JP5644426B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Description
図1に示すように、電動パワーステアリング装置(EPS)10において、ラック軸11が挿通されるハウジング12は、ラック軸11のほぼ全体が収容される略円筒状の第1ハウジング14と、ラック軸11の一部が収容される略円筒状の第2ハウジング15とを接合して形成されている。また、第1ハウジング14の第2ハウジング15側外周面には、モータとしての電動モータ40をハウジング12に固定するためのエンドハウジング13が形成されている。
まず、電動モータ40側のベルト張力調整機構について説明する。図2(a)に示すように、電動モータ40において、モータハウジング41からの出力軸40aの突出側端面には、エンドプレート42が接合されている。このエンドプレート42の一端面には、出力軸40aを回転可能に支持する円筒状の支持部42aが突設されるとともに、エンドプレート42には、板状をなす一対のフランジ部43が支持部42aより外方へ延設されている。各フランジ部43それぞれにはネジ孔43aが形成されている。
図2(a)及び図3(a)に示すように、第1ハウジング14には、ラック軸11が収容されるラック軸収容孔14aが形成されるとともに、エンドハウジング13には、電動モータ40の出力軸40aが収容される出力軸収容孔13aが形成されている。また、第1ハウジング14において、エンドハウジング13の外周面には、それぞれ板状をなす第1モータ取付部50(図2(a)及び図3(a)では左側)と第2モータ取付部51(図2(a)及び図3(a)では右側)が、出力軸収容孔13aを挟んで互いに相反する方向へ延びるように形成されている。第1モータ取付部50には、長孔状をなす挿通孔としてのボルト挿通孔50aが形成されている。
まず、第2ボルト53を、ネジ孔43aから若干螺退させるとともに、掛止部57aが掛止凹部51bから外れるまで調整ピン55を調整ピン挿通孔51aから後退させる。なお、調整ピン55は、調整ピン挿通孔51aから後退させつつも調整ピン挿通孔51aでは回転可能に挿通支持されている。そして、調整ピン55の頭部57を工具(六角レンチ等)で把持して、調整ピン55を調整ピン挿通孔51a内で回転させると、第2ボルト53が軸部56(調整ピン55)の中心C2を回転中心として中心C2の回りを公転する。すると、第2ボルト53が螺合された電動モータ40が、第2ボルト53の公転に伴い移動する。このとき、電動モータ40の移動に伴い、電動モータ40に螺合されたもう1つの第1ボルト52も移動するが、その第1ボルト52の移動は長孔状のボルト挿通孔50aにより許される。そして、ボルト挿通孔50a内での第1ボルト52の移動により、電動モータ40は第1ボルト52を支点として揺動する。
図3(a)〜(c)に示すように、ベルト35の張力が調整され、かつ電動モータ40がエンドハウジング13に固定された状態では、ベルト35の張力により、駆動プーリ36(電動モータ40)には、従動プーリ34側への引寄せ力が作用している。よって、電動モータ40をエンドハウジング13に固定する第2ボルト53に対しても、ベルト35の張力に基づく従動プーリ34側への引寄せ力が電動モータ40を介して作用している。このとき、第2ボルト53は調整ピン55に挿通支持され、その調整ピン55は円筒状の軸部56が、円形状の調整ピン挿通孔51aに挿通された状態で調整ピン挿通孔51a内に支持されている。すなわち、第2ボルト53を支持する調整ピン55は、その軸部56の外周側に調整ピン挿通孔51aの内面が位置し、引寄せ力によって引寄せられる側に位置する調整ピン55の周面(端面)は、調整ピン挿通孔51aの内面に当接して常時支持されている。このため、第2ボルト53に引寄せ力が作用していても、その第2ボルト53を支持する調整ピン55が従動プーリ34側へ移動することが防止されることから、第2ボルト53が従動プーリ34側へ移動することが防止される。その結果、駆動プーリ36が従動プーリ34側へ引寄せられることがなく、その引寄せに基づいたベルト35の緩みが防止される。
(1)ベルト35の張力調整機構において、調整ピン55の軸部56は円形状の調整ピン挿通孔51aに挿通支持されるとともに、調整ピン55の回転に伴い公転する第2ボルト53は、調整ピン55の中心C2から偏心した位置に挿通されている。このため、電動モータ40に固定された第2ボルト53に対し、ベルト35の張力に基づく従動プーリ34側への引き寄せ力が作用しても、第2ボルト53が従動プーリ34側へ移動することが防止され、駆動プーリ36が従動プーリ34側へ引寄せられない結果として、ベルト35の張力が低下することを防止することができる。
○ 実施形態では、ボルト挿通孔50aを長孔状に形成したが、ベルト35の張力調整の際に、調整ピン55の回転に伴う電動モータ40の移動を許すのであれば、ボルト挿通孔50aの形状は長孔状に限定されない。
○ 実施形態では、掛止部57aが掛止する掛止凹部51bを第2モータ取付部51に形成したが、掛止凹部51bは無くてもよく、この場合は、以下のように変更してもよい。掛止部57aを、第2モータ取付部51(ハウジング12)における調整ピン挿通孔51aの周囲に嵌入させることで、第2モータ取付部51を塑性変形させ、その塑性変形した第2モータ取付部51を被掛止部として掛止部57aを掛止させてもよい。この場合、掛止部57a(調整ピン55)を硬度の高い材料(鉄等)で形成するとともに、被掛止部となる第2モータ取付部51(ハウジング12)を掛止部57aより硬度の低い材料(アルミニウム等)で形成することが好ましい。なお、掛止部を被掛止部に嵌入させたとき、被掛止部が弾性変形するように掛止部及び被掛止部の材料を適宜変更してもよい。
○ 実施形態では、調整ピン55に掛止部57aを突設し、第2モータ取付部51に掛止凹部51bを凹設したが、第2モータ取付部51に掛止部を突設し、調整ピン55の頭部57に被掛止部としての掛止凹部を凹設してもよい。又は、第2モータ取付部51に掛止部を突設するとともに、調整ピン55の頭部57を被掛止部とし、頭部57に掛止部を嵌入させて掛止させてもよい。
○ 実施形態では、固定部材として第2ボルト53に具体化したが、固定部材は、電動モータ40をエンドハウジング13に固定できるのであれば、電動モータ40に形成された固定穴に圧入される圧入ピンであってもよく、その他の固定形式を有する固定部材であってもよい。
Claims (2)
- ラック軸を収容するハウジングには、該ハウジングを貫通した固定部材がモータに固定されることにより前記モータが固定され、前記モータの駆動により発生する動力を該モータの出力軸からベルトを介して前記ラック軸に伝達し、前記動力を、ステアリング操作を補助するためのアシスト力として前記ラック軸に付与する電動パワーステアリング装置において、
前記ベルトの張力調整機構として、
円形状の調整ピン挿通孔を前記ハウジングに有するとともに、
前記調整ピン挿通孔に挿通される調整ピンを有しており、
前記調整ピンに、前記調整ピン挿通孔に回転可能に挿通支持される軸部が形成されるとともに、前記軸部の中心から偏心した位置に、前記固定部材を前記モータに固定するために該固定部材が挿通される貫通孔が形成され、
前記ハウジングには、前記固定部材とは別の固定部材が挿通される挿通孔が形成されるとともに、該挿通孔は長孔状に形成されていることを特徴とする電動パワーステアリング装置。 - 前記ハウジングには前記出力軸が挿通される出力軸収容孔が形成されるとともに、前記ラック軸が挿通されるラック軸収容孔が形成され、前記出力軸収容孔とラック軸収容孔の中心軸同士を結ぶ直線を中央線とすると、前記挿通孔は、該挿通孔の中心線が前記中央線に対し交差するように形成されている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置。
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