JP5644627B2 - 歯車成形装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有する外歯歯車を成形する装置及び方法に関する。
外歯を有する歯車を成形するに当たっては、切削、転造等を行って成形することが一般的である。これに対し、例えば、特許文献1の歯車鍛造装置等に開示されるように、冷間密閉鍛造によって歯車を成形する方法がある。この歯車鍛造装置においては、外周面に歯面を有する歯車を成形するに際し、パンチコア、パンチ、ダイス及びダイスリーブによって囲んで形成された密閉鍛造空間において、パンチを構成するインナーパンチ及びアウターパンチによって歯車用素材を加圧するタイミングを適宜調整して、ダイスの歯型成形穴によって外歯を成形している。また、密閉鍛造空間を形成する際には、ダイスリーブの外周に形成した歯面をダイスの歯型成形穴に係合し、アウターパンチの下端部をダイスの歯型成形穴の上方開口部の周辺に当接させている。
特開2009−178738号公報
ところで、特許文献1においては、歯車の外周角部における歯面形状を安定させるために、インナーパンチによる加圧力をなくす又は減少させた状態で、アウターパンチによって歯車用素材の外周側部分を加圧している。これは、インナーパンチによる加圧力をなくす又は低減させることにより、アウターパンチによって加圧する歯車用素材の外周側部分の一部を、外周側と内周側とへ分流させて成形するものである。
しかしながら、歯車の外周角部の歯面形状を成形するために、歯車用素材の流動性を一層向上させるためには、更なる工夫が必要とされる。特許文献1においては、上記分流成形を行う際に、アウターパンチによって加圧を行うときには、インナーパンチの外周面が、内周側への素材の流動を妨げる壁として機能する。これによって、外周側への素材の流動性も悪く、歯車の外周角部の歯面形状を安定させるためには、アウターパンチに一層大きな成形荷重を必要としてしまう。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる歯車成形装置及び方法を提供しようとするものである。
第1の発明は、素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する装置であって、
上記外歯を成形するためのダイス内周歯を形成したダイス成形穴を有するダイスと、
上記素材の一端面の外周側部分を加圧する外周パンチと、
該外周パンチの内周側に配置し、上記素材の一端面の内周側部分を加圧する内周パンチと、
上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、
該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブと、を備えており、
上記内周パンチの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのパンチ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
上記内周パンチ、上記外周スリーブ及び上記内周スリーブを上記ダイス成形穴内に挿入するとともに、上記内周パンチの先端を上記外周パンチの先端よりも突出させ、かつ上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させて形成される鍛造空間において、上記外周パンチ及び上記内周パンチと上記外周スリーブ及び上記内周スリーブとによって上記素材を圧縮し、該素材の一部を上記ダイス内周歯へ流動させて、上記外歯歯車を成形するよう構成してあり、
上記内周パンチの加圧力及び上記内周スリーブの加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周パンチが上記素材の一端面の外周側部分を加圧するとともに上記外周スリーブが上記素材の他端面の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記パンチ側逃し溝及び上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させるよう構成してあることを特徴とする歯車成形装置にある(請求項1)。
第2の発明は、素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する装置であって、
上記外歯を成形するためのダイス内周歯を形成したダイス成形穴を有するダイスと、
上記素材の一端面を加圧するパンチと、
上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、
該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブとを備えており、
上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
上記外周スリーブ及び上記内周スリーブを上記ダイス成形穴内に挿入するとともに、上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させて形成される鍛造空間において、上記パンチと上記外周スリーブ及び上記内周スリーブとによって上記素材を圧縮し、該素材の一部を上記ダイス内周歯へ流動させて、上記外歯歯車を成形するよう構成してあり、
上記内周スリーブの加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周スリーブが上記素材の他端面の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させるよう構成してあることを特徴とする歯車成形装置にある(請求項)。
第3の参考発明は、素材に冷間密閉鍛造を行って成形され、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車であって、
上記内周側部分における少なくとも一方の軸方向端面には、上記外周側部分と繋がる突起部が、周方向の複数箇所において等間隔に形成されており、
該突起部は、その一対の周方向側面が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成されていることを特徴とする外歯歯車にある
第1の発明の歯車成形装置において、外歯歯車を成形するに当たっては、ダイスのダイス成形穴内に素材を配置し、内周パンチ及びダイスリーブをダイス成形穴内に挿入するとともに、内周パンチの先端を外周パンチの先端よりも突出させて、鍛造空間を形成する。そして、鍛造空間内において、外周パンチ及び内周パンチによって素材を加圧する。このとき、外周パンチ及び内周パンチとダイスリーブとによる加圧力を受けて、素材が圧縮されるとともに、素材の一部がダイス成形穴のダイス内周歯へ流動し、素材の外周部に、ダイス内周歯による歯面形状が転写される。こうして、外周に外歯を有する外歯歯車が成形される。この外歯歯車は、その一端面における内周側部分が外周側部分よりも陥没し、外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きく成形される。
本発明においては、内周パンチの先端部の外周面には、素材の一部を流動させるためのパンチ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してある。そのため、外周パンチによって素材の一端面の外周側部分を加圧する際には、この素材の一部を、パンチ側逃し溝がある内周側へ流動させることにより、ダイス内周歯がある外周側へ流動させ易くすることができる。
この理由は、以下のように説明することができる。
一般的に、加圧力によってリング状の素材をその幅方向(軸方向)に圧縮するときに、リング状の素材の内周側及び外周側のいずれも拘束されていなければ、小さな加圧力によって、内周側及び外周側へ素材の一部を流動させることができる。これに対し、リング状の素材の内周側又は外周側のいずれかが拘束されていると、素材が流動できる面積が外周側又は内周側のみとなることによって流動抵抗が増加する。これに加え、拘束がなければ内周側へ流動されるはずの素材が、拘束により外周側へ流動させられることによっても流動抵抗力が増加する。そのため、大きな加圧力を与えないと、拘束されていない側へ素材を流動させることができない。
本発明においては、内周パンチの先端を外周パンチの先端よりも深くダイス成形穴内に挿入して形成した鍛造空間において冷間鍛造を行う際には、素材の一部が鍛造空間内の空スペースに据え込まれて、内周側部分よりも外周側部分が軸方向外方へ突出する形状(外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい形状)が形成される。
上記冷間鍛造を行うとき、外周パンチの先端の外周側付近に位置するダイス内周歯の部分には外周側の空スペースが形成されていたとしても、外周パンチの先端の内周側付近に、内周パンチの外周面が存在すると、外周パンチの内周側への素材の流動は、内周パンチの外周面によって阻止されることになる。これに対し、本発明においては、素材の内周側部分よりも軸方向外方へ突出する外周側部分を外周パンチによって加圧する際に、内周パンチの先端部の外周面に形成したパンチ側逃し溝によって、外周パンチの先端の内周側付近に内周側の空スペースを形成することができる。
これにより、素材において内周側部分よりも軸方向外方へ突出する外周側部分を加圧する際に、上記外周側の空スペースと、上記内周側の空スペースとの両方へ、素材の一部を流動させることができる。そのため、外周パンチの先端の外周側付近において、外周側の空スペースを形成するダイス内周歯の部分へ、小さな加圧力により、安定して素材を流動させることができる。
それ故、第1の発明の歯車成形装置によれば、小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる。
第2の発明においては、第1の発明における内周パンチに形成したパンチ逃し溝と同様のスリーブ逃し溝を、内周スリーブに形成している。そして、第1の発明と同様にして形成した鍛造空間において外歯歯車を成形する際に、外周スリーブによって素材の他端面の外周側部分を加圧するときには、この素材の一部を、スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させることにより、ダイス内周歯がある外周側へ流動させ易くすることができる。
それ故、第2の発明の歯車成形装置によれば、第1の発明と同様の理由により、小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる。
なお、第2の発明において成形される外歯歯車は、その他端面における内周側部分が外周側部分よりも陥没し、外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きく成形される。
第3の参考発明の外歯歯車は、その内周側部分における少なくとも一方の軸方向端面に、一対の周方向側面がテーパ状に形成された複数の突起部を有している。この複数の突起部は、外歯歯車を成形するための素材に冷間密閉鍛造を行う際に形成されたものである。また、この複数の突起部は、外歯における外周角部に十分に素材を流動させるために形成されたものである。
従って、本発明の外歯歯車によれば、これを成形する際の成形荷重を小さくすることができ、外歯における外周角部の歯面形状を安定させることができる。
実施例1にかかる、歯車成形装置を示す断面図。 実施例1にかかる、鍛造空間に素材を配置した状態の歯車成形装置の主要部を拡大して示す断面図。 実施例1にかかる、鍛造空間に配置した素材を内周パンチによって加圧する状態の歯車成形装置の主要部を拡大して示す断面図。 実施例1にかかる、鍛造空間に配置した素材を外周パンチによって加圧する状態の歯車成形装置の主要部を拡大して示す断面図。 実施例1にかかる、内周パンチに形成したパンチ側逃し溝を拡大して示す斜視図。 実施例1にかかる、鍛造空間内の素材の一部を、パンチ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともにダイス内周歯がある外周側へ流動させた状態を、軸方向から見た状態で示す断面図。 実施例1にかかる、外歯歯車を示す斜視図。 実施例1にかかる、外歯歯車を示す断面図。 実施例2にかかる、鍛造空間に配置した素材を内周パンチによって加圧する状態の歯車成形装置の主要部を拡大して示す断面図。 実施例2にかかる、鍛造空間に配置した素材を外周パンチによって加圧する状態の歯車成形装置の主要部を拡大して示す断面図。
上述した第1、第2の発明の歯車成形装置における好ましい実施の形態につき説明する。
第1の発明において、上記ダイスリーブは、上記ダイスへ向けて移動する上記外周パンチ及び上記内周パンチが素材の一端面を加圧する際の荷重を受けることにより、素材の他端面を加圧することができる。また、ダイスリーブは、外周パンチ及び内周パンチと同様にダイスへ向けて移動するときに、素材の他端面を加圧することもできる。
また、第1の発明において、上記ダイスリーブは、上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブとから構成し、上記鍛造空間を形成するときには、上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させるよう構成し、上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝を、その周方向の複数箇所に形成する
これにより、内周パンチにおけるパンチ側逃し溝の形成、及び内周スリーブにおけるスリーブ側逃し溝の形成によって、小さな成形荷重によって、軸方向両側の外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる。
なお、外周スリーブ及び内周スリーブによる、素材の他端面の外周側部分及び内周側部分への加圧力は、外周スリーブ及び内周スリーブをダイス成形穴内へ移動させて付与することができる。また、この加圧力は、外周スリーブ及び内周スリーブの位置を固定し、外周パンチ及び内周パンチによる加圧力を受けて付与することもできる。
また、第1の発明において、歯車成形装置は、上記内周パンチの加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周パンチが上記素材の一端面の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記パンチ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させるよう構成する
これにより、素材の一部を、パンチ側逃し溝がある内周側とダイス内周歯がある外周側とへ、より流動させ易くすることができる。そのため、より小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状がより安定した外歯歯車を成形することができる。
また、第1、第2の発明において、歯車成形装置は、上記内周スリーブの加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周スリーブが上記素材の他端面の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させるよう構成する
これにより、素材の一部を、スリーブ側逃し溝がある内周側とダイス内周歯がある外周側とへ、より流動させ易くすることができる。そのため、より小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状がより安定した外歯歯車を成形することができる。
また、第1の発明において、上記パンチ側逃し溝は、上記内周パンチの周方向の複数箇所に等間隔に形成するとともに、その一対の周方向側面が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成することが好ましい(請求項)。
この場合には、素材の一部をパンチ側逃し溝へ流動させる際に、内周側へ流動するほどこの流動に対する抵抗を増加させることができる。一方、ダイス内周歯は、外歯歯車の外歯を成形するために、その一対の周方向側面が外周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成されている。そして、素材の一部がダイス内周歯へ流動する際には、外周側へ流動するほどこの流動に対する抵抗が増加するようになっている。
そのため、ダイス内周歯の外周先端へ流動する素材の一部に加わる抵抗と、ダイス側逃し溝へ流動する素材の一部に加わる抵抗とをできるだけ合わせることができる。これにより、素材の一部を、パンチ逃し溝がある内周側とダイス成形歯がある外周側とへ、できるだけ平等に分散させて流動させることができる。それ故、外周角部の歯面形状がより安定した外歯歯車を成形することができる。
また、第1、第2の発明において、上記スリーブ側逃し溝は、上記内周スリーブの周方向の複数箇所に等間隔に形成するとともに、その一対の周方向側面が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成することが好ましい(請求項)。
この場合には、パンチ側逃し溝の場合と同様に、素材の一部を、スリーブ逃し溝がある内周側とダイス成形歯がある外周側とへ、できるだけ平等に分散させて流動させることができる。これにより、外周角部の歯面形状がより安定した外歯歯車を成形することができる。
また、第1の発明においては、上記歯車成形装置を用いて、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する方法であって、上記素材を配置した鍛造空間を形成し、次いで、上記内周パンチによって上記素材の内周側部分を加圧し、次いで、上記外周パンチ及び上記内周パンチによって上記素材の外周側部分及び内周側部分を加圧し、その後、上記内周パンチによる加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周パンチによって上記素材の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記パンチ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させることを特徴とする歯車成形方法を実現することができる
これにより、鍛造空間において外歯歯車を成形する際に、外周パンチによって素材の一端面の外周側部分を加圧するときには、この素材の一部を、パンチ側逃し溝がある内周側へ流動させることにより、ダイス内周歯がある外周側へ流動させ易くすることができる。それ故、この歯車成形方法によれば、小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる。
また、第1の発明においては、歯車成形装置を用いて、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する方法であって、上記素材を配置した鍛造空間を形成し、次いで、上記内周パンチと上記内周スリーブとによって上記素材の内周側部分を加圧し、次いで、上記外周パンチ及び上記内周パンチと上記外周スリーブ及び上記内周スリーブとによって上記素材の外周側部分及び内周側部分を加圧し、その後、上記内周パンチによる加圧力及び上記内周スリーブによる加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周パンチと上記外周スリーブとによって上記素材の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記パンチ側逃し溝及び上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させることを特徴とする歯車成形方法を実現することもできる(請求項)。
これにより、鍛造空間において外歯歯車を成形する際に、外周パンチによって素材の一端面の外周側部分を加圧するとともに、外周スリーブによって素材の他端面の外周側部分を加圧するときには、この素材の一部を、パンチ側逃し溝及びスリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させることにより、ダイス内周歯がある外周側へ流動させ易くすることができる。それ故、この歯車成形方法によれば、小さな成形荷重によって、軸方向両側の外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる。
また、第2の発明においては、歯車成形装置を用いて、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する方法であって、上記素材を配置した鍛造空間を形成し、次いで、上記内周スリーブによって上記素材の内周側部分を加圧し、次いで、上記外周スリーブ及び上記内周スリーブによって上記素材の外周側部分及び内周側部分を加圧し、その後、上記内周スリーブによる加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周スリーブによって上記素材の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させることを特徴とする歯車成形方法を実現することができる(請求項)。
これにより、鍛造空間において外歯歯車を成形する際に、外周スリーブによって素材の他端面の外周側部分を加圧するときには、この素材の一部を、スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させることにより、ダイス内周歯がある外周側へ流動させ易くすることができる。それ故、この歯車成形方法によれば、小さな成形荷重によって、外周角部の歯面形状が安定した外歯歯車を成形することができる。
以下に、本発明の歯車成形装置及び方法にかかる実施例につき、図面を参照して説明する。
(実施例1)
本例の歯車成形装置1は、図7、図8に示すごとく、素材80に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯81を有するとともに外周側部分803の軸方向幅L1が内周側部分804の軸方向幅L2よりも大きい外歯歯車8を成形する装置である。
歯車成形装置1は、図1〜図3に示すごとく、以下のダイス2、外周パンチ3、内周パンチ4及びダイスリーブ50を備えている。ダイス2は、外歯81を成形するためのダイス内周歯22を形成したダイス成形穴21を有し、付勢手段23によって上方に付勢されている。外周パンチ3は、素材80の上面(一端面)の外周側部分803を加圧するものである。内周パンチ4は、外周パンチ3の内周側に配置し、素材80の上面の内周側部分804を加圧するものである。ダイスリーブ50は、素材80の下面(他端面)を受けるものである。本例の素材80の一端面は上面であり、素材80の他端面は下面である。
歯車成形装置1は、図2に示すごとく、外周パンチ3、内周パンチ4及びダイスリーブ50をダイス成形穴21内に挿入するとともに、内周パンチ4の先端401を外周パンチ3の先端301よりも深くダイス成形穴21内に挿入して形成される鍛造空間11において、図3、図4に示すごとく、外周パンチ3及び内周パンチ4によって素材80を加圧し、この素材80の一部をダイス内周歯22へ流動させて、外歯歯車8を成形するよう構成してある。
内周パンチ4の先端部の外周面には、素材80の一部を流動させるためのパンチ側逃し溝41が、その周方向の複数箇所に形成してある。
以下に、本例の歯車成形装置1及び方法につき、図1〜図8を参照して詳説する。
本例の各図においては、ダイス成形穴21(及び外周パンチ3、内周パンチ4、ダイスリーブ50)の軸方向を矢印Lで示し、周方向を矢印Cで示す。
図7、図8に示すごとく、本例の歯車成形装置1によって成形する外歯歯車8は、軸中心に軸穴82を有するものである。また、冷間鍛造に用いる素材80は、軸穴82を設けた中空円柱形状(円環形状)に形成されている。
また、本例の歯車成形装置1によって成形する外歯歯車8は、外歯81を螺旋状に形成してなるはすば歯車である。また、本例において成形する外歯歯車8は、軸方向Lの両端面において、内周側部分804が外周側部分803から陥没した形状を有する。
なお、図8においては、外歯81の軸方向Lの両端面における外周角部811が、軸方向外方へ突出する形状を誇張して示す。
図1、図3に示すごとく、本例の歯車成形装置1は、素材80の軸穴82に挿入配置するマンドレル7を備えている。外周パンチ3と内周パンチ4とは、素材80に対して分流成形を行うために、パンチを2つに分割して形成したものである。本例のダイスリーブ50は、素材80の下面の外周側部分803を加圧する外周スリーブ5と、外周スリーブ5の内周側に配置し、素材80の下面の内周側部分804を加圧する内周スリーブ6とからなる。内周スリーブ6の先端部の外周面には、素材80の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝61が、その周方向Cの複数箇所に形成してある。また、内周スリーブ6は、その軸中心位置に、マンドレル7の下端部分を挿入配置するスリーブ穴62を有している。
マンドレル7の外周は平坦面に形成することができる。これに対し、マンドレル7の外周には、軸方向Lに沿って周方向Cに等間隔で繰り返し形成した溝によるスプライン成形歯を形成することもできる。この場合には、冷間鍛造を行う際に、このスプライン成形歯によって、素材80の軸穴82の内周面に、スプライン形状を成形することができる。
外周パンチ3は、ダイス成形穴21のダイス内周歯22に係合するパンチ外周歯31を形成してなるとともに円環断面形状を有している。内周パンチ4は、外周パンチ3の内周側であってマンドレル7の外周側に配置する円環断面形状を有している。
外周パンチ3、内周パンチ4及びマンドレル7は、パンチホルダ32内に配設してある。パンチホルダ32は、パンチベース30として、油圧、電動等の第1駆動源P1による推力を受けて下降するよう構成してある。本例の歯車成形装置1は、パンチベース30を下降させる1ショット動作を行って、軸穴82を有する素材80から、軸穴82を有する外歯歯車8を成形するものである。また、内周パンチ4は、油圧、電動等の第2駆動源P2による推力を受けて、外周パンチ3を含むパンチベース30に対して下降可能に配設されている。
図1に示すごとく、ダイス2は、外歯歯車8を成形するために、外周パンチ3及び内周パンチ4によって素材80を加圧して螺旋状の外歯81を成形する際、及び成形後の外歯歯車8を取り出す際に、ダイス内周歯22の螺旋状傾斜に倣って回転するよう構成されている。
ダイス2は、ダイスホルダ25内に配置してある。ダイス2の下方には、ダイスホルダ25内において、上下にスライド可能であると共に回転可能である軸受部24が設けてある。軸受部24は、付勢手段23としてのガスクッションによって上方へ付勢されており、ダイス2は、ガスクッションによって、軸受部24を介して上方へ付勢されている。ガスクッションは、ガスの圧力による所定の力を、一定方向である上方に向けて常時付与するものである。
また、パンチベース30には、成形後の外歯歯車8をダイス2のダイス成形穴21から取り出す際に、ダイス2を押し下げる押下げロッド33が配設してある。
内周スリーブ6は、油圧、電動等の第3駆動源P3による推力を受けて、ダイス2を含むダイスホルダ25に対して上昇可能に配設されている。
本例のダイス成形穴21のダイス内周歯22、外周パンチ3のパンチ外周歯31、外周スリーブ5のスリーブ外周歯51は、螺旋状の外歯81を成形するために螺旋状に形成されている。ダイス2は、外周パンチ3及び外周スリーブ5に対して、ダイス内周歯22の螺旋状傾斜に沿って相対的に摺動回転可能である。
図2に示すごとく、本例の歯車成形装置1は、ダイス2のダイス成形穴21に、外周パンチ3及び内周パンチ4を上方から挿入し、外周スリーブ5及び内周スリーブ6を下方から挿入して、素材80の上下から加圧を行って外歯歯車8の密閉冷間鍛造を行う。また、鍛造空間11を形成する際には、内周パンチ4の先端401を外周パンチ3の先端301よりも深くダイス成形穴21内に挿入するとともに、内周スリーブ6の先端601を外周スリーブ5の先端501よりも深くダイス成形穴21内に挿入する。そして、一端面及び他端面の両端面において、内周側部分804が外周側部分803よりも陥没し、外周側部分803の軸方向幅L1が内周側部分804の軸方向幅L2よりも大きい外歯歯車8を成形する(図7、図8参照)。
本例の歯車成形装置1は、図2に示すごとく、マンドレル7の下端部分を内周スリーブ6のスリーブ穴62と素材80の軸穴82とに挿入配置した状態で、ダイス2をそのダイス内周歯22の螺旋状傾斜に沿って従動回転させながら、内周パンチ4と内周スリーブ6とによって素材80の内周側部分804を加圧し、次いで、図3に示すごとく、外周パンチ3及び内周パンチ4と外周スリーブ5及び内周スリーブ6とによって素材80の外周側部分803及び内周側部分804を加圧し、その後、図4に示すごとく、内周パンチ4及び内周スリーブ6による加圧力をなくした状態で外周パンチ3及び外周スリーブ5によって素材80の外周側部分803を加圧するよう構成してある。
また、歯車成形装置1は、図4に示すごとく、内周パンチ4及び内周スリーブ6の加圧力をなくした状態で、外周パンチ3及び外周スリーブ5が素材80の上面及び下面の外周側部分803を加圧するときに、素材80の一部を、パンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61がある内周側へ流動させるとともにダイス内周歯22がある外周側へ流動させるよう構成してある。
ここで、内周パンチ4による加圧力をなくした状態とは、第2駆動源P2による推力を内周パンチ4に作用させず、鍛造空間11内を流動する素材80によって押されて、内周パンチ4が上方へ位置ずれ可能な状態をいう。
なお、図2〜図4においては、ダイス2、外周パンチ3、内周パンチ4、内周スリーブ6が移動する状態を矢印によって示す。また、図4、図6においては、素材80の一部が流動する状態を矢印によって示す。
図5、図6に示すごとく、本例のパンチ側逃し溝41は、内周パンチ4の周方向Cの複数箇所に等間隔に形成するとともに、その一対の周方向側面411が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成してある。また、本例のスリーブ側逃し溝61も同様に、内周スリーブ6の周方向Cの複数箇所に等間隔に形成するとともに、その一対の周方向側面611が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成してある。
各逃し溝41,61は、必ずしも外歯81の歯数と同じにする必要はないが、外歯81の歯数に近い数で形成することが好ましい。本例の各逃し溝41,61は、軸方向Lに沿って周方向Cに等間隔で繰り返し形成した溝によるスプライン形状に形成してある。
次に、本例の歯車成形装置1によって、外歯歯車8を成形する方法につき説明する。
歯車を成形するに当たっては、図1、図2に示すごとく、外周スリーブ5及び内周スリーブ6をダイス2のダイス成形穴21内に配置した原位置にし、ダイス成形穴21内において、内周スリーブ6の上面に円筒形状の素材80を載置する。また、ダイス成形穴21のダイス内周歯22には、外周スリーブ5のスリーブ外周歯51が係合し、内周スリーブ6の先端(上端)601は、外周スリーブ5の先端(上端)501よりも深くダイス成形穴21内に配置する。
次いで、第1駆動源P1によってパンチベース30を下降させることによって、マンドレル7、外周パンチ3及び内周パンチ4を同時に下降させる。
そして、図2に示すごとく、マンドレル7の下端部分が、素材80の軸穴82と内周スリーブ6のスリーブ穴62とに連続して挿入配置される。また、下降する外周パンチ3のパンチ外周歯31がダイス成形穴21のダイス内周歯22に係合し、内周パンチ4の先端(下端)401が素材80の上面に当接する。これにより、ダイス2、外周パンチ3、内周パンチ4、外周スリーブ5及び内周スリーブ6によって囲まれるとともに、素材80が内部に配置された状態の鍛造空間11が形成される。
次いで、図3に示すごとく、内周スリーブ6には、第3駆動源P3による推力を作用させ、内周スリーブ6によって荷重を受け止めた状態で、第2駆動源P2による推力を受けた内周パンチ4によって素材80の上面の内周側部分804が加圧される。そして、内周パンチ4及び内周スリーブ6によって素材80の内周側部分804が押し潰されて厚みが縮小し、素材80の外周部が外周側に向けてダイス内周歯22の壁面へ流動する。このとき、ダイス2は、付勢手段23の付勢力に抗して、ダイス内周歯22の螺旋状傾斜に沿って回転しながら押し下げられる。
次いで、同図に示すごとく、内周パンチ4による素材80の加圧状態を維持したままで、第1駆動源P1によってパンチベース30をさらに下降させる。このとき、外周パンチ3によってダイス2がさらに押し下げられ、外周スリーブ5及び内周スリーブ6によって荷重を受け止めた状態で、外周パンチ3及び内周パンチ4によって素材80の上面の外周側部分803及び内周側部分804が加圧される。
次いで、図4に示すごとく、第2駆動源P2及び第3駆動源P3による各推力をゼロにして、内周パンチ4及び内周スリーブ6による素材80への加圧力をなくし、パンチベース30をさらに下降させて、外周スリーブ5によって受け止めながら外周パンチ3によってさらに素材80の上面の外周側部分803を加圧する。このとき、図6に示すごとく、素材80の一部を、パンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61がある内周側へ流動させるとともにダイス内周歯22がある外周側へ流動させる。
これにより、素材80の一部を、外周側部分803へ流動させるとともに内周側部分804へも流動させて分流成形を行い、鍛造空間11の外周側へ効果的に素材80の一部を流動させることができる。
そして、素材80の外周部がダイス成形穴21のダイス内周歯22の壁面へ流動し、素材80の外周部に、ダイス内周歯22による螺旋状の歯型形状が転写される。こうして、図7、図8に示すごとく、外周に螺旋状の外歯81を有する外歯歯車8が成形される。この外歯歯車8は、その一端面及び他端面の両端面における内周側部分804が外周側部分803よりも陥没し、外周側部分803の軸方向幅L1が内周側部分804の軸方向幅L2よりも大きく成形される。
その後、パンチベース30を上昇させる一方、押下げロッド33によって、ダイスホルダ25に対してダイス2を押し下げて、ダイス成形穴21から成形後の外歯歯車8を取り出す。
本例においては、図5に示したように、内周パンチ4の先端部の外周面には、素材80の一部を流動させるためのパンチ側逃し溝41が、その周方向Cの複数箇所に形成してある。また、内周スリーブ6の先端部の外周面には、素材80の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝61が、その周方向Cの複数箇所に形成してある。そのため、外周パンチ3によって素材80の一端面の外周側部分803を加圧し、外周スリーブ5によって素材80の他端面の外周側部分803を加圧する際には、この素材80の一部を、パンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61がある内周側へ流動させることにより、ダイス内周歯22がある外周側へ流動させ易くすることができる。
また、本例においては、内周パンチ4の先端401を外周パンチ3の先端301よりも深くダイス成形穴21内に挿入するとともに、内周スリーブ6の先端601を外周スリーブ5の先端501よりも深くダイス成形穴21内に挿入して形成した鍛造空間11において冷間鍛造を行う際には、素材80の一部が鍛造空間11内の空スペースに据え込まれて、両端面において内周側部分804よりも外周側部分803が軸方向Lの外方へ突出する形状(外周側部分803の軸方向幅L1が内周側部分804の軸方向幅L2よりも大きい形状)が形成される。
上記冷間鍛造を行うとき、図3に示すごとく、外周パンチ3の先端301の外周側付近に位置するダイス内周歯22の部分、及び外周スリーブ5の先端501の外周側付近に位置するダイス内周歯22の部分には、素材80の一部が流動し難いことにより、外周側の空スペースS1が形成されている。このとき、外周パンチ3の先端301の内周側付近に、内周パンチ4の外周面が存在すると、外周パンチ3の内周側への素材80の流動は内周パンチ4の外周面によって阻止されることになる。また、外周スリーブ5の先端501の内周側付近に、内周スリーブ6の外周面が存在すると、外周スリーブ5の内周側への素材80の流動は、内周スリーブ6の外周面によって阻止されることになる。
これに対し、本例においては、同図に示すごとく、素材80の内周側部分804よりも軸方向Lの外方へ突出する外周側部分803を外周パンチ3によって加圧する際に、内周パンチ4の先端部の外周面に形成したパンチ側逃し溝41によって、外周パンチ3の先端301の内周側付近に内周側の空スペースS2を形成することができる。また、素材80の内周側部分804よりも軸方向Lの外方へ突出する外周側部分803を外周スリーブ5によって加圧する際に、内周スリーブ6の先端部の外周面に形成したスリーブ側逃し溝61によって、外周スリーブ5の先端501の内周側付近に内周側の空スペースS2を形成することができる。
これにより、図4に示すごとく、素材80において内周側部分804よりも軸方向Lの外方へ突出する外周側部分803を加圧する際に、素材80の上端部801における外周側の空スペースS1と内周側の空スペースS2との両方、及び素材80の下端部802における外周側の空スペースS1と内周側の空スペースS2との両方へ、素材80の一部を流動させることができる。そのため、素材80の上端部801及び下端部802において、外周側の空スペースS1を形成するダイス内周歯22の部分へ、小さな加圧力により、安定して素材80を流動させることができる。そして、外歯歯車8の外歯81を、上端部801及び下端部802の外周角部811まで安定して形成することができる。
図6、図7に示すごとく、本例において成形される外歯歯車8は、内周側部分804の軸方向両端面において、外周側部分803と繋がる突起部83が、周方向Cの複数箇所において等間隔に形成される。また、突起部83は、その一対の周方向側面831が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成される。
また、パンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61の一対の周方向側面411,611をテーパ状に形成したことにより、素材80の一部をパンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61へ流動させる際に、内周側へ流動するほどこの流動に対する抵抗を増加させることができる。
一方、ダイス内周歯22は、外歯歯車8の外歯81を成形するために、その一対の周方向側面221が外周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成されている。そして、素材80の一部がダイス内周歯22へ流動する際には、外周側へ流動するほどこの流動に対する抵抗が増加するようになっている。
そのため、素材80の上端部801及び下端部802においてダイス内周歯22の外周先端へ流動する素材80の一部に加わる抵抗と、パンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61へ流動する素材80の一部に加わる抵抗とをできるだけ合わせることができる。これにより、素材80の一部を、パンチ側逃し溝41及びスリーブ側逃し溝61がある内周側とダイス内周歯22がある外周側とへ、できるだけ平等に分散させて流動させることができる。それ故、外周角部811の歯面形状がより安定した外歯歯車8を成形することができる。
それ故、本例の歯車成形装置1及び方法によれば、小さな成形荷重によって、両端面に位置する外周角部811の歯面形状が安定した外歯歯車8を成形することができる。
本例においては、内周スリーブ6の先端部の外周面に、複数のスリーブ側逃し溝61を形成した。これに対し、内周スリーブ6には、複数のスリーブ側逃し溝61を形成しないこともできる。この場合には、内周パンチ4の先端部の外周面に形成した複数のパンチ側逃し溝41の形成によって、外歯歯車8の一端面に位置する外周角部811の歯面形状を安定させることができる。
また、内周パンチ4には、複数のパンチ側逃し溝41を形成しないこともできる。この場合には、内周スリーブ6の先端部の外周面に形成した複数のスリーブ側逃し溝61によって、外歯歯車8の他端面に位置する外周角部811の歯面形状を安定させることができる。
(実施例2)
本例は、図9、図10に示すごとく、外周パンチ3の外周にパンチ外周歯31を形成せず、外周パンチ3をダイス成形穴21の上方開口部26の周辺に当接させて、鍛造空間11を形成する例である。
また、本例において成形する外歯歯車8は、軸方向Lの一端面において、内周側部分804が外周側部分803から陥没した形状を有する。本例の鍛造空間11を形成する際には、外周スリーブ5の先端と内周スリーブ6の先端とは、略同一面を形成する。
本例においても、内周パンチ4による素材80の加圧力をなくし、外周パンチ3によって素材80の上面の外周側部分803を加圧する際には、素材80の上端部801において、素材80の一部を、パンチ側逃し溝41がある内周側へ流動させるとともにダイス内周歯22がある外周側へ流動させることができる。
本例においても、その他の構成は上記実施例1と同様であり、上記実施例1と同様の作用効果を得ることができる。
1 歯車成形装置
11 鍛造空間
2 ダイス
21 ダイス成形穴
22 ダイス内周歯
3 外周パンチ
31 パンチ外周歯
4 内周パンチ
41 パンチ側逃し溝
5 外周スリーブ
51 スリーブ外周歯
6 内周スリーブ
61 スリーブ側逃し溝
8 外歯歯車
80 素材
801 上端部
802 下端部
803 外周側部分
804 内周側部分
81 外歯
83 突起部

Claims (6)

  1. 素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する装置であって、
    上記外歯を成形するためのダイス内周歯を形成したダイス成形穴を有するダイスと、
    上記素材の一端面の外周側部分を加圧する外周パンチと、
    該外周パンチの内周側に配置し、上記素材の一端面の内周側部分を加圧する内周パンチと、
    上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、
    該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブと、を備えており、
    上記内周パンチの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのパンチ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
    上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
    上記内周パンチ、上記外周スリーブ及び上記内周スリーブを上記ダイス成形穴内に挿入するとともに、上記内周パンチの先端を上記外周パンチの先端よりも突出させ、かつ上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させて形成される鍛造空間において、上記外周パンチ及び上記内周パンチと上記外周スリーブ及び上記内周スリーブとによって上記素材を圧縮し、該素材の一部を上記ダイス内周歯へ流動させて、上記外歯歯車を成形するよう構成してあり、
    上記内周パンチの加圧力及び上記内周スリーブの加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周パンチが上記素材の一端面の外周側部分を加圧するとともに上記外周スリーブが上記素材の他端面の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記パンチ側逃し溝及び上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させるよう構成してあることを特徴とする歯車成形装置。
  2. 素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する装置であって、
    上記外歯を成形するためのダイス内周歯を形成したダイス成形穴を有するダイスと、
    上記素材の一端面を加圧するパンチと、
    上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、
    該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブと、を備えており、
    上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
    上記外周スリーブ及び上記内周スリーブを上記ダイス成形穴内に挿入するとともに、上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させて形成される鍛造空間において、上記パンチと上記外周スリーブ及び上記内周スリーブとによって上記素材を圧縮し、該素材の一部を上記ダイス内周歯へ流動させて、上記外歯歯車を成形するよう構成してあり、
    上記内周スリーブの加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周スリーブが上記素材の他端面の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させるよう構成してあることを特徴とする歯車成形装置。
  3. 請求項1に記載の歯車成形装置において、上記パンチ側逃し溝は、上記内周パンチの周方向の複数箇所に等間隔に形成してあるとともに、その一対の周方向側面が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成してあることを特徴とする歯車成形装置。
  4. 請求項1又は2に記載の歯車成形装置において、上記スリーブ側逃し溝は、上記内周スリーブの周方向の複数箇所に等間隔に形成してあるとともに、その一対の周方向側面が、内周側へ向かうほど互いの間隔が縮小するテーパ状に形成してあることを特徴とする歯車成形装置。
  5. 素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する方法であって、
    上記外歯を成形するためのダイス内周歯を形成したダイス成形穴を有するダイスと、
    上記素材の一端面の外周側部分を加圧する外周パンチと、
    該外周パンチの内周側に配置し、上記素材の一端面の内周側部分を加圧する内周パンチと、
    上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、
    該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブと、を備えた歯車成形装置を用い、
    上記内周パンチの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのパンチ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
    上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
    上記内周パンチ、上記外周スリーブ及び上記内周スリーブを上記ダイス成形穴内に挿入するとともに、上記内周パンチの先端を上記外周パンチの先端よりも突出させ、かつ上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させて形成される鍛造空間に上記素材を配置し、
    次いで、上記内周パンチと上記内周スリーブとによって上記素材の内周側部分を加圧し、
    次いで、上記外周パンチ及び上記内周パンチと上記外周スリーブ及び上記内周スリーブとによって上記素材の外周側部分及び内周側部分を加圧し、
    その後、上記内周パンチによる加圧力及び上記内周スリーブによる加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周パンチと上記外周スリーブとによって上記素材の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記パンチ側逃し溝及び上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させることを特徴とする歯車成形方法。
  6. 素材に冷間密閉鍛造を行って、外周に外歯を有するとともに外周側部分の軸方向幅が内周側部分の軸方向幅よりも大きい外歯歯車を成形する方法であって、
    上記外歯を成形するためのダイス内周歯を形成したダイス成形穴を有するダイスと、
    上記素材の一端面を加圧するパンチと、
    上記素材の他端面の外周側部分を加圧する外周スリーブと、
    該外周スリーブの内周側に配置し、上記素材の他端面の内周側部分を加圧する内周スリーブと、を備えた歯車成形装置を用い、
    上記内周スリーブの先端部の外周面には、上記素材の一部を流動させるためのスリーブ側逃し溝が、その周方向の複数箇所に形成してあり、
    上記外周スリーブ及び上記内周スリーブを上記ダイス成形穴内に挿入するとともに、上記内周スリーブの先端を上記外周スリーブの先端よりも突出させて形成される鍛造空間に上記素材を配置し、
    次いで、上記内周スリーブによって上記素材の内周側部分を加圧し、
    次いで、上記外周スリーブ及び上記内周スリーブによって上記素材の外周側部分及び内周側部分を加圧し、
    その後、上記内周スリーブによる加圧力をなくす又は減少させた状態で、上記外周スリーブによって上記素材の外周側部分を加圧するときに、上記素材の一部を、上記スリーブ側逃し溝がある内周側へ流動させるとともに上記ダイス内周歯がある外周側へ流動させることを特徴とする歯車成形方法。
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