JP5650743B2 - 水中水型ポリマー分散物中のアニオン性架橋ポリマー - Google Patents

水中水型ポリマー分散物中のアニオン性架橋ポリマー Download PDF

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Description

本発明は架橋アニオン性ポリマーを含む水中水型ポリマー分散物、その調製のための方法、およびその使用に関する。水中水型ポリマー分散物はとりわけ製紙における凝集剤、脱水(排水)助剤および保持助剤として有用である。
紙の製造においては、製紙用紙料、即ち含水率が通常95wt%を超えるセルロース繊維の水性スラリーが、典型的には含水率が5wt%未満の紙シートに形成される。したがって、製造の効率およびコストに対しては、製紙の脱水(排水)および保持の観点が重要である。典型的には、移動するスクリーン上でセルロースの薄いストックを排水させてシートを形成し、次いでこのシートを乾燥させる。セルロース固体を凝集させ、移動するスクリーン上での排水を促進するために、セルロース懸濁液に水溶性ポリマーを加えることはよく知られている。周知の製紙法によれば、セルロース懸濁液を形成し、凝集剤によって凝集させ、機械的に剪断し、場合によっては再凝集剤によって再凝集させ、スクリーン上で排水させてシートを形成し、次いで乾燥させる。
WO/2005/092954は、少なくとも1つの微分散した水溶性および/または水膨潤性のポリマーAと、少なくとも1つのポリマー性分散剤を含む連続水相とを含むアニオン性水中水型ポリマー分散物の調製のための方法、それによって得られる水中水型ポリマー分散物、および製紙における助剤としておよび/または固体の沈降のための凝集剤としてのその使用に関する。
US2004/0046158は、防火および消火のための水中水型ポリマー分散物の使用を開示している。
WO/2005/092954 US2004/0046158 US-A 2004 0034145 US-A 2004 0046158 US-A 2005 0242045 US-A 2007 0203290
H.Xuら、Drug Dev Ind Pharm.、2001、27(2)、171〜174頁 K.A.Simonら、Langmuir.、2007、30;23(3)、1453〜1458頁 P.Hongsprabhas、International Journal of Food Science & Technology、2007、42(6)、658〜668頁 D.Gudlauski、PaperAge、5月/6月 2005、36頁f Paul C. Hiemenz、Polymer Chemistry、Marcel Dekker New York、1984、7.2章
しかし、従来技術のポリマー分散物の特性は、あらゆる点から不満足である。
本発明の第1の態様は、
(i) アニオン性ポリマー性分散剤および
(ii)
a) モノマーの全重量に対して少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー
(式中、
R1は、水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
R2およびR3は、互いに独立に、水素、C1〜C5アルキルまたはC1〜C5ヒドロキシアルキルを意味する)、
b) 少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、
c) モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤、
d) モノマーの全重量に対して0〜1.25wt%の1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル、および
e) 場合によりさらなるエチレン性不飽和モノマー
を含むモノマー組成物
を含む水性反応混合物を遊離ラジカル重合反応に供して、得られる水中水型ポリマー分散物が架橋アニオン性コポリマーを含むようにするステップを含む、水中水型ポリマー分散物を製造するための方法に関する。前記架橋アニオン性コポリマーは、好ましくは水溶性または水膨潤性である。
驚くべきことに、このようにして得られた水中水型ポリマー分散物は、特に剪断条件下で、汚泥の脱水、紙の保持および灰分の保持に関して改善された特性を有していることが見出された。
アニオン性ポリマー性分散剤の存在下での水性反応混合物中の一般式(I)の非イオン性モノマー、ラジカル重合性アニオン性モノマー、および1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤のin situ共重合によって水中水型ポリマー分散物が得られ、得られた架橋アニオン性コポリマーはアニオン性ポリマー性分散剤中に挿入され、それによって相互貫入複合体が形成される。
この型の水中水型ポリマー分散物は、アニオン性ポリマー性分散剤の非存在下でモノマーを重合してその後にアニオン性ポリマー性分散剤を加えることによっては得られず、in situの重合反応の間にアニオン性ポリマー性分散剤が存在することが必要である。そうでなければ、異なった特性を示す異なった生成物が得られる。特に、一般式(I)の非イオン性モノマー、ラジカル重合性アニオン性モノマー、および1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤を重合することによって個別に得られた水中水型ポリマー分散物にアニオン性ポリマー性分散剤の水性分散物を加えた場合には、これ以上適切に取り扱うことができないゲルブロックが生じることがある。モノマーの全濃度によっては、相互貫入複合体を形成させるためにアニオン性ポリマー性分散剤を水中水型ポリマー分散物の水相に均一に分散させることが事実上不可能になることがある。さらに、アニオン性ポリマー性分散剤を水溶液の形態で引き続いて導入することを試みる場合には、その含水量によって全体の組成物が希釈されることがある。
リサイクル紙料の保持に対する本発明のポリマー分散物の効果を示す図である。 リサイクル紙料の灰分の保持に対する本発明のポリマー分散物の効果を示す図である。
水中水型ポリマー分散物は当技術において周知である。これに関してはたとえばH. Xuら、Drug Dev Ind Pharm.、2001、27(2)、171〜174頁、K. A. Simonら、Langmuir.、2007、30;23(3)、1453〜1458頁、P. Hongsprabhas、International Journal of Food Science & Technology、2007、42(6)、658〜668頁、D. Gudlauski、PaperAge、5月/6月 2005、36頁f、US-A 2004 0034145、US-A 2004 0046158、US-A 2005 0242045、およびUS-A 2007 0203290を参照することができる。
しかしながら、水処理工業において見出される標準的なエマルジョンは油中水逆相エマルジョンである。即ち、ポリマーは油媒体中に乳化された微視的水滴中に存在している。実際、ポリマーが水を束縛しているため、液滴中の水は自由であるとは考えられず、生成物は油中ゲル型の分散物のようである。水中水型分散物は、水、好ましくはたとえばブラインのような塩の水溶液中でのポリマーの沈殿が関与する異なった原理に基づいている。得られる最終生成物は、水中の微視的ポリマー粒子の安定な分散物である。これらの分散物は溶媒を含まず、そのためこの領域の生成物は環境にやさしいものとなっている。
本明細書の目的のため、「水中水型ポリマー分散物」という用語は、水溶性または水膨潤性の架橋アニオン性コポリマーおよびアニオン性ポリマー性分散剤を含む水系を意味し、ここで水溶性または水膨潤性の架橋アニオン性コポリマーは前記アニオン性ポリマー性分散剤の存在下での適切なモノマーのin situ重合によって得られたものである。
好ましくは、本発明の水中水型ポリマー分散物はアニオン性である。これに関し、「アニオン性」とは、その全電荷が負である水中水型ポリマー分散物を意味する。
アニオン性ポリマー性分散剤ならびに水溶性または水膨潤性架橋アニオン性コポリマーは、凝固剤および/または凝集剤として作用し得る。化学的凝固、即ち懸濁したコロイド状粒子が相互に付着する変化は、化学処理プロセスの1つの型である。凝固は電荷の中和または粒子間の反発力の低減を引き起こすプロセスである。凝集は粒子が集合してより大きな集塊(「フロック」)になることである。凝固は実質的に瞬時に起こるが、凝集はフロックが発現するまでいくらかの時間を必要とする。本明細書の目的のため、「アニオン性ポリマー性分散剤」という用語は好ましくは比較的低い分子量の水溶性または水分散性の、好ましくは高度にイオン性のポリマーを意味する。水中の粒子および有機物に関連する全電荷が正の場合、たとえば製紙において加工されるセルロース繊維懸濁液の場合には、電荷を中和するために負電荷を有する分散剤が好ましくは添加される。
本明細書の目的のため、「水溶性」という用語は、特にこれがモノマーの水溶性に関する場合には、好ましくは周囲温度における純水への溶解度が少なくとも10gl-1、より好ましくは少なくとも25gl-1、さらにより好ましくは少なくとも50gl-1、さらにより好ましくは少なくとも100gl-1、最も好ましくは少なくとも250gl-1、特に少なくとも500gl-1であることを意味する。本明細書の目的のため、「水溶性」という用語は、特にこれがポリマーの水溶性に関する場合には、好ましくは周囲温度における純水への溶解度が少なくとも1.0gl-1、より好ましくは少なくとも2.5gl-1、さらにより好ましくは少なくとも5.0gl-1、さらにより好ましくは少なくとも10.0gl-1、最も好ましくは少なくとも25.0gl-1、特に少なくとも50.0gl-1であることを意味する。
本明細書の目的のため、「水膨潤性」という用語は、好ましくは、ポリマーが水溶性ではないが、認識し得る量の水を吸収することを意味する。典型的には、ポリマーの重量は、室温、たとえば25℃で1時間水に浸漬した後に、その乾燥重量の少なくとも2wt%、好ましくは少なくとも5wt%、より好ましくは約60〜約100倍増加する。
本明細書の目的のため、「架橋アニオン性コポリマー」という用語は、a) 少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー、b) 少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、c) 0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤、d) 0〜1.25wt%の1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル、およびe) 場合により、さらなるエチレン性不飽和モノマーを含むモノマー組成物が、アニオン性ポリマー性分散剤の存在下にラジカル重合する、in situの重合反応によって得られるコポリマーを意味する。
ラジカル重合中のアニオン性ポリマー性分散剤の存在が、得られる水中水型ポリマー分散物の特性に対して必須であることを強調しておきたい。アニオン性ポリマー性分散剤の非存在下にモノマーを重合し、その後にアニオン性ポリマー性分散剤を加えることによっては、同様の水中水型ポリマー分散物は得られない。アニオン性ポリマー性分散剤は、架橋アニオン性コポリマーがモノマーからその中に重合していく水中水分散物の一部である。言い換えれば、重合反応によって得られる架橋アニオン性コポリマーは、最初に存在していたアニオン性ポリマー性分散剤の中に何らかの形で埋め込まれている。
しかしながら、アニオン性ポリマー性分散剤と架橋アニオン性コポリマーとから得られる相互貫入ポリマー系の内部構造は、アニオン性ポリマー性分散剤と架橋アニオン性コポリマーと同じモノマーから別に得られたポリマーとを単純に混合することによっては再現されない。
本明細書の目的のため、「(アルク)アクリレート」という用語は、アルクアクリレートならびにアクリレートを意味する。類推により、「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレートならびにアクリレートを意味する。
本明細書の目的のため、「ホモポリマー」という用語は、実質的に1種類のモノマーの重合によって得られたポリマーを意味する一方、「コポリマー」という用語は、2、3、4またはそれ以上の異なった種類のモノマー(コモノマー)の重合によって得られたポリマーを意味する。
本明細書の目的のため、「アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、イソデシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、2-エチル-ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、メチルシクロヘキシル、メチルシクロペンチルエテニル、アダマンチル等の、1個の結合パートナーを有する任意の飽和線状、分枝状および/または環状炭化水素を意味する。
本明細書の目的のため、「アルキレン」という用語は、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-および-CH2CH(CH3)CH2-等の、2個の結合パートナーを有する任意の飽和線状、分枝状および/または環状炭化水素を意味する。
本発明の方法によれば、(i) アニオン性ポリマー性分散剤および(ii) モノマー組成物を含む水性反応混合物を遊離ラジカル重合反応に供する。
本発明による水性反応混合物は、水、好ましくは脱イオン水を含む。含水率は0.01から99.99wt%まで変動し得る。好ましい実施形態においては、含水率は水性反応混合物の全重量に対して10〜90wt%、より好ましくは15〜85wt%、さらにより好ましくは20〜80wt%、さらにより好ましくは25〜75wt%、最も好ましくは30〜70wt%、特に35〜65wt%の範囲内である。別の好ましい実施形態においては、含水率は水性反応混合物の全重量に対して35〜90wt%、より好ましくは40〜85wt%、さらにより好ましくは45〜80wt%、さらにより好ましくは50〜75wt%、最も好ましくは55〜70wt%、特に60〜66wt%の範囲内である。
好ましくは水性反応混合物の含水率は比較的低く、それにより得られる水中水型ポリマー分散物の含水率も低い。これらの状況下においては、高濃度の水中水型ポリマー分散物を得るために、重合終了後に生成物から大量の水を蒸発させる必要はない。
本発明の水性反応混合物は、アニオン性ポリマー性分散剤をさらに含む。好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤は水溶性または水膨潤性である。好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤の含量は、水性反応混合物の全重量に対して0.1〜40wt%、より好ましくは0.5〜35wt%、さらにより好ましくは1.0〜30wt%、さらにより好ましくは5.0〜25wt%、最も好ましくは10〜20wt%、特に12〜16wt%の範囲内である。
好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤は、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、さらにより好ましくは少なくとも99.9%、最も好ましくは少なくとも99.95%、特に少なくとも99.99%の重合度を示す。
好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤は、多くとも2.0×106g/molの重量平均分子量Mwを有する水溶性ポリマーである。好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤の重量平均分子量Mwは50,000〜1,500,000gmol-1、より好ましくは75,000〜1,250,000gmol-1、さらにより好ましくは100,000〜1,000,000gmol-1、さらにより好ましくは120,000〜750,000gmol-1、最も好ましくは140,000〜400,000gmol-1、特に150,000〜200,000gmol-1の範囲内である。好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤の重量平均分子量Mwは75,000〜350,000gmol-1の範囲内である。
好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤の分子量分散Mw/Mnは1.0〜4.0、より好ましくは1.5〜3.5、特に1.8〜3.2の範囲内である。好ましい実施形態においては、Mw/Mnは2.7±0.7、より好ましくは2.7±0.5、さらにより好ましくは2.7±0.4、さらにより好ましくは2.7±0.3、最も好ましくは2.7±0.2、特に2.7±0.1の範囲内である。
好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤はホモポリマーまたはコポリマーである。アニオン性ポリマー性分散剤がホモポリマーである場合には、これはアニオン性モノマーから誘導される。アニオン性ポリマー性分散剤がコポリマーである場合には、これは好ましくは少なくとも1つのアニオン性モノマーおよび少なくとも1つの非イオン性コモノマーから誘導される。
これに関し、「から誘導される」という用語は、アニオン性ポリマー性分散剤のポリマー主鎖が繰り返し単位を有することを意味する。即ち、繰り返し単位がアニオン性ポリマー性分散剤のポリマー主鎖に組み込まれ、この繰り返し単位が対応するモノマーから重合反応の過程で形成される。たとえば、アニオン性ポリマー性分散剤がアクリル酸から誘導される場合には、以下の繰り返し単位がポリマー主鎖中に組み込まれる。
アニオン性ポリマー性分散剤が少なくとも1つのアニオン性モノマー(たとえばアクリル酸)および少なくとも1つの非イオン性モノマー(たとえばアクリルアミド)のコポリマーである場合には、アニオン性モノマーの含量は、アニオン性ポリマー性分散剤中に組み込まれた全モノマーの全重量に対して、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは少なくとも60wt%、さらにより好ましくは少なくとも70wt%、さらにより好ましくは少なくとも80wt%、最も好ましくは少なくとも90wt%、特に少なくとも95wt%である。
好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤は、1つまたは複数のアニオン性モノマー、より好ましくは単一のアニオン性モノマーから誘導される。
アニオン性モノマーはプロトン化形態または塩として存在してもよい。
好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤は、1つまたは複数のラジカル重合性、エチレン性不飽和モノマーから誘導される。好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤は、ラジカル重合性カルボン酸およびラジカル重合性スルホン酸またはそれらの塩からなる群から選択される1つまたは複数のアニオン性モノマーから誘導される。
好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤は、少なくとも30wt%、好ましくは少なくとも50wt%、より好ましくは100wt%のアニオン性モノマーから誘導されるアニオン性モノマー単位から合成されるアニオン性ポリマーであり、アニオン性モノマーとしてはたとえば、
・オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸および無水マレイン酸、フマル酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和スルホン酸、特に脂肪族および/または芳香族ビニルスルホン酸、たとえばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルおよびメタクリルスルホン酸、特にスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和ホスホン酸、特にたとえばビニル-およびアリル-ホスホン酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・スルホメチル化および/またはホスホノメチル化アクリルアミドおよびそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩
が挙げられる。
好ましくは、オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩が用いられ、アクリル酸の水溶性アルカリ金属塩、特にそのナトリウム塩およびカリウム塩ならびにそのアンモニウム塩が特に好ましい。
好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤は、アクリル酸の水溶性アルカリ金属塩から誘導され、本発明によればポリアクリル酸カリウムが特に好ましい。
好ましくは、上述のアニオン性モノマーは、6〜25個の炭素原子、より好ましくは7〜20個の炭素原子、最も好ましくは7〜15個の炭素原子、特に8〜12個の炭素原子を含む。
好ましくは、アニオン性ポリマー性分散剤は、
- 30〜100wt%、より好ましくは50〜100wt%、さらにより好ましくは70〜100wt%の(メタ)アクリル酸、ビニルスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはそれらのそれぞれの塩、および
- 0〜70wt%、より好ましくは0〜50wt%、さらにより好ましくは0〜30wt%の非イオン性モノマー、さらにより好ましくは一般式(I)の非イオン性モノマー
(式中、R1は水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
R2およびR3は互いに独立に水素、C1〜C5アルキルまたはC1〜C5ヒドロキシアルキルを意味する)、
最も好ましくは(アルク)アクリルアミド
から誘導される。
好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤は(メタ)アクリル酸またはその塩、好ましくはナトリウム、カリウムまたはアンモニウム塩から誘導される。
アニオン性ポリマー性分散剤がコポリマーである場合には、これは好ましくは少なくとも1つのアニオン性モノマーと少なくとも1つの非イオン性モノマーとの組み合わせから誘導される。
適切な非イオン性モノマーには、一般式(I)の非イオン性モノマーが含まれる。一般式(I)の非イオン性モノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミドまたは、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチル(メタ)アクリルアミドもしくはN-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN,N-置換(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
さらなる適切な非イオン性モノマーとしては、一般式(II)の非イオン性両親媒性モノマーが挙げられる。
(式中、
Z2は、O、NHまたはNR6を意味し、R6はC1〜C3アルキルであり、
R7は、水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
R8は、C2〜C6アルキレンを意味し、
R9は、水素、C8〜C32アルキル、C8〜C32アリールおよび/またはC8〜C32アラルキルを意味し、
nは、1〜50、好ましくは1〜20の整数を意味する。)
一般式(II)の両親媒性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸と脂肪族アルコールでエーテル化されたポリエチレングリコール(エチレンオキシド単位が10〜50個)との反応生成物、または(メタ)アクリルアミドとの対応する反応生成物が挙げられる。
好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤は実質的に直鎖状であり、即ち架橋剤を含むモノマー混合物から誘導されたものではない。
別の好ましい実施形態においては、アニオン性ポリマー性分散剤は架橋している。適切な架橋剤の例は当業者には既知であり、本明細書においてさらに以下に述べる。
架橋はラジカル反応によって、即ち全てのポリマー鎖の、即ち「主鎖」の成長の過程において、達成し得る。この目的のため、架橋剤は、好ましくは遊離ラジカル鎖成長反応において反応し得る適切な数のエチレン性不飽和基を含む。
しかし、その代わり、架橋は非ラジカル反応、たとえば当業者には既知の付加または縮合反応によって達成することもできる。この目的のため、架橋剤は、好ましくは、場合によって反応相手の試薬の添加の後で、互いに反応できる適切な数の官能基を含む。これらの状況の下で、架橋は他のモノマーのラジカル重合と同時に開始することができる。しかし、好ましくは、架橋は他のモノマーのラジカル重合に続いて開始される。即ち架橋剤は最初の反応ステップにおいて非架橋ポリマーに組み込まれ、続いて互いに架橋する。
両方の場合において、架橋剤は好ましくは最初にポリマー主鎖に組み込まれる。したがって、架橋剤は、好ましくは少なくとも単一のエチレン性不飽和官能基を含み、それゆえ架橋剤は遊離ラジカル重合反応において他のモノマーと反応することができる。
好ましくは、架橋アニオン性ポリマー性分散剤は、モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%、好ましくは0.0001〜1.0wt%、より好ましくは0.0001〜0.5wt%、さらにより好ましくは0.0001〜0.3wt%、さらにより好ましくは0.0001〜0.1wt%、最も好ましくは特に0.0001〜0.05wt%の1つまたは複数のエチレン性不飽和架橋剤を含むモノマー組成物から誘導される。
水性反応混合物は、アニオン性ポリマー性分散剤と組み合わせて追加的な水溶性分散剤成分を含んでもよい。これらの状況においては、アニオン性ポリマー性分散剤の前記追加的水溶性分散剤成分に対する重量比は、好ましくは1:0.01〜1:0.5、好ましくは1:0.01〜1:0.3の範囲内である。一例として、セルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、デンプン、デンプン誘導体、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリエチレンイミン、ポリアミン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルスクシンイミド、ポリビニル-2-メチルスクシンイミド、ポリビニル-1,3-オキサゾリジン-2-オン、ポリビニル-2-メチルイミダゾリンおよび/またはそれらのそれぞれのマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩および/または(メタ)アクリルアミド化合物とのコポリマーが、追加的水溶性分散剤成分として挙げられる。
アニオン性ポリマー性分散剤の他に、水性反応混合物はモノマー組成物を含む。モノマー組成物は、
a) 少なくとも20wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー、
b) 少なくとも20wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、
c) 0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤、
d) 場合により、1.25wt%までの1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル、および
e) 場合により、さらなるエチレン性不飽和モノマー
を含み、全ての割合はモノマーの全モル量に基づく。
これに関し、wt%の値の総和は100wt%に達しなくてもよい。その理由は、さらなるエチレン性不飽和モノマーe)がモノマー組成物中、即ち水性反応混合物中に含まれる可能性があり、モノマーの全量を決定する場合にはこれを考慮に入れなければならないからである。しかし、好ましくはモノマー組成物はモノマーa)、b)およびc)からなっており、それゆえwt%の3つの値の総計は100wt%に達する。即ち、さらなるモノマーは存在しない。
モノマー組成物は、全モノマーの全モル量に対して少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも25wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、さらにより好ましくは少なくとも35wt%、さらにより好ましくは少なくとも40wt%、最も好ましくは少なくとも45wt%、特に少なくとも50wt%の一般式(I)の非イオン性モノマーを含む。
好ましい実施形態においては、モノマー組成物は全モノマーの全モル量に対して53〜80wt%、好ましくは67±12wt%、より好ましくは67±11wt%、さらにより好ましくは67±10wt%、さらにより好ましくは67±9wt%、最も好ましくは67±8wt%、特に67±7wt%の一般式(I)の非イオン性モノマーを含む。
別の好ましい実施形態においては、モノマー組成物は全モノマーの全モル量に対して20〜49.5wt%、好ましくは34±12wt%、より好ましくは34±11wt%、さらにより好ましくは34±10wt%、さらにより好ましくは34±9wt%、最も好ましくは34±8wt%、特に34±7wt%の一般式(I)の非イオン性モノマーを含む。
好ましくは、式(I)の非イオン性エチレン性不飽和モノマーは水溶性である。好ましくは、式(I)の非イオン性モノマーは、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチル(メタ)アクリルアミドおよびN-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される。アクリルアミドが特に好ましい。
モノマー組成物は、全モノマーの全モル量に対して、少なくとも20wt%、好ましくは少なくとも25wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、さらにより好ましくは少なくとも35wt%、さらにより好ましくは少なくとも40wt%、最も好ましくは少なくとも45wt%、特に少なくとも50wt%の上で定義したラジカル重合性アニオン性モノマーをさらに含む。
好ましい実施形態においては、モノマー組成物は、全モノマーの全モル量に対して20〜47wt%、好ましくは33±12wt%、より好ましくは33±11wt%、さらにより好ましくは33±10wt%、さらにより好ましくは33±9wt%、最も好ましくは33±8wt%、特に33±7wt%のラジカル重合性アニオン性モノマーを含む。
別の好ましい実施形態においては、モノマー組成物は、全モノマーの全モル量に対して50.5〜80wt%、好ましくは66±12wt%、より好ましくは66±11wt%、さらにより好ましくは66±10wt%、さらにより好ましくは66±9wt%、最も好ましくは66±8wt%、特に66±7wt%のラジカル重合性アニオン性モノマーを含む。
好ましくは、ラジカル重合性アニオン性モノマーは水溶性である。
好ましくは、ラジカル重合性アニオン性モノマーは、
・オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸および無水マレイン酸、フマル酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和スルホン酸、特に脂肪族および/または芳香族ビニルスルホン酸、たとえばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルおよびメタクリルスルホン酸、特にスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和ホスホン酸、特にたとえばビニル-およびアリル-ホスホン酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・スルホメチル化および/またはホスホノメチル化アクリルアミドおよびそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩
からなる群から選択される。
好ましくは、オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸およびそれらの水溶性アルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩がラジカル重合性アニオン性モノマーとして用いられ、アクリル酸の水溶性アルカリ金属塩、特にそのナトリウム塩およびカリウム塩ならびにそのアンモニウム塩が特に好ましい。
好ましくは、ラジカル重合性アニオン性モノマーのラジカル反応性比r1および一般式(I)の非イオン性モノマーのラジカル反応性比r2は、それぞれ0.01〜100、より好ましくは0.02〜50、さらにより好ましくは0.05〜20、最も好ましくは0.1〜10、特に0.2〜5の範囲内である。これに関連して、r1はアニオン性モノマーのラジカルが関与した2つの成長定数の比として定義される。この比は常にラジカルへの同種モノマーの付加の成長定数(k11)とコモノマーの付加の成長定数(k12)との比、即ちr1=k11/k12である。類推により、r2=k22/k21である。さらなる詳細については、たとえばPaul C. Hiemenz、Polymer Chemistry、Marcel Dekker New York、1984、7.2章を参照することができる。
アニオン性ポリマー性分散剤がまたアニオン性モノマーから誘導される場合には、前記アニオン性モノマーは、モノマー組成物中、即ち水性反応混合物中に含まれるラジカル重合性アニオン性モノマーと異なっていても、同じであってもよい。好ましくは両モノマーは互いに異なっており、それゆえ架橋アニオン性コポリマーの繰り返し単位はアニオン性ポリマー性分散剤の繰り返し単位とは異なっている。したがって、アニオン性ポリマー性分散剤と架橋アニオン性コポリマーとは好ましくは互いに異なっており、その相違にはおそらく分子量の相違および/または化学構造の相違、ならびにモノマー組成の相違等の物理的変数が含まれる。
モノマー組成物は、モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤をさらに含む。
架橋剤は当業者には既知である。いくつかの態様は架橋アニオン性ポリマー性分散剤に関連して既に上述した。これらの態様はまた架橋アニオン性コポリマーの架橋剤に適用され、逆もしかりである。
本発明によれば、架橋剤はラジカル重合性のエチレン性不飽和基を含む。好ましくは、エチレン性不飽和架橋剤は2、3、4または5個のエチレン性不飽和基を含む。
2つのラジカル重合性エチレン性不飽和基を有する架橋剤の例としては、
(1) 1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,18-オクタデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンジ(メタ)アクリレート、2,2'-ビス(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、および好ましくはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、および1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルケニルジ(メタ)アクリレート、
(2) アルキレンジ(メタ)アクリルアミド、たとえばN-メチレンジ(メタ)アクリルアミド、N,N'-3-メチルブチリデンビス(メタ)アクリルアミド、N,N'-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビス(メタ)アクリルアミド、および好ましくはN,N'-ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、特に好ましくはN,N'-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、
(3) 一般式(III)
(式中、R10は、水素またはメチルであり、
R11は、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、または-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-から選択され、
mは、2〜50の範囲の整数である)
のポリアルコキシジ(メタ)アクリレート
(一般式(III)の架橋剤の例としては、mが4〜25の範囲のポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、mが5〜40の範囲のポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および好ましくはmが2〜45の範囲のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、たとえばジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびより好ましくはmが5〜20の範囲のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。)
(4) 用い得る追加的なジ(メタ)アクリレートの例としては、ベンジリデンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノール-Aジ(メタ)アクリレート、1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシ-2-プロパノール、ヒドロキノンジ(メタ)アクリレート、エタンジチオールジ(メタ)アクリレート、プロパンジチオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレンジチオールジ(メタ)アクリレート、およびポリプロピレンジチオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
(5) ジビニル化合物、たとえば1,4-ブタンジオールジビニルエーテル、ジビニルベンゼン、ブタジエン、1,6-ヘキサジエン、ジ(メタ)アリル化合物、たとえばジ(メタ)アリルフタレートもしくはジ(メタ)アリルスクシネート等、ビニル(メタ)アクリル化合物、たとえばビニル(メタ)アクリレート、または好ましくは(メタ)アリル(メタ)アクリル化合物、たとえばアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3個以上のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する架橋剤の例としては、グリセリントリ(メタ)アクリレート、2,2-ジヒドロキシメチル-1-ブタノールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメタクリルアミド、(メタ)アリリデンジ(メタ)アクリレート、3-アリルオキシ-1,2-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリアリルアミン、トリアリルシアヌレートまたはトリアリルイソシアヌレート、ならびにまた(3個を超えるエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する代表的化合物として)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートおよびN,N,N',N'-テトラ(メタ)アクリロイル-1,5-ペンタンジアミンが挙げられる。
5個のエチレン性不飽和ラジカル重合性基を有する架橋剤の例としては、ジペンタエリスリトール-ペンタアクリレートがある。
特に好ましい架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびトリアリルアミンからなる群から選択される。
さらなる好ましい架橋剤としては、非対称架橋性モノマー、即ちポリマー主鎖への組み込み反応と架橋反応に関して異なった官能基が関与する架橋性モノマーが挙げられる。そのような非対称架橋性モノマーの例としては、N'-メチロールアクリルアミド、N'-メチロールメタクリルアミドおよびグリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。
この型の架橋剤には、架橋が引き続いて開始できるという利点がある。したがって、架橋は主鎖のラジカル重合とは異なった条件で実施することができる。好ましくは、架橋は反応条件、たとえばpH値(酸または塩基の添加)、温度等を変更した後で開始される。
好ましい実施形態においては、架橋はその前のラジカル重合反応の温度よりも約40℃高い温度までで、後反応において実施される。架橋は0.1〜10時間続けてよい。典型的には、架橋はその前のラジカル重合反応の温度よりも5〜15℃高い温度で、0.5〜3時間実施される。
好ましくは、非対称架橋性モノマーはN-メチロール基を含む。N-メチロール化合物(N-ヒドロキシメチル化合物)は当業者には既知であり、たとえばホルムアルデヒドとアミドまたはアミンとの縮合によって調製することができる。N-メチロール基は、他のN-メチロール基と(自己架橋)、またアミド基またはヒドロキシ基等の他の官能基と(パートナー架橋)、反応することができる。好ましいパートナーはアクリルアミドのアミド部分である。
本明細書の目的のため、架橋剤としての非対称架橋性モノマーの好ましい量は、好ましくは非対称架橋性モノマーそれ自体を指すが、いかなる非・非対称架橋性モノマーをも含まない。たとえば、架橋がN-メチロール基を含むモノマーとアクリルアミドとの反応によって達成される場合には、架橋剤の好ましい量はアクリルアミドの量を包含しない。
あるいは、架橋はそれ自体ではラジカル重合性でない化合物によって達成してもよい。そのような化合物はたとえば異なったポリマー鎖のアクリルアミド残基のアミド部分と反応できる少なくとも2つのN-メチロール基を含み、それにより架橋ポリマーネットワークがもたらされる。例としてはジメチル尿素、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンまたは低分子量水溶性メラミン樹脂が挙げられる。そのような化合物は反応しないか、または僅かな程度しか反応しないが、ラジカル重合反応の前、および/またはその過程で添加してもよい。典型的には、これらは上述のように高温の後反応において反応する。
遊離ラジカル重合においては反応しないが、そのようにして得られたポリマーを架橋させることができるそのような化合物の別の例としては、典型的には水溶液中で水和されたグリオキサールがある。グリオキサールによる架橋反応を以下に示す。
モノマー組成物は、モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%、好ましくは0.0001〜1.0wt%、より好ましくは0.0001〜0.5wt%、さらにより好ましくは0.0001〜0.3wt%、さらにより好ましくは0.0001〜0.1wt%、最も好ましくは特に0.0001〜0.05wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤を含む。
好ましい実施形態においては、モノマー組成物は、モノマーの全重量に対して2.5±2.0ppm、より好ましくは2.5±1.5ppm、最も好ましくは2.5±1.0ppm、特に2.5±0.5ppmの1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤を含む。別の好ましい実施形態においては、モノマー組成物は、モノマーの全重量に対して5.0±4.0ppm、より好ましくは5.0±3.0ppm、さらにより好ましくは5.0±2.0ppm、さらにより好ましくは5.0±1.5ppm、最も好ましくは5.0±1.0ppm、特に5.0±0.5ppmの1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤を含む。さらに別の好ましい実施形態においては、モノマー組成物は、モノマーの全重量に対して7.5±4.0ppm、より好ましくは7.5±3.0ppm、さらにより好ましくは7.5±2.0ppm、さらにより好ましくは7.5±1.5ppm、最も好ましくは7.5±1.0ppm、特に7.5±0.5ppmの1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤を含む。
架橋剤が非対称な場合、即ち架橋剤が遊離ラジカル重合反応の過程で架橋剤をポリマー主鎖に組み込むことができるエチレン性不飽和基等のラジカル重合性基と、場合により適切な反応パートナーの媒介によって互いに架橋することができる非重合性基とを有する場合には、本発明の方法には2つの反応ステップ、即ちi) 遊離ラジカル重合およびii) 架橋反応(後反応)が含まれ得ることが、当業者には理解される。ステップii)には適切な反応パートナーの添加が必要なことがある。さらに、ステップi)およびii)には異なった反応条件(たとえば温度)が必要なことがある。
さらに、重合反応の極めて早くから架橋剤の全量が必ずしも存在しなくてもよいことが、当業者には理解される。架橋剤は重合反応の過程において添加してもよい。架橋剤自体がラジカル重合性基を全く有していない場合、即ち架橋が上記のグリオキサールリンケージ等の別の化学反応による場合には、ラジカル重合反応に引き続いて架橋剤の全量を添加さえしてもよい。これに関し、このようにして得られる水中水型ポリマー分散物が架橋カチオン性ポリマーを含むように適切な後反応が起こる限り、遊離ラジカル重合反応に供する水性反応混合物に対して0.0001〜1.25wt%の含量の1つまたは複数の架橋剤を、遊離ラジカル重合反応の後で添加してもよい。
したがって、本発明はまた、
A)
(i) アニオン性ポリマー性分散剤および
(ii)
a) モノマーの全重量に対して少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー
(式中、
R1は、水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
R2およびR3は、互いに独立に、水素、C1〜C5アルキルまたはC1〜C5ヒドロキシアルキルを意味する)、
b) 少なくとも5wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、
c) モノマーの全重量に対して0〜1.25wt%の1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル、および
d) 場合によりさらなるエチレン性不飽和モノマー
を含むモノマー組成物
を含む水性反応混合物を遊離ラジカル重合反応に供して、アニオン性プレポリマーが得られるようにするステップ、
B) このようにして得られたプレポリマーに、ステップA)で用いたモノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤を加えるステップ、および
C) プレポリマーを架橋反応(後反応)に供するステップ
を含む水中水型ポリマー分散物を製造するための方法に関し、それにより得られる水中水型ポリマー分散物は架橋アニオン性コポリマーを含む。
これに関し、「モノマー組成物」という用語は、架橋反応を実行する前のプレポリマーと架橋剤とを含む組成物をも包含することとする。
モノマー組成物は場合により、モノマーの全重量に対して1.25wt%までの1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステルを含む。しかし好ましくは、モノマー組成物はブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート等のいかなる疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステルをも含まない。
好ましくは、モノマー組成物は疎水性モノマーを全く含まない。これに関し、疎水性モノマーは好ましくは水溶性ではないモノマーと定義される。したがって、モノマー組成物は、好ましくは周囲温度で純水に10gl-1未満、より好ましくは25gl-1未満、さらにより好ましくは50gl-1未満、さらにより好ましくは100gl-1未満、最も好ましくは250gl-1未満、特に500gl-1未満の溶解度を有するモノマーは全く含まない。
好ましくは、モノマー組成物は、一般式(IV)
(式中、
R12は、水素またはC1〜5アルキルであり、
R13は、それぞれ1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキル、または-C(=O)-Z0-R14であってZ0はO、NHもしくはNR14であり、R14はそれぞれ1〜20個の炭素原子を有するアルキル、シクロアルキル、アリールもしくはアラルキルである)
の疎水性モノマーは全く含まない。
モノマー組成物は場合により、ラジカル重合性のさらなるエチレン性不飽和モノマーを含んでもよい。しかし、好ましくは、モノマー組成物はそのようなモノマーを含まない。即ち、モノマー組成物は好ましくは成分a)、b)、c)および場合によりd)、特に好ましくは成分a)、b)およびc)からなる。
本発明の水性反応混合物の好ましい実施形態においては、
- アニオン性ポリマー性分散剤は、
・オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸および無水マレイン酸、フマル酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和スルホン酸、特に脂肪族および/または芳香族ビニルスルホン酸、たとえばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルおよびメタクリルスルホン酸、特にスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和ホスホン酸、特にたとえばビニル-およびアリル-ホスホン酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・スルホメチル化および/またはホスホノメチル化アクリルアミドおよびそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩
から選択される少なくとも1つのモノマーから誘導されるアニオン性ポリマーであり、および/または
- ラジカル重合性アニオン性モノマーは
・オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、グルタコン酸、マレイン酸および無水マレイン酸、フマル酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和スルホン酸、特に脂肪族および/または芳香族ビニルスルホン酸、たとえばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、アクリルおよびメタクリルスルホン酸、特にスルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、スルホプロピルアクリレート、スルホプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルスルホン酸および2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・オレフィン性不飽和ホスホン酸、特にたとえばビニル-およびアリル-ホスホン酸ならびにそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩;
・スルホメチル化および/またはホスホノメチル化アクリルアミドおよびそれらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩、それらのアルカリ土類金属塩、ならびにそれらのアンモニウム塩
からなる群から選択され、および/または
- 一般式(I)の非イオン性モノマーは(メタ)アクリルアミド
である。
本発明の方法には、水性反応混合物を遊離ラジカル重合反応に供するステップが含まれる。通常、遊離ラジカル重合反応が開始される前に、水性反応混合物がその成分(i)および(ii)から、即ちアニオン性ポリマー性分散剤およびモノマー組成物から調製される。
水性反応混合物の調製は当業者には既知である。成分は同時または連続的に添加してよい。成分は従来の手段によって、たとえば液体の注入もしくは滴下、または粉体の添加等によって加えてよい。
原理的には、水性反応混合物を調製する際にそれぞれの成分の全量が最初に存在している必要はない。その代わりに、重合開始時にモノマーの部分的分散物を用い、モノマーの残りを計量した部分として、もしくは重合の全過程にわたって分配される連続供給として加えてもよい。たとえば、特定の成分のある部分のみ、たとえばラジカル重合性アニオン性モノマーの70wt%のみを最初に用い、その後、おそらく重合反応の過程において、前記特定の成分の残り、たとえばラジカル重合性アニオン性モノマーの残り30wt%を用いる。
本発明の方法の好ましい実施形態においては、水性反応混合物をラジカル重合に供する前に、水性反応混合物の全重量に対して0.1〜5.0wt%の量の水溶性塩が加えられる。
水溶性塩としては、アンモニウム、アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属塩、好ましくはアンモニウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよび/またはマグネシウム塩を用いることができる。そのような塩は、無機酸または有機酸の塩、好ましくは有機カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、または鉱酸の塩であってよい。水溶性塩は、好ましくは脂肪族または芳香族のモノ-、ジ-、ポリカルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸の塩、好ましくは酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸もしくは安息香酸、または硫酸、塩酸もしくはリン酸の塩である。極めて特に好ましくは、塩化ナトリウム、硫酸アンモニウムおよび/または硫酸ナトリウムが水溶性塩として用いられる。
塩は重合の前、その間またはその後に添加してよいが、好ましくは、重合は水溶性塩の存在下に実施される。
水性反応混合物が調製された後、これは遊離ラジカル重合反応に供せられる。即ちラジカル重合性アニオン性モノマー、一般式(I)の非イオン性モノマーおよび架橋剤、ならびに場合により存在するさらなるモノマーを含むモノマー組成物の、アニオン性ポリマー性分散剤の存在下における重合が開始され、それにより水中水型ポリマー分散物中に分散した架橋アニオン性コポリマーが得られる。
水性反応性混合物中でモノマーをどのようにラジカル重合するかは当業者には既知である。典型的には、重合反応は1つまたは複数の従来の重合開始剤の存在下で行なわれる。
ラジカルはたとえば単結合の熱誘起もしくは光化学誘起によるホモリシスまたは酸化還元反応によって形成され得る。
適切な水溶性開始剤の例としては、たとえば2,2'-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸、4,4'-アゾビス-(4-シアノペンタン酸)、2,2'-アゾビス(2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン二塩酸、または過硫酸アンモニウム/硫酸第二鉄等の酸化還元系が挙げられる。油溶性開始剤としては、たとえば過酸化ジベンゾイル、過酸化ジラウリルもしくは過酸化tert-ブチル、または2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレートおよび2,2'-アゾビス-(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物が挙げられる。開始剤は単独もしくは組み合わせて、一般には水性反応性混合物の全重量の約0.015〜0.5重量%の量で用いてよい。得られるポリマー生成物の特性、たとえばその平均分子量を改変するために開始剤の量および種類をどのように改変するかは、主として当業者には既知である。
好ましくは2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン二塩酸、2,2'-アゾビス(2-アミノプロパン)二塩酸等のアゾ化合物または好ましくは場合により還元剤、たとえばアミンまたは亜硫酸ナトリウムと組み合わせた過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素が、ラジカル開始剤として用いられる。重合すべきモノマーに対する開始剤の量は、一般に10-3〜1.0wt%、好ましくは10-2〜0.1wt%の範囲である。開始剤は完全に加えてもよく、または重合の最初に部分的にのみ加え、重合の全過程にわたって残りの量を引き続いて分割投入してもよい。好ましい実施形態においては、重合はペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いて開始され、最高温度に達した後で2,2'-アゾビス(2-(イミダゾリン-2-イル)プロパン二塩酸等のアゾ開始剤を用いて続行される。重合終了時に残留モノマーの含量を低減させるため、好ましくは酸化還元開始剤系が加えられる。
別の有利な実施形態においては、発熱重合反応が完了すれば、即ち一般には最高温度の後で、酸化還元開始剤を引き続いて加えることによって残留モノマーの含量はさらに低減される。
本発明の方法の別の有利な実施形態においては、水性反応混合物およびアニオン性ポリマー性分散剤は、重合中に重合反応器に分割投入される。一般には、モノマーおよびアニオン性ポリマー性分散剤の一部、たとえば10〜20%が最初に導入される。重合の開始に続いて、上記の分割投入が、場合により重合開始剤のさらなる分割投入とともに行なわれる。
さらに、重合中に水を除去し、場合によりさらなるアニオン性ポリマー性分散剤を加えることも可能である。
重合温度は一般に0〜120℃、好ましくは30〜90℃である。重合温度は用いる開始剤の分解動力学に基づいて選択することができる。
重合時間は当技術において従来用いられたものと同じであり、一般に1.5〜18時間、好ましくは2〜6時間であるが、30分と短い時間も用い得る。しかし、より短い時間でより速い重合を試みることは、除熱の問題を生じる。これに関し、重合中に重合媒体をよく撹拌するか、他の方法でかき混ぜることが極めて好ましい。
重合に用いる装置は単に水中油または油中水または水中水重合に用いられるもの等の標準的な反応器であってよい。
重合変換または重合の終了は、残留モノマーの含量を測定することによって容易に検出できる。この目的のための方法は当業者にはよく知られている(たとえばHPLC)。
重合は、好ましくは系が不活性ガスでパージされ、不活性ガス雰囲気下、たとえば窒素雰囲気下で重合するような方法で行なわれる。
重合の後、場合により塩または酸等のさらなる添加剤を好ましくは撹拌しながら分散物に加える前に、水性反応混合物を冷却することが有利な場合もある。
残留モノマー含量を低減させるため、重合過程中の温度を高くすることも可能である。あるいは、重合中および重合の最後に追加の開始剤を、および/または残留モノマー破壊剤を用いることも可能である。
本発明の意味における残存モノマー破壊剤は、化学反応により重合性モノマーがもはや重合性でなくなるようにこれを改変する物質であり、それにより本発明の意味においてこれらはもはやモノマーではない。この目的のために、モノマー中に存在する二重結合と反応する物質および/またはより広範囲の重合を開始し得る物質を用いることができる。二重結合と反応する残存モノマー破壊剤として、たとえば還元剤、好ましくはVI未満の酸化数を有する、硫黄から誘導された酸および酸の中性塩の群からの物質、好ましくは亜ジチオン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムもしくは二亜硫酸ナトリウムおよび/または硫化水素基を有する物質、好ましくは硫化水素ナトリウムまたはチオール、好ましくはメルカプトエタノール、ドデシルメルカプタン、チオプロピオン酸もしくはチオプロピオン酸の塩またはチオプロパンスルホン酸もしくはチオプロパンスルホン酸の塩および/またはアミンの群から、好ましくは揮発性が低いアミンの群からの物質、好ましくはジイソプロパノールアミンまたはアミノエチルエタノールアミン、および/またはBunte塩、ホルムアミジンスルフィン酸、二酸化硫黄を含む群からの物質、二酸化硫黄もしくはチオ尿素の水性および有機溶液を用いることができる。
好ましくは、水中水型ポリマー分散物は多くとも5,000ppm、より好ましくは多くとも2,500ppm、さらにより好ましくは多くとも1,000ppm、さらにより好ましくは多くとも800ppm、最も好ましくは多くとも600ppm、特に多くとも400ppmのアニオン性モノマーの残留含量を有する。
好ましくは、水中水型ポリマー分散物は多くとも5,000ppm、より好ましくは多くとも2,500ppm、さらにより好ましくは多くとも1,000ppm、さらにより好ましくは多くとも800ppm、最も好ましくは多くとも600ppm、特に多くとも400ppmの一般式(I)の非イオン性モノマーの残留含量を有する。
重合反応によって水性反応混合物は水中水型ポリマー分散物に変化する。
重合反応の後、溶媒含量を低減させるために、得られる水中水型ポリマー分散物を蒸留してもよい。
本発明による方法の好ましい実施形態においては、水性反応混合物の全重量に対して0.1〜5.0wt%の量の酸が重合後に加えられる。水溶性有機酸および/または無機酸が存在し得る。より具体的には、適切な水溶性有機酸は有機カルボン酸、スルホン酸、ホスホン酸、好ましくは脂肪族または芳香族のモノ-、ジ-、ポリカルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸、好ましくは酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、特に好ましくはクエン酸、アジピン酸および/または安息香酸である。適切な無機酸は水溶性鉱酸、好ましくは塩酸、硫酸、硝酸および/またはリン酸である。極めて特に好ましいものはクエン酸、アジピン酸、安息香酸、塩酸、硫酸および/またはリン酸である。
好ましくは、水性反応混合物は、分散物の全重量に対して0.5〜5.0wt%の少なくとも1つの酸および/または0.5〜5.0wt%の少なくとも1つの塩を含み、酸および塩の全含量は好ましくは5.0wt%に達する。好ましくは、塩と酸とが存在する場合には、塩のアニオンは酸の化学的性質と異なる。即ち酸がクエン酸の場合には、塩はクエン酸塩ではない。
本発明のさらなる態様は、水、アニオン性ポリマー性分散剤および架橋アニオン性コポリマーを含む水中水型ポリマー分散物に関する。
水中水型ポリマー分散物は、
(i) アニオン性ポリマー性分散剤および
(ii)
a) モノマーの全重量に対して少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー
(式中、
R1は、水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
R2およびR3は、互いに独立に、水素、C1〜C5アルキルまたはC1〜C5ヒドロキシアルキルを意味する)、
b) 少なくとも5wt%、好ましくは少なくとも20wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、
c) モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の好ましくはエチレン性の不飽和架橋剤、
d) モノマーの全重量に対して0〜1.25wt%の1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル、および
e) 場合によりさらなるエチレン性不飽和モノマー
を含むモノマー組成物から誘導される架橋アニオン性コポリマー
を含む。
好ましくは、水中水型ポリマー分散物は上述の本発明の方法によって得られる。
本発明の水中水型ポリマー分散物は、水中水型ポリマー懸濁液、水中水型ポリマーエマルジョン、水中水型ポリマー溶液またはそれらの混合物であってよい。
本発明の水中水型ポリマー分散物の好ましい実施形態においては、架橋アニオン性コポリマーの重量平均分子量Mwはアニオン性ポリマー性分散剤の重量平均分子量Mwより大きい。架橋アニオン性コポリマーの重量平均分子量をどのように測定し、たとえば開始剤濃度の改変、連鎖移動剤の添加等によってどのように影響されるかは当業者に既知である。好ましくは、重量平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により、好ましくは溶離剤として1.5%ギ酸を用いてプルラン標準に対して、またはレオロジー的測定によって決定される。
好ましくは、架橋アニオン性コポリマーは、少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%、さらにより好ましくは少なくとも99.9%、最も好ましくは少なくとも99.95%、特に少なくとも99.99%の重合度を示す。
好ましくは、架橋アニオン性コポリマーの重量平均分子量は、少なくとも1,000,000gmol-1、より好ましくは少なくとも1,250,000gmol-1、さらにより好ましくは少なくとも1,500,000gmol-1、さらにより好ましくは少なくとも1,750,000gmol-1、最も好ましくは少なくとも2,000,000gmol-1、特に少なくとも2,500,000gmol-1である。
好ましくは、架橋アニオン性コポリマーの分子量分散Mw/Mnは1.0〜4.0、より好ましくは1.5〜3.5、特に1.8〜3.2の範囲内である。好ましい実施形態においては、Mw/Mnは2.7±0.7、より好ましくは2.7±0.5、さらにより好ましくは2.7±0.4、さらにより好ましくは2.7±0.3、最も好ましくは2.7±0.2、特に2.7±0.1の範囲内である。
好ましくは、架橋アニオン性コポリマーの含量は、水中水型ポリマー分散物の全重量に対して0.1〜90wt%、より好ましくは1.0〜80wt%、さらにより好ましくは2.5〜70wt%、さらにより好ましくは5.0〜60wt%、最も好ましくは10〜40wt%、特に15〜25wt%の範囲内である。
好ましくは、全ポリマー含量、即ち架橋アニオン性コポリマーとポリマー性分散剤との含量は、分散物の全重量に対して40±20wt%、より好ましくは40±15wt%、さらにより好ましくは40±15wt%、最も好ましくは40±5wt%の範囲内である。好ましい実施形態においては、全ポリマー含量は、少なくとも36wt%、より好ましくは少なくとも37wt%、さらにより好ましくは少なくとも38wt%、最も好ましくは少なくとも39wt%、最も好ましくは少なくとも40wt%の範囲内であり、特に40〜45wt%の範囲内である。
好ましい実施形態においては、架橋アニオン性コポリマーとアニオン性ポリマー性分散剤との相対重量比は10:1〜0.1:1、より好ましくは9:1〜0.25:1、さらにより好ましくは8:1〜0.5:1、さらにより好ましくは7:1〜1:1、最も好ましくは6:1〜2:1、特に5:1〜3:1の範囲内である。別の好ましい実施形態においては、架橋アニオン性コポリマーとアニオン性ポリマー性分散剤との相対重量比は、9:1〜0.05:1、より好ましくは7:1〜0.1:1、さらにより好ましくは5:1〜0.3:1、さらにより好ましくは3:1〜0.5:1、最も好ましくは2:1〜1:1、特に1.5:1〜1.2:1の範囲内である。好ましくは、架橋アニオン性コポリマー:アニオン性ポリマー性分散剤の相対重量比は1:1より大きい。
好ましくは、架橋アニオン性コポリマーとアニオン性ポリマー性分散剤とを含む水中水型ポリマー分散物中に存在するポリマー混合物の重量平均分子量Mwは、GPC法によって測定して1.5×106g/molを超える範囲である。
好ましくは、本発明の水中水型ポリマー分散物は、
- 500〜5,000mPas、より好ましくは800〜3,000mPas、さらにより好ましくは1,000〜2,500mPas、最も好ましくは1,200〜2,000mPas、特に1,400〜1,800mPasの範囲内の溶液粘度(Brookfieldによる)、および/または
- 1,000〜50,000mPas、より好ましくは5,000〜30,000mPas、さらにより好ましくは8,000〜25,000mPas、最も好ましくは10,000〜20,000mPas、特に12,000〜19,000mPasの範囲内の製品粘度、および/または
- 300〜1,000mPas、より好ましくは350〜900mPas、さらにより好ましくは400〜850mPas、最も好ましくは450〜800mPas、特に500〜750mPasの範囲内の塩粘度
を有する。
好ましくは、本発明の水中水型ポリマー分散物は、25℃、0.5wt%溶液中、0.005Hz(0.00464Hz)で、4.0〜12.0、より好ましくは4.5〜10.0、最も好ましくは5.0〜9.0の範囲内のtanδ値を示す。
tanδは粘弾性の尺度である。tanδの値は系内の損失(粘性)係数G"の貯蔵(弾性)係数G'に対する比である。G'およびG"の測定が記録され、tanδ(G"/G')値を計算するために用いられる。一方、平衡応力において低いtanδ(<1)とより高いG'値を有する材料は歪みまたは変形が少なく、したがってより強い付随構造を示す。これらの材料は機械的に安定で、時間枠内においてまたは測定の周波数において緩和しない。したがって、そのような材料はより弾性的である。他方、平衡応力においてより高いtanδ値(>1)とより高いG"値を有する材料は粘性型の応答を示し、試料に加わる応力によって直鎖状ポリマーは低周波数で緩和されることになる。驚くべきことに、一般式(I)の疎水性モノマーの疎水性部分(=R2)の鎖長を変更することによって、水中水型ポリマー分散物のtanδ値が低減され得ることが見出された。換言すれば、系の粘弾性は疎水性モノマーの化学的性質によって影響され得る。
どのようにtanδ値を決定するかは当業者に既知である。好ましくは、0.005Hz値におけるtanδは、2時間反転させた後の脱イオン水中の0.5重量%ポリマー水溶液について振動モードのレオメーターを用いて得られる。
好ましくは、本発明の水中水型ポリマー分散物は液体である。粉末およびペーストと比較すると、液体分散物の方が添加しやすい。粉末は通常、高価な添加装置を必要とする。
水中水型ポリマー分散物の含水量はin situの重合の後、そのままでよい。しかし好ましい実施形態においては、含水量はたとえば水の一部を蒸発させることによって低減される。
好ましい実施形態においては、水中水型ポリマー分散物の含水量は、40±25wt%、より好ましくは40±20wt%、さらにより好ましくは40±15wt%、さらにより好ましくは40±10wt%、最も好ましくは40±7.5wt%、特に40±5wt%の範囲内である。別の好ましい実施形態においては、水中水型ポリマー分散物の含水量は、50±25wt%、より好ましくは50±20wt%、さらにより好ましくは50±15wt%、さらにより好ましくは50±10wt%、最も好ましくは50±7.5wt%、特に50±5wt%の範囲内である。さらに別の好ましい実施形態においては、水中水型ポリマー分散物の含水量は、60±25wt%、より好ましくは60±20wt%、さらにより好ましくは60±15wt%、さらにより好ましくは60±10wt%、最も好ましくは60±7.5wt%、特に60±5wt%の範囲内である。さらに別の好ましい実施形態においては、水中水型ポリマー分散物の含水量は、63±20wt%、より好ましくは63±15wt%、さらにより好ましくは63±10wt%、さらにより好ましくは63±7wt%、最も好ましくは63±5wt%、特に63±3wt%の範囲内である。特に好ましい実施形態においては、水中水型ポリマー分散物の含水量は、多くとも80wt%、より好ましくは多くとも75wt%、さらにより好ましくは多くとも72wt%、さらにより好ましくは多くとも70wt%、最も好ましくは多くとも68wt%、特に多くとも67wt%である。
好ましい実施形態においては、本発明の水中水型ポリマー分散物の全ポリマー含量は、水中水型ポリマー分散物の全重量に対して少なくとも20wt%、より好ましくは少なくとも30wt%、さらにより好ましくは少なくとも35wt%、さらにより好ましくは少なくとも40wt%、最も好ましくは45wt%〜65wt%の範囲内、特に50wt%〜60wt%である。別の好ましい実施形態においては、本発明の水中水型ポリマー分散物の全ポリマー含量は、水中水型ポリマー分散物の全重量に対して少なくとも10wt%、より好ましくは少なくとも15wt%、さらにより好ましくは少なくとも20wt%、さらにより好ましくは少なくとも25wt%、最も好ましくは25wt%〜45wt%の範囲内、特に30wt%〜40wt%である。
特に好ましい実施形態においては、本発明の水中水型ポリマー分散物の全ポリマー含量は飽和限界に近い、即ちそれ以上では(周囲条件で、さらに乳化剤を加えなければ)さらなるポリマーは分散しないと思われる限界濃度に近い。好ましくは、水中水型ポリマー分散物の全ポリマー含量は、前記限界濃度の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、最も好ましくは少なくとも85%、特に前記限界濃度の少なくとも90%である。周囲条件において水中水型ポリマー分散物の限界濃度をどのように決定するかは当業者に既知である。
したがって、言い換えれば、水中水型ポリマー分散物の含水量は、好ましくは飽和限界に近い。本発明の水中水型ポリマー分散物は、個別の応用の前に希釈される安定な濃縮物として市販することができる。濃縮物として供給することにより、運送コストが低減され、取扱い性が改善される。驚くべきことに、アニオン性ポリマー性分散剤の存在下における、架橋アニオン性コポリマーを形成するモノマーのin situ重合は比較的高いモノマー濃度で(即ち、比較的低い含水量で)実施でき、したがって真空下、高温で過剰の水を大量に蒸発させるような濃縮ステップを必要とせずに高濃度の水中水型ポリマー分散物が得られることが見出された。
場合により、本発明の水中水型ポリマー分散物は、さらなる従来の成分を、たとえば水溶性または油溶性の酸および/または塩の形態で含んでもよい。それぞれ全体の分散物に対して、酸は好ましくは0.1〜3wt%の量で、塩は0.1〜3wt%の量で、また分散物の全重量に対して酸および塩は合わせて好ましくは多くとも5wt%、好ましくは多くとも4wt%の量で存在する。
好ましくは、本発明の水中水型ポリマー分散物は、分散物の全重量に対して0.5〜5.0wt%の少なくとも1つの酸および/または0.5〜5.0wt%の少なくとも1つの塩を含み、酸および塩の全含量は5.0wt%に達する。
前記さらなる従来の成分は、重合の前、その間、またはその後に加えることができる。
好ましくは、20℃における本発明の水中水型ポリマー分散物の電気伝導度は、少なくとも1.0Ω-1m-1、より好ましくは少なくとも2.5Ω-1m-1、さらにより好ましくは少なくとも5.0Ω-1m-1、さらにより好ましくは5.0〜80Ω-1m-1の範囲内、最も好ましくは7.5〜70Ω-1m-1の範囲内、特に10〜60Ω-1m-1の範囲内である。
さらに、本発明の水中水型ポリマー分散物は、アニオン性ポリマー性分散剤に対して30wt%まで、好ましくは15wt%まで、より好ましくは10wt%までの水溶性多官能アルコールおよび/またはこれらと脂肪アミンとの反応生成物を含んでもよい。これに関連してより具体的に適切なものは、分子量50〜50,000、好ましくは1,500〜30,000のポリアルキレングリコール、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロピレン/エチレンオキシドのブロックコポリマー、多官能水溶性アルコールとしてのグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタエリスリトールおよび/またはソルビトール等の低分子量多官能アルコールおよび/またはこれらとアルキル残基もしくはアルキレン残基にC6〜C22を有する脂肪アミンとの反応生成物である。
前記水溶性多官能アルコールおよび/またはこれらと脂肪アミンとの反応生成物は、重合の前、その間、またはその後に加えることができる。
本発明の水中水型ポリマー分散物は保存安定性が良い。即ち、周囲条件で数日間の保存において成分の実質的な沈降は見られない。沈降により水中水型ポリマー分散物のヘイズ値の変化が起こるので、保存安定性は保存時のヘイズ値の減少として表わすことができる。ヘイズ値を測定するための適切な光学的方法は当業者に既知である。好ましくは、水中水型ポリマー分散物のヘイズ値は、周囲条件下で28日間保存した後、25%、より好ましくは20%、さらにより好ましくは15%、さらにより好ましくは10%、最も好ましくは7.5%、特に5%を超えて変動しない。
好ましくは、本発明の水中水型ポリマー分散物は酸性であり、即ち7.0未満、より好ましくは6.5未満、さらにより好ましくは6.0未満、さらにより好ましくは5.5未満、最も好ましくは5.0未満、特に4.5未満のpHを有する。
本発明の水中水型ポリマー分散物は従来の水中水型ポリマー分散物に比べていくつかの利点を有する。たとえば、
- とりわけ水中水型ポリマー分散物のレオロジー特性の改善をもたらす高分子量の架橋アニオン性コポリマーが得られる。
- 製品粘度および耐塩性が極めて高い。これらの特性は油分の回収の増大または閉鎖水循環路を有する製紙機械において特に望ましく、製品粘度が高い製品は階層化の傾向が少ない。
- アニオン性ポリマー性分散剤および/または架橋アニオン性コポリマーにおけるイオン性モノマーと非イオン性モノマーとのモル比を、水中水型ポリマー分散物の基本的特性を大きく悪化させることなく広い範囲で変化させることができる。
- アニオン性ポリマー性分散剤の化学的性質が、架橋アニオン性コポリマーの化学的性質に実質的に依存しない。
- 水中水型ポリマー分散物の有利な特性が、剪断条件下で維持される。
本発明の水中水型ポリマー分散物は、固体/液体分離プロセスにおける添加剤として、たとえば固体の沈降、浮遊もしくは濾過における凝集剤として、増粘剤として、または保持剤もしくは排水助剤として、たとえば製紙/紙の保持、または下水処理プラントもしくは油分回収における汚泥の脱水において有用である。これらは特に剪断条件下における紙の保持における灰分の保持および脱水に関して特に改善された応用性能を示す。本発明によって得られる水中水型ポリマー分散物は、製紙における優れた補助剤であるという予期しない利点を有し、特に製紙における保持および脱水剤として有用である。
本発明のさらなる態様は、本発明の水中水型ポリマー分散物の、好ましくは製紙における凝集剤(凝集のための薬剤)として、好ましくは保持助剤および/または排水助剤として、または増粘剤としてもしくは油分回収において、または汚染制御として、もしくは乾燥強度助剤としての使用に関する。
これに関し、「汚染制御」は、好ましくは製紙において典型的に発生する汚染物質に関し、その中にはマシンストックの制御、たとえば有機汚染物質の制御および無機スケールの制御、圧搾セクションの最適化、たとえば圧搾ロールの汚染制御、圧搾ロールの付着制御、圧搾ファブリックのコンディショニング/クリーニングもしくは圧搾ファブリックの不動態化、乾燥セクションの不動態化、たとえば乾燥シリンダーの汚染制御もしくは乾燥ファブリックの汚染制御等のパルプおよび製紙操作が含まれる。
これに関し、「乾燥強度助剤」は好ましくは製紙技術をも指す。
本発明のさらなる態様は紙、ボール紙または板紙の製造のためのプロセスに関し、該プロセスは(ii) 本発明の水中水型ポリマー分散物を水性セルロース懸濁液に加えるステップを含む。好ましくは、該プロセスは、(i) さらなるアニオン性ポリマー性分散剤をセルロース懸濁液に加えるステップをさらに含み、ステップ(i)は好ましくはステップ(ii)の前に実施される。
好ましくは、本発明の方法は閉鎖水循環路を有する製紙機械において実施される。驚くべきことに、本発明の水中水型ポリマー分散物の高い耐塩性は、機械のプロセス水がリサイクルされる際に、たとえば経済的および/または生態学的理由によって特に有利であることが見出された。したがって、リサイクルされた水が既にある程度の塩を含む場合には、これは直ちには水中水型ポリマー分散物からのポリマーの沈殿を引き起こさない。水中水型ポリマー分散物の塩容量は充分に高く、それゆえプロセス水は本発明の水中水型ポリマー分散物の性能を大きく悪化させることなく繰り返しリサイクルすることができる。
好ましくは、製紙のためのプロセスは、セルロース懸濁液を形成するステップ、懸濁液を凝集させるステップ、場合により懸濁液に機械的剪断を加えるステップおよび場合により懸濁液を再凝集させるステップ、懸濁液をスクリーン上で排水してシートを形成するステップ、次いでシートを乾燥させるステップを含み、懸濁液は本発明の水中水型ポリマー分散物を導入することによって凝集および/または再凝集される。
驚くべきことに、本発明の水中水型ポリマー分散物は、特に剪断条件下における保持の改善に関連して性能を改善させ、しかも良好な排水および形成性能を維持することが見出された。水中水型ポリマー分散物は、セルロース繊維およびセルロース製紙ストック中の他の成分をより効率的に凝集させ、それにより保持を改善する。
本発明の製紙プロセスにおいて、水中水型ポリマー分散物は、製紙プロセスにおける唯一の処理剤として製紙ストックに添加してよいが、好ましくは水中水型ポリマー分散物は、その中でセルロース懸濁液が凝集され、次いで再凝集される多成分凝集系の一部として添加してもよい。
本発明の1つの態様においては、セルロース懸濁液は水中水型ポリマー分散物(凝集剤)によって凝集され、次いでセルロース懸濁液は水中水型ポリマー分散物(再凝集剤)のさらなる添加またはその代わりに別の凝集材料(再凝集剤)によって再凝集される。場合により、生成した凝集物はたとえば機械的剪断を加えることによって、再凝集される前に分解する。これはたとえば凝集したセルロース懸濁液をセントリスクリーンまたはファンポンプ等の1つまたは複数の剪断ステージに通すことであってよい。
本発明の代替形態においては、セルロース懸濁液は凝集材料(凝集剤)を導入することによって凝集され、セルロース懸濁液は水中水型ポリマー分散物(再凝集剤)を導入することによって再凝集される。場合により凝集物は再凝集の前に分解される。
セルロース懸濁液は任意の適切な添加点において凝集剤を懸濁液に導入することによって凝集され得る。これはたとえばポンピングステージの1つの前またはセントリスクリーンの前、またはセントリスクリーンの後であってもよい。次いでセルロース懸濁液は凝集された後の任意の適切な点において再凝集され得る。凝集剤と再凝集剤とは密接した近傍で、たとえば添加の間に何ら剪断ステージを置かずに添加してよい。好ましくは、凝集剤と再凝集剤の添加を隔てる少なくとも1つの剪断ステージ(好ましくは洗浄、ポンピングおよび混合ステージから選択される)がある。望ましくは、凝集剤が剪断ステージ、たとえばファンポンプまたはセントリスクリーンの前に添加される場合には、再凝集剤をその剪断ステージの後に添加してもよい。これは剪断ステージの直後、またはより普通にはさらに後であってもよい。したがって、凝集剤はファンポンプの前に添加してもよく、再凝集剤はセントリスクリーンの後に添加してもよい。
したがって、水中水型ポリマー分散物は、凝集剤としておよび/または再凝集剤として添加される。
望ましくは、水中水型ポリマー分散物は、固体含量に対して5〜5,000ppm、より好ましくは50〜2,500ppm、最も好ましくは200〜1,500ppmの用量でストックに添加してよい。
水中水型ポリマー分散物を製紙プロセスにおいて多成分凝集系の一部として用いる場合には、これは凝集剤および/または再凝集剤として添加され得る。本発明の1つの好ましい態様によれば、多成分凝集系は、水中水型ポリマー分散物および異なった凝集材料を含む。この凝集材料は、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマー性マイクロビーズ、粒状の未加熱多糖類および無機材料からなる群の任意のものであってよい。適切な凝集材料としてはケイ質材料、ミョウバン、アルミニウムクロロハイドレートおよび塩化ポリアルミニウム等の無機材料が含まれる。
凝集材料が水溶性ポリマーである場合には、これは任意の適切な水溶性ポリマー、たとえば非イオン性、カチオン性、アニオン性および両性のデンプンまたは他の多糖類等のバイオポリマーであってもよい。凝集材料は任意の適切なカチオン性、アニオン性、両性または非イオン性の合成水溶性ポリマーであってもよい。
凝集材料はアニオン性微粒子組成物の形態のケイ質材料であってよい。ケイ質材料としては、シリカ系粒子、コロイダルシリカ、シリカマイクロゲル、シリカゾル、シリカゲル、ポリシリケート、アルミノシリケート、ボロシリケート、ポリアルミノシリケート、ポリボロシリケート、ゼオライトおよび粘土が挙げられる。粘土は好ましくは膨潤性粘土であり、たとえばこれは典型的にはベントナイト型の粘土であってよい。好ましい粘土は水膨潤性であり、これには天然の水膨潤性粘土またはたとえばイオン交換によって水膨潤性に改変できる粘土が含まれる。適切な水膨潤性粘土には、これだけに限らないが、ヘクトライト、スメクタイト、モンモリロナイト、ノントロナイト、サポナイト、サウコナイト、ホルマイト、アタプルジャイトおよびセピオライトとしばしば称される粘土が挙げられる。
あるいは、凝集材料はポリシリケートおよびポリアルミノシリケートから選択されるコロイダルシリカである。これには表面積が1,000m2/gを超える多微粒子ポリケイ酸マイクロゲル、たとえば水溶性多微粒子ポリアルミノシリケートマイクロゲルまたはアルミネートポリケイ酸が含まれる。さらに、凝集材料はコロイダルケイ酸であってよい。
凝集材料はコロイダルボロシリケートであってもよい。コロイダルボロシリケートはアルカリ金属シリケートの希薄水溶液をカチオン交換樹脂と接触させてケイ酸を生成させ、次いでアルカリ金属ボレートの希薄水溶液をアルカリ金属水酸化物とともに混合することによってヒールを形成し、0.01〜30%のB2O3を含み、7〜10.5のpHを有する水溶液を形成することによって調製できる。
セルロースストック懸濁液は充填剤を含んでよい。充填剤は従来用いられた充填材料の任意のものであってよい。たとえば、充填剤はカオリン等の粘土であってよく、または充填剤は磨砕した炭酸カルシウムもしくは特に沈降炭酸カルシウムであってよい炭酸カルシウムであってよく、または充填材料として二酸化チタンを用いることが好ましいこともある。他の充填材料の例としては合成ポリマー充填剤も挙げられる。製紙ストックは任意の適切な量の充填剤を含んでよい。一般的には、セルロース懸濁液は少なくとも5重量%の充填材料を含む。典型的には充填剤の量は40%以上まで、好ましくは充填剤10%〜40%となる。
水中水型ポリマー分散物と組み合わせて用いられる凝集材料は、水溶性エチレン性不飽和モノマーまたはモノマーブレンドから形成されたアニオン性、非イオン性、カチオン性または両性の分枝状水溶性ポリマーであってもよい。たとえば、分枝状水溶性ポリマーはa) 1.5dl/g超の固有粘度および/または約2.0mPa.s超の生理食塩液Brookfield粘度を示すものでよい。
あるいは、水中水型ポリマー分散物と組み合わせて用いられる凝集材料には、架橋アニオン性または両性ポリマー性微粒子が含まれる。
特に好ましいプロセスにおいては、凝集剤として水中水型ポリマー分散物および次いで再凝集剤としてアニオン性凝集材料を含む多成分凝集系が用いられる。アニオン性凝集材料としては、微粒子シリカ、ポリシリケート等のケイ質材料、アニオン性ポリマー性マイクロビーズおよび直鎖状および分枝状水溶性ポリマーの両方等の水溶性アニオン性ポリマーが挙げられる。
製紙のためのプロセスの特に好ましい実施形態においては、好ましくは水中水型ポリマー分散物が導入される前に、さらなるアニオン性ポリマー性分散剤がセルロース懸濁液に添加される。即ち前記さらなるアニオン性ポリマー性分散剤の供給ポイントは、製紙機において好ましくは水中水型ポリマー分散物の供給ポイントよりも「上流」に位置する。さらなるアニオン性ポリマー性分散剤の供給ポイントは、たとえばポンピングステージの1つの前、またはセントリスクリーンの前であってよい。さらなるアニオン性ポリマー性分散剤と水中水型ポリマー分散物とは密接した近傍で、たとえば添加の間に何ら剪断ステージなしに添加してよい。
前記さらなる分散剤は、水中水型ポリマー分散物中に存在し、その存在下でin situ重合反応が実施されるアニオン性ポリマー性分散剤と、構造および/または分子量分布が同様であってよい。しかし好ましくは、前記さらなるアニオン性ポリマー性分散剤は、水中水型ポリマー分散物中に存在するアニオン性ポリマー性分散剤とは異なる。水中水型ポリマー分散物と組み合わせた上述のアニオン性ポリマー性分散剤の好ましい実施形態は、製紙のためのプロセスにおいて好ましくは付加的に用いられる前記さらなるアニオン性ポリマー性分散剤にも適用される。
好ましくは、さらなるアニオン性ポリマー性分散剤は、
- 30〜100wt%の(アルク)アクリルアミドアルキルトリアルキルアンモニウムハライド、(アルク)アクリロイルオキシアルキルトリアルキルアンモニウムハライド、アルケニルトリアルキルアンモニウムハライドおよび/またはジアルケニルジアルキルアンモニウムハライド、および0〜70wt%の非イオン性コモノマー、または
- エピクロロヒドリンおよびジアルキルアミンのコポリマー
から誘導(合成)される。
驚くべきことに、二重凝集系において凝集剤として本発明の水中水型ポリマー分散物を用いる場合には、優れた保持および排水性能を、それぞれ良好な形成と組み合わせることができることが見出された。
通常、保持/排水性能と形成性能とは相互に拮抗するが、驚くべきことに、本発明の水中水型ポリマー分散物の特性は両方に関して有利である。水中水型ポリマー分散物は顕著に改善された灰分保持を示すが、これは保持および排水性能のよく確立された尺度である。
以下の実施例によって本発明をさらに説明するが、実施例は本発明の範囲を限定するとみなすべきではない。
アニオン性分散剤ポリマーの調製
最初に、350gの水と236gのアクリル酸を2Lの容器に秤量して入れた。アクリル酸溶液を77gの水酸化カリウム(45wt%)でpH3.7まで前中和した。次いでモノマー溶液を撹拌しながら30分間窒素でパージ(spark)した。続いて、水溶液を19℃に冷却し、ペルオキソ二硫酸ナトリウムと過酸化水素との酸化還元開始剤系をメルカプトエタノールとともに溶液に加えた。tmaxに到達した後、残留モノマーを費消するためにV-50の追加部分を生成物に加えた。ここで生成物を90℃で2時間撹拌した。その後、最終水性生成物を<50℃に冷却し、水酸化カリウム(45wt%)でpH7.0まで中和した。
アニオン性水性分散物の調製
最初に、272gのアクリルアミド(50wt%)、0.5gのVersenex 80、27gのアクリル酸、445gの水、30gの水酸化ナトリウム(50wt%)、116gのアニオン性分散剤ポリマーおよび種々の量の架橋剤(1wt%溶液として)を、いかり型撹拌器、温度計およびトルク表示装置を取り付けた2Lのガラス反応容器に入れ、撹拌により均一化した。次いでモノマー溶液を200rpmで撹拌しながら30分間窒素でパージ(spark)した。続いて水溶液を40℃まで加熱し、開始剤系を容器に入れた。tmaxに到達した後、モノマー含量を低減させるために撹拌しながら4gのVA-044(10wt%)を加えた。数分後に撹拌しながら92gのアニオン性分散剤ポリマーを加え、最終生成物を30℃に冷却した。
実験室紙料における結果
実験1
方法:
紙料の種類:100%再生紙、3000ppmリグノスルホネート、充填剤としてGCCを添加
BTG Mutek GmbHから入手したDFR 04を用いて実験室試験を実施した。1000mLの0.5%紙料を800rpmで5秒間混合し、この時ポリマーを加え、紙料に1000rpmで追加の10秒間剪断を加えた。アニオン性生成物を加え、500rpmで10秒間混合を続け、装置の供給業者に従って保持を実施した。
図1および図2に、未処理紙料(400ppmの標準カチオン性顆粒状ポリマーの添加後に添加)と比較した550℃における保持および灰分保持に対する有効な影響を示す。

Claims (14)

  1. (i) アニオン性ポリマー性分散剤および
    (ii)
    a) モノマーの全重量に対して少なくとも5wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー
    (式中
    R1は、水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
    R2およびR3は、互いに独立に、水素、C1〜C5アルキルまたはC1〜C5ヒドロキシアルキルを意味する)、
    b) 少なくとも5wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、
    c) モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数の架橋剤、および
    d) モノマーの全重量に対して0〜1.25wt%の1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル
    を含むモノマー組成物
    を含む水性反応混合物を遊離ラジカル重合反応に供して、得られる水中水型ポリマー分散物が架橋アニオン性コポリマーを含むようにするステップを含み、
    ラジカル重合の前および/または後に、前記水性反応混合物の全重量に対して0.1〜5.0wt%の量で水溶性塩が添加され、
    前記水溶性塩が、少なくとも10gl-1の、常温における純水への溶解度を有し、かつ、有機カルボン酸の、アンモニウム塩、アルカリ金属塩、またはアルカリ土類金属塩からなる群から選択される、
    水中水型ポリマー分散物を製造するための方法。
  2. 前記水性反応混合物が常温で純水に10gl-1未満の溶解度を有するモノマーを全く含まない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記架橋剤が2、3、4または5個のエチレン性不飽和基を含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記一般式(I)の非イオン性モノマーが、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-エチル(メタ)アクリルアミドおよびN-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ラジカル重合性アニオン性モノマーが、
    a) オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物ならびにそれらの水溶性塩、
    b) オレフィン性不飽和スルホン酸およびそれらの水溶性塩、
    c) オレフィン性不飽和ホスホン酸およびそれらの水溶性塩、ならびに
    d) スルホメチル化および/またはホスホノメチル化アクリルアミドおよびそれらの水溶性塩
    からなる群から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記アニオン性ポリマー性分散剤が、多くとも2.0×106g/molの重量平均分子量Mwを有する水溶性ポリマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記アニオン性ポリマー性分散剤が、
    a) オレフィン性不飽和カルボン酸およびカルボン酸無水物ならびにそれらの水溶性塩、
    b) オレフィン性不飽和スルホン酸およびそれらの水溶性塩、
    c) オレフィン性不飽和ホスホン酸およびそれらの水溶性塩、ならびに
    d) スルホメチル化および/またはホスホノメチル化アクリルアミドおよびそれらの水溶性塩
    からなる群から選択される少なくとも1つのアニオン性モノマーから誘導されるアニオン性ポリマーである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 少なくとも1つの前記アニオン性モノマーが前記ラジカル重合性アニオン性モノマーと異なる、請求項7に記載の方法。
  9. ラジカル重合の前に、前記水性反応混合物の全重量に対して0.1〜5.0wt%の量で前記水溶性塩が添加される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
  10. (i) アニオン性ポリマー性分散剤および
    (ii)
    a) モノマーの全重量に対して少なくとも5wt%の一般式(I)の非イオン性モノマー
    (式中、
    R1は、水素またはC1〜C3アルキルを意味し、
    R2およびR3は、互いに独立に、水素、C1〜C5アルキルまたはC1〜C5ヒドロキシアルキルを意味する)、
    b) 少なくとも5wt%のラジカル重合性アニオン性モノマー、
    c) モノマーの全重量に対して0.0001〜1.25wt%の1つまたは複数のエチレン性不飽和架橋剤、および
    d) モノマーの全重量に対して0〜1.25wt%の1つまたは複数の疎水性(メタ)アクリル酸C4〜18アルキルエステル
    を含むモノマー組成物から誘導される架橋アニオン性コポリマー
    を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法によって得られる水中水型ポリマー分散物。
  11. 前記分散物の全重量に対して40±20wt%のポリマー含量を有する、請求項10に記載の分散物。
  12. 前記分散物の全重量に対して0.5〜5.0wt%の少なくとも1つの酸および/または0.5〜5.0wt%の少なくとも1つの塩を含み、酸および塩の全含量は最大5.0wt%に達する、請求項10または11に記載の分散物。
  13. 前記架橋アニオン性コポリマーと前記アニオン性ポリマー性分散剤との相対重量比が1:1より大きい、請求項10または11に記載の分散物。
  14. - 固体の沈降、浮遊または濾過における凝集剤としての、
    - 増粘剤としての、
    - 汚染物質制御としての、
    - 乾燥強度助剤としての、または
    - 製紙における保持剤もしくは排水助剤としての、
    請求項10から13のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散物の使用。
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