JP5644561B2 - 車両用電池の被覆構造及びカーペット - Google Patents

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Description

本発明は、車両用電池の被覆構造及びカーペットに関し、さらに詳しくは、車両用電池を電磁波シールドすることができる軽量且つ簡素な構造の車両用電池の被覆構造及びカーペットに関する。
一般に、電気自動車、ハイブリッド車等では、複数の電池セルを積層してなる電池パック等の車両用電池が用いられている。この車両用電池の被覆構造としては、例えば、図14に示すように、車両用電池103を金属製のロアケース111及びアッパーケース112で被覆して電池組立品113をなし、金属製の各ケース111,112で車両用電池103を電磁波シールドする被覆構造101が一般に知られている。ここで、上記電池組立品113を車両の座席下に搭載する場合、車両ボデー102に電池組立品113及び金属製のシートフレーム114をボルト締めし、車両ボデー102にカーペット105をクリップ止めし、シートフレーム114にシートクッション110を装着することが考えられる。
また、他の従来の車両用電池の被覆構造として、車両用電池を樹脂製のロアケース及びアッパーケースで被覆して電池組立品をなし、この電池組立品を金属製のカバーで被覆して電磁波シールドするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上述の従来の車両用電池の被覆構造では、電磁波シールドのために金属製のアッパーケースやカバーを備える必要があるので、重量が非常に重くなる。また、部品点数が多く組付け作業に時間がかかる。
特開2001−294048号公報
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、車両用電池を電磁波シールドすることができる軽量且つ簡素な構造の車両用電池の被覆構造及びカーペットを提供することを目的とする。
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両ボデーに搭載された車両用電池の被覆構造であって、前記車両用電池を被覆するカーペットを備え、前記カーペットは、前記車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層を有し、前記カーペットの裏面側には、前記車両用電池を被覆する樹脂カバーが積層されており、前記カーペットは、表皮層と、該表皮層の裏面側に積層される熱可塑性樹脂からなるバッキング層と、該バッキング層の裏面側に積層される前記シールド層と、を有し、該シールド層は、複数の孔を有するシート材からなり、前記バッキング層の一部が該シールド層の該複数の孔を介して前記樹脂カバーに接着固定されていることを要旨とする。
請求項に記載の発明は、請求項1記載において、前記カーペット上にはシートクッションが配設され、該シートクッションは前記樹脂カバーに固定されていることを要旨とする。
上記問題を解決するために、請求項に記載の発明は、車両ボデーに搭載された車両用電池を被覆するカーペットであって、前記車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層を有し、裏面側には前記車両用電池を被覆する樹脂カバーが積層されており、表皮層と、該表皮層の裏面側に積層される熱可塑性樹脂からなるバッキング層と、該バッキング層の裏面側に積層される前記シールド層と、を有し、該シールド層は、複数の孔を有するシート材からなり、前記バッキング層の一部が該シールド層の該複数の孔を介して前記樹脂カバーに接着固定されていることを要旨とする。
本発明の車両用電池の被覆構造によると、車両用電池を被覆するカーペットを備え、カーペットは、車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層を有し、カーペットの裏面側には、車両用電池を被覆する樹脂カバーが積層されているので、カーペットのシールド層により、樹脂カバーで被覆された車両用電池から発生する電磁波が遮蔽される。これにより、従来のようにカーペットとは別個に金属製のアッパーケースやカバーを備えるものに比べて、軽量化を図り得るとともに、部品点数を低減して組付け作業性を向上させることができる。
また、前記カーペットが、表皮層と、熱可塑性樹脂からなるバッキング層と、前記シールド層と、を有し、該シールド層は、複数の孔を有するシート材からなり、前記バッキング層の一部が該シールド層の該複数の孔を介して前記樹脂カバーに接着固定されているので、カーペットに対して樹脂カバーを容易に一体化することができる。
さらに、前記カーペット上にシートクッションが配設され、該シートクッションは前記樹脂カバーに固定されている場合は、車両用電池を被覆する樹脂カバーにシートクッションを支持する機能を持たせることができる。よって、樹脂カバーとは別個にシートフレームを必ずしも備える必要がなく、更なる軽量化及び部品点数の低減を図ることができる。
本発明のカーペットによると、車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層を有し、裏面側には車両用電池を被覆する樹脂カバーが積層されているので、カーペットのシールド層により、樹脂カバーで被覆された車両用電池から発生する電磁波が遮蔽される。これにより、従来のようにカーペットとは別個に金属製のアッパーケースやカバーを備えるものに比べて、軽量化を図り得るとともに、部品点数を低減して組付け作業性を向上させることができる。
表皮層と、熱可塑性樹脂からなるバッキング層と、前記シールド層と、を有し、該シールド層は、複数の孔を有するシート材からなり、前記バッキング層の一部が該シールド層の該複数の孔を介して前記樹脂カバーに接着固定されているので、カーペットに対して樹脂カバーを容易に一体化することができる。
本発明について、本発明による典型的な実施形態の非限定的な例を挙げ、言及された複数の図面を参照しつつ以下の詳細な記述にて更に説明するが、同様の参照符号は図面のいくつかの図を通して同様の部品を示す。
実施例1に係る車両用電池の被覆構造の斜視図である。 上記車両用電池の被覆構造の分解斜視図である。 上記車両用電池の被覆構造の縦断面図である。 図3のIV矢視部分の拡大図である。 上記車両用電池の被覆構造で使用されるカーペットの製造方法を説明するための説明図である。 実施例2に係る車両用電池の被覆構造の斜視図である。 上記車両用電池の被覆構造の分解斜視図である。 上記車両用電池の被覆構造の縦断面図である。 実施例3に係る車両用電池の被覆構造の斜視図である。 上記車両用電池の被覆構造の分解斜視図である。 上記車両用電池の被覆構造の縦断面図である。 その他の形態のカーペットの縦断面図である。 更にその他の形態のカーペットの縦断面図である。 従来の車両用電池の被覆構造の縦断面図である。
ここで示される事項は例示的なものおよび本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要である程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
1.車両用電池の被覆構造
本実施形態1.に係る車両用電池の被覆構造は、車両ボデー(2)に搭載された車両用電池の被覆構造(1、21、24)であって、車両用電池(3)を被覆するカーペット(5)を備え、カーペットは、車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層(8)を有し、カーペットの裏面側には、車両用電池を被覆する樹脂カバー(9、22、25)が積層されていることを特徴とする(例えば、図2、図7及び図10等参照)。
上記カーペットは、通常、車両ボデーに敷設される。また、上記樹脂カバーは、例えば、車両用電池の少なくとも上面を被覆することができる。なお、上記車両用電池としては、例えば、蓄電池、燃料電池等を挙げることができる。
本実施形態1.に係る車両用電池の被覆構造としては、例えば、上記カーペットは、表皮層(6)と、表皮層の裏面側に積層される熱可塑性樹脂からなるバッキング層(7)と、バッキング層の裏面側に積層される上記シールド層(8)と、を有し、シールド層は、複数の孔を有するシート材(8a)からなり、バッキング層の一部がシールド層の複数の孔を介して樹脂カバーに接着固定されている形態(例えば、図4及び図12等参照)を挙げることができる。このシート材(シールド層)としては、例えば、金属メッシュ、発泡金属、導電性繊維を用いてなる布(例えば、不織布、織物、編物等)などを挙げることができる。これらのうち、金属メッシュ、発泡金属等の金属部材である場合は、シールド性(電磁波遮蔽性)及びカーペットの保形性を高めることができる。一方、上記布である場合は、加工性を高めることができる。
上述の形態では、例えば、上記カーペットは、成形型(12a、12b)内に、表皮層になる表皮材(6a)と、バッキング層になるバッキング材(7a)と、シールド層になるシート材(8a)と、上記樹脂カバー(9)と、をこの順にセットし、これらセット物を、少なくともバッキング材を加熱した状態でプレス成形(圧縮成形)して得られることができる(例えば、図5等参照)。これにより、バッキング材の一部(溶融部)がシート材の複数の孔からしみ出し易くなり、カーペットに対して樹脂カバーを更に容易に一体化できる。
本実施形態1.に係る車両用電池の被覆構造としては、例えば、上記カーペット上にはシートクッション(10)が配設され、シートクッションは樹脂カバーに固定されている形態(例えば、図3、図8及び図11等参照)を挙げることができる。この場合、例えば、上記樹脂カバーは、車両用電池の下方に配設され車両ボデーに固定されたロアケース(11)に固定されていることができる。これにより、樹脂カバーでシートクッションを更に安定的に支持できる。また、樹脂カバー及びロアケースにより車両用電池が被覆されるので、シールド性を更に高めることができる。
本実施形態1.に係る車両用電池の被覆構造としては、例えば、上記車両ボデー(2)には、車両用電池を被覆する立上げ壁(2a)が形成されている形態(例えば、図3及び図11等参照)を挙げることができる。これにより、更なる軽量化を図ることができる。
本実施形態1.に係る車両用電池の被覆構造としては、例えば、上記シールド層は、カーペットの裏面側に露出するように設けられ(例えば、図4等参照)、このシールド層の一部(8b、8c)が車両ボデーに接触している形態(例えば、図3、図8及び図11等参照)を挙げることができる。これにより、シールド層を容易且つ確実に接地できる。
2.カーペット
本実施形態2.に係るカーペットは、車両ボデー(2)に搭載された車両用電池(3)を被覆するカーペット(5)であって、車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層(8)を有し、裏面側には車両用電池を被覆する樹脂カバー(9、22、25)が積層されていることを特徴とする(例えば、図2、図7及び図10等参照)。このカーペットは、例えば、実施形態1.で説明したカーペットの構成を適用することができる。
以下、図面を用いて実施例1〜3により本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
(1)車両用電池の被覆構造の構成
本実施例1に係る車両用電池の被覆構造1は、図1〜図3に示すように、金属製の車両ボデー2に搭載された車両用電池3の被覆構造であって、車両用電池3を被覆するカーペット5を備えている。このカーペット5は、車両用電池3から発生する電磁波を遮蔽するシールド層8を有している。また、カーペット5の裏面側には、車両用電池3を被覆する縦断面略L字状の樹脂カバー9が積層されている。
上記カーペット5上には、シートクッション10が配設されている。このシートクッション10の下面から突出する係合フック10aは、カーペット5に形成された貫通孔5aを介して樹脂カバー9に設けられた凹部9a内に係合されている(図3参照)。よって、シートクッション10は樹脂カバー9に固定されている。また、車両ボデー2には、車両用電池3の下方に位置するように金属製で縦断面略U字状のロアケース11が固定されている。このロアケース11には、上記樹脂カバー9が締結等により固定されている。
上記カーペット5は、図4に示すように、車室内装面を形成する表皮層6と、この表皮層6の裏面側に積層される熱可塑性樹脂製のバッキング層7と、このバッキング層7の裏面側に積層される上記シールド層8と、を有している。この表皮層6は、1層又は2層以上の基布にパイル糸をタフティングしてなるタフト布である。また、バッキング層7は、カーペット5を形状保持する機能と、車室外側からの音を遮蔽する機能と、を有している。また、シールド層8は、複数の孔14を有するシート材8aからなっている。このシート材8aは、金網、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の金属メッシュである。さらに、シールド層8の表面は、バッキング層7の裏面側から露出しており、このシールド層8の一部8b、8cが車両ボデー2に接触している(図3参照)。
(2)車両用電池の被覆構造の組立方法
次に、上記構成の車両用電池の被覆構造1の組立方法について説明する。先ず、上記カーペット5は、図5に示すように、成形型12a,12b内に、表皮層6になる表皮材6aと、バッキング層7になる加熱処理されたバッキング材7aと、シールド層8になるシート材8aと、樹脂カバー9と、をこの順にセットし、これらセット物をプレス成形して得られる。このプレス成形により、バッキング材7aの一部(溶融部)は、シート材8aの複数の孔14からしみ出して樹脂カバー9の表面に到り、バッキング層7と樹脂カバー9とが接着固定される。
そして、車両ボデー2に対してロアケース11、車両用電池3及びその制御部3a(図2参照)を組み付ける。次に、それらの上方からカーペット5を被せて、樹脂カバー9及びシールド層8で車両用電池3及び制御部3aを被覆する。次いで、カーペット5に接着された樹脂カバー9をロアケース11及び車両ボデー2に組み付ける。その後、シートクッション10の係合フック10aをカーペット5の貫通孔5aを介して樹脂カバー9の凹部9a内に係合固定させ、カーペット5上にシートクッション10を配設する。その結果、上記車両用電池の被覆構造1が得られる。
(3)車両用電池の被覆構造の作用
次に、上記構成の車両用電池の被覆構造1の作用について説明する。図3に示すように、樹脂カバー9及びシールド層8により、車両用電池3の上面及び車両前方側の前面が被覆され、上記ロアケース11により、車両用電池3の下面及び車両幅方向の両側面が被覆され、車両ボデー2に形成された立ち上げ壁2aにより、車両用電池3の車両後方側の後面が被覆されている。よって、カーペット5のシールド層8、ロアケース11及び車両ボデー2の立ち上げ壁2aにより車両用電池3は電磁波シールドされる。
(4)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用電池の被覆構造1によると、車両用電池3を被覆するカーペット5を備え、カーペット5は、車両用電池3から発生する電磁波を遮蔽するシールド層8を有し、カーペット5の裏面側には、車両用電池3を被覆する樹脂カバー9が積層されているので、カーペット5のシールド層8により、樹脂カバー9で被覆された車両用電池3から発生する電磁波が遮蔽される。これにより、従来のようにカーペットとは別個に金属製のアッパーケースや樹脂カバーを備えるものに比べて、軽量化を図り得るとともに、部品点数を低減して組付け作業性を向上させることができる。例えば、従来の車両用電池の被覆構造101(図14参照)では、車両ボデー102及びロアケース111に対するアッパーケース112のボルト締め5点及びナット締め6点と、車両ボデー102に対するシートフレーム114のボルト締め6点と、車両ボデー102に対するカーペット105のクリップ固定2点との合計19点の作業が必要である。これに対して、本実施例の車両用電池の被覆構造1では、車両ボデー2及びロアケース11に対する樹脂カバー9のボルト締め6点のみの作業でカーペット5も固定できるので、作業時間を大幅に短縮できる。
また、本実施例では、カーペット5を、表皮層6と、熱可塑性樹脂からなるバッキング層7と、シールド層8と、を有して構成し、シールド層8を、複数の孔14を有するシート材8aからなしたので、カーペット5をプレス成形する際に、シート材8aの複数の孔14を介してバッキング層7の一部が樹脂カバー9に接着される。よって、カーペット5と樹脂カバー9とを接着するための接着剤や接着工程を必要とせず、カーペット5に対して樹脂カバー9を容易に一体化することができる。
また、本実施例では、シールド層8をなすシート材8aとして金属メッシュを採用したので、シールド性及びカーペット5の保形性を高めることができる。
また、本実施例では、成形型12a,12b内に、表皮層6になる表皮材6aと、バッキング層7になる加熱処理されたバッキング材7aと、シールド層8になるシート材8aと、樹脂カバー9と、をこの順にセットし、これらセット物をプレス成形してカーペット5を得るようにしたので、バッキング材7aの一部(溶融部)がシート材8aの複数の孔14からしみ出し易くなり、カーペット5に対して樹脂カバー9を更に容易に一体化できる。
また、本実施例では、カーペット5上にシートクッション10を配設し、このシートクッション10を樹脂カバー9に固定したので、車両用電池3を被覆する樹脂カバー9にシートクッション10を支持する機能を持たせることができる。よって、樹脂カバー9とは別個にシートフレームを備える必要がなく、更なる軽量化及び部品点数の低減を図ることができる。
また、本実施例では、樹脂カバー9を、車両用電池3の下方に配設され車両ボデー2に固定されたロアケース11に固定したので、樹脂カバー9でシートクッション10を更に安定的に支持できる。また、樹脂カバー9及びロアケース11により車両用電池3が被覆されるので、シールド性を更に高めることができる。
また、本実施例では、車両ボデー2に、車両用電池3を被覆する立上げ壁2aを形成したので、更なる軽量化を図ることができる。
さらに、本実施例では、シールド層8を、カーペット5の裏面側に露出して配設し、シールド層8の一部8b、8cを車両ボデー3に接触させたので、シールド層8を容易に接地させることができる。
<実施例2>
次に、本実施例2に係る車両用電池の被覆構造の構成について説明する。なお、本実施例2の車両用電池の被覆構造では、上記実施例1に係る車両用電池の被覆構造1と略同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略する。
(1)車両用電池の被覆構造の構成
本実施例2に係る車両用電池の被覆構造21は、図6〜図8に示すように、車両ボデー2に搭載された車両用電池の被覆構造であって、車両用電池3を被覆するカーペット5を備えている。このカーペット5の裏面側には、車両用電池3を被覆する縦断面略U字状の樹脂カバー22が積層されている。なお、本実施例2では、実施例1のように、車両ボデー2には立ち上げ壁2aが設けられていない。
(2)車両用電池の被覆構造の作用
次に、上記構成の車両用電池の被覆構造21の作用について説明する。図8に示すように、樹脂カバー9及びシールド層8により、車両用電池3の上面及び車両前後方向の前後面が被覆され、上記ロアケース11により、車両用電池3の下面及び車両幅方向の両側面が被覆されている。よって、カーペット5のシールド層8及びロアケース11により車両用電池3は電磁波シールドされる。
(3)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用電池の被覆構造21によると、実施例1の車両用電池の被覆構造1と略同様の作用効果を奏することに加えて、車両ボデー2に立ち上げ壁2aを設ける必要がないので、車両ボデー2の設計自由度を高めることができる。
<実施例3>
次に、本実施例3に係る車両用電池の被覆構造の構成について説明する。なお、本実施例2の車両用電池の被覆構造では、上記実施例1に係る車両用電池の被覆構造1と略同じ構成部位には同符号を付けて詳説を省略する。
(1)車両用電池の被覆構造の構成
本実施例3に係る車両用電池の被覆構造24は、図9〜図11に示すように、車両ボデー2に搭載された車両用電池の被覆構造であって、車両用電池3を被覆するカーペット5を備えている。このカーペット5の裏面側には、車両用電池3を被覆する略平板状の樹脂カバー25が積層されている。
上記車両ボデー2に固定されたロアケース11には、樹脂カバー25が固定されるとともに、左右一対の金属製で略L字状のシートフレーム26の一端側が固定されている。これら各シートフレーム26の他端側は、車両ボデー2の立ち上げ壁2aの頂上部に固定されている。
(4)実施例の効果
以上より、本実施例の車両用電池の被覆構造21によると、実施例1の車両用電池の被覆構造1と略同様の作用効果を奏することに加えて、樹脂カバー9及びシートフレーム26によりシートクッション10が支持されるので、シートクッション10を更に安定的に支持できる。
尚、本発明においては、上記実施例1〜3に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。すなわち、上記実施例1〜3では、バッキング層7の裏面側に露出するシールド層8を例示したが、これに限定されず、例えば、図12に示すように、バッキング層7の裏面側に埋設されたシールド層8としてもよい。
また、上記実施例1〜3では、バッキング層7の裏面側にシールド層8を配設するようにした。参考例として、例えば、図13に示すように、バッキング層7の表面側にシールド層8を配設したり、バッキング層7の表裏方向の中央側にシールド層8を配設したりしてもよい。
また、上記実施例1〜3では、金属メッシュからなるシールド層8を例示したが、これに限定されず、例えば、金属板、金属箔、金属フィルム又は金属コーティング層からなるシールド層8を採用してもよい。この場合、シールド層8に対して樹脂カバーを接着、締結等で固定することができる。発泡金属、又は導電性繊維を用いてなる布(例えば、不織布、織物、編物等)などからなるシールド層8を採用してもよい。
また、上記実施例1〜3では、カーペット5の裏面側に樹脂カバー9を直接的に積層するようにしたが、これに限定されず、例えば、カーペット5の裏面側に他の部材(例えば、防音材、吸音材、接着層等)を介して樹脂カバー9を間接的に積層するようにしてもよい。
また、上記実施例1〜3では、タフト布からなる表皮層6を例示したが、これに限定されず、例えば、不織布、織物、編物等からなる表皮層6を採用してもよい。また、上記実施例1〜3では、1層のみからなるバッキング層7を例示したが、これに限定されず、例えば、複数層からなるバッキング層7を採用してもよい。また、上記実施例1〜3では、樹脂製のバッキング層7を例示したが、エラストマー又はゴム等からなるバッキング層7を採用してもよい。
なお、上記バッキング層7をなす樹脂としては熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂及びポリ塩化ビニル系樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでもポリオレフィン系樹脂が好ましく、ポリエチレンがより好ましく、低密度ポリエチレンが特に好ましい。十分な強度及び柔軟性並びに加工性を有しつつ、優れた遮音性を発揮できる。また、上記バッキング層7をなすエラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、上記バッキング層7をなすゴムとしては、ブダジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム及びクロロプレンゴム等が挙げられる。これらは1種のみ用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記実施例1〜3では、表皮層6の裏面側にバッキング層7を直接的に積層するようにしたが、これに限定されず、例えば、表皮層6の裏面側に他の部材(例えば、防音材、吸音材、接着層等)を介してバッキング層7を間接的に積層するようにしてもよい。さらに、上記実施例1〜3では、バッキング層7の裏面側にシールド層8を直接的に積層するようにしたが、これに限定されず、例えば、バッキング層7の裏面側に他の部材(例えば、防音材、吸音材、接着層等)を介してシールド層8を間接的に積層するようにしてもよい。
また、上記実施例1〜3では、シートクッション10の下方に搭載される車両用電池3の被覆構造1、21、24を例示したが、これに限定されず、例えば、トランクルーム等に搭載される車両用電池の被覆構造としてもよい。
また、上記実施例1〜3では、ロアケース11で車両用電池3の車幅方向の側面を被覆する形態を例示したが、これに限定されず、ロアケース11に替えて又は加えて、カーペット5のシールド層8で車両用電池3の車幅方向の側面を被覆するようにしてもよい。
また、上記実施例1〜3では、表皮層6、バッキング層7及びシールド層8を一体成形してなるカーペット5を例示したが、これに限定されず、例えば、各層を接着剤等で接合してなるカーペットを採用してもよい。
さらに、上記実施例1〜3では、成形型12a,12b内に、表皮層6になる表皮材6aと、バッキング層7になる加熱処理されたバッキング材7aと、を別々にセットするようにしたが、これに限定されず、例えば、成型型12a,12b内に、表皮層6の裏面側にバッキング層7を一体成形してなる一体物をセットするようにしてもよい。
前述の例は単に説明を目的とするものでしかなく、本発明を限定するものと解釈されるものではない。本発明を典型的な実施形態の例を挙げて説明したが、本発明の記述および図示において使用された文言は、限定的な文言ではなく説明的および例示的なものであると理解される。ここで詳述したように、その形態において本発明の範囲または精神から逸脱することなく、添付の特許請求の範囲内で変更が可能である。ここでは、本発明の詳述に特定の構造、材料および実施例を参照したが、本発明をここにおける開示事項に限定することを意図するものではなく、むしろ、本発明は添付の特許請求の範囲内における、機能的に同等の構造、方法、使用の全てに及ぶものとする。
本発明は上記で詳述した実施形態に限定されず、本発明の請求項に示した範囲で様々な変形または変更が可能である。
車両用電池を被覆する技術として広く利用される。特に、乗用車、バス、トラック等の他、列車、汽車等の鉄道車両、建設車両、農業車両、産業車両などで使用される車両用電池の被覆構造として好適に利用される。
1,21,24;車両用電池の被覆構造、2;車両ボデー、3;車両用電池、5;カーペット、6;表皮層、7;バッキング層、8;シールド層、9,22,25;樹脂カバー、10;シートクッション。

Claims (3)

  1. 車両ボデーに搭載された車両用電池の被覆構造であって、
    前記車両用電池を被覆するカーペットを備え、
    前記カーペットは、前記車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層を有し、
    前記カーペットの裏面側には、前記車両用電池を被覆する樹脂カバーが積層されており、
    前記カーペットは、表皮層と、該表皮層の裏面側に積層される熱可塑性樹脂からなるバッキング層と、該バッキング層の裏面側に積層される前記シールド層と、を有し、該シールド層は、複数の孔を有するシート材からなり、前記バッキング層の一部が該シールド層の該複数の孔を介して前記樹脂カバーに接着固定されていることを特徴とする車両用電池の被覆構造。
  2. 前記カーペット上にはシートクッションが配設され、該シートクッションは前記樹脂カバーに固定されている請求項1記載の車両用電池の被覆構造。
  3. 車両ボデーに搭載された車両用電池を被覆するカーペットであって、
    前記車両用電池から発生する電磁波を遮蔽するシールド層を有し、裏面側には前記車両用電池を被覆する樹脂カバーが積層されており、
    表皮層と、該表皮層の裏面側に積層される熱可塑性樹脂からなるバッキング層と、該バッキング層の裏面側に積層される前記シールド層と、を有し、該シールド層は、複数の孔を有するシート材からなり、前記バッキング層の一部が該シールド層の該複数の孔を介して前記樹脂カバーに接着固定されていることを特徴とするカーペット。
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