JP2004148906A - 車両用吸音材 - Google Patents

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俊介 長木
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Abstract

【課題】超極細繊維不織布を使用した車両用吸音材であって、超極細繊維不織布の層間剥離を防止し、かつ接着強度を強化し、コストダウンを図る。
【解決手段】吸音層30の片面、あるいは両面に、メルトブロー法により得た超極細繊維層41の両面にスパンボンド不織布層42を積層一体化した積層不織布40を一体化するか、あるいは超極細繊維不織布60にエンボス加工を施すことにより層間剥離を防止した構造の超極細繊維不織布60を一体化することで、超極細繊維層41、超極細繊維不織布60の層間剥離を防止することにより、吸音層30、表皮層20との間の接着強度を強固に維持し、成形時の破れをなくし、かつコストダウンを図る。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両用フロアカーペット、車両用インシュレータダッシュ等に好適な車両用吸音材に係り、特に吸音特性に優れるとともに、層間剥離や接着不良がなく、かつ成形時における充分な機械強度を確保でき、しかも、コストダウンが図れる車両用吸音材に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、車両用吸音材としては、車両のフロアパネル面に取り付けられる車両用フロアカーペットや、車両のダッシュパネルの室内面側に取り付けられるインシュレータダッシュ等が知られている。
【0003】
図15は、車両用フロアカーペット1の断面構造を示すもので、フロアカーペット1は、フロアパネルの面形状に合わせて成形されており、ニードルカーペット、タフトカーペット等の表皮層2の裏面側に、吸音性、断熱性、クッション性を有する、嵩高性不織布、フエルト等の吸音層3を積層一体化して構成されている。
【0004】
例えば、ニードルカーペットを表皮層2として使用した場合には、図16に示すように、ニードルパンチング加工を施したニードルパンチパイル2aの裏面にPE(ポリエチレン)樹脂、ラテックス等のバッキング層2bが裏打ちされ、吸音層3と一体化されている。
【0005】
しかし、バッキング層2bは、重量が嵩み、かつ室内騒音を吸音層3側に取り込むことを遮断する傾向にあるため、最近では、ニードルパンチパイル2aを不織布等による擬似バッキング層2cで裏打ちした表皮層2を使用するとともに、この表皮層2と吸音層3との間にメルトブロー法等により形成した超極細繊維層4を介装することにより、吸音性を高めたフロアカーペット1が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
また、図18に示すように、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル5の室内面側に取り付けられるインシュレータダッシュ6は、表面側に表皮層7、裏面側に吸音層8の二層成形体からなり、表皮層7は、再生ゴムシート、再生塩ビシートなど、比較的面密度の高いシート材料、あるいはフエルト等の高密度繊維層が使用され、吸音層8としては、比較的低密度のPET(ポリエステル)不織布やフエルトが使用されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−95169号公報 (第3頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の車両用フロアカーペット1は、図16に示すバッキング層2bを有する表皮層2を使用するものでは、バッキング層2bとしてPE等の樹脂シートを使用するため、重量化することから、製品の重量化を招き、燃費効率の低下や車体パネルへの取付作業性の低下をもたらすという不具合が指摘されている。
【0009】
更に、バッキング層2bは、非通気性であるため、室内騒音はこのバッキング層2bで室内側に反射し、吸音層3の吸音性能を充分に発揮させることができず、良好な吸音性能が得られないという欠点が従来から指摘されている。
【0010】
この対策として、図17に示す超極細繊維層4を表皮層2と吸音層3との間に介装する構成のものでは、吸音性能の向上は認められるものの、メルトブロー不織布は、通常、複数の層状になっていることにより、層間剥離が発生し易く、表皮層2と吸音層3との間の接着力が低下する傾向にある。
【0011】
加えて、メルトブロー不織布は、引張り力に弱く、表皮層2と吸音層3との一体成形時、展開率が高い部位で破れを生じ易く、造形自由度に制約を受ける等、成形性能に劣るという欠点がある。更に、メルトブロー不織布は、コスト高であり、かつ製造時間も長期化して、歩留まりが悪くコスト高を招来する要因となっている。
【0012】
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、車両用フロアカーペット、インシュレータダッシュ等の車両用吸音材であって、優れた吸音性能が確保できるとともに、表皮層や吸音層との間の接着強度も高く、成形時の破れ等が生じることがなく、しかも、大幅なコストダウンを招来できる車両用吸音材を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を解決するために、発明者は、吸音性能の良好なメルトブロー不織布の層間剥離を未然に防止するために、メルトブロー不織布の両面にスパンボンド不織布層でサンドイッチ状に補強するか、あるいはメルトブロー不織布にエンボス加工を施すことにより、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明に係る車両用吸音材は、車体パネルの室内面形状に即して成形され、車体パネルの室内面に装着される吸音層の表裏面の少なくとも一面に、スパンボンド不織布層間に超極細繊維層を介装した積層不織布が一体化されていることを特徴とする。
【0015】
ここで、車両用吸音材としては、フロアパネルの室内面に装着される車両用フロアカーペット、ダッシュパネルの室内面に装着されるインシュレータダッシュ、エンジンルーム内に内装されるダッシュインシュレータフロント、インシュレータフード等が挙げられる。
【0016】
そして、車両用フロアカーペットに適用する場合は、通気性を有する表皮層と、吸音性、クッション性を有する吸音層との間に積層不織布が介装一体化され、インシュレータダッシュやエンジンルーム内に内装されるダッシュインシュレータフロントやインシュレータフードでは、吸音層の室内側に積層不織布がラミネートされる。
【0017】
更に、フロアカーペットにおける表皮層は、タフトカーペット仕様とニードルカーペット仕様があり、タフトカーペット仕様は、カーペット表面のパイル層と、パイル層を植え付ける基布層と、パイル層の目止めを行なう目止め層とから構成されている。パイル層は、ポリアミド(ナイロン)樹脂繊維、ポリエステル(PET)樹脂繊維、ポリプロピレン(PP)樹脂繊維等の合成樹脂繊維が使用できる。基布層は、PETスパンボンド等を使用する。そして、パイル層の目止めのためにラテックス等を使用できる。
【0018】
また、ニードルパンチカーペット仕様では、タフトカーペットに使用するパイル層と同様、ポリアミド樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、PP樹脂繊維等の合成樹脂繊維をニードルパンチング加工によりシート状に作製してなる。更に、吸音層は、フエルト、嵩高性PET不織布等、吸音性、クッション性に優れた素材が使用できる。
【0019】
次に、積層不織布は、メルトブロー工法等により作製してなる超極細繊維層の両面に、スパンボンド不織布層でサンドイッチ状に積層一体化した構成である。そして、超極細繊維層の繊維径は0.01〜1d、目付量は5〜100g/m 、好ましくは5〜20g/m 。また、スパンボンド不織布層の繊維径は、1〜5dであり、目付量は5〜200g/m 、好ましくは30〜120g/m に設定されている。更に、スパンボンド不織布層で超極細繊維層の両面をサンドイッチ状に一体化した積層不織布の層厚みは0.1〜5mmの範囲が良い。尚、積層不織布は、吸音層の表裏面のうち少なくとも一方面に設定することができる。また、積層不織布におけるスパンボンド不織布層と超極細繊維層との組み合わせは、表裏面にスパンボンド不織布層が設定されていれば、層数の限定はない。
【0020】
従って、本発明に係る車両用吸音材によれば、スパンボンド不織布層間に超極細繊維層が挟まれていることにより、積層不織布自体に層間剥離が生じ難いため、接着強度が超極細繊維層単体よりも強化できることから、吸音層と積層不織布との一体成形時、積層不織布が破れたり、吸音層と積層不織布層が剥離したりすることがない。
【0021】
また、積層不織布の構成として、コスト高の超極細繊維層の両面を比較的廉価なスパンボンド不織布層で挟み付けることにより、超極細繊維層の目付量を小さく設定でき、製造時間を短縮化できるとともに、コストダウンも図れる。
【0022】
次いで、本発明の別の実施形態は、車体パネルの室内面形状に即して成形され、車体パネルの室内面に装着される吸音層の表裏面の少なくとも一面に、エンボス加工を施した超極細繊維不織布が一体化されていることを特徴とする。
【0023】
ここで、超極細繊維層に形成されるエンボス加工は、一面のみ、あるいは両面に形成することができ、エンボス深さとしては、約80〜99.9%のエンボス深さまで圧縮加工することが好ましい。従って、エンボス加工を施した超極細繊維不織布を使用することで、層間剥離が生じにくくなり、かつ吸音層との間での一体成形時に破れ等が発生することがない。また、超極細繊維不織布の目付量を高く設定しても、エンボス加工により繊維ではなくフィルム状になるため、層間剥離や破れが生じにくいため、目付量を大きく、音振性能を高めた超極細繊維不織布の使用が可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る車両用吸音材の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1乃至図8は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は本発明を車両用フロアカーペットに適用した実施形態を示す斜視図、図2は同フロアカーペットの構成を示す断面図、図3は同フロアカーペットにおける断面構造を拡大して示す断面図、図4は同フロアカーペットにおける変形例を示す断面図、図5は本発明の第1実施形態を適用したインシュレータダッシュの正面図、図6は同インシュレータダッシュの構成を示す断面図、図7は本発明の第1実施形態における積層不織布の変形例を示す構成説明図であり、図8は本発明の第1実施形態を適用したエンジンルーム用インシュレータを示す断面図である。
【0025】
また、図9乃至図14は本発明の第2実施形態を示すもので、図9は第2実施形態を適用したフロアカーペットの構成を示す断面図、図10は同フロアカーペットの断面構造を拡大して示す説明図、図11は同フロアカーペットにおける超極細繊維層の構成を示す断面図、図12は同超極細繊維不織布における弾性変形態様を示す説明図、図13,図14は同超極細繊維不織布の変形例を示す各断面図である。
【0026】
図1乃至図8に基づいて、本発明の第1実施形態について説明する。図1において、車両用フロアカーペット10は、図示しない車両のフロアパネルの室内面に敷設され、フロアカーペット10の中央に車両の長手方向に沿って延びるトンネル部10aを備えるようにフロアパネルの面形状に即して成形されている。
【0027】
そして、このフロアカーペット10は、図2に示すように、表皮層20と吸音層30との間に積層不織布40が介装一体化されている。尚、図中符号50は車体パネル(フロアパネル)を示す。更に詳しくは、表皮層20は、ニードルパンチ仕様であり、表皮層20と積層不織布40と吸音層30がニードルパンチング加工により一体化される。上記表皮層20は、ポリアミド(ナイロン)樹脂繊維、PET樹脂繊維、PP樹脂繊維等から適宜選択されて良いが、ポリアミド樹脂繊維、あるいはポリエステル樹脂繊維等の高融点繊維が望ましい。次いで、車体パネル50に接合する吸音層30は、PTE不織布やフエルト等の嵩高性の繊維質材料を使用し、吸音性能、クッション性能、断熱性能等の機能性を高めるために使用される。
【0028】
ところで、本発明に係る車両用フロアカーペット10の特徴は、吸音性能に優れることに加えて、低コストでかつ成形時の破れや層間剥離が生じることがない品質性能に優れたフロアカーペット10を提供するために、積層不織布40に改良を加えたことが特徴である。
【0029】
すなわち、表皮層20と吸音層30との間に介装一体化される積層不織布40は、図3中拡大して示すように、メルトブロー法により製造された超極細繊維層41の両面にPETスパンボンド不織布層42をサンドイッチ状に挟み込んだ三層構造体からなる積層不織布40が使用されている。
【0030】
更に詳しくは、超極細繊維層41は、繊維径が0.01〜1d、目付量は5〜100g/m であり、スパンボンド不織布層42は、繊維径が1〜5dであり、目付量は5〜100g/m の範囲のものが良い。本実施形態においては、超極細繊維層41の目付量は25g/m 、両面のスパンボンド不織布層42の目付量は30g/m に設定され、積層不織布40全体の面密度は80g/m で、層厚は0.1〜5mm、実施形態においては0.5mmに設定されている。
【0031】
従って、従来、メルトブロー法による超極細繊維層を使用すれば、吸音性能の向上を見込めるものの、目付量を増大させた場合、コスト高を招くとともに、層数が増えて層間剥離を招き易いという欠点があったが、本発明においては、スパンボンド不織布層42により超極細繊維層41を挟み付ける構成を採用したため、層間剥離が生じにくくなり、このことにより、接着強度も超極細繊維層よりも高くでき、表皮層20や吸音層30との間で剥離不良が生じることがない。また、車体パネル50の室内面形状に沿ってフロアカーペット10を成形する際にも積層不織布40は破れにくく、成形性能を高めることができるため、造形自由度を大幅に向上させることができる。
【0032】
また、超極細繊維層41の目付を小さくできるため、製造時間も短縮化でき、コストダウンを図ることができる。尚、積層不織布40は、図4に示すように、吸音層30の裏面に積層一体化することもでき、図示はしないが、吸音層30の表裏面に積層不織布40を積層一体化することもできる。更に、本実施形態では、ニードルカーペット仕様における車両用フロアカーペット10に適用したが、表皮層20の構成として、タフトカーペット仕様の表皮層20を使用したフロアカーペット10に適用することもできる。
【0033】
次に、図5,図6は、本発明の第1実施形態を適用した自動車用インシュレータダッシュ100を示すもので、インシュレータダッシュ100は、エンジンルームEと車室Rとを区画するダッシュパネル110の室内面形状に即した立体形状に成形されており、このインシュレータダッシュ100は、ダッシュパネル110に添設される吸音層30の表面側に積層不織布40が一体化された構成である。
【0034】
上記吸音層30及び積層不織布40の構成については、車両用フロアカーペット10で使用する材質のものを使用する関係上、ここではその説明は省略する。
【0035】
従って、従来のインシュレータダッシュの表皮層の素材である再生ゴムシート、再生塩ビシートなど、あるいは高密度繊維層に替えて、軽量で吸音性能に優れた積層不織布40を使用するため、インシュレータダッシュ100の製品重量を大幅に軽量化することができるとともに、吸音性能についても、超極細繊維層41の両面にスパンボンド不織布層42で挟み付けた積層構造体を使用できることから、吸音性能を向上させ、従来のインシュレータダッシュに比べ、吸音性能を向上させることができる。
【0036】
このように、本発明に係る第1実施形態では、吸音層30の表裏面の少なくとも一面に積層不織布40を一体化してなり、かつ積層不織布40は、超極細繊維層41の両面にスパンボンド不織布層42で挟み付けた積層構造体を採用することで、層間剥離が発生しづらく、接着強度を強固に維持でき、かつコストも廉価で吸音性能に優れた吸音素材を提供できる。
【0037】
更に、積層不織布40における超極細繊維層41とスパンボンド不織布層42との組み合わせ及び層数については、図7(a)に示すように、超極細繊維層41の層数を増大させることで、吸音性能を更に向上させることができる。また、図7(b),(c)に示すように、超極細繊維層41に加えて、スパンボンド不織布層42の層数も増加させ、あるいは組み合わせを変更することで、吸音性能を高めることに加えて、機械強度の向上も併せて達成できる。
【0038】
このように、本発明に使用する積層不織布40は、表裏面にスパンボンド不織布層42が設定されていれば、これらスパンボンド不織布層42に超極細繊維層41が挟まれて支持されるという構成であれば、各層の組み合わせや層数は特に限定されるものではない。
【0039】
また、図8に示すように、エンジンルーム用インシュレータ200として、吸音層30のエンジンルームE側に積層不織布40を一体化する構成を採用することもできる。尚、エンジンルーム用インシュレータ200における吸音層30はグラスウールや耐熱性フエルトを使用することが好ましい。
【0040】
この場合においても、従来のエンジンルーム用インシュレータの表皮として使用していた不織布に比べ超極細繊維層41の両面にスパンボンド不織布層42を積層した積層不織布40を使用することで、従来品より良好な音振性能が得られる。
【0041】
次に、図9乃至図14は、本発明に係る車両用吸音材の第2実施形態を示すもので、図9,図10は、本発明の第2実施形態をフロアカーペット10に適用した断面図並びに拡大断面図である。尚、第1実施形態と同一部分には同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0042】
この第2実施形態におけるフロアカーペット10は、表皮層20と吸音層30との間にメルトブロー法等により作製された超極細繊維不織布60が介装一体化されている。
【0043】
そして、この超極細繊維不織布60は、その表裏面にエンボス部61を備えるようにエンボス加工が施されていることが特徴である。このエンボス部61のエンボス深さは、超極細繊維不織布60の厚みに対し、約80〜99.9%まで潰されている。このように、超極細繊維不織布60は、エンボス加工が施されているため、超極細繊維不織布60は、目付量を比較的大きく形成して、吸音性能を高めた場合でも層間剥離が生じることがなく、接着強度に優れ、表皮層20及び吸音層30との間に剥離不良が生じることがなく、かつ展開率を大きくとった製品形状に設定しても、破れ等が生じることがない。
【0044】
また、このエンボス部61の形状としては、図12に示すように正方形状に設定し、エンボス部61の大きさは一辺の寸法d1が1mmの正方形状でエンボス部61間の寸法d2は約0.5〜0.75mmに設定されている。
【0045】
従って、図12(a)に示す超極細繊維不織布60に対して矢印方向に引張力を作用させた場合、図12(b)に示すように、エンボス部61が菱形形状に変形することで、超極細繊維不織布60は、破れることなく追従することができ、フロアカーペット10の製品形状に有効に対応することができる。また、超極細繊維不織布60に形成するエンボス部61は、図13に示すように、片面のみに形成しても良く、また、図14に示すように、表裏面交互に形成することで、波形状に超極細繊維不織布60を形成しても良い。
【0046】
このように、超極細繊維不織布60にエンボス部61を形成することで、潰した部位は繊維ではなくフィルム状になるため、超極細繊維不織布60の目付量を大きく設定しても、層間剥離や破れが生じることがないため、表皮層20、吸音層30との間の接着力を強固に維持でき、成形時に破れ等が生じることがない。
【0047】
また、図示はしないが、エンボス加工を施した繊維不織布60をインシュレータダッシュ100の表皮、あるいはエンジンルーム用インシュレータ200の表皮に使用することもできる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明に係る車両用吸音材は、吸音層の片面、あるいは両面に一体化される積層不織布として、超極細繊維層の両面をスパンボンド不織布層によりサンドイッチ状に支持する積層不織布や、あるいはエンボス部により層間剥離が生じないように形成した超極細繊維不織布を使用することで、良好な吸音性能を維持しつつ、層間剥離も未然に防止できることから、充分な接着強度が得られ、しかも成形時における破れ等が生じない品質性能に優れた車両用吸音材を提供できるという効果を有する。
【0049】
また、吸音層の片面、あるいは両面に積層される積層不織布として、超極細繊維層の両面をスパンボンド不織布層によりサンドイッチ状に支持するという構成を採用すれば、製造が高価な超極細繊維層の目付を小さくできるため、廉価でかつ製造時間を短縮化でき、コストダウンを図ることができるという効果を有する。
【0050】
更に、吸音層の片面、あるいは両面にエンボス加工を施した超極細繊維不織布を一体化するという構成を採用すれば、吸音性能をより高めるために、超極細繊維不織布の目付量を大きくしても、エンボス深さを深く形成することで、層間剥離を抑え、接着強度を強固にでき、より吸音性能に優れた車両用吸音材を提供できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を適用した車両用フロアカーペットを示す斜視図である。
【図2】図1に示す車両用フロアカーペットの構成を示す断面図である。
【図3】図2に示すフロアカーペットを拡大して示す断面図である。
【図4】図3に示すフロアカーペットの変形例を示す断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態を適用した自動車用インシュレータダッシュを示す正面図である。
【図6】図5に示すインシュレータダッシュを車体パネルに取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に使用する積層不織布の変形例を示す説明図である。
【図8】本発明の第1実施形態を適用したエンジンルーム用インシュレータを示す断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態を適用したフロアカーペットの構成を示す断面図である。
【図10】図9に示すフロアカーペットにおける断面構造を拡大して示す断面図である。
【図11】図9に示すフロアカーペットに使用する超極細繊維不織布を示す断面図である。
【図12】図11に示す超極細繊維不織布の弾性変形態様を示す説明図である。
【図13】本発明の第2実施形態に使用する超極細繊維不織布の変形例を示す説明図である。
【図14】本発明の第2実施形態に使用する超極細繊維不織布の変形例を示す説明図である。
【図15】従来の車両用フロアカーペットの構成を示す断面図である。
【図16】従来の車両用フロアカーペットの構成を拡大して示す断面図である。
【図17】従来のフロアカーペットにおけるメルトブロー不織布を介装した構成を示す説明図である。
【図18】従来のインシュレータダッシュの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 車両用フロアカーペット
20 表皮層
30 吸音層
40 積層不織布
41 超極細繊維層
42 スパンボンド不織布層
50 車体パネル
60 超極細繊維不織布
61 エンボス部
100 自動車用インシュレータダッシュ
110 ダッシュパネル
200 エンジンルーム用インシュレータ

Claims (3)

  1. 車体パネル(50)の室内面形状に即して成形され、車体パネル(50)の室内面に装着される吸音層(30)の表裏面の少なくとも一面に、スパンボンド不織布層(42)間に超極細繊維層(41)を介装した積層不織布(40)が一体化されていることを特徴とする車両用吸音材。
  2. 車体パネル(50)の室内面形状に即して成形され、車体パネル(50)の室内面に装着される吸音層(30)の表裏面の少なくとも一面に、エンボス加工を施した超極細繊維不織布(60)が一体化されていることを特徴とする車両用吸音材。
  3. 前記超極細繊維不織布(60)に形成されるエンボス部(61)のエンボス深さは、超極細繊維不織布(60)における厚み寸法の80〜99.9%に設定されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用吸音材。
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