JP5647833B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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また、一般的な吸収性物品においては、排泄物の吸収後でも乾燥した肌触りが要求されるようになっており、そのための一つの解決手段として、トップシートと吸収体との間に中間シートを介在させることが知られている。中間シートとしては、嵩高い不織布等、種々の素材が提案されているが、トップシートと吸収体との間隔が広く確保され、吸収速度が顕著に向上するものとして、側壁に開孔を有する凹部が多数形成された穴開き三次元成形フィルムが知られている(特許文献1参照)。
そこで本発明の主たる課題は、トップシートと吸収体との間隔が広く確保され、吸収速度が顕著に向上するものでありながら、構造が簡素で、製造も容易である吸収性物品を提供することにある。
<請求項1記載の発明>
肌当接面をなす液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記トップシートと前記吸収体との間における少なくとも排泄口対向部に介在された中間シートと、を備えており、
前記中間シートは、排泄口対向部と、その前後方向両側に延在する前後部とを有しており、これら排泄口対向部及び前後部に、前記トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔が多数形成されており、
前記中間シートの前後部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が、前記中間シートの排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔より小さく、かつ厚みが前記中間シートの排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔より薄い、
ことを特徴とする吸収性物品。
本発明は、中間シートを単なる穴開きシートとするのではなく、中間シートにおける少なくとも排泄口対向部に、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔を多数形成したところに特徴を有するものであり、これにより、トップシート側に起立する起立縁部がトップシートを持上げ、その周囲にトップシートと中間シートとの隙間を形成することになるため、トップシートと吸収体との間隔が広く確保されるとともに、吸収速度が顕著に向上するものとなる。さらに、構造が簡素であり、中間シートの基材に、吸収体側からトップシート側へピンを刺し通す等の外力を加え、当該外力付加部分の中央を開孔しつつその周囲を外力の方向に導出する(換言すればバリが形成されるように開孔する)だけで製造できるため、製造も容易である。
また、このように、中間シートを排泄口対向部の前後方向両側に延在させ、その延在部(前後部)に、排泄口対向部と同様に、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔を多数形成させることにより、排泄口対向部及びその前後両側においてトップシートが浮き上がり、身体の股間及びその前後両側に続く窪みに対するフィット性が向上する。さらに、中間シートの前後部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔よりも開孔径を小さくしているため、厚みが薄くなり、トップシートは排泄口対向部においてその前後よりも浮き上がり、排泄口に対して良好にフィットする。しかも、中間シートの前後部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔より小さいため、当該開孔通じた排泄物の逆戻りが発生し難い。なお、開孔の厚みとはトップシート側に起立する起立縁部又は吸収体側に起立する起立縁部の最大厚みを意味する。
前記中間シートは樹脂フィルムであり、前記中間シートにおける少なくとも排泄口対向部に、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔と吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔とがそれぞれ多数形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
中間シートが樹脂フィルムであると、素材としては液保持し難いため好ましいが、排泄口対向部の開孔がトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔だけであると、開孔の周囲の隙間に導入された排泄物が吸収体側へ移動し難くなり、トップシートの表面に逆戻りするおそれがある。そこで、上述のように、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔だけでなく、吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔も形成するのは好ましい。これにより、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔の周囲の隙間に導入された排泄物は、吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔を通じて吸収体側へ容易に移動するため、トップシートの表面に逆戻りするおそれが少なくなるとともに、吸収量が多い場合でも吸収速度が低下し難くなる。なお、この形態でも、中間シートの基材に対して表裏両側からピンを刺し通す等の外力を加え、当該外力付加部分の中央を開孔しつつその周囲を外力の方向に導出する(換言すればバリが形成されるように開孔する)だけで製造できるため、製造容易性は損なわれない。
前記中間シートは、排泄口対向部と、その幅方向両側に延在する側部とを有しており、この側部に、吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔が多数形成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
排泄口対向部において、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔の周囲の隙間に導入された排泄物は吸収体側へ移動し難いため、寝返りを打った時や横臥時等、吸収性物品が横に傾いた時に、中間シート上に溜まった排泄物が中間シート上を横方向に移動した後、トップシートの表面に逆戻りし、所謂横漏れを発生させるおそれがある。そこで、上述のように、中間シートを排泄口対向部の幅方向両側まで延在させ、その延在部(側部)に吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔を形成するのは好ましい。これにより、中間シート上に溜まった排泄物が中間シート上を横方向に移動しても、中間シートの側部における吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔を通じて吸収体側へ容易に移動するため、トップシートの表面に逆戻りするおそれが少なくなる。なお、この形態でも、中間シートの基材に対して、中間シートの側部を排泄口体口部に向かって折り返した後、トップシート側から吸収体側へピンを刺し通す等の外力を加え、当該外力付加部分の中央を開孔しつつその周囲を外力の方向に導出し(換言すればバリが形成されるように開孔する)折り返したシートを開くだけで製造できるため、製造容易性は損なわれない。
前記排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.5〜2.0mm2、開孔数が10〜100個/cm2、かつ厚みが0.2〜1.0mmであり、
前記排泄口対向部における吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.01〜0.3mm2、開孔数が300〜500個/cm2、かつ厚みが0.02〜0.3mmであり、
前記側部における吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.01〜0.3mm2、開孔数が300〜500個/cm2、かつ厚みが0.02〜0.3mmであり、
前記前後部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.1〜1.5mm2、開孔数が50〜200個/cm2、かつ厚みが0.05〜0.75mmである、請求項3記載の吸収性物品。
本発明では、各部の開孔の寸法等はこのような範囲内にあるのが好ましい。なお、開孔の面積とは、開孔の直径が最小となる部分の面積を意味し、開孔数とは、各部の単位面積あたりの開孔の数を意味する。
<生理用ナプキンの基本構造の一例>
図1は本発明に係る生理用ナプキン1の展開図であり、図2は図1のII−II線矢視図、図3は図1のIII−III線矢視図、図4は図1の要部拡大図である。この生理用ナプキン1は、ポリエチレンシートなどからなる不透液性バックシート2と、肌当接面3Fをなし、経血やおりものなどを速やかに透過させるトップシート3と、これら両シート2,3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4,5と、トップシート3と吸収体4,5との間に、トップシート3の裏面に接するように配置された中間シート6と、吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも体液排出部を含むように前後方向に所定の区間内において表面側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSとから主に構成されている。吸収体4の周囲においては、その上下端縁部では不透液性バックシート2とトップシート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している不透液性バックシート2と、立体ギャザーBSを形成しているサイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、これら不透液性バックシート2とサイド不織布7とによる積層シート部分によって側方に突出するウイング状フラップW,Wが形成されているとともに、これよりも臀部側に位置する部分に第2ウイング状フラップWB,WBが形成されている。
特徴的には、図4に示すように、中間シート6における少なくとも排泄口対向部6Mに、縁部60eがトップシート3側に起立する起立縁部を有する開孔60が多数形成されている。このような中間シート6を用いることにより、図5に示すように、開孔60のトップシート側に起立する起立縁部60eがトップシート3を持上げ、その周囲にトップシート3と中間シート6との隙間を形成することになるため、トップシート3と吸収体4,5との間隔が広く確保されるとともに、吸収速度が顕著に向上するものとなる。
(排泄口対向部6Mにおけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔60)
・個々の開孔の面積:0.5〜2.0mm2
・開孔数:10〜100個/cm2
・厚み:0.2〜1.0mm
(排泄口対向部6Mにおける吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔62)
・個々の開孔の面積:0.01〜0.3mm2
・開孔数:300〜500個/cm2
・厚み:0.02〜0.3mm
(側部6Sにおける吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔63)
・個々の開孔の面積:0.01〜0.3mm2
・開孔数:300〜500個/cm2
・厚み:0.02〜0.3mm
(前後部6Eにおけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔61)
・個々の開孔の面積:0.1〜1.5mm2
・開孔数:50〜200個/cm2
・厚み:0.05〜0.75mm
Claims (4)
- 肌当接面をなす液透過性のトップシートと、液不透過性シートと、これらの間に介在された吸収体と、前記トップシートと前記吸収体との間における少なくとも排泄口対向部に介在された中間シートと、を備えており、
前記中間シートは、排泄口対向部と、その前後方向両側に延在する前後部とを有しており、これら排泄口対向部及び前後部に、前記トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔が多数形成されており、
前記中間シートの前後部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が、前記中間シートの排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔より小さく、かつ厚みが前記中間シートの排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔より薄い、
ことを特徴とする吸収性物品。 - 前記中間シートは樹脂フィルムであり、前記中間シートにおける少なくとも排泄口対向部に、トップシート側に起立する起立縁部を有する開孔と吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔とがそれぞれ多数形成されている、請求項1記載の吸収性物品。
- 前記中間シートは、排泄口対向部と、その幅方向両側に延在する側部とを有しており、この側部に、吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔が多数形成されている、請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記排泄口対向部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.5〜2.0mm2、開孔数が10〜100個/cm2、かつ厚みが0.2〜1.0mmであり、
前記排泄口対向部における吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.01〜0.3mm2、開孔数が300〜500個/cm2、かつ厚みが0.02〜0.3mmであり、
前記側部における吸収体側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.01〜0.3mm2、開孔数が300〜500個/cm2、かつ厚みが0.02〜0.3mmであり、
前記前後部におけるトップシート側に起立する起立縁部を有する開孔は、個々の開孔の面積が0.1〜1.5mm2、開孔数が50〜200個/cm2、かつ厚みが0.05〜0.75mmである、請求項3記載の吸収性物品。
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