JP5645058B2 - モータ制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、ブラシレスモータを駆動するためのモータ制御装置に関する。
電動パワーステアリング装置などに使用されるブラシレスモータは、ロータの回転角度に合わせてステータ巻線に電流を通電することによって制御される。そこで、ブラシレスモータの回転に応じて回転する検出用ロータを用いて、ブラシレスモータのロータの回転角を検出する回転角検出装置が知られている。具体的には、図20に示すように、検出用ロータ101は、ブラシレスモータのロータに設けられている磁極対に相当する複数の磁極対を有する円筒状の磁石102を備えている。検出用ロータ101の周囲には、2つの磁気センサ111,112が、検出用ロータ101の回転中心軸を中心として所定の角度間隔をおいて配置されている。各磁気センサ111,112からは、所定の位相差を有する正弦波信号が出力される。これらの2つの正弦波信号に基づいて、検出用ロータ101の回転角(ブラシレスモータのロータの回転角)が検出される。
この例では、磁石102は、5組の磁極対を有している。つまり、磁石102は、等角度間隔で配置された10個の磁極を有している。各磁極は、検出用ロータ101の回転中心軸を中心として、36°(電気角では180°)の角度間隔で配置されている。また、2つの磁気センサ111,112は、検出用ロータ101の回転中心軸を中心として18°(電気角では90°)の角度間隔をおいて配置されている。
図20に矢印で示す方向を検出用ロータ101の正方向の回転方向とする。そして、検出用ロータ101が正方向に回転されると検出用ロータ101の回転角が大きくなり、検出用ロータ101が逆方向に回転されると、検出用ロータ101の回転角が小さくなるものとする。各磁気センサ111,112からは、図21に示すように、検出用ロータ101が1磁極対分に相当する角度(72°(電気角では360°))を回転する期間を一周期とする正弦波信号V1,V2が出力される。
所定の基準位置からの検出用ロータ101の絶対的な回転角を、検出用ロータ101の絶対回転角(機械角に応じた回転角)θということにする。検出用ロータ101の1回転分の角度範囲を、5つの磁極対に対応して5つの区間に分け、各区間の開始位置を0°とし終了位置を360°として表した検出用ロータ101の角度を、検出用ロータ101の相対回転角θということにする。ロータ101の相対回転角θは、ブラシレスモータのロータの電気角と一致する。
ここでは、第1の磁気センサ111からは、V1=φ1sinθの出力信号が出力され、第2の磁気センサ112からは、V2=φ2cosθの出力信号が出力されるものとする。φ1,φ2は、振幅である。両出力信号V1,V2の振幅φ1,φ2が互いに等しいとみなすと、ロータ101の相対回転角θは、両出力信号V1,V2を用いて、次式(1)に基づいて求めることができる。
θ=tan−1(sinθ/cosθ
=tan−1(V1/V2) …(1)
このようにして、求められた相対回転角(ブラシレスモータのロータの電気角)θを使って、ブラシレスモータを制御する。
特開2002-81961号公報 特開2004-291923号公報
前述したような従来の回転角検出装置をブラシレスモータのロータの回転角を検出するために用いた場合には、2つの磁気センサ111,112のうちのいずれか一方が故障した場合には、ロータの回転角を検出できなくなる。そこで、このような場合には、ブラシレスモータの駆動を停止させている。このため、ブラシレスモータが電動パワーステアリング装置に使用されている場合には、操舵補助力が得られなくなる。
この発明の目的は、ブラシレスモータのロータの回転角を検出するために用いられる2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができるモータ制御装置を提供することである。
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、ブラシレスモータの回転に応じて互いに位相差を有する2つの正弦波信号を出力するセンサを含み、これらの正弦波信号に基づいて前記ブラシレスモータを制御するモータ制御装置であって、2つの正弦波信号のうちの一方に異常が発生した場合に、正常な正弦波信号から予測される第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方の回転角候補を、前記ブラシレスモータの回転角として推定する回転角推定手段と、前記回転角推定手段によって推定された回転角に基づいて、前記ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生されないように、前記ブラシレスモータを制御する制御手段とを含み、前記制御手段は、目標モータトルクを設定するモータトルク設定手段と、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクに応じた指示電流値を生成する指示電流値生成手段と、前記ブラシレスモータに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記ブラシレスモータによって発生している実モータトルクを検出するモータトルク検出手段と、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクと前記モータトルク検出手段によって検出される実モータトルクとの偏差に基づいて、前記回転角推定手段によって推定される回転角を補正する回転角補正手段と、前記回転角補正手段によって補正された回転角を用いて、前記電流検出手段によって検出される電流と前記指示電流値生成手段によって生成される指示電流値との偏差が零になるように、前記ブラシレスモータの駆動電流を制御する手段とを含む、モータ制御装置である。
この構成では、2つの正弦波信号のうちの一方に異常が発生した場合に、正常な正弦波信号から予測される第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方の回転角候補が、ブラシレスモータの回転角として推定される。そして、推定された回転角に基づいて、ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生されないように、ブラシレスモータが制御される。これにより、2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができるようになる。
より具体的には、回転角補正手段によって、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差に基づいて、回転角推定手段によって推定される回転角が補正される。そして、補正された回転角を用いて、電流検出手段によって検出される電流と指示電流値生成手段によって生成される指示電流値との偏差が零になるように、ブラシレスモータの駆動電流が制御される。
回転角推定手段によって推定された回転角が実際のブラシレスモータの回転角(実回転角)とほぼ等しい場合には、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差の絶対値(トルク偏差の絶対値)は小さくなる。一方、回転角推定手段によって推定された回転角が実回転角と異なる場合には、トルク偏差の絶対値は大きくなる。そこで、たとえば、回転角補正手段は、トルク偏差の絶対値が大きいときには、回転角推定手段によって推定された回転角をトルク偏差の絶対値に基づいて補正することにより、補正後の回転角を実回転角に近づけることが可能となる。これにより、2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができるようになる。
請求項記載の発明は、前記回転角補正手段は、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクと前記モータトルク検出手段によって検出される実モータトルクとの偏差に基づいて、前記第1の回転角候補および前記第2の回転角候補のうちの一方を補正後の回転角として選択するものである、請求項に記載のモータ制御装置である。
この構成では、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差に基づいて、第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方が補正後の回転角として選択される。回転角補正手段は、たとえば、第1の回転角候補に基づいてブラシレスモータの駆動電流が制御されている場合に、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差の絶対値(トルク偏差の絶対値)が所定のしきい値より大きくなったときに第2の回転角候補を選択し、第2の回転角候補に基づいてブラシレスモータの駆動電流が制御されている場合に、トルク偏差の絶対値が所定のしきい値より大きくなったときに1の回転角候補を選択するものであってもよい。これにより、2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができる。
この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 モータの構成を説明するための図解図である。 d軸指示電流値の設定例を示す模式図である。 第1の磁気センサの出力信号波形および第2の磁気センサの出力信号波形を示す模式図である。 センサ故障判定部の動作を示すフローチャートである。 両磁気センサが正常である場合の、実回転角に対する相電流およびモータトルクを示す模式図である。 第2の磁気センサの出力信号波形および当該出力信号に基づいて演算される回転角の範囲を説明するための模式図である。 第1の磁気センサが故障したときに、指示電流値をゲイン補正せずに第2の回転角に基づいてモータを制御した場合の、実回転角に対する相電流およびモータトルクを示す模式図である。 第1の磁気センサが故障したときに、ゲイン補正後の指示電流値および第2の回転角に基づいてモータを制御した場合の、実回転角に対する第2ゲイン、相電流およびモータトルクを示す模式図である。 第1の磁気センサの出力信号波形および当該出力信号に基づいて演算される回転角の範囲を説明するための模式図である。 第2の磁気センサが故障したときに、指示電流値をゲイン補正せずに第2の回転角に基づいてモータを制御した場合の、実回転角に対する相電流およびモータトルクを示す模式図である。 第2の磁気センサが故障したときに、ゲイン補正後の指示電流値および第2の回転角に基づいてモータを制御した場合の、実回転角に対する第2ゲイン、相電流およびモータトルクを示す模式図である。 この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。 第1の磁気センサの出力信号波形、当該出力信号に基づいて演算される回転角および回転角補正値を説明するための模式図である。 第2の磁気センサが故障したときに、第1の出力信号から推定された回転角θに基づいてモータを制御した場合の、実回転角に対する目標モータトルクおよび実モータトルクを示す模式図である。 第2の磁気センサが故障した場合における第2の回転角演算部の動作を示すフローチャートである。 第2の回転角演算部の変形例を示し、第2の磁気センサが故障した場合における第2の回転角演算部の動作を示すフローチャートである。 第2の回転角演算部の変形例を示し、第1の磁気センサが故障した場合における第2の回転角演算部の動作を示すフローチャートである。 従来の回転角検出装置による回転角検出方法を説明するための模式図である。 第1の磁気センサの出力信号波形および第2の磁気センサの出力信号波形を示す模式図である。
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置(車両用操舵装置の一例)の電気的構成を説明するためのブロック図である。
この電動パワーステアリング装置は、車両を操向するための操作部材としてのステアリングホイール10に加えられる操舵トルクTを検出するトルクセンサ1と、車両の舵取り機構2に減速機構8を介して操舵補助力を与えるモータ3(ブラシレスモータ)と、モータ3の回転角(電気角)を検出するための第1の磁気センサ4および第2の磁気センサ5と、モータ3を駆動制御するモータ制御装置6と、当該電動パワーステアリング装置が搭載された車両の速度を検出する車速センサ7とを備えている。
モータ制御装置6は、トルクセンサ1が検出する操舵トルクおよび車速センサ7が検出する車速に応じてモータ3を駆動することによって、操舵状況および車速に応じた適切な操舵補助を実現する。
モータ3は、この実施形態では、三相ブラシレスモータであり、図2に図解的に示すように、界磁としてのロータ50と、このロータ50に対向するステータ55に配置されたU相、V相およびW相のステータ巻線51,52,53とを備えている。モータ3は、ロータの外部にステータを対向配置したインナーロータ型のものであってもよいし、筒状のロータの内部にステータを対向配置したアウターロータ型のものであってもよい。
各相のステータ巻線51,52,53の方向にU軸、V軸およびW軸をとった三相固定座標(UVW座標系)が定義される。また、ロータ50の磁極方向にd軸(磁極軸)をとり、ロータ50の回転平面内においてd軸と直角な方向にq軸(トルク軸)をとった二相回転座標系(dq座標系。実回転座標系)が定義される。dq座標系は、ロータ50とともに回転する回転座標系である。dq座標系では、q軸電流のみがロータ50のトルク発生に寄与するので、d軸電流を零とし、q軸電流を所望のトルクに応じて制御すればよい。ロータ50の回転角θは、U軸に対するd軸の回転角である。dq座標系は、ロータ角θに従う実回転座標系である。このロータ角θを用いることによって、UVW座標系とdq座標系との間での座標変換を行うことができる。
図1に戻り、モータ制御装置6は、電流検出部13、信号処理部としてのマイクロコンピュータ11および駆動回路12を有する。このモータ制御装置6に、前述の磁気センサ4,5、トルクセンサ1および車速センサ7が接続されている。
電流検出部13は、モータ3のステータ巻線51,52,53(図2参照)を流れる電流を検出する。より具体的には、電流検出部13は、三相(U相、V相およびW相)のステータ巻線51,52,53における相電流をそれぞれ検出する電流検出器を有する。
マイクロコンピュータ11は、CPUおよびメモリ(ROMおよびRAMなど)を備えており、所定のプログラムを実行することによって、複数の機能処理部として機能する。この複数の機能処理部には、指示電流値生成部21と、ゲイン乗算部22と、電流偏差演算部23と、PI(比例積分)制御部24と、dq/UVW変換部25と、PWM(Pulse Width Modulation)制御部26と、UVW/dq変換部27と、第1の回転角演算部31と、センサ故障判定部32と、第2の回転角演算部33と、第1スイッチ34と、ゲイン演算部35と、第2スイッチ36とが含まれている。
第1の回転角演算部31は、第1の磁気センサ4の出力信号(以下、「第1の出力信号V1」という)および第2の磁気センサ5の出力信号(以下、「第2の出力信号V2」という)に基づいて、モータ3のロータ50の回転角(電気角。以下、「第1の回転角θ1」という。)を演算するものである。第1の回転角演算部31の動作の詳細については、後述する。
センサ故障判定部32は、第1の出力信号V1および第2の出力信号V2に基づいて、いずれかの磁気センサ4,5に故障が発生したか否かを判定するとともに、故障した磁気センサを特定するものである。センサ故障判定部32の動作の詳細については、後述する。
第2の回転角演算部33は、センサ故障判定部32によっていずれか一方の磁気センサ4,5に故障が発生したことが検出されたときに、正常な一つ磁気センサの出力信号に基づいて、モータ3のロータ50の回転角(電気角。以下、「第2の回転角θ2」という。)を演算(推定)するものである。第2の回転角演算部33の動作の詳細については、後述する。
第1スイッチ34は、第1の回転角演算部31によって演算された第1の回転角θ1と、第2の回転角演算部33によって演算された第2の回転角θ2とのうちのいずれか一方を選択して、座標変換用の変換角θとして出力するものである。具体的には、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されていないときには、第1スイッチ34は第1の回転角θ1を選択して座標変換用の変換角θとして出力する。一方、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されているときには、第1スイッチ34は第2の回転角θ2を選択して座標変換用の変換角θとして出力する。
ゲイン演算部35は、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されているときには、センサ故障判定部32によって特定された故障センサの識別情報と、第2の回転角演算部33によって演算された第2の回転角θ2とに基づいて、第2ゲインG2を演算する。ゲイン演算部35の動作の詳細については、後述する。
第2スイッチ36は、第1ゲインG1と、ゲイン演算部35によって演算された第2ゲインG2とのうちのいずれか一方を選択し、指示電流制御用のゲインGとして出力するものである。具体的には、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されていないときには、第2スイッチ36は第1ゲインG1を選択して、指示電流制御用のゲインGとして出力する。第1ゲインG1は、”1”に固定されている。センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されているときには、第2スイッチ34は第2ゲインG2を選択して、指示電流制御用のゲインGとして出力する。
指示電流値生成部21は、dq座標系の座標軸に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、d軸指示電流値I およびq軸指示電流値I (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Idq 」という。)を生成する。さらに具体的には、指示電流値生成部21は、q軸指示電流値I を有意値とする一方で、d軸指示電流値I を零とする。より具体的には、指示電流値生成部21は、トルクセンサ1により検出される操舵トルク(検出操舵トルク)Tと、車速センサ7により検出される車速とに基づいてq軸指示電流値I を設定する。
検出操舵トルクTに対するq軸指示電流値I の設定例は、図3に示されている。検出操舵トルクTは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、q軸指示電流値I は、モータ3から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、モータ3から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。q軸指示電流値I は、検出操舵トルクTの正の値に対しては正をとり、検出操舵トルクTの負の値に対しては負をとる。検出操舵トルクTが−T1〜T1(たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、q軸指示電流値I は零とされる。また、q軸指示電流値I は、車速センサ7によって検出される車速が大きいほど、その絶対値が小さくなるように設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。
指示電流値生成部21によって生成された二相指示電流値Idq は、ゲイン乗算部22に与えられる。ゲイン乗算部22は、第2スイッチ36によって選択されたゲインGを、二相指示電流値Idq に乗算する。ゲイン乗算部22の出力(ゲイン補正後の指示電流値G・Idq )は、電流偏差演算部23に与えられる。
電流検出部13は、モータ3のU相電流I、V相電流I、W相電流I(以下、これらを総称するときには「三相検出電流IUVW」という。)を検出する。電流検出部13によって検出された三相検出電流IUVWは、UVW/dq変換部27に与えられる。
UVW/dq変換部27は、三相検出電流IUVWを、二相回転座標系(dq座標系)上でのd軸電流Iおよびq軸電流I(以下、これらを総称するときには「二相検出電流Idq」という。)に座標変換する。この座標変換には、第1スイッチ34によって選択された変換角θが用いられる。
電流偏差演算部23は、ゲイン補正後の二相指示電流値G・Idq と、UVW/dq変換部27から与えられる二相検出電流Idqとの偏差を演算する。より具体的には、電流偏差演算部23は、ゲイン補正後のd軸指示電流値G・I に対するd軸検出電流Iの偏差およびゲイン補正後のq軸指示電流値G・I に対するq軸検出電流Iの偏差を演算する。これらの偏差は、PI制御部24に与えられる。
PI制御部24は、偏差演算部23によって演算された電流偏差に対するPI演算を行なうことにより、モータ3に印加すべき二相指示電圧Vdq (d軸指示電圧V およびq軸指示電圧V )を生成する。この二相指示電圧Vdq は、dq/UVW変換部25に与えられる。
dq/UVW変換部25は、二相指示電圧Vdq を三相指示電圧VUVW に変換する。この座標変換には、第1スイッチ34によって選択された変換角θが用いられる。三相指示電圧VUVW は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V からなる。この三相指示電圧VUVW は、PWM制御部26に与えられる。
PWM制御部26は、U相指示電圧V 、V相指示電圧V およびW相指示電圧V にそれぞれ対応するデューティのU相PWM制御信号、V相PWM制御信号およびW相PWM制御信号を生成し、駆動回路12に供給する。
駆動回路12は、U相、V相およびW相に対応した三相コンバータ回路からなる。このインバータ回路を構成するパワー素子がPWM制御部26から与えられるPWM制御信号によって制御されることにより、三相指示電圧VUVW に相当する電圧がモータ3の各相のステータ巻線51,52,53に印加されることになる。
電流偏差演算部23およびPI制御部24は、電流フィードバック制御手段を構成している。この電流フィードバック制御手段の働きによって、モータ3に流れる電流が、ゲイン補正後の二相指示電流値G・Idq に近づくように制御される。
このような構成によって、ステアリングホイール10に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、トルクセンサ1によって検出された操舵トルクおよび車速センサ7によって検出された車速に応じた指示電流値Idq が指示電流値生成部21によって生成される。この指示電流値Idq に第2スイッチ36によって選択されたゲインG(第1ゲインG1または第2ゲインG2)が乗算されることにより、最終的な指示電流値G・Idq が生成される。
センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されていない場合には、指示電流値生成部21によって生成された指示電流値Idq が、そのまま最終的な指示電流値G・Idq として電流偏差演算部23に与えられる。一方、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されている場合には、指示電流値生成部21によって生成された指示電流値Idq に第2ゲインG2が乗算された値が、最終的な指示電流値G・Idq として電流偏差演算部23に与えられる。
この最終的な指示電流値G・Idq と二相検出電流Idqとの偏差が電流偏差演算部23によって求められる。この偏差を零に導くようにPI制御部24によるPI演算が行なわれ、この演算結果に対応した二相指示電圧Vdq がPI制御部24から出力される。この二相指示電圧Vdq は、dq/UVW変換部25によって、三相指示電圧VUVW に変換される。そして、PWM制御部26の働きによって、その三相指示電圧VUVW に応じたデューティ比で駆動回路12が動作することによって、モータ3が駆動され、最終的な指示電流値G・Idq に対応したモータトルク(アシストトルク)が舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクおよび車速に応じて操舵補助を行うことができる。
回転座標系(dq座標系)と固定座標系(UVW座標系)との間での座標変換のためには、ロータ50の回転角(電気角)θが必要である。この回転角θは、2つの磁気センサ4,5の出力信号V1,V2に基づいて演算されるようになっている。具体的には、2つの磁気センサ4,5が故障していないときには、第1の回転角演算部31によって、ロータ50の回転角(第1の回転角θ1)が演算される。そして、一方、2つの磁気センサ4,5のうちの一方が故障した場合には、第2の回転角演算部33によって、ロータ50の回転角(第2の回転角θ2)が演算される。第2の回転角演算部33は、正常な1つの磁気センサの出力信号に基づいて、ロータ50の回転角を演算する。
第1の回転角演算部31について説明する。第1の回転角演算部31は、モータ3の回転に伴って回転する検出用ロータ9(図1参照)の回転角(電気角)を検出することによって、モータ3のロータ50の回転角(電気角)を検出する。検出用ロータ9は、モータ3のロータ50に設けられている磁極対に相当する磁極対を有する円筒上の磁石を含んである。2つの磁気センサ4,5は、検出用ロータ9の周囲に配置されている。ここでは、第1の磁気センサ4からは、各磁極対に対応する区間毎に、基準となる第1の出力信号(正弦波信号V1(V1=φ1・sinθ))が出力されるものとする。また、第2の磁気センサ22からは、各磁極対に対応する区間毎に、信号V1に対して90°(電気角)の位相差を有する第2の出力信号(正弦波信号V2(V2=φ2・sin(θ+90°)=φ2・cosθ))が出力されるものとする。φ1,φ2は、それぞれ振幅を表している。
これらの振幅φ1,φ2が全て等しい値φであるとみなすか、あるいは各振幅が所定の規定値φとなるように各出力信号V1,V2を正規化したとすると、各出力信号V1,V2は、それぞれ、V1=φsinθ,V2=φcosθと表される。そこで、以下の説明においては、各磁気センサ4,5の出力信号V1,V2を、それぞれV1=φsinθ,V2=φcosθと表すことにする。図4は、各出力信号V1,V2の波形を示している。ただし、図4では、φ=1としている。
第1の回転角演算部31は、たとえば、次式(2)に基づいて、第1の回転角θ1を演算する。
θ1=tan−1(sinθ/cosθ)
=tan−1(V1/V2)…(2)
センサ故障判定部32の動作について、詳しく説明する。第1の磁気センサ4が故障した場合には、第1の出力信号V1は−φ(下限値)またはφ(上限値)に固定されると考えられる。同様に、第2の磁気センサ5が故障した場合には、第2の出力信号V2は−φ(下限値)またはφ(上限値)に固定されると考えられる。そこで、一方の磁気センサの出力信号のある期間内での変化量が第1の所定値A(A>0)以上となったにもかかわらず、他方の磁気センサの出力信号の前記期間内での変化量が第1の所定値Aより小さい第2の所定値B(B>0)以下である場合には、他方の磁気センサが故障していると判定する。
図5は、センサ故障判定部32の動作を示すフローチャートである。
センサ故障判定部32は、変数V1_MAX,V2_MAX,V1_MINおよびV2_MINの初期化処理を行なう(ステップS1)。具体的には、センサ故障判定部32は、変数V1_MAXおよびV2_MAXを、−φ(φは信号V1,V2の振幅)より十分小さい所定値K1に設定するとともに、変数V1_MINおよびV2_MINを、φより十分大きい所定値K2に設定する。この初期化処理は、ある条件が満たされる度に実行される。具体的には、後述するステップS6またはステップS7でNOと判定される度に、ステップS1の初期化処理が行なわれる。
変数V1_MAXは、最新の初期化処理が行なわれてから現時点までの期間内において、第1の出力信号V1の最大値を記憶するための変数である。変数V1_MINは、前記期間内において、第1の出力信号V1の最小値を記憶するための変数である。変数V2_MAXは、前記期間内において、第2の出力信号V2の最大値を記憶するための変数である。変数V2_MINは、前記期間内において、第2の出力信号V2の最小値を記憶するための変数である。
次に、センサ故障判定部32は、第1の出力信号V1(V1=φsinθ)および第2の出力信号V2(V2=φcosθ)を取得する(ステップS2)。そして、センサ故障判定部32は、取得した出力信号V1,V2に基づいて、変数V1_MAX,V2_MAX,V1_MINおよびV2_MINの更新処理を行なう(ステップS3)。
具体的には、センサ故障判定部32は、取得した第1の出力信号V1と変数V1_MAXとを比較し、V1>V1_MAXであれば、変数V1_MAXの値を第1の出力信号V1の値に置き換える。また、センサ故障判定部32は、取得した第1の出力信号V1と変数V1_MINとを比較し、V1<V1_MINであれば、変数V1_MINの値を第1の出力信号V1の値に置き換える。また、センサ故障判定部32は、取得した第2の出力信号V2と変数V2_MAXとを比較し、V2>V2_MAXであれば、変数V2_MAXの値を第2の出力信号V2の値に置き換える。また、センサ故障判定部32は、取得した第2の出力信号V2と変数V2_MINとを比較し、V2<V2_MINであれば、変数V2_MINの値を第2の出力信号V2の値に置き換える。
次に、センサ故障判定部32は、V1_MAXとV1_MINとの差の絶対値(以下、「第1の出力信号V1の変化量」という。)が第1のしきい値A(A>0)以上であるか否かを判別する(ステップS4)。第1のしきい値Aは、たとえば、A=0.25φ(φは信号V1,V2の振幅)に設定されている。第1の出力信号V1の変化量が第1のしきい値A未満である場合には(ステップS4:NO)、センサ故障判定部32は、V2_MAXとV2_MINとの差の絶対値(以下、「第2の出力信号V2の変化量」という。)が第1のしきい値A以上であるか否かを判別する(ステップS5)。第2の出力信号V2の変化量が第1のしきい値A未満である場合には(ステップS5:NO)、センサ故障判定部32は、ステップS2に戻り、両出力信号V1,V2を取り込んで、ステップS3に進む。
つまり、最新の初期化処理が実行されてから現時点までの期間内における、第1の出力信号V1の変化量および第2の出力信号V2の両方が第1のしきい値A未満であるときには、ステップS2〜S5の処理が繰り返される。
ステップS2〜S5の処理が繰り返されているときに、前記ステップS4において、第1の出力信号V1の変化量が第1のしきい値A以上であると判別された場合には(ステップS4:YES)、センサ故障判定部32は、第2の出力信号V2の変化量が第2のしきい値B(B>0)以下であるか否かを判別する(ステップS6)。第2のしきい値Bは、第1のしきい値Aより小さく設定されている。第2のしきい値Bは、たとえば、B=0.02φ(φは信号V1,V2の振幅)に設定されている。第2の出力信号V2の変化量が第2のしきい値Bより大きければ、センサ故障判定部32は、両磁気センサ4,5は正常であると判別し、ステップS1に戻る。つまり、再度、初期化処理が行われる。
ステップS2〜S5の処理が繰り返されているときに、前記ステップS5において、第2の出力信号V2の変化量が第1のしきい値A以上であると判別された場合には(ステップS5:YES)、センサ故障判定部32は、第1の出力信号V1の変化量が第2のしきい値B以下であるか否かを判別する(ステップS7)。第1の出力信号V1の変化量が第2のしきい値Bより大きければ、センサ故障判定部32は、両磁気センサ4,5は正常であると判別し、ステップS1に戻る。つまり、再度、初期化処理が行われる。
前記ステップS6において、第2の出力信号V2の変化量が第2のしきい値B以下であると判別された場合には(ステップS6:YES)、センサ故障判定部32は、第2の磁気センサ5に故障が発生したと判定する(ステップS8)。つまり、最新の初期化処理が行なわれてから現時点までの期間内における第1の出力信号V1の変化量が第1のしきい値A以上であるにもかかわらず、その期間内での第2の出力信号V2の変化量が第2のしきい値B以下である場合には、第2の磁気センサ5に故障が発生したと判別される。
センサ故障判定部32は、第2の磁気センサ5に故障が発生したと判別した場合には、その判定結果を第2の回転角演算部33およびゲイン演算部35に与える。また、センサ故障判定部32は、第1のスイッチ34によって第2の回転角θ2が選択されるように第1のスイッチ34を切り替えるとともに、第2のスイッチ36によって第2ゲインG2が選択されるように第2のスイッチ36を切り替える。
前記ステップS7において、第1の出力信号V1の変化量が第2のしきい値B以下であると判別された場合には(ステップS7:YES)、センサ故障判定部32は、第1の磁気センサ4に故障が発生したと判別する(ステップS9)。つまり、最新の初期化処理が行なわれてから現時点までの期間内における第2の出力信号V2の変化量が第1のしきい値A以上であるにもかかわらず、その期間内での第1の出力信号V1の変化量が第2のしきい値B以下である場合には、第1の磁気センサ4に故障が発生したと判別される。
センサ故障判定部32は、第1の磁気センサ4に故障が発生したと判別した場合には、その判定結果を第2の回転角演算部33およびゲイン演算部35に与える。また、センサ故障判定部32は、第1のスイッチ34によって第2の回転角θ2が選択されるように第1のスイッチ34を切り替えるとともに、第2のスイッチ36よって第2ゲインG2が選択されるように第2のスイッチ36を切り替える。
第2の回転角演算部33の動作およびゲイン演算部34の動作について、詳しく説明する。
図6は、両磁気センサ4,5が正常であり、第1の回転角θ1に基づいてモータ3が制御されている場合の、実際のロータ50の回転角(以下。「実回転角θ」という)に対する相電流I,I,IおよびモータトルクTを示している。相電流は、U相電流I、V相電流IおよびW相電流Iからなる。図6に示すように、モータ3の相電流I,I,Iの振幅がある値となるように制御されているときには、モータトルクTはロータ50の回転角にかかわらず、一定値となる。なお、モータ3の相電流I,I,Iの振幅は、指示電流値Idq に基づいて制御され、これに応じてモータトルクTが制御される。
まず、センサ故障判定部32によって第1の磁気センサ4に故障が発生したことが検出された場合の、第2の回転角演算部33およびゲイン演算部35の動作について説明する。第1の磁気センサ4が故障した場合には、第2の回転角演算部33は、第2の出力信号V2(V2=φcosθ)を用い、次式(3)に基づいて、第2の回転角θ2を演算する。
θ2=cos−1(V2/φ) …(3)
ただし、cos−1(V2/φ)は、0°〜180°の範囲内の角度(0°≦θ2≦180°)として求められる。
図7は、第2の磁気センサ5の出力信号V2(V2=φcosθ)の波形を示している。ただし、図7では、φ=1としている。図7に示すように、前記式(3)に基づいて第2の回転角θ2を求めた場合、実回転角が0°〜180°の第1の回転角領域P内にあるのか、180°〜360°の第2の回転角領域Q内にあるのか不明である。たとえば、第2の回転角演算部33によって演算された第2の回転角θ2が45°である場合、実回転角θが45°であるのか、315°(=360°−θ2)であるのか不明である。つまり、この実施形態では、第2の回転角演算部33は、第2の出力信号V2から予測される第1の回転角領域P内の第1の回転角候補θおよび第2の回転角領域Q内の第2の回転角候補θ(θ=360°−θ)のうち、第1の回転角候補θを第2の回転角θ2として演算する。
第2の回転角演算部33は、第1の回転角領域P内の第1の回転角候補θを第2の回転角θ2として演算しているため、実回転角θが第2の回転角領域Q内にある場合には、第2の回転角θ2は実回転角θとは異なった回転角となる。したがって、実回転角θが第2の回転角領域Q内にある場合に、指示電流値Idq をゲイン補正せずに、第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御すると、適切なモータトルクTを発生できなくなる。
図8は、指示電流値Idq をゲイン補正せずに第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御した場合の、実回転角θに対する相電流I,I,IおよびモータトルクTを示している。図8に示すように、指示電流値Idq をゲイン補正せずに第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御した場合には、実回転角θが225°〜315°の範囲にあるときには、本来発生されるべきモータトルクに対して逆方向のモータトルクTが発生されてしまう。そうすると、操舵補助力が適切な方向とは反対の方向に作用するため、操舵トルクが重くなってしまう。
そこで、本実施形態では、第2の回転角θ2が、本来発生されるべきモータトルクに対して逆方向のモータトルクが発生される可能性のある回転角領域(以下、「逆トルク発生可能性有り領域」という。)内にあるときには、モータトルクが零となるように、指示電流値Idq がゲイン補正される。また、第2の回転角θ2が、本来発生されるべきモータトルクと同方向のトルクを発生できる回転角領域(以下、「逆トルク発生可能性無し領域」という。)内にあるときには、滑らかにモータトルクが変化するように、指示電流値Idq がゲイン補正される。このようなゲイン補正を行なうために、ゲイン演算部35、第2スイッチ36およびゲイン乗算部22が設けられている。
逆トルク発生可能性有り領域は、第2の回転角θ2として演算され得る回転角領域0°〜180°のうち、実回転角θが225°〜315°の範囲に存在する可能性がある領域であるので、θ2=45°〜135°の領域となる。一方、逆トルク発生可能性無し領域は、第2の回転角θ2として演算され得る回転角度領域0°〜180°のうち、θ2=45°〜135°の領域を除いた領域となるので、θ2=0°〜45°の領域とθ2=135°〜180°の領域とからなる。
図7において、逆トルク発生可能性有り領域はP1で示され、逆トルク発生可能性無し領域はP2で示されている。cos45°=0.707であり、cos135°=−0.707である。したがって、第2の出力信号V2(V2=φcosθ)の絶対値|V2|が0.707・φ以下であれば、第2の回転角θ2は逆トルク発生可能性有り領域P1にあると判定できる。そして、第2の出力信号V2の絶対値|V2|が0.707・φより大きければ、第2の回転角θ2は逆トルク発生可能性無し領域P2にあると判定できる。
ゲイン演算部35は、第1の磁気センサ4が故障していると判定された場合には、次式(4),(5)に基づいて、第2ゲインG2を算出する。
|V2|/φ≦0.707であるとき;
G2=0 …(4)
|V2|/φ>0.707であるとき;
G2={(|V2|/φ)−0.707}/(1−0.707) …(5)
第2の回転角θ2が、逆トルク発生可能性有り領域P1(45°〜135°)内にある場合には、前記式(4)により、G2=0となる。一方、第2の回転角θ2が、逆トルク発生可能性無し領域P2(0°〜45°,135°〜180°)内にある場合には、前記式(5)により、第2ゲインG2が演算される。前記式(5)によれば、cosθの絶対値(|V2|/φ)が0.707のときにはG2=0となり、cosθの絶対値が1のときにはG2=1となる。そして、cosθの絶対値が大きくなるほど、第2ゲインG2は大きくなる。したがって、第2の回転角θ2が、0°〜45°の領域内にある場合には、第2の回転角θ2が大きくなるに従って、第2ゲインG2は小さくなる。また、第2の回転角θ2が、135°〜180°の領域内にある場合には、第2の回転角θ2が大きくなるに従って、第2ゲインG2は大きくなる。なお、第2の出力信号V2の値に応じた第2ゲインを記憶したマップと、第2の出力信号V2の値とに基づいて第2ゲインを演算するようにしてもよい。
第1の磁気センサ4が故障していると判定された場合には、指示電流値生成部21によって生成された指示電流値Idq に第2のゲインG2が乗算されることにより、最終的な指示電流値G・Idq が演算される。そして、この最終的な指示電流値G・Idq と二相検出電流値Idqとの偏差が零になるように、相電流I,I,Iが制御される。
図9は、第1の磁気センサ4が故障したときに、ゲイン補正後の指示電流値G・Idq および第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御した場合の、実回転角θに対する第2ゲインG2、相電流I,I,IおよびモータトルクTを示している。
第2の回転角θ2が逆トルク発生可能性有り領域P1(θ2=45°〜135°)内にあるときには、第2ゲインG2は零となる。これにより、図9に示すように、実回転角θが、45°〜135°の領域内にあるときおよび225°〜315°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は零となるので、モータ3の相電流I,I,IおよびモータトルクTが零となる。
一方、第2の回転角θ2が逆トルク発生可能性無し領域A2(θ2=0°〜45°またはθ2=135°〜180°)内にあるときには、第2ゲインG2は前記(5)に従って演算された値となる。これにより、図9に示すように、実回転角θが0°〜45°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが0°のときに1となり、実回転角θが45°のときに0となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に小さくなる。このため、実回転角θが0°〜45°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値G・I の絶対値が徐々に小さくなる。これにより、実回転角θが0°〜45°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に小さくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
第2の回転角θ2の0°は実回転角θの0°または360°に対応し、第2の回転角θ2の45°は実回転角θの45°または315°に対応する。つまり、実回転角θが360°であるときには第2の回転角θは0°となり、実回転角θが315°であるときには第2の回転角θは45°となる。したがって、図9に示すように、実回転角が315°〜360°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが315°のときに0となり、実回転角θが360°のときに1となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に大きくなる。このため、実回転角θが315°〜360°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値G・I の絶対値が徐々に大きくなる。これにより、実回転角θが315°〜360°の範囲内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に大きくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
また、図9に示すように、実回転角θが135°〜180°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが135°のときに0となり、実回転角θが180°のときに1となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に大きくなる。このため、実回転角θが135°〜180°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値I の絶対値が徐々に大きくなる。これにより、実回転角θが135°〜180°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に大きくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
第2の回転角θ2の135°は実回転角θの135°または225°に対応し、第2の回転角θ2の180°は実回転角θの180°に対応する。つまり、実回転角θが225°であるときには第2の回転角θ2は135°となり、実回転角θが180°であるときには第2の回転角θ2は180°となる。したがって、図9に示すように、実回転角θが180°〜225°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θ2が180°のときに1となり、実回転角θが225°のときに0となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に小さくなる。このため、実回転角θが180°〜225°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値G・I が徐々に小さくなる。これにより、実回転角θが180°〜225°の範囲内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に小さくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
次に、センサ故障判定部32によって、第2の磁気センサ5が故障したと判定された場合の、第2の回転角演算部33およびゲイン演算部34の動作について説明する。第2の磁気センサ5が故障した場合には、第2の回転角演算部33は、第1の磁気センサ4の出力信号V1(V1=φsinθ)を用い、次式(6)に基づいて、第2の回転角θ2を演算する。
θ2=sin−1(V1/φ) …(6)
ただし、sin−1(V1/φ)は、0°〜90°(0°≦θ2≦90°)または270°〜360°(270°≦θ2<360°)の範囲内の角度として求められる。具体的には、V1≧0であれば、sin−1(V1/φ)は、0°〜90°(0°≦θ2≦90°)の範囲内の角度として求められる。一方、V1<0であれば、sin−1(V1/φ)は、270°〜360°(270°≦θ2<360°)の範囲内の角度として求められる。
図10は、第1の磁気センサ4の出力信号V1(V1=φsinθ)の波形を示している。ただし、図10では、φ=1としている。図10に示すように、前記式(6)に基づいて第2の回転角θ2を求めた場合、実回転角θが0°〜90°および270°〜360°の第1の回転角領域R内にあるのか、90°〜270°の第2の回転角領域S内にあるのか不明である。より具体的は、第2の回転角演算部33によって演算された第2の回転角θ2が0°〜90°の範囲内の回転角である場合には、実回転角θが0°〜90°の範囲内の回転角であるのか、90°〜180°の範囲内の回転角であるのか不明である。たとえば、第2の回転角θ2が45°である場合、実際のロータ50の回転角が45°であるのか、135°(=180°−θ2)であるのか不明である。また、第2の回転角θ2が270°〜360°の範囲内の回転角である場合には、実回転角θが270°〜360°の範囲内の回転角であるのか、180°〜270°の範囲内の回転角であるのか不明である。たとえば、第2の回転角θ2が315°である場合、実回転角θが315°であるのか、225°(=540°−θ2)であるのか不明である。
つまり、第2の回転角演算部33は、この実施形態では、第1の出力信号V1から予測される第1の回転角領域R内の第1の回転角候補θおよび第2の回転角領域S内の第2の回転角候補θ(θ=180°−θ(0°≦θ≦90°)またはθ=540°−θ(270°≦θ<360°))のうち、第1の回転角候補θを第2の回転角θ2として演算する。
第2の回転角演算部33は、第1の回転角領域R内の第1の回転角候補θを第2の回転角θ2として演算しているため、実回転角θが第2の回転角領域S内にある場合には、第2の回転角θは実回転角θとは異なった回転角となる。したがって、実回転角が第2の回転角領域S内にある場合に、指示電流値Idq をゲイン補正せずに、第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御すると、適切なモータトルクTを発生できなくなる。
図11は、指示電流値Idq をゲイン補正せずに第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御した場合の、実回転角θに対する相電流I,I,IおよびモータトルクTを示している。図11に示すように、指示電流値Idq をゲイン補正せずに第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御した場合には、実回転角θが135°〜225°の範囲にあるときには、本来発生されるべきモータトルクに対して逆方向のモータトルクTが発生されてしまう。そうすると、操舵補助力が適切な方向とは反対の方向に作用するため、操舵トルクが重くなってしまう。
そこで、本実施形態では、第2の回転角θ2が、本来発生されるべきモータトルクに対して逆方向のモータトルクが発生される可能性のある回転角領域(逆トルク発生可能性有り領域)内にあるときには、モータトルクが零となるように、指示電流値Idq がゲイン補正される。また、第2の回転角θ2が、本来発生されるべきモータトルクと同方向のトルクを発生できる回転角領域(逆トルク発生可能性無し領域)内にあるときには、滑らかにモータトルクが変化するように、指示電流値Idq がゲイン補正される。このようなゲイン補正を行なうために、ゲイン演算部35、第2スイッチ36およびゲイン乗算部22が設けられている。
逆トルク発生可能性有り領域は、第2の回転角θ2として演算され得る回転角領域0°〜90°および270°〜360°のうち、実回転角θが135°〜225°の範囲に存在する可能性がある領域であるので、θ2=0°〜45°およびθ2=315°〜360°の領域となる。一方、逆トルク発生可能性無し領域は、第2の回転角θ2として演算され得る回転角領域0°〜90°および270°〜360°のうち、θ2=0°〜45°およびθ2=315°〜360°の角度領域を除いた領域となるので、θ2=45°〜90°の領域およびθ2=270°〜315°の領域とからなる。
図10において、逆トルク発生可能性有り領域はR1で示され、逆トルク発生可能性無し領域はR2で示されている。sin45°=0.707であり、sin315°=−0.707である。したがって、出力信号V1(V1=φsinθ)の絶対値|V1|が0.707・φ以下であれば、第2の回転角θ2は逆トルク発生可能性有り領域R1にあると判定できる。そして、出力信号V1の絶対値|V1|が0.707・φより大きければ、第2の回転角θ2は逆トルク発生可能性無し領域R2にあると判定できる。
ゲイン演算部35は、第2の磁気センサ5が故障していると判定された場合には、次式(7),(8)に基づいて、第2ゲインG2を算出する。
|V1|/φ≦0.707であるとき;
G2=0 …(7)
|V1|/φ>0.707であるとき;
G2={(|V1|/φ)−0.707}/(1−0.707) …(8)
第2の回転角θ2が、逆トルク発生可能性有り領域R1(0°〜45°,315°〜360°)内にある場合には、前記式(7)により、G2=0となる。一方、第2の回転角θ2が、逆トルク発生可能性無し領域R2(45°〜90°,270°〜315°)内にある場合には、前記式(8)により、第2ゲインG2が演算される。前記式(8)によれば、sinθの絶対値(|V1|/φ)が0.707のときにはG2=0となり、sinθの絶対値が1のときにはG2=1となる。そして、sinθの絶対値が大きくなるほど、第2ゲインG2は大きくなる。したがって、第2の回転角θ2が、45°〜90°の領域内にある場合には、第2の回転角θ2が大きくなるに従って、第2ゲインG2は大きくなる。また、第2の回転角θ2が、270°〜315°の領域内にある場合には、第2の回転角θ2が大きくなるに従って、第2ゲインG2は小さくなる。なお、第1の出力信号V1の値に応じた第2ゲインを記憶したマップと、第1の出力信号V1の値とに基づいて第2ゲインを演算するようにしてもよい。
第2の磁気センサ5が故障していると判定された場合には、指示電流値生成部21によって生成された指示電流値Idq に第2のゲインG2が乗算されることにより、最終的な指示電流値G・Idq が演算される。そして、この最終的な指示電流値G・Idq と二相検出電流値Idqとの偏差が零になるように、相電流I,I,Iが制御される。
図12は、第2の磁気センサ5が故障したときに、ゲイン補正後の指示電流値G・Idq および第2の回転角θ2に基づいてモータ3を制御した場合の、実回転角θに対する第2ゲインG2、相電流I,I,IおよびモータトルクTを示している。
第2の回転角θ2が逆トルク発生可能性有り領域R1(0°〜45°,315°〜360°)内にあるときには、G2=0となるため、最終的なq軸指示電流値G・I は零となる。これにより、図12に示すように、実回転角θが、0°〜45°の領域内、315°〜360°の領域内および135°〜225°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は零となるから、モータ3の相電流I,I,IおよびモータトルクTが零となる。
一方、第2の回転角θ2が逆トルク発生可能性無し領域R2(θ2=45°〜90°またはθ2=270°〜315°)内にあるときには、第2ゲインG2は前記(8)に従って演算された値となる。これにより、図12に示すように、実回転角θが45°〜90°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが45°のときに0となり、実回転角θが90°のときに1となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に大きくなる。このため、実回転角θが45°〜90°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値G・I の絶対値が徐々に大きくなる。これにより、実回転角θが45°〜90°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従ってモータトルクTが徐々に大きくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
第2の回転角θ2の45°は実回転角θの45°または135°に対応し、第2の回転角θ2の90°は実回転角θの90°に対応する。つまり、実回転角θが135°であるときには第2の回転角θは45°となり、実回転角θが90°であるときには第2の回転角θは90°となる。したがって、図12に示すように、実回転角θが90°〜135°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが90°のときに1となり、実回転角θが135°のときに0となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に小さくなる。このため、実回転角θが90°〜135°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値I の絶対値が徐々に小さくなる。これにより、実回転角θが90°〜135°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に小さくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
また、図12に示すように、実回転角θが270°〜315°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが270°のときに1となり、実回転角θが315°のときに0となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に小さくなる。このため、実回転角θが270°〜315°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値G・I の絶対値が徐々に小さくなる。これにより、実回転角θが270°〜315°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に小さくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
第2の回転角θ2の270°は実回転角θの270°に対応し、第2の回転角θ2の315°は実回転角θの315°または225°に対応する。つまり、実回転角θが270°であるときには第2の回転角θ2は270°となり、実回転角θが225°であるときには第2の回転角θ2は315°となる。したがって、図12に示すように、実回転角θが225°〜270°の領域内にあるときには、第2ゲインG2は、実回転角θが225°のときに0となり、実回転角θが270°のときに1となる。そして、これらの回転角の間においては、第2ゲインG2は、実回転角θが大きくなるに従って徐々に大きくなる。このため、実回転角θが225°〜270°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って最終的なq軸指示電流値I の絶対値が徐々に大きくなる。これにより、実回転角θが225°〜270°の領域内にあるときには、実回転角θが大きくなるに従って、モータトルクTが徐々に大きくなる。これにより、モータトルクTが滑らかに変化する。
第1の実施形態によれば、2つの磁気センサ4,5のうちの一方が故障した場合にも、モータ3を駆動させることができるようになる。
図13は、この発明の第2の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。図13において、図1の各部に対応する部分には、図1と同じ参照符合を付してある。
第2の実施形態では、指示電流値生成部21とゲイン乗算部22との間に、dq/UVW変換部28が設けられている。第1の実施形態において備えられていたdq/UVW変換部25およびUVW/dq変換部27は、第2の実施形態では備えられていない。第1スイッチ34によって選択された回転角(変換角)θは、dq/UVW変換部28に与えられる。
dq/UVW変換部28は、指示電流値生成部21によって生成された2相指示電流値Idq を、U相指示電流値I 、V相指示電流値I およびW相指示電流値I (以下、これらを総称するときには「三相指示電流値IUVW 」という。)に変換する。この座標変換には、第1スイッチ34によって選択された変換角θが用いられる。
このような構成によって、ステアリングホイール10に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、トルクセンサ1によって検出された操舵トルクおよび車速センサ7によって検出された車速に応じた指示電流値Idq が指示電流値生成部21によって生成される。この指示電流値Idq は、dq/UVW変換部28によって三相指示電流値IUVW に変換される。この三相指示電流値IUVW に第2スイッチ36によって選択されたゲインG(第1ゲインG1または第2ゲインG2)が乗算されることにより、最終的な指示電流値G・IUVW が生成される。
センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されていない場合には、三相指示電流値IUVW に第1ゲインG1(G1=1)が乗算されることにより、最終的な指示電流値G・IUVW が生成される。一方、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されている場合には、三相指示電流値IUVW に第2ゲインG2が乗算されることにより、最終的な指示電流値G・IUVW が生成される。
この最終的な指示電流値G・IUVW と三相検出電流IUVWとの偏差が電流偏差演算部23によって求められる。この偏差を零に導くようにPI制御部24によるPI演算が行なわれ、この演算結果に対応した三相指示電圧VUVW がPI制御部24から出力される。そして、PWM制御部26の働きによって、その三相指示電圧VUVW に応じたデューティ比で駆動回路12が動作することによって、モータ3が駆動され、最終的な指示電流値G・IUVW に対応したモータトルク(アシストトルク)が舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクおよび車速に応じて操舵補助を行うことができる。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様な効果が得られる。
図14は、この発明の第3の実施形態に係るモータ制御装置を適用した電動パワーステアリング装置の電気的構成を説明するためのブロック図である。図14において、図1の各部に対応する部分には、図1と同じ参照符合を付してある。
第3の実施形態では、第1の実施形態におけるゲイン乗算部22、ゲイン演算部35および第2スイッチ36は備えられていない。一方、第3の実施形態では、機能処理部として、目標モータトルク生成部20および実モータトルク演算部37が追加されている。また、第3の実施形態における指示電流値生成部21Aは、第1の実施形態における指示電流値生成部21とはその動作が異なる。また、第3の実施形態における第2の回転角演算部33Aは、第1の実施形態における第2の回転角演算部33とはその動作が異なる。
目標モータトルク生成部20は、トルクセンサ1により検出される操舵トルク(検出操舵トルク)Tと、車速センサ7により検出される車速とに基づいて目標モータトルクT を生成する。具体的には、目標モータトルク生成部20は、車速毎に予め設定された検出操舵トルクTに対する目標モータトルクT の関係に基づいて、検出された車速および操舵トルクに応じた目標モータトルクT を生成する。車速毎に予め設定された検出操舵トルクTと目標モータトルクT との関係は、たとえば、図3における車速別の検出操舵トルクTに対するq軸指示電流値I の関係にほぼ対応したものとなる。
具体的には、検出操舵トルクTは、たとえば右方向への操舵のためのトルクが正の値にとられ、左方向への操舵のためのトルクが負の値にとられている。また、目標モータトルクT は、モータ3から右方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには正の値とされ、モータ3から左方向操舵のための操舵補助力を発生させるべきときには負の値とされる。目標モータトルクT は、検出操舵トルクTの正の値に対しては正をとり、検出操舵トルクTの負の値に対しては負をとる。検出操舵トルクTが−T1〜T1(図3参照。たとえば、T1=0.4N・m)の範囲(トルク不感帯)の微小な値のときには、目標モータトルクT は零とされる。また、目標モータトルクT は、車速センサ7によって検出される車速が大きいほど、その絶対値が小さく設定されるようになっている。これにより、低速走行時には大きな操舵補助力を発生させることができ、高速走行時には操舵補助力を小さくすることができる。目標モータトルク生成部20によって生成された目標モータトルクT は、指示電流値生成部21Aに与えられるとともに、第2の回転角演算部33Aに与えられる。
指示電流値生成部21Aは、dq座標系の座標軸に流すべき電流値を指示電流値として生成するものである。具体的には、d軸指示電流値I およびq軸指示電流値I (以下、これらを総称するときには「二相指示電流値Idq 」という。)を生成する。さらに具体的には、指示電流値生成部21Aは、q軸指示電流値I を有意値とする一方で、d軸指示電流値I を零とする。より具体的には、指示電流値生成部21Aは、目標モータトルク生成部20によって生成された目標モータトルクT を、モータ3のトルク定数Kで除算することによって、q軸指示電流値I を求める。指示電流値生成部21Aによって生成された二相指示電流値Idq は、電流偏差演算部23に与えられる。
実モータトルク演算部37は、UVW/dq変換部27によって得られる二相検出電流Idqに基づいて、モータトルク(実モータトルク)Tを演算する。具体的には、実モータトルク演算部37は、UVW/dq変換部27によって得られるq軸検出電流Iに、モータ3のトルク定数Kを乗算することによって、実モータトルクTを演算する。実モータトルク演算部37によって演算された、実モータトルクTは、第2の回転角演算部33Aに与えられる。
第2の回転角演算部33Aは、センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されたときに、正常な1つの磁気センサの出力信号と、目標モータトルクT と、実モータトルクTとに基づいて、第2の回転角θ2を演算する。第2の回転角演算部33Aの動作の詳細については、後述する。
このような構成において、ステアリングホイール10に操舵トルクが加えられると、これがトルクセンサ1によって検出される。そして、トルクセンサ1によって検出された操舵トルクおよび車速センサ7によって検出された車速に応じた目標モータトルクT が目標モータトルク生成部20によって生成される。そして、この目標モータトルクT に応じた指示電流値Idq が指示電流値生成部21Aによって生成される。
この指示電流値Idq と二相検出電流Idqとの偏差が電流偏差演算部23によって求められる。この偏差を零に導くようにPI制御部24によるPI演算が行なわれ、この演算結果に対応した二相指示電圧Vdq がPI制御部24から出力される。この二相指示電圧Vdq は、dq/UVW変換部25によって、三相指示電圧VUVW に変換される。そして、PWM制御部26の働きによって、その三相指示電圧VUVW に応じたデューティ比で駆動回路12が動作することによって、モータ3が駆動され、最終的な指示電流値Idq に対応したモータトルク(アシストトルク)が舵取り機構2に与えられることになる。こうして、操舵トルクおよび車速に応じて操舵補助を行うことができる。
センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出されていない場合には、UVW/dq変換部27による座標変換およびdq/UVW変換部25による座標変換には、第1の回転角演算部31によって演算された第1の演算角θ1が用いられる。センサ故障判定部32によってセンサ故障が検出された場合には、これらの座標変換には、第2の回転角演算部33Aによって演算された第2の演算角θ2が用いられる。つまり、センサ故障判定部32は、センサ故障を検出した場合には、第2の回転角演算部33Aによって演算された第2の演算角θ2が第1スイッチ34によって選択されるように、第1スイッチ34を切り替える。
第2の回転角演算部33Aの動作について詳しく説明する。センサ故障判定部32によって、第2の磁気センサ5に故障が発生したと判定された場合には、第2の回転角演算部33Aは、第1の磁気センサ4の出力信号V1(V1=φsinθ)と、目標モータトルクT と、実モータトルクTとに基づいて、第2の回転角θ2を演算する。
具体的には、第2の回転角演算部33Aは、まず、第1の磁気センサ4の出力信号V1(V1=φsinθ)からロータ50の回転角(以下、「推定回転角θ」という。)を演算する。そして、目標モータトルクT と実モータトルクTとの偏差に基づいて推定回転角θを補正することにより、第2の回転角θ2を演算する。
推定回転角θは、次式(9)に基づいて演算される。
θ=sin−1(V1/φ) …(9)
ただし、sin−1(V1/φ)は、0°〜90°(0°≦θ2≦90°)または270°〜360°(270°≦θ2<360°)の範囲内の角度として求められる。具体的には、sin−1(V1/φ)は、0°〜90°(0°≦θ2≦90°)の範囲内の角度として求められる。一方、V1<0であれば、sin−1(V1/φ)は、270°〜360°(270°≦θ2<360°)の範囲内の角度として求められる。図10を参照して、推定回転角θは、第1の出力信号V1から予測される第1の回転角領域R内の第1の回転角候補θおよび第2の回転角領域S内の第2の回転角候補θ(θ=180°−θ(0°≦θ≦90°)またはθ=540°−θ(270°≦θ<360°))のうちの、第1の回転角候補θである。
図15は、実回転角θに対する第1の出力信号V1の波形と実回転角θに対する推定回転角θ(θ=sin−1(V1/φ))を示している。実回転角θが0°〜90°の範囲内または270°〜360°の範囲内にある場合には、推定回転角θは実回転角θと等しくなる。一方、実回転角θが90°〜270°の範囲内にある場合には、推定回転角θは実回転角θと等しくならない。
図16は、推定回転角θに基づいてモータ3を制御した場合の、実回転角θに対する目標モータトルクT および実モータトルクTを示している。推定回転角θに基づいてモータ3を制御した場合には、実回転角θが90°〜270°の範囲内にある場合には、実モータトルクTは目標モータトルクT に比べて低下してしまう。
そこで、第2の回転角演算部33Aは、目標モータトルクT と実モータトルクTとの偏差が大きくなる回転角においては、目標モータトルクT と実モータトルクTとの偏差に応じて推定回転角θを補正する。
図17は、第2の磁気センサ5の故障が検出された場合における第2の回転角演算部33Aの動作を示すフローチャートである。
第2の回転角演算部33Aは、まず、初期設定を行う。つまり、第2の回転角演算部33Aは、角度補正値を表す変数Δθを零に設定するともに(ステップS21)、フラグflagを零に設定する(ステップS22)。
第2の回転角演算部33Aは、フラグflagが零であるか否かを判別する(ステップS23)。フラグflagが零である場合には(ステップS23:YES)、第2の回転角演算部33Aは、推定回転角θ(θ=sin−1(V1/φ))を、第2の回転角θ2としてそのまま出力する(ステップS24)。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。
そして、第2の回転角演算部33Aは、目標モータトルクT と実モータトルクTとの偏差の絶対値(以下、「トルク偏差|T −T|」という。)が所定のしきい値D(D>0)以上であるか否かを判別する(ステップS25)。しきい値Dは、たとえば、0.5Nm程度に設定される。トルク偏差|T −T|がしきい値D未満であるときには(ステップS25:NO)、ステップS23に戻る。
前記ステップS25において、トルク偏差|T −T|がしきい値D以上であると判別されたときには(ステップS25:YES)、第2の回転角演算部33Aは、フラグflagを1に設定した後(ステップS26)、ステップS23に戻る。
ステップS23において、フラグflagが0でないと判別された場合には(ステップS23:NO)、第2の回転角演算部33Aは、フラグflagが1であるか否かを判別する(ステップS27)。フラグflagが1である場合には(ステップS27:YES)、第2の回転角演算部33Aは、今回の角度補正値Δθを次式(10)に基づいて、演算する(ステップS28)。
Δθ=|T −T|×K …(10)
前記式(10)においてK(K>0)は乗算係数である。角度補正値Δθは、トルク偏差|T −T|が大きいほど、大きな値となる。この後、第2の回転角演算部33Aは、フラグflagを2に設定する(ステップS29)。そして、ステップS30に移行する。
ステップS30においては、第2の回転角演算部33Aは、第1の出力信号V1が零以上であるか否かを判別する。V1≧0であれば(ステップS30:YES)、第2の回転角演算部33Aは、次式(11)に基づいて、第2の回転角θ2を演算する(ステップS31)。
θ2=θ+Δθ …(11)
つまり、第2の回転角演算部33Aは、推定回転角θに今回の角度補正値Δθを加算することにより、推定回転角θを補正する。この補正後の推定回転角が第2の回転角θ2として出力される。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。この後、第2の回転角演算部33Aは、今回の角度補正値Δθを、前回の角度補正値Δθn−1として記憶した後(ステップS33)、ステップS23に戻る。
前記ステップS30において、V1<0であると判別された場合には(ステップS30:NO)、第2の回転角演算部33Aは、次式(12)に基づいて、第2の回転角θ2を演算する(ステップS32)。
θ2=θ−Δθ …(12)
つまり、第2の回転角演算部33Aは、推定回転角θから今回の角度補正値Δθを減算することにより、推定回転角θを補正する。この補正後の推定回転角が第2の回転角θ2として出力される。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。この後、第2の回転角演算部33Aは、今回の角度補正値Δθを、前回の角度補正値Δθn−1として記憶した後(ステップS33)、ステップS23に戻る。
前記ステップS27において、フラグflagが1でないと判別された場合には(ステップS27:NO)、つまり、フラグflagが2である場合には、第2の回転角演算部33Aは、トルク偏差|T −T|がしきい値D未満であるか否かを判別する(ステップS34)。トルク偏差|T −T|がしきい値D未満であるときには(ステップS34:YES)、第2の回転角演算部33Aは、今回の角度補正値Δθとして、前回の角度補正値Δθn−1を設定した後(ステップS35)、ステップS30に移行する。
前記ステップS34において、トルク偏差|T −T|がしきい値D以上であると判別された場合には(ステップS34:NO)、第2の回転角演算部33Aは、今回の角度補正値Δθを零に設定するとともに(ステップS36)、フラグflagを零に設定した後(ステップS37)、ステップS30に移行する。
図15を参照して、実モータ角θが0°〜90°または270°〜360°の範囲内にある場合には、推定回転角θは実モータ角θとほぼ等しいため、トルク偏差|T −T|はしきい値D未満となる。したがって、実モータ角θが0°〜90°または270°〜360°の範囲内にある場合には、ステップS23〜S25の処理が繰り返される。
実モータ角θが90°〜270°の範囲内にある場合には、推定回転角θは実モータ角θとは異なる値となるため、トルク偏差|T −T|が大きくなる。実モータ角θが90°〜270°の範囲内の回転角となり、トルク偏差|T −T|がしきい値D以上になると、前記ステップS25でYESとなるから、フラグflagが1に設定される(ステップS26参照)。
そうすると、ステップS27でYESとなるから、前記式(10)に基づいて、角度補正値Δθが演算される(ステップS28参照)。角度補正値Δθは、トルク偏差|T −T|が大きいほど大きな値となるので、係数Kを調整することにより、たとえば、図15にΔθで示すような値とすることができる。そして、フラグflagが2に設定された後(ステップS29参照)、角度補正値Δθに基づいて推定回転角θが補正される(前記ステップS31,32参照)。
実モータ角θが90°〜180°の範囲内の回転角である場合には、出力信号V1は零以上となるため、推定回転角θに角度補正値Δθが加算されることによって、推定回転角θが補正される(ステップS31参照)。そして、補正後の推定回転角が第2の回転角θ2として出力される。補正後の回転角θ2は、推定回転角θに角度補正値Δθが加算された回転角となるため、図15に破線aで示される回転角に近い値となる。このため、補正後の回転角θ2は、実回転角θに近い値となる。これにより、実モータトルクTを目標モータトルクT に近づけることができる。この後、今回の角度補正値Δθが前回の角度補正値Δθn−1として記憶される(ステップS33参照)。
一方、実モータ角θが180°〜270°の範囲内の回転角である場合には、出力信号V1は零未満となるため、推定回転角θから角度補正値Δθが減算されることによって、推定回転角θが補正される(ステップS31参照)。そして、補正後の推定回転角が第2の回転角θ2として出力される。補正後の回転角θ2は、推定回転角θから角度補正値Δθが減算された回転角となるため、図15に破線bで示される回転角に近い値となる。このため、補正後の回転角θ2は、実回転角θに近い値となる。これにより、実モータトルクTを目標モータトルクT に近づけることができる。この後、今回の角度補正値Δθが前回の角度補正値Δθn−1として記憶される(ステップS33参照)。
このように、ステップS28によって演算された角度補正値Δθに基づいて推定回転角θが補正された直後においては、フラグflagは2に設定されている(ステップS29参照)。このため、ステップS23,S27でNOとなるから、ステップS34に進む。
ステップS28によって演算された角度補正値Δθに基づいて推定回転角θが補正されたことによって、トルク偏差|T −T|がしきい値D未満となった場合には、ステップS34でYESとなる。この場合には、前回の角度補正値Δθn−1と同じ角度補正値を用いて、推定回転角θが補正されることになる(ステップS35,S30〜S33参照)。したがって、補正後の回転角θ2は、前回の補正後の回転角と近い値となる。
一方、ステップS28によって演算された角度補正値Δθに基づいて推定回転角θが補正されたにもかかわらず、トルク偏差|T −T|がしきい値D以上である場合には、実モータ角θが90°〜270°の範囲外の角度になった可能性がある。そこで、角度補正値Δθが一旦、零にされるとともに、フラグflagが零に設定される(ステップS36,S37参照)。そして、零の角度補正値Δθに基づいて推定回転角θが補正されるから(ステップS30〜S33参照)、推定回転角θに基づいてモータ3が制御されることになる。
この後、ステップS23でYESとなるから、推定回転角θが演算されて出力され、トルク偏差|T −T|がしきい値D以上か否かが判別されることになる(ステッブS24,S25参照)。実モータ角θが90°〜270°の範囲外の角度になっている場合には、トルク偏差|T −T|がしきい値D未満となる。このため、ステップS23〜S25の処理が繰り返されることになる。一方、実モータ角θが90°〜270°の範囲内の角度である場合には、トルク偏差|T −T|がしきい値D以上となり、ステップS26でflagが1に設定されるので、ステップS28以降の処理が行なわれることになる。
第3の実施形態では、第2の磁気センサ5が故障した場合でも、モータ3を駆動することができるようになる。なお、図17のステップS25およびステップS34のトルク偏差|T −T|の代わりに、q軸指示電流値I とq軸検出電流Iとの偏差の絶対値|I −I|を用いてもよい。この場合には、図14の実モータトルク演算部37は不要である。また、この場合には、図14の目標モータトルク生成部20および指示電流値生成部21Aの代わりに、図1の指示電流値生成部21を用いることができる。
図18および図19は、第2の回転角演算部33Aの変形例を説明するためのフローチャートである。
図18は、第2の磁気センサ5が故障した場合における第2の回転角演算部33Aの動作を示すフローチャートである。図18の処理は、所定の演算周期毎に繰り返される。
まず、第2の回転角演算部33Aは、次式(13)に基づいて、回転角(以下、「推定回転角θ」という)を演算する(ステップS41)。
θ=sin−1(V1/φ)…(13)
ただし、sin−1(V1/φ)は、0°〜90°(0°≦θ2≦90°)または270°〜360°(270°≦θ2<360°)の範囲内の角度として求められる。具体的には、V1≧0であれば、sin−1(V1/φ)は、0°〜90°(0°≦θ2≦90°)の範囲内の角度として求められる。一方、V1<0であれば、sin−1(V1/φ)は、270°〜360°(270°≦θ2<360°)の範囲内の角度として求められる。図10を参照して、推定回転角θは、第1の出力信号V1から予測される第1の回転角領域R内の第1の回転角候補θおよび第2の回転角領域S内の第2の回転角候補θ(θ=180°−θ(0°≦θ≦90°)またはθ=540°−θ(270°≦θ<360°))のうちの、第1の回転角候補θである。
次に、第2の回転角演算部33Aは、目標モータトルクT と実モータトルクTとの偏差の絶対値(トルク偏差|T −T|)が所定のしきい値E(E>0)を超えているか否かを判別する(ステップS42)。しきい値Eは、たとえば、0.5Nm程度に設定される。
トルク偏差|T −T|がしきい値E以下である場合には(ステップS42:NO)、第2の回転角演算部33Aは、フラグflag1が0であるか否かを判別する(ステップS43)。フラグflag1は、モータ制御に用いられている第2の回転角θ2が図10に示される第1の回転角領域R内の角度であるか、図10に示される第2の回転角領域S内の角度であるかを記憶するためのフラグである。具体的には、第2の回転角θ2が第1の回転角領域R内の角度である場合にはフラグflag1は0となり、第2の回転角θ2が第2の回転角領域S内の角度である場合にはフラグflag1は1となる。フラグflag1の初期値は0である。
フラグflag1が0であれば(ステップS43:YES)、第2の回転角演算部33Aは、前記ステップS41で演算された推定回転角θを第2の回転角θ2として出力する(ステップS44)。この場合には、第2の回転角θ2は、第1の回転角領域R内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag1を0に設定した後(ステップS45)、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS43において、フラグfla1gが1であると判別された場合には(ステップS43:NO)、第2の回転角演算部33Aは、次式(14)に基づいて、第2の回転角θ2を演算して出力する(ステップS46)。
0°≦θ≦90°である場合;
θ2=180°−θ
270°≦θ<360°である場合;
θ2=540°−θ …(14)
この場合には、第2の回転角θ2は、第2の回転角領域S内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag1を1に設定した後(ステップS47)、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS42において、トルク偏差|T −T|がしきい値Eを超えていると判別されたときには(ステップS42:YES)、第2の回転角演算部33Aは、フラグflag1が0であるか否かを判別する(ステップS48)。フラグflag1が0であるときには(ステップS48でYES)、第2の回転角演算部33Aは、前記式(14)に基づいて、第2の回転角θ2を演算する(ステップS49)。この場合には、第2の回転角θ2は、第2の回転角領域S内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag1を1に設定した後(ステップS50)、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS48において、フラグflag1が1であると判別された場合には(ステップS48:NO)、第2の回転角演算部33Aは、前記ステップS41で演算された回転角θを第2の回転角θ2として出力する(ステップS51)。この場合には、第2の回転角θ2は、第1の回転角領域R内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflagを0に設定した後(ステップS52)、今演算周期での処理を終了する。
実回転角θが図10に示される第1の回転角領域R内にある場合には、ステップS41によって演算された回転角θは実回転角θとほぼ等しくなる。したがって、実回転角θが第1の回転角領域R内にある場合には、演算周期毎に、ステップS41〜S45の処理が行なわれる。
実回転角θが第1の回転角領域R内から第2の回転角領域S内へ変化した場合には、第2の回転角θ2(この場合には、θ2=θ)は実回転角θと等しくならなくなる。このため、トルク偏差|T −T|が大きくなる。トルク偏差|T −T|がしきい値Eを超えると、ステップS42でYESとなるため、ステップS48に移行する。この場合には、フラグflag1は0となっているため、ステップS48でYESとなるため、ステップS49に移行する。したがって、前記式(14)に基づいて、第2の回転角θ2が演算される。これにより、第2の回転角θ2は、第2の回転角領域S内の角度となり、実回転角θとほぼ等しくなる。このため、トルク偏差|T −T|がしきい値E以下になる。こうして、実モータ角θが第2の回転角領域S内にある場合には、各演算周期において、ステップS41,S42,S43,S46,S47の処理が実行される。
この後、実モータ角θが第2の回転角領域S内から第1の回転角領域R内に変化すると、第2の回転角θ2(この場合には、θ2=180−θまたはθ2=180−θ)は、実モータ角θと等しくならなくなる。このため、トルク偏差|T −T|が大きくなる。トルク偏差|T −T|がしきい値Eを超えると、ステップS42でYESとなるため、ステップS48に移行する。この場合には、フラグflag1は1となっているため、ステップS48でNOとなるため、ステップS51に移行する。したがって、ステップS41で演算された推定回転角θが第2の回転角θ2とされる。これにより、第2の回転角θ2は、第1の回転角領域R内の角度となり、実モータ角θとほぼ等しくなる。このため、トルク偏差|T −T|がしきい値E以下になる。こうして、実モータ角θが第1の回転角領域R内にある場合には、各演算周期において、ステップS41〜S45の処理が実行される。
図19は、第1の磁気センサ4が故障した場合における第2の回転角演算部33Aの動作を示すフローチャートである。図19の処理は、所定の演算周期毎に繰り返される。
まず、第2の回転角演算部33Aは、次式(15)に基づいて、回転角(以下、「推定回転角θ)という)を演算する(ステップS61)。
θ=cos−1(V2/φ)…(15)
ただし、cos−1(V2/φ)は、0°〜180°(0°≦θ2≦180°)の範囲内の角度として求められる。図7を参照して、推定回転角θは、、第2の出力信号V2から予測される第1の回転角領域P内の第1の回転角候補θおよび第2の回転角領域Q内の第2の回転角候補θ(θ=360°−θ)のうちの、第1の回転角候補θである。
次に、第2の回転角演算部33Aは、目標モータトルクT と実モータトルクTとの偏差の絶対値(トルク偏差|T −T|)が所定のしきい値E(E>0)を超えているか否かを判別する(ステップS62)。
トルク偏差|T −T|がしきい値E以下である場合には(ステップS62:NO)、第2の回転角演算部33Aは、フラグflag2が0であるか否かを判別する(ステップS63)。フラグflag2は、モータ制御に用いられている第2の回転角θ2が図7にPで示される第1の回転角領域P内の角度であるか、図7に示される第2の回転角領域Q内の角度であるかを記憶するためのフラグである。具体的には、第2の回転角θ2が第1の回転領域P内の角度である場合にはフラグflag2は0であり、第2の回転角θ2が第2の回転角領域Q内の角度である場合にはフラグflag2は1となる。フラグflag2の初期値は0である。
フラグflag2が0であれば(ステップS63:YES)、第2の回転角演算部33Aは、前記ステップS61で演算された推定回転角θを第2の回転角θ2として出力する(ステップS64)。この場合には、第2の回転角θ2は、第1の回転角領域P内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag2を0に設定した後(ステップS65)、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS63において、フラグflag2が1であると判別された場合には(ステップS63:NO)、第2の回転角演算部33Aは、次式(16)に基づいて、第2の回転角θ2を演算して出力する(ステップS46)。
θ2=360°−θ …(16)
この場合には、第2の回転角θ2は、第2の回転角領域Q内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag2を1に設定した後(ステップS67)、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS62において、トルク偏差|T −T|がしきい値Eを超えていると判別されたときには(ステップS62:YES)、第2の回転角演算部33Aは、フラグflag2が0であるか否かを判別する(ステップS68)。フラグflag2が0であるときには(ステップS68でYES)、第2の回転角演算部33Aは、前記式(16)に基づいて、第2の回転角θ2を演算する(ステップS69)。この場合には、第2の回転角θ2は、第2の回転角領域Q内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag2を1に設定した後(ステップS70)、今演算周期での処理を終了する。
前記ステップS68において、フラグflag2が1であると判別された場合には(ステップS68:NO)、第2の回転角演算部33Aは、前記ステップS61で演算された推定回転角θを第2の回転角θ2として出力する(ステップS71)。この場合には、第2の回転角θ2は、第1の回転角領域P内の角度となる。第2の回転角θ2は、第1スイッチ34を介してUVW/dq変換部27およびdq/UVW変換部25に変換角θとして与えられる。第2の回転角演算部33Aは、フラグflag2を0に設定した後(ステップS72)、今演算周期での処理を終了する。
実回転角θが図7に示される第1の回転角領域P内にある場合には、ステップS61によって演算された推定回転角θは実回転角θとほぼ等しくなる。したがって、実回転角θが第1の回転角領域P内にある場合には、演算周期毎に、ステップS61〜S65の処理が行なわれる。
実回転角θが第1の回転角領域P内から第2の回転角領域Q内へ変化した場合には、第2の回転角θ2(この場合には、θ2=θ)は実回転角θと等しくならなくなる。このため、トルク偏差|T −T|が大きくなる。トルク偏差|T −T|がしきい値Eを超えると、ステップS62でYESとなるため、ステップS68に移行する。この場合には、フラグflag2は0となっているため、ステップS68でYESとなるため、ステップS69に移行する。したがって、前記式(16)に基づいて、第2の回転角θ2が演算される。これにより、第2の回転角θ2は、第2の回転角領域Q内の角度となり、実回転角θと等しくなる。このため、トルク偏差|T −T|がしきい値E以下になる。こうして、実回転角θが第2の回転角領域Q内にある場合には、各演算周期において、ステップS61,S62,S63,S66,S67の処理が実行される。
この後、実回転角θが第2の回転角領域Q内から第1の回転角領域P内に変化すると、第2の回転角θ2(この場合には、θ2=360−θ)は、実回転角θと等しくならなくなる。このため、トルク偏差|T −T|が大きくなる。トルク偏差|T −T|がしきい値Eを超えると、ステップS62でYESとなるため、ステップS68に移行する。この場合には、フラグflag2は1となっているため、ステップS68でNOとなるため、ステップS71に移行する。したがって、ステップS61で演算された推定回転角θが第2の回転角θ2とされる。これにより、第2の回転角θ2は、第1の回転角領域P内の角度となり、実回転角θと等しくなる。このため、トルク偏差|T −T|がしきい値E以下になる。こうして、実回転角θが第1の回転角領域P内にある場合には、各演算周期において、ステップS61〜S65の処理が実行される。
この変形例によれば、第1の磁気センサ4および第2の磁気センサ5のうちの一方が故障した場合にも、他方の正常な磁気センサの出力信号に基づいて、モータ3を駆動することができる。なお、図18のステップS42および図19のステップS62のトルク偏差|T −T|の代わりに、q軸指示電流値I とq軸検出電流Iとの偏差の絶対値|I −I|を用いてもよい。この場合には、図14の実モータトルク演算部37は不要である。また、この場合には、図14の目標モータトルク生成部20および指示電流値生成部21Aの代わりに、図1の指示電流値生成部21を用いることができる。
以上、この発明の第1、第2および第3の実施形態について説明したが、この発明はさらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、ロータ50の回転角θを演算するために用いられる2つの正弦波信号V1(V1=φsinθ)およびV2(V2=φsin(θ+90°)=φcosθ)を出力するセンサとして、2つの磁気センサ4,5が用いられているが、これらの磁気センサ4,5の代わりに、sinθに応じた信号とcosθに応じた信号を出力するレゾルバを用いてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
この明細書からはさらに以下のような特徴が抽出され得る。
1.ブラシレスモータの回転に応じて互いに位相差を有する2つの正弦波信号を出力するセンサを含み、これらの正弦波信号に基づいて前記ブラシレスモータを制御するモータ制御装置であって、2つの正弦波信号のうちの一方に異常が発生した場合に、正常な正弦波信号から予測される第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方の回転角候補を、前記ブラシレスモータの回転角として推定する回転角推定手段と、前記回転角推定手段によって推定された回転角に基づいて、前記ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生されないように、前記ブラシレスモータを制御する制御手段と、を含むモータ装置。
この構成では、2つの正弦波信号のうちの一方に異常が発生した場合に、正常な正弦波信号から予測される第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方の回転角候補が、ブラシレスモータの回転角として推定される。そして、推定された回転角に基づいて、ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生されないように、ブラシレスモータが制御される。これにより、2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができるようになる。
2.前記制御手段は、前記回転角推定手段によって推定された回転角が、前記ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生される可能性がある第1の回転角領域内の回転角であるときには、前記ブラシレスモータの駆動電流を零にさせる手段と、前記回転角推定手段によって推定された回転角が、前記第1の回転角領域以外の第2の回転角領域内の回転角であるときには、前記回転角推定手段によって推定された回転角に基づいて前記ブラシレスモータを制御する手段と、を含む、前記1.に記載のモータ制御装置。
この構成では、回転角推定手段によって推定された回転角が、ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生される可能性がある第1の回転角領域内の回転角であるときには、ブラシレスモータの駆動電流が零にされる。これにより、逆方向のトルクが発生されるのを防止できる。一方、回転角推定手段によって推定された回転角が、第1の回転角領域以外の第2の回転角領域内の回転角であるときには、回転角推定手段によって推定された回転角に基づいてブラシレスモータが制御される。これにより、回転角推定手段によって推定された回転角が第2の回転角領域内の回転角であるときに、ブラシレスモータを駆動することができる。
3.前記制御手段は、目標モータトルクを設定するモータトルク設定手段と、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクに応じた指示電流値を生成する指示電流値生成手段と、前記ブラシレスモータに流れる電流を検出する電流検出手段と、前記ブラシレスモータによって発生している実モータトルクを検出するモータトルク検出手段と、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクと前記モータトルク検出手段によって検出される実モータトルクとの偏差に基づいて、前記回転角推定手段によって推定される回転角を補正する回転角補正手段と、前記回転角補正手段によって補正された回転角を用いて、前記電流検出手段によって検出される電流と前記指示電流値生成手段によって生成される指示電流値との偏差が零になるように、前記ブラシレスモータの駆動電流を制御する手段と、を含む前記1.に記載のモータ制御装置。
この構成では、回転角補正手段によって、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差に基づいて、回転角推定手段によって推定される回転角が補正される。そして、補正された回転角を用いて、電流検出手段によって検出される電流と指示電流値生成手段によって生成される指示電流値との偏差が零になるように、ブラシレスモータの駆動電流が制御される。
回転角推定手段によって推定された回転角が実際のブラシレスモータの回転角(実回転角)とほぼ等しい場合には、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差の絶対値(トルク偏差の絶対値)は小さくなる。一方、回転角推定手段によって推定された回転角が実回転角と異なる場合には、トルク偏差の絶対値は大きくなる。そこで、たとえば、回転角補正手段は、トルク偏差の絶対値が大きいときには、回転角推定手段によって推定された回転角をトルク偏差の絶対値に基づいて補正することにより、補正後の回転角を実回転角に近づけることが可能となる。これにより、2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができるようになる。
4.前記回転角補正手段は、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクと前記モータトルク検出手段によって検出される実モータトルクとの偏差に基づいて、前記第1の回転角候補および前記第2の回転角候補のうちの一方を補正後の回転角として選択するものである、前記3.に記載のモータ制御装置。
この構成では、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差に基づいて、第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方が補正後の回転角として選択される。回転角補正手段は、たとえば、第1の回転角候補に基づいてブラシレスモータの駆動電流が制御されている場合に、目標モータトルクと実モータトルクとの偏差の絶対値(トルク偏差の絶対値)が所定のしきい値より大きくなったときに第2の回転角候補を選択し、第2の回転角候補に基づいてブラシレスモータの駆動電流が制御されている場合に、トルク偏差の絶対値が所定のしきい値より大きくなったときに1の回転角候補を選択するものであってもよい。これにより、2つの正弦波信号のうちのいずれか一方に異常が発生した場合においても、正常な一つの正弦波信号に基づいて、ブラシレスモータを駆動することができる。
3…ブラシレスモータ,4,5…磁気センサ、34,36…スイッチ

Claims (2)

  1. ブラシレスモータの回転に応じて互いに位相差を有する2つの正弦波信号を出力するセンサを含み、これらの正弦波信号に基づいて前記ブラシレスモータを制御するモータ制御装置であって、
    2つの正弦波信号のうちの一方に異常が発生した場合に、正常な正弦波信号から予測される第1の回転角候補および第2の回転角候補のうちの一方の回転角候補を、前記ブラシレスモータの回転角として推定する回転角推定手段と、
    前記回転角推定手段によって推定された回転角に基づいて、前記ブラシレスモータによって本来発生されるべきトルクと逆方向のトルクが発生されないように、前記ブラシレスモータを制御する制御手段とを含み、
    前記制御手段は、
    目標モータトルクを設定するモータトルク設定手段と、
    前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクに応じた指示電流値を生成する指示電流値生成手段と、
    前記ブラシレスモータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
    前記ブラシレスモータによって発生している実モータトルクを検出するモータトルク検出手段と、
    前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクと前記モータトルク検出手段によって検出される実モータトルクとの偏差に基づいて、前記回転角推定手段によって推定される回転角を補正する回転角補正手段と、
    前記回転角補正手段によって補正された回転角を用いて、前記電流検出手段によって検出される電流と前記指示電流値生成手段によって生成される指示電流値との偏差が零になるように、前記ブラシレスモータの駆動電流を制御する手段とを含む、モータ制御装置。
  2. 前記回転角補正手段は、前記モータトルク設定手段によって設定される目標モータトルクと前記モータトルク検出手段によって検出される実モータトルクとの偏差に基づいて、前記第1の回転角候補および前記第2の回転角候補のうちの一方を補正後の回転角として選択するものである、請求項1に記載のモータ制御装置。
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