JP5646897B2 - ウエハの枚葉化方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体装置や電子部品等の素材となるシリコン等のウエハについて、積層された状態から1枚ずつの状態に枚葉化するウエハの枚葉化方法および装置に関するものである。
半導体装置や電子部品等の素材となるシリコン等のウエハは、インゴットの状態から内周刃やマルチワイヤソー等のスライシング装置でスライスされてウエハ状になり、その後各種工程を経て半導体装置や電子部品となる。
マルチワイヤソーによるインゴットの切断は、スラリー状の研削液をスプレーしながら、一定ピッチで張架されたワイヤ列によってインゴットを多数枚のウエハに同時に切断する装置によって行われる。このような装置においてインゴットをスライスする際には、インゴットは切り終わり部分の欠損を防止するため、スライスベースに接着されて切断される。
このため、切り出されたウエハは全てスライスベースに接着された状態であり、かつ研削液にまみれた状態となっている。この後ウエハを製品として出荷するためには、スライスベースからのウエハの取外し、および研削液の洗浄等を行う必要がある。
スライスベースからのウエハの取外し方法としては、例えば熱水中で接着剤を熱軟化させて取り外す方法などがある。また、ウエハの粗洗浄・仕上げ洗浄の方法としては、例えばウエハを一枚ずつ分離し、枚葉化してから洗浄装置にて洗浄する方法などがある。
ここで、例えば板状や膜状などのある程度厚みが薄い板状物質が多数重なった状態で、各板状物質同士の間に液体などが挟まれて介在すると、その摩擦や粘性などの作用が生じ、各板状物質は複数枚が一体となって容易に剥がれない。この状態では後の処理に支障をきたすので、何らかの処理を加えることで、上記各板状物質1枚1枚をバラバラにする枚葉化処理が必要になる。
スライスベースからのウエハの取外しとウエハの洗浄を効率的に行うため、スライスベースからのウエハの取外し工程と枚葉化工程を同時に行う各種の装置が提案されている(例えば特許文献1〜5)。
特許文献1(特開平9−326374)には、スライスベースに接着剤を介して固定されたウエハ列を軟化槽に浸漬して接着剤を軟化させ、スライスベースからウエハ列を取り外す工程と、このウエハ列の端部のウエハ表面にウエハ吸着盤を吸着させ、ウエハ間の間隙に向けて気体流を噴射し、表面張力を低減させてウエハを枚葉化する工程とを兼ね備えた装置が記載されている。この装置では、ウエハの枚葉化は、吸着盤による吸着と気体流の噴射とにより、1枚ずつ枚葉化することが行われている。
特許文献2(特開平9−326375)には、スライスベースに接着されたインゴットをワイヤソーによってスライスした後、スライスベースに接着された状態でウエハ列を洗浄する工程と、この工程で洗浄されたウエハ列の端部からウエハを一枚ずつ剥離させる剥離工程と、剥離させたウエハを順次洗浄する枚葉洗浄工程を具備したウエハの洗浄方法および装置が記載されている。この装置では、ウエハの枚葉化は、ウエハ吸着盤をウエハ列の端部のウエハに吸着させ、ウエハ列を揚動させることにより、1枚ずつ枚葉化することが行われている。
特許文献3(特開平10−321564)には、多数枚同時に切断されたウエハ列を、そのウエハ列が保持されているスライスベースから一枚ずつ自動で回収し、自動で正常なウエハと不良ウエハとを識別することができるウエハ回収装置が記載されている。この装置では、ウエハの枚葉化は、スライスベースからウエハを一枚ずつ切り離して落下させることにより、1枚ずつ枚葉化することが行われている。
特許文献4(特開平11−288902)には、多数枚同時に切断されたウエハ列を、ウエハ枚葉剥離部において一枚ずつスライスベースから剥離して枚葉化した後、そのスライスベースから剥離したウエハを一枚ずつ枚葉洗浄し、割れ・欠け等を検査する装置が記載されている。この装置では、ウエハの枚葉化は、ウエハ枚葉剥離部において吸着パッドを用いて1枚ずつスライスベースから枚葉化することが行われている。
特許文献5(特開2009−54708)には、スライスベースに接着したウエハ列の洗浄、スライスベースからの剥離枚葉化、検査を行う剥離洗浄部と、ウエハの端面を研削する端面研削装置を1つ以上備えた端面研削部と、端面研削後のウエハをカセットに収納し洗浄する洗浄収納部とを兼ね備えた装置が記載されている。この装置では、ウエハの枚葉化は、スライスベースとウエハを接着させている接着剤を熱水にて熱軟化させた後、ウエハを吸着して1枚ずつ枚葉化することによって行われている。
特開平9−326374 特開平9−326375 特開平10−321564 特開平11−288902 特開2009−54708 特開平5−63058 特開平9−237817 特開平10−114426
界面現象の科学、鈴木四郎他著、三共出版株式会社、1996、P.93〜97
このように、スライスベースからのウエハの取外し工程とウエハの枚葉化工程を同時に行うためのさまざまな装置が提案されているが、いずれも、ウエハを1枚ずつ枚葉化するものであり、枚葉化の効率は極めて悪い。
また、各ウエハの製造メーカーによってその作業工程は多種多様であり、場合によっては、スライスベースからのウエハの取外し工程と、枚葉化工程を同時に行うことができないこともある。
例えば、前述の特許文献1(特開平9−326374)、特許文献2(特開平9−326375)、特許文献5(特開2009−54708)では、ウエハを一枚ずつ取り外す方法として気体流の噴出を用いたり、ウエハ列を揚動させたりするような方法が提案されている。しかしながら、このような方法では、ウエハの厚みが薄い場合や、材料強度によってはウエハが割れやすくなり、その結果、製品ウエハの歩留まりが悪くなるという問題がある。
また、特許文献3(特開平10−321564)では、ウエハを1枚ずつ落下させるので、落下の衝撃で割れてしまう強度のウエハには、適用することができないという問題がある。
このように、スライスベースからのウエハの取外しと枚葉化を同時に行うことができない場合、スライスベースからウエハを取り外すとウエハ同士が密着してしまい、後々の工程において十分に枚葉化することが困難となる。
このような場合には、作業員の手作業によって重なったウエハを一枚ずつに分離させるという作業を行う必要がある。
このような手作業によるウエハの枚葉化方法の一例では、スライスベースからのウエハ列を取り外した後、粗洗浄を行ない、ウエハを手作業で枚葉化したのち、仕上げ洗浄を実施することが行われる。
手作業による枚葉化工程は、具体的には、スライスベースから取り外されて重なった状態のウエハを、横向き(ウエハの両面が左右を向いた状態で重なる)から縦向き(ウエハの両面が上下を向いた状態で重なる)に向きを変え、その後手作業で上から1枚ずつウエハを剥がしてウエハカセットに装着し、仕上げ洗浄工程に送ることが行われる。
このような作業員による手作業では、ウエハが割れてしまったり、カセット装着時に2枚重ねて装着するなどのミスが生じやすく、その結果、製品ウエハの歩留まりが悪くなってしまうという問題がある。すなわち、手作業は、作業員の個々の能力に依存する度合いが高く、ウエハに割れや傷が生じたり、枚葉化が不十分で複数枚重なったまま次工程に移行してしまう等の不具合が発生しやすい。また、当然のことながら、その作業に従事するための作業員を常に確保しておく必要もある。
このような問題点を解決するため、スライスベースから取り外した後や、その他工程において、密着したウエハを自動枚葉化して分離搬送する装置が提案されている(例えば特許文献6〜8)。
特許文献6(特開平5−63058)には、積重ねたウエハ列の一番上のウエハを、ノズルから加圧下に流出する流体の作業内に運び、ノズルから流出する流体の作用により積重ねたウエハ列から一番上のウエハのみを取り出す装置が記載されている。
特許文献7(特開平9−237817)には、積重ねたウエハ列を積層状態のまま上昇させる支持部と、所定位置に配置された最上部のウエハ上面に対し流体を噴射して、最上部のウエハを他のウエハから分離させる装置が記載されている。
特許文献8(特開平10−114426)には、水槽内に浸漬したウエハ列を昇降手段で昇降させ、液面から上昇させたウエハの端面を吸着パッドで吸着保持し、水槽内に浸潰したウエハに向けて液体を噴射してウエハを分離し、吸着パッドで保持したウエハを所定の受け渡し位置に搬送する装置が記載されている。
これらの分離搬送を行う装置は、全てウエハが積重なった状態で枚葉化する処理である。鉛直方向に重なった状態のウエハロットに対して直接枚葉化の処理を施していることから、積重なることによるウエハヘのダメージが避けられない。さらに、これらの方法は、いずれも、鉛直方向最上部から1枚1枚ウエハを取り出す構造である。したがって、重なったウエハロットをこれらの装置にかけるためには、スライスベースから取り外されて重なった状態のウエハを、横向き(ウエハの両面が左右を向いた状態で重なる)から縦向き(ウエハの両面が上下を向いた状態で重なる)に向きを変えなければならず、これには結局、作業員の手作業が必要になる。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、積層されたウエハを自動工程で極めて容易に枚葉化できるウエハの枚葉化方法および装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のウエハの枚葉化方法は、微細気泡発生装置で生成した微細気泡が存在する水を導入して貯留する貯留槽と、上記貯留槽の上部においてウエハが多数枚積層されたウエハ集合体を収容して枚葉化する枚葉化槽とを用い、上記枚葉化槽と貯留槽の間をメッシュ状の連通部とすることにより、微細気泡が存在している液体中に、各ウエハの両面が横方向を向いた状態で浸漬することを要旨とする。
また、上記目的を達成するため、本発明のウエハの枚葉化装置は、微細気泡発生装置で生成した微細気泡が存在する水を導入して貯留する貯留槽と、上記貯留槽の上部においてウエハが多数枚積層されたウエハ集合体を、収容して枚葉化する枚葉化槽とを備え、上記枚葉化槽と貯留槽の間をメッシュ状の連通部とすることにより、微細気泡が存在している液体中に、ウエハの両面が横方向を向いた状態で浸漬することを要旨とする。
本発明のウエハの枚葉化方法および装置では、ウエハが多数枚積層されたウエハ集合体を、微細気泡が存在している液体中に、ウエハの両面が横方向を向いた状態で浸漬する。
これにより、液体中で上昇しながら運動する微細気泡が、ウエハ同士が重なった接合部に対して作用することによりウエハ同士の密着が緩み、やがてウエハ同士が剥離して1枚ずつバラバラになって枚葉化が達成される。
このように、ウエハ集合体をそのまま液体中に浸漬するだけで枚葉化が達成でき、従来のように手作業で枚葉化したり吸着盤で1枚1枚枚葉化したりするのに比べ、ロット一まとめで一括処理することが可能であるうえ、作業員の技量にたよることもなく一定の処理能力で枚葉化が可能で、極めて効率がよい。しかも、液体中に浸漬しておくだけでウエハが1枚ずつバラバラになるうえ、従来のような鉛直方向に方向転換して取り扱う必要がないため、従来に比べてウエハの不用意な破損やダメージのリスクを大幅に軽減できる。さらに、従来からあるようなウエハ製造工程において、液体を使用する様々な工程に組み込むことが可能で、現存装置に対して容易に適用することができる。しかも、水と不活性ガス等によって実現可能な方法であるため、環境負荷を低減することができる。
また、上記枚葉化槽と貯留槽の間をメッシュ状の連通部とするため、微細気泡が存在した液体を流通させ、ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。また、微細気泡が存在した液体が、ウエハ集合体におけるウエハ厚み方向の全域において流通し、重なったウエハの全てにおける接合部に対して微細気泡が効果的に作用し、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
本発明において、ウエハ集合体が液体に浸漬された状態で、微細気泡が存在した液体を流通させる場合には、
微細気泡が存在した液体を流通させることにより、ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
本発明において、微細気泡が存在した液体の流通方向を、ウエハ集合体におけるウエハの両面に沿った方向とする場合には、
ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
本発明において、微細気泡が存在した液体の流通方向を、ウエハ集合体の下から上に向けた方向とする場合には、
ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなるとともに、作用の強度も高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
本発明において、微細気泡が存在した液体を、ウエハ集合体におけるウエハ厚み方向の全域において流通させる場合には、
重なったウエハの全てにおける接合部に対して微細気泡が効果的に作用し、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
本発明において、液体中においてウエハ集合体をウエハ厚み方向で保持部によって保持し、上記ウエハ集合体におけるウエハ厚みの総和寸法に対する保持部の間隔を、1.47〜2.52の寸法比に設定する場合には、
ウエハ集合体が保持部に保持されることで必要以上に拘束されて枚葉化の妨げになることが防止されるとともに、枚葉化された個々のウエハが倒れることなくある程度姿勢を維持してウエハの破損を防止する。
本発明において、液体中においてウエハ集合体をウエハ厚み方向で保持部によって保持し、上記ウエハ集合体を構成するウエハの外径寸法のうち最も短い部分の寸法を、上記保持部の間隔と上記ウエハ集合体におけるウエハ厚みの総和寸法との差よりも大きくなるよう設定した場合には、枚葉化された個々のウエハが倒れることなくある程度姿勢を維持してウエハの破損を防止する。
本発明の一実施形態のウエハ枚葉化装置を示す図である。 実施例1および比較例の枚葉化の結果を示す写真である。 実施例2で使用したウエハ枚葉化装置を示す図である。 実施例2における乾燥ウエハでの枚葉化の結果を示す線図である。 実施例2における濡れウエハでの枚葉化の結果を示す線図である。 実施例3における枚葉化の結果を示す線図である。 実施例4で使用したウエハ枚葉化装置を示す図である。
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
本発明者らは、従来にない新たな枚葉化方法を開発すべく検討を重ねるなかで、液体中に人工的に発生させることで、現在、カキ、ホタテ、真珠などの水産養殖や、ダム湖の浄化、排水処理などへ利用されている、数10nm〜20μm程度の空気や各種ガスからなる微細気泡(マイクロバブル、マイクロナノバブル)を用いることで、ウエハヘのダメージが少なく、手作業によるウエハロットの方向変換を行わずに枚葉化できるのではないかとの着想のもと、鋭意研究を重ねた。その結果、後述するように、微細気泡を含む液体を使用することにより、従来に比べて極めて容易にウエハの枚葉化を達成できることを見出し、本発明に到達した。
図1は、第1実施形態における枚葉化装置を示す概略図である。
この装置は、液体(水)が満たされた内容器2と、上記内容器2から溢流した水を受ける水受け槽1と、上記水受け槽1に貯留された水を汲み上げて微細気泡を混入させ、微細気泡が存在した水を内容器2に導入する微細気泡発生装置3とを備えている。
上記微細気泡発生装置3は、例えば、水と空気を毎秒400〜600回転で旋回させることによりマイクロバブルやナノバブルを発生させる超高速旋回方式によるものを用いることができる(例えば、株式会社ナノプラネット研究所製マイクロバブル発生装置・型番MS/SUSや、株式会社協和機設製ナノバブル生成装置・製品名バヴィタスなど)。上記微細気泡発生装置3としては、上述したものに限定するものではなく、液体中に微細気泡を混在させることができれば、各種のものを用いることができ、例えば、加圧溶解による方法、化学反応による方法、電気分解による方法、超音波による方法等を応用して微細気泡を発生させるものを用いることもできる。
上記微細気泡発生装置3は、水受け槽1から水を汲み上げて微細気泡を発生させたのちに内容器2に導入して水を循環させるポンプを内蔵している(図示していない)。
上記内容器2は、微細気泡発生装置3で生成した微細気泡が存在する水を導入して貯留する貯留部4の上部に、複数のウエハ6aが積層されたウエハ集合体6を収容して枚葉化する枚葉化槽5が形成されて構成されている。上記枚葉化槽5と貯留部4の間は、メッシュ状の連通部7となっていて、微細気泡が混在する水を流通させるとともに、各ウエハ6aを貯留部4内に落下させないようになっている。
この例では、ウエハ集合体6を構成する各ウエハ6aは、共通のインゴットをスライスして得られたものであり、形状および大きさはその範囲で同一であり、厚さもその範囲で等しいのものである。なお、本発明が適用される範囲は、これに限定するものではなく、異なるインゴットをスライスして得られたウエハ6aで1つのウエハ集合体6を構成することもでき、形状、大きさおよび厚さは必ずしも同一のものでなくともよい趣旨である。
上記微細気泡発生装置3で生成した微細気泡が存在する水は、内容器2の貯留部4内に導入され、メッシュ状の連通部7を通過して枚葉化槽5内を下から上に流通し、ウエハ集合体6ならびに各ウエハ6aに接触して上部開口からオーバーフローして水受け槽1内に流下する。
この装置により、ウエハ6aが多数枚積層されたウエハ集合体6を、微細気泡が存在している水で満たされた枚葉化槽5内に装入し、ウエハ集合体6を微細気泡が存在している水中に、各ウエハ6aの両面が横方向を向いた状態で浸漬した。
このとき、ウエハ集合体6が微細気泡が存在している水に浸漬された状態で、微細気泡が存在した水を枚葉化槽5内で流通させ、常に新鮮な微細気泡が存在した水をウエハ6aおよびウエハ集合体6に接触させるようにした。
また、微細気泡が存在した水の流通方向は、ウエハ集合体6におけるウエハ6aの両面に沿った方向とした。具体的には、微細気泡が存在した水を枚葉化槽5の下から上に流通させ、微細気泡が存在した水の流通方向を、ウエハ集合体6の下から上に向けた方向とした。
さらに、微細気泡が存在した水を、ウエハ集合体6におけるウエハ6a厚み方向の全域において流通させるようにした。これにより、ウエハ集合体6における各ウエハ6aのすべてに漏れなく微細気泡が存在した水を接触させるようにした。
このようにすることにより、ウエハ集合体6の各ウエハ6aは、目視において一枚ずつ剥離し、枚葉化を達成することができた。
この理由については、必ずしも明らかではないが、水中の微細気泡が枚葉化槽5中で流通する際に、ウエハ集合体6の下面および側面に接触することとなる。このとき、微細気泡が水中で振動したり、収縮したり、あるいは結合したりする際のエネルギーがウエハ集合体6のウエハ6a同士の接触面に作用するとともに、微細気泡がウエハ6a同士の隙間に入り込むことによってウエハ間の摩擦が低減し、密着したウエハ6a同士の接触面の接合強度を弱めたことによるものと考えることができる。
図示した例では、枚葉化槽5の側壁5aが保持部として機能する。上記側壁(保持部)5aは、ウエハ集合体6が水中で倒れてウエハ面が上下を向いてしまったり、あるいは水の流通方向に対してウエハ面の傾斜が大きくなってしまい、ウエハ6aの接合面等に対して微細気泡を含む水が作用する効果を損なうのを防止する。また、枚葉化した後の各ウエハ6aが水中で倒れて損傷・破損するのを防止する。
すなわち、水中においてウエハ集合体6をウエハ6a厚み方向で側壁(保持部)5aによって保持する。このとき、上記ウエハ集合体6におけるウエハ6a厚みの総和寸法に対する側壁(保持部)5aの間隔は、1.47〜2.52の寸法比に設定するのが好ましい。このようにすることにより、ウエハ集合体6および枚葉化後のウエハ6aを確実に保持して、ウエハ集合体6の傾斜や枚葉化後のウエハ6aの破損や損傷を効果的に防止する。また、微細気泡を含む水の流通量を確保し、ウエハ6aの接合面等に対して微細気泡を含む水が作用する効果が減殺されるのを防止する。
また、水中においてウエハ集合体6をウエハ6a厚み方向で側壁(保持部)5aによって保持するとき、上記ウエハ集合体6を構成するウエハ6aの外径寸法のうち最も短い部分の寸法を、上記側壁(保持部)5aの間隔と上記ウエハ集合体6におけるウエハ6aの厚みの総和寸法との差よりも大きくなるよう設定するのが好ましい。より好ましくは、上記ウエハ集合体6を構成するウエハ6aの外径寸法のうち最も短い部分の寸法が、上記側壁(保持部)5aの間隔と上記ウエハ集合体6におけるウエハ6aの厚みの総和寸法との差の2倍以上となるよう設定する。このようにすることにより、枚葉化された個々のウエハ6aが倒れることなくある程度姿勢を維持してウエハ6aの破損を防止する。
本実施形態のウエハの枚葉化方法および装置によれば、以下の効果が得られる。
すなわち、ウエハが多数枚積層されたウエハ集合体を、微細気泡が存在している液体中に、ウエハの両面が横方向を向いた状態で浸漬する。
これにより、液体中で上昇しながら運動する微細気泡が、ウエハ同士が重なった接合部に対して作用することによりウエハ同士の密着が緩み、やがてウエハ同士が剥離して1枚ずつバラバラになって枚葉化が達成される。
このように、ウエハ集合体をそのまま液体中に浸漬するだけで枚葉化が達成でき、従来のように手作業で枚葉化したり吸着盤で1枚1枚枚葉化したりするのに比べ、ロット一まとめで一括処理することが可能であるうえ、作業員の技量にたよることもなく一定の処理能力で枚葉化が可能で、極めて効率がよい。しかも、液体中に浸漬しておくだけでウエハが1枚ずつバラバラになるうえ、従来のような鉛直方向に方向転換して取り扱う必要がないため、従来に比べてウエハの不用意な破損やダメージのリスクを大幅に軽減できる。さらに、従来からあるようなウエハ製造において、液体を使用する様々な工程に組み込むことが可能で、現存装置に対して容易に適用することができる。しかも、水と不活性ガス等によって実現可能な方法であるため、環境負荷を低減することができる。
ウエハ集合体が液体に浸漬された状態で、微細気泡が存在した液体を流通させる場合には、微細気泡が存在した液体を流通させることにより、ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
微細気泡が存在した液体の流通方向を、ウエハ集合体におけるウエハの両面に沿った方向とする場合には、ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
微細気泡が存在した液体の流通方向を、ウエハ集合体の下から上に向けた方向とする場合には、ウエハ同士が重なった接合部に対して微細気泡が作用する確率が高くなるとともに、作用の強度も高くなり、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
微細気泡が存在した液体を、ウエハ集合体におけるウエハ厚み方向の全域において流通させる場合には、重なったウエハの全てにおける接合部に対して微細気泡が効果的に作用し、より効率的かつ確実に枚葉化することができる。
液体中においてウエハ集合体をウエハ厚み方向で保持部によって保持し、上記ウエハ集合体におけるウエハ厚みの総和寸法に対する保持部の間隔を、1.47〜2.52の寸法比に設定する場合には、ウエハ集合体が保持部に保持されることで必要以上に拘束されて枚葉化の妨げになることが防止されるとともに、枚葉化された個々のウエハが倒れることなくある程度姿勢を維持してウエハの破損を防止する。
液体中においてウエハ集合体をウエハ厚み方向で保持部によって保持し、上記ウエハ集合体を構成するウエハの外径寸法のうち最も短い部分の寸法を、上記保持部の間隔と上記ウエハ集合体におけるウエハ厚みの総和寸法との差よりも大きくなるよう設定した場合には、枚葉化された個々のウエハが倒れることなくある程度姿勢を維持してウエハの破損を防止する。
図1に示す装置により、下記の条件で枚葉化を行った。
〔枚葉化条件〕
溶液:井戸水
微細気泡発生装置:株式会社協和機設製(型式 HYK−25)
水流速:20.0mm/sec
水流量:37.0L/min
ガス流量:3.0L/min
ガス:空気、0.1MPa
ポンプ:株式会社丸八ポンプ製作所製(型式 CFS・27M)
ウエハ:切断および粗洗浄、本洗浄後に乾燥させた太陽電池用単結晶シリコンウエハ(125mm角×厚さ0.17mm)
ウエハ乾燥条件:自然乾燥(25℃×2Hr以上放置)
乾燥ウエハ30枚を重ねたものを微細気泡を含む水で処理した。微細気泡を含まない水で処理を行ったものを比較例とした。
乾燥した太陽電池用単結晶シリコンウエハ30枚を用意し、微細気泡発生装置3、枚葉化槽5、水受け槽1をセットし、微細気泡発生装置3を起動させ、枚葉化槽5内に水をあらかじめ10分間循環させておく。つぎに、ウエハ30枚を端をそろえて積み重ねたウエハ集合体6を上部開口よりウエハが垂直方向になるようセットする。このセットが完了した時点を開始時間とし、目視においてウエハが一枚一枚剥離した時点を枚葉化の処理時間とした。
図2は、処理時間3分における実施例および比較例の枚葉化の状態を示す写真である。なお、図中「MNB」の表記は「微細気泡」を意味する。以下の図においても同様である。
左側の写真が微細気泡を含む水の実施例であり、ウエハが枚葉化して目視において1枚1枚バラバラになっている様子が確認できる。また、右側の写真が微細気泡を含まない水の比較例であり、複数枚のウエハが一塊となって枚葉化ができていない様子が確認できる。比較例では、水がウエハ間にしみこんで、乾燥状態の時よりも強固にウエハ同士が貼り合わさったのに対し、実施例は、ウエハ間に微細気泡が入り込むことによってウエハ間の摩擦が低減し、ウエハ1枚1枚がバラバラになったと考えられる。
つぎに、微細気泡を含む水の場合・含まない水の場合に、ウエハが枚葉化するのに必要な時間および処理水の流速を測定した。
図3は、実施例2に使用した装置である。
基本構成は図1に示したものと同様なので、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。この装置では、枚葉化槽5の上部開口に装着部材9が架けられており、上記装着部材9に接着剤8で接着された第1ウエハ6bに対し、第2ウエハ6cが接合されている。このように接合した第1ウエハ6bと第2ウエハ6cを微細気泡が存在する水中に浸漬した。また、枚葉化槽5にメッシュ状の連通部7が複数(この例では4段)設けられている。
〔枚葉化条件〕
溶液:井戸水
微細気泡発生装置:株式会社協和機設製(型式 HYK−25)
水流速:0〜18.8mm/sec(図4、図5、表1参照)
水流量:19.9L/min(水流速3.5mm/sec)
28.4L/min(水流速5.0mm/sec)
37.0L/min(水流速3.5mm/sec、5.0mm/sec以外)
ガス流量:1.6L/min(水流速3.5mm/sec)
2.3L/min(水流速5.0mm/sec)
3.0L/min(水流速3.5mm/sec、5.0mm/sec以外)
ガス:空気、0.1MPa
ポンプ:株式会社丸八ポンプ製作所製(型式 CFS・27M)
ウエハ:切断および粗洗浄、本洗浄後に乾燥させた太陽電池用単結晶シリコンウエハ(125mm角×厚さ0.17mm、5.6g/枚)
なお、微細気泡ありの場合の流速0mm/secとは、あらかじめ微細気泡発生装置3を起動させ、枚葉化槽5内に水を10分間循環させた後、微細気泡発生装置3を停止し、ウエハ装着部材9を枚葉化槽5に装着した状態をいう。また、微細気泡なしの場合の流速0mm/secとは、枚葉化槽5内に水を貯めた状態で枚葉化槽5への水の出入を無くし、ウエハ装着部材9を枚葉化槽5に装着した状態をいう。
この試験では、乾燥ウエハと濡れウエハを使用して、貼り合わせた2枚のウエハ6b、6cのうち第2ウエハ6cが自重で剥がれ落ちるのにかかる時間を計測した。濡れウエハは、乾燥ウエハ間に200μLの水を介在させたものを試験に供した。
すなわち、微細気泡発生装置3、枚葉化槽5、水受け槽1をセットし、微細気泡発生装置3を起動させ、枚葉化槽5内に水をあらかじめ10分間循環させておく。ウエハ装着部材9に両面テープ(アクリル系)で貼り付けてある第1ウエハ6bに、第2ウエハ6c(乾燥または濡れ)を貼り合わせ、枚葉化槽5に装着する。枚葉化槽5にウエハ装着部材9を装着した時点を開始時間とし、自重によって第2ウエハ6cが剥がれ落ちるまでの時間を測定した。
乾燥ウエハによる結果を図4に、濡れウエハによる結果を図5に、それらをまとめたものを表1に示す。
図4、図5は、x軸にウエハを処理した水の流速、y軸に枚葉化時間(第2ウエハ6cが自重によって剥がれ落ちるまでの時間)を取り、個々の試験結果とそれらの平均値を示した。表1では個々の試験結果と平均値、標準偏差を数値で示した。
濡れウエハの場合に、流速5.0mm/sでは微細気泡が無い場合は、枚葉化の時間は115.6secであったが、微細気泡がある場合には、73.6secであり、時間にして36.3%の短縮がみられた。また同様に、流速15.0mm/s、微細気泡が無い場合は、枚葉化の時間は97.8secであったが、微細気泡がある場合には、80.3secであり、時間にして17.9%の短縮がみられた。
他のケースでも同様の傾向が見られており、これらの試験の結果から、流速に関わらず、微細気泡を含む水のほうが含まない水よりも枚葉化時間が早いことがわかる。このことから、ウエハの枚葉化に微細気泡が効果的に働いているのが明らかである。また、水の流速の相違と枚葉化時間には、顕著な差は見られなかったことから、剥がれるか剥がれないかに関してだけを評価する枚葉化においては、流速による影響はそれほど大きくない。
また、濡れウエハについて標準偏差を求めたところ、微細気泡を含む水のほうが標準偏差が小さいことから、濡れウエハの枚葉化に微細気泡を用いることで処理時間的に安定した枚葉化を行うことができることがわかる。実際の設備でのウエハの枚葉化工程では、ウエハは濡れている場合がほとんどであることから、微細気泡を用いることでより効果的・安定的に枚葉化を行うことができる。
ここで、複数のウエハ間の密着の強度について考察した。複数の固体の間に液体が存在する場合、固体と液体の各界面での密着に関わる力(結合力)は、一般に、化学結合、ファンデルワールス(van der waals)力、水素結合などが挙げられる。ここでは、複数のウエハとその間にある水の存在を考えた場合、シリコンウエハは水とは化学反応を起こさないため、複数のウエハと水に働く物理化学的な力としては、主にファンデルワールスカと水素結合の2種類が作用していると考えられる。
より詳しく考えれば、非特許文献1(界面現象の科学、鈴木四郎他著、三共出版株式会社、1996、P.93〜97)にあるように、ファンデルワールス力には、配向、誘起、分散の3つの効果があり、例えば、ウエハと水の界面で考えた場合には、いずれかに分極が生じていることから、双方の分極が影響する配向効果か、片方の分極が影響する誘起効果によるファンデルワールス力が生じていると考えられる。また、シリコンウエハのSiの電気陰性度の高さに起因する水素結合も生じていると考えられる。
また非特許文献1によると、接着物の厚みが増加するにしたがい、被接着物に対するその接着物の接着力が低下してしまう例が記載されている。これと同じように今回のウエハと水の場合にも、ウエハ間に存在する水の量が、ウエハ間の密着の強度に何らかの影響を与えるものと考えられる。すなわち、例えば、半導体ウエハの生産工程を考えた場合、ウエハ間に存在する水の量が各工程で異なる可能性があることから、ウエハ間の密着の強度はそれぞれ異なると考えられる。
そこで、ウエハ間の密着の強度がウエハの枚葉化に与える影響を測定した。
装置は、図3に示すものを用いた。
〔枚葉化条件〕
溶液:井戸水
微細気泡発生装置:株式会社協和機設製(型式 HYK−25)
水流速:5.0mm/sec
水流量:28.4L/min
ガス流量:2.3L/min
ガス:空気、0.1MPa
ポンプ:株式会社丸八ポンプ製作所製(型式 CFS・27M)
ウエハ:切断および粗洗浄、本洗浄後に乾燥させた太陽電池用単結晶シリコンウエハ(125mm角×厚さ0.17mm、5.6g/枚)
2枚のウエハ6b、6cの間に介在させる水の量を変化させることで、ウエハ間の密着の強度を変化させた。そして、乾燥ウエハと各種水量の濡れウエハを使用し、それぞれ貼り合わせた2枚のウエハ6b、6cのうち第2ウエハ6cが自重で剥がれ落ちるのにかかる時間を計測した。
ウエハの貼り合わせは、つぎのようにして行った。すなわち、濡れウエハの場合は、ウエハ装着部材9の第1ウエハ6bに所定量の水をたらし、第1ウエハ6b全体に第2ウエハ6cでその水を引き伸ばした後、第1ウエハ6bに第2ウエハ6cを貼り合わせた。乾燥ウエハの場合は、垂直に立てた時に剥がれ落ちない程度に第1ウエハ6bに対して乾燥した第2ウエハ6cを貼りあわせた(手でウエハ間の空気を抜くようにウエハ同士を貼り合わせた)。
また、ここで垂らした純水の量の下限値を50μLとしたのは、これよりも純水の量が少ないとウエハの面全体に水を広げることができないためである。同じく上限値を200μLとしたのは、これよりも純水の量が多いとウエハ間から純水が溢れ出てしまうためである。
図6および表2に、微細気泡を使用した実施例とあわせ、微細気泡を使用しない比較例の結果を示す。
図6は、x軸にウエハ間に浸透させた水の量、y軸に枚葉化にかかった時間をとり、個々の試験結果と平均値を示している。表2は、個々の試験結果と平均値、標準偏差を数値で示している。
ウエハ間の水の量が50μLの場合には、微細気泡を使用しない比較例は枚葉化に93.8secかかったが、微細気泡を使用した実施例では60.4secであり、時間にして35.6%短縮できた。また、ウエハ間の水の量が200μLの場合には、微細気泡を使用しない比較例は枚葉化に147.2secかかったが、微細気泡を使用した実施例では73.6secであり、時間にして50.0%短縮できた。
これは、他の水量でも同様の傾向であって、微細気泡を含む水で処理した実施例のほうが微細気泡を含まない水で処理した比較例よりも枚葉化時間が早く、微細気泡が効果的に働いていることがわかる。微細気泡を含む水において、ウエハ間の水の量が変化しても枚葉化時間には大きく影響がなかったことから、微細気泡を含む水を用いることでウエハ間の密着の強度に関係なく安定した枚葉化を行うことができると考えられる。また、微細気泡を含んだ水における標準偏差を見ると、それぞれ値が小さいことからも、安定した枚葉化が行えることがわかる。以上のように、ウエハ間の密着の強度に関わらず、微細気泡を用いることで、安定したウエハの枚葉化を行うことができることがわかる。
つぎに、実際の設備において使用し得るウエハ装着幅において、微細気泡を用いて何枚のウエハを安定して枚葉化できるか、また、枚葉化に微細気泡を含む水を用いることで、ウエハヘのダメージがないかどうか、枚葉化処理を行う水の流速によってウエハヘのダメージに違いがないかどうかを検討した。
図7は、実施例4に使用した装置である。
基本構成は図3に示したものと同様なので、同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。この装置では、枚葉化槽5の上部開口に装着カセット10が架けられており、上記装着カセット10には、ウエハ集合体6が収容された状態で保持する保持部として機能する側壁(保持部)5aが設けられている。
〔枚葉化条件〕
・枚葉化試験(表3参照)
溶液:井戸水
微細気泡発生装置:株式会社協和機設製(型式 HYK−25)
ポンプ:株式会社丸八ポンプ製作所製(型式 CFS・27M)
水流速:3.0mm/sec、5.0mm/sec
水流量:17.0L/min(水流速:3.0mm/sec)
28.4L/min(水流速:5.0mm/sec)
ガス流量:1.4L/min(水流速:3.0mm/sec)
2.3L/min(水流速:5.0mm/sec)
ガス:空気、0.1MPa
ウエハ:切断および粗洗浄、本洗浄後に乾燥させた太陽電池用単結晶シリコンウエハ(125mm角×厚さ0.17mm、5.6g/枚)

・ダメージ評価試験(表4参照)
溶液:井戸水
微細気泡発生装置:株式会社協和機設製(型式 HYK−25)
ポンプ:株式会社丸八ポンプ製作所製(型式 CFS・27M)
水流速:6.7〜29.9mm/sec
水流量:37.0L/min
ガス流量:3.0L/min
ガス:空気、0.1MPa
ウエハ:切断および粗洗浄、本洗浄後に乾燥させた太陽電池用単結晶シリコンウエハ(125mm角×厚さ0.17mm、5.6g/枚)
枚葉化試験は、10〜200枚の乾燥ウエハを、装着カセット10の側壁(保持部)5aの間に収容し、各ウエハ6aが傾いたり倒れたりすることなく、容易にウエハを手で1枚1枚剥離できるまで安定して枚葉化可能であるかを調査した。
ダメージ評価試験は、ウエハ枚数を100枚とし、微細気泡処理時間を10分とした場合において、処理する水の流速を6.7〜29.9mm/secまで変化させ、外観上判断不能な超微細な亀裂(マイクロクラック)がウエハに入っていないかを、処理したウエハ100枚を対象に確認した。マイクロクラックの確認は、シリコン単結晶の透過波長である1127nm近傍の赤外光をウエハに照射し、CCDカメラで確認する方法や走査型電子顕微鏡(SEM)の観察による確認方法を用いた。
枚葉化評価試験の結果を表3に、ダメージ評価試験結果を表4に示す。
表3の結果より、ウエハ装着幅30mmの場合、流速3.0〜5.0mm/secにおいて安定した枚葉化可能枚数は、70〜120枚程度であることがわかる。この枚数を下回ると、枚葉化は可能ではあるがウエハが傾いたり倒れたりしてしまい、安定した枚葉化が不可能であった。また、125枚以上では、ウエハ間隔が十分に取れないことから、枚葉化できなかった。
すなわち、ウエハロットの枚数とセットするウエハ装着幅には適した数値関係が存在し、例えば、装着幅30mmのとき、厚み0.17mm/枚のウエハで70〜120枚が適当であることがわかった。すなわち、保持部の間隔に対する上記ウエハ集合体6におけるウエハ厚みの総和寸法は、0.397〜0.68の寸法比に設定するのが好ましく、上記ウエハ集合体6におけるウエハ厚みの総和寸法に対する保持部の間隔は、1.47〜2.52の寸法比に設定するのが好ましいことがわかる。
表4の結果より、ウエハ装着幅30mm、ウエハ枚数100枚のときに、微細気泡処理時間を10分とした場合でも、水の流速に関わらずウエハヘのダメージは認められなかったことがわかる。
以上のように、太陽電池などの半導体ウエハの枚葉化に微細気泡の利用が有効であって、流速やウエハ間の密着の強度に関わらず、同様に効果をもたらすことがわかる。
なお、上記実施形態および実施例では、枚葉化処理するための液体が水である例を示したが、これに限定するものではなく、液体は水以外の液体を使用することもできる。例えば、高級アルコール系洗浄液、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類とハイドロフルオロカーボン(HFC)類のようなフッ素系洗浄液、塩素系洗浄液、臭素系洗浄液、低級アルコール系洗浄液、アルカリ系の水系洗浄液、中性の水系洗浄液、酸性の水系洗浄液、純水等、得に、ウエハの洗浄液として使用可能なものが好ましく、各種の液体を適用することができる。これらの場合でも同様の作用効果を奏する。
また、上記実施形態および実施例では、枚葉化処理するための微細気泡を構成するガスが空気である例を示したが、これに限定するものではなく、上記ガスは空気以外のガスを使用することもできる。例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガス、二酸化炭素、水素、酸素、オゾン等をあげることができる。これらは単独で若しくは複数を混合して用いることもできる。これらであっても所望の微細気泡を発生させることができる。これらの場合でも同様の作用効果を奏する。
1 水受け槽
2 内容器
3 微細気泡発生装置
4 貯留部
5 枚葉化槽
5a 側壁(保持部)
6 ウエハ集合体
6a ウエハ
6b 第1ウエハ
6c 第2ウエハ
7 連通部
8 接着剤
9 装着部材
10 装着カセット

Claims (8)

  1. 微細気泡発生装置で生成した微細気泡が存在する水を導入して貯留する貯留槽と、上記貯留槽の上部においてウエハが多数枚積層されたウエハ集合体を収容して枚葉化する枚葉化槽とを用い、上記枚葉化槽と貯留槽の間をメッシュ状の連通部とすることにより、微細気泡が存在している液体中に、各ウエハの両面が横方向を向いた状態で浸漬することを特徴とするウエハの枚葉化方法。
  2. ウエハ集合体が液体に浸漬された状態で、微細気泡が存在した液体を流通させる請求項1記載のウエハの枚葉化方法。
  3. 微細気泡が存在した液体の流通方向を、ウエハ集合体におけるウエハの両面に沿った方向とする請求項2記載のウエハの枚葉化方法。
  4. 微細気泡が存在した液体の流通方向を、ウエハ集合体の下から上に向けた方向とする請求項3記載のウエハの枚葉化方法。
  5. 微細気泡が存在した液体を、ウエハ集合体におけるウエハ厚み方向の全域において流通させる請求項3または4記載のウエハの枚葉化方法。
  6. 液体中においてウエハ集合体をウエハ厚み方向で保持部によって保持し、上記ウエハ集合体におけるウエハ厚みの総和寸法に対する保持部の間隔を、1.47〜2.52の寸法比に設定する請求項1〜5のいずれか一項に記載のウエハの枚葉化方法。
  7. 液体中においてウエハ集合体をウエハ厚み方向で保持部によって保持し、上記ウエハ集合体を構成するウエハの外径寸法のうち最も短い部分の寸法を、上記保持部の間隔と上記ウエハ集合体におけるウエハ厚みの総和寸法との差よりも大きくなるよう設定した請求項1〜6のいずれか一項に記載のウエハの枚葉化方法。
  8. 微細気泡発生装置で生成した微細気泡が存在する水を導入して貯留する貯留槽と、上記貯留槽の上部においてウエハが多数枚積層されたウエハ集合体を、収容して枚葉化する枚葉化槽とを備え、上記枚葉化槽と貯留槽の間をメッシュ状の連通部とすることにより、微細気泡が存在している液体中に、ウエハの両面が横方向を向いた状態で浸漬することを特徴とするウエハの枚葉化装置。
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