JP5645529B2 - セラミックヒータおよびこれを備えたグロープラグ - Google Patents

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Description

本発明は、セラミックヒータおよびこれを備えたグロープラグに関する。詳しくは、本発明は石油ファンヒーターの着火用ヒーターなどに使用されるセラミックヒータ、またはその他の加熱に用いられるセラミックヒータおよびディーゼルエンジンの始動促進などに使用されるグロープラグに関する。
絶縁性セラミックスからなる棒状のセラミック基体の先端側に、導電性セラミックス等からなるU字状の発熱抵抗体を埋設し、この発熱抵抗体の陰極側と電気的に接続された第1の電極引出部をセラミック基体の側面に引き出して金属製外筒(金属管)に接続するとともに、発熱抵抗体の陽極側と電気的に接続された第2の電極引出部をセラミック基体の後端に引き出して電極取り出し金具の一端に接続するようにしたセラミックヒータおよびこれを備えたグロープラグが知られている。
そして、金属製外筒がセラミック基体の側面に引き出された第1の電極引出部とロウ付けにより電気的に接続されるとともに、電極取り出し金具がセラミック基体の後端に引き出された第2の電極引出部とロウ付けにより電気的に接続された構成のグロープラグが提案されている(特許文献1を参照)。
特開2002−122326号公報
近年、排気ガスの規制に対応するため、ディーゼルエンジンの燃焼方式が、シリンダヘッドに設けられた副燃焼室内に燃料の噴射を行う副室式から、直接シリンダ内に燃料を噴射する直接噴射式に移行してきている。このような直接噴射式のディーゼルエンジンに用いられるグロープラグは、シリンダヘッドの壁面に設けられた貫通孔から一部が主燃焼室に突出するように配置される。ここで、シリンダヘッドの強度を確保するために貫通孔を細くする必要があることから、副室式のディーゼルエンジンに用いるグロープラグに比べて細径にすることが要求される。また、細径にすることによって、金属管とセラミック基体の側面に引き出された第1の電極引出部とのロウ付け部近傍の温度がより高温になることから、これまで以上にロウ付け部近傍の高温下での通電耐久性が望まれている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、金属管をロウ付けするロウ付け部近傍における高温下での通電耐久性に優れたセラミックヒータおよびこれを備えたグロープラグを提供することを目的とする。
本発明のセラミックヒータは、棒状のセラミック基体と、該セラミック基体の内部に埋設された発熱抵抗体と、該発熱抵抗体と電気的に接続され、一端が前記セラミック基体の側面に引き出されるように前記セラミック基体の内部に埋設された第1の電極引出部と、前記セラミック基体の側面の前記第1の電極引出部を含む部位に周方向に形成されたメタライズ層とを備え、該メタライズ層を覆うように前記セラミック基体の外側に金属管が設けられて前記メタライズ層と前記金属管とが接合されるセラミックヒータであって、前記メタライズ層は、前記第1の電極引出部に接合して形成された活性金属を含む第1メタライズ層と、前記第1の電極引出部との接合部以外の部分に形成されたガラスを含む第2メタライズ層とからなるとともに、前記第1メタライズ層が前記第2メタライズ層よりも前記発熱抵抗体の最も発熱する発熱部から遠ざかる側である前記セラミック基体の後方に位置することを特徴とするものである。
また、本発明のセラミックヒータは、上記構成において、前記第2メタライズ層が前記セラミック基体の側面の全周にわたって環状に形成されていることを特徴とする。
また、本発明のセラミックヒータは、上記構成において、前記第1メタライズ層が前記セラミック基体の側面の全周にわたって環状に形成されていることを特徴とする。
また、本発明のセラミックヒータは、上記構成において、前記第1メタライズ層と前記第2メタライズ層との境界部において、前記第2メタライズ層が前記第1メタライズ層の上側に重なるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明のセラミックヒータは、上記構成において、前記第1の電極引出部が前記セラミック基体の後方に配置されており、前記メタライズ層が前記第1の電極引出部から前記セラミック基体の先方に向かって形成されていることを特徴とする。
本発明のセラミックヒータによれば、活性金属を含む第1メタライズ層のセラミック基体および第1の電極引出部との反応性および密着性が高いことから、メタライズ層が第1の電極引出部から剥離し難くなり、高温使用時の第1の電極引出部の耐久性が向上する。また、第1の電極引出部との接合部以外の部分に形成されたガラスを含む第2メタライズ層は柔らかい材料であって高温時の応力発生を軽減できることから、低温−高温繰返しによるセラミック基体へのダメージ(マイクロクラック)を抑制することができる。さらに、第1メタライズ層をセラミック基体の後方に配置することで、最も発熱する発熱部(発熱抵抗体の先端側)からの熱影響が小さくなり、第1メタライズ層を剥離し難くして高温下での使用に対する第1の電極引出部の耐久性を向上させるとともに、熱応力の発生を軽減することができる。
本発明のセラミックヒータの一実施形態の概略断面図である。 図1に示すセラミックヒータの要部拡大図である。 本発明のセラミックヒータの一実施形態の概略側面図である。 本発明のセラミックヒータの他の実施形態の概略側面図である。 本発明のセラミックヒータの他の実施形態の概略側面図である。 本発明のセラミックヒータの他の実施形態の概略側面図である。
本発明のセラミックヒータの実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明のセラミックヒータの一実施形態の概略断面図であり、図2は図1に示すセラミックヒータの要部拡大図である。
図1に示すセラミックヒータ1は、棒状のセラミック基体2と、セラミック基体2に埋設された発熱抵抗体3と、発熱抵抗体3と電気的に接続され、一端がセラミック基体2の側面に引き出されるようにセラミック基体2に埋設された第1の電極引出部41と、セラミック基体2の側面の第1の電極引出部41を含む部位に周方向に形成されたメタライズ層5とを備え、メタライズ層5を覆うようにセラミック基体2の外側に金属管6が設けられてメタライズ層5と金属管6とが接合されるセラミックヒータであって、メタライズ層5は、第1の電極引出部41に接合して形成された活性金属を含む第1メタライズ層51と、第1の電極引出部41との接合部以外の部分に形成されたガラスを含む第2メタライ
ズ層52とからなることを特徴とするものである。
棒状のセラミック基体2は、酸化物セラミックス,窒化物セラミックス,炭化物セラミックス等の電気的な絶縁性を有するセラミックスからなり、特に窒化珪素質セラミックスからなることが好適である。窒化珪素質セラミックスは、主成分である窒化珪素が高強度、高靱性、高絶縁性および耐熱性の観点で優れているからである。この窒化珪素質セラミックスからなるセラミック基体2は、例えば、主成分の窒化珪素を79〜90質量%、焼結助剤としてY,Yb,Er等の希土類元素酸化物を10〜14質量%、MoSi2を3〜5質量%、Alを0.1〜2.0質量%を所定の形状に成型
し、その後、1650〜1780℃でホットプレス焼成することにより得ることができる。セラミック基体2の長さは、例えば20〜50mmに形成され、セラミック基体2の直径は例えば3〜5mmに形成されている。
また、セラミック基体2として窒化珪素質セラミックスからなるものを用いる場合、MoSiO,WSi等が混合され分散されているのが好ましい。この場合、母材である窒化珪素質セラミックスの熱膨張率を発熱抵抗体3の熱膨張率に近づけることができ、セラミックヒータ1の耐久性を向上させることができる。
棒状のセラミック基体2に埋設された発熱抵抗体3は、例えばU字状に形成されており、一端から他端にかけて電流が流れることで発熱するようになっている。通常、発熱抵抗体3はセラミックヒータ1の先端側が最も発熱するように埋設される。この発熱抵抗体3は、W,Mo,Re,Tiなどの炭化物、窒化物、珪化物などを主成分とするものを使用することができる。上記の材料のなかでも、炭化タングステン(WC)が、セラミック基体2との熱膨張率の差が小さいこと、高い耐熱性を有すること、および比抵抗が小さいことから、発熱抵抗体3の形成材料として優れている。
セラミック基体2が窒化珪素質セラミックスからなり、発熱抵抗体3が炭化タングステンを主成分とする場合において、発熱抵抗体3には窒化珪素が20質量%以上添加されているのが好ましい。発熱抵抗体3に含まれる導体成分は窒化珪素と比較して熱膨張率が大きいため、通常は引張応力がかかった状態にある。これに対して、発熱抵抗体3中に窒化珪素を添加することにより、熱膨張率をセラミック基体2の熱膨張率に近づけて、セラミックヒータ1の昇温時および降温時の熱膨張率の差による応力を緩和することができる。また、発熱抵抗体3に含まれる窒化珪素の含有量が40質量%以下であるときには、発熱抵抗体3の抵抗値を比較的小さくして安定させることができる。従って、発熱抵抗体3に含まれる窒化珪素の含有量は20質量%〜40質量%であることが好ましい。より好ましくは、窒化珪素の含有量は25質量%〜35質量%がよい。また、発熱抵抗体3への同様の添加物として、窒化珪素の代わりに窒化硼素を4質量%〜12質量%添加することもできる。
また、セラミック基体2には第1の電極引出部41が埋設されていて、この第1の電極引出部41の一端がセラミック基体2の側面に引き出されている。そして、第1の電極引出部41の他端は、リード部71を介して発熱抵抗体3の一端に電気的に接続されている。一方、セラミック基体2には第2の電極引出部42が埋設されていて、この第2の電極引出部42の一端がセラミック基体2の後端に引き出されている。そして、第2の電極引出部42の他端はリード部72を介して発熱抵抗体3の他端に電気的に接続されている。
第1の電極引出部41および第2の電極引出部42は、発熱抵抗体3と同様の材料により形成され、不要な発熱を抑えるために発熱抵抗体3よりも単位長さ当たりの抵抗値が低くなっているものである。換言すれば、発熱抵抗体3が第1の電極引出部41および第2の電極引出部42よりも高抵抗であることによって、発熱抵抗体3で確実に高温が得られ
るようになっている。また、リード部71、72も第1の電極引出部41および第2の電極引出部42と同様に発熱抵抗体3よりも単位長さ当たりの抵抗値が低くなっているもので、例えばW、Mo等の高融点金属を主成分とするリードピンからなるものである。
そして、図2に示すように、セラミック基体2の側面の第1の電極引出部41を含む部位には周方向にメタライズ層5が形成されている。
このメタライズ層5は、当該メタライズ層5を覆うようにセラミック基体2の外側に金属管6を設けるために形成されたものであり、第1の電極引出部41の一端と電気的に接続されている。このメタライズ層5は、例えば10〜150μmの厚み、長手方向に2〜30mmの長さに形成される。
そして、図2に示すように、メタライズ層5は、第1の電極引出部41に接合して形成された活性金属を含む第1メタライズ層51と、第1の電極引出部41との接合部以外の部分に形成されたガラスを含む第2メタライズ層52とからなることが重要である。
第1メタライズ層51は、Ag、Cuなどの金属粉末にTi、Mgなどの活性金属を含むペーストにより形成されたもので、セラミック基体2および第1の電極引出部41との反応性および密着性が高いものである。したがって、メタライズ層5(第1メタライズ層51)が第1の電極引出部41から剥離し難くなり、第1の電極引出部41がむき出しになることが抑制されることから、高温使用時の第1の電極引出部41の耐久性が向上する。なお、第1メタライズ層51は、例えば、セラミック基体2の側面に引き出された第1の電極引出部41の長手方向の距離の1〜3.5倍程度、具体的には、第1の電極引出部41の長手方向の距離が2mmのとき2〜7mm程度に形成するのがよい。
第1の電極引出部41との接合部以外の部分に形成された第2メタライズ層52は、Ni、Mnなどの金属粉末にSiO−B系、SiO−Al系などのガラスを含むペーストにより形成されたもので、第1メタライズ層51に比べて柔らかい材料である。したがって、高温時の応力発生を軽減できることから、低温−高温繰返しによるセラミック基体2へのダメージ(マイクロクラック)を抑制することができる。
ここで、図3に示すように、第2メタライズ層52はセラミック基体2の側面の全周にわたって環状に形成されているのが好ましく、このような形状になっていることで、円周方向の熱膨張による応力が均一になるとともに、メタライズ層5(第2メタライズ層52)が剥離し難くなるからである。また、第1メタライズ層51は第1の電極引出部41を覆うように形成されていればよいが、図4に示すように、第1メタライズ層51も第2メタライズ層52と同様に、セラミック基体2の側面の全周にわたって環状に形成されているのが好ましく、このような形状になっていることで、円周方向の熱膨張による応力が均一になるとともに、メタライズ層5(第1メタライズ層51)が剥離し難くなるからである。すなわち、セラミックヒータ1の低温−高温の繰返しに対する耐久性が向上する。
また、図2および図5に示すように、第1メタライズ層51と第2メタライズ層52との境界部において、第2メタライズ層52が第1メタライズ層51の上側に重なるように形成されているのが好ましい。第2メタライズ層52とセラミック基体2および第1の電極引出部41との関係よりも、第1メタライズ層51とセラミック基体2および第1の電極引出部41との反応性が高い(密着性が良い)ことから、第2メタライズ層52が第1メタライズ層51の上側に重なることで、高温下でのメタライズ層5の剥離がより抑制されるためである。
また、図6に示すように、第1メタライズ層51は第2メタライズ層52よりも後方に位置している。ここで、後方とは、最も発熱する発熱部(発熱抵抗体3の先端側)から遠ざかる図の右側を意味する。第1メタライズ層51をセラミック基体2の後方に配置することで、最も発熱する発熱部(発熱抵抗体3の先端側)からの熱影響が小さくなり、第1メタライズ層51を剥離し難くして高温下での使用に対する第1の電極引出部41の耐久性を向上させるとともに、熱応力の発生を軽減するためである。
また、図2に示すように、第1の電極引出部41がセラミック基体2の後方に配置されており、メタライズ層5が第1の電極引出部41からセラミック基体2の先方に向かって形成されているのが好ましい。第1の電極引出部41をセラミック基体2の後方に配置することで、最も発熱する発熱部(発熱抵抗体3の先端側)からの熱影響が小さくなり、メタライズ層5を剥離し難くして高温下での使用に対する第1の電極引出部41の耐久性を向上させるとともに、熱応力の発生を軽減するためである。
なお、図2に示すように、メタライズ層5の表面にはメッキ層81が形成されているのが好ましい。メタライズ層5の外側に金属管6が設けられ、ロウ材82によりメタライズ層5と金属管6とが接合されるが、メタライズ層5の表面にメッキ層81が形成されていることで、ロウ材82の流れを良くし、ロウ付け強度を増すことができる。メッキ層81としては、Ni、Au、Pt、Ag、Cuが好ましく、特にNiが好ましい。これにより、信頼性の高いセラミックヒータ1とすることができる。なお、メッキ層81の形成には、通常電解バレルメッキが用いられる。
以上述べたように、本発明のセラミックヒータによれば、メタライズ層が第1の電極引出部から剥離し難くなり、高温使用時の第1の電極引出部の耐久性が向上する。また、低温−高温繰返しによるセラミック基体へのダメージ(マイクロクラック)を抑制することができる。
以下、本発明のセラミックヒータの製造方法の一例について説明する。
まず、セラミック基体2となる半割の成型体を、例えば窒化珪素粉末79〜90質量%に、イッテルビウム(Yb),イットリウム(Y),エルビウム(Er)等の希土類元素の酸化物からなる焼結助剤10〜14質量%、MoSi2を3〜5質量%、酸化アルミニ
ウムを0.1〜2.0質量%混合した原料粉末を周知のプレス成型法あるいは射出成型法等により成型する。
次に、発熱抵抗体3、第1の電極引出部41および第2の電極引出部42となるペーストをセラミック基体2となる半割の成型体の表面にスクリーン印刷法や射出成型法にて塗布する。ここで、ペーストは、炭化タングステン(WC),二珪化モリブデン(MoSi),二珪化タングステン(WSi)等の導電性セラミックスに、セラミック基体2の主成分となる絶縁性セラミックスを、例えば導電性セラミックス50〜80質量%、絶縁性セラミックス20〜50質量%の含有比率内で含有比率を変化させてなるものである。
一方、タングステン等の高融点金属を主成分とするリード部71,72となるリードピンを、後述のそれぞれの半割の成型体を重ねて密着させた際に発熱抵抗体3と電極引出部(第1の電極引出部41および第2の電極引出部42)との間にリード部が位置するように埋設したセラミック基体2となる別の半割の成型体を作製する。
次に、発熱抵抗体3と電極引出部(第1の電極引出部41および第2の電極引出部42)との間にリード部が位置するようにそれぞれの半割の成型体を重ねて密着させ、1650〜1780℃程度の温度で焼成して断面矩形の焼結体を得る。特に、還元雰囲気中で30〜50MPa程度の圧力下で焼成することが好ましい。
そして、焼結終了後、必要に応じて機械加工することで、図1に示したような棒状のセラミック基体2が完成する。
作製されたセラミック基体2の後方に配置された第1の電極引出部41を覆うように活性金属を含む第1メタライズ層用ペーストをセラミック基体2の全周にわたって環状に塗布し、750〜950℃程度で熱処理して焼付ける。ここで、第1メタライズ層用ペーストは、例えばAg、Cuなどの金属粉末にTi、Mgなどの活性金属を含むペーストである。
また、第1の電極引出部41との接合部以外の部分にガラスを含む第2メタライズ層用ペーストを、第1メタライズ層51との境界部において、第1メタライズ層51の上側に重なるように塗布し、900〜1050℃程度で熱処理して焼付ける。ここで、第2メタライズ層用ペーストは、例えばNi、Mnなどの金属粉末にSiO−B系やSiO−Al系のガラスを含むペーストである。
なお、メタライズ層用ペースト(第1メタライズ層用ペースト、第2メタライズ層用ペースト)の塗布方法としては、例えばメタライズ層用ペーストをスプレーにて塗布する方法やスクリーン印刷にて塗布する方法が挙げられる。また、メタライズ層用ペーストの焼付け方法は、例えば真空中で焼付ける方法やアームガス等による還元雰囲気中で焼付ける方法がある。
次に、メタライズ層用ペーストを焼付け後、形成されたメタライズ層5の表面にNi、Au、Pt、Ag、Cu等のメッキを施してメッキ層81を形成する。メッキ処理には電解および無電解のバレルメッキ等が挙げられる。メッキ処理後、図1に示す金属管6と陽極端子9をロウ付け接合することにより、セラミックヒータ1が完成する。なお、ロウ付けに使用するロウ材82はAuやCu等の金属を主成分とし、ロウ付けは真空状態にて850〜1050℃程度の温度で真空ロウ付けする方法が挙げられる。
以上述べた製造方法によれば、高温使用時の第1の電極引出部の耐久性が向上し、低温−高温繰返しによるセラミック基体へのダメージ(マイクロクラック)を抑制されたセラミックヒータを得ることができる。
本発明の実施例を説明する。
以下に示す方法により、図1に示すセラミックヒータを作製した。
まず、窒化珪素粉末を85質量%、焼結助剤としてYb粉末を10質量%、MoSi2粉末を3.5質量%、酸化アルミニウム粉末を1.5質量%混合して、原料粉末を
作製した。その後、この原料粉末を用いてプレス成型によりセラミック基体となる半割の成型体を作製した。
次に、発熱抵抗体、第1の電極引出部および第2の電極引出部となるペーストをセラミック基体となる半割の成型体の表面にスクリーン印刷法にて図1の形状に塗布した。ここで、ペーストは、タングステン粉末に窒化珪素粉末を混合し、適当な有機溶剤、溶媒を添加してなるものを用いた。なお、発熱抵抗体および第1の電極引出部、第2の電極引出部は、タングステン粉末71質量%、窒化珪素粉末29質量%の割合で混合したものを用いた。
一方、タングステンを主成分とするリード部(Wリードピン)を後述のそれぞれの半割の成型体を重ねて密着させた際に発熱抵抗体と電極引出部との間にリード部が位置するように埋設したセラミック基体となる別の半割の成型体を作製した。そして、2つの半割の成型体を重ねて密着させ、還元雰囲気中において温度1750℃、圧力45MPaの下でホットプレス焼成することによりの焼結体を得た。
その後、機械加工により、図1に示すような棒状のセラミック基体へ加工し、第1の電極引出部および第2の電極引出部のそれぞれの一端を露出させた。
次に、第1の電極引出部を覆うように以下に述べるいくつかの種類(サンプル1〜5)のメタライズ層を形成したセラミックヒータを作製した。
サンプル1として、第1の電極引出部を覆い、金属管とセラミック基体との間の全周にわたってSiO−B系ガラスとNiを主成分とするメタライズペーストをスクリーン印刷にて塗布、焼付けし、メタライズ層を形成した。なお、セラミック基体の後方側面に引き出された第1の電極引出部の端部は長手方向に2mmの長さとなっていて、引き出された第1の電極引出部の端部の後端から後方3mmの部位から第1の電極引出部の端部の先端から先方17mmの部位まで合計22mmの長さにメタライズ層を形成した。また、メタライズ層の厚みは25μmとした。
サンプル2として、図3に示す形状のメタライズ層を形成した。具体的には、第1の電極引出部を覆うようにAg−Cu−Tiを含有したメタライズペーストをスクリーン印刷にて塗布し、焼付けし、第1メタライズ層を形成した。さらに、第1の電極引出部との接合部以外の部分にSiO−B系ガラスとNiとを主成分とするメタライズペーストを、第1メタライズ層と第2メタライズ層との境界部においてこれらが互いに重ならないように周方向にわたってスクリーン印刷にて塗布、焼付けし、第2メタライズ層を形成した。なお、セラミック基体の後方側面に引き出された第1の電極引出部の端部は長手方向に2mmの長さとなっていて、この第1の電極引出部を覆うように長手方向に4mmの長さに第1メタライズ層を形成した。そして、第1メタライズ層の後端から後方2mmの部位まで第2メタライズ層を形成するとともに第1メタライズ層の先端から先方16mmの部位まで第2メタライズ層を形成した。第1メタライズ層の厚みは55μmとし、第2メタライズ層の厚みは25μmとした。
サンプル3として、図4に示す形状のメタライズ層を形成した。具体的には、第1の電極引出部を覆うように全周にわたってAg−Cu−Tiを含有したメタライズペーストをスクリーン印刷にて環状に塗布、焼付けし、第1メタライズ層を形成した。さらに、第1の電極引出部との接合部以外の部分にSiO−B系ガラスとNiとを主成分とするメタライズペーストを、第1メタライズ層と第2メタライズ層との境界部においてこれらが互いに重ならないように全周にわたって環状にスクリーン印刷にて塗布、焼付けし、第2メタライズ層を形成した。なお、セラミック基体の後方側面に引き出された第1の電極引出部の端部は長手方向に2mmの長さとなっていて、この第1の電極引出部を覆うように長手方向に4mmの長さに第1メタライズ層を形成した。そして、第1メタライズ層の後端から後方2mmの部位まで第2メタライズ層を形成するとともに第1メタライズ層の先端から先方16mmの部位まで第2メタライズ層を形成した。第1メタライズ層と第2メタライズ層との間には0.2mmの間隙を形成した。第1メタライズ層の厚みは55μmとし、第2メタライズ層の厚みは25μmとした。
サンプル4として、図5に示す形状のメタライズ層を形成した。具体的には、第1の電極引出部を覆うように全周にわたってAg−Cu−Tiを含有したメタライズペーストをスクリーン印刷にて環状に塗布、焼付けし、第1メタライズ層を形成した。さらに、第1
の電極引出部との接合部以外の部分にSiO−B系ガラスとNiとを主成分とするメタライズペーストを、第1メタライズ層と第2メタライズ層との境界部において第2メタライズ層が第1メタライズ層の上側に重なるように全周にわたって環状にスクリーン印刷にて塗布、焼付けし、第2メタライズ層を形成した。なお、セラミック基体の後方側面に引き出された第1の電極引出部の端部は長手方向に2mmの長さとなっていて、この第1の電極引出部を覆うように長手方向に4mmの長さに第1メタライズ層を形成した。そして、第1メタライズ層の後端から後方2mmの部位まで第2メタライズ層を形成するとともに第1メタライズ層の先端から先方16mmの部位まで第2メタライズ層を形成した。第1メタライズ層の厚みは55μmとし、第2メタライズ層の厚みは25μmとした。
サンプル5として、図6に示す形状のメタライズ層を形成した。具体的には、第1の電極引出部を覆うように全周にわたってAg−Cu−Tiを含有したメタライズペーストをスクリーン印刷にて環状に塗布、焼付けし、第1メタライズ層を形成した。さらに、第1の電極引出部との接合部以外で、かつ、第1メタライズ層よりもセラミック基体の先方(発熱抵抗体側)にSiO−B系ガラスとNiとを主成分とするメタライズペーストを、第1メタライズ層と第2メタライズ層との境界部において第2メタライズ層が第1メタライズ層の上側に重なるように全周にわたって環状にスクリーン印刷にて塗布、焼付けし、第2メタライズ層を形成した。なお、セラミック基体の後方側面に引き出された第1の電極引出部の端部は長手方向に2mmの長さとなっていて、この第1の電極引出部を覆うように長手方向に6mmの長さに第1メタライズ層を形成した。そして、第1メタライズ層の先端から先方16mmの部位まで第2メタライズ層を形成した。第1メタライズ層の厚みは55μmとし、第2メタライズ層の厚みは25μmとした。
上記それぞれのサンプルのAg−Cu−Tiを含有した第1メタライズ層を形成するメタライズペーストの焼付けは、真空中において900℃で行なった。また、SiO−B系ガラスとNiとを主成分とする第2メタライズ層を形成するメタライズペーストの焼付けは、アームガスによる還元雰囲気中において1000℃で行なった。
メタライズぺーストを焼付け後、サンプル1〜5のそれぞれについて、メタライズ層の表面に電解バレルメッキ法によりNiメッキのメッキ層を形成した。メッキ処理後、図1に示す金属管と陽極端子とを真空中において950℃でロウ付けし、接合することによりサンプル1〜5のセラミックヒータを完成させた。
そして、得られたセラミックヒータ(サンプル1〜5)に1400℃となるような電圧を印加して、発熱抵抗体を5分間ジュール発熱させた後、電圧をカットし、圧縮空気をセラミックヒータ最高発熱部に吹き付け冷却させることにより強制冷却を2分間行なう熱サイクル試験(通電耐久試験)を行い、10000サイクル後での抵抗変化を評価した。その結果を表1に示す。また、判定として抵抗変化率が7%以下のものを◎(大変良い)、7%を超えて10%以下のものを○(良い)、10%を超えるものを×(許容範囲外)とした。
また、得られたセラミックヒータ(サンプル1〜5)を無通電の状態で500℃の炉中で5分間外部過熱し、その後大気中に出し冷却ファンで3分間冷却する熱サイクル試験(電極耐久試験)を行い、10000サイクル後での抵抗変化を評価した。また、判定として抵抗変化率が0.3%以下のものを◎(大変良い)、0.3%を超えて0.5%以下のものを○(良い)、0.5%を超えるものを×(許容範囲外)とした。その結果を表2に示す。
なお、抵抗変化については各サンプル5本ずつ用意し、25℃の高温槽にセラミックヒ
ータ先端を浸し、25℃で安定させた後、初期抵抗とそれぞれの試験後で抵抗を測定し、その間の抵抗変化率の平均値を評価した。
Figure 0005645529
Figure 0005645529
表1によれば、本発明の実施例であるサンプルNo.2〜5は、比較例のサンプルNo.1に比べて10000サイクルの通電耐久試験後の抵抗変化率が良好であり、特にサンプルNo.5は抵抗変化率が7%以内と大変良い結果が得られることがわかる。
また、表2によれば、本発明の実施例であるサンプルNo.2〜5は、比較例のサンプルNo.1に比べ10000サイクルの電極耐久試験後の抵抗変化率が良好であり、特にサンプルNo.3、4、5は抵抗変化率が3%以内と大変良い結果が得られることがわかる。
1・・・セラミックヒータ
2・・・セラミック基体
3・・・発熱抵抗体
41・・・第1の電極引出部
42・・・第2の電極引出部
5・・・メタライズ層
51・・・第1メタライズ層
52・・・第2メタライズ層
6・・・金属管
71,72・・・リード部
81・・・メッキ層
82・・・ロウ材
9・・・陽極端子

Claims (6)

  1. 棒状のセラミック基体と、該セラミック基体に埋設された発熱抵抗体と、該発熱抵抗体と電気的に接続され、一端が前記セラミック基体の側面に引き出されるように前記セラミック基体に埋設された第1の電極引出部と、前記セラミック基体の側面の前記第1の電極引出部を含む部位に周方向に形成されたメタライズ層とを備え、該メタライズ層を覆うように前記セラミック基体の外側に金属管が設けられて前記メタライズ層と前記金属管とが接合されるセラミックヒータであって、前記メタライズ層は、前記第1の電極引出部に接合して形成された活性金属を含む第1メタライズ層と、前記第1の電極引出部との接合部以外の部分に形成されたガラスを含む第2メタライズ層とからなるとともに、前記第1メタライズ層が前記第2メタライズ層よりも前記発熱抵抗体の最も発熱する発熱部から遠ざかる側である前記セラミック基体の後方に位置することを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 前記第2メタライズ層が前記セラミック基体の側面の全周にわたって環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミックヒータ。
  3. 前記第1メタライズ層が前記セラミック基体の側面の全周にわたって環状に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のセラミックヒータ。
  4. 前記第1メタライズ層と前記第2メタライズ層との境界部において、前記第2メタライズ層が前記第1メタライズ層の上側に重なるように形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  5. 前記第1の電極引出部が前記セラミック基体の後方に配置されており、前記メタライズ層が前記第1の電極引出部から前記セラミック基体の先方に向かって形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックヒータ。
  6. 請求項1乃至請求項のいずれかに記載のセラミックヒータと、前記セラミック基体の外側に設けられた金属管とを含むことを特徴とするグロープラグ。
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