JP5643918B2 - 欠陥検査装置および欠陥検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、偏光フィルムや位相差フィルムなどのシート状成形体の欠陥を検査する欠陥検査装置および欠陥検査方法に関する。
旧来、欠陥検査装置は、ラインセンサと呼ばれる1次元カメラを用いて、偏光フィルムや位相差フィルムなどのシート状成形体の欠陥を検査する。欠陥検査装置は、シート状成形体を蛍光管などの線状光源で照明した状態で、シート状成形体表面をシート状成形体の長手方向に沿って長手方向の一端から他端までラインセンサで走査しながら、複数の1次元画像データ(静止画像データ)を取得する。そして、複数の1次元画像データを取得時間順に敷き詰めることによって2次元画像データを生成し、その2次元画像データに基づいてシート状成形体の欠陥を検査する。
ラインセンサによって取得される1次元画像データには、通常、線状光源像が含まれる。線状光源像は、線状光源とラインセンサとがシート状成形体の一方の側に配置されている場合には、線状光源から出射しシート状成形体によって正反射されてラインセンサに到達した光の像である。また、線状光源像は、線状光源とラインセンサとの間にシート状成形体が配置されている場合には、線状光源から出射しシート状成形体を透過してラインセンサに到達した光の像である。欠陥検査装置では、シート状成形体の幅が広い場合、シート状成形体の幅方向全域を検査できるように、複数台のラインセンサを幅方向に並べて用いる。
この旧来の欠陥検査装置では、複数の1次元画像データを敷き詰めることによって生成された、シート状成形体全域を表す2次元画像データに基づいてシート状成形体の欠陥を検査するものであるので、2次元画像データを構成する各1次元画像データにおける検査対象画素と線状光源像との位置関係は、1つの決まった位置関係となる。欠陥は、検査対象画素(注目画素)と線状光源像との位置関係が特定の位置関係にある場合にしか1次元画像データ上に現れないことがある。たとえば、欠陥の1種である気泡は、線状光源像の周縁または近傍にある場合にしか1次元画像データ上に現れないことが多い。このように欠陥は、その位置によっては、検出されないことがある。したがって、ラインセンサによって取得された複数の1次元画像データにより構成される2次元画像データを用いてシート状成形体の欠陥を検査する、上記旧来の欠陥検査装置は、限られた欠陥検出能力しか有していない。
このような問題点を解決する欠陥検査装置として、特許文献1および特許文献2には、シート状成形体を蛍光管などの線状光源で照明し、シート状成形体を所定の搬送方向に連続して搬送しながら、エリアセンサと呼ばれる2次元カメラを用いて2次元画像データ(動画データ)を取得し、この2次元画像データに基づいてシート状成形体の欠陥を検査する装置が開示されている。
特許文献1,2に開示される欠陥検査装置によれば、検査対象画素と線状光源像との位置関係が異なる複数の2次元画像データに基づいて欠陥があるか否かを判定することができるので、ラインセンサを用いた旧来の欠陥検査装置よりも欠陥を確実に検出できる。したがって、特許文献1,2に開示される、エリアセンサを用いた欠陥検査装置は、ラインセンサを用いた旧来の欠陥検査装置よりも欠陥検出能力が向上する。
特開2007−218629号公報 特開2010−122192号公報
特許文献1,2に開示される、エリアセンサを用いた欠陥検査装置は、エリアセンサから出力される2次元画像データを対象に、パーソナルコンピュータ(PC)によって実現される画像解析部において欠陥位置などを解析する。このとき、2次元画像データは情報量が多いので、画像解析部による2次元画像データの解析処理時間は、長くなる傾向がある。
このように、画像解析部による解析処理時間が長くなると、解析処理時間に応じて制御されるシート状成形体の搬送速度を低下させる必要があり、検査効率が低下してしまう。
本発明の目的は、高い欠陥検出能力を維持した上で、画像解析部による画像処理の高速化を図ることができ、検査効率を向上することができる欠陥検査装置および欠陥検査方法を提供することである。
本発明は、シート状成形体を搬送する搬送部と、
搬送される前記シート状成形体に光を照射する照射部と、
搬送される前記シート状成形体を撮像し、シート状成形体に照射された光の反射光または透過光に基づく2次元画像データを生成するエリアセンサと、
前記2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を、予め定めるアルゴリズム処理によって算出する特徴量算出部と、
前記2次元画像データを構成する各画素を、前記輝度値に基づく特徴量が予め定める閾値以上の画素である欠陥画素と、前記輝度値に基づく特徴量が前記閾値未満の画素である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記輝度値に基づく特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成する処理画像データ生成部と、
前記処理画像データに基づいて、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群を、少なくとも1つ生成する解析用画像データ生成部と、
前記解析用画像データ生成部によって生成された前記解析用画像データ群に基づいて画像解析を行い、前記シート状成形体の欠陥を検出する画像解析部と、を備えることを特徴とする欠陥検査装置である。
また本発明の欠陥検査装置において、前記解析用画像データ群は、前記シート状成形体における欠陥の位置情報、輝度情報、サイズ情報、および種別情報のうちの少なくとも1つの情報を含むことが好ましい。
また本発明の欠陥検査装置において、前記特徴量算出部は、複数のアルゴリズム処理によって前記輝度値に基づく特徴量を算出し、
前記解析用画像データ生成部は、前記特徴量を算出したアルゴリズム処理の種類を特定するための予め定める種別番号に相当する階調値が画素の階調値として付与された解析用画像データ群を、前記種別情報を含む解析用画像データ群として生成することが好ましい。
また本発明は、シート状成形体を搬送する搬送工程と、
搬送される前記シート状成形体に光を照射する照射工程と、
搬送される前記シート状成形体をエリアセンサによって撮像し、シート状成形体に照射された光の反射光または透過光に基づく2次元画像データを生成する撮像工程と、
前記2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を、予め定めるアルゴリズム処理によって算出する特徴量算出工程と、
前記2次元画像データを構成する各画素を、前記輝度値に基づく特徴量が予め定める閾値以上の画素である欠陥画素と、前記輝度値に基づく特徴量が前記閾値未満の画素である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記輝度値に基づく特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成する処理画像データ生成工程と、
前記処理画像データに基づいて、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群を、少なくとも1つ生成する解析用画像データ生成工程と、
前記解析用画像データ生成工程で生成された前記解析用画像データ群に基づいて画像解析を行い、前記シート状成形体の欠陥を検出する画像解析工程と、を含むことを特徴とする欠陥検査方法である。
本発明によれば、欠陥検査装置は、搬送部、照射部、エリアセンサ、特徴量算出部、処理画像データ生成部、解析用画像データ生成部、および画像解析部を備える。欠陥検査装置においてエリアセンサは、照射部によってシート状成形体に照射された光の反射光または透過光に基づく2次元画像データを生成する。特徴量算出部は、前記2次元画像データを予め定めるアルゴリズムで処理することによって、2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を算出する。処理画像データ生成部は、前記2次元画像データを構成する各画素を、前記輝度値に基づく特徴量が予め定める閾値以上の画素である欠陥画素と、前記輝度値に基づく特徴量が前記閾値未満の画素である残余画素とに区別する。そして、処理画像データ生成部は、前記欠陥画素については前記輝度値に基づく特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成する。解析用画像データ生成部は、前記処理画像データに基づいて、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群を少なくとも1つ生成し、生成した解析用画像データ群を出力する。解析用画像データ生成部から出力された解析用画像データ群は、画像解析部に入力される。画像解析部は、前記解析用画像データ群に基づいて画像解析を行い、シート状成形体の欠陥を検出する。
このように構成される本発明の欠陥検査装置では、エリアセンサによって撮像された、シート状成形体の2次元画像データに基づいて、シート状成形体の欠陥検出が行われるので、たとえばラインセンサによる1次元画像データに基づいて欠陥検出が行われる場合に比べて、高い欠陥検出能力を維持することができる。
さらに本発明の欠陥検査装置では、エリアセンサから出力された、情報量の多い2次元画像データは、処理画像データ生成部によって処理画像データに変換され、さらに、解析用画像データ生成部によって1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群に変換される。このようにして2次元画像データから変換された、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群に基づいて、画像解析部が、画像解析を行ってシート状成形体の欠陥を検出するので、画像解析部による画像処理の高速化を図ることができ、検査効率を向上することができる。
また本発明によれば、解析用画像データ生成部が生成する解析用画像データ群は、シート状成形体における欠陥の位置情報、輝度情報、サイズ情報、および種別情報のうちの少なくとも1つの情報を含む。これによって、欠陥検査装置において画像解析部は、位置情報、輝度情報、サイズ情報、および種別情報などの、欠陥に関する情報に基づいて、シート状成形体の欠陥を検出することができる。
また本発明によれば、特徴量算出部は、複数のアルゴリズム処理によって特徴量を算出する。そして、解析用画像データ生成部は、前記特徴量を算出したアルゴリズム処理の種類を特定するための予め定める種別番号に相当する階調値が画素の階調値として付与された解析用画像データ群を生成する。このようにして、解析用画像データ生成部が生成する解析用画像データ群は、欠陥に関する前記種別情報を含む解析用画像データ群となる。
また本発明によれば、欠陥検査方法は、搬送工程、照射工程、撮像工程、特徴量算出工程、処理画像データ生成工程、解析用画像データ生成工程、および画像解析工程を含む。欠陥検査方法において撮像工程では、照射工程においてシート状成形体に照射された光の反射光または透過光に基づく2次元画像データを生成する。特徴量算出工程では、前記2次元画像データを予め定めるアルゴリズムで処理することによって、2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を算出する。処理画像データ生成工程では、前記2次元画像データにおいて、前記輝度値に基づく特徴量が予め定める閾値以上の画素を欠陥画素として抽出し、欠陥画素については前記輝度値に基づく特徴量に応じた階調値が付与され、欠陥画素以外の残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成する。解析用画像データ生成工程では、前記処理画像データに基づいて、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群を少なくとも1つ生成する。画像解析工程では、前記解析用画像データ群に基づいて画像解析を行い、シート状成形体の欠陥を検出する。
このように構成される本発明の欠陥検査方法では、撮像工程において撮像された、シート状成形体の2次元画像データに基づいて、シート状成形体の欠陥検出が行われるので、たとえばラインセンサによる1次元画像データに基づいて欠陥検出が行われる場合に比べて、高い欠陥検出能力を維持することができる。
さらに本発明の欠陥検査方法では、撮像工程において生成された情報量の多い2次元画像データは、処理画像データ生成工程において処理画像データに変換され、さらに、解析用画像データ生成工程において1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群に変換される。画像解析工程では、2次元画像データから変換された、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群に基づいて画像解析を行ってシート状成形体の欠陥を検出するので、画像解析工程における画像処理の高速化を図ることができ、検査効率を向上することができる。
本発明の目的、特色、および利点は、下記の詳細な説明と図面とからより明確になるであろう。
本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置1の構成を示す模式図である。 欠陥検査装置1の構成を示すブロック図である。 欠陥検出アルゴリズムの一例であるエッジプロファイル法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Aの一例を示す図である。 処理画像生成部61で作成されたエッジプロファイルP1の一例を示す図である。 処理画像生成部61で作成された微分プロファイルP2の一例を示す図である。 欠陥検出アルゴリズムの他の例であるピーク法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Bの一例を示す図である。 処理画像生成部61で作成された輝度プロファイルP3の一例を示す図である。 処理画像生成部61で実行される、輝度プロファイルP3の一端から他端に向かって移動する質点の想定手順を説明するための図である。 処理画像生成部61で生成された輝度値差プロファイルP4の一例を示す図である。 欠陥検出アルゴリズムの他の例である平滑化法を説明するための図であり、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Cの一例を示す図である。 処理画像生成部61で生成された平滑化プロファイルP5の一例を示す図である。 画像処理装置6が生成する画像データの一例を示す図であり、処理画像生成部61で生成された処理画像Dの一例を示す図である。 解析用画像生成部62で生成された解析用画像の一例を示す図である。 撮像装置5により撮像された2次元画像における、欠陥の種類の違いによる輝度値の変化の様子を示す図である。 撮像装置5により撮像された2次元画像における、欠陥の種類の違いによる輝度値の変化の様子を示す図である。 撮像装置5により撮像された2次元画像における、欠陥の種類の違いによる輝度値の変化の様子を示す図である。 撮像装置5により撮像された2次元画像における、欠陥の種類の違いによる輝度値の変化の様子を示す図である。 撮像装置5により撮像された2次元画像における、欠陥の種類の違いによる輝度値の変化の様子を示す図である。 複数の撮像装置5を並列駆動する場合における、複数情報量の出力方式を説明するための図である。 画像解析装置7の表示部74に表示される欠陥マップHの一例を示す図である。
以下図面を参考にして本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る欠陥検査装置1の構成を示す模式図である。図2は、欠陥検査装置1の構成を示すブロック図である。本実施形態の欠陥検査装置1は、熱可塑性樹脂などのシート状成形体2の欠陥を検出する装置である。本発明の欠陥検査方法は、欠陥検査装置1により実行される。
被検査体であるシート状成形体2は、押出機から押し出された熱可塑性樹脂をロールの隙間に通して表面を平滑にしたり凹凸形状を付与するなどの処理が施され、引取ロールにより搬送ロール上を冷却されながら引き取られることにより成形される。本実施形態のシート状成形体2に適用可能な熱可塑性樹脂は、たとえば、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリカーボネイト(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリビニルアルコール(PVA)、トリアセチルセルロース樹脂(TAC)などである。シート状成形体2は、これら熱可塑性樹脂の単層シート、積層シートなどから成形される。
また、シート状成形体2に生じる欠陥の例としては、成形時に生じる気泡、フィッシュアイ、異物、タイヤ跡、打痕、傷などの点状の欠陥(点欠陥)、折り目あとなどにより生じるいわゆるクニック、厚さの違いにより生じるいわゆる原反スジなどの線状の欠陥(線欠陥)が挙げられる。
欠陥検査装置1は、搬送装置3、照明装置4、撮像装置5、画像処理装置6、および画像解析装置7を備える。欠陥検査装置1は、搬送装置3により一定幅で長手方向に連続するシート状成形体2を一定方向(シート状成形体2の幅方向に直交する前記長手方向と同一方向)に移送し、この移送過程で照明装置4により照明されたシート面を撮像装置5により撮像して2次元画像データを生成し、画像処理装置6が、前記2次元画像データに基づいて解析用画像データを生成し、画像解析装置7が、画像処理装置6から出力される解析用画像データに基づいて欠陥検出を行うものである。
搬送装置3は、搬送部としての機能を有し、シート状成形体2を一定方向(搬送方向Z)に搬送する。搬送装置3は、たとえば、シート状成形体2を搬送方向Zに搬送する送出ローラと受取ローラとを備え、ロータリーエンコーダなどにより搬送距離を計測する。本実施形態では搬送速度は、2〜30m/分程度に設定される。
照明装置4は、照射部としての機能を有し、搬送方向Zに直交するシート状成形体2の幅方向を線状に照明する。照明装置4は、撮像装置5で撮影される画像に線状の反射像が含まれるように配置されている。具体的には、照明装置4は、シート状成形体2の上方において、シート状成形体2の表面を臨み、シート状成形体2の表面における照明領域、すなわち、撮像装置5が撮像する撮像領域までの距離が、たとえば200mmとなるように配置されている。
照明装置4の光源としては、LED、メタルハライドランプ、ハロゲン伝送ライト、蛍光灯など、シート状成形体2の組成および性質に影響を与えない光を照射するものであれば、特に限定されない。なお、照明装置4は、シート状成形体2を挟んで撮像装置5とは反対側に配置されてもよい。この場合には、撮像装置5で撮像された画像に、シート状成形体2を透過する透過像が含まれる。
欠陥検査装置1は、撮像部としての機能を有する複数の撮像装置5を備え、各撮像装置5は、搬送方向Zに直交する方向(シート状成形体2の幅方向)に等間隔に配列される。また、撮像装置5は、撮像装置5からシート状成形体2の撮像領域の中心に向かう方向と搬送方向Zとが鋭角をなすように配置されている。撮像装置5は、シート状成形体2の照明装置4による反射像または透過像(以下、「照明像」という)を含む2次元画像を複数回撮像して、複数の2次元画像データを生成する。
撮像装置5は、2次元画像を撮像するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)のエリアセンサからなる。撮像装置5は、図1に示すように、シート状成形体2の搬送方向Zに直交する幅方向の全領域を撮像するように配置されている。このように、シート状成形体2の幅方向の全領域を撮像し、搬送方向Zに連続するシート状成形体2を搬送することにより、効率的にシート状成形体2の全領域の欠陥を検査することができる。
撮像装置5の撮像間隔(フレームレート)は、固定されていてもよく、ユーザが撮像装置5自体を操作することによって変更可能となっていてもよい。また、撮像装置5の撮像間隔は、デジタルスチルカメラの連続撮影の時間間隔である数分の1秒などであってもよいが、検査の効率化を向上させるために、短い時間間隔、たとえば一般的な動画データのフレームレートである1/30秒などであることが好ましい。
撮像装置5が撮像する2次元画像の搬送方向Zの長さは、撮像装置5が2次元画像を取り込んでから次の2次元画像を取り込むまでの時間にシート状成形体2が搬送される搬送距離の少なくとも2倍以上であることが好ましい。すなわち、シート状成形体2の同一箇所を2回以上撮像することが好ましい。このように、2次元画像の搬送方向Zの長さを、撮像装置5が2次元画像を取り込んでから次の2次元画像を取り込むまでの時間におけるシート状成形体2の搬送距離よりも大きくし、シート状成形体2の同一部分の撮像回数を増加させることにより、高精度に欠陥を検査することができる。
画像処理装置6は、特徴量算出部および処理画像データ生成部としての機能を有する処理画像生成部61と、解析用画像データ生成部としての機能を有する解析用画像生成部62とを備え、画像処理ボードによって実現される。画像処理装置6は、複数の撮像装置5のそれぞれに対応して設けられる。
処理画像生成部61は、撮像装置5から出力された2次元画像データを予め定めるアルゴリズム(欠陥検出アルゴリズム)で処理することによって、前記2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を算出する。さらに、処理画像生成部61は、前記2次元画像データにおいて、前記特徴量が予め定める閾値以上の画素を欠陥画素として抽出する。そして、処理画像生成部61は、欠陥画素については前記特徴量に応じた階調値が付与され、欠陥画素以外の残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成し、生成した処理画像データを出力する。なお、欠陥画素以外の残余画素は、前記特徴量が前記閾値未満の画素である。
処理画像生成部61で用いられる欠陥検出アルゴリズムについて、図3A〜3C、図4A〜4D、図5A,5Bを参照しながら説明する。
図3A〜3Cは、欠陥検出アルゴリズムの一例であるエッジプロファイル法を説明するための図である。図3Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Aの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Aにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。図3Aにおいて、2次元画像AのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像A1であり、照明像A1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群A21であり、照明像A1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群A22である。
エッジプロファイル法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Aを、Y方向に沿った1行ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、Y方向一端(図3Aにおける2次元画像Aの上端)から他端(図3Aにおける2次元画像Aの下端)に向かってエッジを探査していくエッジ判定処理を行う。
具体的には、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、Y方向一端側から2つ目の画素を注目画素とし、注目画素に対して一端側に隣接する隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいかを判定する。隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいと判定された場合には、処理画像生成部61は、隣接画素が上限エッジA3であると判定する。それ以外の場合には、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上大きいと判定されるまでエッジ判定処理を繰返す。
上限エッジA3を検出した後、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上小さいかを判定する。隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上小さいと判定された場合には、処理画像生成部61は、隣接画素が下限エッジA4であると判定する。それ以外の場合には、処理画像生成部61は、注目画素をY方向他端に向かって1画素ずつずらしながら、隣接画素の輝度値よりも注目画素の輝度値が所定の閾値以上小さいと判定されるまでエッジ判定処理を繰返す。
図3Aでは、処理画像生成部61によるエッジ判定処理によって検出された上限エッジA3の例を「○」で示し、下限エッジA4の例を「●」で示している。図3Aから明らかなように、2次元画像Aにおいて欠陥が存在する第1欠陥画素群A21および第2欠陥画素群A22では、上限エッジA3と下限エッジA4とのY方向についての座標値(Y座標値)の差が、欠陥画素以外の残余画素におけるY座標値の差よりも極端に小さい。
このような特徴を利用して、処理画像生成部61は、図3Bに示すエッジプロファイルP1を作成する。図3Bに示すエッジプロファイルP1では、2次元画像Aにおける第1欠陥画素群A21に対応して、上限エッジA3と下限エッジA4とのY座標値の差が小さいピークP11が出現している。
さらに、処理画像生成部61は、エッジプロファイルP1について微分処理を行い、図3Cに示す微分プロファイルP2を作成する。図3Cに示す微分プロファイルP2では、エッジプロファイルP1におけるピークP11に対応して、すなわち、2次元画像Aにおける第1欠陥画素群A21に対応して、微分値が大きい、予め定める閾値以上の特徴量P22を有するピークP21が出現している。
処理画像生成部61は、微分プロファイルP2に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量P22を有するピークP21に対応する、2次元画像Aにおける画素を欠陥画素として抽出する。図3Cに示す微分プロファイルP2の例では、処理画像生成部61は、欠陥画素として第1欠陥画素群A21を抽出する。
図4A〜4Dは、欠陥検出アルゴリズムの他の例であるピーク法を説明するための図である。図4Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Bの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Bにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。図4Aにおいて、2次元画像BのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像B1であり、照明像B1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群B21であり、照明像B1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群B22である。
ピーク法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Bを、Y方向に沿った1行ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、2次元画像BのY方向に平行な一直線L上に沿った位置における輝度値の変化を連続的にプロットし、該連続的なプロットを繋いだ曲線を、図4Bに示す輝度プロファイルP3として作成する。
2次元画像Bに欠陥画素が存在しない場合、輝度プロファイルP3は、谷部分が出現しない単峰のプロファイルを示すが、欠陥画素が存在する場合には図4Bに示すように、谷部分P31が出現した双峰のプロファイルを示すようになる。
次に、処理画像生成部61は、各画素列の輝度プロファイルP3について、X方向に隣接するプロット間の移動時間が一定となるように、輝度プロファイルP3のX方向一端から他端に向かって移動する質点を想定する。ここで、前記質点が、図4Cに示すように、プロットcからそれに隣接するプロットbへ、プロットbからそれに隣接するプロットaへ、プロットaからそれに隣接するプロットdへ移動していくとする。また、プロットdが注目画素に対応するプロットであるものとする。
処理画像生成部61は、プロットdの直前に質点が通過したプロットa,b,cにおける質点の速度ベクトルおよび加速度ベクトルを求める。すなわち、処理画像生成部61は、プロットdの直前に質点が通過した2つのプロットaおよびプロットbの座標と、前記移動時間とに基づいて、プロットbからプロットaまでの区間における質点の速度ベクトルを求める。また、処理画像生成部61は、プロットdの直前に質点が通過した2つのプロットbおよびプロットcの座標と、前記移動時間とに基づいて、プロットcからプロットbまでの区間における質点の速度ベクトルを求める。さらに、処理画像生成部61は、プロットbからプロットaまでの区間における質点の速度ベクトルと、プロットcからプロットbまでの区間における質点の速度ベクトルとに基づいて、プロットcからプロットaまでの区間における質点の加速度ベクトルを求める。そして、処理画像生成部61は、プロットbからプロットaまでの区間における質点の速度ベクトルと、プロットcからプロットaまでの区間における質点の加速度ベクトルとから、プロットdの座標を予測する(予測プロットf)。
処理画像生成部61は、上記のようにして予測されたプロットdの予測プロットfの輝度値と、プロットdの実際(実測)の輝度値との差を求め、図4Dに示す輝度値差プロファイルP4を作成する。図4Dに示す輝度値差プロファイルP4では、図4Bに示す輝度プロファイルP3における谷部分P31に対応して、すなわち、2次元画像Bにおける第1欠陥画素群B21に対応して、輝度値差が大きい、予め定める閾値以上の特徴量P42を有するピークP41が出現している。
処理画像生成部61は、輝度値差プロファイルP4に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量P42を有するピークP41に対応する、2次元画像Bにおける画素を欠陥画素として抽出する。図4Dに示す輝度値差プロファイルP4の例では、処理画像生成部61は、欠陥画素として第1欠陥画素群B21を抽出する。
図5A,5Bは、欠陥検出アルゴリズムの他の例である平滑化法を説明するための図である。図5Aは、撮像装置5で生成された2次元画像データに対応する2次元画像Cの一例を示し、画像の上側が搬送方向Z下流側であり、画像の下側が搬送方向Z上流側である。2次元画像Cにおいて、シート状成形体2の幅方向に平行な方向をX方向とし、シート状成形体2の長手方向(搬送方向Zに平行な方向)に平行な方向をY方向とする。図5Aにおいて、2次元画像CのY方向に関して中央に位置し、X方向に延びる帯状の明領域が照明像C1であり、照明像C1の内部に存在する暗領域が第1欠陥画素群C21であり、照明像C1の近傍に存在する明領域が第2欠陥画素群C22である。
平滑化法による欠陥検出アルゴリズムを用いる場合、処理画像生成部61は、まず、2次元画像Cを、Y方向に沿った1行ずつの画素列のデータに分割する。次に、処理画像生成部61は、X方向およびY方向に数画素(たとえば、X方向に5画素、Y方向に1画素)のカーネルC31を作成する。
そして、処理画像生成部61は、各画素列のデータについて、2次元画像CのY方向に平行な一直線L上に沿った位置におけるカーネルC31内の中央画素の輝度値と、カーネルC31内の全画素の輝度値の平均値との差(輝度値差)の変化を連続的にプロットし、該連続的なプロットを繋いだ曲線を、図5Bに示す平滑化プロファイルP5として作成する。図5Bに示す平滑化プロファイルP5では、2次元画像Cにおける第1欠陥画素群C21に対応して、輝度値差が大きい、予め定める閾値以上の特徴量P52を有するピークP51が出現している。
処理画像生成部61は、平滑化プロファイルP5に基づいて、予め定める閾値以上の特徴量P52を有するピークP51に対応する、2次元画像Cにおける画素を欠陥画素として抽出する。図5Bに示す平滑化プロファイルP5の例では、処理画像生成部61は、欠陥画素として第1欠陥画素群C21を抽出する。
図6A,6Bは、画像処理装置6が生成する画像データの一例を示す図である。本実施形態では、画像処理装置6の処理画像生成部61は、撮像装置5から出力された2次元画像データを、前述の欠陥検出アルゴリズムで処理して、予め定める閾値以上の画素を欠陥画素として抽出した後、図6Aに示すような、処理画像Dを生成する。処理画像生成部61が生成する処理画像Dは、欠陥画素群D11,D12については特徴量に応じた階調値が付与され、欠陥画素以外の残余画素群D21についてはゼロの階調値が付与された画像である。処理画像生成部61は、生成した処理画像Dに対応した処理画像データを出力する。
図6Aに示す処理画像Dは、X方向一端(図6Aにおける処理画像Dの左端)から他端(図6Aにおける処理画像Dの右端)に向かって0,1,2,…,W−2,W−1の順に位置付けられたX方向に並ぶW個の画素、Y方向一端(図6Aにおける処理画像Dの上端)から他端(図6Aにおける処理画像Dの下端)に向かって0,1,2,…,H−2,H−1の順に位置付けられたY方向に並ぶH個の画素によって構成される画像である。
図6Aでは、処理画像Dは、X方向一端からの順位(X座標値)が「8」でありY方向一端からの順位(Y座標値)が「6」の画素が最大輝度値となる第1欠陥画素群D11を有する。また、処理画像Dは、X方向一端からの順位(X座標値)が「W−5」でありY方向一端からの順位(Y座標値)が「3」の画素が最大輝度値となる第2欠陥画素群D12を有する。
処理画像生成部61から出力される処理画像Dに対応した処理画像データは、解析用画像生成部62に入力される。解析用画像生成部62は、前記処理画像データに基づいて、図6Bに示すような、1または複数の1次元画像データからなる画像データ群である解析用画像を生成する。解析用画像生成部62は、生成した解析用画像に対応した解析用画像データを出力する。解析用画像生成部62から出力された解析用画像データは、後述の画像解析装置7に入力される。
本実施形態では、解析用画像生成部62は、シート状成形体2における欠陥の位置情報、輝度情報、サイズ情報、および種別情報から選ばれる少なくとも1つの情報を含む1次元画像データからなる解析用画像を生成する。
具体的には、解析用画像生成部62は、図6Bに示すような、欠陥位置情報を含む1次元画像データからなる解析用画像E1を生成し、生成した解析用画像E1に対応した解析用画像データを出力する。解析用画像E1は、X方向一端(図6Bにおける解析用画像E1の左端)から他端(図6Bにおける解析用画像E1の右端)に向かって0,1,2,…,W−2,W−1の順に位置付けられたX方向に並ぶW個の画素、およびY方向に1画素によって構成される、1次元画像データからなる画像である。
この解析用画像E1は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「6」、「7」、「8」、「9」および「10」の画素が、第1欠陥画素群D11の最大輝度値を示す画素のY座標値「6」の階調値を有する。また、解析用画像E1は、処理画像Dにおける第2欠陥画素群D12に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「W−6」、「W−5」および「W−4」の画素が、第2欠陥画素群D12の最大輝度値を示す画素のY座標値「3」の階調値を有する。さらにまた、解析用画像E1は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12以外の残余画素群D21に対応する画素については、「0」の階調値を有する。
このような解析用画像E1は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12の欠陥位置情報が画素の階調値として付与されており、これによって、撮像装置5が生成した2次元画像における欠陥画素の欠陥位置情報が画素の階調値として付与されていることになる。
また、解析用画像生成部62は、図6Bに示すような、欠陥輝度情報を含む1次元画像データからなる解析用画像E2を生成し、生成した解析用画像E2に対応した解析用画像データを出力する。解析用画像E2は、X方向一端(図6Bにおける解析用画像E2の左端)から他端(図6Bにおける解析用画像E2の右端)に向かって0,1,2,…,W−2,W−1の順に位置付けられたX方向に並ぶW個の画素、およびY方向に1画素によって構成される、1次元画像データからなる画像である。
この解析用画像E2は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「6」、「7」、「8」、「9」および「10」の画素が、第1欠陥画素群D11の最大輝度値を示す画素と同一画素列の各画素における階調値を有する。図6Bの例では、解析用画像E2は、X座標値が「6」の画素の階調値が「80」であり、X座標値が「7」の画素の階調値が「100」であり、X座標値が「8」の画素の階調値が「255」であり、X座標値が「9」の画素の階調値が「128」であり、X座標値が「10」の画素の階調値が「80」である。また、解析用画像E2は、処理画像Dにおける第2欠陥画素群D12に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「W−6」、「W−5」および「W−4」の画素が、第2欠陥画素群D12の最大輝度値を示す画素と同一画素列の各画素における階調値を有する。図6Bの例では、解析用画像E2は、X座標値が「W−6」の画素の階調値が「80」であり、X座標値が「W−5」の画素の階調値が「128」であり、X座標値が「W−4」の画素の階調値が「80」である。さらにまた、解析用画像E2は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12以外の残余画素群D21に対応する画素については、「0」の階調値を有する。
このような解析用画像E2は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12の欠陥輝度情報が画素の階調値として付与されており、これによって、撮像装置5が生成した2次元画像における欠陥画素の欠陥輝度情報が画素の階調値として付与されていることになる。
また、解析用画像生成部62は、図6Bに示すような、欠陥サイズ情報を含む1次元画像データからなる解析用画像E3を生成し、生成した解析用画像E3に対応した解析用画像データを出力する。解析用画像E3は、X方向一端(図6Bにおける解析用画像E3の左端)から他端(図6Bにおける解析用画像E3の右端)に向かって0,1,2,…,W−2,W−1の順に位置付けられたX方向に並ぶW個の画素、およびY方向に1画素によって構成される、1次元画像データからなる画像である。
この解析用画像E3は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「6」、「7」、「8」、「9」および「10」の画素が、処理画像Dの第1欠陥画素群D11に関してY方向に並ぶ画素の数に相当する階調値を有する。図6Bの例では、解析用画像E3は、X座標値が「6」の画素の階調値が「1」であり、X座標値が「7」の画素の階調値が「2」であり、X座標値が「8」の画素の階調値が「3」であり、X座標値が「9」の画素の階調値が「2」であり、X座標値が「10」の画素の階調値が「1」である。また、解析用画像E3は、処理画像Dにおける第2欠陥画素群D12に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「W−6」、「W−5」および「W−4」の画素が、処理画像Dの第2欠陥画素群D12に関してY方向に並ぶ画素の数に相当する階調値を有する。図6Bの例では、解析用画像E3は、X座標値が「W−6」の画素の階調値が「1」であり、X座標値が「W−5」の画素の階調値が「3」であり、X座標値が「W−4」の画素の階調値が「1」である。さらにまた、解析用画像E3は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12以外の残余画素群D21に対応する画素については、「0」の階調値を有する。
このような解析用画像E3は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12の欠陥サイズ情報が画素の階調値として付与されており、これによって、撮像装置5が生成した2次元画像における欠陥画素の欠陥サイズ情報が画素の階調値として付与されていることになる。
また、解析用画像生成部62は、図6Bに示すような、欠陥種別情報を含む1次元画像データからなる解析用画像E4を生成し、生成した解析用画像E4に対応した解析用画像データを出力する。解析用画像E4は、X方向一端(図6Bにおける解析用画像E4の左端)から他端(図6Bにおける解析用画像E4の右端)に向かって0,1,2,…,W−2,W−1の順に位置付けられたX方向に並ぶW個の画素、およびY方向に1画素によって構成される、1次元画像データからなる画像である。
この解析用画像E4は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「6」、「7」、「8」、「9」および「10」の画素が、処理画像生成部61による処理画像Dの生成時に第1欠陥画素群D11が抽出可能であった欠陥検出アルゴリズムの種別番号に相当する階調値を有する。欠陥検出アルゴリズムの種別番号は、欠陥検出アルゴリズムごとに便宜上付与された、欠陥検出アルゴリズムの種類を特定するための予め定める番号である。図6Bの例では、解析用画像E4は、X座標値が「6」、「7」、「8」、「9」および「10」の画素の階調値が、第1欠陥画素群D11の抽出が可能であった一の欠陥検出アルゴリズムの種別番号を示す「1」である。また、解析用画像E4は、処理画像Dにおける第2欠陥画素群D12に対応して、X方向一端からの順位(X座標値)が「W−6」、「W−5」および「W−4」の画素が、処理画像生成部61による処理画像Dの生成時に第2欠陥画素群D12が抽出可能であった欠陥検出アルゴリズムの種別番号に相当する階調値を有する。図6Bの例では、解析用画像E4は、X座標値が「W−6」、「W−5」および「W−4」の画素の階調値が、第2欠陥画素群D12の抽出が可能であった他の欠陥検出アルゴリズムの種別番号を示す「2」である。さらにまた、解析用画像E4は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12以外の残余画素群D21に対応する画素については、「0」の階調値を有する。
このような解析用画像E4は、処理画像Dにおける第1欠陥画素群D11および第2欠陥画素群D12の欠陥種別情報が画素の階調値として付与されており、これによって、撮像装置5が生成した2次元画像における欠陥画素の欠陥種別情報が画素の階調値として付与されていることになる。
シート状成形体2に生じる欠陥としては、前述したように、気泡、フィッシュアイ、異物、タイヤ跡、打痕、傷などの点欠陥、折り目あとなどにより生じるいわゆるクニック、厚さの違いにより生じるいわゆる原反スジなどの線欠陥が挙げられる。
処理画像生成部61による処理画像Dの生成時に用いられる欠陥検出アルゴリズムの種類によって、抽出可能な欠陥の種類が異なる。欠陥検出アルゴリズムの一例である前記エッジプロファイル法は、異物やタイヤ跡、傷などの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。前記ピーク法は、異物、打痕、傷などの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。前記平滑化法は、気泡、フィッシュアイ、打痕などの欠陥については高い抽出能で抽出することができる。このような、欠陥検出アルゴリズムの種類による欠陥抽出能の違いを利用して、欠陥検出アルゴリズムの種別番号を示す階調値を有する画素を含む1次元画像データとして解析用画像E4を構成することによって、撮像装置5が生成した2次元画像における欠陥領域の欠陥種の区別が可能となる。
上記では、欠陥検出アルゴリズムの種別番号を示す階調値を有する画素を含む1次元画像データとすることによって、欠陥種別情報を含む解析用画像E4を生成する例を示したが、これに限定されるものではない。
図7A〜7Eは、撮像装置5により撮像された2次元画像における、欠陥の種類の違いによる輝度値の変化の様子を示す図である。図7A〜7Eは、搬送装置3によって搬送されるシート状成形体2を撮像装置5により撮像したときの2次元画像Fを示すものであり、図7A、図7B、図7C、図7D、図7Eの順番に撮像されたものである。
たとえば打痕欠陥F21は、照明像F1を通過する際に観測される明暗の反転に基づいて検出することができる。それに対し、異物欠陥F22は常に暗領域として検出される。この現象を利用し、解析用画像生成部62は、撮像装置5により撮像された複数の2次元画像Fに対して、1種の欠陥検出アルゴリズムを用いて処理画像生成部61により生成された複数の処理画像を蓄積する。そして、解析用画像生成部62は、各処理画像においてX方向の座標値(X座標値)が同一の欠陥画素に対し、全てが暗領域となる欠陥画素が抽出された場合と、明領域および暗領域が反転される欠陥画素が抽出された場合とで欠陥種別を分類し、これによって欠陥種別情報を含む解析用画像E4を生成する。
図8は、複数の撮像装置5を並列駆動する場合における、複数情報量の出力方式を説明するための図である。欠陥検査装置1において、複数の撮像装置5を並列駆動する場合、隣接する撮像装置5の視野が互いに少し重ね合わさるように、撮像装置5が配置される。このような場合、各撮像装置5により撮像された各2次元画像に対応して、解析用画像生成部62により生成された各解析用画像G1,G2,G3には、欠陥検出に利用される中央領域G12,G22,G32と、撮像装置5の視野重なり部分に対応した、欠陥検出に利用されない端部領域G13,G23,G33とが形成される。このような、各解析用画像G1,G2,G3における端部領域G13,G23,G33の各画素に、欠陥に関する他の情報(前述した欠陥位置情報、欠陥輝度情報、欠陥サイズ情報および欠陥種別情報以外の情報)を記述することで、解析用画像G1,G2,G3の画素数を増加させることなく、多くの欠陥に関する情報を付与することができる。
図2に戻って、本実施形態の欠陥検査装置1に備えられる画像解析装置7は、画像処理装置6の解析用画像生成部62から出力された解析用画像データに基づいて画像解析を行い、シート状成形体2の欠陥を検出する。画像解析装置7は、解析用画像入力部71、画像解析部72、制御部73、および表示部74を備える。解析用画像入力部71は、画像処理装置6の解析用画像生成部62から出力された解析用画像データを入力する。
画像解析部72は、解析用画像入力部71から入力された解析用画像データに基づいて欠陥を検出し、シート状成形体2における欠陥位置情報、欠陥輝度情報、欠陥サイズ情報、および欠陥種別情報などを解析して、欠陥に関する情報を示す欠陥情報を生成し、この欠陥情報を制御部73に出力する。画像解析部72は、欠陥位置情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力された場合には、解析用画像における欠陥画素の座標をシート状成形体2上の位置に変換して、シート状成形体2における欠陥の位置を示す欠陥情報を生成し、この生成した欠陥情報を制御部73に出力する。
また、画像解析部72は、欠陥輝度情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力された場合には、解析用画像における欠陥の輝度分布をシート状成形体2上の欠陥の輝度分布に変換して、シート状成形体2における欠陥の輝度分布を示す欠陥情報を生成し、この生成した欠陥情報を制御部73に出力する。
また、画像解析部72は、欠陥サイズ情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力された場合には、解析用画像における欠陥サイズの分布をシート状成形体2上の欠陥サイズの分布に変換して、シート状成形体2における欠陥サイズの分布を示す欠陥情報を生成し、この生成した欠陥情報を制御部73に出力する。
また、画像解析部72は、欠陥種別情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力された場合には、解析用画像における種別ごとの欠陥の分布をシート状成形体2上の種別ごとの欠陥の分布に変換して、シート状成形体2における種別ごとの欠陥の分布を示す欠陥情報を生成し、この生成した欠陥情報を制御部73に出力する。
さらにまた、画像解析部72は、欠陥位置情報、欠陥輝度情報、欠陥サイズ情報、および欠陥種別情報から選ばれた情報をそれぞれ含む、複数の1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力された場合には、解析用画像における各情報をシート状成形体2上の対応する各情報に変換して、シート状成形体2における各欠陥情報を生成し、この生成した各欠陥情報を制御部73に出力する。
制御部73は、画像解析部72から出力された欠陥情報に基づいて、シート状成形体2における欠陥情報を示す欠陥マップを作成するとともに、解析用画像入力部71、画像解析部72および表示部74を統括的に制御する。
制御部73は、欠陥位置情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力され、該解析用画像データに基づいた、シート状成形体2における欠陥の位置を示す欠陥情報が画像解析部72から出力された場合には、シート状成形体2の欠陥位置を示す欠陥マップを作成する。
また、制御部73は、欠陥輝度情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力され、該解析用画像データに基づいた、シート状成形体2における欠陥の輝度分布を示す欠陥情報が画像解析部72から出力された場合には、シート状成形体2の欠陥輝度の分布を示す欠陥マップを作成する。
また、制御部73は、欠陥サイズ情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力され、該解析用画像データに基づいた、シート状成形体2における欠陥サイズの分布を示す欠陥情報が画像解析部72から出力された場合には、シート状成形体2の欠陥サイズの分布を示す欠陥マップを作成する。
また、制御部73は、欠陥種別情報を含む1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力され、該解析用画像データに基づいた、シート状成形体2における種別ごとの欠陥の分布を示す欠陥情報が画像解析部72から出力された場合には、シート状成形体2の種別ごとの欠陥の分布を示す欠陥マップを作成する。
さらにまた、制御部73は、欠陥位置情報、欠陥輝度情報、欠陥サイズ情報、および欠陥種別情報から選ばれた情報をそれぞれ含む、複数の1次元画像データからなる解析用画像データが解析用画像生成部62から出力され、該解析用画像データに基づいた、シート状成形体2における複数の欠陥情報が画像解析部72から出力された場合には、シート状成形体2における複数の欠陥情報がそれぞれ示された欠陥マップを作成する。
このようにして制御部73によって作成された欠陥マップは、表示部74に表示される。図9は、画像解析装置7の表示部74に表示される欠陥マップHの一例を示す図である。
図9に示す例では、解析用画像生成部62が、欠陥位置情報を含む1次元画像データと欠陥輝度情報を含む1次元画像データとの、2つの1次元画像データからなる解析用画像データを出力した場合である。
ここで、解析用画像データを構成する、欠陥位置情報を含む1次元画像データからなる解析用画像は、図6Bに示す解析用画像E1であり、欠陥輝度情報を含む1次元画像データからなる解析用画像は、図6Bに示す解析用画像E2である。
このような、欠陥位置情報を含む1次元画像データと欠陥輝度情報を含む1次元画像データとの、2つの1次元画像データからなる解析用画像データを解析用画像生成部62が出力した場合、画像解析部72は、欠陥位置情報を含む1次元画像データにおける欠陥位置の座標をシート状成形体2上の位置に変換する。さらに、画像解析部72は、欠陥輝度情報を含む1次元画像データにおける欠陥の輝度分布をシート状成形体2上の欠陥の輝度分布に変換して、シート状成形体2における欠陥位置および輝度値を示す欠陥情報を生成し、この生成した欠陥情報を制御部73に出力する。
制御部73は、画像解析部72によって生成された、シート状成形体2における欠陥位置および輝度値を示す欠陥情報に基づいて、図9に示す、欠陥H1の分布が表された欠陥マップHを生成し、その生成した欠陥マップHを表示部74に表示させる。このようにして表示部74に表示された欠陥マップHを視認することによって、欠陥検査装置1を操作するユーザは、シート状成形体2における欠陥の発生状況を確認することができる。
以上のように構成された本実施形態の欠陥検査装置1では、撮像装置5によって撮像された、シート状成形体2の2次元画像データに基づいて、シート状成形体2の欠陥検出が行われるので、たとえばラインセンサによる1次元画像データに基づいて欠陥検出が行われる場合に比べて、高い欠陥検出能力を維持することができる。
さらに本実施形態の欠陥検査装置1では、撮像装置5から出力された、情報量の多い2次元画像データは、処理画像生成部61によって処理画像データに変換され、さらに、解析用画像生成部62によって1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群に変換される。このようにして2次元画像データから変換された、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群に基づいて、画像解析装置7が、画像解析を行ってシート状成形体2の欠陥を検出するので、画像解析装置7による画像処理の高速化を図ることができ、検査効率を向上することができる。
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形態で実施できる。したがって、前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、本発明の範囲は請求の範囲に示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲に属する変形や変更は全て本発明の範囲内のものである。
1 欠陥検査装置
2 シート状成形体
3 搬送装置
4 照明装置
5 撮像装置
6 画像処理装置
7 画像解析装置
61 処理画像生成部
62 解析用画像生成部
71 解析用画像入力部
72 画像解析部
73 制御部
74 表示部

Claims (4)

  1. シート状成形体を搬送する搬送部と、
    搬送される前記シート状成形体に光を照射する照射部と、
    搬送される前記シート状成形体を撮像し、シート状成形体に照射された光の反射光または透過光に基づく2次元画像データを生成するエリアセンサと、
    前記2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を、予め定めるアルゴリズム処理によって算出する特徴量算出部と、
    前記2次元画像データを構成する各画素を、前記輝度値に基づく特徴量が予め定める閾値以上の画素である欠陥画素と、前記輝度値に基づく特徴量が前記閾値未満の画素である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記輝度値に基づく特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成する処理画像データ生成部と、
    前記処理画像データに基づいて、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群を、少なくとも1つ生成する解析用画像データ生成部と、
    前記解析用画像データ生成部によって生成された前記解析用画像データ群に基づいて画像解析を行い、前記シート状成形体の欠陥を検出する画像解析部と、を備えることを特徴とする欠陥検査装置。
  2. 前記解析用画像データ群は、前記シート状成形体における欠陥の位置情報、輝度情報、サイズ情報、および種別情報のうちの少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする請求項1に記載の欠陥検査装置。
  3. 前記特徴量算出部は、複数のアルゴリズム処理によって前記輝度値に基づく特徴量を算出し、
    前記解析用画像データ生成部は、前記特徴量を算出したアルゴリズム処理の種類を特定するための予め定める種別番号に相当する階調値が画素の階調値として付与された解析用画像データ群を、前記種別情報を含む解析用画像データ群として生成することを特徴とする請求項2に記載の欠陥検査装置。
  4. シート状成形体を搬送する搬送工程と、
    搬送される前記シート状成形体に光を照射する照射工程と、
    搬送される前記シート状成形体をエリアセンサによって撮像し、シート状成形体に照射された光の反射光または透過光に基づく2次元画像データを生成する撮像工程と、
    前記2次元画像データを構成する各画素の、輝度値に基づく特徴量を、予め定めるアルゴリズム処理によって算出する特徴量算出工程と、
    前記2次元画像データを構成する各画素を、前記輝度値に基づく特徴量が予め定める閾値以上の画素である欠陥画素と、前記輝度値に基づく特徴量が前記閾値未満の画素である残余画素とに区別し、前記欠陥画素については前記輝度値に基づく特徴量に応じた階調値が付与され、前記残余画素についてはゼロの階調値が付与された処理画像データを生成する処理画像データ生成工程と、
    前記処理画像データに基づいて、1または複数の1次元画像データからなる解析用画像データ群を、少なくとも1つ生成する解析用画像データ生成工程と、
    前記解析用画像データ生成工程で生成された前記解析用画像データ群に基づいて画像解析を行い、前記シート状成形体の欠陥を検出する画像解析工程と、を含むことを特徴とする欠陥検査方法。
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