JP5642400B2 - 液晶表示素子用カラーフィルター - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示素子用カラーフィルターに関する。また、液晶表示素子用カラーフィルターを用いた液晶セルおよび液晶表示装置に関する。さらに、液晶表示素子用カラーフィルターの製造方法に関する。
液晶表示装置として、種々のモードの液晶表示装置が提案されている。中でもVA(Vertically Aligned)モードは、広視野角モードとして全方位にわたり広いコントラスト視野角特性を有するようになり、テレビ用途として既に家庭に普及しており、更には近年30インチを超える大サイズディスプレイも登場してきた。VAモード液晶表示装置では、黒表示時の斜め方向に生じる光漏れ及びカラーシフトを軽減するため、種々の特性の光学異方性膜等が光学補償に利用されている。
例えば、VAモード液晶表示装置の色視野角特性の改善に寄与する光学補償シートとして、所定の光学特性を満足する位相差板が提案され、その材料として変性ポリカーボネートが用いられている(特許文献1参照)。
また、歪んだねじれらせん構造の2軸性フィルム及び均一なねじれらせん構造の2軸性フィルムを、液晶表示装置の光学補償に利用することが提案されている(特許文献2及び特許文献3参照)。特許文献2に記載の変形したねじれらせん構造の2軸性フィルムに関しては、面内位相差の発現性はあるが、窒素下で紫外線照射を行う必要があり、工程段階での負荷が大きかった。また、特許文献3に記載の均一なねじれらせん構造の2軸性フィルムに関しては、非偏光照射の後に偏光照射を行うので、最初の非偏光を照射した段階でマトリックスが硬化してしまい、その後の偏光照射では面内位相差の発現性に乏しい。
一方、特許文献4および特許文献5には、位相差層と着色層(カラーフィルター層)をインクジェット塗布方式等により作成することが記載されている。
特開2004−37837号公報 特表2008−505369号公報 特表2008−505370号公報 特開2009−244738号公報 特開2008−250098号公報
上述のとおり、位相差を有するカラーフィルターが知られている。しかしながら、これらでは、位相差層とは別に着色層が設けられていた。これらを一層にまとめることができれば、カラーフィルターの製造コストの削減が見込める。
ここで、位相差層は、通常、液晶性化合物を含む液晶性組成物を基材上に塗布し、該塗布膜に含まれる液晶化合物を所望の方向に配向させ、液晶性化合物を重合させて固定することによって形成される。一方、着色層は、各色種に対応する顔料と樹脂などを配合してなる着色材料を溶媒に分散させた着色材料分散液を塗布して設けられる。一体化するにあたり、色素の吸収最大波長、吸収波長と位相差の互いに相互作用する両方を制御しなければならないため、カラーフィルタ作製上の制約が大きい。そのため、これらを満たすものはこれまで存在せず、位相差層と着色層を1つの層として構成することは不可能であると考えられていた。
本発明は、かかる問題点を解決することを目的としたものであって、液晶表示装置の光学補償に有用な、光学補償機能を有するカラーフィルターを容易に製造可能な方法を提供することを課題とする。また、本発明は、該カラーフィルターを利用した液晶セルおよび液晶表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は、液晶性化合物を含む液晶性組成物に色素を溶解させることによって、一体化できないかと考えた。そして、溶解させる色素として、染料を選択することによって、位相差層と着色層を一体化することに成功した。ここで、染料は顔料に比べて高価であることが周知である。そのため、カラーフィルターの製造コストを考えれば、通常は用いられない技術である。また、染料は色が劣化しやすいことが知られており、カラーフィルターには不適切であると考えられていた。しかしながら、本発明者の鋭意努力により本発明は成し遂げられた。
具体的には、本発明は以下の手段により、達成された。
(1)らせん周期のピッチが0.25μm以下であるらせん構造を有する液晶と可視光領域に吸収を有する少なくとも二種以上の染料色素の両方を含む位相差を有する着色層(A)を有し、
Nzが1.5〜8.0の範囲にあることを特徴とする液晶表示素子用カラーフィルター:
ただし、Nz=Rth(λ)/Re(λ)+0.5であり、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λnmにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。
(2)前記色素の少なくとも一種が二色性色素であることを特徴とする(1)に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(3)前記らせん構造を有する液晶のらせん軸が位相差を有する着色層(A)の膜面に対してほぼ垂直に固定されていることを特徴とする(1)または(2)に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(4)前記らせん構造を有する液晶が変形したねじれらせん構造を有することを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(5)前記らせん構造を有する液晶がコレステリック液晶である、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(6)前記変形したねじれらせん構造は、液晶をコレステリック配向させた後、偏光を照射することにより形成される構造である、(5)に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(7)前記らせん構造を有する液晶のらせん軸が基板に対してほぼ垂直に固定されており、かつ、らせん構造がらせん軸に対して不均等な構造である、(1)、(2)、(5)または(6)に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(8)前記位相差を有する着色層(A)として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含み、各層の厚さが、青色着色層>緑色着色層>赤色着色層を満たすことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(9)前記位相差を有する着色層(A)として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含み、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を構成する組成物の液晶のΔnが、赤色着色層>緑色着色層>青色着色層を満たすことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(10)前記位相差を有する着色層(A)がカイラル剤を含有する、(1)〜(9)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
(11)らせん周期のピッチが0.25μm以下であるらせん構造を有する液晶と可視光領域に吸収を有する少なくとも二種以上の色素の両方を含む組成物をインクジェット塗布方式で塗布して位相差を有する着色層(A)を設けることを特徴とする、液晶表示素子用カラーフィルターの製造方法。
(12)(1)〜(10)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルターを有する液晶セル。
(13)(1)〜(10)のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルターを有する液晶表示素子。
本発明により、位相差層と着色層を一体化したカラーフィルターを提供することが可能となった。
図1は、本発明の液晶セルの作製工程の概略を示す図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本発明の液晶表示素子用カラーフィルターは、らせん周期のピッチが0.25μm以下であるらせん構造を有する液晶と可視光領域に吸収を有する少なくとも二種以上の染料色素の両方を含む位相差を有する着色層(A)を有、Nzが1.5〜8.0の範囲にあることを特徴とする。このように、位相差層と着色層を一体化することにより、各層を形成するための塗布回数を減らすことができる。さらに、一層とすることによる材料費の削減も期待できる。位相差層は、通常、液晶性化合物を所望の方向に配向させ、液晶性化合物を重合させて固定することによって形成される。これに対し、着色層は、各色種に対する顔料と樹脂などを配合してなる着色材料を溶媒に分散させた分散液を塗布して設けられていた。そのため、これらの層を一体化することは困難であった。かかる状況のもと、本願発明者は、位相差層を形成するための組成物に色素を溶解させることにより、一体化に成功したものである。
本発明では、位相差を有する着色層(A)に、らせん周期のピッチが0.25μm以下であるらせん構造を有する液晶を含む。らせん周期のピッチは、0.10〜0.24μmであることがより好ましい。らせん周期のピッチが0.25μmよりも長くなると、Bragg回折により可視光領域の選択反射が起こり、着色が観察されることがある。ここで、らせん周期のピッチは、グランジャン・カノー法(楔セル法)よって決定される。
本発明では、らせん構造を有する液晶のらせん軸が位相差を有する着色層(A)の膜面に対してほぼ垂直に固定されていることが好ましい。また、位相差を有する着色層(A)は、通常、基板上に設けられているが、この場合は、基板に対してほぼ垂直に固定されていることが好ましい。ここで、ほぼ垂直とは、膜面、基板等の基準となる平面に対して、80度〜110度の範囲にらせん軸が存在することをいう。
本発明におけるらせん構造を有する液晶は、変形したねじれらせん構造を有することが好ましい。
本発明における変形したねじれらせん構造は、液晶性化合物をコレステリック配向(コレステリック配列に配向した状態をいう。)等の状態に配向させた後、偏光を照射することにより形成される構造が好ましい。すなわち、らせん構造を有する液晶のらせん軸が基板に対してほぼ垂直に固定されており、かつ、らせん構造がらせん軸に対して不均等な構造であることが好ましい。ここで、らせん構造が不均等な構造とは、らせんの緩い部分と緩くない部分がある場合等をいう。「変形したねじれらせん構造」であることを特定する方法には、正面Reを測定する方法がある。すなわち、均一ならせん構造であれば正面Reは0〜5nm程度であり、変形したねじれらせん構造が変形すればするほど正面Reが大きくなることから、「変形したねじれらせん構造」を特定することができる。従って、変形したねじれらせん構造として、正面Reが5nmを越えることが挙げられる。
本発明の位相差を有する着色層(A)は、らせん構造が変形することに由来して発生する位相差、すなわち光学的2軸性を示し、液晶表示装置、特にVAモード液晶表示装置の光学補償に有用である。
ここで、らせん構造を有する液晶の材料としては、コレステリック配向を形成できる重合性材料やキラルスメクチック配向を形成できる重合性材料が挙げられ、コレステリック配向を形成できる重合性材料が好ましい。そして、本発明の位相差を有する着色層(A)の作製には液晶性組成物を利用することが好ましく、該液晶性組成物は、重合性を有する液晶性化合物と、染料色素と、光に光学活性化合物(カイラル剤)の少なくとも1種を含む液晶性組成物が好ましく用いられる。
Nz値は光学補償の程度を示すパラメータであり、1.5〜8.0の範囲にあることが好ましく、2.5〜7.0がさらに好ましい。ここで、Nz=Rth(λ)/Re(λ)+0.5であり、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λnmにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルタをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定することができる。Re(λ)はKOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器株式会社製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定されるフィルムが1軸又は2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADH又はWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADH又はWRが算出する。上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADH又はWRが算出する。なお、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(11)及び式(12)よりRthを算出することもできる。
Figure 0005642400
注記:上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値を表し、nxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。dは膜厚を表す。
また、本明細書におけるλは、R、G、Bに対してそれぞれ611±5nm、545±5nm、435±5nmを指し、特に色に関する記載がなければ545±5nm又は590±5nmを指す。
また、本明細書において、角度について「実質的に」とは、厳密な角度との誤差が±5°未満の範囲内であることを意味する。更に、厳密な角度との誤差は、4°未満であることが好ましく、3°未満であることがより好ましい。レターデーションについて「実質的に」とは、レターデーションが±5%以内の差であることを意味する。更に、Reが0でないとは、Reが5nm以上であることを意味する。また、屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、波長550nmを指す。また、本明細書において、「可視光」とは、波長が400nm〜700nmの光のことをいう。
[色素]
本発明では、二種以上の染料色素を含む。本発明における染料とは、溶剤に溶解する色素をいう。顔料は溶剤に溶解しない点で染料と区別される。染料色素は、二色性色素であることが好ましい。ここで、二色性色素とは、ホスト液晶に溶解し、方向によって吸収波長が異なる色素を意味する。二色性色素には、例えば、アントラキノン系色素、アゾ系色素、キノフタレイン系色素、ぺリレン系色素、クマリン系色素、チオインジゴ色素、メロシアニン系色素、スチリル系色素、オキサノ−ル色素、などがあげられる。公知の二色性色素としては、例えば、A.V. Ivanshchenko著、Diachronic Dyesfor Liquid Crystal Display(CRC社、1994年)に記載のものが挙げられる。
二色性色素の市販品には、三井東圧染料社製の、例えば、三井東圧染料社製の「S I−497(青色素) 、「M−137」(青色素) 、「SI −426」(赤色素) 、「S−4 16」(黒色素)、「S−344」(黒色素) 、日本化薬社製の「LCD − 118」( 青色素) 、「LCD−208 」(赤色素) 、「LCD−465 」(黒色素) 、住友化学社製の「CLD− 506」(青色素)などが挙げられ、また日本感光色素社製色素である G214、G241(マゼンタ)、G282、G279(緑)、G282、G279(シアン)、G205、G156(赤)、G232、G143(黄色)、G274、G277(青)などが挙げられる。
可視域に吸収を有する二色性色素の呈示する色は、いかなるものであってもよい。また、各色を呈する位相差を有する着色層(A)を色毎に設けてもよい。通常は、赤色着色層(R)、緑色着色層(G)、青色着色層(B)を含む位相差を有する着色層(A)がそれぞれ設けられる。
可視域に吸収を有する二色性色素としては、イエロー域(Y)、マゼンタ域(M)、あるいはシアン域(C)に吸収極大を有する場合が好ましい。その場合、二色性色素は2種類以上を用いてもよく、Y、M、Cに吸収極大を有する二色性色素を2種類以上含む混合物を用いるのが好ましい。イエロー色素、マゼンタ色素およびシアン色素を混合することによるフルカラー化表示を行う方法については、「カラーケミストリー」(時田澄男著、丸善、1982年)に詳しい。ここでいう、イエロー域とは、430〜490nmの範囲、マゼンタ域とは、500〜580nmの範囲、シアン域とは600〜700nmの範囲をいう。
二色性色素には、適切な吸収特性、高いオーダーパラメーター、高いホスト液晶に対する溶解性、耐久性などが要求されており、特開2008−106200号公報、特開2009−108295号公報、特開2009−46525号公報、特開2009−263649号公報に記載されている化合物を用いることができる。
二色性色素は、液晶性組成物の塗布液等、溶媒を含む態様では、溶媒を除いた固形分の全質量中に、5〜40重量%の範囲で含むことが好ましく、10〜35重量%の範囲で含むことがより好ましい。また、二色性色素を液晶中に溶解させたときのオーダーパラメーターSが0.5〜0.95であることが好ましく、0.65〜0.95であることがさらに好ましい。ここで、オーダーパラメーターSは1に近づくほど二色性が高いことを表し、セル平面に対して平行なときの吸光度(A//)およびセル平面に対して平行なときの吸光度(A⊥)を測定し、その吸収におけるオーダーパラメータSを二色性比D=(A//)/(A⊥)を用いて、S=(D−1)/(D+2)によって求められる。
[カイラル剤]
らせん構造を有する液晶を配向させるために、前記液晶性組成物にカイラル剤を添加することが好ましい。得られたらせん構造を有する液晶の配向のらせん周期のピッチは、カイラル剤の種類と添加量で調節することができる。例えば、ピッチを小さくするためには、できる限りヘリカルツイスティングパワーの大きいカイラル剤を選択し、カイラル剤の添加量を増やす必要がある。しかし、添加量が多くなると、液晶材料の粘度の増大、液晶温度範囲が狭くなってしまうという欠点があり、より大きなヘリカルツイスティングパワーを有するカイラル剤が好ましい。ここで、ヘリカルツイスティングパワーの大きいカイラル剤としては、1つまたは2つ以上の何らかのキラルな化学構造を有していることが好ましく、イソマンニド化合物類、イソソルビド化合物類などの環構造の光学活性部位を有する化合物やクムレン、ビナフトールなどの軸不斉を有する化合物がさらに好ましい。
カイラル剤の含有量は、組成物の全質量(塗布液等、溶媒を含む態様では、溶媒を除いた固形分の全質量)中、5〜30質量%であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。2種以上利用する場合は、合計が前記範囲であるのが好ましい。カイラル剤の濃度が30質量%よりも多い場合、カイラル剤がホスト液晶から析出する場合がある。また、5質量%よりも少ない場合、コレステリック状態とならない場合がある。
ここで、また、カイラル剤を大量に添加できるようにするためには、カイラル剤が少なくとも1つの重合性基を有していることが好ましい。重合性基としては、エチレン不飽和基が好ましく、特にアクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基が好ましい。本発明に用いられるカイラル剤は、ポリマーであってもよい。
[液晶性化合物]
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。更にそれぞれ低分子タイプと高分子タイプがある。高分子タイプとは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男 著、2頁、岩波書店、1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物を用いるのが好ましい。
なお、本発明に用いる液晶性化合物は、コレステリック等の配向が可能な液晶性化合物であればよく、液晶性化合物そのものが、光学活性体である必要はなく、アキラルな液晶性化合物を利用することができる。製造工程において、光学特性発現の制御が容易である等の観点から、本発明では、アキラルな液晶性化合物を利用することが好ましい。同様の観点から、本発明では、光異性化基や光2量化基などの官能基を含まない液晶性化合物を利用することが好ましい。
棒状液晶性化合物としては、例えば、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子タイプの液晶性化合物だけではなく、高分子タイプの液晶性化合物も用いることができる。上記高分子タイプの液晶性化合物は、低分子タイプの重合性基を有する棒状液晶性化合物が重合した高分子化合物である。本発明では、低分子タイプの化合物が好ましい。
棒状液晶化合物としては、例えば、特開2009−69793号公報の段落番号0065〜段落番号0071で説明される棒状液晶化合物を用いることができる。
本発明では、液晶性化合物は、液晶性組成物の塗布液等、溶媒を含む態様では、溶媒を除いた固形分の全質量中に、60質量%〜95質量%の範囲で含まれることが好ましく、70質量%〜90質量%の範囲で含まれることがより好ましい。また、赤色着色層、青色着色層、緑色着色層等、複数の層を設ける場合、それぞれの層によって、用いる液晶性化合物の種類を変えても良い。
[重合開始剤]
本発明では、二色性色素の配向状態を固定して位相差を有する着色層(A)を形成するのが好ましく、重合反応を利用して二色性色素を固定するのが好ましい。
本発明では、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応のいずれを採用してもよいが、熱により支持体等が変形、変質するのを防ぐためにも、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許第2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン及びフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)及びオキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)が含まれる。
本発明では、重合開始剤は、液晶性組成物中に、前記液晶組成物中、固形分として0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.5質量%〜15質量%であることが更に好ましい。
重合開始剤は、二色性を有していてもよい。高い二色性を有す重合開始剤を用いる場合には、液晶に溶解させたときのオーダーパラメーターが0.5〜0.95であることが好ましく、0.6〜0.8であることがさらに好ましい。驚くべきことに、特表2008-505369号公報の段落0106の化学式6に記載されている二色性重合開始剤を用いても、本発明の染料色素と位相差を両立した機能性膜を作製することができた。
[溶媒]
本発明の位相差を有する着色層(A)を形成するのに用いる液晶性組成物は、塗布液として調製することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。該有機溶媒としては、アミド(例えばN,N−ジメチルホルムアミド);スルホキシド(例えばジメチルスルホキシド);ヘテロ環化合物(例えばピリジン);炭化水素(例えばベンゼン、ヘキサン);アルキルハライド(例えばクロロホルム、ジクロロメタン);エステル(例えば酢酸メチル、酢酸ブチル);ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン);エーテル(例えばテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン);1,4−ブタンジオールジアセテートなどが含まれる。これらの中でも、アルキルハライド及びケトンが特に好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。
本発明では、溶剤は、液晶性組成物中に、65〜90重量%の割合で含むことが好ましく、75〜85重量%の割合で含むことがより好ましい。
[その他添加剤]
本発明の液晶組成物は、液晶化合物の配向性改善のために、配向剤を含有していてもよい。例えば、特開2007−121986号公報の[0068]〜[0072]に記載の一般式(1)〜(3)で表される化合物の少なくとも一種を含有させることで、前記一般式(I)で表される構造を有する化合物を実質的に水平配向させることができ、前記カイラル剤と併用することにより、安定なコレステリック配向を得ることができる。
配向剤の添加量は、液晶組成物の全質量(塗布液等、溶媒を含む態様では、溶媒を除いた固形分の全質量)に対して、0.01質量%〜20質量%であることが好ましく、0.01質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.02質量%〜1質量%であることが特に好ましい。配向剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
例えば、本発明の液晶組成物は、熱により酸を発生する熱酸発生剤を含んでいてもよい。熱酸発生剤とは、熱により酸が発生する化合物であり、通常、熱分解点が100℃〜2300℃、好ましくは150℃〜250℃の範囲の化合物であり、例えば、加熱によりスルホン酸、カルボン酸、ジスルホニルイミドなどの低求核性の酸を発生する化合物である。熱酸発生剤は保存経時中や液晶組成物を塗布した後の乾燥工程や熟成工程では分解せず、コレステリック配向を変形後の加熱硬化工程で速やかに分解するものが好ましい。従って熱分解点としては100℃〜300℃が好ましく、120℃〜250℃がより好ましく、150℃〜250℃が更に好ましい。
熱酸発生剤としては、露光により酸を発生する光酸発生剤の適用も可能である。例えばN−ヒドロキシイミドスルホネート化合物やベンゼンスルホネート等を挙げることができる。
具体的には、市販の熱酸発生剤、NB−201(みどり化学)、SI−101(みどり化学)、PI−105(みどり化学)等を用いることができる。
本発明の液晶組成物は、増感剤として、光増感剤を含んでいてもよい。具体的には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、Michler's ketone、チオキサントン等を挙げることができる。
光学異方性膜の製造方法
本発明のカラーフィルターは、光学活性化合物、染料色素を含む液晶組成物を表面に塗布し、コレステリック配向させた後、光を照射することにより形成することができる。
前記組成物の表面への塗布は、従来公知の種々の方法で行うことができる。後述する様に、本発明のCF膜を液晶セル内に配置して、各画素に対応する領域ごとに形成する場合は、インクジェット方式を利用して、表面に塗布することが好ましい。
[液晶配向]
配向膜としてはポリイミド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコール、ゼラチン、シリカ蒸着膜などを用いることがこのましく、ポリイミド、シランカップリング剤を用いることが配向能力、耐久性、コスト、絶縁性の観点から好ましい。配向膜としては、水平配向膜が好ましい。ポリイミド配向膜に関しては、例えば、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善、2000年)の253〜258ページに記載のもの、液晶ディスプレイの最先端(液晶若手研究会編、シグマ出版、1996年)の83〜104ページに記載のものを使用することができる。
水平配向ポリイミド膜を使用する場合には、水平配向能力、すなわち水平アンカリング力が高いものが好ましい。
配向方法については、ラビング処理をしていても、しなくてもよい。ラビング処理としては、布によるラビング処理が用いられ、液晶ディスプレイの最先端(液晶若手研究会編、シグマ出版、1996年)の83〜104ページに記載の方法を使用することができる。
前記組成物を表面に塗布した後、塗膜を乾燥すると、溶媒の蒸発とともに、光学活性化合物の捩れ力により、例えば、併存するアキラルな液晶性化合物の分子がコレステリック配向する。所望により、液晶相温度範囲で1〜5分間加熱熟成してもよい。
次に、コレステリック配向状態にある組成物に、偏光を照射し、コレステリック配向のねじれらせん構造を歪ませる。この歪みは、偏光照射によって、光学活性化合物の分子のうち、分子中の光異性化基等は、照射された偏光の振動面に異性化基が存在している分子のみが異性化等して、異性化前の状態とは捩れ力が異なる他の状態に変化する。その状態の光学活性化合物分子の近傍のねじれらせん構造は、捩れ力の変化により歪む。その結果、変形した捩れ配向の光学異方性膜となり、該光学異方性膜は、均一なねじれらせん配向では得られない、光学補償に必要な十分な面内異方性を示す。
なお、本発明の光学異方性膜は、照射される偏光と振動面が平行な方向に面内の遅相軸が存在する。
偏光照射の照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることが更に好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることが更に好ましい。照射波長としては300〜450nmにピークを有することが好ましく、350〜400nmにピークを有することが更に好ましい。
偏光照射後に加熱すると、配向が熟成されて、より大きな面内レターデーションを得ることができる。
前記加熱温度は50℃〜250℃であることが好ましく、50℃〜200℃がより好ましく、70℃〜170℃が更に好ましい。
本発明では、偏光を照射する工程の前に、非偏光を照射する工程を含まないことが好ましい。これにより、面内位相差を十分に発現させることができる。なお、偏光を照射した後に、耐熱性の改善のために、さらに光照射を実施するのが好ましい。偏光照射を実施した後の、耐熱性改善のための光照射は、偏光照射であっても、非偏光照射であってもよい。硬化のための光照射エネルギーは、20mJ/cm2〜10J/cm2であることが好ましく、100〜800mJ/cm2であることが更に好ましい。照度は20〜1000mW/cm2であることが好ましく、50〜500mW/cm2であることがより好ましく、100〜350mW/cm2であることが更に好ましい。照射波長としては偏光照射の場合は300nm〜450nmにピークを有することが好ましく、350nm〜400nmにピークを有することが更に好ましい。非偏光照射の場合は200nm〜450nmにピークを有することが好ましく、250nm〜400nmにピークを有することが更に好ましい。
本発明の光学異方性膜の厚さは、0.1μm〜20μmであることが好ましく、0.5μm〜10μmであることが更に好ましい。
以下に、本発明の好ましい液晶表示素子用カラーフィルターの実施形態を説明する。液晶表示素子用カラーフィルターは、通常、位相差を有する着色層(A)として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含む。これらの層は、隔壁によって隔てられた微細領域としてそれぞれ設けられる。赤色着色層、緑色着色層および青色着色層は、それぞれ、通常、液晶性組成物を原料として製造されるが、染料の種類が異なっている。また、用いる液晶性化合物の種類等も異なっていても良い。
本発明の液晶表示素子用カラーフィルターは、各層の厚さが、染料の濃度が同じの場合、青色着色層>緑色着色層>赤色着色層を満たすことが好ましい。このような構成にすることにより、光学補償を適切に発揮させることができる。ここで、青色着色層は、緑色着色層の厚さの1.2〜3.5倍であることが好ましく、1.3〜3.0倍であることがより好ましい。また、赤色着色層は、緑色着色層の厚さの1.1〜3.5倍であることが好ましく、1.2〜3.5倍であることがより好ましい。特に、同じ液晶性化合物を用いる場合に、効果的な方法である。
本発明の液晶表示素子用カラーフィルターの光学補償を適切に発揮させる他の手段として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を構成する組成物の液晶のΔnが、赤色着色層>緑色着色層>青色着色層を満たすことも好ましい。ここで、ここで、赤色着色層のΔnは、緑色着色層のΔnの2〜10.5倍であることが好ましく、2.5〜7.5倍であることがより好ましい。また、青色着色層のΔnは、緑色着色層のΔnの1.05〜3.00倍であることが好ましく、1.08〜2.5倍であることがより好ましい。
Δnを所望の値にするためには、液晶性化合物の種類を選択すればよく、また2つ以上の液晶性化合物を混合することにより、調整することができる。
次に、本発明の液晶表示素子用カラーフィルターを内部に有する液晶セルの作成方法の一例を図1を参照して詳細に説明する。
ガラス等からなる透明基板11上に、例えば、ネガ型ブラックマトリクスレジスト材料を使用し、フォトリソ法を用いてドットパターンのブラックマトリクス12(隔壁)を形成し、ブラックマトリクス12によって隔てられた複数の微細領域aを形成する(図1(a))。なお、ブラックマトリクス12の形成においては、ブラックマトリクスの形成材料及び形成プロセスについては特に限定はなく、レジスト材料によるフォトリソ法を利用する方法以外の方法であっても、ブラックマトリクスパターンが形成できれば問題ない。ブラックマトリックス12のパターンは、ドットパターンに限定されるものではなく、形成する着色層の配列については特に制限はなく、ドット配列、ストライプ配列、モザイク配列、デルタ配列等いずれであってもよい。
ブラックマトリックス12は、パターン形成後にF原子を含むガス(CF4等)でプラズマ処理され、その表面が撥インク化処理されるのが好ましい。ブラックマトリクス12の撥インク化処理は、上記プラズマ処理以外に、ブラックマトリクス材料中に撥インク剤を含有させてもよいし、ブラックマトリックスを、ガラス基板11に対して撥インク性を示す材料から形成してもよい。
次に、所望により撥インク化処理したブラックマトリクス12で隔てられた微細領域aへ、染料を含む液晶性組成物13’を、インクジェット装置を用いて吐出して、微細領域a内に前記流体からなる層(図1(b))を形成する。前記溶液の吐出が完了した後、加熱熟成によりコレステリック配向させ、偏光照射することによって、ねじれらせん構造を歪ませて、面内異方性を発現し、光学異方性を有する位相差を有する着色層(A)13を形成する(図1(c))。偏光照射前、偏光照射中、又は偏光照射後に所望により加熱してもよく、その場合は、加熱装置を使用してもよい。
その他、カラーフィルター、液晶セルおよび液晶表示装置に関する詳細は、特開2009−244738号公報および特開2008−250098号公報等の記載を参酌することができる。
また、前記インクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう)は、特に制限されず、公知の種々のものを使用することができる。コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号公報に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277,703号公報、欧州特許A278,590号公報などに記載されているヘッドを使うことができる。ヘッドは組成物の温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。射出時の粘度は5〜25mPa・sとなるよう射出温度を設定し、粘度の変動幅が±5%以内になるよう組成物温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1〜500kHzで稼動することが好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
実施例1
液晶セル用基板の作製:
無アルカリガラス基板上に、ブラックマトリクスを形成した基板を以下に述べる方法に従って準備した。
図1において、ガラスからなる透明基板11上に、ネガ型ブラックマトリクスレジスト材料を使用し、フォトリソ法を用いてドットパターンのブラックマトリクス12(隔壁)を形成し、隔壁12によって隔てられた複数の微細領域aを形成した(図1(a))。次に、ブラックマトリックス12は、パターン形成後にフッ素原子を含むガス(CF4)でプラズマ処理し、その表面を撥インク化処理した。
次に、撥インク化処理したブラックマトリクス12で隔てられた微細領域aへ、下記に述べるそれぞれの色のカラーフィルター用光学異方性膜用塗布液を、インクジェット装置を用いて吐出して、微細領域a内に前記流体からなる層(図1(b))を形成した。前記溶液の吐出が完了した後、後述する加熱熟成により液晶製化合物を配向させ、偏光照射することによって、ねじれらせん構造を歪ませて、らせん周期のピッチを0.25μm以下として、面内異方性を発現し、光学異方性膜13を形成した(図1(c))。
以下に具体的な条件を述べる。
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液R−LC−1の調製:
下記の組成からなる組成物を調製した後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、光学異方性膜用塗布液R−LC−1として用いた。
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液R−LC−1の組成:
Paliocolor LC242(BASF社製) 17.4質量%
Paliocolor LC756 (BASF社製) 2.6質量%
下記構造式で表されるイエロー色素Y 1.8質量%
下記構造式で表されるマゼンタ色素M 1.8質量%
1,4−ブタンジオールジアセテート 75.88質量%
下記構造式で表される水平配向剤(LC−1−1) 0.02質量%
Irg−907(チバスペシャリティーケミカルズ社製) 0.5質量%
イエロー色素Y(特開2009−46525号公報に記載のもの)
Figure 0005642400
マゼンダ色素M(特開2009−46525号公報に記載のもの)
Figure 0005642400
水平配向剤(LC−1−1)(特許第4084483号に記載のもの)
Figure 0005642400
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液G−LC−1の調製:
下記の組成からなる組成物を調製した後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、光学異方性膜用塗布液R−LC−1として用いた。
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液G−LC−1の組成:
Paliocolor LC242(BASF社製) 17.4質量%
Paliocolor LC756 (BASF社製) 2.6質量%
上記イエロー色素Y 1.8質量%
下記構造式で表されるシアン色素C 1.8質量%
1,4−ブタンジオールジアセテート 75.88質量%
上記水平配向剤(LC−1−1) 0.02質量%
Irg−907 0.5質量%
シアン色素C(特開2009−46525号公報に記載のもの)
Figure 0005642400
カラーフィルター(CF)用光学異方性膜用塗布液B−LC−1の調製:
下記の組成からなる組成物を調製した後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して、光学異方性膜用塗布液B−LC−1として用いた。
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液B−LC−1の組成:
Paliocolor LC242(BASF社製) 17.4質量%
Paliocolor LC756 (BASF社製) 2.6質量%
上記シアン色素C 1.8質量%
上記マゼンタ色素M 1.8質量%
1,4−ブタンジオールジアセテート 75.88質量%
上記水平配向剤(LC−1−1) 0.02質量%
Irg−907 0.5質量%
光学異方性カラーフィルター膜の作製:
R層用光学異方性カラーフィルター膜R−1−1として、上記で得られた光学異方性膜用塗布液R−LC−1をピエゾ方式のヘッドを用いてブラックマトリックス(遮光性隔壁)に囲まれたR層が形成される予定の微細領域(a)に打滴し、140℃で2分間加熱乾燥した。さらに、温度65度で2分間熟成後、直ちにこの層に対して偏光UVを照射(照度200mW/cm2、照射量200mJ/cm2)した後、130℃加熱熟成し、光学異方性膜R−1を形成した。同様にして、G層及びB層用光学異方性膜G−1及びB−1をそれぞれ、G層及びB層が形成される予定の微細領域に形成した。ここで、光学異方性膜用塗布液は、上記G−LC−1またはB−LC−1を用い、打滴量を変えることで、光学異方性膜G−1及びB−1のそれぞれの厚みを表1に記載するように調整した。
同様に、R層用光学異方性カラーフィルター膜R−1−2として、R−LC−2を用い、同様の実験を行った。また、G層用光学異方性カラーフィルター膜G−1−2として、G−LC−2を用い、B層用光学異方性カラーフィルター膜B−1−2として、B−LC−2を用い、同様の実験をおこなった。その結果を表1に示した。
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液R−LC−2の組成:
Paliocolor LC242(BASF社製) 17.4質量%
Paliocolor LC756 (BASF社製) 2.6質量%
イエロー色素 G232(日本感光色素社製) 1.8質量%
マゼンタ色素 G214(日本感光色素社製) 1.8質量%
1,4−ブタンジオールジアセテート 75.88質量%
上記水平配向剤(LC−1−1) 0.02質量%
Irg−907 0.5質量%
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液G−LC−2の組成:
PaliocolorLC242(BASF社製) 17.4質量%
Paliocolor LC756 (BASF社製) 2.6質量%
イエロー色素 G232(日本感光色素社製) 1.8質量%
シアン色素 G282(日本感光色素社製) 1.8質量%
1,4−ブタンジオールジアセテート 75.88質量%
上記水平配向剤(LC−1−1) 0.02質量%
Irg−907 0.5質量%
カラーフィルター用光学異方性膜用塗布液B−LC−2の組成:
PaliocolorLC242(BASF社製) 17.4質量%
Paliocolor LC756 (BASF社製) 2.6質量%
マゼンタ色素 G214(日本感光色素社製) 1.8質量%
シアン色素 G282(日本感光色素社製) 1.8質量%
1,4−ブタンジオールジアセテート 75.88質量%
上記水平配向剤(LC−1−1) 0.02質量%
Irg−907 0.5質量%
なお、本実施例では、R、G、B各画素に対応する部分に、搬送速度、駆動周波数を制御し、所望するR、G、B各画素に対応する凹部に各光学異方性膜用塗布液を打滴した。
その後、温度100℃にて乾燥させ、更に温度200℃にて1時間熱処理を実施し、光学異方性膜上に着色層(画素領域)を形成した。
位相差測定:
ファイバー型分光計(KOBRA 21ADH又はWR(王子計測機器株式会社製))を用いた平行ニコル法により、任意の波長λにおける面内レターデーションRe(λ)及び遅相軸を回転軸として±40度サンプルを傾斜させたときのレターデーションをそれぞれ測定し、Rth(λ)を算出し、Nz値を求めた。R、G、Bに対して波長λは、それぞれ611nm、545nm、435nmとして、レターデーションを測定した。
光学異方性膜の位相差は、あらかじめ測定した光学異方性膜のない基板の透過率データで校正を行うことにより、光学異方性膜の位相差のみを求めた。光学異方性膜の二軸性の発現度合いを、Nz値より評価し、下記表に併せて記載した。ただし、Nz=Rth(λ)/Re(λ)+0.5であり、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λnmにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。
尚、◎が最も好ましく、以下、○、△、×の順に順位付けされる。
◎:光学補償フィルムとして非常に好ましい。Nz値=2.0〜7.0
○:光学補償フィルムとして好ましい。Nz値=1.5〜8.0
△:光学補償フィルムとしては不十分。Nz値=1.0〜10.0
×:光学補償フィルムとしてはほとんど機能しない。Nz値=上記範囲外
Figure 0005642400
上記表の結果から、形成されたR−1、G−1及びB−1の光学異方性カラーフィルター膜は、光学補償能を有していることが分かった。
透明電極の形成:
上記で作製したカラーフィルター上に、透明電極膜(膜厚2000Å)をITOのスパッタリングにより形成した。
配向層の形成及び液晶セル形成:
上記透明電極の上にポリイミドの配向膜を設けた。次に、粒子径5μmのガラスビーズを散布した。更にカラーフィルターの画素群の周囲に設けられたブラックマトリックスの外枠に相当する位置に、スペーサ粒子を含有するエポキシ樹脂のシール剤を印刷し、カラーフィルター基板を対向基板と10kg/cmの圧力で貼り合わせた。次いで、貼り合わされたガラス基板を、温度150℃で90分間熱処理し、シール剤を硬化させ、2枚のガラス基板の積層体を得た。このガラス基板積層体を真空下で脱気し、その後大気圧に戻して2枚のガラス基板の間隙に液晶を注入し、液晶セルを得た。この液晶セルの両面に、株式会社サンリッツ製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。
VA型−液晶表示装置(VA−LCD)の作製:
カラー液晶表示装置用冷陰極管バックライトとして、BaMg2Al1627:Eu,Mnと、LaPO4:Ce,Tbとを質量比50:50で混合した蛍光体を緑色(G)、Y23:Euを赤色(R)、BaMgAl1017:Euを青色(B)として、任意の色調を持つ白色の三波長蛍光ランプを作製した。このバックライト上に上記偏光板を付与した液晶セルを設置し、実施例1のVA−LCDを作製した。
比較例1
光学異方性カラーフィルター膜の、R層とB層の厚みを下記表に示すように変えた以外は、実施例1と同様にして光学異方性膜R−1c、B−1c、R−2c、B−2cをそれぞれ作製した。結果を下記表に、G−1の結果と共に示した。下記表に示す通り、R層では好ましい光学補償が発揮されたG層の厚みよりも厚くなると光学補償能に乏しく、B層では好ましい光学補償が発揮されたG層の厚みよりも薄くなると光学補償能に乏しくなることが分かった。
Figure 0005642400
Figure 0005642400
実施例2
実施例1において、光学異方性形成用塗布液R−LC−1、G−LC−1、B−LC−1中の、LC242をR−2では、重合性液晶化合物1に、G−2では、重合性液晶化合物2に、B−2では、重合性液晶化合物3に代えた以外は、実施例1と同様にして、光学異方性膜R−2、G−2及びB−2をそれぞれ形成した。得られた光学異方性膜について、実施例1と同様にして、位相差を求めた。Nz値の測定結果を下記表に示した。なお、実施例2は参考例である。
重合性液晶化合物1(英国特許GB2306470)
Figure 0005642400
重合性液晶化合物2
Figure 0005642400
重合性液晶化合物3
Figure 0005642400
Figure 0005642400
上記表の結果から、形成されたR−2、G−2、及びB−2の光学異方性カラーフィルター膜は、光学補償能を有していることが分かった。
比較例2
実施例1において、光学異方性形成用塗布液R−LC−1、G−LC−1、B−LC−1中の、LC242をR−3cでは重合性液晶化合物3に、B−3cでは重合性液晶化合物1に、代えた以外は、実施例1と同様にして、光学異方性膜R−3c、B−3c、R−4c、B−4cをそれぞれ形成した。得られた光学異方性膜について、実施例1と同様にして、位相差を求めた。Nz値の測定結果を下記表に示した。
Figure 0005642400
上記表から、R層では好ましい光学補償が発揮されたG層のΔnよりもΔnが小さくなると光学補償能に乏しく、B層では好ましい光学補償が発揮されたG層のΔnよりもΔnが大きくなると光学補償能に乏しくなることが確認された。
比較例3
実施例1において、赤色用カラーフィルタ用塗布液のイエロー色素およびマゼンダ色素の代わりにC.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B −CF」)および、I.Pigment Red 177( チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」を、緑色用カラーフィルタ用塗布液のイエロー色素およびシアン色素の代わりにC.I. Pigment Green 36 ( 東洋インキ製造製「リオノールグリーン 6YK」)およびCFイエローEX3393(御国色素社製)を、青色用カラーフィルタ用塗布液のシアン色素およびマゼンダ色素を、CFブルーEX3357(御国色素社製)およびCFブルーEX3383(御国色素社製)に代え、同様に行った。結果、液晶には色材顔料は不溶であったため、液晶の配向が大きく乱れてしまい、光散乱、ヘイズなどが確認され、位相差層と着色層が一体化した機能性層は形成できなかった。
11 透明基板
12 ブラックマトリクス(隔壁)
13’液晶性組成物
13 位相差を有する着色層(A)

Claims (15)

  1. らせん周期のピッチが0.25μm以下であるらせん構造を有する液晶と可視光領域に吸収を有する少なくとも二種以上の染料色素の両方を含む位相差を有する着色層(A)を有し、
    Nzが1.5〜8.0の範囲にあり、
    前記位相差を有する着色層(A)として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含み、各層の厚さが、青色着色層>緑色着色層>赤色着色層を満たすことを特徴とする液晶表示素子用カラーフィルター:
    ただし、Nz=Rth(λ)/Re(λ)+0.5であり、Re(λ)及びRth(λ)は各々、波長λnmにおける面内のレターデーション(nm)及び厚さ方向のレターデーション(nm)を表す。
  2. 前記色素の少なくとも一種が可視光に吸収を有する二色性色素であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  3. 前記らせん構造を有する液晶のらせん軸が位相差を有する着色層(A)の膜面に対してほぼ垂直に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  4. 前記らせん構造を有する液晶が変形したねじれらせん構造を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  5. 前記らせん構造を有する液晶がコレステリック液晶である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  6. 前記変形したねじれらせん構造は、液晶をコレステリック配向させた後、偏光を照射することにより形成される構造である、請求項5に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  7. 前記変形したねじれらせん構造は、前記偏光を照射した後に、50〜200℃で加熱することにより形成される構造である、請求項6に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  8. 前記らせん構造を有する液晶のらせん軸が基板に対してほぼ垂直に固定されており、かつ、らせん構造がらせん軸に対して不均等な構造である、請求項1、2、5または7に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  9. 前記位相差を有する着色層(A)として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含み、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を構成する組成物の液晶のΔnが、赤色着色層>緑色着色層>青色着色層を満たすことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  10. 前記位相差を有する着色層(A)がカイラル剤を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  11. 前記位相差を有する着色層(A)が非二色性の光重合開始剤を含有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  12. 前記色素の少なくとも一種が可視光に吸収を有する二色性色素であり、前記位相差を有する着色層(A)が非二色性の光重合開始剤を含有する、請求項1に記載の液晶表示素子用カラーフィルター。
  13. らせん周期のピッチが0.25μm以下であるらせん構造を有する液晶と可視光領域に吸収を有する少なくとも二種以上の色素の両方を含む組成物をインクジェット塗布方式で塗布して位相差を有する着色層(A)を設け、
    前記位相差を有する着色層(A)として、赤色着色層、緑色着色層および青色着色層を含み、各層の厚さが、青色着色層>緑色着色層>赤色着色層を満たすことを特徴とする、液晶表示素子用カラーフィルターの製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルターを有する液晶セル。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の液晶表示素子用カラーフィルターを有する液晶表示素子。
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