての機能を有する。突起部36は、ボビン30の他の部位よりも上側に突出しているだけでなく、本体10よりも上側に突出している(図7B参照)。このため、突起部36を手でつかみやすい。
また、突起部36は、裏返した上蓋50を取り付ける機能を有する。また、突起部36は、保管時におけるボビン30の回転を防止する機能を有する。これらの機能については、後述する。
・上蓋50
図8Aは、上蓋50を右上から見た斜視図である。図8Bは、上蓋50を右下から見た斜視図である。
上蓋50は、本体10及びボビン30を上から覆いかぶせるための蓋である。上蓋50は、収納ケース1に収納された光ファイバ3を塵埃などから保護するカバーとしての機能を有する。このため、上蓋50の上面51は、少なくとも本体10のボビン収容部11を覆うように構成される。ボビン30の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられていれば、上蓋50の上面51は、ボビン30の外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3の上側を覆うことになる。
上蓋50の中央部には、4つの凹部53が形成されている。凹部53は、上蓋50を裏返してボビン30に取り付ける際に、ボビン30の突起部36と嵌合することになる。つまり、凹部53は、裏返した上蓋50をボビン30に取り付ける機能を有する。凹部53は、上蓋50の下から見ると上面51から下側に突出している。このように、凹部53の裏側は、ボビンに向かって突出した凸部になっているため、「凹部53」のことを「凸部53」と呼ぶこともある。以下の説明では、その機能に応じて「凹部53」と呼ぶこともあれば、「凸部53」と呼ぶことがある。収納ケース1の保管時に凸部53(詳しくは、凸部53の側面)がボビン30の突起部36(詳しくは、突起部36の側面)に接触することによって、ボビン30の回転が防止される。つまり、凸部53(凹部53)は、ボビン30の回転を防止する機能を有する。凸部53(凹部53)のこれらの機能については、後述する。
上蓋50には、4つの凹部53を囲むように環状凹部52が形成されている。環状凹部52は、ボビン30の内溝部34と対向するように、形成されている。環状凹部52は、上蓋50の下から見ると上面51から下側に突出している。このように、環状凹部52の裏側は、ボビンに向かって突出した環状凸部になっているため、「環状凹部52」のことを「環状凸部52」と呼ぶことがある。以下の説明では、その機能に応じて「環状凹部52」と呼ぶこともあれば、「環状凸部52」と呼ぶことがある。環状凸部52(環状凹部52)は、ボビン30のコネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bによって固定されたコネクタ5の脱落を防止する機能を有する。環状凸部52(環状凹部52)のこの機能については、後述する。
<光ファイバ収納方法>
図9は、収納ケース1に光ファイバ3を収納する方法のフロー図である。
まず、作業者は、図7Aに示すように、本体10のボビン収容部11にボビン30を収容する(S001)。このとき、作業者は、本体10の軸支持部11Aにボビン30の回転軸31を嵌合させて、本体10に対して回転可能にボビン30を収容する。この段階では、上蓋50は、本体10及びボビン30から外された状態である。
次に、作業者は、2〜3m程度の光ファイバ3をボビン30の内溝部34に緩やかに巻き付けて収納する(S002)。図10は、内溝部34に光ファイバ3を収納する様子の斜視図である。作業者は、ボビン30に光ファイバ3を巻き付けた後に引き出す必要のある長さの光ファイバ3を、ボビン30の内溝部34に巻き付けて収納する。内溝部34が環状に形成されているため、内溝部34に光ファイバ3を巻き回して収納できるので、狭いスペースに効率よく光ファイバ3を収納できる。
なお、作業者は、ボビン30の内溝部34に光ファイバ3を収納した後、ファイバ用溝33Cによって、隔壁部33の内側から外側へ光ファイバ3を導く。これにより、次に作業者がボビン30を回転させたときに、光ファイバ3が隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられることになる。
内溝部34に収納した光ファイバ3の終端にコネクタ5がある場合、作業者は、そのコネクタ5をボビン30のコネクタ端固定部33Dとコネクタ固定部35Bに固定する(S003)。図11Aは、内溝部34に光ファイバ3を収納した様子の斜視図である。図11Bは、コネクタ端固定部33Dとコネクタ固定部35Bに固定されたコネクタ5の斜視図である。
コネクタ端固定部33Dは隔壁部33に形成されており、コネクタ固定部35Bは隆起部35に形成されているため、コネクタ5がコネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bに固定されると、コネクタ5は、内溝部34を跨ぐように配置される。加えて、コネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bは、内溝部34よりも浅く形成されているため、コネクタ5は、内溝部34に収納した光ファイバ3の上を跨ぐように配置される。これにより、コネクタ5がコネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bに固定されると、内溝部34に収納された光ファイバ3が外れにくくなる。
図12Aは、コネクタ固定部35Bを設けずに、内溝部34にコネクタ5を収容した比較図である。図に示すように、コネクタ5が短くなければコネクタ5を収容できないため、収容可能なコネクタ5の形状・寸法の制約が大きくなる。また、コネクタ5から延び出る光ファイバ3(若しくはブーツ)が隔壁部33によって曲げられてしまい、損傷しやすい。また、図12Bは、隔壁部33にコネクタ端固定部33Dを設けずに、隆起部35のコネクタ固定部35Bのみでコネクタ5を固定した比較図である。図に示すように、コネクタ5の寸法が長くなると、コネクタ5から延び出る光ファイバ3が隔壁部33によって曲げられてしまい、損傷しやすい。これに対し、図11Bに示す構成によれば、図12A及び図12Bの比較図と比べて、コネクタ5の寸法が長くなっても、コネクタ5から延び出る光ファイバ3の曲率半径を十分確保できる。特に、コネクタ固定部35Bがブーツも包含するように形成されているため、コネクタ5から延び出る光ファイバ3が隔壁部33によって曲げられてしまうことを回避できる。
次に、作業者は、ボビン30を回転させて、ボビン30に光ファイバ3を巻き付ける(S004)。図13Aは、ボビン30に光ファイバ3を巻き付ける様子の斜視図である。作業者は、ボビン30の突起部36を手でつかみ、ここでは上から見て反時計回りにボビン30を回転させる。ボビン30を回転させると、ファイバ用溝33Cによって隔壁部33の外側に導かれた光ファイバ3が、隔壁部33の外壁面33Aに沿って巻き付けられる。
外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3は、鍔部32によって下から支持されている。これにより、既に巻き付けられた光ファイバ3とともにボビン30を回転させることが容易になり、ボビン30に光ファイバ3を巻き付ける作業が容易になる。仮にボビン30に鍔部32が無いと、ボビン30に巻き付けられた光ファイバ3が本体10の底面11Bに引きずられながらボビン30を回転させるため、ボビン30を回転させ難くなり、光ファイバ3をボビン30に巻き付ける作業に負荷がかかる。
なお、作業者は、ボビン30を回転させ始めたときに、本体10の縁部13のファイバ通過溝13Dに光ファイバ3を配置させる。これにより、光ファイバ3がファイバ通過溝13Dを通りながらボビン30に巻き付けられるため、光ファイバ3の捩れが抑制される。
次に、作業者は、光ファイバ3をボビン30に巻き付け終えたら、本体10のコネクタ収容部13Eにコネクタ5を収容する(S005)。図13Bは、コネクタ収容部13Eにコネクタ5を収容した様子の斜視図である。コネクタ収容部13Eがファイバ通過溝13Dに形成されているため、光ファイバ3をファイバ通過溝13Dに通過させながらボビン30に巻き付けていけば、終端のコネクタ5が自然にコネクタ収容部13Eの近傍まで運ばれてくるので、作業者がコネクタ収容部13Eにコネクタ5を収容する作業は容易である。
最後に、作業者は、本体10とボビン30(及び光ファイバ3)の上から上蓋50を覆いかぶせて(S006)、光ファイバ3の収納作業を完了する。収納ケース1は、上蓋50を覆いかぶせた状態で保管される。上蓋50を覆いかぶせることによって、光ファイバ3が塵埃などから保護される。
<収納ケースの保管時について>
・回転防止機構
収納ケース1の運搬時には、収納ケース1に振動が加わり、ボビン30が動きやすくなる。特に、ボビン30は、鍔部32を有するため、光ファイバ3とともに回転しやすい構造になっている。加えて、ボビン収容部11に凸状接点11Cが形成されており、ボビン30が更に回転しやすい構造になっている。しかし、収納ケース1の保管時に収納ケース1の内部でボビン30が回転してしまうと、光ファイバ3を損傷させるおそれがある。このため、収納ケース1には、ボビン30の回転を防止するための回転防止機構が設けられている。
図14Aは、回転防止機構を説明するための断面斜視図である。図14Bは、突起部36と凸部53(凹部53)の位置関係の説明図である。図14Bの太線は突起部36の配置を示し、細線は凸部53の配置を示している。
回転防止機構は、ボビン30の突起部36と、上蓋50の凸部53(凹部53)とによって、構成されている。ボビン30の突起部36は上蓋50の側に突出して形成されており、上蓋50の凸部53はボビン30の側に突出して形成されている。ここでは、ボビン30が回転したときに突起部36(詳しくは、突起部36の側面)と凸部53(詳しくは、凸部53の側面)とが接触する位置に突起部36と凸部53(凹部53)が形成されている。これにより、ボビン30の回転が防止される。
図14Bには、ボビン30の回転軸31からの距離をRとして、ボビン30の突起部36と上蓋50の凸部53(凹部53)の配置が示されている。ボビン30の突起部36が存在する範囲は、Ra1<R<Ra2である。ここで、Ra1は、回転軸31に最も近い突起部36の部位までの距離である。Ra2は、回転軸31から最も遠い突起部36の部位までの距離である。上蓋50の凸部53(凹部53)が存在する範囲は、Rb1<R<Rb2である。ここで、Rb1は、回転軸31に最も近い凸部53(凹部53)の部位までの距離である。Rb2は、回転軸31から最も遠い凸部53(凹部53)の部位までの距離である。
ボビン30が回転したときに突起部36と凸部53(凹部53)とが接触する条件は、ボビン30の突起部36が存在する範囲(Ra1<R<Ra2)と、上蓋50の凸部53が存在する範囲(Rb1<R<Rb2)の少なくとも一部が重複することである。つまり、ボビン30が回転したときに突起部36と凸部53とが接触する条件は、Ra1<Rb1<Ra2とRa1<Rb2<Ra2の少なくとも一方を満たすこと(若しくは、Rb1<Ra1<Rb2とRb1<Ra2<Rb2の少なくとも一方を満たすこと)である。つまり、この条件が満たされると、突起部36と凸部53とが接触するため、ボビン30の回転が防止される。なお、ここでは、上蓋50を裏返して突起部36と凹部53(凸部53)を嵌合させるため(後述)、突起部36が存在する範囲と、凸部53が存在する範囲はほぼ一致している。
更に、ボビン30に2つの突起部36が形成されており、上蓋50に4つの凸部53(凹部53)が形成されている。そして、ボビン30の各突起部36が、ボビン30の回転方向から2つの凸部53に挟まれて配置されている。これにより、上から見てボビン30が時計方向及び反時計方向のいずれの方向に回転しても、直ちに突起部36が凸部53と接触するため、ボビン30の回転が防止される(ボビン30の回転量が小さい)。
・コネクタの脱落防止
収納ケース1の運搬時には、収納ケース1に振動が加わり、ボビン30が動きやすくなる。しかし、収納ケース1の内部でボビン30に固定したコネクタ5が外れてしまうと、光ファイバ3を損傷させるおそれがある。このため、収納ケース1には、コネクタ5の脱落を防止するための機構が設けられている。
図15は、コネクタ5が固定された様子を示すための断面斜視図である。
コネクタ5の上側には、上蓋50の凸部53(凹部53)が配置されている。つまり、コネクタ5が、ボビン30のコネクタ固定部35Bと上蓋50の凸部53との間で固定されている。これにより、コネクタ固定部35Bに固定されたコネクタ5が、凸部53によって上から押さえられ、この結果、収納ケース1の内部でコネクタ5が外れにくくなる。
また、コネクタ5の上側には、上蓋50の環状凸部52(環状凹部52)が配置されている。環状凸部52がボビン30の内溝部34と対向するように形成されているため、内溝部34を跨いでいるコネクタ5の部位の上側に、環状凸部52が配置されることになる。これにより、コネクタ5におけるコネクタ固定部35Bとコネクタ端固定部33Dとの間の部位が、環状凸部52によって上から押さえられ、この結果、収納ケース1の内側でコネクタ5が外れにくくなる。
なお、環状凸部52(環状凹部52)は、環状に形成されているため、収納ケース1の内部でのボビン30の回転位置によらずに、コネクタ5(詳しくは、内溝部34を跨いでいるコネクタ5の部位)の上に配置されることになる。このため、上蓋50が本体10とボビン30に覆いかぶせられれば、自然にコネクタ5が外れにくくなる。
・検査
図16は、光ファイバ3(若しくはコネクタ5)の検査時の説明図である。
光ファイバ3の収納時に、光ファイバ3の一端側が隔壁部33の内側(詳しくは内溝部34)に収納され、残りの光ファイバ3は、ファイバ用溝33Cによって隔壁部33の外側に導かれ、隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられている。このように、隔壁部33の内側の内溝部34に光ファイバ3を収納することによって、隔壁部33の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられた状態であっても、内溝部34に収納した光ファイバ3(及びその終端のコネクタ5)を引き出すことができる。ここでは、内溝部34に収納された2〜3m程度の光ファイバ3を引き出すことができるので、光ファイバ3やコネクタ5の検査などが容易になる。なお、コネクタ収容部13Eに収容されたコネクタ5は、元々光ファイバ3を引き出しやすい状態であるため、問題は生じない。
図17は、ボビン30の隔壁部33の内側に光ファイバ3を収納しない場合の比較図である。図に示すように、ボビン30の隔壁部33の内側に光ファイバ3を収納しない場合、外壁面33Aに幾重にも光ファイバ3が巻き回されていると、光ファイバ3を巻き回す前に先に収納した光ファイバ3やコネクタ5を取り出すことが困難になる。
<ファイバ敷設方法>
図18は、収納ケース1の光ファイバ3の敷設方法のフロー図である。
まず、作業者は、図1Bに示すように、本体10とボビン30から上蓋50を外す(S101)。このとき、作業者は、上蓋50の四隅で本体10よりも外側に突出した部分に指に引っ掛けて「つまみ」とし、上蓋50を本体10から外すとよい(図4A参照)。上蓋50を外すことにより、上蓋50の凸部53(凹部53)がボビン30の突起部36と接触しなくなり、ボビン30が回転可能になる(回転防止機能が解除される)。
次に、作業者は、本体10のコネクタ収容部13Eからコネクタ5を外し、コネクタ5を外部に出す(S102)。図19は、コネクタ5を外部に出した様子の説明図である。図に示すように、作業者は、その後の作業のために、コネクタ5とともに引き出された光ファイバ3を、本体10の縁部13のファイバ通過溝13Dに配置させる。なお、コネクタ収容部13Eがファイバ通過溝13Dに形成されているため、コネクタ収容部13Eから取り出したコネクタ5を本体10の前側へ引き出せば、自然に光ファイバ3がファイバ通過溝13Dに配置されるので、作業は容易である。
次に、作業者は、上蓋50を裏返し、裏返した上蓋50をボビン30に取り付ける(S103)。図20Aは、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けた様子の説明図である。
上蓋50を裏返すと、上蓋50の凹部53(凸部53)の開口が下側に向くことになる。作業者は、凹部53の開口にボビン30の突起部36を挿入し、突起部36と凹部53を嵌合させて、裏返した上蓋50をボビン30に取り付ける。つまり、回転防止機構を構成する突起部36と凸部53(凹部53)を利用して、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けている。このため、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けるための機構と回転防止機構とを別々に形成した場合と比べて、ボビン30及び上蓋50の構成・形状を簡素化できる。
上蓋50は、通常の保管時に光ファイバ3を塵埃などから保護するために、ボビン30の外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3の上側を覆うように構成されている。このように構成された上蓋50を裏返してボビン30に取り付けると、上蓋50の上面51が、ボビン30の外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3を上側から覆うことになる。
裏返した上蓋50をボビン30に取り付けるとき、作業者は、ファイバ通過溝13Dにおける本体10と上蓋50との隙間に光ファイバ3を配置させる。なお、S102の段階で予め光ファイバ3がファイバ通過溝13Dに配置されていれば、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けると、光ファイバ3は、そのままファイバ通過溝13Dにおける本体10と上蓋50との隙間に配置されるため、作業が容易である。
次に、作業者は、ボビン30の外壁面33Aから光ファイバ3を引き出す(S104)。図20Aに示すように、作業者が光ファイバ3を前側へ引くと、ボビン30の外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3が引き出され、ボビン30が上から見て時計回りに回転する。
ボビン30の隔壁部33の外壁面33Aには幾重にも光ファイバ3が巻き回されており、この状態で光ファイバ3が引き出されることになる。このとき、ボビン30の外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3を上蓋50が上から覆っているため、光ファイバ3がボビン30の上方を乗り越えて引き出されることが防止され、光ファイバ3の捩れを防止できる。
図20Bは、上蓋50をボビン30に取り付けなかった場合の比較図である。ボビン30の隔壁部33の外壁面33Aには幾重にも光ファイバ3が巻き回されており、この状態で光ファイバ3が引き出されると、図に示すように、光ファイバ3がボビン30の上方を乗り越えてしまうことがある。この結果、光ファイバ3が捩れた状態で引き出されてしまい、光ファイバ3を損傷させるおそれがある。
図20Aに示すように、光ファイバ3が引き出されるとき、光ファイバ3は、ファイバ通過溝13Dにおける本体10と上蓋50との隙間を通過する。光ファイバ3がファイバ通過溝13Dに配置された状態で本体10と上蓋50との間に挟まれているため、光ファイバ3の引き出し中に光ファイバ3がファイバ通過溝13Dから外れにくい。このため、光ファイバ3が収納ケース1から引き出される位置が、ファイバ通過溝13Dの位置に固定される。なお、ファイバ通過溝13Dが、内周面13Aの接線方向となる前後方向に沿って形成されているため、作業者がファイバ通過溝13Dを通過する光ファイバ3を引っ張っても、光ファイバ3が小さな曲率半径(許容曲率半径以下)で曲がらずに済む。
ボビン30の外壁面33Aから光ファイバ3を引き出した後(S104の後)、作業者は、ボビン30から上蓋50を外して、ボビン30に固定されているコネクタ5を取り出す(S105)。作業者は、内溝部34の光ファイバ3の上を跨ぐように配置されているコネクタ5を取り出した後、内溝部34に収納されている光ファイバ3を取り出す(S106)。
<上蓋の別の利用方法>
光ファイバ3の収納時に、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けても良い。
図21は、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けて光ファイバ3を巻き付ける様子の説明図である。作業者は、ボビン30の突起部36を手でつかむ代わりに、上蓋50を手でつかんでボビン30を回転させる。つまり、裏返した上蓋50を治具として利用する。上蓋50の上面51が、ボビン30の外壁面33Aに巻き付けられる光ファイバ3を上側から覆っているため、光ファイバ3が、ボビン30の外壁面33Aから外れることなく、整然と巻き付けられる。
<光ファイバの別の収納方法>
図26は、光ファイバの別の収納方法の説明図である。
ボビン30は左右対称に形成されているので、ボビン30の隔壁部33には前述のファイバ用溝33Cが2つ形成されている。そして、作業者は、光ファイバ3をボビン30に巻き付け終えたら、本体10のコネクタ収容部13Eにコネクタ5を収容する代わりに、図26に示すように、ボビン30のファイバ用溝33Cを介して、隔壁部33の外側から内側へ光ファイバ3を導くことができる。このとき隔壁部33の内側へ光ファイバ3を導くファイバ用溝33Cは、ボビン30に巻き付ける前の光ファイバ3を隔壁部33の内側から外側へ導いたファイバ用溝33Cとは別の方である。このような収納方法によれば、光ファイバ3の両端側をともに隔壁部33の内側に収納できる。
なお、ボビン30は左右対称に形成されているので、ボビン30の隔壁部33にはコネクタ端固定部33Dが2つ形成されているとともに、隆起部35にはコネクタ固定部35Bが2つ形成されている。このため、図26に示すように、ボビン30のファイバ用溝33を介して、隔壁部33の外側から内側へ光ファイバ3を導いたときに、その光ファイバ3の終端にコネクタ5がある場合、そのコネクタ5をボビン30のコネクタ端固定部33Dとコネクタ固定部35Bに固定することができる。この場合、S003で固定したコネクタ5を一旦取り外した上で、隔壁部33の内側へ導いた光ファイバ3を内溝部34に収納してから、両方のコネクタ5をそれぞれのコネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bに固定すると良い。
<小括>
以上説明した第1実施形態の収納ケース1は、本体10及びボビン30を備えている(図1B参照)。ボビン30には隔壁部33が形成されており、隔壁部33には、隔壁部33の内側と外側との間で光ファイバ3を導くためのファイバ用溝33Cが形成されている(図6A参照)。そして、光ファイバ3の収納時に、光ファイバ3の一端側が隔壁部33の内側(詳しくは内溝部34)に収納され、残りの光ファイバ3は、ファイバ用溝33Cによって隔壁部33の外側に導かれ、隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられる(図11A、図11B及び図13A参照)。このように、隔壁部33の内側に光ファイバ3を収納することによって、隔壁部33の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられた状態であっても、隔壁部33の内側に収納した光ファイバ3を引き出すことができる。
また、第1実施形態では、隔壁部33の内側に環状の内溝部34が形成されている(図6A参照)。これにより、内溝部34に光ファイバ3を巻き回して収納できるので、狭いスペースに効率よく光ファイバ3を収納できる。
また、第1実施形態では、内溝部34の内側に隆起部35が形成されており、隆起部35にコネクタ固定部35Bが形成されている(図6A参照)。これにより、内溝部34に収納する光ファイバ3の終端に設けられたコネクタ5を固定できる(図11B参照)。
また、第1実施形態の隔壁部33には、コネクタ5の端部を固定するコネクタ端固定部33Dが形成されている(図6A参照)。これにより、コネクタ5の寸法が長くなっても、コネクタ5から延び出る光ファイバ3の曲率半径を十分確保できる(図11B参照)。
また、第1実施形態では、コネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bは、内溝部34よりも浅く形成されている。これにより、コネクタ5がコネクタ端固定部33D及びコネクタ固定部35Bに固定されると、内溝部34に収納された光ファイバ3が外れにくくなる(図11B参照)。
また、第1実施形態の上蓋50には、内溝部34に対向する環状凸部52(環状凹部52)が形成されている(図8A及び図8B参照)。そして、コネクタ固定部35B及びコネクタ端固定部33Dに固定されたコネクタ5の上側に環状凸部52(環状凹部52)が配置される(図15参照)。これにより、収納ケース1の内部でのボビン30の回転位置によらずに、コネクタ5が外れにくくなる。
===第2実施形態===
前述の実施形態によれば、上蓋50に形成された4つの凸部53(凹部53)によって、ボビン30の回転を防止するための回転防止機構を構成していた。また、上蓋50に形成された4つの凹部53(凸部53)によって、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けていた。但し、凸部53(凹部53)は4つに限られるものではない。
図22は、第2実施形態の収納ケース1の説明図である。上蓋50の中央部には、マイナス形状の凹部53(凸部53)が1つ形成されている。第1実施形態と同様に、上蓋50の凸部53(凹部53)はボビン30の側に突出して形成されている。なお、第2実施形態においても、ボビン30の突起部36は上蓋50の側に突出して形成されている。
収納ケース1の保管時には、作業者は、マイナス形状の凸部53(凹部53)の方向が、ボビン30の2つの突起部36を結ぶ線と直交するように、上蓋50を本体10及びボビン30にかぶせる。例えば、図に示すように、2つの突起部36を結ぶ線が前後方向になるとき、作業者は、マイナス形状の凸部53を左右方向にして、上蓋50を本体10及びボビン30にかぶせる。収納ケース1の保管時には、ボビン30が回転したときに突起部36と凸部53とが接触する位置に突起部36と凸部53が形成されている。これにより、ボビン30の回転が防止される。
上蓋50を裏返してボビン30に取り付けるとき、作業者は、マイナス形状の凹部53(凸部53)の方向が、ボビン30の2つの突起部36を結ぶ線と平行にして、突起部36と凹部53を嵌合させる。例えば、図に示すように、2つの突起部36を結ぶ線が前後方向になるとき、作業者は、マイナス形状の凹部53を前後方向にして、裏返した上蓋50をボビン30に取り付ける。これにより、ボビン30に巻き付けられた光ファイバ3を上蓋50によって上側から覆うことができる。
上記の通り、凸部53(凹部53)の形状や数は、第1実施形態のものに限られるものではない。同様に、突起部36の形状や数も、第1実施形態のものに限られるものではなく、適宜変更可能である。
なお、第2実施形態においても、前述の第1実施形態と同様に、光ファイバ3の収納時に、光ファイバ3の一端側が隔壁部33の内側(詳しくは内溝部34)に収納され、残りの光ファイバ3は、ファイバ用溝33Cによって隔壁部33の外側に導かれ、隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられている。このため、第2実施形態においても、隔壁部33の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられた状態であっても、隔壁部33の内側に収納した光ファイバ3を引き出すことができる。
===第3実施形態===
図23は、第3実施形態の収納ケース1の説明図である。なお、第3実施形態では、ボビン30には突起部36が形成されておらず、上蓋50には凹部53(凸部53)が形成されていない。
第3実施形態では、上蓋50の左右の側面にはそれぞれ切り込み54が形成されており、上蓋50の前側の部分を開くことが可能である。作業者は、収納ケース1に収納された光ファイバ3をボビン30から引き出すとき、上蓋50を本体10及びボビン30にかぶせた状態で上蓋50の前側の部分を開き、コネクタ収容部13Eからコネクタ5を取り出し、光ファイバ3を引き出すことになる。
第3実施形態では、ボビン30の回転防止機構が無いため、上蓋50を本体10及びボビン30にかぶせたまま、光ファイバ3を引き出すことが可能になる。上蓋50をかぶせたまま光ファイバ3を引き出した場合、ボビン30に巻き付けられた光ファイバ3を上蓋50の上面51が覆っているため、図20Bのようにボビン30に巻き付けた光ファイバ3が乱れるおそれはない。このため、第3実施形態では、上蓋50を裏返してボビン30に取り付けるための機構が無くても良い。
ところで、前述の第1実施形態及び第2実施形態では、ボビン30の回転を防止するための回転防止機構があるため、光ファイバ3を引き出すためには、回転防止機構を解除する必要があり、上蓋50を本体10及びボビン30から外す必要が生じる。このように、上蓋50を外したときにはボビン30に巻き付けた光ファイバ3が乱れるおそれがあるため(図20B参照)、前述の第1実施形態及び第2実施形態では、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けて、ボビン30に巻き付けられた光ファイバ3を上蓋50によって上側から覆っているのである。
第3実施形態では、ボビン30の回転を防止するための回転防止機構が無いため、収納ケース1の保管時にボビン30が回転するおそれがあり、光ファイバ3を損傷させるおそれがある。また、第3実施形態では、裏返した上蓋50をボビン30に取り付けることができないため、上蓋50を外した場合には、ボビン30に巻き付けた光ファイバ3が乱れるおそれがある。また、第3実施形態における上蓋50の側面の切り込み54は、プラスチックの一体成型時には形成することができないため、成形後に切り込み54を形成する必要があるため、上蓋50の製造に手間やコストがかかる。
なお、第3実施形態においても、前述の第1実施形態及び第2実施形態と同様に、光ファイバ3の収納時に、光ファイバ3の一端側が隔壁部33の内側(詳しくは内溝部34)に収納され、残りの光ファイバ3は、ファイバ用溝33Cによって隔壁部33の外側に導かれ、隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられる。これにより、第3実施形態においても、隔壁部33の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられた状態であっても、隔壁部33の内側に収納した光ファイバ3を引き出すことが可能になる。
===第4実施形態===
図24は、第4実施形態の収納ケース1の説明図である。なお、第4実施形態では、隔壁部33の内側に、内溝部34や隆起部35が形成されていない。また、第4実施形態では、隆起部35が無いため、コネクタ固定部35Bが形成されていない。
第4実施形態においても、前述の第1〜第3実施形態と同様に、光ファイバ3の収納時に、光ファイバ3の一端側が隔壁部33の内側(詳しくは内溝部34)に収納され、残りの光ファイバ3は、ファイバ用溝33Cによって隔壁部33の外側に導かれ、隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられる。これにより、第4実施形態においても、隔壁部33の外壁面33Aに光ファイバ3が巻き付けられた状態であっても、隔壁部33の内側に収納した光ファイバ3を引き出すことが可能になる。
但し、第4実施形態では、コネクタ固定部35Bが無いため、隔壁部33の内側にコネクタ5を収納したときに、コネクタ5が固定されず、コネクタ5が動きやすい。また、第4実施形態では、環状の内溝部34が無いため、隔壁部33の内側に光ファイバ3を収納したときに、光ファイバ3が動きやすい。
===第5実施形態===
<収納ケースの構成>
図27は、第5実施形態の収納ケースの分解斜視図である。第5実施形態の収納ケースも、本体10と、ボビン30と、上蓋50とを備えている。前述の実施形態と同様の機能を有する部材・部位には同じ符号を付して説明を省略することがある。第5実施形態の収納ケースは、分離シート70を更に備えている。但し、収納ケースは、分離シート70を備えていなくても良い。
図28A〜図28Cは、第5実施形態のボビン30の説明図である。図28Aは、上鍔部材40を外したボビン30を右上から見た斜視図である。図28Bは、ボビン30を右下から見た斜視図である。図28Cは、ボビン30を右から見た側面図である。
ボビン30の上鍔部材40は、ボビン30の上側に接着固定される板状の部材であり、ボビン30に巻き付けた光ファイバ3を鍔部32(下側鍔部)との間に挟むことによって、巻き付けた光ファイバ3が上側から外れることを防止する部材(上側鍔部)である。上鍔部材40は、第1上鍔部材41及び第2上鍔部材42を有し、第1上鍔部材41と第2上鍔部材42との間には隙間が空いている。
ボビン30の隔壁部33には、2つのファイバ用溝33Cと、第1コネクタ端固定部33Dと、第2コネクタ端固定部33Eとが形成されている。
ファイバ用溝33Cは、隔壁部33の内側と外側との間で光ファイバ3を導くための溝である。ファイバ用溝33Cの上側には、第1上鍔部材41と第2上鍔部材42との隙間が形成されている。
第1コネクタ端固定部33D及び第2コネクタ端固定部33Eは、コネクタ5の端部を固定するための窪みであり、隔壁部33の内側に形成されている。第1コネクタ端固定部33Dは、内溝部34と同じ深さに形成されている。第2コネクタ端固定部33Eは、内溝部34よりも浅く形成されている。これにより、第1コネクタ端固定部33Dに収容されるコネクタ5の高さと、第2コネクタ端固定部33Eに収容されるコネクタ5の高さとを異ならせることができる。
ボビン30の内溝部34には、収納ケース1に収納される100m程度の光ファイバ3の一端側の2〜3m程度の光ファイバ3が巻き付けられるとともに、他端側の2〜3m程度の光ファイバ3が巻き付けられることになる(後述)。
隆起部35の中心部には十字状に溝(窪み)が形成されており、一方の溝が第1コネクタ固定部35Bとなり、他方の溝が第2コネクタ固定部35Cとなる。第1コネクタ固定部35B及び第2コネクタ固定部35Cは、コネクタ5を固定するための溝(窪み)である。第1コネクタ固定部35B及び第2コネクタ固定部35Cは、コネクタ本体だけでなく、コネクタ本体から延び出たブーツやプルタブをも収容できるように形成されている。なお、ブーツは、光ファイバ3を保護する部位であり、可撓性を有する弾性変形部である。プルタブは、コネクタ5をソケット(不図示)から引き出すための部位であり、可撓性を有する弾性変形部である。
第1コネクタ固定部35Bは、第1コネクタ端固定部33Dと同様に、内溝部34と同じ深さに形成されている。第1コネクタ固定部35Bの延長線上に隔壁部33の第1コネクタ端固定部33Dが位置しており、第1コネクタ固定部35B及び第1コネクタ端固定部33Dは、同じ深さに形成されている。第1コネクタ固定部35Bに収容されるコネクタ5の端部が、第1コネクタ端固定部33Dに固定されることになる。
第2コネクタ固定部35Cは、第2コネクタ端固定部33Eと同様に、内溝部34よりも浅く形成されている。第2コネクタ固定部35Cの延長線上に隔壁部33の第2コネクタ端固定部33Eが位置しており、第2コネクタ固定部35C及び第2コネクタ端固定部33Eは、同じ深さに形成されている。第2コネクタ固定部35Cに収容されるコネクタ5の端部が、第2コネクタ端固定部33Eに固定されることになる。
したがって、第1コネクタ固定部35Bと第2コネクタ固定部35Cは、異なる高さに形成に形成されている。言い換えると、第1コネクタ固定部35Bを構成する溝と、第2コネクタ固定部35Cを構成する溝は、異なる深さに形成されている。ここでは、第1コネクタ固定部35Bは、第2コネクタ固定部35Cよりも低い位置に形成されている。これにより、第2コネクタ固定部35Cに固定されるコネクタ5は、第1コネクタ固定部35Bに固定されるコネクタ5よりも上側に位置することになる。
隆起部35は、上蓋50の側に突出した4つの突起部から構成されている。4つの突起部のうち、左後側の突起部36A(第1コネクタ端固定部33D及び第2コネクタ端固定部33Eのいずれにも近傍した突起部)を「第1突起部36A」と呼ぶ。残りの3つの突起部は、第1突起部36Aから時計回りの順に従い、「第2突起部36B」、「第3突起部36C」及び「第4突起部36D」と呼ぶことがある。つまり、第2突起部36Bは右後側の突起部であり、第3突起部36Cは右前側の突起部であり、第4突起部36Dは左前側の突起部である。
左側の突起部(第1突起部36A及び第4突起部36D)と右側の2つの突起部(第2突起部36B及び第3突起部36C)との間に第1コネクタ固定部35Bが構成されることになる。また、前側の突起部(第1突起部36A及び第2突起部36B)と後側の突起部(第3突起部36C及び第4突起部36D)との間に第2コネクタ固定部35Cが構成されることになる。
図29Aは、第5実施形態の上蓋50を右上から見た斜視図である。図29Bは、第5実施形態の上蓋50を右下から見た斜視図である。
上蓋50の中央部には、4つの凹部53が形成されている。凹部53は、上蓋50の下から見ると上面51から下側に突出している。このように、凹部53の裏側は、ボビン30に向かって突出した凸部になっているため、「凹部53」のことを「凸部53」と呼ぶこともある。収納ケース1の保管時に、凸部53がボビン30の中心部の十字状の溝(第1コネクタ固定部35B及び第2コネクタ固定部35C)の上側に位置する。以下の説明では、第1コネクタ固定部35Bの上側に位置する凸部53のことを「第1凸部53A」と呼び、第2コネクタ固定部35Cの上側に位置する凸部53のことを「第2凸部53B」と呼ぶことがある。
第1凸部53Aは、第2凸部53Bよりも下側に大きく突出している。これは、第1コネクタ固定部35Bが第2コネクタ固定部35Cよりも深く形成されているためである。
図27には、分離シート70が示されている。分離シート70は、ボビン30の内側に配置されるシート状の部材である。分離シート70は、環状部71と十字部72とを有する。
環状部71は、環状の部位であり、ボビン30の内溝部34に配置される部位である。ボビン30の内側に光ファイバ3の一端側を巻き付けて収納した後、ボビン30の内側に光ファイバ3の他端側を巻き付けて収納する際に、環状部71は、光ファイバ3の一端側と他端側とを上下に分離することになる。
十字部72は、環状部71よりも内側の十字状の部位であり、ボビン30の中心部の十字状の溝(第1コネクタ固定部35B及び第2コネクタ固定部35C)に配置される部位である。十字部72は、2つのコネクタ5の間に配置され、2つのコネクタ5を上下に分離することになる。
<光ファイバ収納方法>
図30A〜図30Fは、第5実施形態の収納ケースに光ファイバ3を収納する様子の説明図である。
まず、作業者は、本体10のボビン収容部11にボビン30を収容する(図30A参照)。次に、作業者は、ボビン30の第1コネクタ端固定部33Dと第1コネクタ固定部35Bにコネクタ5を固定し(図30B参照)、2〜3m程度の光ファイバ3をボビン30の内溝部34に緩やかに巻き付けて収納し(図30C参照)、ファイバ用溝33Cを介して隔壁部33の内側から外側へ光ファイバ3を導く(図30C参照)。
次に、作業者は、ボビン30の隆起部35を手でつかみ、ここでは上から見て反時計回りにボビン30を回転させる(図30D参照)。ボビン30を回転させると、光ファイバ3が隔壁部33の外壁面33Aに沿って巻き付けられる。なお、外壁面33Aに巻き付けられた光ファイバ3は、上鍔部材40によって上から覆われている。これにより、ボビン30に幾重にも巻き回された光ファイバ3が、ボビン30の上方を乗り越えて外れてしまうことを防止できる。
次に、作業者は、分離シート70をボビン30に配置し、ファイバ用溝33Cを介して隔壁部33の外側から内側へ光ファイバ3を導く(図30E参照)。隔壁部33の内側へ光ファイバ3を導くファイバ用溝33Cは、隔壁部33の外側へ光ファイバ3を導いたファイバ用溝33C(図30C参照)とは別の方である。
次に、作業者は、残りの光ファイバ3をボビン30の内溝部34に緩やかに巻き付けて収納し、ボビン30の第2コネクタ端固定部33Eと第2コネクタ固定部35Cにコネクタ5を固定する(図30F参照)。ボビン30に分離シート70が配置されているので、残りの光ファイバ3は、分離シート70の環状部71の上に収納される。このため、分離シート70によって、既に収納されている一端側の光ファイバ3と、このとき収納される他端側の光ファイバ3とが上下に分離されることになる。また、第2コネクタ固定部35Cが第1コネクタ固定部35Bよりも浅く形成されているため、第2コネクタ固定部35Cに固定されたコネクタ5は、第1コネクタ固定部35Bに固定されたコネクタ5よりも上側に位置する。
このとき、第2コネクタ端固定部33Eは隔壁部33に形成されており、第2コネクタ固定部35Cは隆起部35に形成されているため、コネクタ5が第2コネクタ端固定部33E及び第2コネクタ固定部35Cに固定されると、コネクタ5は、内溝部34を跨ぐように配置される。加えて、第2コネクタ端固定部33E及び第2コネクタ固定部35Cは、内溝部34よりも浅く形成されているため、コネクタ5は、内溝部34に収納した光ファイバ3(第1コネクタ固定部35Bに固定されたコネクタ5から延び出る光ファイバ3)の上を跨ぐように配置される(図12Bも参照)。これにより、コネクタ5が第2コネクタ端固定部33E及び第2コネクタ固定部35Cに固定されると、内溝部34に収納された光ファイバ3が外れにくくなる。
最後に、作業者は、本体10とボビン30の上から上蓋50を覆いかぶせて、光ファイバ3の収納作業を完了する。
<検査時について>
図31A及び図31Bは、光ファイバ3(若しくはコネクタ5)の検査時の説明図である。
まず、図31Aに示すように、作業者は、第2コネクタ固定部35Cに固定されたコネクタ5と、分離シート70の上で内溝部34に巻き付けられた光ファイバ3(第2コネクタ固定部35Cのコネクタ5側の光ファイバ3)をボビン30から取り出す。
第5実施形態では、第2コネクタ固定部35Cに固定されたコネクタ5は、第1コネクタ固定部35Bに固定されたコネクタ5よりも上側に位置するため、第2コネクタ固定部35Cのコネクタ5よりも先に第1コネクタ固定部35Bのコネクタ5を取り出すことが難い構造になっている。加えて、第5実施形態では、第1コネクタ固定部35Bのコネクタ5が分離シート70の下側に位置するため、第1コネクタ固定部35Bのコネクタ5を先に取り出すことが難い構造になっている。したがって、作業者は、ボビン30の隔壁部33の内側に固定された2つのコネクタ5のどちらを先に取り出すべきかを、判断しやすい。
また、第5実施形態では、分離シート70によって、光ファイバ3の一端側と他端側とが上下に分離されている。このため、第2コネクタ固定部35Cのコネクタ5とともに光ファイバ3が一緒に取り出されるときに、逆側の端部の光ファイバ3(分離シート70の下側に収納されている光ファイバ3)と絡み合わずに済む。
次に、図31Bに示すように、作業者は、第1コネクタ固定部35Bに固定されたコネクタ5と、内溝部34に巻き付けられた光ファイバ3(第1コネクタ固定部35Bのコネクタ5側の光ファイバ3)を取り出す。そして、作業者は、収納ケース1から取り出した2つのコネクタ5を用いて、所定の検査を行うことになる。
第5実施形態においても、第1コネクタ固定部35Bのコネクタ5側の2〜3m程度の光ファイバ3が隔壁部33の内側(詳しくは内溝部34)に収納されている。これにより、残りの大部分の光ファイバ3が隔壁部33の外壁面33Aに巻き付けられた状態であっても、第1コネクタ固定部35Bのコネクタ5とともに光ファイバ3を引き出すことができる。このため、光ファイバ3やコネクタ5の検査などが容易になる。
===その他===
上記の実施形態は、主に収納ケースについて記載されているが、その記載の中には、光ファイバの収納方法、保管方法及び敷設方法、並びに、収納ケースの製造方法及び使用方法などの開示が含まれていることは言うまでもない。
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。
<収納ケースについて>
前述の収納ケースは、上から見て本体10及び上蓋50が四角形状に形成されていたため、上から見て四角形状であった。但し、収納ケースは、このような形状に限られるものではない。
図25は、別の収納ケース1の説明図である。このように、収納ケース1は、上から見て円形状であっても良い。この場合、本体10の外周面13Bと上蓋50の内周面とが円筒面になり、収納ケース1の保管時に本体10に対して上蓋50が回転するおそれがある。このため、本体10に対する上蓋50の回転を防止するための回転防止機構を設けることが好ましい。ここでは、回転防止機構として、本体10に凹部15が形成されており、上蓋50に凹部55が形成されている。上蓋50の凹部55の裏側の凸部(不図示)が本体10の凹部15に嵌ることによって、本体10に対する上蓋50の回転が防止される。なお、本体10に対する上蓋50の回転を防止するための回転防止機構は、他の構成であっても良い。
図25の収納ケース1によれば、上から見て上蓋50が円形状であるため、ファイバの引き出し時(裏返した上蓋50をボビン30に取り付けた時)の作業スペースは、収納ケース1の設置スペースとほぼ同じ広さで済むという利点がある。これに対し、上から見て上蓋50が四角形状である場合、図20Aに示すように上蓋50の四隅が設置スペースよりも外側に突出するため、設置スペースよりも広い作業スペースが必要になる。
<光ファイバについて>
前述の収納ケースは、光ファイバを収納していたが、光ファイバを含む光コードや光ケーブルを収納しても良い。また、収納ケースは、光ファイバとメタルケーブルとの複合ケーブルを収納しても良い。また、収納ケースに収容される光ファイバは、単心でも多心でも良い。
<コネクタについて>
前述のコネクタは、光電変換素子(発光素子又は受光素子)を内蔵した光モジュールであり、光信号を電気信号に変換してから電気信号線同士を接続するコネクタであった。但し、このようなコネクタに限られるものではなく、例えば、光ファイバ同士を光接続させるコネクタ(光コネクタ)であっても良い。
<隔壁部について>
前述の隔壁部は、円筒形状であったが、この形状に限られるものではない。光ファイバを収納したときに光ファイバの許容曲率半径を維持できる形状であれば、隔壁部は、他の形状でも良く、例えば楕円筒状でも良い。