JP5646701B2 - タンパク質、ペプチドおよび他の分子の改善されたf−18標識化のための方法および組成物 - Google Patents

タンパク質、ペプチドおよび他の分子の改善されたf−18標識化のための方法および組成物 Download PDF

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Description

本出願は、35U.S.C.§119(e)に基づき、2007年1月11日出願の米国暫定特許出願第60/884,521号の利益を主張する。
本発明は、ある実施形態においては、生体内画像化に役立つ、ペプチドをF−18で標識化する単純な方法に関する。F−18標識化ペプチドの好ましい比活性度は、患者への投与時において1,000Ci/mmolから2,000Ci/mmolである。100Ci/mmolから数万Ci/mmolの範囲にある比活性度も役立つ。好ましくは、F−18標識化は、標識化ペプチドから非標識化ペプチドを分離するための精製ステップを必要とすることなく達成される。
陽電子放出断層撮影法(PET)による画像化は、高分解能およびPET画像からの定量を提供する。ペプチドまたは他の小分子は、陽電子放出体、例を挙げると18F、64Cu、66Ga、68Ga、76Br、94mTc、86Y、および124I等で標識化され得る。同位体の核から放出される陽電子は、使用される同位体に依存して異なるエネルギーをもって射出される。陽電子が電子と反応すると、2本の511keVガンマ線が反対方向に放出される。射出された陽電子のエネルギーは、電子にぶつかることにより消滅する前に陽電子が移動する平均距離を左右する。射出エネルギーが高いほど、陽電子は電子との衝突の前により遠くまで移動する。PETカメラにより画像化される2本の511keVガンマ線を生成する前に陽電子が標的部位から移動する距離を最小化するためには、PET同位体の低い射出エネルギーが望ましい。陽電子を放出する多くの同位体は、その崩壊系列においてガンマ線、アルファ粒子またはベータ粒子等の他の放出も有する。いかなる線量測定の問題も最小化されるように、純粋な陽電子放出体であるPET同位体を有することが望ましい。
同位体の半減期もまた重要であるが、これは、半減期が、同位体を標的分子に付着させ、生成物を分析し、患者に注入し、生成物を局在化させ、非標的組織からなくなり、次いで画像化するために十分長くなければならないからである。半減期が長すぎると、鮮明な画像のための十分な光子を得るのに比活性度が十分高くない可能性があり、半減期が短すぎると、製造、商業的流通および生体内分布に必要な時間が十分でない可能性がある。F−18(β+ 635keV 97%、t1/2 110分)は、その低い陽電子放出エネルギー、サイドエミッションの欠如、および適切な半減期のために、最も広く使用されているPET放出同位体の1つである。F−18は、高い比活性度をもって生成される。F−18が2−フルオロ−2−デオキシグルコース(FDG)等の非常に吸収性の高い分子に付着された場合、比活性度はそれ程重要ではない。しかしながら、標識化ペプチドを有する受容体を標的としている、または免疫PET事前標的化試験を行っている場合、比活性度は重要である。
ペプチドの従来のF−18標識化は、高い比活性度での試薬の標識化と、次いでF−18標識化試薬のペプチドへの共役を含む。1つの例は、Poethkoら(J. Nucl. Med. 2004; 45: 892−902)の標識化方法であり、4−[18F]フルオロベンズアルデヒドをまず合成および精製し(Wilson et al, J. Labeled Compounds and Radiopharm. 1990; XXVIII: 1189−1199)、次いでペプチドに共役させる。次いでペプチド複合体を、共役の完了を促進するために用いられた過剰のペプチドを除去するためにHPLCにより精製する。F−18が長い半減期を有していれば2つの反応および精製は課題とはならない。しかしながら、F−18の半減期はたった2時間であるため、F−18をペプチドに付着させるために必要な操作のすべてが大きな負担となる。
これらの方法を行うのは面倒であり、標識化生成物を生成するために特別設計された機器の使用および/または専門化学者の努力を必要とする。それらは、臨床状況において日常的に使用され得るキット製剤ではない。
フッ化物は、事実上他のすべての元素に結合し、それらの結合の一部は比較的安定である。金属結合配位子を有するペプチドは、安定して、また非常に高い比活性度で放射性金属に結合することが知られている。本方法において利用される手法は、まずF−18を金属に結合させ、次いでF−18金属錯体をペプチド上の配位子にキレートすることであった。ここで、問題は、どの金属(またはホウ素等の他の元素)を選択するかということである。即座に文献を調べてみた結果、IIIA族元素(ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム)が第1の選択肢であった。
代替として、まず原子をペプチドに付着させ、次いでF−18を加えることができる。第2の手法は、硼素フッ化物連結にはより有効となり得る。
フッ化アルミニウム錯体は、生体外で安定であることが報告されている(Martinez et al, Inorg. Chem. 1999; 38: 4765−4660、Antonny et al. J. Biol. Chem. 1992; 267: 6710−6718)。フッ化アルミニウムは、骨および歯のエナメル質に取り込まれるため、錯体は生体内でも安定となり得る(Li, Crit. Rev. Oral Biol. Med. 2003; 14: 100−114)。
当業者は、送達分子と細胞または組織標的受容体との間の配位子−受容体結合相互作用に影響することなく修飾され得る誘導体化可能な基を含有している限り、画像化目的でF−18を付着させるために実質上いかなる送達分子も使用可能であることを理解するであろう。以下の実施例はF−18標識化ペプチド部分に関連するが、他の多くの種類の送達分子、例えばオリゴヌクレオチド、ホルモン、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、血管新生因子、抗血管新生因子、免疫賦活剤、タンパク質、核酸、抗体、抗体フラグメント、薬剤、インターロイキン、インターフェロン、オリゴ糖、多糖類、脂質等がF−18標識化され、画像化目的に利用され得る。同様に、画像化され得る疾患または健康状態の種類は、その疾患または健康状態と関連した細胞または組織を標的とする送達分子の利用可能性によってのみ制限される。例えば、腫瘍の画像化の場合、腫瘍関連抗原に結合するいかなる抗体フラグメントも、F−18標識化され、腫瘍の画像化に利用され得る。
以下のある実施例において、例示的なF−18標識化ペプチドは、二重特異性または多重特異性抗体または抗体フラグメントを利用した事前標的化方法における標的化可能なコンストラクトとして、画像化目的に役立つことができる。この場合、抗体またはフラグメントは、腫瘍関連抗原、または、ウイルス、細菌、真菌または他の微生物等の病原生物により生成または露呈された抗原等の、疾患または健康状態と関連した標的に対する、1つ以上の結合部位を含む。第2の結合部位は、標的化可能なコンストラクトに特異的に結合する。二重特異性または多重特異性抗体を使用した事前標的化のための方法は、当技術分野において周知である(例えば、参照により本明細書に全体の内容が組み入れられる米国特許第6,962,702号を参照)。同様に、標的化可能なコンストラクトに結合する抗体またはそのフラグメントは、HSG(ヒスタミンスクシニルグリシン)に結合する679モノクローナル抗体等、当技術分野において周知である(同上)。一般に、事前標的化方法では、まず二重特異性または多重特異性抗体を投与し、細胞または組織標的抗原に結合させる。結合していない抗体が循環からなくなるのに適正な時間経過した後、例えばF−18標識化された標的化可能なコンストラクトを患者に投与し、標的細胞または組織に局在化した抗体に結合させ、次いで、例えばPETスキャンにより撮像される。
例示的な実施形態において、アスコルビン酸等の非ペプチド受容体標的化剤をDOTAに共役させ、次いで、例えば、DOTAに結合するF−18金属錯体で標識化することができる。そのような非ペプチド受容体標的化剤は、例えば、インテグリンαvβ3受容体の非ペプチド拮抗薬であるTA138(Liu et al, 2003, Bioconj. Chem. 14:1052−56)を含み得る。F−18金属錯体に対するDOTA、NOTAまたは他のキレート剤に共役され得る当技術分野において知られた類似の非ペプチド標的化剤を、請求される方法において利用することができる。ソマトスタチン受容体標的化剤In−DTPAオクトレオチド(TYCO(登録商標))等、他の受容体標的化剤も当技術分野において知られている。後述するように、F−18−インジウム錯体は、潜在的にDTPAを使用してキレートされ、画像化目的に使用され得る。金属キレートを使用した受容体標的化画像化の他の方法が、当技術分野で知られており、請求される方法の実践において利用され得る(例えば、Andre et al., 2002, J. Inorg. Biochem. 88:1−6; Pearson et al., 1996, J. Med., Chem. 39:1361−71を参照)。
PETスキャンによるF−18画像化のための画像化技術および装置もまた当技術分野において周知であり(例えば、米国特許第6,358,489号、第6,953,567号、Page et al., Nuclear Medicine And Biology, 21 :911−919, 1994、Choi et al., Cancer Research, 55:5323−5329, 1995、Zalutsky et al., J. Nuclear Med., 33:575−582, 1992を参照)、そのような既知のPET画像化技術または装置のいずれも利用可能である。
以下の図は、本発明の具体的な実施形態を例示することを意図し、請求される対象の範囲を制限することを意図しない。
110℃で15分間加熱された後、逆相HPLCにより分析されたF−18+IMP272+AlCl 110℃で15分間加熱された後、逆相HPLCにより分析されたF−18+過剰IMP272+AlCl 室温で90分間のPBS中でのリン酸塩チャレンジ。110℃で15分間加熱され、逆相HPLCにより分析されたF−18+過剰IMP272+AlClのアリコート。 O中のAl−18F IMP272の安定性、逆相HPLC。HLBカラム精製直後のF−18標識化IMP272。 蒸留水中、25℃で40分後の精製されたF−18標識化IMP272。 免疫反応性試験に使用されたAl−18F IMP272粗反応混合物の逆相HPLC。 Al−18F IMP272の免疫反応活性、サイズ排除HPLC、F−18 Al IMP272粗反応混合物 SEC 79%収率。 F−18 Al IMP272粗反応混合物 SEC+hMN−14×734 81%収率 F−18 Al IMP272粗反応混合物 SEC+hMN−14×679 78%収率 F−18によるIMP272の標識化、他の金属に結合、逆相HPLC。冷インジウムによるIMP272のF−18標識化。 冷ガリウムによるIMP272のF−18標識化。 冷ジルコニウムによるIMP272のF−18標識化。 冷ルテチウムによるIMP272のF−18標識化。 冷イットリウムによるIMP272のF−18標識化。 水中のAl−18F IMP375の安定性、逆相HPLC。水中のF−18 IMP375、粗標識化ペプチド(97.5%)。 水中、25℃で5時間後のF−18 IMP375(95.4%) ヒト血清中、25℃でのAl−18F IMP375の安定性、逆相HPLC。ヒト血清中約4.5分F−18 IMP375(83.5%)。 ヒト血清中1.5時間F−18 IMP375(0%) ヒト血清中における、インキュベーションからゼロ時間後のF−18標識化IMP449の安定性。 ヒト血清中における、インキュベーションから1時間後のF−18標識化IMP449の安定性。 ヒト血清中における、インキュベーションから2時間後のF−18標識化IMP449の安定性。 ヒト血清中における、インキュベーションから4時間後のF−18標識化IMP449の安定性。
以下の説明において、数多くの用語が使用され、以下の定義は、本明細書における開示の理解を容易とするために提供される。明示的に定義されていない用語は、それらの明白な通常の意味に従い使用される。
本明細書で使用される場合、単数形は、1つ以上の項目を意味し得る。
本明細書で使用される場合、「および」および「または」という用語は、接続語または離接語のいずれかを意味するように使用され得る。つまり、両方の用語は、特に指定されない限り、「および/または」と等しいものとして理解されたい。
本明細書で使用される場合、「約」は、ある数のプラスまたはマイナス10パーセント以内を意味する。例えば、「約100」は、90と110の間の任意の数を指す。
本明細書で使用される場合、「ペプチド」は、2個から100個の間のアミノ酸残基長、より好ましくは2個から10個の間、より好ましくは2個から6個のアミノ酸長の自然発生的または非自然発生的アミノ酸のいかなる配列をも指す。「アミノ酸」は、L−アミノ酸、D−アミノ酸、アミノ酸類似体、アミノ酸誘導体またはアミノ酸模倣体であることができる。
本明細書で使用される場合、「病原体」という用語は、真菌、ウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、猫白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、シミアンウイルス40、呼吸器合胞体ウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタイン・バーウイルス、マウス白血病ウイルス、ムンプスウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、疣ウイルスおよびブルータングウイルス等)、寄生虫ならびに細菌(例えば、ストレプトコッカス・アガラクチア、レジオネラ・ニューモフィリア、ストレプトコッカス・ピオゲネス、大腸菌、ナイセリア・ゴノレー、ナイセリア・メニンギティディス、肺炎球菌、ヘモフィリスインフルエンザB、梅毒トレポネーマ、ライム病スピロヘータ、緑膿菌、らい菌、ウシ流産菌、結核菌およびクロストリジウム・テタニ等)を含むが、これらに限定されない。
標的化可能なコンストラクトペプチド
ある実施形態においては、F−18標識化部分は、ペプチドまたは他の標的化可能なコンストラクトを含み得る。そのような標的化可能なコンストラクトは、多様な構造のものとなり得、十分な免疫応答を顕現させるためだけでなく、事前標的化方法および二重特異性抗体(bsAb)または多重特異性抗体内で使用される場合は、速やかな生体内除去のために選択される。強力な免疫応答を顕現させるためには疎水性物質が最も良く、一方、速やかな生体内除去のためには親水性物質が好ましい。したがって、疎水性および親水性の間の特性のバランスが確立される。これは、部分的には、親水性キレート剤を使用して多くの有機部分の本質的な疎水性を相殺することにより達成され得る。また、例えば、いくつかは疎水性、いくつかは親水性であるアミノ酸を含有するペプチド等、反対の溶液特性を有する標的化可能なコンストラクトのサブユニットを選択することができる。ペプチドとは別に、炭水化物が使用され得る。
わずか2個のアミノ酸残基を有する、好ましくは、2個から10個の残基を有するペプチドが使用され得、またキレート剤等の他の部分に連結され得る。リンカーは、キレート内に金属イオンを含む、好ましくは50,000ダルトン未満、有利には約20,000ダルトン未満、10,000ダルトン未満、または5,000ダルトン未満の分子量を有する、低分子量複合体であるべきである。より一般的には、抗原ペプチドは、ペプチドDOTA−Phe−Lys(HSG)−Tyr−Lys(HSG)−NH(配列番号1)等、4個以上の残基を有し、ここで、DOTAは、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン四酢酸であり、HSGは、ヒスタミンスクシニルグリシン基である。代替として、DOTAは、NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N’,N’’−三酢酸)またはTETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミン四酢酸)部分で置き換えられ得る。
標的化可能なコンストラクトはまた、生体内でのペプチドの安定性を増加させるために、非天然アミノ酸、例えばD−アミノ酸を骨格構造に含み得る。代替の実施形態において、非天然アミノ酸およびペプトイドから構築されるもの等の他の骨格構造を含み得る。
免疫原として使用されるペプチドは、固相支持体および反復垂直型脱保護および連結の標準的技術を使用した、自動ペプチド合成器上で簡便に合成される。後にキレート共役に使用されるペプチドにおける遊離アミノ残基は、Boc基等の標準的な保護基で有利にブロックされ、一方N−末端残基は、血清安定性を増加させるためにアセチル化される。そのような保護基は、当業者に知られる。Greene and Wuts Protective Groups in Organic Synthesis, 1999(John Wiley and Sons, N.Y.)を参照されたい。bsAb系内での後の使用のためにペプチドが調製されたら、それらは、生体内でのカルボキシペプチダーゼ活性を阻害するために、樹脂から有利に開裂されて対応するC−末端アミドを生成する。
免疫原のハプテンは、免疫原性認識部分、例えば化学ハプテンを含む。化学ハプテン、好ましくはHSGハプテンを使用して、抗体に対するリンカーの高い特異性が発現される。これは、HSGハプテンに対し惹起される抗体が知られており、適切な二重特異性抗体に容易に組み込むことができるためである。したがって、付着したヘプタンとのリンカーの結合は、抗体または抗体フラグメントに対し極めて特異的となる。
キレート部分
一部の実施形態においては、F−18標識化分子は、金属イオンに結合することができ、また速やかな生体内除去を確実とすることを補助し得る、1つ以上の親水性キレート部分を含み得る。キレート剤は、その特定の金属結合特性により選択することができ、または容易に交換可能である。
特に有用な金属−キレートの組み合わせは、2−ベンジル−DTPAならびにそのモノメチルおよびシクロヘキシル類似体である。NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N’,N’’−三酢酸)、DOTA、およびTETA(p−ブロモアセトアミド−ベンジル−テトラエチルアミン四酢酸)等の大環状キレート剤もまた、潜在的にF−18共役のリガンドとして使用され得る様々な金属とともに用いられる。
配位子がカルボキシレートまたはアミン基等の硬い塩基のキレート官能基を含む、DTPAおよびDOTA型キレート剤は、硬い酸のカチオン、特にIIa群およびIIIa群金属カチオンのキレート化に最も効果的である。そのような金属−キレート錯体は、対象となる金属に対し環サイズを調整することにより非常に安定化させることができる。大環状ポリエーテル等の他の環型キレート剤は、安定して核種を結合させるための関心対象である。ポルフィリンキレート剤は、数多くの金属錯体と使用することができる。1種類を超えるキレート剤を担体に共役させて複数の金属イオンを結合させることができる。米国特許第5,753,206号に記載されているもの等のキレート剤、特にチオセミカルバゾニルグリオキシルシステイン(Tscg−Cys)およびチオセミカルバジニル−アセチルシステイン(Tsca−Cys)キレート剤が、柔らかい塩基のリガンドに強固に結合するTc、Re、Biおよび他の遷移金属、ランタニド、ならびにアクチニドの柔らかい酸のカチオンを結合させるために有利に使用される。1種類を超えるキレート剤をペプチドに連結させることが有用となり得る。di−DTPAハプテンに対する抗体が知られており(Barbet et al.,米国特許第5,256,395号)、また容易に標的抗体に連結されてbsAbを形成するので、事前標的化プロトコルにおいてF−18錯体を結合させるために、ペプチドハプテンを冷diDTPAキレート剤および他のキレート剤とともに使用することが可能である。そのようなペプチドの一例は、Ac−Lys(DTPA)−Tyr−Lys(DTPA)−Lys(Tscg−Cys)−NH(配列番号2)である。DOTA、TETA等の他の硬い酸のキレート剤は、DTPAおよび/またはTscg−Cys基と置換可能であり、それらに特異的なMabを、抗−di−DTPA Mabを生成するために使用されるものと類似した技術を使用して生成することができる。
他の有用なキレート剤は、例えばChongら(Rational design and generation of a bimodal bifunctional ligand for antibody− targeted radiation cancer therapy, J. Med. Chem.,電子出版12−7−07,参照により本明細書に組み入れられる)に開示される、NOTA型部分を含み得る。Chongらは、NOTA構造に基づく二官能性C−NETA配位子の生成および使用を開示しており、これは177Luまたは205/206Biで錯化されると最長14日間の血清中での安定性を示した。
カチオンの異なるサイズ、キレート環の配置、およびカチオンの好ましい錯イオン構造に起因して、2つの異なる硬い酸または柔らかい酸のカチオンに選択的に結合させるために、例えば異なるキレート環サイズを有する2つの異なる硬い酸または柔らかい酸のキレート剤を、標的化可能なコンストラクトに組み込むことが可能であることが理解される。これにより、その一方または両方がF−18に付着し得る2つの異なる金属が、事前標的化bsAbによる最終的な捕獲のために標的化可能なコンストラクトに組み込まれることが可能となる。
投与方法
様々な実施形態において、二重特異性抗体および標的化可能なコンストラクトは、正常または疾患組織および器官の画像化に使用され得る(例えば、米国特許第6,126,916、6,077,499号、第6,010,680号、第5,776,095号、第5,776,094号、第5,776,093号、第5,772,981号、第5,753,206号、第5,746,996号、第5,697,902号、第5,328,679号、第5,128,119号、第5,101,827号、および第4,735,210号を参照)。
bsAbおよびF−18標識化された標的化可能なコンストラクトの投与は、標的化可能なコンストラクトの投与の所定時間前にbsAbを投与することにより行うことができる。試薬の用量およびタイミングは、当業者により容易に考案され得、使用される試薬特定の性質に依存する。最初にbsAb−F(ab´)2誘導体が与えられる場合、標的化可能なコンストラクトの投与前24〜72時間の待機時間が適切である。IgG−Fab’bsAb複合体が主要な標的ベクターである場合、標的化可能なコンストラクトの投与前、3〜10日の範囲のより長い待機期間が必要である。bsAbが疾患組織に標的化するのに十分な時間が経過した後、F−18標識化された標的化可能なコンストラクトを投与する。標的化可能なコンストラクトの投与に続いて、画像化を行うことができる。
ある実施形態は、米国仮特許出願第60/220,782号に記載のような、少なくとも3つの異なる標的結合部位を有する多価標的結合タンパク質の使用に関する。多価標的結合タンパク質は、化学リンカーを介していくつかのFab様フラグメントを架橋することにより作製されている。米国特許第5,262,524号、第5,091,542号およびLandsdorp et al., Euro. J. Immunol., 16: 679−83(1986)を参照されたい。多価標的結合タンパク質はまた、いくつかの単鎖Fv分子(scFv)を共有結合させて単一ポリペプチドを形成することにより作製されている。米国特許第5,892,020号を参照されたい。基本的にscFv分子の凝集体である多価標的結合タンパク質は、米国特許第6,025,165号および第5,837,242号に開示されている。3つのscFv分子を備える三価標的結合タンパク質は、Krott et al. Protein Engineering, 10(4): 423−433(1997)に記載されている。
bsAbと標的化可能なコンストラクトの投与の間に与えられる除去剤が使用され得る。新規な機構的作用の除去剤、すなわち、bsAbの疾患標的アームに対し標的化されたグリコシル化抗イディオタイプFab´フラグメントを使用することができる。一実施例において、抗CEA(MN 14 Ab)×抗ペプチドbsAbが与えられ、疾患標的において最大限まで増大される。残留bsAbを除去するために、WI2と称されるMN−14に対する抗イディオタイプAbが、好ましくはグリコシル化Fab’フラグメントとして与えられる。キレート剤は一価としてbsAbに結合し、一方その付加されたグリコシル残基は錯体全体を肝臓に誘導し、そこで急速な代謝が行われる。次いで患者にF−18標識化された標的化可能なコンストラクトを与える。bsAbのMN−14アームに対するWI2 Abは、高い親和性を有し、その除去機構は、WI2−Fab’は一価部分であるため架橋を含まないことから、他の開示された機構(Goodwinら、同書)と異なる。
抗体の惹起方法
ペプチド骨格に対するAbは、Ab生成の周知の方法により生成され得る。例えば、免疫正常動物に対する、完全フロイントアジュバント中の(ペプチド)n−KLH(式中、KLHはキーホールリンペットヘモシアニンであり、n=1〜30である)等の免疫原の注射、次いで、不完全フロイントアジュバント中に懸濁した同じ免疫原の続く2回の注射を、脾臓細胞収集により、抗原のi.v.ブーストの3日後に行う。次いで収集された脾臓細胞を、Sp2/0−Ag14骨髄腫細胞と融合させ、得られたクローンの培養上清を、直接結合ELISAを使用して抗ペプチド反応性について分析する。生成されたAbの特異性は、元の免疫原のペプチドフラグメントを使用して分析することができる。これらのフラグメントは、自動ペプチド合成器を使用して容易に調製することができる。Ab生成のために、酵素欠乏ハイブリドーマを単離して融合細胞系の選択を可能とする。この技術は、標的化可能なコンストラクトを含む1つ以上のキレート、例えばIn(III)−DTPAキレートに対する抗体を惹起するためにも使用可能である。In(III)−di−DTPAに対するモノクローナルマウス抗体が知られている(Barbet’395、上記参照)。
使用される標的抗体は、マーカー物質として、様々な細胞表面または細胞内腫瘍関連抗原に特異的となり得る。これらのマーカーは、腫瘍により生成される物質であることができ、あるいは、腫瘍細胞表面上、または細胞質、核もしくは様々な細胞小器官、または下位細胞組織内に関わらず、腫瘍細胞内の腫瘍部位に蓄積する物質であることができる。そのような腫瘍関連マーカーには、Herberman, “Immunodiagnosis of Cancer”, in Fleisher ed., “The Clinical Biochemistry of Cancer”, page 347(American Association of Clinical Chemists, 1979)および米国特許第4,150,149号、第4,361,544号、および第4,444,744号により開示されるものがある。
腫瘍関連マーカーは、Herberman(同上)により、腫瘍胎児抗原、胎盤抗原、発癌性または腫瘍ウイルス関連抗原、組織関連抗原、器官関連抗原、異所性ホルモンおよび正常抗原またはその変異体を含む、数多くのカテゴリーに分類されている。時折、より高い腫瘍特異性を有する抗体を惹起するために、米国特許第4,361,644号および第4,444,744号に開示されるような、非腫瘍物質に対する交差反応性が大きく低減された抗体の生成を刺激する、腫瘍関連マーカーのサブユニット、例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)のベータサブユニットまたは癌胎児性抗原(CEA)のガンマ領域等が有利に使用される。
関心対象となる他のマーカーは、膜透過性活性化因子およびCAML−相互作用因子(TACI)である。Yu et al. Nat. Immunol, 1 :252−256(2000)を参照されたい。簡潔には、TACIはB細胞悪性腫瘍(例えばリンパ腫等)のマーカーである。さらに、TACIおよびB細胞成熟抗原(BCMA)は、腫瘍壊死因子ホモログ−増殖含有配位子(APRIL)により結合されることが知られている。APRILは、原発性B細胞およびT細胞の生体外増殖を刺激し、生体内でのB細胞の蓄積により脾臓重量を増加させる。APRILはまた、受容体結合に関しTALL−I(BLySまたはBAFFとも称される)と競合する。可溶性BCMAおよびTACIは、特異的にAPRILの結合を防止し、原発性B細胞のAPRIL刺激増殖を阻止する。BCMA−Fcはまた、マウスにおけるキーホールリンペットヘモシアニンおよびPneumovaxに対する抗体の生成を阻害し、これは、液性免疫の生成には、BCMAおよび/またはTACIを介したAPRILおよび/またはTALL−Iシグナリングが必要であることを示唆している。したがって、APRIL−TALL−IおよびBCMA−TACIは、BおよびT細胞機能の刺激に関与する2配位子−2受容体経路を形成する。
悪性疾患、循環器疾患、感染症、炎症性疾患、自己免疫疾患、または神経疾患等の様々な疾患または健康状態の画像化のための使用における例示的な標的抗原は、結腸特異的抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、Ia、Ii、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、NCA、EGFR、HER2/neu、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、Sl00、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸受容体、VEGFR、PlGF、ILGF−1、壊死抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、またはこれらの抗原の組み合わせを含み得る。特に、抗原は、癌胎児性抗原(CEA)、テネイシン、上皮成長因子受容体、血小板由来成長因子受容体、線維芽細胞増殖因子受容体、血管内皮増殖因子受容体、ガングリオシド、HER/2neu受容体およびこれらの抗原の組み合わせを含み得る。
免疫原に対する抗体の最初の惹起後、抗体を配列決定し、続いて組み換え技術により調製することができる。マウス抗体および抗体フラグメントのヒト化およびキメラ化は、当業者に周知である。例えば、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス相補性決定領域を、マウス免疫グロブリンの可変重鎖および可変軽鎖からヒト可変ドメインに導入し、次いでマウス相当物のフレームワーク領域においてヒト残基を置換することにより生成される。ヒト化モノクローナル抗体から得られる抗体成分の使用は、マウス定常領域の免疫原性と関連した潜在的問題を排除する。マウス免疫グロブリン可変ドメインのクローニングのための一般的技術は、例えば、参照によりその全体が組み入れられる、Orlandi et al, Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 86: 3833(1989)の出版物により説明されている。ヒト化Mabの生成のための技術は、例えば、それぞれ参照することによりその全体が組み入れられる、Jones et al., Nature, 321 : 522(1986)、Riechmann et al., Nature, 332: 323(1988)、Verhoeyen et al., Science, 239: 1534(1988)、Carter et al., Proc. Nat’l Acad. Sci. USA, 89: 4285(1992)、Sandhu, Crit. Rev. Biotech., 12: 437(1992)、およびSinger et al., J. Immun., 150: 2844(1993)により説明されている。
代替として、形質転換非ヒト動物から完全なヒト抗体を得ることができる。例えば、Mendez et al., Nature Genetics, 15: 146−156(1997)、米国特許第5,633,425号を参照されたい。例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を有する形質転換マウスからヒト抗体を回収することができる。マウスの液性免疫システムは、内因性免疫グロブリン遺伝子を不活性化してヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによりヒト化される。ヒト免疫グロブリン遺伝子座は極めて複雑であり、合わせてヒトゲノムのほぼ0.2%を占有する多数の不連続セグメントを備える。形質転換マウスが適正なレパートリーの抗体を生成可能であることを確実とするために、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座の大部分をマウスゲノムに導入しなければならない。これは、生殖細胞系列構成におけるヒト重鎖または軽鎖免疫グロブリン遺伝子座のいずれかを含有する酵母人工染色体(YAC)の形成から始まる、段階的プロセスで達成される。各挿入は、サイズが約1Mbであるため、YACの構築には、免疫グロブリン遺伝子座の重複フラグメントの相同的組み換えが必要である。1つは重鎖遺伝子座を含有し、1つは軽鎖遺伝子座を含有する2つのYACを、YAC含有酵母スフェロプラストのマウス胚幹細胞との融合を介して別個にマウスに導入する。次いで、胚幹細胞クローンを、マウス胚盤胞に微量注入する。得られるキメラのオスを、その生殖細胞系列を通してYACを透過させる能力に関してスクリーニングし、マウス抗体生成に欠陥をもつマウスで繁殖させる。一方はヒト重鎖遺伝子座を含有し、他方はヒト軽鎖遺伝子座を含有する2つの形質転換系の繁殖は、免疫化に応じてヒト抗体を生成する後代を形成する。
再配列されていないヒト免疫グロブリン遺伝子もまた、微小核細胞融合法(MMCT)を介してマウス胚幹細胞に導入することができる。例えば、Tomizuka et al., Nature Genetics, 16: 133(1997)を参照されたい。この手順において、ヒト染色体を含有する微小細胞がマウス胚幹細胞と融合される。導入された染色体は安定に維持され、成体キメラは適切な組織特異的発現を呈する。
代替として、抗体または抗体フラグメントを、組み換え免疫グロブリンライブラリから単離されたヒト抗体フラグメントから得ることができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Barbas et al., METHODS: A Companion to Methods in Enzymology 2: 119(1991)、およびWinter et al., Ann. Rev. Immunol, 12: 433(1994)を参照されたい。B細胞不死化によるモノクローナル抗体の生成に関連した困難性の多くは、ファージ提示法を使用した大腸菌における抗体フラグメントの操作および発現により克服することができる。
高親和性scFvを得るために、類似の戦略を使用することができる。例えば、Vaughn et al., Nat. Biotechnol, 14: 309−314(1996)を参照されたい。大きなレパートリーを有するscFvライブラリを、すべて既知のVH、VkappaおよびV80遺伝子ファミリーに対応するPCRプライマーを使用して、非免疫化ヒトドナーからV遺伝子を単離することにより構築することができる。増幅後、VkappaおよびVlambdaプールを組み合わせて1つのプールを形成する。これらのフラグメントは、ファージミドベクターに連結される。次いで、scFvリンカー、(Gly4,Ser)3が、VLフラグメント上流のファージミドに連結される。VHおよびリンカー−VLフラグメントは、増幅され、JH領域でアセンブルされる。得られるVH−リンカー−VLフラグメントは、ファージミドベクターに連結される。ファージミドライブラリは、上述のように、フィルタを使用して、またはイムノチューブ(NUNC(登録商標)、MAXISORP(登録商標))を使用してパニングすることができる。免疫化されたウサギのリンパ球または脾臓細胞から組み合わせ免疫グロブリンライブラリを構築することにより、またP.パストリスにおいてscFvコンストラクトを発現させることにより、類似の結果を達成し得る。例えば、Ridder et al., Biotechnology, 13: 255− 260(1995)を参照されたい。さらに、適切なscFvの単離後、より高い結合親和性およびより遅い解離速度を有する抗体フラグメントを、CDR3突然変異生成およびチェーンシャフリング等の親和性成熟プロセスにより得ることができる。例えば、Jackson et al, Br. J. Cancer, 78: 181−188(1998)、Osbourn et al, Immunotechnology, 2: 181−196(1996)を参照されたい。
抗体フラグメントの他の形態は、単一CDRのペプチドコーディングである。CDRペプチド(「最小認識単位」)は、対象となる抗体のCDRを符号化する遺伝子を構築することにより得られる。そのような遺伝子は、例えば、抗体生成細胞のRNAから可変領域を合成するためのポリメラーゼ連鎖反応を使用することにより調製される。例えば、Larrick et al., Methods: A Companion to Methods in Enzymology 2:106(1991); Courtenay−Luck, “Genetic Manipulation of Monoclonal Antibodies,” in MONOCLONAL ANTIBODIES: PRODUCTION, ENGINEERING AND CLINICAL APPLICATION, Ritter et al.(eds.), pages 166−179(Cambridge University Press 1995)、およびWard et al., “Genetic Manipulation and Expression of Antibodies,” in MONOCLONAL ANTIBODIES: PRINCIPLES AND APPLICATIONS, Birch et al.,(eds.), pages 137−185(Wiley−Liss, Inc. 1995)を参照されたい。
bsAbは、当技術分野で知られた技術により調製することができ、例えば、抗CEA腫瘍Abおよび抗ペプチドAbはともに、ペプシンによりそれぞれのF(ab’)フラグメントに別個に消化される。抗CEA−Ab−F(ab’)は、システインにより還元されてFab’モノマー単位を生成し、これはさらに架橋剤ビス(マレイミド)ヘキサンと反応してFab’−マレイミド部分を生成する。抗ペプチドAb−F(ab’)は、システインにより還元され、精製され回収された抗ペプチドFab’−SHは、抗CEA−Fab’−マレイミドと反応してFab’×Fab’二重特異性Abを生成する。代替として、抗ペプチドFab’−SHフラグメントは、抗CEA F(ab’)と連結してF(ab’)×Fab’コンストラクトを生成し得るか、または抗CEA IgGと連結してIgG×Fab’二重特異性コンストラクトを生成し得る。一実施形態においては、IgG×Fab’コンストラクトは、過ヨウ素酸塩酸化され、続いて市販のヒドラジド−マレイミド架橋剤との反応により活性されている抗CEA IgG重鎖炭水化物に抗ペプチドFab’チオール基を付着させることにより、部位特異的に調製され得る。使用される成分Abは、既知の技術によりキメラ化またはヒト化することができる。キメラ抗体は、げっ歯類抗体から得られる可変ドメインおよび相補性決定領域を含有する、組み換えタンパク質であり、抗体分子の残りは、ヒト抗体から得られる。ヒト化抗体は、モノクローナル抗体のマウス相補性決定領域が、マウス免疫グロブリンの可変重鎖および軽鎖からヒト可変ドメインに導入された組み換えタンパク質である。
キメラAbは、マウスの軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを符号化するcDNAフラグメントを、ヒト抗体からのCドメインを符号化するフラグメントに連結することにより構築される。Cドメインは抗原結合には寄与しないため、キメラ抗体は元のマウスAbと同じ抗原特異性を維持するが、配列においてヒト抗体により近い。しかしながら、キメラAbはまだいくつかのマウス配列を含有し、まだ免疫原性であり得る。ヒト化Abは、抗原を認識するために必要なそれらのマウスアミノ酸のみを含有する。この生成物は、ヒト抗体フレームワーク内に、マウス相補性決定領域からアミノ酸を組み込むことにより構築される。
bsAbを生成するための他の最近の方法は、より一般的な免疫グロブリンイソタイプよりも強固に架橋するように追加的なシステイン残基を有する、操作された組み換えAbを含む。例えば、FitzGerald et al., Protein Eng., 10:1221−1225, 1997を参照されたい。他の手法は、必要とされる二重特異性を有する2つ以上の異なる単鎖抗体または抗体フラグメントセグメントを連結する、組み換え融合タンパク質を設計することである。例えば、Coloma et al., Nature Biotech., 15:159−163, 1997を参照されたい。分子工学を使用して、様々な二重特異性融合タンパク質を生成することができる。1つの形態において、二重特異性融合タンパク質は一価であり、例えば、1つの抗原に対する単一の結合部位を有するscFv、および第2の抗原に対する単一の結合部位を有するFabフラグメントからなる。別の形態において、二重特異性融合タンパク質は二価であり、例えば、1つの抗原に対する2つの結合部位を有するIgG、および第2の抗原に対する2つの結合部位を有する2つのscFvからなる。
ジアボディとも称される、機能性二重特異性単鎖抗体(bscAb)は、組み換え方法を使用して哺乳類細胞において生成することができる。例えば、Mack et al., Proc. Natl. Acad. Sci, 92: 7021−7025, 1995を参照されたい。
好ましい二重特異性抗体はMAb Mu9のFvおよびMAb679のFvまたはMAb MN14のFvおよびMAb679のFv、ならびにそれらのヒト、キメラ化、またはヒト化相当物を組み込んだものである。MN14、およびそのキメラ化およびヒト化相当物は、米国特許第5,874,540号に開示されている。また、Mu9または679のCDRの1つ以上を組み込んだ二重特異性抗体も好ましい。抗体は、クラスIII抗CEA抗体および679のFvを組み込んだ融合タンパク質または二重特異性抗体であることができる。クラスIII抗CEAを含むクラスIII抗体は、米国特許第4,818,709号に詳細に記載されている。
ある実施形態においては、上述のbsAb F−18標識化された標的化可能なコンストラクトは、米国特許第6,096,289号に記載のように、術中、血管内、および内視鏡的腫瘍および病変検出、生検、ならびに治療において使用することができる。
(実施例1)ペプチドIMP272のF−18標識化
使用した第1のペプチドは、以下のIMP272であった。
DTPA−Gln−Ala−Lys(HSG)−D−Tyr−Lys(HSG)−NH
MH 1512
酢酸塩緩衝溶液−酢酸1.509gを水約160mLに希釈し、1M NaOHの添加によりpHを調節し、次いで250mLに希釈してpH4.03の0.1M溶液を得た。
酢酸アルミニウム緩衝溶液−AlCl六水和物0.1028gを脱イオン水42.6mLに溶解することにより、アルミニウムの溶液を調製した。アルミニウム溶液の4mLアリコートを、pH4の0.1M NaOAc溶液16mLと混合し、2mM Al原液を得た。
IMP272酢酸塩緩衝溶液−ペプチド、0.0011g、7.28×10−7モルIMP272を0.1M、pH4の酢酸塩緩衝溶液364μLに溶解し、ペプチドの2mM原液を得た。
IMP272のF−18標識化−アルミニウム原液の3μLアリコートをREACTIVIAL(商標)に入れ、50μLのF−18(未処理)および3μLのIMP272溶液と混合した。加熱ブロック中で溶液を110℃で15分間加熱し、逆相HPLCにより分析した。HPLCトレース(図1)は、93%が遊離F−18で、7%がペプチドに結合していることを示した。追加のIMP272溶液10μLを反応に加え、再び加熱して逆相HPLCにより分析した(図2)。HPLCトレースは、8%のF−18が空隙容量にあり、活性の92%がペプチドに付着していることを示した。ペプチド溶液の残りを、室温で約1時間150μL PBSでインキュベートし、次いで逆相HPLCにより検査した。HPLCトレース(図3)は、58%のF−18が結合しておらず、42%がまだペプチドに付着していることを示した。データは、F−18−Al−DTPA錯体がリン酸塩との混合に不安定である可能性があることを示している。
逆相HPLC−逆相HPLC分析は、以下の条件下で行った。
カラム:WATERS(登録商標)XTERRA(商標)MS C18 5μm、4.6×250mm
流量:1mL/分
勾配緩衝液:緩衝液C、脱イオン水中0.1%NHOAc(酢酸アンモニウム)、緩衝液D、90%アセトニトリル、10%水および0.1%NHOAc(酢酸アンモニウム)
勾配:100%緩衝液Cから100%緩衝液Dまで、30分にわたる直線勾配を使用
実行時間:30分
サイズ排除HPLC−以下の条件下でサイズ排除HPLCを行った。
カラム:BIORAD(登録商標)BIO−SIL(商標)SEC250、300×7.8mm
勾配:定組成
溶離緩衝液:0.2Mリン酸塩、pH6.8
流量:1mL/分
実行時間:30分
本明細書において図示されるすべてのトレースは、F−18の放出を監視するためにPERKIN ELMER(登録商標)610Trを使用した放射トレースである。表1〜3は、それぞれ、図1〜3に示されたデータを表形式で示したものである。
Figure 0005646701
Figure 0005646701
Figure 0005646701
標識化ペプチド溶液を1cc(30mg)WATERS(登録商標)HLBカラム(部品番号186001879)に導入し、水300μLで洗浄して結合していないF−18を除去することにより標識化ペプチドを精製した。2×100μL 1:1 MeOH/HOでカラムを洗浄することによりペプチドを溶離した。精製したペプチドを水中で25℃でインキュベートし、逆相HPLCにより分析した(図4、図5)。HPLC分析は、F−18標識化IMP272が水中では不安定であることを示していた(図4、図5)。図4と図5を比較すると、水中での40分のインキュベーション後、約17%のF−18がペプチドから解放されることが示される。
(実施例2)F−18 IMP272の免疫反応活性
ペプチド(16μL 2mM IMP272、48μg)をF−18で標識化し、抗体結合についてサイズ排除HPLCで分析した(放射トレース、図6から図9)。サイズ排除HPLCは、ペプチドhMN−14×679に結合したが、無関係な二重特異性抗体hMN−14×734には結合しなかったことを示した(図8対図9)。
(実施例3)他の金属でのIMP272 F−18標識
金属原液(6×10−9モル)の約3μLアリコートをポリプロピレン製円錐型バイアルに入れ、75μLのF−18(未処理)と混合し、室温で約2分間インキュベートし、次いで、0.1M NaOAc (酢酸アンモニウム)pH4緩衝液中の2mM(4×10−8mol)IMP272溶液20μLと混合した。加熱ブロック中で溶液を110℃で15分間加熱し、逆相HPLCにより分析した。インジウム(図10)、ガリウム(図11)、ジルコニウム(図12)、ルテチウム(図13)、およびイットリウム(図14)でのIMP272の標識化について結果を示す。
(実施例4)Al−18F結合のための他のペプチドのスクリーニングに使用される標準的F−18ペプチド標識化条件
2mMアルミニウム原液の3μLアリコートをポリプロピレン製円錐型バイアルに入れ、50μLのF−18(未処理)と混合し、室温で約2分間インキュベートし、次いで0.1M NaOAc(酢酸アンモニウム)pH4緩衝液中の2mMペプチド溶液16〜20μLと混合した。加熱ブロック中で溶液を110℃で15分間加熱し、逆相HPLC(PHENOMENEX(商標)、GEMINI(登録商標)、5μ、C−18、110A、250×4.6mm HPLCカラム)により分析した。
被験ペプチド
IMP272 DTPA−Gln−Ala−Lys(HSG)−D−Tyr−Lys(HSG)−NH MH 1512
Figure 0005646701
IMP288 DOTA−D−Tyr−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH MH 1453
Figure 0005646701
IMP326 DTPA−ITC−NH−NH−Phe−CO−D−Tyr−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH MH 1477
Figure 0005646701
IMP329 デフェロキサミン−NH−CS−NH−NH−Ph−CO−D−Tyr−D−Lys(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH MH 1804
Figure 0005646701
IMP331 NTA−iAsp−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH MH 1240
Figure 0005646701
IMP332 EDTADpr−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−DLsy(HSG)−NH MH 1327
Figure 0005646701
IMP333 DTPA−Dpr(DTPA)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1845
Figure 0005646701
IMP334(HP)−C(OH)−(CH−NH−Gly−D−LyS(HSG)−D−Glu−D−LyS(HSG)−NH MH 1192
Figure 0005646701
IMP337 Ac−D−Ser(PO)−D−Ser(PO)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1291
IMP338 Ac−D−Ser(PO)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1126
IMP345 DTPA−D−Ser(PO)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1459
IMP349 DTPA−D−Cys((HP)−CH−CH−S)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1583
Figure 0005646701
IMP361 DTPA−Dpr(BrCHCO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1498
IMP366 DTPA−Dpr(Ph−S−CHCO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1528
IMP368 Sym−DTPA−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1292
Figure 0005646701
IMP369 Sym−DTPA−NH−CH(2−Br−Phe−)−CH−COD−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1517
IMP370 Sym−DTPA−NH−CH(2−ON−Phe−)−CH−CO−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1484
IMP371 DTPA−NH−CH(2−ON−Phe−)−CH−CO−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1484
IMP372 DTPA−Dpr(Ser)−D−Ala−D−Lys(HSG)−DAla−D−Lys(HSG)−NH MH 1465
IMP373 DTPA−Dpr(Sym−DTPA)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1753
IMP374 DTPA−Dpr(Cl−CHCO−Cys(Et)−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1585
IMP375 DTPA−Dpr(2−Br−Phe−CHNH−CH−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1603
Figure 0005646701
IMP376 DTPA−Cys(HOS−S)−D−Tyr−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1558
IMP379 DTPA−Dpr(2−HN−Phe−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1497
IMP382 DTPA−Dpr(H)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1378
IMP383 DTPA−Dpr(Gla−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1507
IMP384 DTPA−Dpr(2−HO−Phe−CHNH−CH−CO−)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1541
Figure 0005646701
IMP385 DTPA−Dpr(Dpr)−D−Ala−D−Lys(HSG)−DAla−D−Lys(HSG)−NH MH 1464
IMP386 DTPA−Dpr(2−ピリジル−CH−CHNH−CO−)−DAla−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1526
Figure 0005646701
IMP387 DTPA−Dpr(D−9−アンスリルアラニン)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1625
IMP389 DTPA−Dpr(2−カルボキシピペリジニル)−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Ala−D−Lys(HSG)−NH MH 1490
Figure 0005646701
ペプチド標識化スクリーニング試験の結果
DTPA誘導体のほとんどは、IMP272の標識化に匹敵する標識化を示した。例外があり、システイン側鎖にビスホスホネート基を有するIMP349は非常に標識化に乏しかった。DOTA配位子はAl−18Fに結合しなかった。IMP326のITC DTPA配位子は、DTPAと同様に、Al−18Fに結合しなかった。IMP331のNTA配位子は、Al−18Fに結合しなかった。IMP332のEDTA配位子は、DTPAとは異なり、Al−18Fに結合した。対称DTPA配位子はAl−18Fに結合しなかった。試験されたホスホネートおよびホスフェート基は、試験された条件下ではAl−18Fに良好に結合しなかった。スクリーニングは、DTPAの近くに付着した基が、Al−18F−DTPA錯体の安定性に影響し得ることを示した。スクリーニングは、IMP375がより良好に標識化され、IMP272よりも著しく安定な錯体を形成することを示した。IMP375は良好に標識化され、水中で安定であった(図15、図16)が、生体内での使用のためには血清安定性が改善されなければならない(図17、図18)。
ペプチド標識化スクリーニング試験は、Al−18Fの結合のみを考慮した。Al−18Fで良好に標識化されなかった一部のペプチドは、F−18に結合する他の金属でより良好に標識化される可能性がある。
ペプチド合成
Fmoc戦略を使用した固相ペプチド合成によりペプチドを合成した。差別的脱保護を可能とするために、Fmoc/Aloc保護基を使用してジアミノアミノ酸の側鎖に基を付加した。Aloc基は、Danglesら(J. Org. Chem. 1987, 52:4984−4993)の方法により除去したが、ただし、使用した酢酸にピペリジンを1:1の比で添加した。非対称テトラ−t−ブチルDTPAを、McBrideら(米国特許出願公開番号US2005/0002945 A1、出願番号第10/776,470号、公開日2005年1月6日)に記載のように作製した。トリ−t−ブチルDOTA、対称テトラ−t−ブチルDTPAおよびITC−ベンジルDTPAは、MACROCYCLICS(登録商標)から得た。Aloc/FmocリシンおよびDap(ジアミノプロピオン酸誘導体(Dprとも))は、CREOSALUS(登録商標)またはBACHEM(登録商標)から得た。Sieber Amide樹脂は、NOVABIOCHEM(登録商標)から得た。残りのFmocアミノ酸は、CREOSALUS(登録商標)、BACHEM(登録商標)、PEPTECH(登録商標)またはNOVABIOCHEM(登録商標)から得た。
IMP272は、記載の通り(McBride et al.、米国特許出願公開番号20040241158 A1、出願番号第10/768,707号、2004年12月2日)合成した。IMP288は、記載の通り(McBride et al., J. Nucl Med., 2006, 47:1678−1688)作製した。
IMP326 ヒドラジンペプチド(IMP319)は、Sieberアミド樹脂上で、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Glu(OBut)−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Tyr(But)−OHおよび4−(Boc−NH−NH−)C−COHをこの順番で使用して作製した。4−(Boc−NH−NH−)C−COHは、Bocジカーボネートをジオキサン水酸化ナトリウム溶液中の4−ヒドラジノ安息香酸に添加することにより作製した。
Boc−ヒドラジドの添加後、側鎖Aloc基を除去し、リシンの側鎖にトリチル−HSG−OH基を付加した。次いでペプチドをTFAで樹脂から開裂させ、HPLCで精製して所望のヒドラジンビス−HSGペプチドIMP319(MH 1201)を得た。次いで、ヒドラジドペプチド(0.0914g)を、3mLの0.1Mリン酸ナトリウムpH8.2中のITC−ベンジルDTPA0.0650gと混合した。溶液のpHを1M NaOHで調節し、pH8.2にpHを維持した。ペプチドとITC−ベンジルDTPAとの間の反応が完了した後、ペプチド複合体をHPLCで精製した。
IMP329 メシル酸デフェロキサミン1.0422g(1.59×10−3mol)を1:1メタノール/水10mL中でチオカルボニルジイミダゾール0.2835g(1.59×10−3mol)と混合することにより、デフェロキサミンイソチオシアネートを調製した。トリエチルアミン0.23mLを添加し、2.5時間後に反応物を逆相HPLCにより精製し、デフェロキサミンイソチオシアネートMNa 625を得た。
ヒドラジンペプチド、IMP319(0.0533g、4.4×10−5mol、MH 1201)を、リン酸ナトリウム緩衝液中で、デフェロキサミンイソチオシアネート0.0291gとpH8.1で2時間混合し、次いでHPLCで精製して所望のMH 1804を得た。
IMP331 以下のアミノ酸をSieberアミド樹脂(0.58mmol/g)に、示された順番で付着させた。Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−DTyr(But)−OHおよびFmoc−D−Lys(Aloc)−OH。Aloc基を除去し、Trt−HSG−OHをリシンの側鎖に付加した。Fmocを除去し、次いでFmoc−D−Ala−OHおよびFmoc−Asp−OButをこの順番で付加した(樹脂0.5g)。Fmocを除去し、Aspの窒素を、ブロモ酢酸t−ブチル3mLおよびNMP3.4mL中ジイソプロピルエチルアミン3.6mLで、一晩アルキル化した。次いでペプチドをTFAで樹脂から開裂させ、逆相HPLCで精製して所望のペプチドMH 1240を得た。
IMP332 ペプチドをSieberアミド樹脂3g上で作製した(0.58mmol/g)。以下のアミノ酸を、この順番で樹脂に添加した。Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Tyr(But)−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、およびFmoc−Dpr(Fmoc)−OH。樹脂を後の合成のためにいくつかの部分に分割した。1グラムの樹脂を取り出し、ジアミノプロピオン酸からFmoc基を除去した。ペプチドをブロモ酢酸t−ブチル3mL、ジイソプロピルエチルアミン3.6mLおよびNMP3.4mLで一晩アルキル化した。次いで側鎖Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基を付加した。次いでペプチドを樹脂から開裂させ、HPLCで精製して生成物MH 1327を得た。
IMP333 ペプチドを、IMP332の作製に使用された同じ樹脂1gで作製した。DTPAテトラ−t−ブチルエステル(米国特許公開番号第20050002945号)を、Dpr基の両方のアミンに添加した。次いでAloc基を除去し、Trt−HSGOHを付加した。次いでペプチドを開裂させ、HPLCで精製して所望の生成物MH 1845を得た。
IMP334 ペプチドを、Rinkアミド樹脂1g上(0.7mmol/g)で以下のアミノ酸を示された順番で添加して作製した:Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Glu(But)−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Boc−Ser(But)−OH。Aloc基を除去し、Trityl−HSG−OHを付加した。ペプチドをTFAで樹脂から開裂させた。粗ペプチドをエーテルからの沈降により収集し、乾燥させた。過ヨウ素酸ナトリウム0.33gを水15mLに溶解させた。粗ペプチドを1mLの0.5Mリン酸ナトリウムpH7.6、3mLの水および1mLの過ヨウ素酸塩溶液に溶解させた。さらに3mLの過ヨウ素酸塩を、1ミリリットルの増分で約2時間かけて添加した。次いで混合物を逆相HPLCにより精製して凍結乾燥し、無水IMP289 HCO−CO−D−LyS(HSG)−D−Glu−D−Lys(HSG)−NH MH 959を得た。アレンドロン酸塩(0.0295g、CALBIOCHEM(登録商標))を150μLの0.1M NaOAc pH4に溶解させた。ペプチド、IMP289(0.0500g)を水中13%イソプロパノール100μLに溶解させた。シアノボロ水素化ナトリウムを添加して混合物をHPLCで精製し、所望の生成物MH 1192を得た。
IMP337およびIMP338 ペプチドを、Sieberアミド樹脂上で、以下のアミノ酸を使用して示された順番で添加して作製した:Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Ser(PO(OBzl)OH)−OH、Fmoc−D−Ser(PO(OBzl)OH)−OH、およびAcO。Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基をリシンの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、HPLCで精製して所望の生成物であるIMP337 MH 1291およびIMP338 MH 1126を得た。
IMP345 ペプチドを、Sieberアミド樹脂上で、以下のアミノ酸を使用して示された順番で添加して作製した:Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Lys(Aloc)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Ser(PO(OBzl)OH)−OH、およびテトラ−t−ブチルDTPA。Aloc基を除去し、Trt−HSG−OH基をリシンの側鎖に付加した。次いでペプチドを樹脂から開裂させ、HPLCで精製して所望の生成物IMP345 MH1459を得た。
IMP349 ペプチドIMP347 DTPA−D−Cys−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH2を、Sieberアミド樹脂上で、以下のアミノ酸を使用して示された順番で添加して作製した:Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OH、Alocを開裂、Fmoc−D−Ala−OH、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを添加、Alocを開裂、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−D−Cys(Trt)−OHおよびテトラ−t−ブチルDTPAを添加。ペプチドを樹脂から開裂させ、HPLCで精製して所望の生成物IMP347 MH+1395を得た。ペプチド、IMP347の0.0446g(3.2×10−5mol)を水3mLの0.4605g(2.4×10−3mol)のエテニリデンビス(ホスホン酸)(Degenhardt et al, J. Org. Chem. 1986, 51 :3488−3490)と混合し、1M NaOHを滴下により添加して溶液をpH6.5に調節した。反応物を一晩撹拌し、反応液を過剰のエテニリデンビス(ホスホン酸)の添加によりpH1.49に調節した。混合物を室温で一晩撹拌し、次いでHPLCで精製して所望のペプチドIMP349 MH 1583を得た。
IMP361 ペプチドを、Sieberアミド樹脂上で、以下のアミノ酸を使用して示された順番で添加して作製した:Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OH、Alocを開裂、Fmoc−D−Ala−OH、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OHを添加、Alocを開裂、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−Dap(Aloc)−OHおよびテトラ−t−ブチルDTPAを添加。Dapの側鎖上のAlocを除去し、ブロモアセチルをブロモ酢酸無水物と添加した。粗生成物をHPLCで精製して所望のペプチドIMP361(MH 1498)を得た。
IMP366 ペプチドを、IMP361と同じ方法により、最後にフェニルチオ酢酸を添加して作製した。粗生成物をHPLCで精製し、生成物IMP366 MH 1528を得た。
IMP368 ペプチドは、IMP349について説明された通りであり、ただしシステイン残基は付加されず、非対称DTPAの代わりに対称テトラ−t−ブチルDTPA(MACROCYCLICS(登録商標))を使用し、精製後に所望の生成物IMP368 MH 1292を得た。
IMP369 ペプチドを、IMP349について説明された通り作製し、Fmoc−R−3−アミノ−3−(2−ブロモフェニル)プロピオン酸をD−Cysの代わりに添加し、対称テトラ−t−ブチルDTPAを非対称バージョンのDTPAテトラ−t−ブチルエステルの代わりに添加した。粗ペプチドを精製して所望の生成物MH 1517を得た。
IMP370 ペプチドを、IMP369について説明された通り作製したが、ただしFmoc−R−3−アミノ−3−(2−ニトロフェニル)プロピオン酸をブロモの代わりに使用した。HPLCによる精製後に、所望の生成物MH 1484を得た。
IMP371 ペプチドを、IMP370について説明された通り作製したが、非対称−t−ブチルDTPAを対称バージョンの代わりに使用した。HPLCによる精製後に、所望の生成物MH 1484を得た。
IMP372 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−Ser(But)−OHを使用してSerをDap側鎖に付着させた。Fmocを除去し、ペプチドを樹脂から開裂させて精製し、所望の生成物MH 1465を得た。
IMP373 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、対称テトラ−t−ブチルエステルDTPAを使用してSym−DTPAをDap側鎖に付着させた。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1753を得た。
IMP374 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−S−エチルシステインをDap側鎖に付加した後、クロロ酢酸無水物を介してクロロアセチル(システイン窒素上)を付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1585を得た。
IMP375 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−R−3−アミノ−3−(2−ブロモフェニル)プロピオン酸をDap側鎖に付加した後、Fmoc基を開裂させた。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1603を得た。
IMP376 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、第2のアラニンの後Fmoc−D−Tyr(But)−OHを付加した後、Fmoc−Cys(SOH)およびテトラ−t−ブチルDTPAを付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1558を得た。
IMP379 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Boc−2−Abz−OHをDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1497を得た。
IMP382 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、AlocをDapの側鎖から除去した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1378を得た。
IMP383 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−Gla(OBut)2−OHをDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH−CO 1507を得た。
IMP384 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−Boc−S−3−アミノ−3−(2−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸をDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1541を得た。
IMP385 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−Dpr(Fmoc)−OHをDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1464を得た。
IMP386 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Boc−D−2−ピリジルアラニン−OHをDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1526を得た。
IMP387 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、Fmoc−D−9−アンスリルアラニン−OHをDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1625を得た。
IMP389 ペプチドを、IMP361について説明された通り作製し、ビス−Boc−ピペラジン−2−カルボキシレートをDapの側鎖に付加した。ペプチドを樹脂から開裂させ、精製して所望の生成物MH 1664を得た。
(実施例5)生体内試験
GW−39ヒト結腸異種移植片腫瘍を有するヌードマウス(100〜500mg)に、二重特異性抗体hMN−14×m679(1.5×10−10mol)を注射した。抗体を、F−18標識化ペプチド(8.8μCi、1.5×10−11mol)の注射の前に、除去のために24時間放置した。注射から3時間、24時間および48時間後に動物を撮像した。異種移植片腫瘍は、hMN−14の腫瘍抗原への結合により腫瘍に局在化した二重特異性hMN−14×m679に結合したF−18標識化ペプチドのPETスキャン検出により明確に画像化された。
(実施例6)血清安定F−18標識化ペプチドの生成および使用
IMP449 NOTA−ITCベンジル−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH MH 1459
ペプチド、IMP448 D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH MH 1009を、Sieber Amide樹脂上で、以下のアミノ酸を示された順番で樹脂に添加することにより作製した:Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OH、Alocを開裂、Fmoc−D−Tyr(But)−OH、Aloc−D−Lys(Fmoc)−OH、Trt−HSG−OH、Alocを開裂、Fmoc−D−Ala−OH、最後にFmocを開裂させて所望のペプチドを作製。次いでペプチドを樹脂から開裂させ、HPLCで精製してIMP448を生成し、次いでこれをITC−ベンジルNOTAに連結させた。ペプチド、IMP448の0.0757g(7.5×10−5mol)を0.0509g(9.09×10−5mol)のITCベンジル NOTAと混合し、水1mLに溶解させた。次いで、無水炭酸カリウム0.2171gを、撹拌したペプチド/NOTA溶液にゆっくりと添加した。すべての炭酸塩を添加した後、反応液はpH10.6であった。反応物を室温で一晩撹拌した。14時間後反応を慎重に1M HClで停止し、HPLCで精製して、48mgの所望の生成物IMP449を得た。
Figure 0005646701
IMP449のF−18標識化
ペプチド0.002g(1.37×10−6mol)を、686μL(2mMペプチド溶液)の0.1M NaOAc pH4.02に溶解した。pH4酢酸塩緩衝液中の2mM Al溶液3マイクロリットルを、15μL、1.3mCiのF−18と混合した。次いで溶液を20μLの2mM IMP449溶液と混合し、105℃で15分間加熱した。逆相HPLC分析では、35%(室温約10分)の活性がペプチドに付着し、65%の活性がカラムの空隙容量で溶出(3.1分)したことが示され、これは活性がペプチドとは関連していないことを示唆していた。粗標識化混合物(5μL)をプールヒト血清と混合し、37℃でインキュベートした。15分後にアリコートを取り出し、HPLCで分析した。HPLCは、活性の9.8%がまだペプチドに付着していることを示した(35%から低下)。1時間後に別のアリコートを取り出し、HPLCで分析した。HPLCは、活性の7.6%がまだペプチドに付着していることを示し(35%から低下)、これは本質的には15分トレースと同じであった。
高用量F−18標識化
精製されたIMP449を用いたさらなる試験は、F−18標識化ペプチドがヒト血清中37℃で少なくとも1時間は極めて安定(91%、図19B)であり、ヒト血清中37℃で少なくとも4時間は部分的に安定(76%、図19D)であることを実証した。これらの結果は、本明細書で開示されたF−18標識化ペプチドが、F−18画像化試験に使用する上で、近似的な生体内条件下で十分な安定性を示すことを示している。
水約400μL中のF−18約21mCiを、9μLの0.1M pH4 NaOAc(酢酸ナトリウム)中2mM AlClと混合した。ペプチド、IMP449の60μL(0.01M、0.5NaOH pH4.13中6×10−7mol)を添加し、溶液を110℃で15分間加熱した。次いで、反応液を1cc Waters HLBカラムのバレル内に入れて水で溶離して結合していないF−18を除去し、1:1 EtOH/HOで溶離して溶離液F−18標識化ペプチドを除去することにより、粗標識化ペプチドを精製した。粗反応液をカラムに通して廃棄用バイアルに引き出し、カラムを水1ミリリットルのフラクションで3回洗浄した(18.97mCi)。次いでHLBカラムを新たなバイアル上に設置し、2回の200μL 1:1 EtOH/HOで溶離し、標識化ペプチド(1.83mCi)を収集した。溶離のすべてが完了した後、カラムは0.1mCiの活性を保持していた。精製されたF−18標識化ペプチドのアリコート(20μL)を、プールヒト血清200μLと混合し、37℃で加熱した。アリコートを(上述の通り)逆相HPLCで分析した。結果は、ヒト血清中での0時間(図19A)、1時間(図19B、91%標識化ペプチド)、2時間(図19C、77%標識化ペプチド)および4時間(図19D、76%標識化ペプチド)のインキュベーションのF−18標識化された精製IMP449の37℃での相対安定性を示す。また、F−18標識化IMP449が、逆相HPLCクロマトグラフィーの間時折使用されるTFA溶液中で安定であることが観察された。本明細書で説明された例示的なF−18標識化分子について、TFA中での安定性とヒト血清中での安定性との間に一般的な相関関係が見られると考えられる。

Claims (8)

  1. タンパク質またはペプチドに付着したF−18金属錯体を含む、F−18標識化タンパク質またはペプチドからなる、陽電子放出断層撮影法(PET)用の画像化剤であって、前記金属が、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ルテチウムおよびタリウムからなる群から選択される、画像化剤
  2. 前記タンパク質またはペプチドがキレート部分を含み、該キレート部分に前記F−18金属錯体が付着している、請求項1に記載の画像化剤。
  3. 前記キレート部分が、NOTA(1,4,7−トリアザ−シクロノナン−N,N’,N’’−三酢酸)である、請求項2に記載の画像化剤。
  4. 前記ペプチドが、IMP449(NOTA−ITCベンジル−D−Ala−D−Lys(HSG)−D−Tyr−D−Lys(HSG)−NH )である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像化剤。
  5. 前記金属は、アルミニウムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像化剤。
  6. 前記F−18標識化タンパク質またはペプチドは、水溶液中で安定である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像化剤。
  7. 抗体、抗体フラグメントまたは抗体コンストラクトを使用して関心部位に標的化される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像化剤。
  8. 二重特異性抗体を使用して関心部位に標的化される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の画像化剤。
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