JP5647003B2 - 蒸散材 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、害虫防除剤(殺虫剤、忌避剤等)、芳香剤、消臭・防臭剤、殺菌・防カビ剤等の蒸散成分を常温下で蒸散させて、効果を発現させる蒸散材に関する。
従来から、害虫防除剤等の常温蒸散性の薬剤を吸液性の担体に含浸させ、屋内や屋外に吊り下げたり、載置したりすることにより、薬剤を空間に継続して蒸散させる蒸散材が知られている(例えば、特許文献1参照)。そのような蒸散材においては、前記吸液性の担体として、廃棄が容易であるといった理由から、パルプや天然繊維等をバインダーで固めるなどしてプレート状やシート状に加工したものが用いられていた。
ところで、前記蒸散材によって長期間にわたり継続して薬剤を蒸散させるには、所望する期間に比例して担体に保持させる単位面積あたりの薬剤量を増やさなければならない。しかしながら、保持させる薬剤量が担体に含浸できる許容量を超えてしまうと、薬剤の漏れ等の問題をまねくことになる。そのため、蒸散材の有効期間に制限を受けることになり、薬剤の種類等によっても異なるが、従来の蒸散材では30日程度までの有効期間しか得られないのが現状であった。したがって、単位面積あたりに保持させうる薬剤量をさらに高め、より長い期間有効に効果を発現させうる蒸散材が要望されている。
特開2002−241202号公報
そこで、本発明は、蒸散成分の保持量を高め、該蒸散成分の蒸散による効果をその効力を落とすことなく長期間にわたり継続して発現できる蒸散材を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、蒸散成分を保持させる担体として、複数本の吸液性フィラメントからなる糸で形成された編織物を用い、該編織物を形成する糸の少なくとも一部に捲縮を付与することにより、同じ面積、同じ目付けであっても蒸散成分の保持量が格段に向上することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の蒸散材は、複数本の吸液性フィラメントからなる糸で形成された編織物に蒸散成分を保持させた蒸散成分保持体を備えた蒸散材であって、前記編織物を形成する糸の少なくとも一部に捲縮が付与されていることを特徴とする。
前記編織物は、レース編により形成されたものであることが好ましく、この編織物の総面積に占める目開き部分の総面積の割合は10〜80%であることが好ましい。前記捲縮は、捲縮率3〜50%で付与されていることが好ましい。前記蒸散成分は、蒸気圧が1×10-3Pa/25℃以上の害虫防除剤であることが好ましい。本発明の蒸散材は、さらに、前記蒸散成分保持体を保持した枠体と、通気性を有し前記枠体を着脱自在に収納した収納体とを備えていることが好ましい。
本発明の蒸散材によれば、蒸散成分の保持量を高め、該蒸散成分の蒸散による効果をその効力を落とすことなく長期間にわたり継続して発現させることができる。具体的には、本発明の蒸散材では、単位面積あたりに保持させうる蒸散成分(薬剤)の量を従来の1.5〜3倍にまで高めることができ、蒸散成分(薬剤)の単位時間当たりの蒸散量が同等である場合、その有効期間も1.5〜3倍に長期化させることができる。
レース編みにより形成された編織物の一実施形態を説明するための概略図である。 レース編みにより形成された編織物の他の実施形態を説明するための概略図である。 本発明の一実施形態である蒸散材を示す正面図である。 上記図3に示す蒸散材を厚み方向に切断したとき(図3におけるx−x線で切断したとき)の概略断面図である。 上記図3に示す蒸散材の上面図である。 上記図3に示す蒸散材におけるカートリッジ式の枠体の一例を示す正面図である。 本発明の他の実施形態である蒸散材を厚み方向に切断したときの概略断面図である。 実施例における蒸散試験に用いた試験装置を示す概略図である。 実施例における屋外忌避効力試験を説明するための概略図である。
本発明の蒸散材は、編織物に蒸散成分を保持させた蒸散成分保持体を備えたものである。
本発明において、前記編織物とは、編物または織物を意味し、例えば、比較的目開きの小さい布地状のものから、比較的目開きの大きいネット状のものまでを含む概念である。詳しくは、前記織物とは、経糸と緯糸とが互いに直角の方向に交錯して形成されるものである。他方、前記編物とは、例えば、1本あるいは数本の糸がループを作り、そのループに次の糸を引っ掛けて新しいループを作ることを連続するなどして、糸を互いに絡み合わせて形成されるものであり、レース編みやメリヤス編みなどで形成されたものが挙げられる。
本発明において、前記編織物を形成する糸(経糸、緯糸)は、複数本の吸液性フィラメントからなる。つまり、編織物を形成する糸は、吸液性を有するモノフィラメントを複数本束ねた、いわゆるマルチフィラメントであってもよいし、もしくは、吸液性を有するモノフィラメントまたは前記マルチフィラメントの2本以上を編んだり、撚ったりすることにより、1本の糸束としたものであってもよい。
前記編織物を形成する吸液性フィラメント(モノフィラメント)の直径は、特に制限されないが、通常20〜500dtex、好ましくは50〜300dtexであるのがよい。吸液性フィラメント(モノフィラメント)の直径が小さすぎると、蒸散成分(薬剤)の保持量が少なくなるおそれがあり、一方、大きすぎると、編織物の目開きが小さくなり、保持された蒸散成分の蒸散性が低下するおそれがある。
本発明においては、前記編織物を形成する糸(経糸、緯糸)の少なくとも一部に捲縮が付与されている。これにより、同じ面積、同じ目付けであっても蒸散成分の保持量を格段に向上させることができ、その結果、蒸散成分の蒸散による効果を長期間にわたり継続して発現させることができる。
なお、捲縮は、編織物の形成に用いる糸の少なくとも一部に付与されていればよく、例えば、経糸と緯糸を交錯させた織物においては経糸および緯糸の一方に捲縮が付与されていてもよいし、後述するレース編みの形態においては複数の経糸のうち何本かに捲縮が付与されていてもよい。また、編織物の形成に用いる糸を構成する複数本の吸液性フィラメント(モノフィラメントまたはマルチフィラメント)のうちの何本かの吸液性フィラメントに捲縮が付与されていてもよい(つまり、捲縮が付与された吸液性フィラメントを1本以上含んで構成される糸を用いて編織物を形成するようにしてもよい)。好ましくは、編織物を構成する全ての吸液性フィラメント、ひいては編織物を形成する全ての糸に捲縮が付与されているのがよい。
前記捲縮は、いかなる手法によって付与されたものであってもよく、例えば、加ねん−熱固定−解ねん法、仮より法、押込法、擦過法、賊型法、複合けん縮法、空気噴射法等のいわゆるテクスチャード加工を、適宜採用することができる。
前記捲縮を付与する際には、その捲縮率は、通常、3〜50%であることが好ましい。捲縮率が前記範囲よりも小さいと、蒸散成分の保持量の向上効果が充分に得られないおそれがあり、一方、前記範囲よりも大きいと、織編加工が難しくなるおそれがある。なお、本発明で言う捲縮率とは、フィラメントの初期長さをaとし、該フィラメントに一定時間(30秒間)、一定の荷重(1dtexあたり1/11g)をかけたときの長さをbとして、下記式に基づき算出される伸縮伸長率(%)を意味するものである。
伸縮伸長率(%)=[(b−a)/a]×100
捲縮率(伸縮伸長率)は、具体的には、例えば「繊維便覧」(第1版、昭和44年発行)p413の「a.伸縮性」の項に記載されているA法に準じて行うことができる。
前記編織物を形成する糸を構成する吸液性フィラメントの素材としては、例えば、パルプ、綿、羊毛、麻、絹等の天然繊維や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリサルフォン、レーヨン、メタアクリル酸樹脂、その他生分解性樹脂(ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ(β−ヒドロキシ酪酸)など)等が挙げられる。これらの中でも特に、捲縮を付与するうえでは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンが好ましい。前記吸液性フィラメントは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。なお、吸液性フィラメントには、例えば、防カビ剤、染料、樹脂、紫外線吸収剤等の従来公知の添加物を含有させることもできる。
本発明において、前記編織物は、レース編みにより形成されたものであることが好ましい。レース編みとは、複数の経糸をそれぞれ別の経糸と互いに絡み合わせた編み方である。ここで、別の経糸として、どの位置にある経糸に絡み合わせるか(例えば、隣り合う経糸に絡み合わせるか、1本以上の経糸を間に飛ばして絡み合わせるか、もしくは、左右のいずれか一方方向のみに絡み合わせるか、左右交互に絡み合わせるか、など)によって様々なレース編みの形態が存在するが、特に好ましくは、例えば図1や図2に示すように、1本以上の経糸を間に飛ばして絡み合わせる形態が挙げられる。このような形態においては緯方向(矢印X方向)に2本以上の糸が重なることになるので、単位面積あたりの糸(吸液性フィラメント)の重量(すなわち目付け)が大きくなり、蒸散成分の保持量をより増大させることができる。
図1に示すレース編みの形態において、経糸Aは経糸Cに、経糸Bは経糸Dにそれぞれ絡まっており、列bc間および列cd間は2本の糸が重なった状態になっている(図1においては、列aの左側の経糸および列dの右側の経糸については図示を省略している)。つまり、図1に示す形態においては、各経糸はそれぞれ1本の経糸を間に飛ばして絡み合っている。この図1に示す形態を、各経糸がそれぞれ2本の経糸を間に飛ばして絡み合うように(図1中の経糸Aが経糸Dに絡み合うように)変更すると、緯方向(隣り合う各列の間)には3本の糸が重なった状態になる。すなわち、各経糸がそれぞれn本の経糸を間に飛ばして絡み合うようにすると、緯方向には(n+1)本の糸が重なった状態になるのである(nは1以上の整数)。緯方向に重なる糸の本数が多いほど、蒸散成分の保持量は増大するのであるから、本発明においては上記nの値が大きいレース編みの形態ほど好ましい。ただし、緯方向において重なり合う糸の数(すなわち(n+1)の値)が多くなりすぎると、目開きが小さくなり、糸(吸液性フィラメント)に保持された蒸散成分の蒸散性が低下するおそれがあるので、上記nの値は、目開きの割合が後述した範囲となるよう設定するのがよく、通常は5以下とするのがよい。
図1に示すレース編みの形態においては、経方向(矢印Y方向)には、2種類の経糸が順次連なって(例えば、列cには経糸Cと経糸Aが連なって、列dには経糸Dと経糸Bが連なって)1本の糸が存在することになるが、経方向についても2本以上の糸を重なって存在させることが、単位面積あたりの糸(吸液性フィラメント)の重量を大きくし、蒸散成分の保持量を増大させるうえでは、有利である。このように、経方向において2本以上の糸を重なって存在させるには、1つの列に用いる経糸として、2本以上の糸を用いるようにすればよく、例えば、図2に示すように、2本以上の糸のうち、少なくとも1本を別の経糸に絡み合わせ、少なくとも1本を経方向に走行させればよい。勿論、2本以上の糸を、例えば図1における1本の経糸として扱うことによっても、経方向に配される経糸の数を増やすことはできる。
図2に示すレース編みの形態は、図1に示す形態において、経糸A〜Dをそれぞれ2本の経糸(A1およびA2、B1およびB2、C1およびC2、D1およびD2)に変更した形態である。すなわち、図2において、各列a〜dの経糸のうち、経糸A1は経糸C1に、経糸B1は経糸D1にそれぞれ絡まっており、列bc間および列cd間は2本の糸が重なった状態になっている(図2においては、列aの左側の経糸および列dの右側の経糸については図示を省略している)。加えて、各列a〜dの経糸のうち、経糸A2、経糸B2、経糸C2および経糸D2は、それぞれ列a、列b、列cおよび列dに沿って経方向(矢印Y方向)に走行しており、列cおよび列dには連続して2本の糸が重なった状態になる。つまり、図2に示すレース編みの形態においては、経方向(矢印Y方向)、緯方向(矢印X方向)ともに2本の経糸が配されることになる。
なお、図2に示すレース編みの形態においては、各列に2本の糸を用いているが、例えば、3本の糸を用いて、そのうち2本を経方向(矢印Y方向)に走行させ、残りの1本を2本の経糸を間に飛ばして絡み合わせるように(図2中の経糸A1が経糸D1に絡み合うように)変更すると、経方向(矢印Y方向)、緯方向(矢印X方向)ともに3本の経糸が配されることになる。このように、経方向に配される経糸の数および緯方向に配される経糸の数は、各列に用いる糸の数、そのうち経方向に走行させる経糸の本数と別の経糸に絡ませる経糸の本数との比率、さらに、絡み合わせる別の経糸の位置(何本の経糸を間に飛ばして絡み合わせるか)等を調整することにより、適宜設定することができる。
経方向および緯方向に配される糸の本数は、多ければ多いほど、蒸散成分の保持量を増大させ、蒸散成分の蒸散効果を長期間にわたり継続させることができるので好ましいが、あまりに多くなりすぎると、目開きが小さくなり、糸(吸液性フィラメント)に保持された蒸散成分の蒸散性が低下するおそれがある。したがって、経方向および緯方向に配される糸の本数は、通常、それぞれ、1〜5本程度とするのがよい。
本発明において、編織物の目開きの割合は、通常、編織物の総面積に占める目開き部分の総面積の割合が10〜80%であることが好ましく、25〜45%であることがより好ましい。目開きの割合が小さすぎると、糸(吸液性フィラメント)に保持された蒸散成分の蒸散性が低下するおそれがあり、一方、目開きの割合が大きすぎると、単位面積あたりの糸(吸液性フィラメント)の重量(すなわち目付け)が小さくなり、蒸散成分の保持量が低下する傾向がある。
前記編織物において縦方向および経方向に配された糸の幅は、0.1〜1mm、さらには0.3〜0.6mmとするのが好ましい。前記糸の幅が前記範囲よりも小さいと、蒸散成分(薬剤)の保持量が少なくなるおそれがあり、一方、前記範囲よりも大きいと、目開きが小さくなるおそれがある。
前記編織物の目付け(単位面積あたりの糸(吸液性フィラメント)の重量)は、小さすぎると、蒸散成分(薬剤)の保持量が少なくなるおそれがあり、逆に、大きすぎると、蒸散性が低下するおそれがあることから、通常50〜500g/m2、好ましくは50〜250g/m2であるのがよい。
前記編織物の厚みは、小さすぎると、蒸散成分(薬剤)の保持量が少なくなるおそれがあり、逆に、大きすぎると、蒸散性が低下するおそれがあることから、通常、0.2〜2mm、好ましくは0.3〜1mm、より好ましくは0.5〜1mmであるのがよい。
前記編織物に保持させる蒸散成分は、常温で蒸散しうる各種の害虫防除剤(殺虫剤、忌避剤等)、芳香剤、消臭・防臭剤、殺菌・防カビ剤等の各種薬剤のなかから、目的に応じて適宜選択すればよい。蒸散成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記害虫防除剤としては、例えば、有機リン系、カーバメート系、ピレスロイド系等の各種殺虫剤、忌避剤、昆虫成長調節剤等が挙げられる。害虫防除剤を例示すると、例えば、有機リン系殺虫剤としては、
○DDVP、
○ダイアジノン
○スミチオン
等が挙げられ、カーバメート系殺虫剤としては、
○プロポクサー
○カルバリル
等が挙げられ、ピレスロイド系殺虫剤としては、
○アレスリン
○フタルスリン
○レスメトリン
○フラメトリン
○ペルメトリン
○フェノトリン
○フェンバレレート
○エスフェンバレレート
○プラレトリン
○テフルスリン
○トランスフルトリン
○メトフルトリン
○プロフルトリン
○シペルメトリン
○シフェノトリン
○フェンプロパトリン
○フェンフルスリン
○エムペントリン
○テラレスリン
○エトフェンプロックス
○イミプロトリン
等が挙げられる。また、その他の害虫防除剤として、アミドフルメト、メトキサジアゾン、植物精油、テルペン、およびこれらの異性体や誘導体等が挙げられる。これらの中でも、蒸気圧が比較的高い害虫防除剤を前記蒸散成分とすることが好ましく、例えば蒸気圧が1×10-3Pa/25℃以上である害虫防除剤が好適に用いられる。具体的には、トランスフルトリン、メトフルトリン、プロフルトリン、エムペントリンが好ましい。
前記芳香剤としては、例えば、じゃ香、竜延香、アビエス油、アーモンド油、ページル油、パーチ油、カヤブチ油、シトロネラ油、ユーカリ油、フェンネル油、ガーリック油、ジンジャー油、グレープフルーツ油、レモン油、レモングラス油、ナツメッグ油、ハッカ油、オレンジ油、テレピン油、セイジ油などの精油類、ピネン、リモネン、リナロール、ゲラニオール、シトロネラール、ボルネオール、ベンジルアルコール、アニスアルコール、アネトール、オイゲノール、アルデヒド、シトラール、シトロネラール、ワニリン、カルボン、ケトン、メントン、メントール、アセトフェノン、クマリン、シネオール、エチルアセテート、オクチルアセテート、プロピオン酸ブチル、イソ酪酸イソプロピル、カプロン酸アリル、安息香酸エチル、桂皮酸メチル、サリチル酸メチルなどの香料等が挙げられる。
前記消臭・防臭剤としては、例えば、ラウリルメタクリレート、ゲラニルクロリネート、ミリスチル酸アセトフェノン、パラメチルアセトフェノンベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、プロピオン酸ベンジル、アミルシンナミックアルデヒド、アニシックアルデヒド、ジフェニルオキサイド、安息香酸メチル、安息香酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、ネオリン、サフロール、シトロネラ油、レモングラス油等が挙げられる。
前記殺菌・防カビ剤としては、例えば、ヒノキチオール、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール、チアベンダゾール、二酸化塩素等が挙げられる。
さらに、前記蒸散成分には、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、各種添加剤をも含有させることができる。添加剤としては、例えば、効力増強剤、蒸散率向上剤、安定剤等が挙げられる。添加剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記効力増強剤の具体例としては、例えば、ピペロニルブトキサイド、サイネピリン222、サイネピリン500、チオシアノ酢酸イソボルニル及びその誘導体(例えば、IBTA、IBTE)、オクタクロロジプロピルエーテル等が挙げられる。前記安定剤としては、例えば、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル−チオ−ジ−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス−(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、フェニル−β−ナフチルアミン、2−t−ブチル−4−メトキシフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α−トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸、ポリフェノール等が挙げられる。
前記蒸散成分を前記編織物に保持させて蒸散成分保持体を得る方法は、例えば、蒸散成分を溶剤に溶解させて溶液を調製し、該溶液中に前記編織物を浸漬することにより編織物に蒸散成分を含浸させる方法や、前記溶液もしくは蒸散成分とする薬剤の原体(薬剤そのもの)を前記編織物の上に噴霧もしくは滴下することにより編織物に蒸散成分を含浸させる方法等を採用することができる。さらに、必要に応じて、蒸散成分を含浸させた後、乾燥等によって用いた溶剤を除去してもよい。また、上記蒸散成分を保持させる際の上記各操作は、蒸散成分の保持量が所望の量に達するまで繰り返し行なうことができる。
蒸散成分の溶液を調製するための溶剤としては、例えば、水、ナフテン、灯油、パラフィン等の炭化水素類、グリセリン、プロピレングリコール、メタノール、イソプロパノール、1−オクタノール、1−ドデカノール等のアルコール類、アセトン、アセトフェノン等のケトン類、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル類、アジピン酸ジオクチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル等のエステル類、キシレン、クロルセン、シリコーンオイル等の1種もしくは2種以上が挙げられる。
前記蒸散成分保持体における蒸散成分(薬剤)の保持量は、通常、薬剤の種類等を考慮して、所望の効果(蒸散性や有効期間)を奏するように適宜決定される。その際、本発明の蒸散材では、単位面積あたりに保持させうる蒸散成分(薬剤)の保持量が大きいので、保持量の上限における制約の幅が広く、目的に応じた決定をなすことができる。具体的には、本発明の蒸散材であれば、単位面積あたり、最大300g/m2程度の量の蒸散成分(薬剤)の保持させることができる。例えば、前記蒸散成分保持体における単位面積当たりの蒸散成分の保持量は、50〜200g/m2であるのが好ましい。また、前記蒸散成分保持体における目付け当りの保持量は、0.4〜1.5g/gであるのが好ましい。なお、ここで、目付け当りの保持量とは、蒸散成分保持体の単位面積当たりの保持量を、蒸散成分保持体を構成する織編物の目付けで除した値(すなわち、織編物1g当りの蒸散成分の保持量を示す値)であり、織編物の目開きや厚み等の影響を排して蒸散成分の保持量を評価できるものである。
本発明の蒸散材は、前記蒸散成分保持体とともに、該蒸散成分保持体を保持したカートリッジ式の枠体と、通気性を有し前記枠体を着脱自在に収納した収納体とを備えたものであることが好ましい。このようにカートリッジ式枠体と収納体とを備えた形態であれば、例えば、蒸散成分が全てもしくは殆ど蒸散してしまい効力が消失もしくは低下した場合に、この使用後の枠体を新たな蒸散成分保持体を保持した枠体に取替えることで、再度、優れた効果を発現させることができ、しかも、枠体の取替えに際しても、収納体への着脱が一回の操作(ワンタッチ)で簡便に行なえる。以下、このようにカートリッジ式枠体と収納体とを備えた実施形態の一例を、図面を用いて説明する。
図3〜5は、カートリッジ式枠体と収納体とを備えた上記実施形態の蒸散材を示し、図6は、該蒸散材に収納されるカートリッジ式枠体を示している。
図3〜5に示す蒸散材においては、蒸散成分保持体1を保持したカートリッジ式の枠体2が、収納体3の内部に収納されている。
収納体3は、前面部3aと背面部3bとからなり、その前面から背面に向けて通気性を保持するよう、前面部3aと背面部3bの両方に同一形状の通気孔4が同じ位置に設けられている。このような通気孔4を設けることにより、該通気孔4から蒸散成分保持体1に保持された蒸散成分を蒸散させることができる。通気孔4の形状は、前面部3aと背面部3bとの間で通気性が確保され、蒸散成分が効率よく蒸散できる限り、特に制限されず、任意の形状に設計することができるが、蒸散成分の蒸散性を考慮すると、通気孔4の総面積が大きいほど好ましい。
収納体3は、前面部3aと背面部3bとの間に枠体2を収納するための空間部5を有しており、該空間部5に連通する開口部6から前記枠体2を自在に挿入および取り出しできるようになっている。
空間部5は、収納した枠体2が容易に抜け出ないよう、その幅方向および/または厚み方向において枠体2の少なくとも一部が丁度嵌合する大きさに形成されている。なお、空間部5の大きさを枠体2が嵌合する大きさに設定することに変えて、もしくはこれに加えて、枠体2と収納体3(前面部3aおよび背面部3b)とを着脱可能に係止する係止手段7を設けることにより、収納した枠体2が容易に抜け出ないようにすることもできる。
収納体3を構成する前面部3aと背面部3bとは、一体成形して形成されていてもよいし、別部材として成形したものを一体化して形成されていてもよい。収納体3(前面部3aおよび背面部3b)を構成する素材は、例えば、各種プラスチック、金属、ガラス、紙、木、陶磁器等により形成される。
図6において、枠体2は、前面枠体2aと背面枠体2bの2枚で蒸散成分保持体1の少なくとも周囲を挟持している。前面枠体2aと背面枠体2bには、それぞれ同じ位置に、その両側面を繋ぐ複数の補助枠2’が設けられているが、これは前面と背面の補助枠2’によって蒸散成分保持体1をさらに挟持することにより蒸散成分保持体1に弛み等が生じないようにするためであり、省略することもできる。補助枠2’を設ける場合には、枠体2を収納体3に収納したときに通気孔4を妨げないような位置に(枠体2を収納体3に収納したときに外側から見えないような位置に)設けられる。
さらに、図6においては図示しないが、例えば、図中、上側または下側にあたる枠体2の周囲と、該周囲の枠体2に最も近い補助枠2’とを上下に繋ぐ支持部材を1〜3本程度設けておくことにより、枠体2のねじれ強度を向上させることもできる。また、このような支持部材を設けておくと、例えば編織物を枠体2に挟持した状態で蒸散成分(薬剤)を滴下することにより蒸散成分を編織物に保持させて蒸散成分保持体を作製する場合に、支持部材と周囲の枠体2もしくは補助枠2’とで区切られた面積の小さい部分に蒸散成分を滴下して、この滴下部分(区切られた部分)の編織物と他の部分の編織物との色の違い(明暗)を判断基準にすることで、蒸散成分の保持の程度が簡便に把握でき、効率のよい生産が可能になるという効果も得られる。
枠体2を構成する素材としては、特に制限はないが、例えば、各種プラスチック、金属、ガラス、陶磁器等が挙げられる。
なお、枠体2は、図6に示す形態のほかに、例えば、片面に係止部材を備えた1枚の枠体を用い、該係止部材によって蒸散成分保持体1を保持するようにしたものであってもよい。但し、枠体2を収納体3に収納したときに、枠体2に保持された蒸散成分保持体1と収納体3(前面部3aおよび背面部3b)との間には互いに接触しない程度の空隙が存在することが、蒸散成分の蒸散が妨げられるのを回避するうえで望ましく、この点を考慮すると、収納体3の空間部5の大きさを枠体2が嵌合する大きさに設定する場合には、蒸散成分保持体1の前面と背面の両方に厚みを持った枠体2a、2bが配されることになる図6に示す形態が好ましい。
以上、カートリッジ式枠体と収納体とを備えた実施形態の蒸散材について述べたが、本発明の蒸散材はこれに限定されるものではなく、前記蒸散成分保持体を備えたものである限り、任意に設計変更できることは言うまでもない。つまり、前記蒸散成分保持体はいかなる状態で保持されていてもよく、例えば、図7に示すように、前記蒸散成分保持体1が収納体3を構成する前面部3aと背面部3bとの間に直接保持された形態であってもよいし、あるいは、前記蒸散成分保持体そのものをネット状の蒸散材として用いることもできる。
図7に示す形態においては、収納体3を構成する前面部3aと背面部3bとは、別部材として成形され、その周囲に各々設けられた挟持部材8a、8bで蒸散成分保持体1を挟持させた状態で一体化される。また、周囲で蒸散成分保持体1を挟持させることに変えて、もしくはこれに加えて、前面部3aと背面部3bの少なくとも一方に、蒸散成分保持体1を係止するための係止部材(図示せず)を設けることもできる。前面部3aと背面部3bとは、例えば、係止部材を用いた方法、熱融着による方法、接着剤等を用いる方法等によって、一体化される。
図7に示す形態においては、カートリッジ式ではないので、収納体3に枠体2を収納するための空間部5や開口部6を設ける必要はない。但し、上述したように、蒸散成分保持体1と収納体3(前面部3aおよび背面部3b)との間には互いに接触しない程度の空隙が存在することが、蒸散成分の蒸散が妨げられるのを回避するうえで望ましいので、収納体3を構成する前面部3aと背面部3bとは、一体化されたときに内部に空隙ができるよう形成されている。
なお、図7に示す形態における収納体3(前面部3aおよび背面部3b)の構成素材や、通気孔4については、図3〜図5に示す形態の場合と同様である。
本発明の蒸散材の使用方法は、例えば、屋内や屋外にて、載置して用いてもよいし、取手等を設けて吊り下げたり、柱や壁面に取り付けたりして用いてもよい。このようにして用いると、例えば、トイレや室内の芳香、消臭等を簡便に行うことができる。また、本発明の蒸散材が可撓性を有するネット状である場合には、例えば、蚊、蝿等の害虫が侵入する箇所である建物の出入り口や窓等の開口部にこれを吊り下げると、害虫の防除に効果的である。また、本発明の蒸散材を、例えば面ファスナー(hook and loop fastener)等を用いて建物の出入り口や窓等の開口部に設置した網戸に取り付けておくと、空気の流れによって蒸散成分が蒸散しやすくなるため、害虫防除剤により網戸に害虫を寄せ付けないようにしたり、芳香剤や消臭・防臭剤により屋内に芳香、消臭成分を漂わせたりするのに有効である。また、本発明の蒸散材を使用する際には、例えば、送風機やファン等の送風手段を用い、送風によって蒸散成分の蒸散性をさらに高めるようにしてもよい。
なお、本発明においては、編織物を形成する糸が複数本の吸液性フィラメントからなることを必須要件としているが、1本の吸液性モノフィラメントからなる糸で形成された編織物を用いた態様であっても、該1本の吸液性モノフィラメントに捲縮が付与されていれば、本発明と同様の効果が期待できる。
以下に実施例において本発明を具体的に説明するが、これらの実施例に限定されるものではない。
(参考例1〜4)
ポリエステルからなるマルチフィラメント(モノフィラメント数50本)に、加ねん−熱固定−解ねん法によるテクスチャード加工を施すことにより捲縮率13%で捲縮を付与し、得られた糸を用いて、レース編みによるネット状の編織物(ネット)を作製した。
すなわち、図2に示すレース編みの形態において、各列に用いる糸の数、そのうち経方向に走行させる経糸の本数と別の経糸に絡ませる経糸の本数との比率、絡み合わせる別の経糸の位置(何本の経糸を間に飛ばして絡み合わせるか)を変更することにより、緯方向に配される経糸の数(x)および経方向に配される経糸の数(y)がそれぞれ下記の通りであるレース編みによるネット状の編織物(ネット)を作製した。
参考例1;x=2、y=2
参考例2;x=3、y=2
参考例3;x=2、y=3
参考例4;x=3、y=3
得られた各編織物(ネット)について、目開きの割合(%)、緯方向および経方向に配される経糸の合計幅(mm)、目付け(g/m2)、厚み(mm)を測定したところ、表1に示す通りであった。
緯方向および経方向に配される各経糸の合計幅(mm)は、デジタルマイクロスコープ(「VHX−900」(株)キーエンス製)を用いて、得られたネットの表面を50倍に拡大した画像に基づいて測定し、さらに、この測定値と、一定面積(z)における緯方向および経方向の経糸の本数とから、一定面積(z)あたりの目開き面積を算出し、下記式に従い目開きの割合(%)を求めた。なお、測定はネット全体の任意の3箇所で行い、その平均値をとった。
目開きの割合(%)
=〔一定面積(z)あたりの目開き面積/一定面積(z)〕×100
他方、上記厚み(mm)は、厚み計(「DIAL THICKNESS GAUGE」(株)尾崎製作所製)を用いて測定した。
(比較参考例1)
ポリエステルからなるマルチフィラメント(モノフィラメント数50本)にテクスチャード加工を施すことなく、該マルチフィラメントを糸として用いたこと以外は、参考例1(x=2、y=2)と同様にして、レース編みによるネット状の編織物(ネット)を作製した。
得られた各編織物(ネット)について、参考例1〜4と同様に、目開きの割合(%)、緯方向および経方向に配される経糸の合計幅(mm)、目付け(g/m2)、厚み(mm)を測定したところ、表1に示す通りであった。
上記参考例1〜4および比較参考例1で得られた各ネットについて、流動パラフィンを薬剤と仮定し、その含浸許容量(薬剤保持量)を評価した。すなわち、得られた各ネットを10cm×10cmの大きさに裁断し、50℃で1時間乾燥させた後、乾燥後のネットの重量W1を測定した。次いで、乾燥後のネットを流動パラフィン中に10分間浸漬した後、過剰量の流動パラフィンをろ紙(No.2)を用いて除去し、再度、ネットの重量W2を測定した。得られた乾燥後の重量W1と含浸後の重量W2との差を、ネットが保持できる薬剤の含浸許容量(g)とした。なお、各測定は3回ずつ行い、その平均値で評価した。
得られた各ネットの含浸許容量(g)を表1に示すとともに、それぞれ、ネットの単位面積当りの含浸許容量(含浸許容量/ネット面積(0.01m2))と、目付け当りの含浸許容量(〔含浸許容量/ネット面積(0.01m2)〕/目付け)とを算出し、表1に示す。
Figure 0005647003
表1から、参考例1〜4で得られたネットはいずれも、比較参考例1で得られたネットよりも含浸許容量が高く、ネットの単位面積当りの含浸許容量や目付け当りの含浸許容量で比較しても、参考例1〜4で得られたネットは比較参考例1で得られたネットに比べ優れていることが明らかである。特に、参考例4で得られたネットは、とりわけ高い含浸許容量を示している。これらの結果から、参考例1〜4で得られたネットを用いた蒸散材は、蒸散成分(薬剤)の保持量が高いと言える。
(実施例1〜3)
上記において特に高い含浸許容量を示した参考例4で得られたネットを同一の寸法(10cm×10cm)に裁断したものを3枚用意し、裁断した各ネット上に、それぞれ表2に示す処方で配合した蒸散成分(薬剤)を、こまごめピペットを用いて滴下し、ネット全体に充分に薬剤を拡散させて、本発明の蒸散材を得た。実施例1〜3のいずれの場合も、上記所定量の薬剤を全量ネットに保持させることができた。
Figure 0005647003
(比較例1)
比較参考例1で得られたネットを実施例1と同一の寸法に裁断し、裁断したネット上に、実施例1と同じ蒸散成分(薬剤)300mgを、こまごめピペットを用いて滴下し、ネット全体に充分に薬剤を拡散させて、比較用の蒸散材を得た。
上記実施例1〜3および比較例1で得られた蒸散材について、図8に示す試験装置を用いて、薬剤の蒸散試験を行った。すなわち、図8に示す試験装置は、長さ50cm、内径15cmの円筒10を2個用意し、これらを、蒸散材11を挟み込むように連結し、その一端に送風機12を設置したものである。この試験装置を25℃に調整した室内に設置して、送風機により0.2m/秒の一定風速で連続して送風し、送風開始から0日、7日、21日、49日、70日、および126日経過後の蒸散材に残存するメトフルトリンおよびプロフルトリンをアセトンを用いて抽出し、GC分析によりメトフルトリンおよびプロフルトリンの残存量を定量した。なお、試験はそれぞれ3回ずつ行い、その平均値で評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005647003
表3に示す通り、蒸散成分中のメトフルトリンは、その含浸量の増加に伴い有効期間が長期化されることが確認できた。具体的には、メトフルトリンの配合量が100mgである実施例1の蒸散材では少なくとも21日間、200mgである実施例2の蒸散材では少なくとも49日間、300mgである実施例3の蒸散材では少なくとも70日間、安定して蒸散させうることが分かる。また、蒸散成分中のプロフルトリンについても、表3に示す通り、含浸量の増加に伴い有効期間が長期化されることが確認できた。
(実施例4および実施例5)
上記参考例4で得られたネットを10cm×10cmに裁断し、このネット上に、薬剤としてメトフルトリンを溶解させたアセトン溶液を滴下し風乾することにより、実施例4ではメトフルトリン100mgを、実施例5ではメトフルトリン30mgを、それぞれネット全体に均一に含浸させた蒸散材を作製した。
次に、上記実施例4および実施例5で得られた蒸散材を用いて屋外で以下に示す効力試験を行い、本発明の蒸散材を屋外で使用した場合の蚊に対する忌避効力を調べた。
<屋外忌避効力試験>
場所:兵庫県某所の緑地公園内(気温:27.5〜28.5℃、湿度:56〜80%、風速:0.05〜0.31m/s)
供試虫:公園内に生息している蚊雌成虫
試験検体:実施例4の蒸散材(メトフルトリン100mg;上記表3の結果より、実施例1の蒸散材の使用開始初期の状態に相当)
実施例5の蒸散材(メトフルトリン30mg;上記表3の結果より、実施例1の蒸散材の使用開始から20日程度の状態に相当)
1)供試虫の生息が確認された公園内の任意の場所に、図9に示すように、約15mの間隔をあけてフィールドMおよびフィールドNを設定した。このとき、各フィールド内の風向きは、図9中、矢印Wの向きとなっていた。そして、各フィールド内には、1辺が3mの正方形の四隅で、かつ地面からの高さが1.5mとなる位置に、試験検体(蒸散材100)を設置するための取付具を設け、この4箇所の取付具で囲まれる正方形の領域内の中心となる地点(図9に示すAの位置)と、該領域から風下に約2mの地点(図9に示すBの位置)とを、被験者の立ち位置に定めた。
2)最初に、フィールドMには4個の試験検体(蒸散材100)を設置し、フィールドNには試験検体を設置しない状態において、各フィールドの立ち位置A及びBにそれぞれ被験者が立ち、25分間に各被験者の体に止まった供試虫の数(飛来数)をカウントした。
3)24時間後、フィールドMに設置していた試験検体をフィールドNに移動させ、フィールドNには4個の試験検体(蒸散材100)を設置し、フィールドMには試験検体を設置しない状態において、各フィールドの立ち位置A及びBにそれぞれ被験者が立ち、25分間に各被験者の体に止まった供試虫の数(飛来数)をカウントした。なお、各立ち位置には、最初と24時間後とで同一の被験者が立つようにした。
4)かくして得られた各々の飛来数から、下記式に基づき、被験者の立ち位置ごとに(すなわち、フィールドMの位置Aおよび位置B、フィールドNの位置Aおよび位置Bの4箇所について)、飛来阻止率(%)を算出した。試験結果を表4に示す。
飛来阻止率(%)=〔(蒸散材を設置しない状態での飛来数−蒸散材を設置した状態での飛来数)/蒸散材を設置しない状態での飛来数〕×100
Figure 0005647003
表4に示す通り、使用開始初期の状態に相当する実施例4の蒸散材はもとより、使用開始から20日程度の状態に相当する実施例5の蒸散材においても、屋外に設置することで蚊に対して高い忌避効力を発揮することが確認できた。
以上、本発明にかかる蒸散材について詳しく説明したが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更または改善しうるものである。

Claims (5)

  1. 複数本の吸液性フィラメントからなる糸で形成されたレース編みによるネット状の編物に蒸散成分を保持させた蒸散成分保持体を備えた蒸散材であって、前記編物を形成する糸の少なくとも一部に捲縮が付与されていることを特徴とする蒸散材。
  2. 前記蒸散成分保持体を保持した枠体と、通気性を有し前記枠体を着脱自在に収納した収納体とを備えた、請求項1記載の蒸散材。
  3. 前記捲縮は、捲縮率3〜50%で付与されている、請求項1または2に記載の蒸散材。
  4. 前記蒸散成分は、蒸気圧が1×10−3Pa/25℃以上の害虫防除剤である、請求項1〜のいずれかに記載の蒸散材。
  5. 前記編物の総面積に占める目開き部分の総面積の割合が10〜80%である、請求項1〜のいずれかに記載の蒸散材。
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