JP7188980B2 - トランスフルトリンの揮散促進方法、トランスフルトリン揮散促進剤および薬剤揮散組成物 - Google Patents
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したがって本発明の目的は、常温においてトランスフルトリンの揮散量を増やし、使用初期から害虫に対する忌避効力を発揮することのできる、トランスフルトリンの揮散促進方法、トランスフルトリン揮散促進剤および薬剤揮散組成物を提供することにある。
すなわち本発明は以下の通りである。
2.さらに、25℃における蒸気圧が1.3×10-2Paより大きいピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物を含む、上記1に記載のトランスフルトリンの揮散促進方法。
3.25℃における蒸気圧が1.0×10-3Pa以上1.3×10-2Pa以下であるピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物を含む、トランスフルトリン揮散促進剤。
4.さらに、25℃における蒸気圧が1.3×10-2Paより大きいピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物を含む、上記3に記載のトランスフルトリン揮散促進剤。
5.トランスフルトリンと、25℃における蒸気圧が1.0×10-3Pa以上1.3×10-2Pa以下であるピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物と、25℃における蒸気圧が1.3×10-2Paより大きいピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物とを含有する、トランスフルトリンの揮散を促進させるための、薬剤揮散組成物。
本発明のトランスフルトリン揮散促進方法は、トランスフルトリンを含む薬剤揮散組成物に、25℃における蒸気圧が1.0×10-3Pa以上1.3×10-2Pa以下であるピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物(以下、第1ピレスロイド系化合物とも称する)を配合することを特徴とする。
また、本発明のトランスフルトリン揮散促進剤は、第1ピレスロイド系化合物を含むことを特徴とする。
第1ピレスロイド系化合物は、25℃における蒸気圧が1.0×10-3Pa以上1.3×10-2Pa以下であるピレスロイド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種以上のピレスロイド系化合物であって、例えばプロフルトリン(25℃における蒸気圧=1.0×10-2Pa)、メトフルトリン(25℃における蒸気圧=1.9×10-3Pa)等が挙げられる。なお、第1ピレスロイド系化合物には、トランスフルトリンは含まない。
第1ピレスロイド系化合物の25℃における蒸気圧が1.0×10-3Pa未満であると、常温で揮散させるにはトランスフルトリンよりも蒸気圧が低く、トランスフルトリンが揮散しづらくなるため好ましくない。
薬剤揮散装置1は、屋内または屋外において、トランスフルトリンを含む薬剤揮散組成物を保持した担体2を収容した容器3を吊り下げフック5で上から吊り下げて使用される。容器3の正面には複数の通風開口部4が形成されており、背面にも同様に複数の通風開口部4’が形成されている(図2を参照)。
正面部3aと背面部3bは、少なくともそれらの側縁部で互いに一体化され、内部に通気用の空間6が形成される。通風開口部4、4’は、容器3の正面から背面に向けて通気性を保持するよう、正面部3aと背面部3bとに同一形状で、かつ同じ位置に設けられている。このような通風開口部4、4’を設けることにより、通風開口部4、4’から担体2に保持された薬剤揮散組成物中のトランスフルトリンを揮散させることができる。
なお、通風開口部4、4’の形状や形成位置は、正面部3aと背面部3bとの間で通気性が確保され、トランスフルトリンが効率よく揮散できる限り、特に制限されず、任意の形状や位置に設計することができ、例えば容器3の側面に設けてもよいが、トランスフルトリンの揮散量を多くするうえで、容器3の表面積に対する通風開口部4、4’の総面積の比が大きいほど好ましい。
容器3(正面部3aおよび背面部3b)を構成する素材は、特に制限されるものではなく、例えば、各種プラスチック、金属、ガラス、紙、木、陶磁器等により形成することができる。
なお、繊維には、例えば、防カビ剤、色素、紫外線吸収剤、香料等の従来公知の添加物を含有させることもできる。
また、第1ピレスロイド系化合物の担体への保持量は、トランスフルトリンの揮散を促進させるという観点から、0.00001g以上10g以下が好ましく、0.0005g以上0.5g以下がさらに好ましい。
また、第2ピレスロイド系化合物の担体への保持量は、トランスフルトリンの揮散をさらに促進させるという観点から、0.00001g以上10g以下が好ましく、0.005g以上2g以下がさらに好ましい。
安定剤としては、例えば、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシトルエン、3-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリル-チオ-ジ-プロピオネート、2,2'-メチレン-ビス-(6-t-ブチル-4-メチルフェノール)、4,4'-メチレン-ビス-(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4'-チオ-ビス-(6-t-ブチル-3-メチルフェノール)、フェニル-β-ナフチルアミン、2-t-ブチル-4-メトキシフェノール、ステアリル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、α-トコフェロール、アスコルビン酸、エリソルビン酸等が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、γ-オリザノール、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、没食子酸プロピル等が挙げられる。
下記表1、2に示す配合処方にしたがい、トランスフルトリンを含む薬剤揮散組成物1~7を調製した。なお、薬剤揮散組成物2、3、5、6が実施例に相当し、薬剤揮散組成物1、4、7が比較例に相当する。
つづいて、図3(B)に示すように、ボックス31内に小型ファン34を設置し、ボックス31内の空気を循環させた。次いで、ボックス31内のほぼ中央部に検体35を吊り下げた。
結果を表3に示す。なお、検体7は試験回数(n)を3回、検体1~6は試験回数(n)を4回とし、結果は平均値として示した。
また、薬剤揮散組成物1および2と、薬剤揮散組成物4および5とをそれぞれ比較すると、トランスフルトリン、プロフルトリン(第1ピレスロイド系化合物)およびエンペントリン(第2ピレスロイド系化合物)を併用した薬剤揮散組成物2および5は、それぞれ薬剤揮散組成物1および4に比べ、初期7日間における1日あたりのトランスフルトリンの揮散量が顕著に多いことが分かる。
薬剤揮散組成物として、試験例1で調製した検体1、2、4および5を用い、試験例1と同様に、薬剤揮散組成物1、2、4および5を含む検体1、2、4および5をそれぞれ作製した。
つづいて、図4に示す試験装置40を作製した。図4において、試験装置40は、直径20cm、長さ100cmの中空の円筒形状を呈し、一方の端部(上流端部)41に検体45が設置され、そこから下流方向15cmの位置にファン44が設置され、他方の端部(下流端部)46に供試虫20頭(ユスリカ成虫(雌雄混合))を収容したメッシュ状の試験ケージ47が設置されている。試験装置40は、ファン44の動作により上流方向から下流方向に向かって風速0.1m/秒の割合で空気が流通するよう設定した。
ファン44の運転を開始して、供試虫を揮散した薬剤に曝露した後、1分毎に供試虫のノックダウン数をカウントし、全頭数がノックダウンするまで観察した。その後、KT50(供試虫の50%がノックダウンする時間:分)をプロビット回帰分析にて算出した。
結果を表4に示す。なお、試験回数(n)は2回とし、結果は平均値として示した。
下記表5に示す配合処方にしたがい、トランスフルトリンを含む薬剤揮散組成物8~11を調製し、試験例1と同様に、薬剤揮散組成物8~11を含む検体8~11をそれぞれ作製した。なお、薬剤揮散組成物10、11が実施例に相当し、薬剤揮散組成物8、9が比較例に相当する。
つづいて、図4に示す試験装置40を用いて、以下の(1)~(4)の手順で試験を行い、吸血阻害率およびノックダウン率を調べた。なお、供試虫としてはヒトスジシマカ成虫(雌)20頭を用いた。
(1)供試虫に揮散した薬剤を曝露する前に、試験ケージ47のメッシュ部(外側)に実施者の手をかざした。それから1分間、実施者の手に対しメッシュ部の内側から針を刺そうとする行動(吸血意欲を示す行動)をとった蚊の頭数をカウントした(なお、供試虫のほとんどが吸血意欲を示す行動をとったことを確認した)。
(2)試験ケージ47を試験装置40内に設置した後、ファン44の運転を開始し、2分間供試虫を揮散した薬剤に曝露した。
(3)試験装置40から試験ケージ47を取出し、供試虫のノックダウン数をカウントし、全頭数に対するノックダウン率を算出した。
(4)試験ケージ47のメッシュ部(外側)に実施者の手をかざした。それから1分間、実施者の手に対しメッシュ部の内側から針を刺そうとする行動(吸血意欲を示す行動)をとった蚊の頭数をカウントした。
吸血阻害率(%)={(試験開始前に吸血意欲を示した頭数-試験後に吸血意欲を示した頭数)/(試験開始前に吸血意欲を示した頭数)}×100
2 担体
3 容器
3a 正面部
3b 背面部
4、4’ 通風開口部
5 吊り下げフック(吊り下げ具)
6 空間
8a、8b 挟持部材
9 固定具
30 試験装置
31 ボックス
32 吸気孔
33 排気孔
34 小型ファン
35 検体
40 試験装置
41 上流端部
44 ファン
45 検体
46 下流端部
47 試験ケージ
Claims (5)
- トランスフルトリンを含む薬剤揮散組成物に、プロフルトリンを配合することを特徴とする、トランスフルトリンの揮散促進方法。
- さらに、エンペントリンを配合する、請求項1に記載のトランスフルトリンの揮散促進方法。
- プロフルトリンを含む、トランスフルトリン揮散促進剤。
- さらに、エンペントリンを含む、請求項3に記載のトランスフルトリン揮散促進剤。
- トランスフルトリンと、プロフルトリンと、エンペントリンとを含有する、トランスフルトリンの揮散を促進させるための、薬剤揮散組成物。
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