JP5653755B2 - 結像光学系及び投影露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、請求項1,請求項7,及び請求項8の前文に記載の結像光学系に関する。更に、本発明は、この種類の結像光学系を含む投影露光装置、この種の投影露光装置を用いた微細構造構成要素の生成の方法、及び本方法によって生成される微細構造構成要素に関する。
冒頭で示した種類の結像光学系は、US6,750,948B2、US2006/0232867A1、EP0,267,766A2、US7,209,286B2、及びWO2006/069,725A1から公知である。
結像光学系を通過する際のミラー上での光の高い反射損失に起因して、これらの文献に説明されている結像光学系は、特に、10nmよりも短い波長を有するEUV放射線を用いる場合に許容することができない伝達特性を有する。
US6,750,948B2 US2006/0232867A1 EP0,267,766A2 US7,209,286B2 WO2006/069,725A1
D.A.Tichenor他著「EUV工学試験スタンド」、Lawrence Livermore National Laboratory、2000年2月14日、図6
従って、本発明の目的は、ミラーの反射コーティングに対する良好な条件を作り出し、それによって特に10nmよりも短いEUV範囲の波長にある結像光に対してさえも結像光学系を通過する際のコーティングの低反射損失を達成することができるように冒頭に示した種類の結像光学系を開発することである。
本発明により、最大入射角と開口数の非常に低い比率を有する結像光学系は、結像光学系のミラーの全ての反射面に、入射角に対する狭い許容帯域幅と引き替えに高い反射率を有する多層コーティングを設ける可能性をもたらすことが見出されている。本発明による結像光学系では、入射角が極めて僅かしか変化しないので、この種の多層コーティングを入射角に対する狭い許容帯域幅と共に用いることができる。最小入射角と開口数の比率は、33.0°よりも小さく、32.5°よりも小さく、32.0°よりも小さく、31.5°よりも小さく、更には30.7°よりも小さいとすることができる。
請求項に記載の少なくとも1つの掩蔽(obscured)ミラーは、所定の像側開口数に対して最大入射角を最小にすることに関して結像光学系の構成を容易にする。
請求項に記載の構成は、最大入射角と像側開口数の比率を最小にするのに特に適することが見出されている。
請求項から請求項に記載のミラー上の反射コーティングは、10nmより細かい構造的解像度を可能にする。また、請求項に記載の結像光学系は、少なくとも1つの掩蔽ミラーに関連して既に上述の利点も有する。この種の掩蔽ミラーを用いると、瞳掩蔽、すなわち、像視野上への結像光の特定の入射角の遮蔽を提供することができる。請求項に記載の結像光学系を用いると、6nmの構造的解像度又は更に細かい構造的解像度さえも達成することができる。反射コーティングとしてB4C/CsI多層を用いることができる。各多層反射コーティングは、300個のB4C/CsI二重層から構成することができる。個々の二重層の層厚は、結像光学系の光軸からの層の距離の増加と共に放物状に増加させることができる。この手法により、ミラーの反射率は、ミラー縁部において垂直入射からより強く偏位する入射角に対して増大する。
また、本発明による結像光学系は、上述の特徴を特許請求したもの以外の組合せで含むことができる。
請求項及び請求項に記載の投影露光装置の利点は、本発明による結像光学系を参照してこれまでに説明したものに対応するものである。投影露光装置の光源は、広帯域のものであるように構成することができ、例えば、1nmよりも大きく、10nmよりも大きく、又は100nmよりも大きい帯域幅を有することができる。更に、投影露光装置は、異なる波長の光源で作動させることができるように構成することができる。他の波長、特に、マイクロリソグラフィに用いられる波長のための光源、例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、126nm、109nmの波長、及び特に同じく100nmよりも短い波長を有する光源を本発明による結像光学系と組合せて用いることもできる。従って、用いられる波長に依存して、適切に適応された光学面のコーティングが必要である。
最小の反射率を達成するために、請求項に記載の光源は、ミラー上で入射角に対して狭い許容帯域幅しか持たない反射コーティングを必要とする。本発明による結像光学系を用いると、入射角に対する狭許容帯域幅というこの要件を満たすことができる。
請求項に記載の生成方法、及びそれによって生成された微細構造構成要素又はナノ構造構成要素は、相応の利点を有する。
以下では、本発明の実施形態を図面を用いてより詳細に説明する。
EUVマイクロリソグラフィのための投影露光装置の概略図である。 投影露光装置の結像光学系の実施形態の子午断面図である。 図2による結像光学系の物体視野の拡大図である。 図2による結像光学系のその物体平面の領域における選択された視野点の結像光線を通した及び結像光学系の光軸を通した断面図である。 図2の平面V−Vを通した図4による結像光線の断面図である。 図2の平面VI−VIを通した図4による結像光線の断面図である。 図2による結像光学系を用いた構造像の部分的にコヒーレントな空間像の計算結果を結像光線の相対強度を結像光学系の像視野内の変位の関数として示すグラフの形態で示す図である。 図7と比較して狭い構造幅を有する構造像の部分的にコヒーレントな空間像の計算結果の図7と類似の図である。 図1による投影露光装置のための結像光学系の更に別の実施形態の図2と類似の図である。 図9による結像光学系の選択された視野点の結像光線の貫通点の図4と類似の図である。 図9の平面XI−XIを通した、図10による結像光線の断面図である。 図9の平面XII−XIIを通した、図10による結像光線の断面図である。 結像光学系の実施形態におけるミラーのうちの1つの一部分のミラーの反射面の反射コーティングを通して垂直に取った断面図である。 異なる入射角に対して最適化された2つの反射コーティングに対して、図13による種類の反射コーティングの反射率をミラーの反射面上の結像光の入射角の関数として示すグラフである。
マイクロリソグラフィのための投影露光装置1は、照明光又は照明放射線3のための光源2を有する。光源2は、例えば、5nmと30nmとの間、特に、5nmと10nmの間の波長範囲の光を生成するEUV光源である。光源2は、特に、6.9nmの波長を有する光源とすることができる。他のEUV波長も可能である。一般的に、あらゆる望ましい波長、例えば、可視波長、又は更にはマイクロリソグラフィにおいて用いることができ、適切なレーザ光源及び/又はLED光源が利用可能な他の波長(例えば、365nm、248nm、193nm、157nm、129nm、109nm)が、投影露光装置1において誘導される照明光3において可能である。図1では、照明光3の光路を非常に概略的に示している。
照明光学系6は、照明光3を光源2から物体平面5内の物体視野4(図3を参照されたい)へと誘導する。物体視野4は、投影光学系又は結像光学系7により、像平面9内の像視野8(図2を参照されたい)へと所定の縮小スケールで結像される。図2及びそれ以降に示す実施形態のうちの1つを投影光学系7において用いることができる。図2による投影光学系7は、8という縮小係数を有する。他の縮小スケール、例えば、4×、5×、又は更には8×よりも大きい縮小スケールも可能である。EUV波長を有する照明光3では、8×の結像スケールが特に適し、これは、それによって反射マスク10上の物体側入射角を小さく留めることができるからである。また、8×の結像スケールは、不要に大きいマスクを用いることを必要としない。図2及びそれ以降による実施形態にある投影光学系7では、像平面9は、物体平面5に対して平行に配置される。このようにして、レチクルとも呼ぶ反射マスク10の物体視野4と対応する部分が結像される。
投影光学系7によって実施される結像は、基板支持体12によって支持されるウェーハの形態にある基板11の面上で発生する。図1は、レチクル10と投影光学系7の間に、この投影光学系に入射する照明光3の光ビーム13を略示しており、投影光学系と基板11の間に投影光学系7を出射する照明光又は結像光3の光ビーム14を略示している。図2によると、投影光学系7の像視野側の開口数は0.40である。図1では、これを正確な縮尺で示していない。
投影露光装置1及び投影光学系7の様々な実施形態の説明を助けるために、図内に表された構成要素が占めることができるそれぞれの位置を示すxyz系を図面内に明示している。図1では、x方向は、作図面に対して垂直に、それに向けて延びている。y方向は右に延び、z方向は下に向けて延びている。
投影露光装置1は、スキャナ型のデバイスである。投影露光装置1の作動中に、レチクル10と基板11の両方がy方向に走査される。投影露光装置1では、基板11の個々の露光の間にレチクル10及び基板11のy方向の段階的変位が発生するステッパ型デバイスも可能である。
図2は、投影光学系7の第1の実施形態の光学構造を示している。この図は、各場合に、互いから図2のy方向に分離した2つの物体視野点から発する3つの個々の光線15の各々の光路を示している。これらの2つの物体視野点の一方に属する3つの個々の光線15の各々は、2つの物体視野点における3つの異なる照明方向に関連付けられる。投影光学系7の瞳平面17内の瞳中心を通じて延びる主光線16は、中心瞳掩蔽に起因して投影光学系7の実結像光路ではないので、図2ではこれらの主光線を明瞭化目的のみで示している。これらの主光線16は、物体平面5から発し、最初に発散して延びている。以下ではこれを投影光学系7の入射瞳の負の後側焦点距離と呼ぶ。図2による投影光学系7の入射瞳は、投影光学系7の内側ではなく、光路内で物体平面5の前に位置する。それによって例えば、照明光学系6の瞳構成要素をこの瞳構成要素と物体平面5の間に付加的な結像光学構成要素を存在させる必要はなく、光路内で投影光学系7の前にある投影光学系7の入射瞳に配置することが可能になる。代替として、入射瞳の正の後側焦点距離、又は更に別の代替として物体側でのテレセントリックな光路も可能である。この第2の代替形態は、例えば、光線分割器要素の使用を有する物体平面5内のレチクル10としての反射マスクに関連して、又は物体平面5内のレチクルとしての透過マスクと併せて用いられる。
図2による投影光学系7は、物体視野4から始まる個々の光線15の光路の順序でM1からM6と番号を振った合計で6つのミラーを有する。図2は、ミラーM1からM6の計算による反射面のみを示している。一般的に、ミラーM1からM6は、実際に用いられる反射面よりも大きい。
図2による投影光学系7の光学データを2つの表を用いて以下に示す。最初の表は、「半径」列にミラーM1からM6のそれぞれの曲率半径を示している。第3の列(厚み)は、物体平面5から始まって、各場合にz方向に次の面までの距離を記載している。
第2の表は、ミラーM1からM6の反射面の厳密な面形状を記載しており、定数K及びAからEは、サジタル高さzに関する次式において用いるべきものである。
Figure 0005653755
ここで、hは、光軸18からの投影光学系7の距離を表している。従って、h2=x2+y2である。cに対しては半径の逆数が用いられる。
(表)
Figure 0005653755
(表)
Figure 0005653755
第1のミラー群19のミラーM1及びM2は、リングセグメント形状で、光軸18に対して軸外に用いられる。従って、ミラーM1及びM2の使用光学反射面は、光軸18からある一定の距離に位置する。物体視野4及び像視野8は、光軸18からある一定の距離に配置される。全てのミラーM1からM6の反射面は、サジタル高さzに関する上式に従って光軸18に対して回転対称である。
ミラーM1及びM2の光学的使用領域は、結像光の貫通のための貫通開口部を有さず、すなわち、掩蔽されない。従って、第1のミラー群19は、非掩蔽ミラー群である。ミラーM1の反射面とミラーM2の反射面とは、互いに対面する。
ミラーM1、M4、M5、及びM6は凹ミラーである。ミラーM2及びM3は凸ミラーである。
個々の光線15は、結像光路内のミラーM2とM3の間にあるミラーM4内の貫通開口部20を通過する。ミラーM4は、貫通開口部20の周囲に用いられる。従って、ミラーM4は掩蔽ミラーである。ミラーM4と同様に、ミラーM3、M5、及びM6も掩蔽され、各々が同様にほぼ中心の貫通開口部20を含む。従って、投影光学系7には、合計で、2つの非掩蔽ミラー、すなわち、ミラーM1及びM2,更に4つの掩蔽ミラー、すなわち、ミラーM3からM6が最初に存在する。
瞳平面17は、投影光学系7における光路内で、ミラーM3上の個々の光線15の反射領域内に位置する。
ミラーM1とM4とは、その反射面の向きに関して背中合わせに配置される。
結像光路内のミラーM4とM5の間には、投影光学系7の中間像平面21が存在する。個々の光線15は、ミラーM3の貫通開口部20を通過した直後に中間像平面21を貫通する。
ミラーM3及びM4は、結像光路内で非掩蔽ミラー群19の後に配置された瞳平面17と中間像平面21の間にある投影光学系7の第1の掩蔽ミラー群22を表している。ミラーM3の反射面とミラーM4の反射面とは互いに対面する。
個々の光線15は、光路内で中間像平面21とミラーM5の間にあるミラーM6内の貫通開口部20を貫通する。ミラーM5上の個々の光線15の反射領域内には、投影光学系7の更に別の瞳平面23が存在する。
ミラーM5及びM6は、掩蔽ミラー群22の後に配置された中間像平面20と像平面9の間にある投影光学系7の更に別の掩蔽ミラー群24を表している。ミラーM5の反射面とミラーM6の反射面とは互いに対面する。
ミラーM6上での個々の光線15の反射の後に、個々の光線15は、ミラーM5内の貫通開口部20を通過して像視野8に到達する。以下の表は、図2による子午断面内の個々の光線15に関する最大及び最小の入射角を示している。これらの入射角は、ミラーM1からM6上のそれぞれの最大及び最小の入射角である。
(表)
Figure 0005653755
以上により、ミラーM1からM6の反射面上への結像光の最大入射角と投影光学系7の開口数との比率は、ミラーM2上への12.35°の最大入射角によって決められる。従って、図2による投影光学系7におけるこの最大入射角と開口数の比率は30.9°である。
小さい最大入射角は、この小さい最大入射角によって比較的広い入射角に対する許容帯域幅を有する、例えば6.9nm程度の短いEUV波長に対してさえも反射面を用いる可能性をもたらす。これについて図14を用いて以下により詳しく説明する。入射角に対する反射層のこの許容帯域幅は、最大入射角に対して反射コーティングが構成されるその最大入射角が低減する程増加する。多数の特に異なる屈折率を有する連続交互層材料を有する積層体として形成された反射コーティングも可能である。10nmよりも短い波長を有する照明光3が用いられる場合には、この種のコーティングは、それに対応して入射角に対する狭い許容帯域幅しか持たない。従って、レンズ系7は、この種の短い波長においてさえも、既存技術と比較して相対的に低い反射損失、及び個々のミラーの反射率のこれらのミラーの反射面にわたる小さい差しか伴わずに用いることができる。
図2には、光軸18を破線で示している。同時にこの破線は、主分割平面25(図2のxz平面)と図2による子午平面(図2のyz平面)との交線を表している。この主分割平面25は、図2の作図面に対して垂直である。光軸18は、主分割平面25に存在する。更に、図2の子午平面に位置する、中心物体視野点の光軸18に対する垂線26は主分割平面25に対して垂直である。この垂線26は図2の作図面内にも存在し、物体平面5(図2のxy平面)と子午平面、すなわち、図2の作図面との交線と対応する。
光学系の子午断面内で延びる結像光線は、投影光学系7の第1の非掩蔽ミラー群19内で主分割平面25を通過しない。主分割平面25は、結像光路内でミラーM2上での反射の後にミラーM2とM3との間で、すなわち、ミラー群19と22の間の移行部において個々の光線15による最初の通過を受ける。主分割平面25は、瞳平面17内で主光線16による最初の通過を受ける。
図3は、投影光学系7の物体視野4の拡大図である。像視野8は、8という係数で縮小されることを除き、正確にそれと同じ形状を有する。視野4は、距離YSだけy方向に互いに対して平行に変位した同じ半径Rの2つの円弧27,28によって境界が定められた円弧形視野である。視野4は、それぞれ円弧27,28の2つの端部を接続し、垂線26に対して平行に延びる2つの境界線29,30によっても境界が定められる。2つの境界線29,30は、互いから走査スロット幅である距離XSの位置にある。主分割平面25は、2つの境界線29,30の中心を通過する。従って、光軸18は、厳密に2つの境界線29,30の中心の間に位置する。従って、境界線29と30の間の光軸18の配列に起因して、視野4は、最小リング視野半径Rを有する視野である。この最小リング視野半径Rは次の表現式によって与えられる。
Figure 0005653755
図2の投影光学系7では、物体視野4は、XS=104nm(走査スロット幅)及びYS=8mm(走査スロット長)の寸法を有する。それによって物体視野4において52.154mmのリング視野半径Rが得られる。
境界線29,30と図3の上部に示している円弧28の間に、視野4は、円弧28が直線で延びる境界線29,30へと移行する境界移行部31,32を有する。境界移行部31,32の間では、視野半径ベクトル33は、次式を用いて計算される方位角αを網羅する。
α=2arcsin(1/2XS/R)
以上により、物体視野4において171.2°の方位角αが得られる。像視野8は、同じ方位角を有する。この大きい方位角は、視野4が所定のXS延長幅において光軸18に可能な限り近くに配置されることを意味する。それによって物体視野4と像視野8の間で投影対物系7を通じて結像を行う際の結像誤差補正が容易になる。更に、大きい方位角は、小さい親直径、及びミラーM1からM6の低い非球面性をもたらす。ミラーの親直径は、D.A.Tichenor他著の専門論文「EUV工学試験スタンド」、Lawrence Livermore National Laboratory、2000年2月14日、図6(前刷りUCRL−JC−137668)に定められている。大きい方位角を用いると、ミラーM1からM6上の入射角も又小さく保つことができる。
図4から図6は、非掩蔽ミラー群19内での選択された物体視野点に対する光ビーム34の通路を示している。図4から図6に関連して以下に解説する全ての光ビーム群の光ビーム34の各々は、同じ25個の物体視野点に関連付けられたものである。合計で5つの光ビーム群35,36,37,38,39の光ビーム34を示している。図4では、光ビーム群35から39に、左から右に番号を振っている。各光ビーム群35から39は、同じx値を有し、y方向に互いから等距離で分離した物体視野点に属する5つの光ビーム34を有する。図4の中心光ビーム群37は、子午平面に位置する物体視野点に属する。
図4は、アーチ形の物体視野4の形状を見ることができるように、物体平面5の近くの光ビーム34を示している。縁部にある2つの光ビーム群35及び39は、境界線29,30上に位置する物体視野点から発する。図4の図は、アーチ視野半径Rが、x方向よりもy方向に小さく見えるようにy方向に圧縮している。
中心光ビーム群37に属する視野半径区分Rは、図4の上部に現れる。図4では、光ビーム群35から39は、光軸18の回りに下向きに開いた半円を形成する。
図5は、図2の断面平面V、すなわち、ミラーM1の領域内の光ビーム34を示している。ミラーM1上で反射される光ビーム群40から44は、リングセグメント上に位置し、図5では、光軸18の回りに下向きに開いた半円を形成する。
更に平面Vは、光路内でミラーM2とM3の間に延びる光ビーム群45から49による通過を受ける。
光ビーム群45から49もまた、図5で光軸18の回りに下向きに開いた半円を形成する。従って、光ビーム群45から49から成る半円は、光軸18と、光ビーム群40から44によって形成された半円の間に位置する。
一方で光ビーム群40から44、及び他方で光ビーム群45から49から成る2つの半円が各々下向きに開いているということに起因して、一方の光ビーム群40から44の個々の光ビーム34と、他方の光ビーム群45から49の個々の光ビーム34との間で光ビーム群40から49の小型配列を有しながらも十分に大きい最小距離を得ることができる。図5ではこの距離をAで表している。従って、更に別の処置を要さずに、図5に点線及び破線で示しているように、一方の光ビーム群40から44と、他方の光ビーム群45から49との間でミラーM4内の貫通開口部20の境界を定めることができる。
一般的に、ミラーM1からM6は、完全に鋭い縁部(sharp-edged)を有するように制作することができないので、距離Aが実際には必要である。距離Aは、系を組み立てて調節するのに公差としての役割も達成する。従来、距離Aは数ミリメートルである。
図6は、平面VI内でミラーM2が配置された領域内の25個の物体視野点に対する光ビーム34の図5と類似の図である。光ビーム群50,51,52,53,54は、光軸18に隣接して光ビーム34がミラーM2上で反射される位置に配置される。図6では、光ビーム群50から54は、下向きに開いた半円で配置される。この半円は、結像光路内で物体平面5とミラーM1の間にある平面VIを通過する光ビーム群55から59から成る同様に下向きに開いた半円によって囲まれる。従って、一方で光ビーム群50から54に関連付けられ、他方で光ビーム群55から59に関連付けられた半円から成る半円開口部は、平面VI内でも同様に同じ方向に開き、それによって小型配列を有しながら、同時に一方の光ビーム群50から54と、他方の光ビーム群55から59との間に距離Aが生じる。この場合にも、図6に点線及び破線で示しているように、ミラーM2の縁部において、一方の光ビーム群50から54にも、他方の光ビーム群55から59にも口径食を及ぼさない境界形成60が可能である。
従って、平面VとVIの間では、個々の光線15は、多重通過領域61を通過する(図2を参照されたい)。この多重通過領域61は、特に、一方で物体平面5とミラーM1の間の個々の光線15により、他方でミラーM1とM2の間の個々の光線15により、更にまた、ミラーM2とM3の間の個々の光線15により、合計で3回の通過を受ける。多重通過領域61内には、投影光学系7のいかなる瞳平面も存在しない。瞳平面17及び23は、多重通過領域61を外して配置される。
図7は、投影対物系7の部分的にコヒーレントな空間像(aerial image)の計算結果を示している。像視野8内の右側にプロットした位置Vの関数として相対強度Iを上向きにプロットしたグラフを示している。図7によるグラフは、10nmの像側構造幅を有する合計で7つの個々の構造B、及び同じく10nmの像側構造距離を有する中間空き領域Cを有する矩形構造の結像結果を示している。物体側構造幅は、像側構造幅から結像スケールを通じて得られ、この場合は8×10nm=80nmである。この構造は、物体視野4内、すなわち、レチクル10上に配置される。図7のグラフでは、像視野8を通しての走査中の異なるy値における相対強度を近似正弦曲線としてプロットしている。結像光の波長は6.9nmである。
相対強度は、10nmの構造Bの位置における約0.06と、10nmの中間空き領域Cの中心における0.62との間で変動している。
構造領域Bと構造の中間空き領域Cとの間の相当量の相対強度変化に起因して、この10nm構造は、更に別の処置を要さずに像平面9内で解像することができ、基板11上の対応するフォトレジストの露光による像視野8内での対応する構造の生成において用いることができる。
図8は、構造の中間空き領域Cを有する構造Bの各場合に像側で6nmの延長幅を有する構造的解像度にある図2による投影対物系7の部分的にコヒーレントな空間像の計算結果の図7と類似の図である。この場合にも6.9nmの波長を用いている。この場合、相対強度は、構造Bの中央における約0.2という値から構造Bの間にある中間空き領域Cの中心における約0.37まで同様に近似正弦曲線で変化する。従って、6nm構造も、フォトレジストの現像に向けて十分な強度変化を有して結像することができる。
この場合にも6.9nmの波長を用いている。
図9は、投影光学系7の更に別の実施形態を示している。図1から図8を参照して既に説明したものに対応する構成要素及び詳細項目は、同じ参照番号を有し、これらに対しては再度詳細に解説しないことにする。
以下に図9による投影光学系7の光学データをレイアウトが図2による投影光学系7に関する表に対応する2つの表を用いて再現する。
(表)
Figure 0005653755
(表)
Figure 0005653755
図9による実施形態は、0.50という開口数を有する。中間像平面21は、光路内のミラーM4とM5の間で空間的にミラーM3の前にそれに隣接して位置する。ミラーM2は球面のものである。他の点に関しては、図9による投影光学系7の構造は、図2による投影光学系7のものに対応する。
以下の表は、ミラーM1からM6上の個々の光線15における最大入射角を要約している。第3の列は、反射面に適合する最小誤差を有する球面表面(最良適合球面)からのミラーM1からM6の反射面の最大偏位を付加的に示す。最大偏位は180μmである。従って、図9による投影光学系7のミラーM1からM6の全ての非球面性は小さく、ミラーM2は実際に球面のものであり、それによってこれらのミラーの反射面の構成が簡素化される。
(表)
Figure 0005653755
図9による投影光学系7のミラーM1からM6の反射面上の結像光の最大入射角、特に、ミラーM5上の入射角15.34°と0.5という開口数との比率は、図9の投影光学系7では30.68°である。
図9の投影対物系7の合計構造長は、2,000mmである。面内の最大中心瞳掩蔽率は、7パーセントよりも低い。
図10から図12は、図4から図6のものに対応する物体平面5の領域内の光ビーム群35から39の配列の図(図10)、ミラーM1の領域内にある平面XI内の光ビーム群40から44及び45から49の図(図11)、並びにミラーM2の領域内にある平面XII内の光ビーム群50から54及び55から59の図(図12)である。光ビーム群の配列は、図2の投影対物系7内と図9の投影対物系7内とでは、光ビームの直径、及び光ビームの互いからの距離に関しては異なるが、光ビーム群の半円形配列、及び互いからある距離の位置にあるこれらの半円のそれぞれ同一に配向された下方開口部に関しては異ならない。
図2の投影対物系7の場合も同様であるが、図9による投影対物系7の平面XIとXIIの間にある多重通過領域61内には、投影光学系7のいかなる瞳平面も存在しない。
非掩蔽ミラー群では、開口数は、各場合に掩蔽ミラー群におけるものよりも若干低い。
図13は、本発明による投影光学系7のこれまでに開示した実施形態のミラーM1からM6のうちの1つの一部分を通した略断面図である。これまでに開示した実施形態のミラーM1からM6の全ては、原理的に、層の順序に関して同様に構成された反射面を有するので、以下にミラーMと呼ぶこれらのミラーのうちの1つに関する図13を用いてこの層構造を示すだけで十分である。図13による断面図は、ミラーMの反射面に対して垂直に取ったものである。
図2による投影光学系7の実施形態では、ミラーMの基板面81上に合計で300個の二重層82から反射コーティング80が構成され、図13にはこれらの二重層のうちの2つの上部二重層、及び基板面に対して直接に付加された二重層を示している。図13では省略している表示した二重層82の間の中間領域には、示していない残りの二重層が配置される。
各二重層82は、3.5nmの層厚d0を有する。各二重層82は、スペーサ83として機能する2.1nmの層厚を有する炭化ホウ素(B4C)から成る層を有する。更に、各二重層82は、1.4nmの層厚を有するヨウ化セシウム(CsI)から成る吸収体層84を有する。反射コーティング80は、光軸18に沿ったこれらの層厚を有する。反射コーティング80の層厚は、以下に説明するようにミラーMの反射面にわたって変化する。
層83,84の層データ、特に、波長依存の屈折率n、及び減衰係数k、並びに反射コーティング80の層厚分布d(r)を特徴付ける係数を以下の2つの表に要約する。
(表)
Figure 0005653755
(表)
Figure 0005653755
これに関して、反射コーティング80の層厚分布は、次式によって説明される。
Figure 0005653755
d(r)は、反射コーティング80、すなわち、積層体の二重層82の局所層厚をミラーMの反射面上でそれぞれ考慮する局所点の光軸18からの半径方向距離の関数として与える。従って、反射コーティング80の層厚は、C2≠0において放物分布を有し、層厚は、C2>0において光軸からの距離の増加と共に増加する。
二重層82の各々内での吸収体層84に対するスペーサ層83の比率は、光軸18からの距離rに関係なく一定に留まる。この比率は、次式によって得られる。
γ=d(吸収体層)/d(二重層)=0.4
この場合、dは、それぞれの層の層厚を表している。
上述の表による反射コーティング80を用いると、ミラーM1からM6は、波長6.9nmの照明光3に対して58%の平均ミラー反射率を有する。従って、得られる投影光学系7の全体反射率は3.92%である。従って、図2による投影光学系7のミラーM1からM6の全ての上での反射の後には、物体視野4から発する照明光3の強度の3.92%が像視野8に到達する。
図9による投影光学系7のミラーM1からM6は、図2による実施形態においてこれまでに説明したもののような対応する多層反射コーティングを担持することができる。この場合、放物層厚分布を説明する係数C0及びC2は、M1からM6にわたる入射角の分布に対して調節される。
図14は、異なる入射角、特に、0°(実線)及び10°(破線)に対して最適化された2つの反射コーティング80における入射角に依存する反射コーティング80の反射率を示している。入射角に対する許容帯域幅は、10°の入射角に対して最適化された反射コーティングよりも0°の入射角に対して最適化された反射面80においてかなり広いことを明らかに見ることができる。入射角に対するこの許容帯域幅は、反射面80が入射角に対して最適化されるその入射角と共に単調に減少する。ミラーM1からM6のうちの1つの上での最大入射角が小さくなる程、反射コーティング80を最適化することができる入射角は小さくなり、従って、ミラーM1からM6において用いることができる反射コーティング80の入射角に対する許容帯域幅は大きくなる。
4 物体視野
5 物体平面
7 結像光学系
8 像視野
9 像平面
15 結像光
M1、M2、M3、M4、M5、M6 ミラー

Claims (8)

  1. 物体平面(5)の物体視野(4)を像平面(9)の像視野(8)内に結像する複数のミラー(M1からM6)を有する結像光学系(7)であって、
    ミラー(M1からM6)の全ての反射面上への結像光(3)の最大入射角と、結像光学系(7)の像側開口数との比率が33.8°よりも小さ
    結像光の貫通のための貫通開口部を有しないミラーを有するミラー群を有し、
    結像光(15)が通過するための貫通開口部(20)を有する少なくとも1つの掩蔽ミラー(M3からM6)を含む、
    ことを特徴とする結像光学系(7)。
  2. 少なくとも3つのミラーが掩蔽された6つのミラー(M1からM6)を含むことを特徴とする請求項に記載の結像光学系。
  3. ミラー(M1からM6)の各々が、10nmよりも短い波長を有する結像光(3)に対する反射コーティング(80)を担持し、
    結像光(15)が通過するための貫通開口部(20)を有する少なくとも1つの掩蔽ミラー(M3からM6)、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の結像光学系(7)。
  4. ミラー(M1からM6)の各々が、10nmよりも短い波長を有する結像光(3)に対する反射コーティング(80)を担持し、該ミラー(M1からM6)は、50%よりも大きい平均反射率を有する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の結像光学系(7)。
  5. 前記ミラー(M1からM6)の各々は、該ミラー(M1からM6)が6.9nmの波長を有する結像光(3)に対して58%よりも大きい平均反射率を有するように反射コーティング(80)を担持することを特徴とする請求項に記載の結像光学系。
  6. マイクロリソグラフィのための投影露光装置であって、
    請求項1から請求項のいずれか1項に記載の結像光学系(7)を含み、
    光源(2)を含み、かつ
    照明光(3)を前記結像光学系(7)の物体視野(4)へ誘導するための照明光学系(6)を含む、
    ことを特徴とする装置。
  7. 照明光(3)を生成するための前記光源(2)は、10nmよりも短い波長を用いて構成されることを特徴とする請求項に記載の投影露光装置。
  8. 微細構造構成要素を生成する方法であって、
    レチクル(10)及びウェーハ(11)を準備する段階と、
    請求項又は請求項のいずれか1項に記載の投影露光装置を用いて、前記レチクル(10)上の構造を前記ウェーハ(11)の感光層上に投影する段階と、
    前記ウェーハ(11)上に微細構造(B、C)を生成する段階と、
    を有することを特徴とする方法。
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