JP5646088B1 - 二次電池のための高密度および高電圧安定性のカソード材料 - Google Patents

二次電池のための高密度および高電圧安定性のカソード材料 Download PDF

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Abstract

再充電可能な電池におけるカソード材料として使用するためのリチウム金属酸化物粉末であって、該粉末は、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に10-5S/cm未満、および有利には10-7S/cm未満の導電性を有しており、かつ該粉末は、25℃においてC/10の放電レートで、有利には25℃においてC/5の放電レートで、および最も有利には25℃において1Cの放電レートで、3.0および4.5V対Li+/Liの間でサイクルが行われるカソード中の活性成分として使用した場合に、少なくとも180mAh/gの可逆電極容量を有している、リチウム金属酸化物粉末。また、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に10-5S/cm未満、および有利には10-7S/cm未満の導電性を有しており、かつ該粉末は、25℃において0.5Cの放電レートで、有利には25℃において1Cの放電レートで、3.0および4.6V対Li+/Liの間でサイクルが行われるカソード中の活性成分として使用した場合に、少なくとも200mAh/gの可逆電極容量および60%を下回る、および有利には40%を下回る、および最も有利には30%を下回るエネルギー損失率を有している、リチウム金属酸化物粉末も記載する。

Description

発明の背景
LiCoO2は最近まで、主要なカソード材料として選択されていた。これは比較的高い電気容量、高い充填密度、および良好な電気化学的性能と、比較的製造が簡単であることとの組み合わせである。しかし近年、携帯可能な適用のためのリチウム二次電池においては2つの主要なトレンドが観察されている。リチウム・ニッケル・マンガン・コバルト酸化物(LMNCO)は、ミドルエンドユースおよびローエンドユース、たとえば2.2〜2.6Ah円筒型電池においてLiCoO2に取って代わってきており、かつ高電圧安定性および高密度に設計された特殊なLiCoO2が、「ハイエンド」ユース、たとえばたとえばラップトップにおいて使用される、3.0Ah円筒型電池において使用されている。
ミドルエンドユースおよびローエンドユースにおける置換の典型的な例は、2.2〜2.4Ah円筒型電池であり、これはLiNi0.5Mn0.3Co0.22、またはLiCoO2とLiNi0.5Mn0.3Co0.22との混合物のようなカソード材料を使用するものである。LMNCO材料は、金属のコストを考慮するとはるかに安価である(NiおよびMnは、Coよりもはるかに安価である)が、しかし大規模で製造することがより困難である。LiNi0.5Mn0.3Co0.22は、LiCoO2と同様の体積エネルギー密度(mAh/cm3で表される)を有しているが、しかしLiCoO2と同様の低い多孔性を有する電極を得ることが困難である。従って、実質的に達成可能な体積エネルギー密度(つまり固定された電池設計の固定された体積において達成される容量)は、依然として若干低いままである。
もう1つのトレンドは、特殊な「ハイエンド」LiCoO2の導入であり、これは高い密度を有しており、かつより高い充電電圧、一般にコイン電池に装着した場合には4.5Vあるいは4.6V対Li金属、および完全型電池(full cell)に装着した場合には4.35Vおよび4.4V対グラファイトが可能であり、より要求のハイエンドユースにおいてその強力な地位を確立している。これは、次の2つの主要な理由による:(1)高い充填密度、これにより厚く、多孔度の低い電極を製造することができる、および(2)特殊な「ハイエンド」LiCoO2ベースのカソードは、より高い電圧での充電およびサイクルが可能となり、このことにより平均的な電池電圧が増大し、かつ可逆容量およびレート容量もまた顕著に増大する。従って、高いレート容量を有し、かつ高電圧で実際の電池において安定してサイクルさせることができる、高容量LiCoO2ベースのカソードに対する需要は明らかに存在する。
従来技術において、いくつかのアプローチが提案されてきている。高い電圧安定性を達成するために、ハイエンドLiCoO2材料は通常、(たとえばAl23により)被覆されているか、またはその他の方法により(たとえばフッ素化表面を提供することにより)化学的に変性されている。問題は、被覆された密度の高いLiCoO2はしばしば可逆容量が低いため、高電圧充電によるエネルギー密度の取得の一部が、低い固有容量によって消費されることである。この効果は酸化アルミニウム保護被覆およびLiF保護被覆において観察することができるが、しかし同様の効果はその他の被覆アプローチ(ZrO2、AlPO3、……)に関しても観察される。
文献をさらに研究してみると、高電圧安定性を達成するためには被覆は全く必要ないかもしれないことがわかる。たとえばChen&Dahn(Electrochem.Solid−State Lett.第7巻、1号、第A11〜A14頁(2004))は、製造したばかりのLiCoO2は、Li金属アノードを有するコイン電池中で試験すると、4.5Vで安定したサイクルを示すことを教示している。このようなアプローチは、コイン電池では正しいかもしれないが、しかしこの効果は、実際に市販されている電池で再現することはできない。これらの結果は、目下、この刊行から数年後に、特殊な処理を行った、そして純粋ではないLiCoO2が高電圧適用のために市販されているという事実によって確認される。
現在、高電圧性能につながるその他の戦略は知られていない。本願発明の目的は、ハイエンドユース用二次電池のための、高密度および高電圧性能を有し、高いレート容量を有する新規のカソード材料を提供することである。
概要
第一の側面から見ると、本発明は再充電可能な電池におけるカソード材料として使用するためのリチウム金属酸化物粉末であって、該粉末は、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に10-5S/cm未満の導電性を有しており、かつ該粉末は、25℃においてC/10の放電レートで、3.0および4.5V対Li+/Liの間でサイクルが行われるカソード中の活性成分として使用した場合に、少なくとも180mAh/gの可逆電極容量を有している、リチウム金属酸化物粉末を提供することができる。特定の実施態様では導電性は10-6S/cm未満、あるいは10-7S/cm未満である。その他の実施態様では、粉末は、25℃においてC/5の放電レートで少なくとも180mAh/g、あるいは25℃において1Cの放電レートで少なくとも180mAh/gの可逆電極容量を有している。1つの実施態様では、リチウム金属酸化物粉末は、少なくとも50モル%のCo、または少なくとも70モル%のCo、または少なくとも90モル%のCoを含有している。
もう1つの実施態様では、リチウム金属酸化物粉末は、少なくとも3.5g/cm3の圧縮密度を有している。他の実施態様では、圧縮密度は少なくとも3.7g/cm3であり、または少なくとも3.8g/cm3である。圧縮密度は、得られたままの粉末に1.58トン/cm2を適用することによって測定するものである。
導電度の測定は、63.7MPaの圧力を適用して行われる。詳細な説明および特許請求の範囲では、63MPaという値も、実際には63.7MPaの圧力が適用される場合に、およその数値として言及されている。
第二の側面から見ると、本発明は、再充電可能な電池におけるカソード材料として使用するためのリチウム金属酸化物粉末であって、該粉末は、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に10-5S/cm未満の導電性を有しており、かつ該粉末は、25℃において0.5Cの放電レートで、3.0および4.6V対Li+/Liの間でサイクルが行われるカソード中の活性成分として使用した場合に、少なくとも200mAh/gの可逆電極容量および60%を下回る、エネルギー損失率を有している、リチウム金属酸化物粉末を提供することができる。特定の実施態様では、導電性は10-6S/cm未満、あるいは10-7S/cm未満である。特定の実施態様では、粉末は、25℃において0.5Cの放電レートで3.0〜4.6V対Li+/Liでサイクルされるカソードにおける活性成分として使用する場合に、40%を下回る、または30%を下回るエネルギー損失率を有している。別の実施態様では、粉末は25℃において1Cの放電レートで少なくとも200mAh/gの可逆電極容量と、同じエネルギー損失率とを有している。1つの実施態様では、リチウム金属酸化物粉末は、少なくとも50モル%のCo、または少なくとも70モル%のCo、あるいはまた少なくとも90モル%のCoを含有している。
上記の2つの実施態様のリチウム金属酸化物粉末は、コアとシェルとからなっていてもよく、その場合、1×10-6S/cm未満、および有利には1×10-7S/cm未満、あるいはまた1×10-8S/cm未満の導電性を有しており、かつリチウム金属酸化物粉末のシェルの導電性は、コアの導電性よりも低い。1つの実施態様では、リチウム金属酸化物粉末中の金属の少なくとも98モル%は、元素のLi、Mn、NiおよびCoからなるか、または元素のLi、Mn、Fe、Ni、CoおよびTiからなるかのいずれかである。別の実施態様では、シェルおよびコアの両方における金属の少なくとも98モル%が、元素のLi、Mn、NiおよびCoからなるか、または元素のLi、Mn、Fe、Ni、CoおよびTiからなるかのいずれかである。
2つの実施態様のリチウム金属酸化物粉末は、一般式xLiCoO2・(1−x)MOy [式中、0.1<x<1、0.5<y≦2であり、かつMはLiおよびM′からなり、M′=NiaMnbTicであり、0≦c≦0.1、a>b、およびa+b+c=1である]を有していてもよい。1つの実施態様では0.9<x<1であり、これにより均一に焼結された材料を得ることが容易になり、しかも低導電性の末端製品が得られる。
第三の観点から見ると、本発明は、再充電可能な電池におけるカソード材料として使用するためのリチウム金属酸化物粉末であって、粉末は、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に、10-5S/cm未満、および有利には10-6S/cm未満の導電性を有しており、かつ粉末は、少なくとも90%、有利には少なくとも95%の10Cレート性能(0.1Cレートに対して10Cレートで測定した放電容量、%で記載)、および3.0および4.4V対Li+/Liの間でサイクルが行われるカソードにおける活性成分として使用した場合に、10%を下回る、および有利には7%を下回るエネルギー損失率を有する、リチウム金属酸化物粉末を提供することができる。1つの実施態様では、リチウム金属酸化物粉末は、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に、10-5S/cm未満の導電性、および有利には10-6S/cm未満、または10-7S/cm未満の導電性を有していてよく、かつ粉末は、少なくとも85%、有利には少なくとも90%の20Cレート性能(0.1Cレートに対して20Cレートで測定した放電容量、%で記載)を有し、かつ3.0および4.4V対Li+/Liの間でサイクルが行われるカソード中の活性成分として使用した場合に、10%を下回る、および有利には7%を下回るエネルギー損失率を示す。この粉末は、3.0および4.4V対Li+/Liの間の20Cレートでのサイクルでは、3.7Vを上回る、有利には3.75V、および最も有利には3.77Vを上回る平均放電電圧を有していてもよい。1つの実施態様では、粉末は、一般式xLiCoO2・(1−x)Myz [式中、0.1<x<1、0.5<z/y≦2であり、かつMはLiおよびM′からなり、その際、M′=NiaMnbCocTidMgeであり、a+b+c+d+e=1、a+b>0.5、およびc≧0、d≧0、e≧0である]を有していてもよい。1つの実施態様では、0.9<x<1であり、これにより均一に焼結された材料を得ることが容易になり、しかも低導電性の末端製品が得られる。
第四の観点から見ると、本発明は、リチウム金属酸化物粉末を製造する方法であって、以下の工程:
LiCoO2粉末と、
Li−Ni−Mn−Co酸化物、または
Ni−Mn−Co含有粉末、およびLi含有化合物、有利には炭酸リチウム
のいずれかとの混合物であって、90質量%以上、および有利には少なくとも95質量%のLiCoO2粉末を含有している混合物を準備する工程、および
該混合物を少なくとも910℃、および有利には少なくとも950℃の温度Tで1〜48時間の時間tにわたって焼結する工程を有し、この場合、混合物中のLi含有化合物の量は、25℃において63.7MPaで圧縮した場合に、10-5S/cm未満、有利には10-6S/cm未満、および最も有利には10-7S/cmの導電性を有する絶縁性のリチウム金属酸化物粉末が得られるように選択する製造方法を提供することができる。
1つの実施態様では、LiCoO2粉末はさらにAl、MgおよびTiのいずれか1種もしくは複数種を含有しており、かつドープされたCo前駆体、たとえばAl、MgおよびTiのいずれか1種もしくは複数種によりドープされたCo(OH)2またはCo34、およびLi前駆体、たとえばLi2CO3を含有する。Al、MgおよびTiの1もしくは複数の含有率は、0.1〜1モル%であるか、または0.25〜1モル%である。
もう1つの実施態様では、混合物は、この純粋なLiCoO2粉末またはドープされたLiCoO2粉末と、Ni−Mn−Co水酸化物、Ni−Mn−Coオキシ水酸化物、Ni−Mn−Co炭酸塩、およびNi−Mn−Coオキシ炭酸塩のいずれか1種もしくは複数種とからなっている。
この方法のもう1つの実施態様では、Li含有化合物、たとえば炭酸リチウムの量は、Li/Mの比率が0.1モル/モル未満となるように選択され、この場合、Li/Mモル比は、LiCoO2およびMOOH(M=Ni、MnおよびCo)全体の遷移金属含有率対Liの添加(Li含有化合物による)に関するものであり、これは最終的に得られたリチウム金属酸化物粉末中の遷移金属の含有量に相応する。これは0.05モル/モル未満、あるいは0.02モル/モル未満であってもよい。もう1つの実施態様では、Li/Mの比率はゼロである。
特許請求の範囲では、d50は、d50値以下の大きさを有する粒子からなる粉末の体積の50%と定義され、この場合、d50は、適切な公知法、たとえばレーザー回折によって乾燥平均値および湿潤平均値として測定される。
a)LCO−1、およびb)例1aの倍率2000倍でのSEM画像 対数目盛での導電性の関数としての、4.5Vでのエネルギー損失率(白抜きの丸印)および容量損失率(黒塗りの丸印)のグラフ a)LCO−3の、倍率2000倍での、およびb)例2dの、倍率2000倍および5000倍(下)でのSEM画像 a)LCO−2、例2a、2bおよび2c、ならびにb)例2d、2eおよび2fの対数目盛での導電性の関数としての、4.5Vでのエネルギー損失率(白抜きの丸印)および容量の損失率(黒塗りの丸印)のグラフ a)4.35V、およびb)4.40Vでの例3の完全型電池中での試験。放電容量(mAh/g)は、サイクル回数(#)に対してプロットした 4.35Vでの標準的なLiCoO2の完全型電池での試験。放電容量は、サイクル回数に対してプロットした アルミナ被覆したLiCoO2の、高電圧安定性および導電性の関係 a)LCO−5の、倍率2000倍での、b)例5aの、倍率2000倍、および5000倍での、ならびにc)比較例5の、倍率2000倍、および5000倍でのSEM画像 例5a(白抜きの丸印)および5b(黒塗りの丸印)に関する粒径の関数としての体積分率のグラフ コイン電池での試験:25℃でC/10レート(1C=160mAh/g)での4.3Vおよび3.0Vの間で、LiF被覆されたLiCoO2に関して得られた、第一の充電−放電サイクルで得られた電圧プロファイル、異なった温度で加熱 導電性の関数としての例10a〜10dおよびLCO−10の20Cレート性能の発展 例10a、10cおよび10d対LCO−10に関する、4.5Vで1Cでの導電性とエネルギー損失率との関連性
詳細な説明
本発明は、高電圧安定性および高レート性能を有するLiCoO2ベースのカソードを得るための戦略を開示する。得られるLiCoO2ベースのカソード材料は、高い密度を有しており、かつ実際の電池において高い電圧での安定したサイクルが可能である。この戦略のキーポイントは、極めて低い導電性を達成することであり、これはその他の、目下のカソード材料に関して報告されているものよりも一桁低いものである。
高性能のカソード性能を目標とする場合には、十分な導電性が必要とされることは広く受け入れられている。典型的な例は、カーボン被覆された微粒子状のLiFePO4の使用である。カーボン被覆なしでは容量およびレート性能は極めて劣る。LiFePO4の場合、圧縮されたカソード粉末の導電性に関する典型的な目標は、10-3〜10-2S/cmである。他のカソード材料は、比較的高い導電性も有している。
異なった参照材料の導電性は、室温において63.7MPaの圧力で圧縮されたペレットを使用して測定された。典型的な電解質イオン伝導性は10mS/cm(10-2S/cm)であるので、これと同様の、またはより高い導電性を有するカソードを「導電性が高い」と定義することができる。導電性が、この値の約1%まで大きい場合(10-4S/cm)には「導電性が低い」と定義する。導電性が0.1%未満(10-5S/cm)である場合には、そのカソードは「絶縁性」として定義することができる。カソードが少なくとも低い導電性を有していなくてはならないこと、および絶縁性カソードではうまくいかないことは一般に受け入れられている。
高Ni材料、たとえばLiNi0.8Co0.15Al0.052は、たとえば約3.47×10-2S/cmを有し、LMNCO(LiNi0.5Mn0.3Co0.22)は約2.21×10-3S/cmを有し、有名な「111」(Li1+x1-x2、M=Ni1/3Co1/3Mn1/3、およびx≒0.05)は、約2.03×10-4S/cmを有する。市販のLiCoO2は、10-2〜10-3S/cmの範囲の比較的低い導電性を有している。これらのカソード材料全てに関して約10-5S/cmの導電性が測定される。従ってこれらのカソードはいずれも絶縁性ではない。
本発明によるカソード材料は、上記の定義を用いると「絶縁性」である。これらは目下公知の、最も導電性の低いカソード材料の導電性よりも、少なくとも2〜3桁低い導電性を有している。導電性が低いことは、新規の絶縁性カソード材料の高電圧安定性のための主要な理由であると考えられる。このような絶縁性のカソードから、優れた電気化学的性能、つまり大きな放電容量およびレート性能が得られることは意外である。というのは、一般に、固体カソード内および電解質とカソードとの間の界面では、Liカチオンの拡散のためには一定の導電性が必要であると考えられているからである。
LiCoO2ベースのカソードを高電圧充電すると(つまり、カソードは顕著に非インターカレーション状態となる)、Coの大部分が4価の状態であるLixCoO2組成が得られる。三価のLixCoO2は、極めて強力な酸化剤であり、高反応性である。電解質はこのような酸化性表面と接触する場合には、熱力学的に安定しない。電解質(還元剤である)との反応は、エネルギー的に著しく有利である。低温でも(高電圧におけるLiCoO2カソードの通常のサイクルの間)、この反応は、ゆっくりではあるが絶え間なく進行する。反応生成物はカソード表面を覆い、電解質は分解され、両方の効果によって電池の電気化学的な性能は連続的に劣化し、容量の損失および極性化による抵抗の顕著な増大が観察される。
高電圧充電カソードに関する状況は、十分に調査が行われたカーボンアノードの状況とそれほど異なるものではない。電解質は、電位がほぼゼロV(対Li/Li+)であるLiのインターカレーションの間の還元条件で安定していない。従って電解質は分解し、かつ還元される。しかしこの場合、電解質の分解生成物はリチウムと共にいわゆるSEI(solid electrolyte interface)を形成する。SEIはイオン伝導体であるが、しかし電子絶縁体であることが知られている。従ってSEIによって、依然として固体と電解質との間の表面をLiが横断して輸送されることが可能になるが、これによりさらに電解質の還元が防止される。重要な点は、電解質の還元は、局所的にLiカチオンと電子とが同時に存在することを必要とすることである。Liカチオンは電解質中に、および電子はカーボンバルク中に存在する。しかしながら、SEIが電子絶縁体として物理的にカーボン中の電子を、電解質中のLiカチオンから分離するのであれば、さらなる電解質の還元は不可能である。
このメカニズムは周知であり、同様のメカニズムをカソードに適用する試みがなされてきた。多くの研究はカソード表面で分解してカソードSEIを形成する電解質の添加剤に焦点をあてていた。しかし、高度に酸化された(つまり脱リチウム化された)カソードと接触して高電圧でSEIを形成する電極添加剤についての探求は成功していないか、または部分的に成功しているにすぎない。
明らかに、電子絶縁性カソード材料は、この問題を解決するであろう。電子絶縁性のカソード材料が、首尾よくサイクルさせることができたなら、高電圧安定性を期待することができる。というのも、電解質の酸化は、電子がカソードに供給されることを必要とするからである。しかし一般にこれまでは、そのような絶縁カソードは、良好な電気化学的性能を有し得ないであろうと推測されていた。
本発明は、
1)絶縁性カソードは高い電圧安定性を有することができる、および
2)それにもかかわらず極めて良好な電気化学的性能を示す絶縁カソードを作成することは可能である
という発見に基づいている。
従って、以下に開示するような、カソードの圧縮粉末の例は、極めて低い導電性を示し、これは実質的に良好な絶縁体である。しかし意外にも、このカソードは良好な電気化学的性能を示す。さらに、測定によってカソード粒子のバルクは導電性であり、他方、表面が絶縁性であることが示された。
1つの実施態様では、良好な性能を達成するために、リチウム金属酸化物粉末粒子は、以下の特性を有していてよい:
1)コアシェル構造、この場合、シェルは電子絶縁性であり、かつコアは電子伝導性である、
2)コア全体を完全に覆うことがない絶縁性シェル、一般に50%よりはるかに大きく100%未満、および
3)主として遷移金属からなるシェル。
WO2008−092568には、Mn島により被覆されたLiCoO2の製造方法が開示されている。本発明の1つの方法の実施態様の例では、このようなMn島により被覆されたLiCoO2粉末を製造しているが、しかし、最小限の導電性を達成するために、Li:金属の比率の微妙な調整が必要である。第一にLiCoO2前駆体が、遷移金属源、たとえば混合された水酸化物MOOH(M=Mn−Ni−O)、およびLi源、たとえばLi2CO3とが混合される。LiCoO2中の遷移金属対MOOH中の金属の比率は、たとえば0.95:0.05〜0.8:0.2である。焼成工程の後に、島により被覆されたLiCoO2が得られる。典型的な焼成温度は、1000℃である。得られた島は、マンガン分が多く、他方、マンガンはLiCoO2のバルク中では見あたらない。この配合物に添加されるLiの量は、焼成された最終試験体の導電性によって決定される。これは、できる限り低い導電性を達成するために、どれほどのLiをLi2CO3として添加すればよいのか、単に測定することによって確立することができ、以下の実施例において詳細に説明する。1つの実施態様では、Li2CO3は全く添加されない。
本発明のさらなる重要な側面は、粒子の内側のコアが、外側の領域よりも高い導電性を有していることである。本発明の典型的な具体化では、外側は、内側の領域よりもマンガンが富化されている。LiCoO2粒子の外側が、非導電性のシェルによって被覆されているにもかかわらず、高い電気化学的性能が観察された。
本発明のカソードの形態の1つの例は、以下の通りである:比較的導電性のコアは多くの場合、ただし100%ではないが、絶縁性シェルによって被覆されている。さらに、絶縁性シェルは、金属組成が、少なくとも95%のコバルト、マンガンおよびニッケルを含有する遷移金属酸化物からなっていてもよい。
しかしコアシェル構造の存在は、発明の1つの実施態様にすぎず、これは特に少なくとも10μm、または少なくとも20μmの広い平均粒径を有する粉末において観察される。特許請求の範囲に記載の方法によって、得られる構造とは無関係に、できる限り低い導電性が得られる。Li:金属の配合比を変更することによって、異なった導電性を有するカソードが得られる。1つの実施態様によるLi:金属比は、最小の導電性を生じる比である。高電圧安定性カソードは、Li:金属比の関数としての最小の導電性を有するカソード材料である。
本発明を、たとえば以下に記載する異なった実施例により詳細に説明する。
例1:
この例は、導電性が低減するにつれてサイクル安定性が改善されることを示している。改善された安定性および導電性の低減は、Li:金属比を最適化することによって達成される。
LCO−1の製造:0.25モル%のチタンおよび0.5モル%のマグネシウムによりドープされたCo(OH)2の調製物は、パイロットラインで、LiCoO2の前駆体として製造される。チタンおよびマグネシウムによりドープされたLiCoO2(LCO−1と表示)は、標準的な高温固相合成を用いて、前駆体とLi2CO3とを混合することによって得られ、平均粒径25μmが得られる。
島により被覆されたLCO−1の製造:カソード粉末材料は、95質量%のチタンおよびマグネシウムによりドープされたLiCoO2(LCO−1と表示)と、5質量%の、MOOHの混合された遷移金属オキシ水酸化物(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)および規定量のLi2CO3、またはLi2CO3は用いずにこれらを混合することにより製造される。例1a、1bおよび1cを、第1表に記載のとおりに製造し、かつ十分に混合して均一な原料混合物を製造する。この混合物を、アルミナるつぼに装入し、かつ1000℃で8時間、一定の空気流の下で加熱する。冷却後、得られる粉末を篩分けし、4プローブDC導電性により特性決定し、かつさらに電気化学的な特性決定のためにコイン電池に装着する。
第2表は、例1a、1bおよび1c、ならびにLCO−1の適用圧力63MPaにおける導電性および電気化学的性能をまとめたものである。LCO−1および例1aのSEM画像が図1に示されている。これらの2つの生成物の形態は極めて異なっている。LCO−1は、平滑な表面を有し、凝集していない粒子を有している一方で、例1aは、LiCoO2粒子の表面に粒子状の島により被覆を有している。
導電性および4.5Vでのサイクル安定性との関係は図2に示されている。被覆された試験体(つまり例1a〜1c)の導電性は、被覆されていないLCO−1のものよりも3〜4桁低い。LCO−1の電気化学的特性、たとえば放電容量、レート性能、容量損失およびエネルギー損失率は、極めて劣っている。例1a〜1cは、LCO−1との比較において、これらの特性の劇的な改善を特徴付けている。例1a〜1cに関して、導電性はリチウムの添加によって増大している。同時に、容量損失およびエネルギー損失の両方が改善される。抵抗性の低減は、被覆した試験体および被覆していない試験体の両方に関して、4.5Vで安定性の改善と十分に相関している。
例1a、bおよびcは、絶縁性であり、かつ本発明の実施態様の例である。
この例および以下の全ての例において、電気化学的性能は、コイン電池において試験し、その際、Liシートを25℃で六フッ化リチウム(LiPF6)タイプの電極中での対向電極として用いる。活性材料の負荷量は、10〜12mg/cm2の範囲である。電池を4.3Vで充電し、かつ3.0Vで放電して、レート性能および容量を測定する。高電圧放電容量および延長されたサイクルにおける容量保持率を、4.5Vまたは4.6V(例3〜4および9)の充電電圧で測定する。
比容量160mAh/gを、放電レートの決定のために選択する。たとえば、2Cでの放電に関して、比電流320mA/gを使用する。
これは、この記載におけるコイン電池および完全型電池の全てにおいて使用される試験の概要である。
以下の定義をデータ分析のために使用する(Q:容量、D:放電、C:充電)。
放電容量QD1は、0.1Cで4.3〜3.0Vの範囲における最初のサイクルの間に測定される。
不可逆容量Qirrは、(QC1−QD1)/QC1(%)である。
レート性能:それぞれ0.2、0.5、1、2、3CでのQD対0.1CでのQD。
100サイクルあたりの損失レート(0.1C)、容量に関する:(1−QD31/QD7)×100/23。
100サイクルあたりの損失レート(1.0C)、容量に関する:(1−QD32/QD8)×100/23。
エネルギー損失率:放電容量QDに代えて、放電エネルギー(容量×平均放電電圧)を使用する。
例2:
この例は、島により被覆されたLiCoO2のサイクル安定性が、被覆されていないLiCoO2のものよりもはるかに高いことを示しており、この場合、同時にその導電性は、約5桁低い。この例は、島により被覆されたLiCoO2のサイクル安定性が、固有導電性の低減と共に増大することの明らかな証拠を提供するものである。
LCO−2の製造:LiCoO2のための前駆体として、1モル%のマグネシウムドープされたCo(OH)2を、パイロットラインで製造する。マグネシウムドープされたLiCoO2(LCO−2と表示)は、標準的な高温固相合成により、前駆体とLi2CO3とを混合することにより得られ、平均粒径25μmが達成される。
LCO−3の製造:1モル%のマグネシウムドープされた四酸化コバルト(Co34)粉末を、LiCoO2の前駆体として使用する(Umicore(韓国)の市販品)。マグネシウムドープされたLiCoO2(LCO−3と表示)は、標準的な高温固相合成により前駆体とLi23とを混合することにより得られ、平均粒径25μmが達成される。
島により被覆されたLCO−2およびLCO−3の製造:カソード粉末材料を、95質量%のLCO−2またはLCO−3と、5質量%のMOOHの混合された遷移金属オキシ水酸化物(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)および規定量のLi2CO3とを混合することによって製造する。例2a、2bおよび2cは、LCO−2から得られたものであり、かつ例2d、2eおよび2fは、LCO−3から、第1表に記載の前駆体含有率に従って、かつ均一な原料混合物を製造するために十分に混合して製造されたものである。
混合物をアルミナるつぼに装入し、一定の空気流下に、1000℃で8時間加熱する。冷却後、得られる粉末を篩分けし、かつ4プローブDC導電性を用いて特性決定し、かつさらに電気化学的特性決定のためにコイン電池中に装着する。第4表は、63MPaの適用電圧下での導電性、および例2a〜2fおよびLCO−2およびLCO−3の電気化学的性能(試験プロトコルは例1に記載したとおり)をまとめたものである。LCO−3および例2dのSEM画像は、図3に示されている(同様の結果が、LCO−2系列に関しても得られている)。2つの生成物の形態は、著しく異なっている:LCO−3は、平滑な表面を有する、凝集していない粒子を有している一方で、例2dは、LiCoO2粒子の表面に、粒子状の島により被覆を示している。
導電性と、4.5Vでのサイクル安定性との関係は、図4に記載されている。島により被覆された試験体(つまり例2a〜2f)の導電性は、被覆されていないLCO−2およびLCO−3のものよりも5〜6桁低い。LCO−2およびLCO−3の電気化学的特性、たとえば放電容量、レート性能、容量損失およびエネルギー損失率は、極めて劣っている。例2a〜2fは、LCO−2およびLCO−3と比較したこれらの特性の劇的な改善を特徴付けている。例2a〜2cおよび2d〜2fに関して、導電性はリチウムの添加により増大する。同時に、容量損失およびエネルギー損失率の両方が損なわれる。抵抗性の低減は、被覆された試験体および被覆されていない試験体の両方に関して4.5Vでの安定性の改善と十分に相関している。例2a〜fは絶縁性であり、かつ本発明の実施態様の例である。
例3:
この例は、島により被覆された、電気絶縁性特性を有するLiCoO2が、完全型電池中で、より優れたサイクル安定性を有することを示している。
例3(Ex3)の製造:Ex3は、LCO−3およびMOOH(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)の95:5のモル比の混合物を焼結し、かつ適切な炭酸リチウムを添加することによりパイロット製造ラインで製造され、かつ5×10-8S/cm未満の導電性が達成される。Ex3の平均粒径は、25μmである。この場合、適用される63MPaの圧力の下での導電性は、3.94×10-8S/cmと測定される。Ex3のコイン電池の、4.5Vおよび4.6Vでの性能は、第5a表に記載されており、かつ優れた電気化学的性能を示している。
圧縮密度は、得られた粉末に1.58トン/cm2を適用して測定される。Ex3の圧縮密度は、3.82g/cm3である。
Ex3を、10μmのポリエチレンセパレータを使用し、六フッ化リチウム(LiPF6)タイプの電極中、グラファイトタイプのアノードを対向電極として備えたLiイオンポリマー電池(LiPB)中、25℃で試験する。形成後、LiPB電池を、4.35V(または4.40V)および3.0Vの間で500回サイクルさせ、延長されたサイクルの間での容量保持率を測定する。比容量800mAhは、充電および放電レートの決定に関して推測される。充電は、CC/CVモードで1Cレートにおいて、40mAのカットオフ電流を使用して行い、かつ放電は、1Cで、CCモードにおいて3Vまで行った。
高電圧(4.35V)および極めて高い電圧(4.4V)におけるEx3のサイクルにおける放電容量の損失は、それぞれ図5aおよび5bに記載されている。Ex3の寿命性能は、標準的なLiCoO2(平均粒径17μmを有するUmicoreの大量生産品)と比較し、そのデータは図6に示されている。この標準的なLiCoO2の導電性は、9.0×10-2S/cmである。
完全型電池での試験により、Ex3は、低い導電性と共に、標準的なLiCoO2と比較してより優れたサイクル安定性を有していることが確認される。500回のサイクルの終了時に、Ex3は、4.35Vおよび4.40Vの両方の当初の性能の85%の可逆容量を特徴付けており、その際、4.35Vでの標準LiCoO2に関しては200回のサイクル後の早い時点で85%へ低下していた。
例4:Al23被覆されたLiCoO2
この例は、導電性が低減するにつれてサイクル安定性が改善されることを再度示すものである。安定性の改善は、被覆によって達成することができる。しかし、十分に低い導電性の値は達成されず、低い値に近づくにつれて、可逆容量が損なわれる。
LiCoO2前駆体(LCO−4)は、1モル%のMgドープされたLiCoO2(Umicoreの大量生産品)である。これは、約17μmの粒径分布のd50を有するポテト型の粒子を有している。LiCoO2前駆体から、同時に継続している出願であるEP10008563に開示されている、大量生産式の被覆法により3つの試験体を準備する。この被覆法により、微細なAl23粉末が、表面に付着され、引き続き500℃を上回る緩和な熱処理によりAl23粉末と、LiCoO2(LCO−4)の表面とを反応させる。
3つの試験体(比較例4a、比較例4b、比較例4c)は、異なったレベルのAl被覆を有している。比較例4aは、0.05質量%のAlを、比較例4bは、0.1質量%、および比較例4cは、0.2質量%を含有している。導電性の結果は、第5b表に記載されている。アルミニウム被覆された試験体は、被覆されていないLCO−4よりも低い導電性を有しており、被覆されている試験体に関して、導電性は、Al被覆の厚さと共に連続的に低下する。
電気化学的性能(容量、レート、4.5Vでのサイクル安定性)は、コイン電池中で試験する。被覆されていない試験体は、極めて劣った安定性を有している。被覆されている試験体は、極めて良好な安定性を有しており、第6表がその結果を示している。放電容量は4.5〜3.0Vであり、これは前に与えられたサイクルスケジュールのサイクル7から得られたものである。サイクル安定性の明らかな改善が、サイクル安定性の測定法とは無関係に、被覆レベルの増大と共に観察される。しかし、同時に電気化学的性能(容量、レート)は、Al23被覆厚さが増大すると共に損なわれる。
図7は、導電性の関数としての容量と、4.5Vでのサイクル安定性の結果をまとめたものである。上の図面では、容量(三角印)およびエネルギー(黒塗りの丸印)の両方の損失が、導電性に対してプロットされている。下の図面では、放電容量が、導電性に対してプロットされている。導電性の低下に関して、4.5Vでのより良好な高電圧安定性が得られていることが明らかに観察される。しかし、同時に、可逆容量が損なわれる。従って、アルミナ被覆されたLiCoO2の場合には、導電性の低減によるサイクル安定性のさらなる改善は、電気化学的な性能を失うことなしでは困難である。さらに、4.6Vでの電気化学的な特性は、アルミニウム被覆のレベルとは無関係に、例3と比較して極めて低い。
例5:
この例は、島により被覆されたLiCoO2が、電子絶縁シェルを有しており、より優れたサイクル安定性と電子伝導性コアとをもたらすことを示すものである。
例5aの試験体は、95:5のモル比での、平均粒径23μmを有する大量生産品の1モル%のマグネシウムドープされたLiCoO2(LCO−5と記載)と、MOOH(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)とを焼結し、かつ適切な炭酸リチウムを添加することによりパイロットラインで製造され、1×10-7S/cm未満の導電性が達成される。Ex5aの圧縮密度は、3.87g/cm3である。
比較例5bの製造:例5a 30g、および1cmの直径のジルコニウムボール400gとを、1Lのビンに入れ、Turbulaミキサーを用いて12時間振とうした。製造された粉末をそのままで回収してその後の試験に使用する。
LCO−5および例5aおよび比較例5bのSEM画像は、図8に記載されている(それぞれ2つの異なった倍率で示されている)。生成物の形態は極めて異なっている。LCO−5は、平滑な表面を有し、凝集していない粒子を有している一方で、例5aは、LiCoO2粒子の表面に、粒子状の島により被覆を示している。比較例5bのSEM画像は、ボール転動処理により、島により被覆された粒子は破壊されることを明らかに示している。例5aおよび5bの乾燥媒体中でレーザー回折法を用いて測定した粒径分布は、図9に記載されている。ボールミルにより処理された試験体の粒径分布は、平均粒径が、23μmから10μmへと劇的に低減することを示しており、かつ微粒子フラクションの増大が明らかに確認される。ボールミル処理は、明らかに粒子を破壊し、その結果、コア材料の実質的な曝露につながる。このコア材料は未処理のLCO−5に匹敵する導電性を有している。従って、例5aのコアは、>1×10-3S/cmの導電性を有しており、他方、シェルは、1×10-7S/cm未満の導電性を有していることが示されている。PSDは、比較的粘着性の粉末の緩やかな凝集に起因する大きな粒子が少量存在することも示している。
25℃で、適用圧力63MPaでの例5aの導電性は、7.13×10-8S/cmと測定され、これは被覆されていないLCO−5のものよりも6桁小さい。ボールミル処理された比較例5bは、5aと比較して、導電性が5桁増大していることを特徴付けている。この結果は、シェルと比較してコアの導電性が高いことを裏付ける証明になるものである。
例5a、および比較例5b、およびLCO−5の、コイン電池による試験性能および導電性は、第7表に記載されている。前記で例1および2に示したように、例5aの(3.0〜4.5Vの間での)容量およびエネルギーの損失率は、被覆されていないが、同時に導電性が低減されているLCO−5と比較して著しく改善されている。比較例5bの試験体の電気化学的性能は、実質的に損なわれており、これは電子絶縁シェル構造が消失したことに起因するものであると考えられる。
比較例6:
この例は、従来技術による遷移金属ベースの酸化物カソード材料は、低い導電性および良好な高電圧安定性を同時にを達成することができないことを示すものである。複数の市販の製品(Umicore(韓国)社製)の、導電性および電気化学的性能は、第8表にまとめられている。これらの材料は、一般組成Li1+x1-x2(x≒0.05、比較例6aに関しては、M=Ni0.5Mn0.3Co0.2、比較例6bに関しては、M=Ni1/3Mn1/3Co1/3、および比較例6cに関してはM=Ni0.8Co0.15Al0.05)を有する。一般に、LiCoO2の導電性は、そのリチウムの化学量論に対して極めて敏感であり、かつリチウム過剰によって増大することが受け入れられている。Levasseurの、論文#2457(Bordeaux University、2001年)には、リチウムが化学量論的に過剰のLiCoO2と、化学量論のものとの間には、室温で導電性において2桁の違いが存在することが報告されている。M.Menetrier、D.Carlier、M.BlangeroおよびC.Delmasの、Electrochemical and Solid−State Letters、11(11)A179〜A182(2008)は、複雑な高化学量論のLiCoO2を製造する方法が報告されている。この高化学量論LiCoO2試験体の製造を再現し、比較例6dを製造するために使用する。
さらに、圧縮密度を測定した。というのは、高圧縮密度がハイエンドユース用電池におけるカソードの適用にとって重要だからである。比較例6a〜6dの圧縮密度は、本発明の実施例の実施態様よりも少なくとも0.4g/cm3低く、これらの材料をハイエンドユース用電池にとって不適切なものとしている。実地で達成可能な体積エネルギー密度(固定された電池設計の固定された体積において達成される容量を意味する)は、依然としてわずかに低いままである。さらに、これらのカソード材料は、10-5S/cmを上回る導電性を特徴付けている。これは本発明のいくつかの実施態様のカソード材料の例の導電性よりも少なくとも2〜3桁大きい。
参照例7:
この例は、公知の遷移金属ベースの酸化物が、10-5S/cmより低い導電性を有することができ、かつ電気絶縁性遷移金属ベースのシェルの存在を裏付けることができることを示すものである。
市販のMnOOH(中央電気工業株式会社、REX7aと表示)、市販のTiO2(コスモケミカルKA300、REX7bと表示)、市販のFe23(Yukari Pure Chemicls Co.、REX7cと表示)、および市販のCo34(Umicore、REX7dと表示)の導電性を測定する。その結果は第9表に記載されている。
これらの材料はすべて、10-5S/cmより低い導電性を特徴付けている。これらの導電性は、本発明の電子絶縁性カソード材料の導電性と同じ範囲であり、かつ電気絶縁性を有する遷移金属ベースのシェルの例を提供するものである。
比較例8:
この例は、良好な性能を有する絶縁性カソード材料を、遷移金属をベースとしていない無機被覆により達成することが極めて困難であるか、または不可能であることを示すものである。LiFは、非遷移金属の無機金属被覆のための適切な例である。緻密で完全に被覆されたLiF表面は、PVDFベースの製造経路によって達成することができる。そのメカニズムの詳細は、同時に係属している出願のPCT/EP2010/006352に記載されている。導電性を顕著に低下させるためには薄すぎる被覆層であっても、Li拡散を妨げる。電気絶縁性シェルは、十分なイオン伝導性を有している必要がある。シェルが遷移金属ベースでない場合(LiF被覆の場合)、イオン伝導性は低すぎ、カソードは十分に作用しない。
LiF被覆されたLiCoO2は、以下の方法で製造する:リチウムコバルト酸化物材料の製造試験体をカソード前駆体として使用する。その組成は、平均粒径17μmを有する、1モル%のMgドープされたLiCoO2である。この前駆体粉末1000gおよびPVDF粉末10g(1質量%)を、Henschelタイプのミキサーを使用して慎重に混合する。同様にして、3分の1の量のPVDF(0.3質量%)を使用して、別の試験体を製造する。最終的な試験体(150g)は、空気中での熱処理により製造する。300℃および350℃で9時間の熱処理の間に、当初、PDVFが溶融し、かつ表面を完全に濡らすこととなる。次いでPVDFの分解が進行し、かつフッ素がリチウムと反応して緻密なLiF層が形成される。1質量%のPVDFは、約3モル%のLiFに相応する。
LiF層は、300℃で完全に発達する(比較例8b)。コイン電池試験は、極めて低い性能を示している。容量は極めて小さく、かつ極端な極性化が観察される。これらの結果は、劣ったコイン電池調製物の結果ではなく(2つの電池が同一の結果を示している)、別の試験体を用いて数回再現されている。はるかに少ないPVDFを使用する場合(0.3質量%)、完全な容量が達成されるが、しかし試験体は依然として極端な極性化を示す(比較例8d)。しかし、被覆層が低い導電性を達成するためには薄すぎるか、または弱すぎる。劣ったサイクルデータは、150℃で製造した試験体(1質量%のPVDFを使用:比較例8a)と比較することができ、この場合、PVDFは溶融するが、反応しないのでLiFの形成は生じず、かつその結果として、はるかに高い容量とレート性能が達成される。第10表は、そのデータをまとめたものであり、かつ図10は、第一の充電・放電(C/10レート)を比較している。似たような結果が、その他の無機遷移金属不含の被覆においても得られる。明らかに、LiFの無機層は、完全に表面を閉じているので、Liは、電解質の固体界面をわたって浸透することができない。この状況は、本発明の実施態様では全く異なっており、この場合、絶縁性シェルは、高いイオン伝導性を有しており、これは大きなレート性能によって証明されている。
例9
この例は、島により被覆されたマグネシウムおよびアルミニウムドープされ、電子絶縁性特性を有するLiCoO2が、コイン電池中で、優れたサイクル安定性を有することを示すものである。
例9(Ex9)の製造
1モル%のマグネシウムおよび1モル%のアルミニウムドープされた、四酸化コバルト(Co34)粉末を、LiCoO2のための前駆体として使用する(Umicore(韓国)からの市販品)。マグネシウムおよびアルミニウムドープされたLiCoO2(LCO−6と表記)は、標準的な高温固相合成を用いて、前駆体とLi2CO3とを混合することによって得られ、20μmの平均粒径が達成される。Ex9は、95:5のモル比でのLCO−6とMOOH(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)とを焼結し、かつ適切な炭酸リチウムを添加することによりパイロットラインで製造され、5×10-8S/cm未満の導電性が達成される。Ex9の平均粒径は20μmである。この場合、63MPaの適用電圧下での導電性は、4.40×10-8S/cmと測定される。Ex9のコイン電池の性能は、第11表に記載されており、優れた電気化学的特性を示している。
圧縮密度は、得られた粉末に1.58トン/cm2を適用して測定される。圧縮密度は高く、3.82g/cm3であり、この高い値は、良好な電気化学的性能と共に、これらのカソードがハイエンドユース用電池にとって優れた候補であることを示している。
例10:高レート性能材料
高レート性能材料は、高い電子伝導性とイオン伝導性とを組み合わせたものであるべきであることが受け入れられている。後者は通常、粒径を低減し、かつ粒子の比表面積(BET)を増大して、粒子内でのリチウムの拡散を容易にすることにより達成される。しかし比表面積の増大は、電解質の酸化を促進し、安全性の問題を生じるために望ましいことではなく、その実地での適用をさらに限定するものである。
この例は、同時焼結されるLiCoO2のレート性能および高電圧安定性を示すものであり、前記の例よりも小さい粒径を特徴とし、導電性が低減する場合に増大し、その際、同時にBET値は、1m2/gであってよく、かつこの場合、0.4m2/gであってよい。同時焼結されたLiCoO2の強化された性能は、リチウムの化学量論を制御することにより達成される。
LCO−10の製造:LiCoO2(LCO−10と表記)は、標準的な高温固相合成を用いて、Co34とLi2CO3とを混合することにより得られ、6.1μmの平均粒径が達成される。
例10の製造:最終的なカソード粉末材料は、95.3質量%のLiCoO2(LCO−10)と、4.70質量%のMOOHの混合された遷移金属オキシ水酸化物(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)およびあらかじめ規定された量のLi2CO3とを混合することにより製造される。例10a、10b、10cおよび10dは、第12表の記載に従って製造され、かつ十分に混合して均一な原料混合物を製造する。この混合物をアルミナるつぼに装入し、かつ1000℃で8時間、一定の空気流下で加熱する。冷却後、得られる粉末を分級して最終的な平均粒径6.6μmが達成される。粉末の特性を測定し、第13表に記載する。
カソード材料をさらに、電気化学的特性決定のためにコイン電池に装着した。カソード電極の活性材料負荷量は、約4mg/cm2である。この例において、および以下では、放電レート電流を決定するために、10Cおよび20Cレート性能を4.4Vで、160mAh/gの比容量を使用して測定した。これらの試験のパラメータは以下に記載されている:
データ分析に関して以下の定義を使用する:Q:容量、D:放電、C:充電、その後ろの数字はサイクル回数を示す数字である。
−初期の放電容量DQ1は、0.1Cにおいて、4.4V〜3.0Vの範囲での最初のサイクルの間に測定される、
−レート性能は、DQi/DQ1×100であり、その際、レートは、i=2に関しては1C、i=3に関しては5C、i=4に関しては10C、i=5に関しては15C、およびi=6に関しては20Cである、
−不可逆容量Qirr(%)は、(CQ1−DQ1)/CQ1×100である、
−100サイクルあたりの1Cにおける容量損失レートQfad.は、(1−DQ56/DQ7)×2である、および
−エネルギー損失率:放電容量QDに代えて、放電エネルギー(容量×平均放電電圧)を使用する。
第14表は、4.4Vでの例10a〜10d、およびLCO−10のレート性能をまとめたものである。導電性との関数としての例10a〜10d、およびLCO−10の20Cのレート性能の評価は、図11に示されている。
導電性の低減に関して、より良好な10Cおよび20Cレート性能が得られていることが明らかに観察される。例10a〜10dの20Cでの平均放電電圧は、LCO−10と比較して、少なくとも0.1V顕著に増大する。10Cおよび20Cのレート容量の増大、および20Cの平均放電電圧の増大を特徴付ける材料は極めて望ましい。というのは、これらはより高い電気エネルギー(Wh/g)を生じるからであり、かつ高い圧縮密度と組み合わされると、より高い体積エネルギー(Wh/L)を生じるからである。例10a〜10dに例示されているようなこのような材料は、高電力を要求する適用、たとえば電動車両および電動ツールのための好適な候補である。
例10a、10c、および10d、ならびにLCO−10の高電圧性能は、第15表に示されている。
導電性と、1Cでの4.5Vにおけるエネルギー損失率との関係は、図12に記載されている。例10a〜10dの導電性は、初期状態のLCO−10のものよりも3〜4桁小さい。例10a〜10dの高電圧1Cレート性能、容量損失およびエネルギー損失率は、LCO−10と比較して劇的に改善される。例10a〜10dに関して、導電性はリチウムの添加により増大する。同時に、容量損失およびエネルギー損失率の両方が損なわれる。抵抗性の低減は、4.5Vの安定性の改善およびレート性能と十分に相関する。例10a、b、cおよびdは、絶縁性材料であり、かつ本発明の実施態様の例である。
例11:高レート性能材料
この例は、同時焼結されたLiCoO2のレート性能および高電圧安定性は、導電性が低減し、同時にBET値が1m2/gより低く、かつこの場合には0.4m2/gより低い場合に増大することを示すものである。例11の強化された性能は、リチウムの化学量論を制御することにより達成される。
例11の製造:カソード粉末材料は、95.3質量%のLiCoO2(LCO−10)と、4.70質量%のMOOHの混合された遷移金属オキシ水酸化物(M=Ni0.55Mn0.30Co0.15)と混合することにより製造される。炭酸リチウムの添加は、10-7S/cm未満の導電性を達成するために決定される。混合物50kgを、十分に混合して均一な配合物を形成し、アルミナるつぼに装入し、かつ次いで1000℃で8時間、一定した空気流の下で加熱する。冷却後、得られる粉末を分級して、最終的な平均粒径6.6μmが達成される。例11の圧縮密度は、3.4g/cm3である。粉末の特性を測定し、かつ第16表に記載する。
カソード材料をさらに、コイン電池中に装着し、電気化学的特性決定を行った。第17表は、4.4Vにおける例11およびLCO−10のレート性能をまとめたものである。
導電性の低減に関して、より良好な10Cおよび20Cレート性能が得られることが明らかに観察される。例11の20Cでの平均放電電圧は、LCO−10と比較して、少なくとも0.16V顕著に増大する。
例11の4.6Vおよび4.5Vの高電圧性能は、第18表に示されている。例11の導電性は、初期状態のLCO−10よりも3〜4桁低い。例11の高電圧の1Cレート性能、容量損失およびエネルギー損失率は、LCO−10と比較して劇的に改善されている。
例11の抵抗性の低減は、4.6Vおよび4.5Vの安定性改善および10Cおよび20Cレート性能の増大と十分に相関している。例11は、絶縁性カソード材料であり、かつ本発明の実施態様の例を提供するものである。
上記では、本発明の特定の実施態様および/または詳細を示し、かつ記載して本発明の原理の適用を説明してきたが、本発明は、特許請求の範囲により詳細に記載されているとおりに、または当業者に公知のその他の方法によっても(任意の、および全ての等価物を含めて)実施することができるものであると理解すべきであり、そのような実施によって本発明の原理から離れるものではない。

Claims (8)

  1. 再充電可能な電池におけるカソード材料として使用するためのリチウム金属酸化物粉末を製造する方法であって、以下の工程:
    LiCoO2粉末と、
    Li−Ni−Mn−Co酸化物、または
    Ni−Mn−Co含有粉末、およびLi含有化合物、
    のいずれかとの混合物であって、90質量%以上のLiCoO2粉末を含有している混合物を準備する工程、および
    該混合物を少なくとも910℃の温度Tで1〜48時間の時間tにわたって焼結する工程を有し、この場合、混合物中のLi含有化合物の量は、25℃においてC/10の放電レートで3.0〜4.5V対Li + /Liでサイクルが行われるカソード中の活物質として使用した場合に少なくとも180mAh/gの可逆電極容量を有し、かつ25℃において63.7MPaで圧縮した場合に10-5S/cm未満の導電性を有する絶縁性リチウム金属酸化物粉末が得られるように選択される、リチウム金属酸化物粉末を製造する方法。
  2. 絶縁性リチウム金属酸化物粉末の導電性が、10-6S/cm未満である、請求項記載の方法。
  3. 絶縁性リチウム金属酸化物粉末の導電性が、10-7S/cm未満である、請求項記載の方法。
  4. 混合物が、LiCoO2粉末と、Ni−Mn−Co水酸化物、Ni−Mn−Coオキシ水酸化物、Ni−Mn−Co酸化物、Ni−Mn−Co炭酸塩、およびNi−Mn−Coオキシ炭酸塩のいずれか1種もしくは複数種とからなっている、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
  5. LiCoO2粉末がさらにAl、MgおよびTiのいずれか1種もしくは複数種を含有しており、かつドープされたCo前駆体、およびLi前駆体の混合物を焼結することにより製造される、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
  6. ドープされたCo前駆体が、Al、MgおよびTiのいずれか1種もしくは複数種によりドープされたCo(OH)2またはCo34から選択される、および/またはLi前駆体が、Li2CO3である、請求項記載の方法。
  7. Ni−Mn−Co前駆体粉末がさらにTiを含有しているか、またはLiCoO2粒子がTiによりドープされている、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
  8. Ni−Mn−Co前駆体粉末が、Tiを100nm未満のd50を有するTiO2粒子の形で含有している、請求項記載の方法。
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