JP2009217294A - 為替取引支援装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数のカバー銀行の中から、顧客に有利な為替取引注文の発注先を選択する。
【解決手段】為替取引支援装置100は、複数の銀行の為替取引システム204と、複数の顧客端末200と接続される。為替取引支援装置100は、各為替取引システム204から、各銀行における為替取引の実行状態を示す状態情報を受信し、顧客端末200から、通貨ペアと取引量とを指定した為替取引注文を受信する。為替取引支援装置100は、顧客に有利な発注先を選択するための所定の選択条件にしたがって、複数の銀行の中から為替取引注文の発注先となる銀行を選択した上で、選択した銀行の為替取引システム204に対して、為替取引注文を送信する。
【選択図】図2

Description

この発明は、為替取引、より詳しくは、顧客から受け付けた為替取引注文を為替銀行等の金融機関に仲介するための技術、に関する。
各国通貨の交換レートは、銀行がお互いの手持ち通貨を交換し合うことにより形成される。この銀行間における通貨交換の場は、「銀行間市場(インターバンク市場)」とよばれる。
1998年のいわゆる外為法の改正を契機として、個人投資家を含めた多くの投資家に為替取引が解放された。証券会社等のFX(Foreign Exchange)業者が顧客から為替取引注文を受け付け、銀行にその為替取引注文を発注することにより、顧客は銀行間市場に間接的にアクセスする。FX業者は、為替取引注文の仲介手数料を収益源としている。
顧客は、為替動向を予測して、さまざまな為替取引注文をFX業者に発注する。たとえば、USD(米ドル)/JPY(日本円)の通貨ペアについて1ドル・110円であるとき、ある顧客Aは今後のドル高・円安を予測したとする。この場合、顧客Aは、この通貨ペア(USD/JPY)の買い注文(ドル買い・円売り)を出す。買い注文が出されると、まず110円を借り、次に借りてきた110円を売って1ドルを買う。1ドルはそのまま貸し出される。予想通りドル高が進行して1ドル・115円となると、顧客Aは売り注文(ドル売り・円買い)を出す。売り注文が出されると、貸していた1ドルを売却して115円を受け取り、借りていた110円を返す。結果として、差額の5円(=115円−110円)が儲けとなる。
FX取引では、「レバレッジ(梃子)効果」により、少ない元金で多くのポジションを取ることができるため、為替動向を上手く予測できれば高いリターンを実現できる。少ない元手で大きなリターンを狙えるFX取引は、急速にマーケットを拡大しつつある。
特開2005−242589号公報
FX業者は、通常、為替取引注文の発注先となる銀行をあらかじめ選定している。このような銀行を「カバー銀行」とよぶ。銀行間市場は相対取引を基本とするため、カバー銀行ごとに交換レートは一様ではない。このため、どの銀行をカバー銀行として選択するかにより、顧客の利益は影響を受ける。たとえば、ある銀行Aは1ドルを110円20銭で売り、別の銀行Bは1ドルを110円30銭で売っている場合、銀行Aから米ドルを買う方が顧客にとって有利である。たとえ10銭の違いであっても、ポジションが大きいときには無視できないほどの収益格差を生じる。一方、銀行Aが注文を処理するのに時間がかかる場合、為替取引注文を出してから約定するまでの期間に交換レートが変動しやすいため、必ずしも銀行Aが銀行Bよりも顧客に有利とはいえなくなる。
本発明は、上記課題に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、顧客からの為替取引注文を受け付けたときに、複数のカバー銀行の中から顧客に有利な発注先を選択するための技術、を提供することにある。
本発明のある態様は、複数の金融機関の為替取引システムおよび顧客端末と通信回線を介して接続される為替取引支援装置に関する。
この装置は、各為替取引システムから、各金融機関における為替取引の実行状態を示す状態情報を受信し、顧客端末から、通貨ペアと取引量とを指定した為替取引注文を受信する。状態情報に基づいて顧客に有利な発注先を選択するための所定の選択条件にしたがって、複数の金融機関の中から為替取引注文の発注先となる金融機関を選択した上で、選択した金融機関の為替取引システムに対して、為替取引注文を送信する。
なお、以上に示した各構成要素の任意の組み合わせ、本発明を方法、システム、記録媒体、コンピュータプログラムにより表現したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、複数のカバー銀行のうち、顧客にとって有利な発注先を選択しやすくなる。
図1は、為替取引の概要図である。
世界中の銀行は、日々、さまざまな通貨を互いに交換し合っている。たとえば、日本企業が輸出により米ドルを手に入れ、日本人社員の給料を払うために日本円に交換したい場合、この企業は米ドルを銀行に渡して日本円への交換を依頼する。米ドルを受け取った銀行は、他の銀行に米ドルを売り、代わりに日本円を受け取る。このような企業活動の結果、さまざまな通貨ペアの交換レートが刻々と変動する。このほかにも、各国中央銀行の為替介入、投機的資金の流入等、さまざまな要因により為替は変動する。
FX業者は、顧客と銀行間市場を仲介する業者である。FX業者は、カバー銀行からさまざまな通貨ペアの交換レートを提示される。たとえば、銀行Aは、USD/JPYの交換レートとして、ビッドレート(bid rate):110円10銭、オファーレート(offered rate):110円15銭を提示したとする。ビッドレートは米ドル(USD)の売値、すなわち、顧客が1ドルを売るときの値段(銀行が顧客から1ドルを買う値段)を示し、オファーレートは米ドル(USD)の買値、すなわち、顧客が1ドルを買うときの値段(銀行が顧客に1ドルを売る値段)を示す。通常、オファーレート(買値)は高く、ビッドレート(売値)は安く設定される。差額の5銭は、「為替スプレッド」として、銀行の収益となる。銀行によって交換レートはさまざまであり、為替スプレッドの大きさもさまざまである。もちろん、為替スプレッドの小さい銀行の方が顧客にとって好ましい。
FX業者は、カバー銀行から提示された交換レートを顧客に提示する。顧客は、交換レートを参照し、為替動向を予測し、さまざまな為替取引注文をFX業者に発注する。FX業者は、顧客から受け付けた為替取引注文をカバー銀行に発注する。
本実施例においては、FX業者は複数の銀行をカバー銀行として設定しておく。そして、所定の選択条件にしたがって、複数のカバー銀行の中から顧客に有利な発注先を動的に選択する。
図2は、為替取引支援装置100と顧客端末200、為替取引システム204の関係を示すハードウェア構成図である。
為替取引支援装置100は、FX業者が導入する装置である。為替取引支援装置100は専用線等を介して為替取引システム204a、204b、・・・204c(以下、単に「為替取引システム204」とよぶ)と接続される。為替取引システム204は、各カバー銀行において導入される為替取引のための業務システム(Enterprise System)である。為替取引システム204は、為替取引注文を受け付け、他の銀行の為替取引システム204やブローカとの為替取引を実行するための既存のシステムであればよい。
為替取引支援装置100は、インターネット202を介して顧客端末200a、200b、・・・200c(以下、単に「顧客端末200」とよぶ)と接続される。顧客端末200は、個人投資家等の顧客が使用する端末である。顧客端末200は、ウェブブラウザを搭載した一般的なコンピュータ端末であればよい。
為替取引支援装置100は、複数のカバー銀行の為替取引システム204から、各種通貨ペアの交換レートを取得する。為替取引支援装置100は、ウェブページ形式にて各通貨ペアの交換レートを顧客端末200に表示させる。本実施例においては、為替取引支援装置100は、複数のカバー銀行が提示する交換レートのうち代表的な交換レートだけを顧客端末200に提示する。たとえば、3つのカバー銀行A、B、Cが、USD/JPYのオファーレートとして、カバー銀行A:110円05銭、カバー銀行B:110円20銭、カバー銀行C:109円40銭をそれぞれ提示していたとする。このとき、為替取引支援装置100は、最も顧客に不利な交換レートである「110円40銭」をオファーレートとして顧客に提示する。変形例として、3つのオファーレートをすべて提示してもよいし、これらの平均値を提示してもよいし、最も顧客に有利なオファーレート、あるいは、常に所定のカバー銀行のオファーレートを提示するとしてもよい。
顧客は、顧客端末200から為替取引注文を為替取引支援装置100に送信する。ここでいう為替取引注文には、少なくとも通貨ペアと取引量および売買の別が示される。各通貨ペアの取引量は、通貨ペアごとに定められる最小通貨単位(ロット)の数によって指定される。たとえば、USD/JPYのロットを1000通貨単位(1000ドル)とすると、取引量は1000ドル単位で指定される。なお、USD/JPYのように「A/B」の形式にて指定される通貨ペアについては、A買い・B売りを買い注文、A売り・B買いを売り注文と表記し、先に表記される通貨Aを基準として売り買いを示すものとする。
以下においては、顧客から出される為替取引注文は、成り行き注文であるとして説明する。
各為替取引システム204は、定期的に為替取引の実行状態を示す「状態情報」を為替取引支援装置100に送信する。状態情報については、次の図3に関連して詳述する。為替取引支援装置100は、為替取引注文を受け付けると、各カバー銀行の状態情報に基づいて、複数のカバー銀行の中から発注先を選択する。為替取引支援装置100は、顧客になるべく有利な発注先が選択されるようにあらかじめ定められた選択条件にしたがって、発注先を自動的に選択する。本実施例においては、P1:超過量、P2:約定率、P3:交換レート、P4:応答時間、という4つの観点から最適な発注先を選択する。詳しくは後述する。
なお、為替取引支援装置100は、為替取引システム204以外の情報源から、独自に状態情報を収集してもよい。
図3は、状態情報210のデータ構造を示す図である。
為替取引システム204は、定期的に、たとえば、1.0秒程度の短い時間間隔にて状態情報を為替取引支援装置100に送信する。同図は、カバー銀行(名称:A、ID:0012)から送信される状態情報を示す。
USD/JPY領域212は、通貨ペア:USD/JPYについてカバー銀行Aの取引実行状態を示す領域である。
交換レート領域214は、通貨ペア:USD/JPYのカバー銀行Aにおける交換レートである。同図によればオファーレート(米ドルの買値)は110円15銭、ビッドレート(米ドルの売値)は110円10銭、したがって、為替スプレッドは5銭である。
約定待機領域216は、通貨ペア:USD/JPYの売り注文と買い注文のそれぞれについて、現在、約定待ちとなっている受注量を示す。同図によれば、USD/JPYの買い注文のうち、現在、20万2000ロットが約定待ちとなっている。以下、このような約定待ちの買い注文の受注量ことを「買い待機受注量」とよぶ。また、USD/JPYの売り注文のうち、51万1000ロットが約定待ちとなっている。以下、このような約定待ちの売り注文の受注量ことを「売り待機受注量」とよぶ。カバー銀行Aの場合、売り待機受注量の方が買い待機受注量よりも多いため、「売り優勢」であることがわかる。売り待機受注量から買い待機受注量を差し引いた値を「超過量」とよぶ。超過量が+(プラス)のときには売り優勢であり、超過量が大きいほど売り優勢が強いといえる。
約定率領域218は、通貨ペア:USD/JPYの売り注文と買い注文のそれぞれについて、過去の所定期間、たとえば、直近1時間における受注量と、そのうち約定に成功した受注量を示す。同図によれば、直近1時間においてUSD/JPYの買い注文は711万2000ロット受け付けられ、そのうち、620万6000ロットが約定済みである。残りの90万6000ロットは、約定待ち、または、約定に失敗している。たとえば、カバー銀行Aは、成り行き注文が発注後3.0秒以内に約定できなければ約定失敗として扱うかもしれない。以下、過去の所定期間に受け付けられた買い注文のうち、約定済みの買い注文の量のことを「買い約定受注量」とよぶ。同様に、直近1時間においては、USD/JPYの売り注文が660万7000ロット受け付けられ、そのうち、654万2000ロットが約定済みである。過去の所定期間に受け付けられた売り注文のうち、約定済みの売り注文の量のことを「売り約定受注量」とよぶ。この所定期間に受け付けられた買い注文の受注量のうち買い約定受注量の占める割合や、この所定期間に受け付けられた売り注文の受注量のうち売り約定受注量の占める割合を「約定率」とよぶ。
サービス期間領域220は、カバー銀行Aが現在、通貨ペア:USD/JPYの為替取引を取り扱い中か否かを示す。同図の場合、現在、USD/JPYの為替取引は取扱中であり、20分後に取り扱いを終了し、8時間20分後に取り扱いを再開することがわかる。
為替取引支援装置100は、このような状態情報を定期的に受信し、為替取引注文の発注先を選択する。
図4は、為替取引支援装置100の機能ブロック図である。
ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
為替取引支援装置100は、銀行インタフェース部(以下、「銀行IF部110」とよぶ)、顧客インタフェース部(以下、「顧客IF部120」とよぶ)、データ処理部130およびデータ保持部160を含む。
銀行IF部110は、為替取引システム204との通信処理を担当する。
顧客IF部120は、顧客端末200に対するユーザインタフェース全般に関する処理を担当する。
データ処理部130は、銀行IF部110、顧客IF部120、データ保持部160から取得されたデータをもとにして各種のデータ処理を実行する。データ処理部130は、銀行IF部110、顧客IF部120、データ保持部160の間のインタフェースの役割も果たす。
データ保持部160は、あらかじめ用意された各種の設定データや、データ処理部130から受け取ったデータを格納する。
銀行IF部110:
銀行IF部110は、取引状態受信部112、取引注文送信部114、約定通知受信部116および試験発注部118を含む。取引状態受信部112は、各カバー銀行の為替取引システム204から、状態情報を受信する。取引注文送信部114は、顧客から受け付けた為替取引注文を、後述する発注先選択部140により選択されたカバー銀行に送信する。約定通知受信部116は、為替取引注文が約定したとき、為替取引システム204から「約定通知」を受信する。試験発注部118は、後述の未選択検出部152による指示を契機として、指示されたカバー銀行の為替取引システム204に試験的な為替取引注文を送信する。試験的な為替取引注文については後に詳述する。
顧客IF部120:
顧客IF部120は、表示部122と入力部124を含む。入力部124は、顧客からの入力操作を受け付ける。入力部124は、取引注文受信部126を含む。取引注文受信部126は、顧客端末200から為替取引注文を受信する。表示部122は、顧客端末200に対して各種情報を表示する。より厳密にいえば、表示部122は所定のウェブページを顧客端末200に送信させることにより、顧客端末200のモニタ−に各種情報を表示する。
データ保持部160:
データ保持部160は、待機状態保持部162、約定率保持部164、レート保持部166、応答時間保持部168を含む。待機状態保持部162は、カバー銀行と通貨ペアごとに、買い待機受注量と売り待機受注量を保持する。約定率保持部164は、カバー銀行と通貨ペアごとに、買いの約定率と売りの約定率を保持する。レート保持部166は、カバー銀行と通貨ペアごとに、ビッドレートとオファーレートを保持する。取引状態受信部112が状態情報を受信するごとに、待機状態保持部162、約定率保持部164、レート保持部166の各データが更新される。応答時間保持部168は、カバー銀行と通貨ペアごとに、買いの応答時間と売りの応答時間を保持する。応答時間については後述する。
データ処理部130:
データ処理部130は、発注先選択部140、未選択検出部152および応答時間計測部154を含む。応答時間計測部154は、取引注文送信部114がカバー銀行に為替取引注文を送信してから、約定通知受信部116が約定通知を受信するまでの時間を「応答時間」として計測する。顧客が為替取引注文を送信したあとも交換レートは刻々と変化する。このため、応答時間が短いほど提示された交換レートに近い交換レートにて約定しやすい。応答時間は、計測後、応答時間保持部168に記録される。
発注先選択部140は、複数のカバー銀行の中から為替取引注文の発注先を選択する。発注先選択部140は、待機選択部142、約定率選択部144、レート選択部146、
応答時間選択部148および取引分割部150を含む。
発注先選択部140は、
P1.買い注文について、超過量が大きいカバー銀行(あるいは、売り注文について、超過量が小さいカバー銀行)
P2.買い注文について、買いの約定率が高いカバー銀行(あるいは、売り注文について、売りの約定率が高いカバー銀行)
P3.顧客に有利な交換レートを提示するカバー銀行
P4.買い注文について、買いの応答時間が短いカバー銀行(あるいは、売り注文について、売りの応答時間が短いカバー銀行)
という4つの観点から最適な発注先を選択する。上記4つの観点のうち、1つまたは2つ以上の観点からカバー銀行を選択してもよい。本実施例においては、上記4つの観点すべてに基づいてカバー銀行を選択する態様について説明する。
P1:超過量に基づく選択
待機選択部142は、上記P1の観点から最適なカバー銀行を優先的に選択する。ここで「優先的に」とあるのは、必ずしも上記P1の観点のみからカバー銀行を選択する必要はなく、P1以外の観点から総合的に判断してもよいためである。P2、P3、P4の観点についても同様である。たとえば、USD/JPYの買い注文(米ドル買い・日本円売り)が顧客から発注されたとする。このとき、待機選択部142は、各銀行の状態情報に基づいて、各銀行の超過量を取得する。カバー銀行がA〜Eの5つであるとしたとき、USD/JPYの超過量を取得すると、
カバー銀行A:超過量=+10万(売り優勢)
カバー銀行B:超過量=+5万(売り優勢)
カバー銀行C:超過量=+20万(最も売り優勢)
カバー銀行D:超過量=−5万(買い優勢)
カバー銀行E:超過量=−10万(最も買い優勢)
であったとする。したがって、待機選択部142は、5つのカバー銀行の中で最も売り優勢、すなわち、この買い注文が最も素早く約定しそうなカバー銀行Cを最適な発注先として特定する。本実施例においては、待機選択部142は、超過量に応じて、1位のカバー銀行Cに20ポイント、2位のカバー銀行Aに10ポイント、3位のカバー銀行Bに5ポイント、4位のカバー銀行Dに−5ポイント、5位のカバー銀行Eに−10ポイントを付与する。ここでいうポイントは、各カバー銀行が発注先として適切な度合いを示す指標値である。なお、USD/JPYの売り注文(米ドル売り・日本円買い)の場合には、買い優勢のカバー銀行ほど高いポイントが付与されることになる。
P2:約定率に基づく選択
約定率選択部144は、上記P2の観点から最適なカバー銀行を優先的に選択する。約定率選択部144は、各銀行の状態情報から、各銀行の約定率を計算する。USD/JPYの売り注文について約定率を計算すると、
カバー銀行A:(買いの)約定率=90%
カバー銀行B:(買いの)約定率=85%
カバー銀行C:(買いの)約定率=95%
カバー銀行D:(買いの)約定率=70%(最低値)
カバー銀行E:(買いの)約定率=100%(最高値)
であったとする。したがって、約定率選択部144は、5つのカバー銀行の中で、過去にUSD/JPYの約定率が最も高い、すなわち、この買い注文が最も高い確率で約定に成功しそうなカバー銀行Eを最適な発注先として特定する。本実施例においては、約定率選択部144は、1位のカバー銀行Eに100ポイント、2位のカバー銀行Cに95ポイント、3位のカバー銀行Aに90ポイント、4位のカバー銀行Bに85ポイント、5位のカバー銀行Dに70ポイントを付与する。なお、USD/JPYの売り注文(米ドル売り・日本円買い)の場合には、売りについての約定率が高いカバー銀行ほど高いポイントが付与されることになる。
P1の観点において付与済みのポイントと合計すると、1位:カバー銀行C・115ポイント、2位:カバー銀行A・100ポイント、3位:カバー銀行BとE・90ポイント、5位:カバー銀行D・65ポイントとなる。
P3:交換レートに基づく選択
レート選択部146は、上記P3の観点から最適なカバー銀行を優先的に選択する。レート選択部146は、各銀行の状態情報から、各銀行の交換レートを取得する。USD/JPYのオファーレートを取得すると、
カバー銀行A:オファーレート=110円50銭
カバー銀行B:オファーレート=111円00銭(最高値)
カバー銀行C:オファーレート=110円65銭
カバー銀行D:オファーレート=110円20銭(最安値)
カバー銀行E:オファーレート=110円80銭
であったとする。したがって、レート選択部146は、5つのカバー銀行の中から、最安値を提示しているカバー銀行Dを最適な発注先として特定する。本実施例においてレート選択部146は、最安値のカバー銀行Dに0ポイント、次に安いカバー銀行Aに差額の30銭に相当する−30ポイント、同様に、カバー銀行Cに−45ポイント、カバー銀行Eに−60ポイント、カバー銀行Bに−80ポイントを付与する。なお、USD/JPYの売り注文(米ドル売り・日本円買い)の場合には、ビッドレートが高いカバー銀行ほど高いポイントが付与されることになる。
P1、P2の観点において付与済みのポイントと合計すると、1位:カバー銀行AとC・70ポイント、3位:カバー銀行D・65ポイント、4位:カバー銀行E・30ポイント、5位:カバー銀行B・10ポイントとなる。
P4:応答時間に基づく選択
応答時間選択部148は、上記P4の観点から最適なカバー銀行を優先的に選択する。応答時間選択部148は、各銀行に対して、USD/JPYの買い注文について過去に計測された応答時間、たとえば、平均の応答時間を取得する。USD/JPYの売り注文についての平均応答時間を取得すると、
カバー銀行A:応答時間=0.9秒
カバー銀行B:応答時間=0.2秒(最短時間)
カバー銀行C:応答時間=2.1秒(最長時間)
カバー銀行D:応答時間=0.6秒
カバー銀行E:応答時間=0.3秒
であったとする。したがって、応答時間選択部148は、5つのカバー銀行の中から、応答時間が最も短いカバー銀行Bを最適な発注先として選択する。本実施例における応答時間選択部148は、最も応答時間が短いカバー銀行Bに0ポイント、次に短いカバー銀行Eに差分の0.1秒(=0.3−0.2)に相当する−10ポイント、同様に、カバー銀行Dに−40ポイント、カバー銀行Aに−70ポイント、カバー銀行Cに−190ポイントが付与される。
P1、P2、P3の観点において付与済みのポイントと合計すると、1位:カバー銀行D・25ポイント、2位:カバー銀行E・20ポイント、3位:カバー銀行B・10ポイント、4位:カバー銀行A・0ポイント、5位:カバー銀行C・−120ポイントとなる。
こうして、発注先選択部140は、最もポイントが高い、すなわち、上記P1〜P4の観点から総合的に判断した結果、最適なカバー銀行Dを発注先として選択する。P1〜P4の間の重み付けやポイントの付与の仕方については、設計方針や顧客との契約内容に応じて任意に設定すればよい。取引注文送信部114は、こうして選択されたカバー銀行Dに、顧客から受け付けたUSD/JPYの買い注文を発注する。
なお、応答時間選択部148は、USD/JPYの買い注文についての応答時間に基づいて、最適な発注先を選択したが、USD/JPY以外の通貨ペアについて計測された応答時間に基づいて発注先を選択してもよい。たとえば、カバー銀行Aについて最近発注された為替取引注文がUSD/CAD(カナダドル)の売り注文であれば、カバー銀行Aについてはこの売り注文の応答時間をカバー銀行Aの応答時間として採用してもよい。
応答時間選択部148は、応答時間が所定時間以上、たとえば、2.0秒以上となるカバー銀行を選択対象から除外してもよい。この場合、カバー銀行Cは約定率や超過量の観点からは適切であっても、応答時間が長すぎるため選択対象から除外されることになる。
通常、FX取引において、成り行き注文を出してから2.0秒以上待たされることを許容できない顧客も多い。この場合には、2.0秒という閾値を設けておき、応答時間が2.0秒を超えるカバー銀行をはじめから選択対象外としておくことにより、待機選択部142や約定率選択部144、レート選択部146の処理負荷を軽減できる。結果として、発注先選択部140の処理効率を向上させることができる。
取引分割部150は、顧客から受け付けた為替取引注文を複数の為替取引注文に分割する。たとえば、USD/JPYの買い注文において、1万1000ロットという大量の取引量が指定されたとする。1ロット=1000ドルとすれば、1100万ドルの米ドル買い・日本円売りである。こういった大量注文の場合、1つのカバー銀行だけに発注するよりも、複数のカバー銀行に分けて発注した方が、スムーズに約定させやすい。また、大量注文を1つのカバー銀行だけに発注すると、その発注先の交換レート自体への影響が大きくなるため好ましくない。このような観点から、本実施例の取引分割部150は、取引量が大きいときには、為替取引注文を複数のカバー銀行に分散して発注する。取引分割部150は、上記算出されたポイントに基づいて、1万1000ロットを分割する。
上記例によれば、
カバー銀行A=0ポイント
カバー銀行B=10ポイント
カバー銀行C=−120ポイント
カバー銀行D=25ポイント
カバー銀行E=20ポイント
である。取引分割部150は、所定条件を満たすカバー銀行、たとえば0ポイントより大きいカバー銀行を選択する。上記例の場合、カバー銀行B、D、Eが選択される。そして、ポイントが高いカバー銀行ほど取引量が大きくなるように、注文された1万ロットを分割する。上記ポイントに応じて比例配分すると、B:D:E=10:25:20なので、カバー銀行Bに2000ロット、カバー銀行Dに5000ロット、カバー銀行Eに4000ロットを割り当てる。
取引注文送信部114は、USD/JPYの1万1000ロット分の買い注文について、2000ロット分をカバー銀行B、5000ロット分をカバー銀行D、4000ロット分をカバー銀行Eにそれぞれ発注する。
為替取引注文の分割可否の判定基準や分割の仕方については、設計方針や顧客との契約内容に応じて任意に設定すればよい。たとえば、USD(米ドル)のような流通量の大きい通貨の場合には1万ロット以上でなければ分割しないが、NOK(ノルウェー・クローナ)などの流通量の小さな通貨の場合には、1000ロット以上で分割するとしてもよい。
あるいは、応答時間が所定時間以下、たとえば、0.3秒以下のカバー銀行が存在しないときには分割するとしてもよいし、約定率が所定確率以上、たとえば、90%以上のカバー銀行が存在しないときには分割するとしてもよい。カバー銀行によっては、一度に受け付け可能な取引金額に上限値が設定されるかもしれない。カバー銀行Aは、所定時間あたり、たとえば、5秒間あたり10000ロットまでしかUSD/JPYの買い注文を受け付けないとする。ここで、USD/JPYの買い注文を複数のカバー銀行に分けて発注する状況において、カバー銀行Aに割り当てられる取引量が10000ロットを超えるときには、カバー銀行Aに割り当てられる為替取引注文を更に分割してもよい。このように通貨ペアや応答時間、約定率、あるいは超過量に応じて分割可否の判定基準を変えることにより、約定させにくい為替取引注文であっても、多くのカバー銀行に為替取引注文を分散させることで、スムーズに約定させやすくなる。
発注先選択部140は、上記P1〜P4の観点から最適な発注先を選んで顧客の為替取引注文を発注する。このような選択方法を採用する場合、選択されやすいカバー銀行と選択されにくいカバー銀行に二極化する可能性がある。状態情報はカバー銀行から提供されるが、応答時間は、実際に為替取引注文を発注してみなければ計測できない。そこで、未選択検出部152は、所定期間、たとえば、72時間以上、為替取引注文が発注されていないカバー銀行(以下、「未選択機関」とよぶ)が無いか定期的にチェックする。未選択機関を検出すると、未選択検出部152は試験発注部118に指示して、FX業者の勘定にて、所定ロット、たとえば、1ロット分の試験的な為替取引注文を未選択機関に発注させる。応答時間計測部154は、この試験的な為替取引注文について応答時間を計測する。このような処理方法により、各カバー銀行について、少なくとも72時間以内の取引に関する応答時間を常に取得できる。
なお、未選択検出部152は、所定条件が成立したとき、たとえば、顧客端末200から所定量以上の為替取引注文が発注されたときに、試験的な為替取引注文を複数の、あるいは、全てのカバー銀行に送信して応答時間を取得してもよい。また、未選択検出部152は、応答時間が短いカバー銀行ほど試験的な為替取引注文における取引量を大きく設定してもよい。
図5は、為替取引注文の受付から発注までの処理過程を示すフローチャートである。
ここでは、USD/JPYの買い注文が受信されたとして説明する。まず、発注先選択部140は、この買い注文の受信時において、USD/JPYの取り扱い時間外のカバー銀行を選択対象から除外する(S10)。図3に示した状態情報のサービス期間領域220において「取扱中」として通知されていないカバー銀行はこの時点で判定対象から外れる。次に、発注先選択部140は、応答時間が所定の閾値以上となるカバー銀行、すなわち、注文処理に時間がかかりすぎるカバー銀行を選択対象から除外する(S12)。
レート選択部146は、候補となっているカバー銀行のうち、交換レートの観点(P3)から最適な発注先を選択する(S14)。レート選択部146は、交換レートの有利さに応じて、各カバー銀行にポイントを付与する。なお、S14の処理については、図6に関連して更に詳述する。待機選択部142は、超過量の観点(P1)から最適な発注先を選択する(S16)。待機選択部142は、超過量からみた有利さに応じて、各カバー銀行にポイントを付与する。約定率選択部144は、約定率の観点(P2)から最適な発注先を選択する(S18)。約定率選択部144は、約定率からみた有利さに応じて、各カバー銀行にポイントを付与する。応答時間選択部148は、応答時間の観点(P4)から最適な発注先を選択する(S20)。応答時間選択部148は、応答時間からみた有利さに応じて、各カバー銀行にポイントを付与する。
取引分割部150は、指定された取引量が所定の閾値Tを超えるか判定する(S22)。閾値Tを超えるときには(S22のY)、取引分割部150は、取引量を分割して、買い注文を複数に分ける(S24)。閾値T以下のときには(S22のN)、S24の処理はスキップされる。最後に、取引注文送信部114は、各カバー銀行のポイントに基づいて、発注先となるカバー銀行を選択し、USD/JPYの買い注文を送信する(S26)。この後、応答時間計測部154は、約定通知を受け取るまでの時間を応答時間として計測する。
図6は、為替取引注文の通貨ペアを分解する処理過程を示すフローチャートである。
例として、あるカバー銀行AのNOK(ノルウェー・クローナ)/JPYのオファーレートが20.60円であったとする。カバー銀行は、NOK/JPY以外にも、NOK/USD、USD/JPY、・・・といったさまざまな通貨ペアについての交換レートを為替取引支援装置100に提示している。
NOK/JPYの買い注文(ノルウェー・クローナ買い・日本円売り)を発注する場合、カバー銀行Aであれば20.60円で1ノルウェー・クローナを買うことができる。
一方、NOK/USDの買い注文(ノルウェー・クローナ買い・米ドル売り)とUSD/JPYの買い注文(米ドル買い・日本円売り)を発注しても、結果として、NOK/JPYの買い注文と同等の注文内容となる。なぜならば、米ドルを借りてきて米ドルを売り、この米ドルでノルウェー・クローナを買い、次に、日本円を借りてきて日本円を売り、この日本円で売った米ドルを買えば、米ドルの取引が相殺されることになり、結果として、日本円を売ってノルウェー・クローナを買ったことになる。
仮に、カバー銀行BのNOK/USDのオファーレートが0.187ドル、カバー銀行CのUSD/JPYのオファーレートが109円であったとする。この場合、手数料を考慮しなければ、0.187(ノルウェー・クローナ/米ドル)×109(米ドル/日本円)=20.38(ノルウェー・クローナ/日本円)となり、カバー銀行AにNOK/JPYの買い注文(ノルウェー・クローナ買い・日本円売り)を発注するよりも安くノルウェー・クローナを買うことができる。このような場合、発注先選択部140は、カバー銀行Bとカバー銀行Cに、NOK/USDの買い注文とUSD/JPYの買い注文をそれぞれ発注すべきである。図6は、このような状況を検出するための処理を示す。
NOK/JPYの買い注文を対象として説明する。まず、レート選択部146は、NOK/JPYのオファーレートを基本レートとして各カバー銀行から取得する(S30)。次に、レート選択部146は、NOK/USDのオファーレートとUSD/JPYのオファーレートを分解レートとして各カバー銀行から取得する(S32)。ここでは、相殺対象の通貨としてUSDを設定しているが、USD以外にも任意の通貨を相殺対象としてもよい。ただし、流動性を考えると、USDのような基軸通貨を相殺対象通貨として設定することが好ましい。
レート選択部146は、分解レートと基本レートを比較し、いずれが有利かを判定する(S34)。基本レートの方が有利であれば(S34のN)、もともとのNOK/JPYを基本ペアとして、最適なカバー銀行を選択する(S38)。一方、分解レートの方が有利であれば(S34のY)、NOK/USDとUSD/JPYを分解ペアとして、それぞれの買い注文について最適なカバー銀行を選択する(S36)。この場合、S16以降の処理においては、NOK/USDの買い注文とUSD/JPYの買い注文のそれぞれについて最適なカバー銀行を選択する。
この結果として、非常に多くのカバー銀行に為替取引注文が分散されるかもしれないし、結果として、数行または1行のカバー銀行に為替取引注文が集約されることになるかもしれない。
以上、為替取引支援装置100を実施例に基づいて説明した。
従来、FX業者は、多くのカバー銀行を設定したときの管理上の手間を敬遠して、多くても数行程度のカバー銀行しか設定しないことが多かった。しかし、本実施例の為替取引支援装置100は、FX業者が複数のカバー銀行を設定しても、あらかじめ設定される選択条件にしたがって、自動的に最適な発注先を選択できる。多くのカバー銀行を設定しても、FX業者の管理上の手間は抑制される。結果として、FX業者は、大銀行だけでなく、小銀行もカバー銀行として設定しやすくなる。小さな銀行であっても、上記P1〜P4の観点から顧客に有利な為替取引サービスを提供すれば、FX業者からの発注を多く受けることができる。為替取引支援装置100により、為替取引における銀行サービスのいっそうの向上を期待できる。
たとえば、土日でも為替取引サービスを提供する銀行をカバー銀行として選択すれば、FX取引の年中無休化も実現可能となる。為替取引支援装置100の導入により、世界中のお金の流れのいっそうの円滑化を期待できる。
為替取引支援装置100は、P1の超過量の観点から発注先を選択することにより、各銀行の現在の取引状態から、為替取引注文が素早く約定しやすい銀行を合理的に選択できる。また、P2の約定率の観点から発注先を選択することにより、各銀行の過去の取引実績から、為替取引注文が約定成功する可能性が高い銀行を合理的に選択できる。更に、P3の交換レートの観点やP4の応答時間の観点により、顧客にとって望ましい交換レートにて素早く約定しやすい銀行を自動的に選択できる。このようなさまざまな観点から、合理的に発注先を選択できるため、いっそう顧客サービスを向上させることができる。特に、交換レートが急変するときには、カバー銀行ごとの約定率や為替スプレッドがばらつきやすくなる。為替取引支援装置100は、こういった急変時においても、リアルタイムに最適なカバー銀行を選択できるため、顧客利益に貢献しやすい。未選択検出部152が、所定期間以上、為替取引注文が発注されていないカバー銀行を未選択機関として定期的にチェックするため、各カバー銀行についての応答時間は定期的に取得できる。
更に、為替取引支援装置100は、必要に応じて、為替取引注文の取引量を分割することにより、為替取引注文の確実・迅速な約定がいっそう実現されやすくなっている。また、取引量が大きいときに分割するという条件を設ければ、1つのカバー銀行の交換レートに過度に影響を与えてしまうのを防ぎやすくなる。為替取引の取扱高が小さな銀行を発注先として選択する場合には、為替取引注文に指定される取引量の一部を別の銀行に発注してもよい。また、為替取引サービス期間外の銀行や応答時間が長い銀行を選択対象から除外しておくことにより、発注先選択部140の処理効率を向上させることができる。本実施例においては、状態情報に基づいて、サービス期間中か否かを判定するとして説明したが、為替取引支援装置100が各為替取引システム204にサービス期間中か否かを定期的に問い合わせてもよい。このほかにも、約定率が低い銀行や超過量が所定範囲外の銀行を選択対象から除外してもよい。
また、図6に関連して説明したように、為替取引注文を二つ以上の為替取引注文の組み合わせに分解することにより、顧客利益にいっそう貢献できる。また、このような処理方法により、個人投資家でも裁定取引(アービトラージ)を実現しやすい環境を提供できる。
以上、本発明について実施例をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
なお、上記P1〜P4の各観点のいずれを重視するか、考慮するかは顧客との契約に応じて定めてもよい。応答時間の短さを重視する顧客もいれば、約定成功率の高さを重視する顧客もいる。また、注文のうち、40%は約定率の高いカバー銀行に発注し、残りの60%は応答時間の短いカバー銀行に発注するという投資戦略を採用したい顧客もいるかもしれない。発注先選択部140における選択条件を顧客ごとに設定すれば、顧客の多様なニーズに対応できる。
本実施例に示した選択条件以外にも、さまざまな選択条件が考えられる。たとえば、為替スプレッドの小さいカバー銀行や、FX業者との取引実績の多いカバー銀行、為替取引の取扱量が大きいカバー銀行、可用性の高い為替取引システム204が導入されているカバー銀行を優先的に選択してもよい。また、NOKに関する為替取引注文の場合には、ノルウェーや北欧のカバー銀行を優先的に選択してもよい。
更に、為替取引以外への応用も考えられる。複数の株式市場、たとえば、複数の私設夜間取引所や複数国の取引所に同一銘柄の株式が上場されている場合、いずれの取引所にこの株式についての売買注文を発注すべきかを選択するという状況においても、為替取引支援装置100の基本的な考え方を応用可能である。
以上の実施の形態および変形例から把握される発明のいろいろな態様をすでに特許請求の範囲に記載したものも含むかたちにて以下に例示する。「P4:応答時間に基づく選択」に関連し、以下の発明が認識される。
C1.複数の金融機関の為替取引システムおよび顧客端末と通信回線を介して接続され、
顧客端末から、通貨ペアと取引量とを指定した為替取引注文を受信する取引注文受信部と、
前記複数の金融機関の中から前記為替取引注文の発注先となる金融機関を選択する発注先選択部と、
前記発注先となる金融機関の為替取引システムに対して、前記為替取引注文を送信する取引注文送信部と、
前記発注先となる金融機関から、前記為替取引注文の約定通知を受信する約定通知受信部と、
前記為替取引注文を送信してから前記約定通知を受信するまでの時間を応答時間として計測する応答時間計測部と、を備え、
前記発注先選択部は、前記複数の金融機関のうち、過去に約定した為替取引注文についての応答時間が他の金融機関よりも短い金融機関を優先的に選択することを特徴とする為替取引支援装置。
C2.所定期間以上、為替取引注文の発注先として選択されていない金融機関を未選択機関として検出する未選択検出部と、
前記未選択機関が検出されたとき、前記未選択機関に試験的な為替取引注文を送信する試験発注部と、を更に備え、
前記応答時間計測部は、前記試験的な為替取引注文についての応答時間を前記未選択金融機関の応答時間として計測することを特徴とするC1に記載の為替取引支援装置。
C3.前記発注先選択部は、各金融機関の前記応答時間を参照し、前記応答時間が短い金融機関ほど取引量が大きくなるように、前記為替取引注文を複数の為替取引注文に分割した上で前記複数の為替取引注文それぞれの発注先となる金融機関を選択し、
前記取引注文送信部は、発注先として決定された各金融機関の為替取引システムに前記複数の為替取引注文それぞれを送信することを特徴とするC1またはC2に記載の為替取引支援装置。
C4.外部の顧客端末から、通貨ペアと取引量とを指定した為替取引注文を受信する機能と、
複数の金融機関の中から前記為替取引注文の発注先となる金融機関を選択する機能と、
前記発注先となる金融機関の為替取引システムに対して、前記為替取引注文を送信する機能と、
前記発注先となる金融機関から、前記為替取引注文の約定通知を受信する機能と、
前記為替取引注文を送信してから前記約定通知を受信するまでの時間を応答時間として計測する機能と、をコンピュータに発揮させ、
発注先となる金融機関の選択に際しては、前記複数の金融機関のうち、過去に約定した為替取引注文についての応答時間が他の金融機関よりも短い金融機関を優先的に選択することを特徴とする為替取引支援プログラム。
為替取引の概要図である。 為替取引支援装置と顧客端末、為替取引システムの関係を示すハードウェア構成図である。 状態情報のデータ構造を示す図である。 為替取引支援装置の機能ブロック図である。 為替取引注文の受付から発注までの処理過程を示すフローチャートである。 為替取引注文の通貨ペアを分解する処理過程を示すフローチャートである。
符号の説明
100 為替取引支援装置、 200 顧客端末、 204 為替取引システム、 202 インターネット、 212 USD/JPY領域、 214 交換レート領域、 216 約定待機領域、 218 約定率領域、 220 サービス期間領域、 110 銀行IF部、 120 顧客IF部、 130 データ処理部、 160 データ保持部、 112 取引状態受信部、 114 取引注文送信部、 116 約定通知受信部、 118 試験発注部、 140 発注先選択部、 152 未選択検出部、 122 表示部、 124 入力部、 126 取引注文受信部、 162 待機状態保持部、 164 約定率保持部、 166 レート保持部、 168 応答時間保持部、 154 応答時間計測部、 142 待機選択部、 144 約定率選択部、 146 レート

Claims (10)

  1. 複数の金融機関の為替取引システムおよび顧客端末と通信回線を介して接続され、
    各為替取引システムから、各金融機関における為替取引の実行状態を示す状態情報を受信する取引状態受信部と、
    顧客端末から、通貨ペアと取引量とを指定した為替取引注文を受信する取引注文受信部と、
    前記状態情報に基づいて顧客に有利な発注先を選択するための所定の選択条件にしたがって、前記複数の金融機関の中から前記為替取引注文の発注先となる金融機関を選択する発注先選択部と、
    前記選択された金融機関の為替取引システムに対して、前記為替取引注文を送信する取引注文送信部と、
    を備えることを特徴とする為替取引支援装置。
  2. 前記取引状態受信部は、通貨Aと通貨Bの通貨ペアA・Bについて、前記通貨Aを売却して前記通貨Bを購入する売り注文の受注量のうち約定待機中の受注量である売り待機受注量と、前記通貨Aを購入して前記通貨Bを売却する買い注文の受注量うち約定待機中の受注量である買い待機受注量と、を含む情報として前記状態情報を受信し、
    前記取引注文受信部が、前記通貨ペアA・Bについての買い注文を前記為替取引注文として受信したとき、
    前記発注先選択部は、前記通貨ペアA・Bの売り待機受注量から前記通貨ペアA・Bの買い待機受注量を差し引いた超過量が大きい金融機関を優先的に選択することを特徴とする請求項1に記載の為替取引支援装置。
  3. 前記発注先選択部は、各金融機関の前記状態情報を参照し、前記超過量が大きい金融機関ほど取引量が大きくなるように、前記受信された為替取引注文を複数の為替取引注文に分割した上で前記複数の為替取引注文それぞれの発注先となる金融機関を選択し、
    前記取引注文送信部は、発注先として決定された各金融機関の為替取引システムに前記複数の為替取引注文それぞれを送信することを特徴とする請求項2に記載の為替取引支援装置。
  4. 前記取引状態受信部は、通貨Aと通貨Bの通貨ペアA・Bについて、前記通貨Aを購入して前記通貨Bを売却する買い注文の所定期間における受注量と、そのうち約定に成功した受注量である買い約定受注量と、を含む情報として前記状態情報を受信し、
    前記取引注文受信部が、前記通貨ペアA・Bについての買い注文を前記為替取引注文として受信したとき、
    前記発注先選択部は、前記通貨ペアA・Bの買い注文について、前記受注量に対する前記買い約定受注量の比率である約定率が高い金融機関を優先的に選択することを特徴とする請求項1に記載の為替取引支援装置。
  5. 前記発注先選択部は、各金融機関の前記状態情報を参照し、前記約定率が高い金融機関ほど取引量が大きくなるように、前記受信された為替取引注文を複数の為替取引注文に分割した上で前記複数の為替取引注文それぞれの発注先となる金融機関を選択し、
    前記取引注文送信部は、発注先として決定された各金融機関の為替取引システムに前記複数の為替取引注文それぞれを送信することを特徴とする請求項4に記載の為替取引支援装置。
  6. 前記発注先選択部は、前記為替取引注文により指定される取引量が所定量以上であることを条件として、前記為替取引注文を複数の為替取引注文に分割することを特徴とする請求項3または5に記載の為替取引支援装置。
  7. 前記取引状態受信部は、各金融機関の為替取引サービス期間を含む情報として前記状態情報を受信し、
    前記発注先選択部は、各金融機関の前記状態情報を参照し、前記複数の金融機関のうち前記為替取引注文の受信時に為替取引サービスを提供している金融機関の中から、前記為替取引注文の発注先となる金融機関を選択することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の為替取引支援装置。
  8. 前記取引状態受信部は、1以上の通貨ペアについての交換レート、を含む情報として前記状態情報を受信し、
    前記発注先選択部は、前記通貨ペアの交換レートとして、顧客に有利な交換レートを提示する金融機関を優先的に選択することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の為替取引支援装置。
  9. 前記取引状態受信部は、通貨Aを売却して通貨Mを購入するときの交換レートであるA・M売却レートと、前記通貨Mを売却して通貨Bを購入するときの交換レートであるM・B売却レートと、を含む情報として前記状態情報を受信し、
    前記取引注文受信部が、前記通貨Aを売却して前記通貨Bを購入する為替取引注文を受信したとき、
    前記発注先選択部は、顧客に有利なA・M売却レートを提示する第1の金融機関と、顧客に有利なM・B売却レートを提示する第2の金融機関を選択し、
    前記取引注文送信部は、前記通貨Aを売却して通貨Mを購入する第1の為替取引注文と前記通貨Mを売却して前記通貨Bを購入する第2の為替取引注文に前記受信された為替取引注文を分割し、前記第1の為替取引注文を前記第1の金融機関に送信し、前記第2の為替取引注文を前記第2の金融機関に送信することを特徴とする請求項8に記載の為替取引支援装置。
  10. 複数の金融機関の為替取引システムから、各金融機関における為替取引の実行状態を示す状態情報を受信する機能と、
    外部の顧客端末から、通貨ペアと取引量とを指定した為替取引注文を受信する機能と、
    前記状態情報に基づいて顧客に有利な発注先を選択するための所定の選択条件にしたがって、前記複数の金融機関の中から前記為替取引注文の発注先となる金融機関を選択する機能と、
    前記選択された金融機関の為替取引システムに対して、前記為替取引注文を送信する機能と、
    をコンピュータに発揮させることを特徴とする為替取引支援プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016197451A (ja) * 2010-07-13 2016-11-24 エム−ディーエーキュー ピーティーイー リミテッド 外貨で証券を取引する方法とシステム

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