本発明の金融商品取引支援システム1は、外国為替、株式、債券、投資信託、原油などの各種商品先物などのさまざまな金融商品の取引を支援するためのコンピュータシステムである。なお金融商品は上記に限られず、また現物取引、先物取引、オプション取引、証拠金取引などのさまざまな取引形態が含まれる。
図1に本発明の金融商品取引支援システム1の全体構成の一例を模式的に示す。本発明の金融商品取引支援システム1は、好ましくは金融商品の取引またはその情報を投資家に提供する企業(たとえば証券会社や金融商品に関する情報提供会社など)が運営するサーバ2(コンピュータ端末も含む)で実現され、各投資家が利用するコンピュータ端末とネットワークを介して情報の送受信が可能である。
本発明においては投資家として2種類に分けられる。シグナルプロバイダとシグナルユーザである。シグナルプロバイダは、金融商品に対する自らの売買情報をほかの投資家に提供する投資家である。またシグナルユーザは、自らが選択したシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザからの売買情報を受け取り、それに基づいて自らの売買を行う投資家である。従ってシグナルユーザも2種類に分けられ、ほかの投資家からの売買情報に基づいて自らの売買が行われるだけのシグナルユーザと、ほかの投資家からの売買情報に基づいて自らの売買が行われ、さらにその売買情報をほかのシグナルユーザに提供するシグナルユーザである。なお投資家は個人であっても法人であっても良い。
シグナルプロバイダ端末3とは、シグナルプロバイダが利用するコンピュータ端末である。またシグナルユーザ端末4とは、シグナルユーザが利用するコンピュータ端末である。これらのコンピュータ端末は、パーソナルコンピュータのほか携帯電話機、簡易型携帯電話機、PDA、ゲーム機など如何なるものであっても良い。
本発明の金融商品取引支援システム1で用いられるサーバ2やコンピュータ端末は、プログラムの演算処理を実行するCPUなどの演算装置20と、情報を記憶するRAMやハードディスクなどの記憶装置21と、ディスプレイ(画面)などの表示装置22と、キーボードやポインティングデバイス(マウスやテンキーなど)などの入力装置23と、演算装置20の処理結果や記憶装置21に記憶する情報をインターネットやLANなどのネットワークを介して送受信する通信装置24とを有している。コンピュータ上で実現する各機能(各手段)は、その処理を実行する手段(プログラムやモジュールなど)が演算装置20に読み込まれることでその処理が実行される。各機能は、記憶装置21に記憶した情報をその処理において使用する場合には、該当する情報を当該記憶装置21から読み出し、読み出した情報を適宜、演算装置20における処理に用いる。図3にコンピュータ端末、サーバ2のハードウェア構成の一例を模式的に示す。また、コンピュータ端末やサーバ2は、複数のコンピュータ端末またはサーバ2に、その機能が分散配置されていても良いし、一台でその機能が実現されていても良い。
本発明における各手段は、その機能が論理的に区別されているのみであって、物理上あるいは事実上は同一の領域を為していても良い。
またサーバ2は証券会社のコンピュータシステム(証券会社システム)や取引所のコンピュータシステム(取引所システム)、インターバンク市場のコンピュータシステム(インターバンク市場を形成する各金融機関のコンピュータシステム)と適宜、ネットワークを介して注文の情報を送受信することで金融商品の取引が可能となる。ここでサーバ2がどのコンピュータシステムと通信を行うかは、その取り扱う金融商品やサーバ2の構成によって異なる。すなわち証券会社がサーバ2を運営している場合には、直接、株式などの売買情報を取引所システムとの間で送受信すればよいし、外国為替証拠金取引会社(いわゆるFX業者)がサーバ2を運営しており、取引システムを自ら備えていない場合には、証券会社などが運営する証券会社システムとの間で情報を送受信し、それを介してインターバンクのコンピュータシステムとの間で送受信する。なお、上述の証券会社システム、取引所システム、インターバンク市場のコンピュータシステムなどを、本明細書では総称して「マーケットシステム5」と称する。
図2に本発明の金融商品取引支援システム1のサーバ2における各処理機能の一例を模式的に示す。サーバ2には、注文受付部200と確認処理部201と引当参照部202と注文算出部203と注文条件参照部204と注文まとめ処理部205と発注処理部206と約定処理部207と口座処理部208と参照投資家設定部209と投資家情報記憶部210と口座情報記憶部211と取引履歴情報記憶部212とを有している。
注文受付部200は、シグナルプロバイダ端末3やシグナルユーザ端末4から金融商品の売買を行うことを示す情報(売買情報)を受け取る。この売買情報としては、当該売買を発注した投資家を識別する投資家識別情報、金融商品を識別する金融商品識別情報、売買対象とする取引銘柄、数量、売買種別(売りか買いか)、注文方法(指値、成行、不成など)などがある。これらは金融商品の種類などに応じて適宜、変更される。
確認処理部201は、注文受付部200で受け付けた売買情報に基づいて、当該注文の処理が可能かを判定する。例えば当該発注を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザの口座に残高があるか、買付余力や証拠金があるかなどを、後述する口座情報記憶部211を参照することで確認する。なお、売買にあたり必要な買付余力や証拠金などは証券会社などによって定められているので、その基準に従って必要な買付余力や証拠金などを算出した上で、上述の判定処理を行うことが出来る。
引当参照部202は、注文受付部200で受け付けた売買情報における投資家識別情報に基づいて投資家情報記憶部210を参照することで、当該投資家識別情報を有するシグナルプロバイダまたはシグナルユーザを特定する。そして特定されたシグナルプロバイダまたはシグナルユーザに紐づけられたシグナルユーザ(その投資家識別情報)を特定する。つまり、売買発注を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザと同一の売買を行うように設定したシグナルユーザを特定する。
注文算出部203は、注文受付部200で受け付けた売買情報における取引数量の情報に基づいて、当該発注を行ったシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザに紐づけられたユーザが、どの程度の数量の発注を行うかを算出する。まず、当該発注を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザの資産のうちの何割を発注したかを算出する。例えば、あるシグナルプロバイダの証拠金が100万円であった場合、そのうち証拠金が40万円となる発注が行われた場合には、当該シグナルプロバイダの投資家識別情報に基づいて口座情報を参照することで、当該シグナルプロバイダの口座情報から証拠金の総額(ここでは100万円)を抽出し、今回の発注の証拠金(ここでは40万円)がどの程度の割合であるかを算出し、例えば全証拠金のうちの2/5であることを算出する。そして後述する注文条件参照部204で特定した注文条件と、上述で算出した割合などに基づいて、当該紐づけられたシグナルユーザの注文数量を算出する。
なお、後述するように、資産配分率が設定されている場合には、さらに資産配分率を乗算して算出しても良い。例えばあるシグナルプロバイダにシグナルユーザが50%の資産配分率を設定している場合、上述の全証拠金のうち2/5であることを算出した後、さらに資産配分率1/2を乗算することで、使用する証拠金の額として全証拠金のうち1/5であることを算出し、その値に基づいて当該シグナルユーザの注文数量を算出しても良い。
注文条件参照部204は、引当参照部202で特定した、売買発注を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザに紐づけられたシグナルユーザに、注文条件が設定されているかを、投資家情報記憶部210を参照することで特定する。例えば、シグナルプロバイダの2倍の取引を行う注文条件が設定されているか、などの注文条件があるかを投資家情報記憶部210を参照することで特定する。
注文まとめ処理部205は、最初に発注を行った(注文受付部200で売買情報を受け付けた)シグナルプロバイダまたはシグナルユーザの注文と、当該シグナルプロバイダまたはシグナルユーザに紐づけられたシグナルユーザの注文とを、一つの注文にまとめた注文情報を生成する。すなわち、最初に発注を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザの売買情報における注文数量と、当該シグナルプロバイダまたはシグナルユーザに紐づけられたシグナルユーザの注文条件に従った注文数量(注文条件が設定されていない場合には最初に発注を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザの売買情報における注文数量と同一の注文数量)とを合計し、合計した注文数量の注文を生成する。
発注処理部206は、注文受付部200で受け付けた売買情報における金融商品識別情報、売買対象とする取引銘柄、売買種別、注文方法、注文まとめ処理部205で合計した注文数量などの注文情報を、所定のマーケットシステム5に適宜、発注する。ここで発注した注文情報は、後述する取引履歴情報記憶部212に取引を識別する情報に対応づけて記憶させる。取引履歴情報記憶部212には、取引識別情報、当該注文を行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザのそれぞれの注文数量(またはその比率)と投資家識別情報とを少なくとも記憶させることが好ましい。
約定処理部207は、発注処理部206でマーケットシステム5に対して発注した注文が約定した場合(マーケットシステム5から約定したことを示す情報を受け取った場合)、その約定処理を行う。約定には全部約定、部分約定、約定なしの3種類がある。全部約定とは、発注した注文数量の全てが約定した場合であり、部分約定とは発注した注文数量の一部が約定した場合であり、約定なしとは発注した注文数量の全てが約定しなかった場合である。全部約定した場合には、約定処理部207は、注文数量全体における各シグナルプロバイダまたはシグナルユーザの注文数量の比率に応じて約定の引当処理を行う。また部分約定した場合には、約定処理部207は、約定した注文数量について、注文数量全体における各シグナルプロバイダまたはシグナルユーザの注文数量の比率に応じた按分処理を行い、約定の引当処理を行う。また約定なしの場合には当該注文を破棄する(破棄とは注文の失効を示すフラグを立てるなど、当該注文が有効ではないことを意味する処理を実行する)。また約定処理部207は、取引履歴情報記憶部212の当該注文情報に対応づけて、約定したことを示す情報を記憶させる。
口座処理部208は、約定処理部207での約定の引当処理後、当該引当処理に応じて、各シグナルプロバイダまたはシグナルユーザのポジションをそれぞれ口座情報記憶部211に反映し、また実際の証券口座(証券会社システムで管理する証券口座における情報)との同期処理を実行する。
参照投資家設定部209は、シグナルユーザが同一の売買を希望する、シグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを設定する。設定した情報は、投資家情報記憶部210に記憶される。
投資家情報記憶部210は、各投資家(シグナルプロバイダ、シグナルユーザ)に関する情報を記憶しており、投資家識別情報、紐づけている(自らが同一の売買を行うとして設定している)シグナルプロバイダまたはシグナルユーザの投資家識別情報、紐づけられている(ほかのシグナルユーザが自らと同一の売買を行うとして設定している)シグナルユーザの投資家識別情報、注文条件などが記憶されている。図5に投資家情報記憶部210の一例を模式的に示す。なお図5の一例において、参照、被参照関係を模式的に示すのが図6である。すなわちシグナルユーザ「SU1」は、シグナルプロバイダ「SP1」およびシグナルプロバイダ「SP2」を参照しており、シグナルユーザ「SU3」に参照されている。またシグナルユーザ「SU2」はシグナルプロバイダ「SP1」を参照している。ここで「参照している」とは「紐づけている」ことを意味しており、すなわち、シグナルユーザ「SU1」は、シグナルプロバイダ「SP1」またはシグナルプロバイダ「SP2」が売買を行った場合、その売買によって、自ら設定している注文条件(シグナルプロバイダ「SP1」と同一の比率、シグナルプロバイダ「SP2」と同一の比率)に従って売買を行う。またシグナルユーザ「SU1」はシグナルプロバイダ「SP3」に参照されているので(紐づけられているので)、シグナルユーザ「SU1」で売買が行われる場合、シグナルユーザ「SU3」は、シグナルユーザ「SU1」の売買によって、自ら(シグナルユーザ「SU3」)が設定している注文条件に従って売買を行う。
なお図5における資産配分とは、自らの資産のうち最大で何割を紐づけたシグナルプロバイダまたはシグナルユーザに配分するかを示す情報であり、図5の場合、シグナルユーザ「SU1」は、紐づけたシグナルプロバイダ「SP1」には最大で60%、紐づけたシグナルプロバイダ「SP2」には最大で40%を配分することを示す。また、ロスカットとは、損失が出ている場合にどの程度の損失が出た時点で自動的に反対売買を行うかを示す情報である。例えばロスカットが「−10%」であれば、10%の損失が出た時点で自動的に反対売買を行うことを示す。利食いとは、利益が出ている場合にどの程度の利益が出た時点で自動的に反対売買を行うかを示す情報である。例えば利食いが「20%」であれば、20%の利益が出た時点で自動的に反対売買を行うことを示す。利用期間とは当該シグナルユーザが紐づけた参照関係をどの程度の期間、有効とするか、を示す情報である。例えば利用期間が「14日」であれば、シグナルユーザ「SU1」がシグナルプロバイダ「SP1」に紐付けをするのは14日間であることを示す。
口座情報記憶部211は、各投資家の証券口座に関する情報を記憶している。例えば投資家識別情報、保有している金融商品(ポジション)の残高、買付余力や証拠金の残高、銘柄、買付日などの情報が記憶されている。なお口座情報記憶部211は、証券会社で管理している証券口座と同期していることが好ましいが、証券口座そのものであっても良い。口座情報記憶部211の一例を図7に模式的に示す。
取引履歴情報記憶部212は、注文を識別する情報(注文識別情報)、注文まとめ処理部205が生成した注文情報、当該注文情報におけるシグナルプロバイダ、シグナルユーザの注文数量に応じた比率、約定に関する情報(約定を示す情報(全部約定、一部約定、取消、変更、破棄など)、約定数量を示す情報など)、注文日時、約定日時などの取引履歴に関する情報が記憶されている。なお取引履歴情報は、約定処理部207で約定処理が行われたあと、あるいは口座処理部208で口座への反映処理が行われたあとなど、所定のタイミングで記憶される。
次に本発明の金融商品取引支援システム1における処理プロセスの一例を図4のフローチャート、図5の概念図を用いて説明する。なお本実施例では金融商品取引として、外国為替証拠金取引(金融商品が外国為替)の場合を説明する。また各シグナルプロバイダ、シグナルユーザの参照関係は図5(図6)と同様であるとする。さらに口座情報記憶部211に記憶されている各シグナルプロバイダ、シグナルユーザの情報は図9であるとする。図8に、本実施例における金融商品の取引の概略を模式的に示す。
なお実施例1の場合は外国為替証拠金取引であるので、注文算出部203は、シグナルプロバイダが発注した売買注文について、当該シグナルプロバイダの全証拠金のうち今回発注した売買による証拠金の比率(証拠金比率)に基づいて、ほかのシグナルユーザの売買の注文数量が算出するが、証拠金比率ではなく、売買数量の比率に基づいて、当該シグナルプロバイダに紐づけているシグナルユーザの売買の注文数量の算出を行っても良い。特に金融商品が株式の場合、発注を行ったシグナルプロバイダの売買数量の注文数量に対する比率で、当該シグナルプロバイダに紐づけているシグナルユーザの売買の注文数量の算出を行っても良い。
まず各シグナルユーザは、自らを紐づけるシグナルプロバイダまたはシグナルユーザを所定の方法で設定する(S100)。例えば、図10に示すようなシグナルプロバイダ、シグナルユーザのパフォーマンスを示す画面から選択を行い、その情報をサーバ2の参照投資家設定部209で受け付けることで設定が出来る。この画面には、シグナルプロバイダのうちパフォーマンスが良いものから順にリスト化されて表示されていたり、シグナルプロバイダに紐付けを行っているシグナルユーザのうちパフォーマンスが良いものから順にリスト化されて表示されている。
このような画面からシグナルユーザ「SU1」乃至シグナルユーザ「SU3」は、自らを紐づけるシグナルプロバイダまたはシグナルユーザを選択する。ここでシグナルユーザ「SU1」はシグナルプロバイダ「SP1」、シグナルプロバイダ「SP2」に紐づけることを選択し、シグナルユーザ「SU2」はシグナルプロバイダ「SP1」に紐づけることを選択し、シグナルユーザ「SU3」はシグナルユーザ「SU1」に紐づけることを選択する。これらの情報を各シグナルユーザ端末4からサーバ2の参照投資家設定部209が受け取ると、参照関係が投資家情報記憶部210にそれぞれ記憶される(S110)。この状態の投資家情報記憶部210の一例が図5である。またこの際に紐付けを行ったシグナルプロバイダまたはシグナルユーザに対する注文条件の設定を行っても良い。
シグナルユーザが、シグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザに紐付けを行ったのち、紐づけられたシグナルプロバイダが何らかの売買の発注を行ったとする(S120)。ここではシグナルプロバイダ「SP1」がドル円(USD/JPY)を100.00円の指値で、10,000通貨単位を4ロットの売りを注文したとする。そうするとシグナルプロバイダ「SP1」が利用するシグナルプロバイダ端末3からサーバ2に、投資家識別情報として「SP1」、銘柄として「ドル円」、数量として「10,000通貨単位を4ロット」、売買種別として「売り」、注文方法として「指値」などを含む売買情報が送られる。
シグナルプロバイダ端末3からの上記売買情報をサーバ2の注文受付部200が受け付ける。そうすると確認処理部201は、当該シグナルプロバイダが上記売買を行えるのかを上記売買情報に基づいて口座情報記憶部211(ここでは図9)を参照することで照会・確認する。すなわち上記売買情報に基づいて必要な証拠金を算出し(ここでは400,000円とする)、投資家識別情報「SP1」に基づいて口座情報記憶部211に記憶する証拠金の総額、使用している証拠金などを参照し、余剰の証拠金があるかを照会・確認する(S130)。
そうすると確認処理部201は、SP1の証拠金の総額が1,000,000円であり、使用している証拠金が0円なので、売買が行えることを判定する。
確認処理部201において売買が行えることを確認すると、引当参照部202は、注文受付部200で受け付けた売買情報の投資家識別情報「SP1」に基づいて投資家情報記憶部210を参照し、SP1に紐づけられているシグナルユーザがいるかを判定する(S140)。もしいない場合には、通常どおり、そのまま発注処理を行う(S220)。またいる場合には、当該シグナルユーザに更に紐づけられているシグナルユーザがいるかを投資家識別情報に基づいて、投資家情報記憶部210を更に参照することで判定する。
ここでは、「SP1」には「SU1」、「SU2」が紐づけられており、さらに「SU1」には、「SU3」が紐づけられていることを引当参照部202は判定する(S140、S150)。
次に注文条件参照部204は、S150で判定した、「SP1」のシグナルプロバイダに紐づけられている各シグナルユーザ(「SU1」、「SU2」)と、「SU1」のシグナルユーザに紐づけられているシグナルユーザ(「SU3」)とについて、それぞれの投資家識別情報に基づいて投資家情報記憶部210を参照することで、各シグナルユーザの注文条件を参照し(S160)、注文条件を各シグナルユーザについて特定する(S170、S180)。
すなわち注文条件参照部204は、シグナルユーザ「SU1」について投資家情報記憶部210を参照すると、シグナルプロバイダ「SP1」と同一の比率での注文を行い、且つ資産配分が最大で「60%」なので、シグナルユーザ「SU1」の全証拠金「60%」を超えない範囲でシグナルプロバイダ「SP1」と同一の証拠金比率での注文を行う注文条件であることを抽出する。
また注文条件参照部204は、シグナルユーザ「SU2」について投資家情報記憶部210を参照すると、シグナルプロバイダ「SP1」の半分の証拠金比率での注文を行う注文条件であることを抽出する。
さらに注文条件参照部204は、シグナルユーザ「SU3」について投資家情報記憶部210を参照すると、シグナルユーザ「SU1」の2倍の証拠金比率での注文を行う注文条件であることを抽出する。
以上のようにして注文条件参照部204が各シグナルユーザの注文条件を投資家情報記憶部210から抽出すると、注文算出部203が各シグナルユーザについての注文比率を算出する(S190)。
すなわち注文算出部203は、シグナルユーザ「SU1」について、シグナルユーザ「SU1」の全証拠金「60%」を超えない範囲でシグナルプロバイダ「SP1」と同一の証拠金比率での注文条件なので、全証拠金の40%の注文比率であることを算出する。また注文算出部203は、シグナルユーザ「SU2」について、シグナルプロバイダ「SP1」の半分の証拠金比率での注文を行う注文条件なので、全証拠金の20%の注文比率であることを算出する。同様に注文算出部203は、シグナルユーザ「SU3」について、全証拠金の「80%」の注文比率であることを算出する。
以上のようにして注文算出部203が各シグナルユーザの注文比率を算出すると、各シグナルユーザの全証拠金の金額に当該算出した注文比率を乗算することで、注文算出部203は、使用する証拠金の金額を算出する(S190)。すなわち、シグナルユーザ「SU1」については全証拠金の金額が1,000,000円なので400,000円、シグナルユーザ「SU2」については全証拠金の金額が1,000,000円なので200,000円、シグナルユーザ「SU3」については全証拠金の金額が5,000,000円なので4,000,000円となる。なおこの際に、確認処理部201が、各シグナルユーザの余剰の証拠金の金額と比較し、注文を行えるかを確認し、行えない場合には、当該シグナルユーザについては注文を中止しても良いし、余剰の証拠金の金額の方が少ない場合には使用する証拠金の金額として、余剰の証拠金の金額としても良い。
そして注文算出部203は上記で算出した、使用する証拠金の金額に対応する注文数量を算出する。すなわち、シグナルユーザ「SU1」については「10,000通貨単位を4ロット」、シグナルユーザ「SU2」については「10,000通貨単位を2ロット」、シグナルユーザ「SU3」については「10,000通貨単位を40ロット」として算出できる。
以上のように注文算出部203でシグナルプロバイダ「SP1」に紐づけられたシグナルユーザ「SU1」、シグナルユーザ「SU2」、さらにシグナルユーザ「SU1」に紐づけられたシグナルユーザ「SU3」のそれぞれの注文数量を算出すると、注文まとめ処理部205は、それらの注文数量を合計し、一つの注文として生成する(S200)。
すなわち、シグナルプロバイダ「SP1」の注文数量が「10,000通貨単位を4ロット」、シグナルユーザ「SU1」の注文数量が「10,000通貨単位を4ロット」、シグナルユーザ「SU2」の注文数量が「10,000通貨単位を2ロット」、シグナルユーザ「SU3」の注文数量が「10,000通貨単位を40ロット」なので、それらを合計し、「10,000通貨単位を50ロット」として算出する。そして注文まとめ処理部205は、注文受付部200で受け付けた売買情報に基づいて、銘柄として「ドル円」、数量として「10,000通貨単位を50ロット」、売買種別として「売り」、注文方法として「指値」の注文情報を生成する。そして注文まとめ処理部205が生成した注文情報を、発注処理部206が、マーケットシステム5に対して送信する(S210)。マーケットシステム5のうちのどのシステムに送信するかはその取引形態などに応じて任意に設定可能である。
なお、注文まとめ処理部205が生成した注文情報について、注文識別情報、シグナルプロバイダ、シグナルユーザの注文数量に応じた比率などの取引履歴に関する情報を対応づけて取引履歴情報記憶部212に記憶させておく。
また発注処理部206が発注処理を行うことで、口座情報記憶部211に記憶する各シグナルプロバイダ、シグナルユーザの使用している証拠金の情報を更新する。例えば図11のように更新する。
以上のようにサーバ2の発注処理部206が、マーケットシステム5に発注を行うと、そこで金融商品の取引が行われる(S220)。この取引は通常どおりである。
所定時間内に約定しなかった場合には、それを示す情報が発注を行ったマーケットシステム5から送られ、それをサーバ2の約定処理部207で受け取る。約定処理部207では当該発注を行った注文情報について、失効したことを示す情報を取引履歴情報記憶部212に記憶させる(S230)。そして各シグナルプロバイダ、シグナルユーザについて証拠金の情報を発注前の状態に更新する(すなわち図9の状態に戻す)(S270)。
一方、所定時間内に全部約定した場合には、それを示す情報が発注を行ったマーケットシステム5から送られ、それをサーバ2の約定処理部207で受け取る。約定処理部207では、約定した情報に基づいて、取引履歴情報記憶部212を参照し、当該注文情報の注文比率に応じた約定の引当処理が行われ(S250)、それぞれのポジションに反映される(S260)。すなわち、ドル円について「100.00円」で、シグナルプロバイダ「SP1」については「10,000通貨単位が4ロット」、シグナルユーザ「SU1」については「10,000通貨単位が4ロット」、シグナルユーザ「SU2」については「10,000通貨単位が2ロット」、シグナルユーザ「SU3」については「10,000通貨単位が40ロット」の「売り」が成立したことを引き当て、ポジションが反映される。
この約定処理部207の処理に従い、口座情報処理部は、それぞれのポジションを口座情報記憶部211に反映・記憶させる(S270)。この状態を模式的に示すのが図12である。なお外国為替証拠金取引の場合、各会社で所定の、取引に対する証拠金が積まれるので、所定の証拠金が使用状態となる。ここでは図12の証拠金が使用状態となった場合を示す。
なおS220の約定処理において、全部約定ではなく、一部が約定した場合には、約定した注文数量について按分処理を行い(S240)、各シグナルプロバイダ、シグナルユーザについて約定の引当処理などを行う。すなわちS250以降の処理を実行する。
例えば50ロットのうち、半分の25ロットが約定した情報を約定処理部207で受け取ったとする。そうすると、約定処理部207は、取引履歴情報記憶部212に記憶した注文情報を参照し、シグナルプロバイダ「SP1」は注文数量の8%、シグナルユーザ「SU1」は注文数量の8%、シグナルユーザ「SU2」は注文数量の4%、シグナルユーザ「SU3」は注文数量の80%であることを算出し、シグナルプロバイダ、シグナルユーザ毎の約定数量を按分処理する。すなわちシグナルプロバイダ「SP1」について2ロット(=25×0.08)、シグナルユーザ「SU1」について2ロット(=25×0.08)、シグナルユーザ「SU2」について1ロット(=25×0.04)、シグナルユーザ「SU3」について20ロット(=25×0.8)を算出し、それぞれについて約定の引当処理を行い、口座情報処理部が、口座情報記憶部211の各シグナルプロバイダ、シグナルユーザのポジションの情報を反映することとなる。
以上の処理をサーバ2が実行することで、シグナルプロバイダとそれに紐づけられているシグナルユーザの売買を同一のタイミングで行うことが可能となる。
実施例1では金融商品取引として外国為替証拠金取引の場合を説明したが、本実施例では株式の現物取引の場合を以下に説明する。また実施例1と同様に、各シグナルプロバイダ、シグナルユーザの参照関係は図5(図6)と同様であるとする。さらに口座情報記憶部211に記憶されている各シグナルプロバイダ、シグナルユーザの情報は図13、投資家情報記憶部210は図14であるとする。なお本実施例では、実施例1とは異なり、シグナルユーザ「SU3」は、紐付けをするシグナルユーザ「SU1」の買付余力に対する比率ではなく、買い付けた数量に対する比率(本実施例では3倍)の売買を行うとして設定したとする。
図15に、本実施例における金融商品の取引の概略を模式的に示す。なお株式の現物取引の場合には証拠金を使用せず、証券口座におけるMRF(Money Reserve Fund)残高などに応じて買付余力の金額が定まるので、口座情報記憶部211では証拠金の総額、使用している証拠金の金額の代わりに、買付余力の金額が情報として格納されている。このように、口座情報記憶部211には、その金融商品取引に応じて適宜、必要な情報が記憶される(例えば信用取引の場合には委託保証金の金額など)。また本実施例は、現物取引なので、原則としてポジションは買いであるが、信用取引などの場合には、売りポジションを持つことも可能となる。
まず各シグナルユーザは、自らが紐づけるシグナルプロバイダまたはシグナルユーザを所定の方法で設定する(S100)。この設定については実施例1と同様なので説明を省略する。この設定でそれぞれ紐づけられた状態の投資家情報記憶部210が図14である(S110)。
シグナルユーザが、シグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザに紐付けを行ったのち、紐づけられたシグナルプロバイダが何らかの売買の発注を行ったとする(S120)。ここではシグナルプロバイダ「SP1」がA社株式を100円で4,000株の買いを注文したとする。そうするとシグナルプロバイダ「SP1」が利用するシグナルプロバイダ端末3からサーバ2に、投資家識別情報として「SP1」、銘柄として「A社株式」、数量として「4,000株」、売買種別として「買い」、注文方法として「指値」などを含む売買情報が送られる。
シグナルプロバイダ端末3からの上記売買情報をサーバ2の注文受付部200が受け付ける。そうすると確認処理部201は、当該シグナルプロバイダ「SP1」が上記売買を行えるのかを上記売買情報に基づいて口座情報記憶部211(ここでは図14)を参照することで照会・確認する。すなわち上記売買情報に基づいて必要な買付余力を算出し、投資家識別情報「SP1」に基づいて口座情報記憶部211に記憶する買付余力を参照し、買付余力があるかを照会・確認する(S130)。
そうすると確認処理部201は、SP1の買付余力の総額が1,000,000円であるので、売買が行えることを判定する。
確認処理部201において売買が行えることを確認すると、引当参照部202は、注文受付部200で受け付けた売買情報の投資家識別情報「SP1」に基づいて投資家情報記憶部210を参照し、SP1に紐づけられているシグナルユーザがいるかを判定する(S140)。もしいない場合には、通常どおり、そのまま発注処理を行う(S220)。またいる場合には、当該シグナルユーザに更に紐づけられているシグナルユーザがいるかを投資家識別情報に基づいて、投資家情報記憶部210を更に参照することで判定する。
ここでは、「SP1」には「SU1」、「SU2」が紐づけられており、さらに「SU1」には、「SU3」が紐づけられていることを引当参照部202は判定する(S140、S150)。
次に注文条件参照部204は、S150で判定した、「SP1」のシグナルプロバイダに紐づけられている各シグナルユーザ(「SU1」、「SU2」)と、「SU1」のシグナルユーザに紐づけられているシグナルユーザ(「SU3」)とについて、それぞれの投資家識別情報に基づいて投資家情報記憶部210を参照することで、各シグナルユーザの注文条件を参照し(S160)、注文条件を各シグナルユーザについて特定する(S170、S180)。
すなわち注文条件参照部204は、シグナルユーザ「SU1」について投資家情報記憶部210を参照すると、シグナルプロバイダ「SP1」と同一の比率での注文を行い、且つ資産配分が最大で「60%」なので、シグナルユーザ「SU1」の買付余力「60%」を超えない範囲でシグナルプロバイダ「SP1」と同一の買付余力に対する比率での注文を行う注文条件であることを抽出する。
また注文条件参照部204は、シグナルユーザ「SU2」について投資家情報記憶部210を参照すると、シグナルプロバイダ「SP1」の半分の買付余力に対する比率での注文を行う注文条件であることを抽出する。
さらに注文条件参照部204は、シグナルユーザ「SU3」について投資家情報記憶部210を参照すると、シグナルユーザ「SU1」の3倍の買付数量での注文を行う注文条件であることを抽出する。
以上のようにして注文条件参照部204が各シグナルユーザの注文条件を投資家情報記憶部210から抽出すると、注文算出部203が各シグナルユーザについての注文比率を算出する(S190)。
すなわち注文算出部203は、シグナルユーザ「SU1」について、シグナルユーザ「SU1」の買付余力「60%」を超えない範囲でシグナルプロバイダ「SP1」と同一の買付余力に対する比率での注文条件なので、買付余力の40%の注文比率であることを算出する。また注文算出部203は、シグナルユーザ「SU2」について、シグナルプロバイダ「SP1」の半分の買付余力に対する比率での注文を行う注文条件なので、買付余力の20%の注文比率であることを算出する。
以上のようにして注文算出部203が各シグナルユーザの注文比率を算出すると、各シグナルユーザの買付余力の金額に当該算出した注文比率を乗算することで、注文算出部203は使用する買付余力の金額を算出する(S190)。なおシグナルユーザ「SU3」は、買付数量がシグナルユーザ「SU1」の3倍の買付数量(買付額)であるので、使用する買付余力の金額として、シグナルユーザ「SU1」の3倍であることを算出する。
すなわち、シグナルユーザ「SU1」については買付余力の金額が1,000,000円なので400,000円、シグナルユーザ「SU2」については買付余力の金額が1,000,000円なので200,000円、シグナルユーザ「SU3」については、シグナルユーザ「SU1」の使用する買付余力の金額が400,000円なので1,200,000円となる。なおこの際に、確認処理部201が、各シグナルユーザの買付余力の金額と比較し、注文を行えるかを確認し、行えない場合には、当該シグナルユーザについては注文を中止しても良いし、買付余力の金額の方が少ない場合には使用する買付余力として、買付余力の金額としても良い。
そして注文算出部203は上記で算出した、使用する証拠金の金額に対応する注文数量を算出する。すなわち、シグナルユーザ「SU1」については4,000株、シグナルユーザ「SU2」については2,000株、シグナルユーザ「SU3」については12,000株として算出できる。
以上のように注文算出部203でシグナルプロバイダ「SP1」に紐づけられたシグナルユーザ「SU1」、シグナルユーザ「SU2」、さらにシグナルユーザ「SU1」に紐づけられたシグナルユーザ「SU3」のそれぞれの注文数量を算出すると、注文まとめ処理部205は、それらの注文数量を合計し、一つの注文として生成する(S200)。
すなわち、シグナルプロバイダ「SP1」の注文数量が4,000株、シグナルユーザ「SU1」の注文数量が4,000株、シグナルユーザ「SU2」の注文数量が2,000株、シグナルユーザ「SU3」の注文数量が12,000株なので、それらを合計し、22,000株として算出する。そして注文まとめ処理部205は、注文受付部200で受け付けた売買情報に基づいて、銘柄として「A社株式」、数量として「22,000株」、売買種別として「買い」、注文方法として「指値」の注文情報を生成する。そして注文まとめ処理部205が生成した注文情報を、発注処理部206が、マーケットシステム5に対して送信する(S210)。マーケットシステム5のうちのどのシステムに送信するかはその取引形態などに応じて任意に設定可能である。
なお、注文まとめ処理部205が生成した注文情報について、注文識別情報、シグナルプロバイダ、シグナルユーザの注文数量に応じた比率などの取引履歴に関する情報を対応づけて取引履歴情報記憶部212に記憶させておく。
また発注処理部206が発注処理を行うことで、口座情報記憶部211に記憶する各シグナルプロバイダ、シグナルユーザの使用している買付余力の情報を更新する。例えば図16のように更新する。
以上のようにサーバ2の発注処理部206が、マーケットシステム5に発注を行うと、そこで金融商品の取引が行われる(S220)。この取引は通常どおりである。
所定時間内に約定しなかった場合には、それを示す情報が発注を行ったマーケットシステム5から送られ、それをサーバ2の約定処理部207で受け取る。約定処理部207では当該発注を行った注文情報について、失効したことを示す情報を取引履歴情報記憶部212に記憶させる(S230)。そして各シグナルプロバイダ、シグナルユーザについて買付余力の情報を発注前の状態に更新する(すなわち図13の状態に戻す)(S270)。
一方、所定時間内に全部約定した場合には、それを示す情報が発注を行ったマーケットシステム5から送られ、それをサーバ2の約定処理部207で受け取る。約定処理部207では、約定した情報に基づいて、取引履歴情報記憶部212を参照し、当該注文情報の注文比率に応じた約定の引当処理が行われ(S250)、それぞれのポジションに反映される(S260)。すなわち、A社株式について「100円」で、シグナルプロバイダ「SP1」については4,000株、シグナルユーザ「SU1」については4,000株、シグナルユーザ「SU2」については2,000株、シグナルユーザ「SU3」については12,000株の「買い」が成立したことを引き当て、ポジションが反映される。
この約定処理部207の処理に従い、口座情報処理部は、それぞれのポジションを口座情報記憶部211に反映・記憶させる(S270)。この状態を模式的に示すのが図17である。
なおS220の約定処理において、全部約定ではなく、一部が約定した場合には、約定した注文数量について按分処理を行い(S240)、各シグナルプロバイダ、シグナルユーザについて約定の引当処理などを行う。すなわちS250以降の処理を実行する。
例えば22,000株のうち、半分の11,000株が約定した情報を約定処理部207で受け取ったとする。そうすると、約定処理部207は、取引履歴情報記憶部212に記憶した注文情報を参照し、シグナルプロバイダ「SP1」は注文数量の18%、シグナルユーザ「SU1」は注文数量の18%、シグナルユーザ「SU2」は注文数量の9%、シグナルユーザ「SU3」は注文数量の55%であることを算出し、シグナルプロバイダ、シグナルユーザ毎の約定数量を按分処理する。すなわちシグナルプロバイダ「SP1」について2,000株(≒11,000×0.18)、シグナルユーザ「SU1」について2,000株(≒11,000×0.18)、シグナルユーザ「SU2」について1,000株(≒11,000×0.09)、シグナルユーザ「SU3」について6,000株(≒11,000×0.55)を算出し、それぞれについて約定の引当処理を行い、口座情報処理部が、口座情報記憶部211の各シグナルプロバイダ、シグナルユーザのポジションの情報を反映することとなる。なお株式の場合、単元株制度があるので、それぞれ単元株単位で丸めて誤差を処理する必要がある。上述の例では単元株が1,000株の場合、1,000株単位となるように調整を約定処理部207が行う。
以上の処理をサーバ2が実行することで、シグナルプロバイダとそれに紐づけられているシグナルユーザの売買を同一のタイミングで行うことが可能となる。
次に実施例1および実施例2において、シグナルユーザが、紐付けを行うシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを設定する際の処理を説明する。図18に、シグナルユーザが、紐付けを行うシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを設定する際の処理プロセスの一例を模式的に示すフローチャートを示す。
サーバ2は、各シグナルプロバイダ、シグナルユーザについての、口座情報記憶部211に記憶するポジション情報、投資家情報記憶部210に記憶する投資家(シグナルプロバイダやシグナルユーザ)の参照関係の情報、取引履歴情報記憶部212に記憶する取引履歴情報などの所定の項目を所定のタイミングで抽出し、日次、週次、月次などの所定期間のパフォーマンス毎に並べ替えを行う。そしてシグナルプロバイダとしてパフォーマンスが良い順、あるいはシグナルプロバイダ(あるいはほかのシグナルユーザ)に紐付けを行っているシグナルユーザとしてパフォーマンスが良い順などのシグナルプロバイダ、シグナルユーザのリストを生成し、記憶しておく(S300)。
シグナルユーザがこのリストの閲覧を希望する場合には、例えば所定の画面にアクセスすることで、当該リストが表示された画面がシグナルユーザ端末4に表示される(S310)。
例えば図10に示す画面、図19や図20に示す画面などである。図10はシグナルユーザ固有の画面(マイページ)であり、図19および図20は、図10で特定のシグナルプロバイダやシグナルユーザを選択した場合に表示される、当該選択されたシグナルプロバイダやシグナルユーザのパフォーマンスなどを詳細に示す画面である。なおこれらの画面は、口座情報記憶部211、投資家情報記憶部210、取引履歴情報記憶部212などを適宜参照することで生成される。
ここで所定の方法で、紐付けを行う設定を画面から選択すると、例えば図21に示す画面がシグナルユーザ端末4で表示される。
図21に示す画面の上段は、シグナルプロバイダやシグナルユーザを直接設定する場合の入力欄であり、下段は、後述する洗替処理を自動的に行う設定の入力欄である。
ほかの投資家(シグナルプロバイダやシグナルユーザ)の投資行動と同一の投資行動を取ることを希望した場合、例えば図21に示すような各シグナルユーザの画面の上段から、紐付けを行うシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザを選択する(S320、S330)。
さらに当該紐付けを行ったシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザに対する注文条件の設定を行う(S340)。注文条件とは、紐付けを行ったシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザの売買情報に対して、自らがどのような条件をつけるのかを示す情報であり、例えば紐付けを行ったシグナルプロバイダの証拠金比率(買付余力比率)と同一の比率で売買を行う、紐付けを行ったシグナルプロバイダの証拠金比率(買付余力比率)の半分の比率で売買を行う、紐付けを行ったシグナルプロバイダの証拠金比率(買付余力比率)の2倍の比率で売買を行う、紐付けを行ったシグナルプロバイダと同一の数量で売買を行う、紐付けを行ったシグナルプロバイダの半分の数量で売買を行う、などがある。また比率や数量のみならず、売買を設定できても良い。つまり紐付けを行ったシグナルプロバイダと同一の売買設定(シグナルプロバイダが「買い」を行えば自らも「買い」とし、シグナルプロバイダが「売り」を行えば自らも「売り」とする)を行う、あるいは逆の売買設定(シグナルプロバイダが「買い」を行えば自らは「売り」とし、シグナルプロバイダが「買い」を行えば自らは「売り」)を行う、といったような設定がある。
ほかにも当該紐付けを行ったシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザを、自らの証拠金(買付余力)のうちの何割まで割り当てるか、ロスカットや利食いのタイミング、当該紐付けの利用期間、などの注文条件を設定する。
以上のように、紐付けを行うシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザ、それに対する注文条件を設定すると、それらの情報が、当該シグナルユーザのシグナルユーザ端末4からサーバ2に送られる(この際に当該シグナルユーザの投資家識別情報も送られる)。そしてサーバ2の参照投資家設定部209がそれらの情報を受け取り、当該シグナルユーザの投資家情報記憶部210に、受け取った各情報をそれぞれ記憶させる(S350)。以上のような処理で、直接、シグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを選択して紐付けを行う場合の処理が行える。
次に紐付けを行うシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを自動的に洗い替えながら設定を行う場合を説明する。
この場合、図21に示す画面の下段の入力欄に条件を入力することで、自らを紐づけるシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを自動的に設定することが出来る。例えば検索対象期間、ランキング、所定期間あたりのリターン、最大でのドローダウン、所定期間あたりの売買回数、ポジションの平均保有期間、運用経過月数、運用損益の変動率、シャープレシオ、プロフィットファクター、登録利用者数などを検索条件として設定する。この検索条件は、自らを紐づけるシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを検索するための条件である。
検索対象期間とは、どれまでの期間を検索するかを示す条件である。ランキングとはパフォーマンスのランキングであり、上位何位から何位まで、あるいは下位何位から何位まで、と指定できる。また所定期間あたりのリターンとは、所定期間あたりの利益率である。ドローダウンとは最大資産からの下落率である。所定期間あたりの売買回数は所定期間あたりに行った売買の回数である。ポジションの平均保有期間とは、買い建てまたは売り建てしたポジションをクローズするまでの平均期間である。運用経過月数とは運用してからの月数である。運用損益の変動率とは、運用した場合の損益がどの程度変動しているかを示す割合である。シャープレシオとは、リスクに対してどれだけのリターンを得られるかを示す指標であり、プロフィットファクターとは、獲得した総利益を失った総損失で除した割合の指標である。また登録利用者数とは、当該シグナルプロバイダまたはシグナルユーザに紐付けを行っているシグナルユーザの数である。
以上のような検索条件をシグナルユーザが設定することで、どのようなシグナルプロバイダまたはシグナルユーザを検索するか、の検索条件を設定する(S360)。
また上記検索条件の設定に加え、さらに、上記検索条件に基づく検索をどのような間隔で行うか(洗い替えを自動的に行う間隔)、上記検索条件で紐付けをしたシグナルプロバイダまたはシグナルユーザに対する注文条件を設定する(S370)。例えば洗い替えを1時間ごと、1日ごと、3日ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとといった間隔で設定する。また注文条件として、資金配分率、ロスカットや利食いのタイミング、当該紐付けを有効とする期間、反対の売買を行うか否かなどの注文条件を設定する。
資金配分率とは、検索条件で検索して紐付けを行ったシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザに対して、自らの資金のうちどの程度を割り当てるかを示す情報である。またロスカットとはどの程度の割合の損失が出たら、強制的に反対売買を行うのかを示す情報であり、利食いとはどの程度の割合の利益が出たら、強制的に反対売買を行うのかを示す情報である。紐付けを有効とする期間とは、洗い替えを行ったことによって検索条件で検索され、紐づけられたシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザに対して、どの程度の期間、紐付けを行うのかを示す情報である。また反対売買を行うか否かとは、紐付けを行ったシグナルプロバイダやほかのシグナルユーザの売買とは反対の売買を行うこと、すなわちシグナルプロバイダが「買い」であれば自らは「売り」、シグナルプロバイダが「売り」であれば自らは「買い」を行うことの設定である。
以上のような注文条件をシグナルユーザが設定することで、洗替に関する条件を設定することが出来る(S370)。
S360、S370で検索条件、洗替の条件を設定し、例えば「設定を保存する」などの所定の操作を、当該シグナルユーザが行うことで、上記検索条件、洗替の条件が当該シグナルユーザのシグナルユーザ端末4からサーバ2に送られる(この際に当該シグナルユーザの投資家識別情報も併せて送られる)。そしてサーバ2の参照投資家設定部209がそれらの情報を受け取り、当該シグナルユーザの投資家情報記憶部210に、受け取った検索条件、洗替条件をそれぞれ記憶させる(S380)。
なお自動的に洗替を行う場合には、上述の処理だけではまだ条件を設定したのみであるので、紐付けが行われていない。そこで、次に、自動的に洗替を行い、紐付けを行う場合を処理プロセスを図22のフローチャートを用いて説明する。
まず所定のタイミングで、サーバ2の参照投資家設定部209は、投資家情報記憶部210に記憶されている洗替条件のうち、洗替処理のタイミングに該当するシグナルユーザがいるかを検索する(S400)。検索後、いずれのシグナルユーザにも該当しない場合にはそのまま処理を終了する(S410)。この場合はどのシグナルユーザも自動的に洗替を行うことを設定していない場合である。
一方、S400において、記憶している洗替条件に該当するシグナルユーザがいた場合には、当該シグナルユーザと投資家情報記憶部210に記憶した検索条件・洗替条件を抽出する(S410)。
次に、S400で抽出したシグナルユーザについて、それぞれ洗替処理を実行して良いのかを判定する(S420、S430)。すなわち、S400で抽出したシグナルユーザのそれぞれについて、投資家識別情報に基づいて口座情報記憶部211を参照し、余剰の証拠金や買付余力があるかを確認し、それらがある場合には当該シグナルユーザについて洗替処理を実行して良いと判定し、ない場合には当該シグナルユーザについて洗替処理を実行しないと判定する。これは、実質的に売買が行えないシグナルユーザについて洗替処理を行うことを防ぐためである。
抽出したシグナルユーザのうち、洗替処理を実行できると判定した各シグナルユーザについて、その検索条件に基づいて、投資家情報記憶部210、口座情報記憶部211、取引履歴情報記憶部212を参照し、該当するシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを検索する(S440)。
ここで該当するシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザがいない場合には、シグナルユーザが設定した検索条件に該当しなかったので、そのまま次のシグナルユーザの処理に移る(S450)。
一方、該当するシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザがいた場合には(S450)、当該シグナルユーザと、検索で該当したシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザとの紐付けを行う(S460)。具体的には、投資家情報記憶部210における当該シグナルユーザの紐づけている投資家識別情報に対応づけて、該当したシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザの投資家識別情報を記憶し、さらに当該シグナルユーザの洗替条件における注文条件を設定する。また、投資家情報記憶部210における、S440の検索で該当したシグナルプロバイダまたはシグナルユーザの紐づけられている投資家識別情報に対応づけて、当該シグナルユーザの投資家識別情報を記憶させる。なお複数のシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザが検索の結果、該当した場合には、そのうちもっとも一致率が高いもの、もっともパフォーマンスが良いもの、といったように所定の優先度に従って一人のシグナルプロバイダまたはシグナルユーザに絞り込み、紐付けを行うことも出来る。
以上のように、当該シグナルユーザと、検索で該当したシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザとの紐付け処理を行ったあと、次のシグナルユーザの処理に移る(S470)。そしてS420乃至S460の処理を、S400で抽出したすべてのシグナルユーザについて処理が終了するまで実行する。
このように、サーバ2の参照投資家設定部209が所定のタイミングで自動的に洗替の処理を実行することで、参照するシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザを、シグナルユーザ自らが直接設定しなくとも、自動的に設定することが可能となる。またこれによって、定期的に自らを紐づけているシグナルプロバイダまたはシグナルユーザを適宜、変更することが出来る。そのため、直近の期間でもっともパフォーマンスが良かったシグナルプロバイダやシグナルユーザに紐づけることが出来るので、当該シグナルユーザのパフォーマンスの向上も見込むことが出来る。
上述の各実施例のほかに、本発明の金融商品取引支援システム1では、不正防止処理部213を備えていても良い。この場合の概念図の一例を図23に示す。
不正防止処理部213は、発注処理部206で発注する注文情報、注文受付部200で受け付けた売買情報、取引履歴情報記憶部212に記憶する取引履歴情報などの監視を行い、取引履歴情報記憶部212に記憶する取引履歴情報などと比較し、所定の条件に合致した場合には不正の疑いがあるとして、注文情報の発注や売買情報の受け付けを中止または一時保留する制御指示を発注処理部206または注文受付部200に送り、それを受けた発注処理部206または注文受付部200は当該注文情報の発注または売買情報の受け付けを中止または一時保留する。なお発注処理または売買情報の受け付けを中止または一時保留させるほか、注文情報の生成を中止または一時保留させるなど、注文情報を受け付けられない、あるいは発注が行えない処理であれば如何なる処理であっても良い。
例えば発注処理部206で注文情報を発注する場合、不正防止処理部213は、当該注文情報に含まれる銘柄の過去の所定期間の平均出来高及び/または平均売買高に対して、所定の割合を超えた注文数量ではないかを判定し、所定割合を超えている場合には、発注を中止または一時保留する制御指示を発注処理部206に送り、発注の中止または一時保留をさせる。
本願発明ではシグナルプロバイダとそれに紐づけられているシグナルユーザなどの注文を一つにまとめた上で発注を行うので、一回あたりの注文数量が、シグナルプロバイダが単独で行うよりも大きくなる。そうすると出来高や売買高が低い銘柄の場合には、それだけで価格の変動要因となり、相場操縦などの不正につながりかねない。そこで、発注処理部206が発注する、一つにまとめた注文情報における注文数量が、所定期間の平均出来高や平均売買高に対して所定割合を超えている場合には不正防止処理部213は,当該発注を行わせないようにすることが好ましい。
なお不正防止処理部213は、平均出来高、平均売買高などの情報を証券会社システムなどの所定のシステムから取得することが出来る。
また不正防止処理部213は、連続する注文は所定間隔をおいたあとでなければ発注できないように監視しても良い。すなわち、不正防止処理部213は、発注処理部206で注文を発注する前に、当該注文情報に含まれる銘柄、売買種別(売りか買いか)などに基づいて、所定時間前に、同一のシグナルプロバイダからの同一の銘柄に対する同一の売買種別の注文があったかを、取引履歴情報記憶部212に記憶する取引履歴情報に基づいて検索を行う。もし、ない場合にはそのまま発注処理部206に発注処理を行わせ、ある場合にはその発注処理を中止、または当該所定時間を経過するまで一時保留する制御指示を発注処理部206に送り、発注を中止または一時保留させる。そして時間経過後(例えば、予め定められた時間経過後、前回の発注から上記所定時間経過後)、不正防止処理部213は、発注処理部206に注文の一時保留の指示を解除する制御指示を送り、発注を行わせる。
さらに不正防止処理部213は、取引時刻終了から所定時間前、あるいは取引開始時刻から所定時間前は発注を一時保留させる制御指示を発注処理部206に送る。これは発注処理部206が発注を行う際に、不正防止処理部213が現在時刻と比較し、それが取引終了時刻から所定時間前、あるいは取引開始時刻から所定時間前の場合には、上記制御指示を発注処理部206に送ることで実現できる。これは、例えば引け直前に発注を行うことで、意図的に終値を下げるなどの取引を防止するためである。
またシグナルプロバイダが発注を行ったあと(注文受付部200で売買情報をシグナルプロバイダ端末3から受け取ったあと)、当該シグナルプロバイダがそれを取り消す(あるいは注文を変更する)ことがある。この場合には、取消または変更の売買情報を注文受付部200で受け付けるので、対応する発注処理部206が発注した注文が取り消されることとなる。発注、取消、変更などの注文は取引履歴情報記憶部212に逐次記憶されているので、不正防止処理部213は取引履歴情報記憶部212を参照することによって、取消、変更を所定時間または所定期間内に所定回数以上行った場合には、不正につながる行為が行われたとして、当該シグナルプロバイダからの売買情報を注文受付部200で受け付けないように構成することも出来る。これは、いわゆる見せ板などを防止するためである。
例えば各シグナルプロバイダについて取引履歴情報記憶部212ではその取引の内容を監視し、注文の取り消し、変更が所定期間内に所定回数以上、行われている場合には、注文受付部200に売買情報の受付中止の制御指示と当該シグナルプロバイダの投資家識別情報とを送り、注文受付部200では、当該シグナルプロバイダの投資家識別情報を含む売買情報を受け付けたとしても、以後の処理を中止する。なお、不正防止処理部213は、上記判定を行った場合には、所定の管理者などに電子メール(電子メールアドレスは所定の記憶部に記憶しておく)やポップアップ画面などにより通知を行ったあとで、受付中止の制御指示を行っても良い。
注文受付部200で受け付けた売買情報に、注文を行ったシグナルプロバイダのIPアドレスなどのネットワークでの識別情報が含まれている場合であって、同一のネットワーク識別情報から、異なる投資家識別情報と同一の銘柄に対する複数の売買情報があった場合には、注文受付部200に売買情報の受付中止の制御指示と当該ネットワーク識別情報に対応するすべてのシグナルプロバイダの投資家識別情報とを送り、注文受付部200では、当該同一のネットワーク識別情報に対応するすべてのシグナルプロバイダの投資家識別情報を含む売買情報を受け付けたとしても、以後の処理を中止する。これによって、異なる投資家識別情報であっても、同一のIPアドレスからの組織的な見せ板などの行為を防止することが出来る。
さらに上記と同様に注文受付部200で受けつけた売買情報に、注文を行ったシグナルプロバイダのIPアドレスなどのネットワークでの識別情報が含まれている場合であって(この場合には取引履歴情報記憶部212に、IPアドレスなどのネットワーク識別情報も記憶されているとする)、注文受付部200で受け付けた複数の売買情報のうち、異なる投資家識別情報と同一の銘柄情報と同一のネットワーク識別情報とを含む売買情報に対する取引履歴情報を取引履歴情報記憶部212から特定する。そして特定した複数の取引履歴情報における注文数量の合計を算出し、その銘柄の過去の所定期間の平均出来高及び/または平均売買高に対して、その合計が所定割合を超えている場合には、発注を中止または一時保留する制御指示を発注処理部206に送り、発注の中止または一時保留をさせる。
これによって複数のシグナルプロバイダの投資家識別情報を用いて同一銘柄に対する注文を行ったとしても、その注文を受け付けないことが可能となる。
上述の各実施例では、シグナルユーザから参照されるシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザは、自らの投資行動によってほかのシグナルユーザが利益を出したとしても何らの利益を得ることがない。そうするとわざわざ自らの投資行動をほかの投資家に知らせているだけで利益がないので、なり手がいなくなってしまう。そこで、シグナルユーザから参照されるシグナルプロバイダまたはほかのシグナルユーザは、自らを参照したシグナルユーザが利益を得た場合には所定割合または所定金額の課金を得るように構成しても良い。
この場合の金融商品取引支援システム1の一例を図24に模式的に示す。なお図24では、上述の不正防止処理部213を図示していないが、当然、備えていても良い。
課金処理部214は、シグナルプロバイダまたはシグナルユーザがすでに口座情報に記憶されているポジションとは反対の取引を行った場合であって、その差額がプラスの場合(利益が出ている場合)に、当該シグナルプロバイダまたはシグナルユーザに紐づけられているシグナルユーザの利益から所定割合の金額または所定金額を減算する。そして減算した金額を、当該シグナルプロバイダまたはシグナルユーザの口座情報に加算する。この課金処理を模式的に図25に示す。
図25の場合、シグナルユーザ「SU1」はシグナルプロバイダ「SP1」に紐づけられており、シグナルユーザ「SU1」は、シグナルプロバイダ「SP1」と同一の比率での売買を行うことが設定されている場合である。
シグナルプロバイダ「SP1」がA社株式を100円で4,000株の買いを注文したとする。そうするとシグナルプロバイダが利用するシグナルプロバイダ端末3からサーバ2に、投資家識別情報として「SP1」、銘柄として「A社株式」、数量として「4,000株」、売買種別として「買い」、注文方法として「指値」などを含む売買情報が送られる。
シグナルプロバイダ端末3からの上記売買情報をサーバ2の注文受付部200が受け付ける。そうすると上述の実施例2などと同様に、確認処理部201、引当参照部202、注文算出部203、注文条件参照部204などの処理に基づいて、シグナルプロバイダ「SP1」に紐づけられているシグナルユーザ「SU1」について、シグナルプロバイダ「SP1」の注文数量と同じ、「4,000株」、であることを算出する。そして注文まとめ処理部205がシグナルプロバイダ「SP1」、シグナルユーザ「SU1」の注文をまとめ、銘柄として「A社株式」、数量として「8,000株」、売買種別として「買い」、注文方法として「指値」の注文を生成する。
そして発注処理部206が注文情報をマーケットシステム5に発注する。この注文に対して全部約定した場合、その情報をサーバ2の約定処理部207でマーケットシステム5から受け取る。そうすると約定処理部207では、約定した情報に基づいて、取引履歴情報記憶部212を参照し、当該注文情報の注文比率に応じた約定の引当処理が行われ、それぞれのポジションに反映される。すなわち、A社株式について「100円」で、シグナルプロバイダ「SP1」については4,000株、シグナルユーザ「SU1」については4,000株の「買い」が成立したことを引き当て、ポジションが反映される。また口座情報処理部は、それぞれのポジションを口座情報記憶部211に反映・記憶させる。
このようにしてシグナルプロバイダ「SP1」、シグナルユーザ「SU1」はともにA社株式を100円で4,000株の買い建てのポジションを所持することとなる。
これに対し、シグナルプロバイダ「SP1」が当該ポジションを解消する、すなわち当該ポジションに対する反対売買を行う場合には、上述と同様に、シグナルプロバイダ「SP1」がA社株式を100円で4,000株の売りを注文することとなる。そうするとシグナルプロバイダが利用するシグナルプロバイダ端末3からサーバ2に、投資家識別情報として「SP1」、銘柄として「A社株式」、数量として「4,000株」、売買種別として「売り」、注文方法として「指値」などを含む売買情報が送られる。
シグナルプロバイダ端末3からの上記売買情報をサーバ2の注文受付部200が受け付ける。そうすると上述の実施例2などと同様に、確認処理部201、引当参照部202、注文算出部203、注文条件参照部204などの処理に基づいて、シグナルプロバイダ「SP1」に紐づけられているシグナルユーザ「SU1」について、シグナルプロバイダ「SP1」の注文数量と同じ、「4,000株」であることを算出する。そして注文まとめ処理部205がシグナルプロバイダ「SP1」、シグナルユーザ「SU1」の注文をまとめ、銘柄として「A社株式」、数量として「8,000株」、売買種別として「売り」、注文方法として「指値」の注文を生成する。
そして発注処理部206が注文情報をマーケットシステム5に発注する。この注文に対して全部約定した場合、その情報をサーバ2の約定処理部207でマーケットシステム5から受け取る。そうすると約定処理部207では、約定した情報に基づいて、取引履歴情報記憶部212を参照し、当該注文情報の注文比率に応じた約定の引当処理が行われ、それぞれのポジションに反映される。すなわち、A社株式について「100円」で、シグナルプロバイダ「SP1」については4,000株、シグナルユーザ「SU1」については4,000株の「売り」が成立したことを引き当て、ポジションが反映される(すなわちシグナルプロバイダ「SP1」、シグナルユーザ「SU1」のポジションは解消される)。また口座情報処理部は、それぞれのポジションを口座情報記憶部211に反映・記憶させる。
この際に、シグナルプロバイダ「SP1」およびシグナルユーザ「SU1」は、100円の株式を120円で売却していることから、1株につき20円の利益を得ていることとなる。従って、ともに80,000円(=(120−100)×4,000)の利益が口座情報記憶部211の口座情報に反映することとなる。
このように反対売買が行われた場合(売却または買付の反対売買を行った情報は、注文受付部200でシグナルプロバイダ「SP1」のシグナルプロバイダ端末3から受け取っていればよく、そのまとめ注文に対する約定であることで判定可能である)、シグナルプロバイダ「SP1」に紐づけられているシグナルユーザ「SU1」の利益を口座処理部208が精算する際に、その利益に所定割合(例えば20%)を乗算し、その金額16,000円(=80,000×20%)を当該シグナルユーザ「SU1」からシグナルプロバイダ「SP1」の口座情報記憶部211に移動する。すなわち、シグナルプロバイダ「SP1」の売買による利益の額に当該金額を加算して96,000円(=80,000+16,000)とし、シグナルユーザ「SU1」の売買による利益の額から当該金額を減算して64,000円(=80,000−16,000)として、それぞれ口座情報記憶部211に記憶させる。
以上のようにすることで、シグナルユーザが利益を得た場合に、その利益の額の所定割合がシグナルプロバイダに加算され、シグナルプロバイダにとってもメリットが生じることとなる。なお利益の額の所定割合を加算するのではなく、一定額、あるいは利益の額に応じた所定の金額を加算するようにしても良い。
また口座処理部208は、上述のようにそれぞれの口座情報記憶部211の情報を更新するとともに、証券会社の証券会社システムで管理している実際の証券口座の口座情報と口座情報記憶部211とを同期させるために、上記の送金指示を証券会社システムなどに行い、口座情報記憶部211の口座情報と証券口座の口座情報とを同期させる。
なお課金の割合や金額は、各シグナルプロバイダやシグナルユーザによって任意に設定可能であり、その条件が投資家情報記憶部210にそれぞれ記憶されていても良い。そして口座情報記憶部211が上述の利益の額を算出する際に、投資家情報記憶部210の上記課金条件を参照することとで、課金処理を実行するように構成することも出来る。これによって、課金の条件を厳しくした(上述の利益の額に対する所定割合や金額を高く設定した)シグナルプロバイダなどは利益を出せないと、自らに紐づけられるシグナルユーザが減ってしまうことから、課金条件を緩くしたりするなど市場原理が働きやすくなり、課金についての調整機能が自然に働きやすくなる。