JP5643055B2 - 水質監視装置 - Google Patents

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Description

本発明は毒性に敏感な魚類の挙動に基づき上水道の原水の水質を監視する監視装置に関する。
近時、水道水源の汚染が、廃棄物の不法投棄などの環境悪化で拡がりつつあるとともに、テロリズム対策としての水源防備も怠ってもならない。一方、ユーザーニーズとしては、「安心して飲めるおいしい水」の要望も、近年、強くなって来ている。
このため、上水道の水源の汚染を早期に検知するには河川から採取した水を計器により水質の検査を行う手段が採られている他に前記採取した水を魚の飼育に供してその魚の異常行動を検出することにより水質の異常状態を検知する手段も採られている。
例えば、特許文献1に開示された水質監視装置は、原水が供給されると共に魚を遊泳させる水槽と、この水槽内の水質異常による魚の狂乱状態の挙動を検出する狂乱状態検出部を備える。本装置の制御部は前記狂乱状態検出部が魚の狂乱状態の挙動が予め設定された時間継続したことを出力した場合に水質異常であると判定する。したがって、本装置によれば、水質の検知に最も敏感にして、即応性ある魚を利用することにより、安価にして、簡単な機構で正確に水質を検知できる。
特開2009−63333号公報
しかしながら、従来の水質監視装置では水槽の水質が異常でないにもかかわらず正常な魚の挙動によっても水質異常が検知されてしまうことがある。例えば、摂取行動、闘争行動、生殖行動、逃避行動、睡眠行動の際に水質異常が誤検出されることがある。
毒物の混入により水中の溶存酸素濃度が低下すると酸素の補給のために魚は水面に近くに浮上して口を水面に向けて身体を略垂直に起こす行動を採る。この鼻上げ行動は餌の捕食時にも採られるので、餌の摂取行動の場合には水質異常が誤検出されることがある。また、水槽内での縄張り争いや餌の奪いあい等に起因する闘争行動は毒物の混入による魚の狂乱状態にも似ているので水質異常が誤検出されることがある。生殖行動も魚の狂乱状態に似ているので狂乱状態の検出回数のみで水質異常を判断しようとすると誤検出もあり得る。また、水槽の周辺の異常があって驚いた場合の逃避行動も狂乱状態に似ており誤検出されることがある。そして、睡眠状態の魚は毒物による致死状態と似ており水槽の越流堰付近に漂うこともあるので水質異常の誤検出が起こることが懸念される。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものでその目的は正常な魚の挙動による水質異常の誤検知を回避しながら上水道の原水の取水時に原水の水質異常を検知して警報を促すことができる水質監視装置の提供にある。
そこで、本発明の請求項1の水質監視装置は、上水道の原水が供される環境のもとで魚を遊泳させる水槽と、この水槽の液相に対して光を照射すると共に当該水槽を隔てて配置された反射体から反射された光を受光する複数の発光受光器と、前記魚による前記受光の遮断に基づき前記水槽の水質異常を判定する判定手段とを備え、前記複数の発光受光器のうちで上下に配置される一対の発光受光器が前記水槽の水面付近の水面下に光を照射するように複数備えられ、前記判定手段は所定時間内に前記いずれかの一対の発光受光器の受光遮断を複数検出した場合に前記原水の水質の異常に基づく魚の鼻上げ行動であると判定することを特徴とする。
請求項2の水質監視装置は、請求項1の水質監視装置において、前記一対の発光受光器以外の複数の発光受光器が前記水槽の水位未満の位置にて上下方向に配置され、前記判定手段は、所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合に前記魚の狂乱と判断して前記水質に異常があると判定することを特徴とする。
請求項3の水質監視装置は、請求項2の水質監視装置において、前記判定手段は、所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した後、さらに所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合に前記魚の異常狂乱と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定することを特徴とする。
請求項4の水質監視装置は、請求項2の水質監視装置において、一つの発光受光器が前記水槽の越流堰付近の水面下に光を照射するように配置され、前記判定手段は、所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した後、さらに前記越流堰付近の発光受光器の受光遮断時間を所定時間以上検出した場合に前記魚の異常狂乱と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定することを特徴とする。
請求項5の水質監視装置は、請求項1の水質監視装置において、一つの発光受光器が前記水槽の越流堰付近の水面下に光を照射するように配置され、前記判定手段は所定の時間帯において当該発光受光器の所定時間の受光遮断を少なくとも一回検出した場合に前記魚の仮死状態と判断して前記水質に異常があると判定することを特徴とする。
請求項6の水質監視装置は、請求項5の水質監視装置において、前記判定手段は前記所定の時間帯において当該発光受光器の所定時間の受光遮断を少なくとも一回検出した後にさらに当該発光受光器の所定時間の受光遮断を少なくとも二回検出した場合に前記魚の致死状態と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定することを特徴とする。
請求項7の水質監視装置は、請求項2の水質監視装置において、一つの発光受光器が前記水槽の越流堰付近の水面下に光を照射するように配置され、前記判定手段は所定の時間帯において当該発光受光器の所定時間の受光遮断を検出した場合に前記水質に異常があると判定することを特徴とする。
請求項8の水質監視装置は、請求項7の水質監視装置において、前記判定手段は、前記越流堰付近の発光受光器の所定時間の受光遮断が検出された後に所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合に前記異常よりも重度な水質異常があると判定することを特徴とする。
以上の発明によれば正常な魚の挙動による水質異常の誤検知を回避しながら上水道の原水の取水時に原水の水質異常を検知して警報を促すことができる。
発明の実施形態に係る水質監視装置の概略構成図。 発明の実施形態に係る水質監視装置の正面図。 発明の実施形態に係る水質監視装置の上面図。 発明の実施形態に係る水質監視装置の左面図。 発明の実施形態に係る発光受光系の概略構成図。 発明の実施形態に係る発光受光器の配置例(a)〜(c)を示した配置図。 発明の実施形態に係る第一の監視,第二の監視の手順を示したシーケンス図。 発明の実施形態に係る第三の監視,組み合わせの監視,第四の監視,濁度監視の手順を示したシーケンス図。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1に例示された本発明の実施形態に係る水質監視装置1は水槽2と発光受光器3と制御盤4を備える。
水槽2は水質が監視される水として上水道の原水が供されると共にこの水環境のもとで魚10を遊泳させるための槽である。水槽2は図2〜図4に示された架台6上に設置されている。
水槽2の短辺側の端面には原水供給管11が接続されている。水槽2内に導入された原水供給管11の一端には図5に示したようにT字型パイプ12が接続、配置され、このパイプ12には複数の水噴出孔が穿設されている。T字型パイプ12の横方向のパイプ両端は閉塞され、縦方向のパイプの下端には、複数の水噴出孔が穿設された水噴出パイプ13が接続されている。水噴出パイプ13は図2,図4に示されたように水槽2の底辺に沿って配設されている。このような水噴出パイプ13の構成及び配置よって水槽2内の水流を一斉に整流させることができる。また、図1に示されたように原水供給管11には原水ストップ弁14,電磁弁15,減圧弁16,流量計17,調整弁18を介して供給され、これらの弁などにより水槽2内に供される原水は常時一定流量(一定圧力)に制御される。
水槽2内の越流堰20を越流した水は排水管19を介して主排水管21に移行して外部に放流されるようになっている。主排水管21は水槽2の底部の排水口22に接続されている。また、主排水管21にはストップ弁24が具備されており、水槽2内を清掃した際の廃水を系外排出できるようになっている。
発光受光器3は図2〜図4に示したように水槽2の長辺側外側面から所定間隔隔てた位置にて設置位置が変更可能に複数備えられている。発光受光器3は図5に示したように発光素子と受光素子の機能を有する発光受光部31を備えており、水槽2の液相に対して光を照射すると共に水槽2を隔てて配置された反射体5から反射された前記光を受光する。魚10が前記光を遮ると、発光受光部31の受光素子が受ける光の量が減少するので、これをとらえることで魚10の検出が行える。
図1に例示した態様では複数の発光受光器3のうちで一対の発光受光器3a,3bが水槽2の水面付近の水面下に光を照射するように複数備えられることで、水質異常に起因する魚10の鼻上げ行動を検出できるようになっている。また、複数の発光受光器3cが水槽2の長辺側外側面の中央付近の水位未満で且つ発光受光器3a,3bよりも下位の位置にて上下方向に配置されるように具備されることで、水質異常に起因する魚10の狂乱行動を検出できるようになっている。さらに、発光受光器3dが水槽2の越流堰20付近の水面下に光を照射するように配置されることで、水質異常に起因する魚10の狂乱行動や致死状態を検出できるようになっている。尚、このような発光受光器3a〜3dの配置に対応するように水槽2には図3に示したような略T型板状の反射体5が具備されている。
発光受光器3a,3bの配置態様は図6(a)に示した形態に限定されず図6(b)(c)に例示されたような態様を採ってもよい。図6(a)に例示された態様に係る一対の発光受光器3a,3bは上流側から下流側の方向に並ぶように配置されていると共に発光受光器3aは発光受光器3bよりも上流側且つ高位に配置されている。図6(b)に例示された態様では上流側の一対の発光受光器3a,3bに係る発光受光器3aは発光受光器3bよりも下流側且つ高位に配置されている。図6(b)(c)に例示された態様では中央側の発光受光器3a,3bが上下方向に配置されている。
制御盤4は図1に示したように水槽2内の魚10による発光受光器3の受光遮断に基づき水槽2の水質異常を判定する判定部41を備える。また、制御盤4は警報表示部42,警報ブザー43,シーケンサ44を備える。警報表示部42は判定部4によって判定された警報事項を点灯表示するようになっている。警報ブザー43は前記警報事項の点灯表示と連動して鳴動するようになっている。警報表示部42,警報ブザー43は図2に示したように制御盤4の扉部40に設けられている。シーケンサ44は判定部41を動作制御するための制御アルゴリズムを格納している。後述の判定部41の監視動作に係るパラメータ(検出時間、閾値等)はシーケンサ44によって任意に設定できるようになっている。
図7及び図8を参照しながら水質監視装置1の具体的な監視動作例について説明する。
[第一の監視]
図7(a)に例示された第一の監視は水質異常に起因する魚10の鼻上げ行動を検出する。魚類はその生息系への毒物の混入により水面近くに浮上し、水面に対して鼻上げ行動をとる。そこで、判定部41は所定時間内に上流側、中央部、下流側のいずれかの一対の発光受光器3a,3bの受光遮断を複数検出した場合に水槽2の水質に異常があると判定する。
本監視では、判定部41は、上流側,中央側,下流側のいずれかの発光受光器3a,3bが同時に受光遮断及びその解除があったことを検出した場合にこれを1カウントと判断する。その後、所定時間内(例えば1分以内)におけるいずれかの発光受光器3a,3bの受光遮断とその解除のカウント数を所定回(例えば2回、計3回)検出した場合に水質異常に基づく魚10の鼻上げ行動であると判定する。この水質異常は「重故障」として制御盤4の警報表示部42に表示され、これと連動して警報ブザー43が鳴動する。そして、監視対象の水を供給する設備が停止される。尚、前記所定時間及びカウント数の閾値は制御盤4内に具備されたシーケンサ44によって任意に設定される。
したがって、以上の第一の監視によれば誤検出を起こすことなく水質異常に起因する魚10の鼻上げ行動を検知でき、警報を促すことができる。
[第二の監視]
図7(b)に例示された第二の監視は水質異常に起因する魚10の狂乱行動を検出する。
(正常時)
水質が「正常」である場合、水温や時の状況により狂乱に似た挙動をとることがあるが、その挙動の回数が少ない(魚10匹飼育の場合、受光遮断回数約100回/3分以内)。
(異常時当初または驚愕時の第一次挙動把握)
そして、水質異常や外部の気配が変わったときの場合には、魚10の挙動に平常と比べ変化が起こる(魚10匹飼育の場合、受光遮断約120回/分)。この「第一次挙動」の場合は軽故障と捉えて警戒態勢を促すことのみとしている。この場合、警戒態勢のまま次の挙動変化やこの挙動が所定時間継続しなければ、以上の作動を誤作動と認識して解除する。尚、図7(b)に記載の検出時間及び受光遮断(狂乱)の回数の閾値はシーケンサ44によって任意に設定される。
図7(b)に例示された監視では、判定部41は所定時間(例えば3分間)内においていずれかの発光受光器3cの単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合(例えば120回以上/分)に魚10の狂乱と判断して水槽2の水質に軽度な異常があると判定する。この異常は「軽故障」として制御盤4の警報表示部42に表示される。
(本格的な異常狂乱状態の第二次挙動把握)
「第一次挙動」に引き続き所定時間内に本格的な異常狂乱状態すなわち「第二次挙動」の事態が発生した場合には(例えば魚10匹飼育時に受光遮断回数約60回以上/分である場合、または発光受光器3dの受光遮断時間が15秒以上である場合)、前記異常よりも重度な異常を警告する。尚、図7(b)に記載の検出時間及び受光遮断(狂乱)の回数の閾値、間合い時間、及び発光受光器3dの受光遮断時間はシーケンサ44によって任意に設定される。
図7(b)に例示された監視では、判定部41は、所定時間(例えば3分間)内におけるいずれかの発光受光器3cの単位時間当たりの受光遮断の回数が所定回数以上(例えば120回以上/分)であることを検出する。
さらに、所定の間合い時間(例えば10分)の後、所定時間内(例えば3分間)における前記いずれかの発光受光器3cの単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上(例えば60回以上/分)検出した場合に魚10の異常狂乱と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定する。
または、水槽2の越流堰20付近の発光受光器3dの受光遮断時間が所定時間以上(例えば15秒以上)であることを検出した場合に魚10の異常狂乱と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定する。
この第二次挙動把握によって検出されたいずれの異常も「重故障」として制御盤4の警報表示部42に表示され、これと連動して警報ブザー43が鳴動する。そして、監視対象の水を供給する設備が停止される。
したがって、以上の第二の監視によれば誤検出を起こすことなく水質異常に起因する魚10の狂乱行動を検知でき、警報を促すことができる。
[第三の監視]
魚10はその生息水域への毒物の混入により前段階の狂乱状態から仮死状態に移行するものや、致死状態で水槽2の底部に静止するものもある。また、正常時でも特に環境が平穏である場合は休憩や睡眠等の仮死状態と同様な状態となる。そこで、本監視では以下の第一次〜第三次の挙動の把握をもって水質異常を判定する。尚、以下に述べる図8(a)に記載の検出時間及び受光遮断の回数の閾値及び間合い時間はシーケンサ44によって任意に設定される。
(第一次挙動把握)
仮死状態の魚10の水槽2の越流堰20に漂着すると、先ず、最初に発光受光器3dの所定時間の受光遮断が検出されると「軽故障」と判定され、この「第一挙動」を前提条件として、次の「第二次・第三次挙動」の発生を待機する。
図8(a)に例示された監視では、判定部41は所定の時間帯(例えば2分間)において越流堰20近傍における発光受光器3dの所定時間(例えば15秒間)の受光遮断が少なくとも一回検出した場合に魚10の仮死状態と判断して水槽2の水質に異常があると判定する。この異常は「軽故障」として制御盤4の警報表示部42に表示される。
(第二次・第三次挙動把握)
そして、「第一次挙動」に引き続き所定時間内に第二番目及び第三番目の第三次挙動を検知した場合、すなわち、発光受光器3dの所定時間の受光遮断が少なくとも二回検出されると第一挙動よりも重度な水質異常として判定される。
図8(a)に例示された監視では、判定部41は、所定の時間帯(例えば2分間)において発光受光器3dの所定時間(例えば15秒間)の受光遮断を少なくとも一回検出する。さらに所定時間(例えば30秒)経過後、発光受光器3dの所定時間(例えば15秒間)の受光遮断を少なくとも二回検出した場合に魚10の致死状態と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定する。この異常は「重故障」として制御盤4の警報表示部42に表示され、これと連動して警報ブザー43が鳴動する。そして、監視対象の水を供給する設備が停止される。
したがって、以上の第三の監視によれば誤検出を起こすことなく水質異常に起因する魚10の仮死状態や致死状態を検知でき、警報を促すことができる。
[第二の監視と第三の監視の組合せ]
魚10の挙動はその多様であり、決まった行動のパターンはない。そこで、本監視では上述の第二の監視と第三の監視とを組み合わせることで水質異常時の魚10の挙動をより確実に検出する。
すなわち、判定部41は所定の時間帯において発光受光器3dの所定時間の受光遮断を検出した場合に水槽2の水質に異常があると判定する。さらには、発光受光器3dの所定時間の受光遮断を検出した後に所定時間内におけるいずれかの発光受光器3cの単位時間当たりの受光遮断の回数が所定回数以上検出した場合に前記異常よりも重度な水質異常があると判定する。以下に述べる図8(b)に記載の検出時間及び受光遮断の回数の閾値及び間合い時間はシーケンサ44によって任意に設定される。
図8(b)に例示した監視では、先ず、判定部41は所定の時間帯(例えば3分間)において発光受光器3dの所定時間(例えば30秒間)の受光遮断を検出した場合に水槽2の水質に異常があると判定する。この異常は「軽故障」として制御盤4の警報表示部42に表示される。
次いで、所定時間(例えば10分間)の後に、判定部41は所定時間(例えば3分間)内におけるいずれかの発光受光器3cの単位時間当たりの受光遮断の回数が所定回数以上(例えば60回以上/分)検出された場合に前記異常よりも重度な水質異常があると判定する。この異常は「重故障」として制御盤4の警報表示部42に表示され、これと連動して警報ブザー43が鳴動する。そして、監視対象の水を供給する設備が停止される。
したがって、以上の第二の監視と第三の監視の組み合わせによれば誤検出を起こすことなく水質異常に起因する魚10の狂乱状態並びに仮死状態や致死状態をより精度よく検知でき、警報を促すことができる。
[第四の監視]
魚10の睡眠状態は薬物による致死状態と似ており判断し難い。また、これと併行して水槽2の越流堰20に引っ掛かる魚10もある。そこで、本監視では異常の判定の過程に遅延時間を設けている。以下に述べる図8(c)に記載の受光遮断時間はシーケンサ44によって任意に設定される。
図8(c)に例示された監視では判定部41は発光受光器3dの所定時間(例えば5分)以上の受光遮断が検出された場合に魚10の致死状態と判断して水槽2の水質に重度な異常があると判定する。この異常は「重故障」として制御盤4の警報表示部42に表示され、これと連動して警報ブザー43が鳴動する。そして、監視対象の水を供給する設備が停止される。
したがって、以上の第四の監視によれば本監視によれば誤検出を起こすことなく水質異常に起因する魚10の致死状態を精度よく検知でき、警報を促すことができる。
[濁度の監視]
本監視では図8(d)に例示したように判定部41は個々の発光受光器3bに対する反射光の減衰の度合いに基づき水槽2内の上流側、中央側、下流側の液相の濁り度を検出する。次いで、判定部41は所定時間(例えば3分間)内における受光減衰度合いに基づき個々の発光受光器3bの濁り度を算出する。濁り度は周知の測定原理例えば透過光測定方式または散乱光測定方式若しくはこれらの組合せた方式に基づき算出される。そして、算出された上流側、中央側、下流側の濁り度の値が全て1.5以上となった場合、水槽2の水質に異常があると判定する。この異常は「軽故障」として制御盤4の警報表示部42に表示される。その後、上記の「第一の監視」「第二の監視」「第三の監視」「第二の監視と第三の監視の組合せ」「第四の監視」のいずれかが継続される。前記所定時間及び濁り度の閾値はシーケンサ44によって任意に設定される。
したがって、以上の濁度監視によれば流入原水の雷雨等による急激な濁り、特に上流域の夜間等の不意の濁流の流入検知等にも適用できる。例えば、夜間河川上流域に降雨(例えば夕立)等があり、その濁流の流入をいち早く検知し、浄化処理の早期対応が可能となる。この場合、水質監視装置1の制御盤4においては重故障表示及び警報が発せられる。このとき、水質監視装置1は停止されずに、監視が継続される。
1…水質監視装置
2…水槽
3,3a〜3d…発光受光器
41…判定部(判定手段)

Claims (8)

  1. 上水道の原水が供される環境のもとで魚を遊泳させる水槽と、
    この水槽の液相に対して光を照射すると共に当該水槽を隔てて配置された反射体から反射された光を受光する複数の発光受光器と、
    前記魚による前記受光の遮断に基づき前記水槽の水質異常を判定する判定手段と
    を備え、
    前記複数の発光受光器のうちで上下に配置される一対の発光受光器が前記水槽の水面付近の水面下に光を照射するように複数備えられ、
    前記判定手段は所定時間内に前記いずれかの一対の発光受光器の受光遮断を複数検出した場合に前記原水の水質の異常に基づく魚の鼻上げ行動であると判定すること
    を特徴とする水質監視装置。
  2. 前記一対の発光受光器以外の複数の発光受光器が前記水槽の水位未満の位置にて上下方向に配置され、
    前記判定手段は、所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合に前記魚の狂乱と判断して前記水質に異常があると判定すること
    を特徴とする請求項1に記載の水質監視装置。
  3. 前記判定手段は、所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した後、さらに所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合に前記魚の異常狂乱と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定すること
    を特徴とする請求項2に記載の水質監視装置。
  4. 一つの発光受光器が前記水槽の越流堰付近の水面下に光を照射するように配置され、
    前記判定手段は、所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した後、さらに前記越流堰付近の発光受光器の受光遮断時間を所定時間以上検出した場合に前記魚の異常狂乱と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定すること
    を特徴とする請求項2に記載の水質監視装置。
  5. 一つの発光受光器が前記水槽の越流堰付近の水面下に光を照射するように配置され、
    前記判定手段は所定の時間帯において当該発光受光器の所定時間の受光遮断を少なくとも一回検出した場合に前記魚の仮死状態と判断して前記水質に異常があると判定すること
    を特徴とする請求項1の水質監視装置。
  6. 前記判定手段は前記所定の時間帯において当該発光受光器の所定時間の受光遮断を少なくとも一回検出した後にさらに当該発光受光器の所定時間の受光遮断を少なくとも二回検出した場合に前記魚の致死状態と判断して前記異常よりも重度な水質異常があると判定すること
    を特徴とする請求項5の水質監視装置。
  7. 一つの発光受光器が前記水槽の越流堰付近の水面下に光を照射するように配置され、前記判定手段は所定の時間帯において当該発光受光器の所定時間の受光遮断を検出した場合に前記水質に異常があると判定すること
    を特徴とする請求項2に記載の水質監視装置。
  8. 前記判定手段は、前記越流堰付近の発光受光器の所定時間の受光遮断が検出された後に所定時間内における前記いずれかの発光受光器の単位時間当たりの受光遮断の回数を所定回数以上検出した場合に前記異常よりも重度な水質異常があると判定すること
    を特徴とする請求項7の水質監視装置。
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