以下に本発明のOTC−FX業務用の相対カバーシステムを含むOTC−FXシステムの一実施形態について図面を参照して説明する。図1には、本実施形態のOTC−FXシステム10の全体構成が示されている。図2には、OTC−FXシステム10のカバー先対象外種別記憶手段35Aの構成が示され、図3には、リジェクト情報記憶手段35Bの構成が示され、図4には、設定値記憶手段36の構成が示され、図5には、店内板記憶手段32の構成が示され、図6には、自己玉記憶手段34の構成が示され、図7には、注文データベース30の構成が示されている。また、図8には、OTC−FXシステム10を構成するFX業者システム20によるカバー先選定処理のうちのカバー先対象外条件の成否の判断処理の流れがフローチャートで示されている。
図1において、OTC−FXシステム10は、投資家(顧客)と相対でFX取引を行うFX業者が運用・管理するFX業者システム20と、このFX業者システム20と通信回線1で接続された投資家(顧客)の操作する投資家端末装置40と、FX業者システム20と通信回線2で接続されてFX業者とカバー取引を行う複数のマーケットメーカが運用・管理する複数のマーケットメーカシステム50とを備えて構成されている。また、FX業者システム20には、FX業者の担当者(ディーラやシステム担当者等)が操作するFX業者端末装置60が通信回線3を介して接続されている。
ここで、FX業者システム20と投資家端末装置40とを接続する通信回線1は、例えば、インターネット、イントラネット、社内LAN、公衆無線LAN、あるいはこれらの組合せ等により形成されるネットワークである。また、FX業者システム20とマーケットメーカシステム50とを接続する通信回線2は、専用線でもよく、ネットワークでもよい。さらに、FX業者システム20とFX業者端末装置60とを接続する通信回線3は、例えばイントラネットや社内LAN等の内部ネットワーク、あるいは直結の回線に限らず、インターネット等の外部ネットワークが含まれていてもよい。
FX業者システム20は、1台または複数台のコンピュータにより構成され、注文受付処理手段21と、店内板処理手段22と、約定通知処理手段23と、マーケットメーカ提示レート取得処理手段24と、投資家提示レート生成処理手段25と、リジェクト情報更新処理手段26と、カバー発生処理手段27と、注文データベース30と、レート記憶手段31と、店内板記憶手段32と、出来高データベース33と、自己玉記憶手段34と、カバー先選定条件記憶手段35と、設定値記憶手段36とを含んで構成されている。
注文受付処理手段21は、投資家端末装置40から通信回線1を介して送信されてくる投資家(顧客)によるFXの売買取引の注文データ(顧客ID(投資家ID)、通貨ペア、売買区分、値段(注文レート)、指値・逆指値の別(売りの場合は以上・以下、買いの場合は以下・以上)、取引数量、建て・埋めの別等)を受信し、受信した注文データの注文に対し、注文IDを自動付与し、受信した注文データを、注文IDと関連付けて注文データベース30(図7参照)に記憶させる処理を実行するものである。
また、注文受付処理手段21は、投資家端末装置40からの投資家(顧客)によるレート表示要求に応じ、レート記憶手段31に記憶されている各通貨ペアの投資家提示レートの表示用データを、通信回線1を介して投資家端末装置40へ送信する処理も実行する。
店内板処理手段22は、注文データベース30(図7参照)に記憶された未約定の注文データと、レート記憶手段31に記憶された各通貨ペアの投資家提示レート(FX業者から投資家への提示レート)を構成するask(例えば、通貨ペアが米ドル/円の場合には、FX業者による米ドル売・円買の投資家への提示レート)およびbit(例えば、通貨ペアが米ドル/円の場合には、FX業者による円売・米ドル買の投資家への提示レート)とを用いて、図5に示すようなFX店内板の構成データ(以下、「店内板」という。)を通貨ペア毎に算出計算し、同一の通貨ペアについて、投資家(顧客)による未約定の買い(例えば米ドル買い)の注文データと、FX業者による売値(例えば米ドル売りのask)とを比較するとともに、投資家(顧客)による未約定の売り(例えば米ドル売り)の注文データと、FX業者による買値(例えば米ドル買いのbit)とを比較することにより、投資家(顧客)によるFX注文を約定させ、約定させたFX注文に関する情報を、約定データ(注文ID、顧客ID、通貨ペア、売買区分、値段(約定レート)、約定数量、建て・埋めの別等)として約定通知処理手段23に送り、さらに、約定させた注文データについて注文データベース30(図7参照)に記憶されているステータスを、「未約定」から「約定」に更新するとともに、更新後の店内板を店内板記憶手段32(図5参照)に記憶させる処理を実行するものである。
約定通知処理手段23は、店内板処理手段22から受け取った約定データを、通信回線1を介して投資家端末装置40へ送信し、さらに、約定データの約定数量を用いて、出来高データベース33に記憶されている通貨ペア毎の出来高データ(出来高集計の最小時間単位は、例えば1分間等、任意である。)を更新する(約定数量を加算する)とともに、自己玉記憶手段34(図6参照)に記憶されている自己玉を更新する処理を実行するものである。
ここで、自己玉は、FX業者が保有するポジションであり、FX業者は投資家(顧客)との相対取引を行って投資家(顧客)とは逆の売買区分のポジションを保有することになるので、顧客による買い建て注文の約定に対しては、FX業者の売りポジションが増加し、顧客による売り建て注文の約定に対しては、FX業者の買いポジションが増加し、顧客による買い埋め注文の約定に対しては、FX業者の買いポジションが減少し、顧客による売り埋め注文の約定に対しては、FX業者の売りポジションが減少することになるが、本実施形態における自己玉の売買表記は、図6に示すように、投資家(顧客)の売買区分と同じものとする。つまり、図6に記載された「売」は、投資家(顧客)の売りを示すので、FX業者の買いポジションを意味し、図6に記載された「買」は、投資家(顧客)の買いを示すので、FX業者の売りポジションを意味する。
マーケットメーカ提示レート取得処理手段24は、複数のマーケットメーカ(図1の例では、マーケットメーカA,B,C,D)がそれぞれ提示するマーケットメーカ提示レート(売値および買値)を、それぞれのマーケットメーカシステム50(50A,50B,50C,50D)から通信回線2を介して取得する処理を実行するものである。
投資家提示レート生成処理手段25は、複数のマーケットメーカA,B,C,Dによる提示レートから投資家への提示レートを生成する処理を実行するものであり、コアレート生成処理手段25Aと、スプレッド付加レート生成処理手段25Bと、スキュー処理手段25Cとにより構成されている。
また、投資家提示レート生成処理手段25は、複数のマーケットメーカA,B,C,Dによる各マーケットメーカ提示レートを、マーケットメーカ識別情報と関連付けてレート記憶手段31に記憶させるとともに、生成したコアレート、スプレッド付加レート、および投資家提示レートも、レート記憶手段31に記憶させる処理を実行する。なお、レート記憶手段31には、最新のレートを記憶させるだけではなく、過去のレートも記憶させておく。
コアレート生成処理手段25Aは、マーケットメーカ提示レート取得処理手段24により取得した複数のマーケットメーカ提示レートから、FX業者にとって最も有利なレートを抽出することにより、コアレートを生成する処理を実行するものである。この際、各マーケットメーカからのマーケットメーカ提示レートは、いずれのマーケットメーカについても、間隔(例えば、0.05秒〜0.1秒等の短い時間間隔)を置いて繰り返し送信されてくるので(繰り返し送信されてくるレートには、それぞれレートIDが付されている。)、コアレート生成処理手段25Aは、いずれかのマーケットメーカから新たなマーケットメーカ提示レートが送信されてきた時点で、全てのマーケットメーカの全てのレートIDのマーケットメーカ提示レートを参照してコアレートを見直すとともに、各マーケットメーカからのマーケットメーカ提示レートには、有効期限(例えば、2秒間等)があるので、有効期限内のマーケットメーカ提示レートを用いてコアレートを生成する処理を行う。
例えば、通貨ペアを米ドル/円(USD/JPY)とした場合に、投資家提示レートのbit(投資家に提示するFX業者による米ドルの買値)を生成するためのレート側を<bit>と記載し、投資家提示レートのask(投資家に提示するFX業者による米ドルの売値)を生成するためのレート側を<ask>と記載するものとする。すなわち、<bit>では、投資家によるFX業者に対する米ドルの売値、投資家に提示するFX業者による米ドルの買値、FX業者によるマーケットメーカに対する米ドルの売値、FX業者に提示するマーケットメーカによる米ドルの買値を取り扱う。一方、<ask>では、投資家によるFX業者に対する米ドルの買値、投資家に提示するFX業者による米ドルの売値、FX業者によるマーケットメーカに対する米ドルの買値、FX業者に提示するマーケットメーカによる米ドルの売値を取り扱う。
そして、マーケットメーカAによるFX業者への提示レートについては、<bit>米ドルの買値(FX業者による米ドルの売値)が78.90円であり、<ask>米ドルの売値(FX業者による米ドルの買値)が78.93円であり、マーケットメーカBによるFX業者への提示レートについては、<bit>米ドルの買値(FX業者による米ドルの売値)が78.91円であり、<ask>米ドルの売値(FX業者による米ドルの買値)が78.94円であり、マーケットメーカCによるFX業者への提示レートについては、<bit>米ドルの買値(FX業者による米ドルの売値)が78.92円であり、<ask>米ドルの売値(FX業者による米ドルの買値)が78.95円であるとする。なお、マーケットメーカDからのレートの提示は、システムトラブル等により無いものとする。
この場合、<bit>では、FX業者にとって最も有利なレートは、FX業者が最も高く米ドルを売ることができるレート、すなわち最も高く米ドルを買ってくれるマーケットメーカの提示レートであるから、マーケットメーカCの提示レート=78.92円である。一方、<ask>では、FX業者にとって最も有利なレートは、FX業者が最も安く米ドルを買うことができるレート、すなわち最も安く米ドルを売ってくれるマーケットメーカの提示レートであるから、マーケットメーカAの提示レート=78.93円である。従って、コアレートは、<bit>78.92円、<ask>78.93円となる。
スプレッド付加レート生成処理手段25Bは、コアレート生成処理手段25Aにより生成したコアレートに、FX業者の利益分となるスプレッドを付加することにより、スプレッド付加レートを生成する処理を実行するものである。
例えば、上下1銭のスプレッドを付加するものとすると、上記の例については、<bit>では、コアレート=78.92円に対し、下方に1銭のスプレッドを付加することにより(つまり、コアレート=78.92円から1銭を減じることにより)、スプレッド付加レート=78.91円となる。よって、FX業者が、投資家(顧客)のFX注文について、1対1でマーケットメーカに対してカバー注文を発注するものと仮定し、かつ、投資家が1米ドル単位でFX注文可能と仮定すると、投資家が、1米ドルを78.91円で売り、FX業者が、その1米ドルを78.91円で買い、その後、FX業者が、マーケットメーカCに対し、その1米ドルを78.92円で売り、マーケットメーカCが、その1米ドルを78.92円で買うという計算が成立し、FX業者に1銭の利益が残ることになる。
一方、<ask>では、コアレート=78.93円に対し、上方に1銭のスプレッドを付加することにより(つまり、コアレート=78.93円に1銭を加えることにより)、スプレッド付加レート=78.94円となる。よって、FX業者が、投資家(顧客)のFX注文について、1対1でマーケットメーカに対してカバー注文を発注するものと仮定し、かつ、投資家が1米ドル単位でFX注文可能と仮定すると、投資家が、1米ドルを78.94円で買い、FX業者が、その1米ドルを78.94円で売り、その後、FX業者が、マーケットメーカAから、1米ドルを78.93円で買い、マーケットメーカAが、その1米ドルを78.93円で売るという計算が成立し、FX業者に1銭の利益が残ることになる。
スキュー処理手段25Cは、FX業者端末装置60からの通信回線3を介してのディーラによる指示に基づき、スプレッド付加レート生成処理手段25Bにより生成したスプレッド付加レートを、bitとaskとの値幅を保ちながら、上下にずらすこと(スキュー)により、投資家提示レートを生成する処理を実行するものである。スキューの量や方向は、ディーラの指示によるものである。また、スキューを行わない場合(レートを動かさないステイの場合)は、スプレッド付加レートが、そのまま投資家提示レートとなる。
例えば、スプレッド付加レートが、<bit>78.91円、<ask>78.94円であるときに、スキューを行って、<bit>78.92円、<ask>78.95円とする等である。
リジェクト情報更新処理手段26は、カバー発注処理手段27によりマーケットメーカにカバー注文を発注して拒否(リジェクト)されたか否かの結果を、カバー発注処理手段27から受け取り、その結果に従って、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)に記憶されているリジェクト回数および発注回数を更新するとともに、更新後のリジェクト回数を更新後の発注回数で除することにより更新後のリジェクト率を算出し、算出した更新後のリジェクト率をリジェクト情報記憶手段35Bに記憶させる処理を実行するものである。
より具体的には、リジェクト情報更新処理手段26は、カバー発注処理手段27から拒否(リジェクト)されたという結果を受け取った場合には、リジェクト回数および発注回数に、それぞれ1回ずつを加算し、拒否(リジェクト)されなかったという結果を受け取った場合には、リジェクト回数はそのままとし、発注回数に1回を加算する処理を実行する。
また、リジェクト情報更新処理手段26は、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)に記憶されているリジェクト回数および発注回数、並びにリジェクト率を、当日限りのデータとするため、翌営業日の取引開始時点までには、これらのデータをリセットする処理を実行する。従って、リジェクト率は、前営業日までにおける拒否されたか否かの結果は関係なく、当日の結果のみに基づき算出されているものであり、かつ、当日限りで用いられるリジェクト率である。
なお、リジェクト率は、必ずしもリジェクト情報記憶手段35B(図3参照)に記憶させておく必要はなく、リジェクト情報記憶手段35Bにリジェクト率を記憶させておかない場合には、カバー発注処理手段27によりリジェクト率に基づく判断を行う際に、カバー発注処理手段27が、リジェクト情報記憶手段35Bに記憶されているリジェクト回数および発注回数を用いてリジェクト率を算出すればよい。
カバー発注処理手段27は、レートの提示を受けている各マーケットメーカA,B,C,Dについて、カバー先(カバー注文の発注先)の選定対象から除外する要因種別を示すカバー先対象外種別(本実施形態では、一例として、相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時とする。)に応じた投資指標(相場、出来高)または投資関連情報(雇用統計発表の日時)を用いて予め定められた第1のカバー先対象外条件を満たしているか否かを判断し、この第1のカバー先対象外条件を満たしている場合には、当該マーケットメーカをカバー先から除外し、第1のカバー先対象外条件を満たしていない場合には、さらに、第1のカバー先対象外条件を満たしていないマーケットメーカについて、リジェクト率に基づく第2のカバー先対象外条件を満たしているか否かを判断し、この第2のカバー先対象外条件を満たしている場合には、当該マーケットメーカをカバー先から除外することにより、カバー先の選定対象となるマーケットメーカを絞り込み、カバー先の選定対象から除外されていないマーケットメーカの中から、通常はFX業者にとって最も有利なレートを提示しているマーケットメーカをカバー先として選定し、選定したマーケットメーカの運用・管理するマーケットメーカシステム50へ通信回線2を介してカバー注文の発注用データ(FX業者ID、通貨ペア、売買区分、値段(注文レート)、取引数量等を含む。)を送信する処理を実行するものである。
この際、FX業者にとって最も有利なレートを提示しているマーケットメーカとは、マーケットメーカに対して買いのカバー注文を発注する場合は、FX業者が最も安く買うことができる、すなわち最も安く売ってくれるマーケットメーカであり、マーケットメーカに対して売りのカバー注文を発注する場合は、FX業者が最も高く売ることができる、すなわち最も高く買ってくれるマーケットメーカであるが、注文数量的に分割発注が必要な場合等は、2番目以降に有利なレートを提示しているマーケットメーカでもよい。
また、カバー注文を発注するタイミングや取引数量は、自己玉記憶手段34(図6参照)に記憶されている自己玉の状況や、注文データベース30(図7参照)に記憶されている投資家(顧客)の注文状況等を用いて、システムにより自動的に決定される構成としてもよく、あるいはFX業者端末装置60からの通信回線3を介してのディーラによる指示に基づき決定される構成としてもよく、双方を併用する構成としてもよい。さらに、第1、第2のカバー先対象外条件を用いてカバー先から除外されたマーケットメーカ以外のマーケットメーカの中から、実際にカバー先とするマーケットメーカを選定する作業も、有利なレートを提示するマーケットメーカを自動的に選定するようにしてもよく、あるいはFX業者端末装置60からの通信回線3を介してのディーラによる指示に基づき選定するようにしてもよく、後者のように選定作業を自動化しない場合には、ディーラに対し、第1、第2のカバー先対象外条件を満たすマーケットメーカを除外した状態で、カバー先の選定対象となるマーケットメーカを表示することができればよい。要するに、本発明は、第1、第2のカバー先対象外条件を満たすマーケットメーカをカバー先の選定対象から除外する処理が自動化されていればよい。
より具体的には、カバー発注処理手段27は、第1のカバー先対象外条件を満たしているか否かを判断する際には、判断対象のマーケットメーカについてのマーケットメーカ識別情報を用いて、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)にカバー先対象外種別識別情報が記憶されているマーケットメーカであるか否かを判断し、カバー先対象外種別識別情報が記憶されていなければ、当該マーケットメーカは、第1のカバー先対象外条件を満たさないと判断し、カバー先対象外種別識別情報が記憶されていれば、そのカバー先対象外種別識別情報(相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時(1))のカバー先対象外種別に応じて、設定値記憶手段36(図4参照)から、第1のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理に必要な設定値を取得し、取得した設定値を用いて、第1のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を実行する。なお、設定値記憶手段36(図4参照)に記憶されている設定値は、プログラム内に記述しておいてもよく、この場合には、設定値記憶手段36の設置を省略することができる。
そして、カバー発注処理手段27は、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報として、相場急変時が記憶されている場合には、そのカバー先対象外種別識別情報に関連付けられたマーケットメーカ識別情報のマーケットメーカについては、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、相場急変時の乖離幅=50pt以上という設定値を取得し、次に、レート記憶手段31に記憶されているレートを用いて、当該マーケットメーカから提示されるマーケットメーカ提示レートの提示間隔前後の乖離幅、各マーケットメーカA,B,C,Dから提示されるマーケットメーカ提示レートのうち最もFX業者に有利なレートで生成されるコアレートの生成間隔前後若しくは投資家提示レートの提示間隔前後の乖離幅、各マーケットメーカA,B,C,Dから提示されるマーケットメーカ提示レートの平均値の算出間隔前後の乖離幅、または各マーケットメーカA,B,C,Dのうちのいずれかのマーケットメーカから提示されるマーケットメーカ提示レートの提示間隔前後の乖離幅(各マーケットメーカA,B,C,Dから提示されるマーケットメーカ提示レートの提示間隔前後の乖離幅を、マーケットメーカ毎に個別に算出し、それらのうちのいずれかのマーケットメーカの乖離幅という意味である。)が、予め定められた閾値以上または超過の場合(本実施形態では、一例として、50pt以上の場合)に該当するか否かを判断し、該当する場合には、当該マーケットメーカをカバー先から除外する処理を実行する。なお、「pt」という単位は、1銭である。また、コアレート、投資家提示レート、マーケットメーカ提示レートは、いずれもaskレートおよびbitレートにより構成されるが、これらのコアレート、投資家提示レート、マーケットメーカ提示レートの変動を捉える際(前後の値の乖離幅を算出する際)には、例えば、askレートとbitレートとの中央値(平均値)の乖離幅を算出してもよく、あるいはaskレートの乖離幅だけを算出してもよく、bitレートの乖離幅だけを算出してもよく、さらには、askレートとbitレートとの中央値(平均値)の乖離幅、askレートの乖離幅、bitレートの乖離幅を全て算出し、いずれかの乖離幅が、予め定められた閾値以上または超過の場合に該当するか否かを判断してもよい。
また、カバー発注処理手段27は、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報として、出来高急増時が記憶されている場合には、そのカバー先対象外種別識別情報に関連付けられたマーケットメーカ識別情報のマーケットメーカについては、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、出来高急増時の増加率=50%以上という設定値を取得し、次に、出来高データベース33から、カバー取引を行う通貨ペアについての最新の出来高(例えば、1分間隔の集計であれば、ここ1分以内の出来高)を取得するとともに、直近の予め定められた時間内(例えば1時間内)の出来高の平均値(例えば、1分間隔の集計であれば、ここ1時間内における毎分の出来高の平均値)を算出して、これらを比較し、出来高の増加率が、予め定められた増加率以上または超過の場合(本実施形態では、一例として、50%以上の場合)に該当するか否かを判断し、該当する場合には、当該マーケットメーカをカバー先から除外する処理を実行する。
さらに、カバー発注処理手段27は、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報として、雇用統計発表時(1)が記憶されている場合には、そのカバー先対象外種別識別情報に関連付けられたマーケットメーカ識別情報のマーケットメーカについては、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、雇用統計発表時(1)の前後の時間帯=第1金曜日の21:25〜22:00という設定値を取得し、次に、判断時点が、予め定められた雇用統計発表の前後の時間帯(本実施形態では、一例として、第1金曜日の21:25〜22:00)に該当するか否かを判断し、該当する場合には、当該マーケットメーカをカバー先から除外する処理を実行する。なお、雇用統計発表時(1)における「(1)」というのは、例えば、米国であれば、第1金曜日の午後21:30頃ということを示すものであり、様々な国や地域の雇用統計発表があることを考慮したものである。
また、カバー発注処理手段27は、第2のカバー先対象外条件を満たしているか否かを判断する際には、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、リジェクト率の閾値=20%超過という設定値を取得し、次に、判断対象のマーケットメーカについてのマーケットメーカ識別情報を用いて、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)に記憶された発注回数を取得し、取得した発注回数が、予め定められた回数以上または超過の場合(本実施形態では、一例として、10回以上の場合とする。この10回以上という設定値は、プログラム内に記述しておいてもよく、設定値記憶手段36に記憶しておいてもよい。)には、リジェクト情報記憶手段35Bに記憶されたリジェクト率を取得し、取得したリジェクト率が、予め定められた閾値以上または超過の場合(本実施形態では、一例として、20%超過の場合)に該当するか否かを判断し、該当する場合には、当該マーケットメーカは、第2のカバー先対象外条件を満たすと判断し、当該マーケットメーカを、カバー注文の発注先とするマーケットメーカの選定対象から除外する処理を実行し、一方、該当しない場合には、当該マーケットメーカは、第2のカバー先対象外条件を満たさないと判断し、当該マーケットメーカを、カバー注文の発注先とするマーケットメーカの選定対象に含める処理を実行する。
なお、上記の説明では、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)から発注回数を取得し、10回以上という設定値と比較した後に、リジェクト情報記憶手段35Bからリジェクト率を取得するものとされているが、リジェクト情報記憶手段35Bから、発注回数およびリジェクト率を同時に取得してもよい。また、カバー発注処理手段27は、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)にリジェクト率が記憶されていない場合には、リジェクト情報記憶手段35Bに記憶されたリジェクト回数を、リジェクト情報記憶手段35Bに記憶された発注回数で除することにより、リジェクト率を算出する処理も実行する。
さらに、カバー発注処理手段27は、マーケットメーカシステム50から通信回線2を介して送信されてくるカバー注文の約定データ(FX業者ID、通貨ペア、売買区分、約定値段(約定レート)、約定数量、リジェクト発生の有無情報等を含む。)を受信し、得られたリジェクト発生の有無情報を、リジェクト情報更新処理手段26に送る処理を実行するものである。
注文データベース30は、図7に示すように、注文ID、顧客ID(投資家ID)、通貨ペア、売買区分、値段(注文レート)、指値・逆指値の別(売りの場合は以上・以下、買いの場合は以下・以上)、取引数量、建て・埋めの別、約定・未約定の別を含むステータス等を対応付けて記憶するものである。
レート記憶手段31は、複数のマーケットメーカA,B,C,Dによる各マーケットメーカ提示レートを、マーケットメーカ識別情報と関連付けて通貨ペア毎に記憶するとともに、コアレート、スプレッド付加レート、および投資家提示レート(FX業者から投資家への提示レート)を、通貨ペア毎に記憶するものである。なお、レート記憶手段31は、最新のレートだけではなく、過去のレートも蓄積記憶している。
店内板記憶手段32は、図5に示すように、注文データベース30(図7参照)に記憶された未約定の注文データと、レート記憶手段31に記憶された各通貨ペアの投資家提示レートを構成するask(例えば、通貨ペアが米ドル/円の場合には、FX業者による米ドル売・円買の投資家への提示レート)およびbit(例えば、通貨ペアが米ドル/円の場合には、FX業者による円売・米ドル買の投資家への提示レート)とを用いて、算出計算されて作成されたFX店内板の構成データを、通貨ペア毎に記憶するものである。
出来高データベース33は、投資家(顧客)によるFX注文の出来高を、現在値および過去の履歴を含め、通貨ペア毎に記憶するものである。
自己玉記憶手段34は、図6に示すように、投資家(顧客)との相対取引でFX業者に生じた自己玉、すなわちFX業者が保有するポジションを、通貨ペア毎に記憶するものである。但し、本実施形態における自己玉の売買表記は、投資家(顧客)の売買区分と同じものとしている。
カバー先選定条件記憶手段35は、カバー先対象外種別記憶手段35Aと、リジェクト情報記憶手段35Bとにより構成されている。
カバー先対象外種別記憶手段35Aは、図2に示すように、各マーケットメーカについて予め定められたカバー先対象外種別(本実施形態では、一例として、相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時(1))を識別するためのカバー先対象外種別識別情報を、マーケットメーカ識別情報と関連付けて記憶するものである。
リジェクト情報記憶手段35Bは、図3に示すように、各マーケットメーカについてのリジェクト率、発注回数、およびリジェクト回数を、マーケットメーカ識別情報と関連付けて記憶するものである。
設定値記憶手段36は、図4に示すように、相場急変時の乖離幅、出来高急増時の増加率、雇用統計発表時(1)の前後の時間帯、リジェクト率の閾値等の各種の設定値を記憶するものである。なお、設定値記憶手段36に記憶された各設定値は、FX業者端末装置60からの通信回線3を介してのディーラやシステム担当者の入力により、自在に設定・変更することができるようになっている。
以上において、FX業者システム20の各処理手段21〜27は、FX業者システム20を構成するコンピュータ本体の内部に設けられた中央演算処理装置(CPU)、およびこのCPUの動作手順を規定する1つまたは複数のプログラムにより実現される。
また、FX業者システム20の各データベース30,33および各記憶手段31,32,34〜36は、例えばハードディスク等により好適に実現されるが、記憶容量やアクセス速度等に問題が生じない範囲であれば、ROM、EEPROM、フラッシュ・メモリ、RAM、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、FD、磁気テープ、あるいはこれらの組合せ等を採用してもよい。
さらに、FX業者システム20は、1台のコンピュータあるいは1つのCPUにより実現されるものに限定されず、複数のコンピュータあるいは複数のCPUで分散処理を行うことにより実現されるものであってもよい。
投資家端末装置40は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、液晶ディスプレイ等の表示手段とを備えている。この投資家端末装置40は、例えば携帯情報端末(PDA)や携帯電話機等の携帯機器であってもよい。
マーケットメーカシステム50(50A,50B,50C,50D)は、カバー先となるマーケットメーカ(例えば銀行や証券会社等の金融機関)が運用・管理するシステムであり、それぞれ1台または複数台のコンピュータにより構成されている。
FX業者端末装置60は、コンピュータにより構成され、例えばマウスやキーボード等の入力手段と、液晶ディスプレイ等の表示手段とを備えている。このFX業者端末装置60は、例えば携帯情報端末(PDA)や携帯電話機等の携帯機器であってもよい。
このような本実施形態においては、以下のようにしてOTC−FXシステム10を構成するFX業者システム20により、カバー先選定処理のうちのカバー先対象外条件の成否の判断処理が行われる。
FX業者システム20でカバー先選定処理を行う際には、カバー発注処理手段27により、FX業者にレートを提示している全てのマーケットメーカA,B,C,Dについて、それぞれカバー先(カバー注文の発注先)から除外するか否かの判断処理を、以下の図8のようにして実行する。
図8において、FX業者システム20でカバー先選定処理のうちのカバー先対象外条件の成否の判断処理を開始すると(ステップS1)、先ず、第1のカバー先対象外条件を満たしているか否かを判断するにあたり、カバー発注処理手段27により、判断対象のマーケットメーカについてのマーケットメーカ識別情報を用いて、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)にカバー先対象外種別識別情報が記憶されているマーケットメーカであるか否かを判断する(ステップS2)。
ここで、判断対象のマーケットメーカについて、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報が記憶されている場合には、カバー発注処理手段27により、そのカバー先対象外種別識別情報(相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時(1))のカバー先対象外種別に応じて、設定値記憶手段36(図4参照)から、第1のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理に必要な設定値を取得するとともに、判断に使用するデータとして、レート記憶手段31に記憶されているレートや、出来高データベース33に記憶されている出来高を取得する(ステップS3)。
そして、設定値記憶手段36(図4参照)から取得した設定値、あるいはレート記憶手段31や出来高データベース33から取得したデータ(レートや出来高)を用いて、判断対象のマーケットメーカが、第1のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を実行する(ステップS4)。
より具体的には、ステップS3において、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報として、相場急変時が記憶されている場合には、カバー発注処理手段27により、そのカバー先対象外種別識別情報に関連付けられたマーケットメーカ識別情報のマーケットメーカについては、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、相場急変時の乖離幅=50pt以上(50銭以上)という設定値を取得し、次に、レート記憶手段31から、カバー取引を行う通貨ペアについてのレートを取得する。
そして、ステップS4において、カバー発注処理手段27により、当該マーケットメーカ(判断対象のマーケットメーカ)から提示されるマーケットメーカ提示レートの提示間隔前後の乖離幅、各マーケットメーカA,B,C,Dから提示されるマーケットメーカ提示レートのうち最もFX業者に有利なレートで生成されるコアレートの生成間隔前後若しくは投資家提示レートの提示間隔前後の乖離幅、各マーケットメーカA,B,C,Dから提示されるマーケットメーカ提示レートの平均値の算出間隔前後の乖離幅、または各マーケットメーカA,B,C,Dのうちのいずれかのマーケットメーカから提示されるマーケットメーカ提示レートの提示間隔前後の乖離幅が、設定値である50pt以上(50銭以上)の場合に該当するか否かを判断し、該当する場合には、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を更に行う必要もないので、ステップS7に進み、当該マーケットメーカをカバー先から除外する処理を実行し、該当しない場合には、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を行うために、次のステップS5に進む。
また、ステップS3において、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報として、出来高急増時が記憶されている場合には、カバー発注処理手段27により、そのカバー先対象外種別識別情報に関連付けられたマーケットメーカ識別情報のマーケットメーカについては、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、出来高急増時の増加率=50%以上という設定値を取得し、次に、出来高データベース33から、カバー取引を行う通貨ペアについての最新の出来高(例えば、1分間隔の集計であれば、ここ1分以内の出来高)を取得するとともに、直近の予め定められた時間内(例えば1時間内)の各出来高(例えば、1分間隔で集計された各出来高)を取得する。
そして、ステップS4において、カバー発注処理手段27により、取得した直近の予め定められた時間内(例えば1時間内)の各出来高の平均値(例えば、1分間隔の集計であれば、ここ1時間内における毎分の出来高の平均値)を算出し、算出した直近の予め定められた時間内(例えば1時間内)の各出来高の平均値と、最新の出来高とを比較し、出来高の増加率が、設定値である50%以上の場合に該当するか否かを判断し、該当する場合には、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を更に行う必要もないので、ステップS7に進み、当該マーケットメーカをカバー先から除外する処理を実行し、該当しない場合には、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を行うために、次のステップS5に進む。
さらに、ステップS3において、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報として、雇用統計発表時(1)が記憶されている場合には、カバー発注処理手段27により、そのカバー先対象外種別識別情報に関連付けられたマーケットメーカ識別情報のマーケットメーカについては、先ず、設定値記憶手段36(図4参照)から、雇用統計発表時(1)の前後の時間帯=第1金曜日の21:25〜22:00という設定値を取得する。
そして、ステップS4において、カバー発注処理手段27により、判断時点(今現在の時点)が、設定値である雇用統計発表の前後の時間帯の第1金曜日21:25〜22:00に該当するか否かを判断し、該当する場合には、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を更に行う必要もないので、ステップS7に進み、当該マーケットメーカをカバー先から除外する処理を実行し、該当しない場合には、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を行うために、次のステップS5に進む。
一方、前述したステップS2で、判断対象のマーケットメーカについて、カバー先対象外種別記憶手段35A(図2参照)に、カバー先対象外種別識別情報が記憶されていない場合には、当該マーケットメーカは、カバー先から除外される要因種別を持たないマーケットメーカであるから、第1のカバー先対象外条件を満たさないと判断し、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を行うために、次のステップS5に進む。
続いて、第1のカバー先対象外条件を満たさないと判断された場合には、第2のカバー先対象外条件を満たしているか否かを判断するにあたり、先ず、カバー発注処理手段27により、設定値記憶手段36(図4参照)から、リジェクト率の閾値=20%超過という設定値を取得し、次に、判断対象のマーケットメーカについてのマーケットメーカ識別情報を用いて、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)から、リジェクト率および発注回数を取得する(ステップS5)。
それから、カバー発注処理手段27により、取得した発注回数が、予め定められた回数(例えば10回)以上であるか否かを判断し、予め定められた回数(例えば10回)以上である場合には、取得したリジェクト率が、設定値である20%超過の場合に該当するか否かを判断する(ステップS6)。なお、取得した発注回数が、予め定められた回数(例えば10回)未満の場合には、リジェクト率に基づく判断処理は行わない。
ここで、リジェクト率が20%超過に該当する場合には、カバー発注処理手段27により、当該マーケットメーカは、第2のカバー先対象外条件を満たすと判断し、当該マーケットメーカを、カバー注文の発注先とするマーケットメーカの選定対象から除外する処理を実行し(ステップS7)、カバー先対象外条件の成否の判断処理を終了する(ステップS9)。
一方、ステップS6で、リジェクト率が20%超過に該当しない場合、および発注回数が予め定められた回数(例えば10回)未満の場合には、カバー発注処理手段27により、当該マーケットメーカは、第2のカバー先対象外条件を満たさないと判断し、これにより、当該マーケットメーカは、第1のカバー先対象外条件を満たさず、かつ、第2のカバー先対象外条件も満たさないことになるので、当該マーケットメーカを、カバー先(カバー注文の発注先)とするマーケットメーカの選定対象に含める処理を実行し(ステップS8)、カバー先対象外条件の成否の判断処理を終了する(ステップS9)。
その後、FX業者システム20におけるカバー先選定処理では、第1または第2のカバー先対象外条件を満たしたマーケットメーカを、カバー先(カバー注文の発注先)の選定対象から除外した状態で、カバー発注処理手段27により、FX業者にとって最も有利なレートを提示するマーケットメーカを、カバー先として自動選定するか、あるいは、FX業者端末装置60からのディーラの指示による選定作業が行われる。
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。すなわち、OTC−FXシステム10は、カバー発注処理手段27、リジェクト情報更新処理手段26、およびリジェクト情報記憶手段35B(図3参照)を備えているので、リジェクト率の高いマーケットメーカをカバー先から除外して、カバー注文の発注を行うことができる。このため、カバー注文の発注後におけるリジェクト発生の可能性を低減させることができ、FX業者のリスク相殺の遅れ、およびそれに伴うリスクの増大を、できるだけ回避し、FX業者の損失の発生を抑制することができる。
また、カバー発注処理手段27は、リジェクト率記憶手段35B(図3参照)に記憶された発注回数が、予め定められた回数(例えば10回)以上または超過の場合に、リジェクト率が、予め定められた閾値(例えば20%)以上または超過というカバー先対象外条件(本実施形態では、第2のカバー先対象外条件)を満たすか否かを判断する構成とされているので、発注回数が少ないうちに、たまたまリジェクトがあったか、または続いた、あるいは発注の初回に、たまたまリジェクトがあったマーケットメーカが、その後、良いレートを提示する優良なカバー先となり得る可能性があるにもかかわらず、カバー先から除外されてしまうという不都合を回避することができ、リジェクト率に基づく判断を、信頼性が高く、安定したものとすることができる。
さらに、リジェクト情報更新処理手段26は、リジェクト情報記憶手段35B(図3参照)に記憶されているリジェクト回数および発注回数、並びにリジェクト率を、当日限りのデータとするため、翌営業日の取引開始時点までには、これらのデータをリセットする構成とされているので、判断に使用されるリジェクト率は、前営業日までにおける拒否されたか否かの結果は関係なく、当日の結果のみに基づき算出されているものであり、かつ、当日限りで用いられるリジェクト率とすることができる。このため、最新の状況を示すデータでの判断を実現することができ、より適正な判断を行うことができる。
また、OTC−FXシステム10は、カバー先対象外種別記憶手段35Aを備え、カバー発注処理手段27は、カバー先対象外種別に応じた投資指標(例えば、相場や出来高等)または投資関連情報(例えば、雇用統計発表の日時等)を用いて予め定められたカバー先対象外条件(本実施形態では、第1のカバー先対象外条件)を満たしているか否かを判断する構成とされているので、マーケットメーカ毎に設定された一定のカバー先対象外条件を満たしたときに、そのマーケットメーカをカバー先から除外することができる。このため、過去のデータ等から導かれる各マーケットメーカの特性や傾向に応じ、カバー先から除外するか否かの判断を行うことができ、より信頼性の高い判断を行うことができるうえ、リジェクト率の上昇がなくても、カバー先から除外することができることから、早期に適正な除外を行うことができ、リスク相殺の遅れ、およびそれに伴うリスクの増大を、より一層確実に回避することができる。
さらに、カバー発注処理手段27は、より具体的には、相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時に、カバー先から除外するマーケットメーカを設定する構成とさているので、相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時に、リジェクトされるケースが多いという一般的事情を、個々のマーケットメーカについての特性や傾向に照らし、個別事情に置き換える仕組みを構築することができ、より個別具体的な事情に即した判断を実現することができる。
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲内での変形等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、図8に示すように、先ず、相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時といった要因種別に応じた第1のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を実行し、次に、リジェクト率に基づく第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を実行するようになっていたが、これらの2種類の判断処理の順序は、逆順としてもよい。
また、前記実施形態では、カバー発注処理手段27により、第1、第2のカバー先対象外条件を満たすか否かの判断処理を実行するようになっていたが、マーケットメーカ提示レート取得処理手段24でも、カバー先(カバー注文の発注先)から除外する処理を、レート取得元(マーケットメーカ提示レートの供給源)から除外する処理に置き換えることで、全く同様にして、第1、第2のレート取得元対象外条件を満たすか否かの判断処理を実行するようにしてもよい。すなわち、リジェクト率が高いマーケットメーカからのレート取得を行わないようにしたり(取得処理自体は行ってもよいが、投資家提示レートの生成には使用しないという意味である。)、あるいは相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時にリジェクト発生の確率が高くなる傾向にあるマーケットメーカからのレート取得は、相場急変時、出来高急増時、または雇用統計発表時には行わないようにしてもよい。