JP5648774B2 - 作用力差測定方法及び作用力差測定装置並びに作用力差測定プログラム - Google Patents

作用力差測定方法及び作用力差測定装置並びに作用力差測定プログラム Download PDF

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Description

本発明は、たとえば二つの被試験物を作動させるときに生ずる力の変化を計測し、作用 力差や抵抗力差を評価する作用力測定方法及び作用力測定装置並びに作用力差測定プログラムに関する。
たとえば船舶の海水と船体の塗装表面の間で生じる海水摩擦抵抗を低減する船舶用塗料の研究にあたっては、一般塗料との差が僅少であるため、通常の計測方法では誤差に埋もれてしまい、計測が困難で優劣がはっきりとしなかった。
一方、特許の分野においては、例えば、特許文献1に示すような技術的思想が開示されている。特許文献1は、ファイバーブラッググレーディング(FBG)の波長選択性を利 用した歪み測定手法を用いて、流体の流れによる物体が受ける摩擦抵抗、圧力抵抗、さら には揚力等を測定する流体抵抗測定装置に関するものである。しかしながら、この技術思想によっては、個々の計測平板を個々にセッティングして、個々の計測平板に働く流体抵 抗を測定し、また個々の検出温度によって測定結果を補正している従来の計測方法である ため、上記の計測困難性を解決するには遠い。
特開2004−212135号公報
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するもので、作動させた時の作用力の差が僅少の被試験物を二つ使い、例えば、水中における塗膜の種類による摩擦抵抗の差や相違する表面状態の摩擦抵抗の差等を、微小な差として正しく評価できる作用力差測定方法及び作用力差測定装置並びに作用力差測定プログラムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために、本願発明では、二つの被試験物を同時に同一条件で作動させ、例えば平行に設置した2枚の試験用平板の抵抗と試験平板間のモーメントを計測することで、精度良く抵抗の差を計測する等、作用力差を評価して実現する
本発明の請求項に対応した作用力差測定方法は、二つの被試験物を、該二つの被試験物を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構を介して同時に同一条件で駆動し、前記二つの被試験物により生ずるモーメント及び/または抵抗力を含む変化を、前記係止機構を介してモーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段で計測し、計測した前記モーメント及び/または抵抗力に基づき少なくとも抵抗力差を評価したことを特徴とする。
また、本発明の請求項に対応した作用力差測定方法は、前記二つの被試験物を同時に同一条件で駆動したときに、駆動によって差の生じる他の物理量も同時に計測したことを特徴とする請求項記載の作用力差測定方法として構成するものである。
さらに、本発明の請求項に対応した作用力差測定方装置は、二つの被試験物を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構と、該係止機構に作用するモーメント及び/または抵抗力を計測するモーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段と、少なくとも前記係止機構を介して前記二つの被試験物を駆動する駆動手段と、該駆動手段による前記二つの被試験物の駆動時に前記モーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段でモーメント及び/または抵抗力計測を行ったことを特徴とする。
また、本発明の請求項に対応した作用力差測定方装置は、前記二つの被試験物を同時に同一条件で駆動したときに、駆動によって差の生じる他の物理量も同時に計測する関連物理量検出手段を更に設けたことを特徴とする請求項記載の作用力差測定装置として構成するものである。
また、本発明の請求項に対応した作用力差測定方装置は、前記二つの被試験物は水中で駆動され、前記モーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段は、前記二つの被試験物に作用する流体抵抗の差をモーメント及び/または抵抗力として検出したことを特徴とする請求項記載の作用力差測定装置として構成するものである。
また、本発明の請求項6に対応した作用力差測定方装置は、水中に臨む二つの平板を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構と、該係止機構に変位に応じた応力を付与するばね手段と、前記止機構に作用するモーメント及び/または抵抗力を計測するモーメント計測用検力計及び/または検力計と、少なくとも前記係止機構を介して前記二つの平板を駆動する駆動手段と、該駆動手段による前記二つの平板の駆動時に前記モーメント計測用検力計及び/または検力計でモーメント計測及び/または抵抗力計測を行ったことを特徴とする。
本発明の請求項に対応した作用力差測定プログラムは、コンピータを、
二つの被試験物を、該二つの被試験物を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構を介して同時に同一条件で駆動し、前記二つの被試験物により生ずるモーメント及び/または抵抗力を含む変化の前記係止機構を介したモーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段による計測を指示する計測指示手段と、前記二つの被試験物の駆動時に前記二つの被試験物により生ずる前記モーメント及び/または抵抗力の前記モーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段による計測結果を取込むデータ取込み手段と、該データ取込み手段で複数回取込んだ前記計測結果のデータを処理するデータ処理手段と、このデータ処理手段の処理結果から前記二つの被試験物の抵抗力の差を算出する抵抗力差算出手段と、該抵抗力差算出手段及び/または前記データ処理手段の結果を出力する出力手段として機能させるための作用力差測定プログラムと、として構成するものである。
上記のように構成されることで、二つの被試験物を同時に同一条件で作動させることにより、個別に評価する場合に比べて誤差要因が非常に少なくなる。
例えば、水中に臨む平板を駆動したときに作用する抵抗力を計測するに当たって、曳航水槽では、残流、レール高さ、水温の分布、静振等が誤差の要因となる。そこで、試験対象となる2枚の平板を同時に試験することで、誤差要因がかなり緩和されることとなる。
より具体的には、一般塗料と摩擦抵抗低減塗料を塗った2枚の平板をばねで支持して吊り下げ、同時に同じ条件下で水槽内を移動させる。摩擦抵抗として生じる抵抗力の差が、2枚の平板を係止されたアーム(トルクロッド)で拡大しモーメントとしてモーメント計測装置で計測を行う。このため、わずかな摩擦抵抗の差が容易にモーメントとして検出できる。
また、この考え方は水中の用途のみならず、風洞などの空気中、またタイヤの転がり抵抗などの路上など多くの抵抗を生じる用途は無論、プロペラの推進力の差や噴射口の噴射力の差、車輪の駆動力の差等、作用力差が僅少なあらゆる対象に対して、被測定物に対して使えるものと考えられる。
更に、モーメントや抵抗の計測と同時に、騒音とか温度とか駆動によって差を生じる他のあらゆる物理量も計測することまで拡げることが可能である。更に、摩擦抵抗の差を計測するとともに、各々の板の摩擦力も検出するように、すなわち作用力そのものを計測するようにしてもよい。また、摩擦抵抗の差の結果として表れる駆動中の2枚の平板の位置の変化を画像として捉え、少なくとも作用力差を評価してもよい。こうした技術的思想は、方法、装置、プログラムとして実現されることができる。
二つの被試験物を同時に同一条件で作動させることにより、タイミングや時間経過等による影響、試験に関係したあらゆる物理条件の違い等、試験条件の差が僅少にでき、従来は誤差に埋もれてしまって判別が付かなかった作用力の差が測定出来る。
また、二つの被試験物に生じるモーメント及び/または作用力を含む変化を計測し、少なくとも作用力差を評価しているため、例えば、平板をトルクロッドで結ぶことで、抵抗値の差をモーメントとして増幅して取り出すことができるため、小さな差を正確に計測することが可能である。また、作用力そのものを計測することにより、絶対値としての作用力差が評価できる。また、計測結果を通じて作用力差として評価することにより、直ちに二つの被試験物の違いが分かる。また、装置として実現することにより、計測の準備に時間がかからず、専門家でなくても容易に計測が可能となる。さらに、プログラムとして実現することにより、取り込んだデータを容易に処理することができ、結果を出力手段により容易に確認できる。
本発明の一実施形態として、水中での平板の摩擦抵抗(単に抵抗あるいは抵抗力ともいう)の差を計測する平行平板装置を例にとり、以下に説明する。
図1乃至図3は、平行平板装置を用いて、試験用平板の摩擦抵抗の差をモーメントとし て計測した例を示す。
験用平板100、110を取り付けた平行平板装置300は、曳航水槽10の曳航台車(図示せず)に設置される。曳航台車の走行に伴い、試験用平板は下部を水面20下に浸水しつつ進行し、このとき試験用平板100、110の摩擦抵抗の差から生じるモーメントを計測する。
枚の試験用平板100、110は、板バネ120、121、122、123 (図示せず )でブランコ式につり下げられた台130,131に固定され横方向の相対運動を拘束している。
また、板バネ120、121、122、123の上部は、下部架台140に取り付けられ ている。また、下部架台140は、上下トラバース150、151、152、153(図 示せず)を介し、上部架台160に取り付けられている。試験用平板100、110の固 定された台130,131(図3では省略)には、曳航ロッド170、171が取り付け られ、この曳航ロッド170、171は、ボールジョイント180,181を介してトル クロッド190に力を伝えている。そしてトルクロッド190は、下部架台140に固定 されたモーメント計測装置200のモーメント計測用検力計210にトルクを伝えている
の2枚の試験用平板100、110の抵抗の差を測る方法では、2枚の試験平板を結んだトルクロッド190にかかるモーメントをモーメント計測用検力計210により計測する。
枚の試験用平板100、110は、その大きさ、試験速度から考えられる、お互いの平板が発生する波、流れの相互干渉の影響を無視できる程度の間隔で設置する。
れぞれの試験用平板100、110には取り付け部付近に歪みゲージ(図示せず)を設置しており、横力を計測することができる。計測された横力を用いて、試験用平板100 、110の取り付け精度を検証できる。(もちろん横力が小さい方が良い。)また、横力を見ながらの試験用平板100、110のアライメント調整も可能である。
なお乱流流装置を試験用平板100、110に取り付けることで、乱流境界層での試験が可能となるまた、この場合、乱流促進を取り外せば、層流から乱流への遷移の影響の評価が可能となる
図4および図5は、平行平板装置300を用いて、試験用平板100、110の摩擦抵抗 の差を計測した例の概念を示す。
図1乃至図3に示す摩擦抵抗の差をモーメントとして計測した例と異なる点は、曳航ロッ ド175、176がボールジョイントに連結されずに直接、検力計215、216に連結 されている点である。
この、2枚の試験用平板100、110のそれぞれの抵抗を測る方法では、それぞれの試 験用平板100、110に対応する2台の検力計215、216で摩擦抵抗を計測し、摩 擦抵抗の差を求めている。
また、図6に平行平板装置300を用いて、試験用平板100、110による摩擦抵抗の 差としてのモーメントと摩擦抵抗そのものを同時に計測するモーメント・抵抗同時計測時 の概念を示す。
図1乃至図3あるいは図4および図5と異なる点は、モーメント計測用検力計210と検 力計217、218の双方を有している点、検力計217、218が曳航ロッド177、 178の付け根に設けられている関係で、ボールジョイント180、181とも連結され る曳航ロッド177、178の形状が異なる点である。
例えば、一般塗料と摩擦抵抗低減塗料を塗った2枚の試験用平板100、110を同時に 同じ条件下で曳航水槽10内を移動させ、摩擦抵抗として生じる抵抗を直接、あるいは摩 擦抵抗の差がトルクロッド190で拡大しモーメントとして計測できる。このため、わず かな摩擦抵抗の差が容易にモーメントとして検出できる。
水中に臨む試験用平板100、110を駆動したときに作用するモーメントや摩擦抵抗を 計測するに当たって、曳航水槽10では、残流、レール高さ、水温の分布、静振等が誤差 の要因となるが、試験対象となる2枚の試験用平板100、110を同時に試験すること で、誤差要因がかなり緩和されることとなる。

本技術思想は各種の作用力差の測定に応用できるものであるが、抵抗差の計測に応用した応用例を下記に示す。
・水着素材の評価
・乱流促進装置の評価
・平板以外への利用(船舶模型、水着を着せた人体模型)
・回流水槽での利用(船舶模型、水着を着せた人体模型)
・風洞での利用(翼型、航空機、自動車、自転車、鉄道車両)
・牽引(実海域、水中、空中)
・タイヤの転がり抵抗の試験
・軸受けの転がり抵抗の試験
また、駆動によって差の生じる他の物理量の同時計測例を以下に示す。
・流体中物体の揚力の測定

流体中物体の流線の計測

流体中物体の振動の計測

・流体中物体のタフトやトレーサーによる画像撮影

・タイヤの走行音の計測

パンタグラフの風切り音の計測
すなわち、被試験物としての物体が、周囲条件としての各種物質、材料の液相、気相中、あるいは固相上を運動することにより、これらの各相から受けるあらゆる抵抗とその差、また同時にそれに伴う物理量変化が測定でき、評価できるものでる。
また、本技術思想は、抵抗差としての応用だけでなく、広く作用力の差といった概念にまで、拡大できるものであり、その例としては下記に示すような応用例が挙げられる。
・プロペラ、スクリューの推進力
・ノズルの噴射力
・車輪の駆動力
・ブレーキの制動力
・材料の摩擦力
・物体の運動に伴う磁力
すなわち、二つの被試験物を作動させた場合に変化を生じる作用力差の各種評価に展開できるものである。
次に、本実施形態における平行平板装置を用いた高精度塗膜摩擦計測法の開発での計測例 について、図7乃至図11を用いて説明する。なお、この実施例における高精度摩擦抵抗 計測装置は、前述のモーメント・抵抗同時計測用の平行平板装置に相当するものである。1.はじめに
航行する船舶の全抵抗に対する海水と船体表面の摩擦抵抗の割合は50〜80%程度を占める。そのため、海水と船体の塗装表面の間で生じる摩擦抵抗を低減することは、船舶の推進抵抗を低減し省エネルギーを達成する有力な手段である。そこで海上技術安全研究所では、現存の舶用塗料と比較して、水流に対する摩擦抵抗を低減させることが可能な塗料を開発するため、「海水摩擦抵抗を低減する船舶用塗料の基礎技術の研究開発」を行っている。
このような塗料の開発及び評価を行うためには、外部流れにおいて1%程度の摩擦抵抗の差を評価したいが、従来の曳航水槽における水槽試験では、摩擦抵抗以外の抵抗成分の影響や、水槽内の外乱の影響などがあり、1%の摩擦抵抗の差を評価することは、極めて困難であった。そこで、2枚の平板を平行に曳航する方法を用いて、摩擦抵抗を精度良く評価できる計測法の開発を行うこととした。
2.計測法及び装置の概要
曳航水槽における抵抗計測では、造波抵抗や形状抵抗等、他の抵抗成分の影響や、水槽内の残流、静振、温度勾配の影響などが誤差要因となり、計測精度に大きな影響を与えている。そこで、同形状の2枚の平板を平行に並べて曳航し、その抵抗の差を計測することで、これら誤差要因の影響を極力排除し、被試験体の水との摩擦抵抗の差を精度良く評価できるような計測法を考案し、その計測装置として高精度摩擦抵抗計測装置を製作した。
高精度摩擦抵抗計測装置は、装置下部に平行につり下げられた2枚の平板の抵抗を同時に計測する装置である。平板は、前後の板バネを介してブランコ式につり下げられ、横方向の相対運動が拘束される。試験用平板は、厚さ10mm のアルミニウム板を用い、その前端、後端には、円弧翼断面形状の整流覆いをつけることで、造波抵抗成分及び圧力抵抗成分を小さくすることに努めた。前部の整流覆いにはスタッド式の乱流促進装置を取り付けている。左右の平板は、互いの流体力学的な干渉を避けるために、2m
の間隔で取り付けられている。各平板にかかる抵抗は、平板をつり下げる2枚の板バネの間に設置した検力計により計測する。また左右の平板をロッドで接続し、そこにかかるモーメントをモーメント計測用検力計により計測することで、両平板の抵抗の差をモーメントとして計測する機能を持たせている。この高精度摩擦抵抗計測装置の外観を図7に、要目を表1に示す。
3.検証試験
高精度摩擦抵抗計測法の検証試験を、海上技術安全研究所の第三船舶試験水槽において行った。検証試験では、乱流促進の効果の確認、左右の平板の抵抗の差の再現性の確認を行った。試験速度範囲は、0.5m/s〜4.5m/s で、0.5m/s 毎に速度を変更した。試験に用いた平板は、左右両方とも同一仕様のもので、表面をアルマイト加工した無塗装のアルミニウム板である。抵抗試験の期間は、深さ方向の水温の温度勾配が大きく、初日の実験開始時には、水深5cm
と70cm で3.6℃の温度差があった。曳航台車に設置した状態の高精度摩擦抵抗計測装置の外観図を図8に示す。
図9は、この実施例の計測結果を示す平板の全抵抗係数とシェーンヘル(Shoenherr)の式 による摩擦抵抗係数の比較図である。この図9は、平板の境界層が層流ではなく乱流とな っていることを示すための比較であり、縦軸は全抵抗係数、横軸はレイノルズ数を表し、 実線がシェーンヘルの式による摩擦抵抗係数を表し、点線が計測結果を表している。
平板の境界層が乱流境界層になってない場合は、特に低レイノルズ数域で抵抗係数がシェ ーンヘルの式から求められたものを下回るが、この結果は、シェーンヘルの式に係数をか けたものにほぼ一致しているので、乱流境界層の状態であると言える。すなわち、計測結果から平板上の境界層が乱流状態となっていることがわかる。
続いて左右平板の抵抗の差図10に示す。
この図10は、同形状のものを左右に取り付けて計測すると、ほとんど同じ抵抗であるこ とを示すための図であり、縦軸は左右平板の抵抗差の全抵抗の平均値との比、横軸は試験 速度を表す。特に、試験速度が1.0[m/s]越す範囲で、同形状のものを左右に取り付 けて計測すると、ほとんど同じ抵抗であることが分かる。
右平板の抵抗値の差
左右の平板と整流覆いは、同一仕様、同一形状であるので、本来であれば抵抗の差は無いはずであるが、平板及び整流覆いの製作及び組み立て精度、乱流促進装置の取り付け状態、平板の装置への取り付け精度等から生じた差と考えられる。4.0m/s で繰り返し試験を行った際の左右の平板の抵抗の差の左右の平板の全抵抗の平均との比の変化を図11に示す。
左右の平板と整流覆いは、同一仕様、同一形状であるので、本来であれば抵抗の差は無いはずであるが、平板及び整流覆いの製作及び組み立て精度、乱流促進装置の取り付け状態、平板の装置への取り付け精度等から生じた差と考えられる。4.0m/s で繰り返し試験を行った際の計測結果を図11示す。
要するに図11は、繰り返し試験をした場合の左右の抵抗の差の再現性を示す図であり、 縦軸は左右平板の抵抗差の全抵抗の平均値との比、横軸は試験の回を表す。9 回の繰り返し試験の結果、抵抗の差は、0.1%程度の範囲に分布しており、抵抗差は僅少で再現性の 高いことが分かる。
4.おわりに
平板を平行して曳航することで、塗装の種類など表面性状に起因する微小な抵抗差を評価可能にする高精度摩擦抵抗計測装置を製作しその検証試験を行った。その結果、温度勾配が大きく水槽内の条件はかなり悪かったにもかかわらず、左右平板の抵抗差の再現性は非常に高いことが確認できた。今後は、平板に塗装を施し、塗膜の性状による抵抗の差を評価していく予定である。
なお、これらの計測においては、パソコンを利用し、計測の指示を行い、モーメント測定用検力計また、検力計のデータを複数回取り込み、取り込んだデータを処理し、抵抗力と、抵抗力差を算出し、これを用途による選択に応じ、パソコンの画面に画面出力している。
一連の動作は、パソコンのプログラムとして構築されているが、各種端末上で操作を行い、情報処理機能を実現するプログラム、ソフトウェア、かかるソフトを実行可能形式にして記録媒体に搭載したもの、ROM(リード・オンリ・メモリ)、アルゴリズムを電子回路化したもの等を含んで実現され得る。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。
また、上述した実施例は、本発明に係る技術思想を具現化するための実施形態の一例を示したにすぎないものであり、他の実施形態でも本発明に係る技術思想を適用することが可能である。
本発明によれば、たとえば、一般塗料と摩擦抵抗低減塗料を塗った2枚の平板をばねで支持して吊り下げ、同時に同じ条件下で水槽内を移動させ。摩擦抵抗として生じる抵抗力の差が、2枚の平板を係止されたアーム(トルクロッド)で拡大しモーメントとしてモーメント計測装置で計測を行う。このため、わずかな摩擦抵抗の差が容易にモーメントとして検出できる。例えば、最近話題の競泳用水着の各社比較などにも応用できるものと考えられる。
また、この考え方は水中の用途のみならず、風洞などの空気中、またタイヤの転がり抵抗などの路上など多くの抵抗を生じる用途に使えるものと考えられる。したがって、船舶のみならず、物体が各種物質、材料の液相、気相中、あるいは固相上を運動することによる、これらの各相から受けるあらゆる抵抗とその差の計測に利用ができる。
さらに、抵抗や抵抗差としての応用だけでなく、物体の作動に伴う作用力、作用力の差の評価といった概念にまで、拡大できるものであり、各種産業上利用可能性が高い。
本発明の一実施形態における平行平板装置のモーメント計測時の側面図である。 本発明の一実施形態における平行平板装置のモーメント計測時の正面図である。 本発明の一実施形態における平行平板装置のモーメント計測時の概念を示す 上面図である。 本発明の一実施形態における平行平板装置の抵抗計測時の概念を示す側面図である。 本発明の一実施形態における平行平板装置の抵抗計測時の概念を示す上面図である。 本発明の一実施形態における平行平板装置のモーメント・抵抗同時計測時の 概念を示す上面図である。 本発明の一実施形態における実施例で用いた高精度摩擦抵抗計測装置の外観図である。 本発明の一実施形態における実施例で用いた高精度摩擦抵抗計測装置を曳航 台車に設置した外観図である。 本発明の一実施形態における実施例の計測結果を示す平板の全抵抗係数とシ ェーンヘル(Shoenherr)の式による摩擦抵抗係数の比較図である。 本発明の一実施形における実施例の計測結果としての左右平板の抵抗の差 を表す図である。 本発明の一実施形態における実施例の計測結果としての再現性を示す図である。

Claims (7)

  1. 二つの被試験物を、該二つの被試験物を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構を介して同時に同一条件で駆動し、前記二つの被試験物により生ずるモーメント及び/または抵抗力を含む変化を、前記係止機構を介してモーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段で計測し、計測した前記モーメント及び/または抵抗力に基づき少なくとも抵抗力差を評価したことを特徴とする作用力差測定方法。
  2. 前記二つの被試験物を同時に同一条件で駆動したときに、駆動によって差の生じる他の物理量も同時に計測したことを特徴とする請求項1記載の作用力差測定方法。
  3. 二つの被試験物を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構と、該係止機構に作用するモーメント及び/または抵抗力を計測するモーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段と、少なくとも前記係止機構を介して前記二つの被試験物を駆動する駆動手段と、該駆動手段による前記二つの被試験物の駆動時に前記モーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段でモーメント及び/または抵抗力計測を行ったことを特徴とする作用力差測定装置。
  4. 前記二つの被試験物を同時に同一条件で駆動したときに、駆動によって差の生じる他の物理量も同時に計測する関連物理量検出手段を更に設けたことを特徴とする請求項3記載の作用力差測定装置。
  5. 前記二つの被試験物は水中で駆動され、前記モーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段は、前記二つの被試験物に作用する流体抵抗の差をモーメント及び/または抵抗力として検出したことを特徴とする請求項3記載の作用力差測定装置。
  6. 水中に臨む二つの平板を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構と、該係止機構に変位に応じた応力を付与するばね手段と、前記止機構に作用するモーメント及び/または抵抗力を計測するモーメント計測用検力計及び/または検力計と、少なくとも前記係止機構を介して前記二つの平板を駆動する駆動手段と、該駆動手段による前記二つの平板の駆動時に前記モーメント計測用検力計及び/または検力計でモーメント計測及び/または抵抗力計測を行ったことを特徴とする作用力差測定装置。
  7. コンピュータを、
    二つの被試験物を、該二つの被試験物を係止するトルクロッドあるいは曳航ロッドを含む係止機構を介して同時に同一条件で駆動し、前記二つの被試験物により生ずるモーメント及び/または抵抗力を含む変化の前記係止機構を介したモーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段による計測を指示する計測指示手段と、前記二つの被試験物の駆動時に前記二つの被試験物により生ずる前記モーメント及び/または抵抗力の前記モーメント計測手段及び/または抵抗力計測手段による計測結果を取込むデータ取込み手段と、該データ取込み手段で複数回取込んだ前記計測結果のデータを処理するデータ処理手段と、このデータ処理手段の処理結果から前記二つの被試験物の抵抗力の差を算出する抵抗力差算出手段と、該抵抗力差算出手段及び/または前記データ処理手段の結果を出力する出力手段と、
    として機能させるための作用力差測定プログラム。
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