JP5641432B2 - 擬似婦人科系がん病臭組成物及び婦人科系がん病臭のマスキング、消臭又は変調効果の評価方法 - Google Patents
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また、PLoS ONE Vol.5, Issue 1, e8819, January 2009(非特許文献3)では、マウスの尿中揮発性化合物を分析した結果、肺がん腫瘍群及びコントロール群間においていくつかの化合物の検出量に有意差が表れたこと、更には二種類の肺がん腫瘍モデル間において検出される化合物の種類に違いが見られたことが報告されている。
[1]トリメチルアミン及びスルフィド類を含む、擬似婦人科系がん病臭組成物。
[2]クレゾール、インドール及びスカトールをさらに含む、[1]に記載の組成物。
[3]フェノールをさらに含む、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]炭素数1〜12の低級脂肪酸類をさらに含む、[1]〜[3]の何れか1項に記載の組成物。
[5]トリメチルアミンとスルフィド類とを1:0.001〜10の重量比で含む、[1]〜[4]の何れか1項に記載の組成物。
[6][1]〜[5]の何れか1項に記載の組成物を用いることを含む、婦人科系がん病臭のマスキング、消臭又は変調効果の評価方法。
本発明の擬似婦人科系がん病臭組成物は、トリメチルアミン及びスルフィド類を含む。トリメチルアミンとスルフィド類とを組み合わせることで婦人科系がんの病臭をより正確に再現することができる。
これらの中でも、ジメチルモノスルフィド、ジメチルジスルフィド、ジメチルトリスルフィドが好ましく、ジメチルトリスルフィドが特に好ましい。
スルフィド類は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に制限されるものではないが、クレゾール、インドール及びスカトールの重量比は、1:0.0001〜10:0.00001〜10が好ましく、1:0.001〜5:0.0001〜5がより好ましく、1:0.01〜1:0.001〜1が特に好ましい。
脂肪酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸(吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、2−メチルブタン酸)、ヘキサン酸(2−メチルペンタン酸、3−メチルペンタン酸、4−メチルペンタン酸、2,2−ジメチルブタン酸、2,3−ジメチルブタン酸、3,3−ジメチルブタン酸、2−エチルブタン酸)、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、グルコール酸、乳酸、3−ヒドロキシブタン酸等の水酸基を有していてもよい直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。このうち、炭素数1〜12の脂肪酸類が好ましく、炭素数4〜6の低級脂肪酸類(ブタン酸、イソブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸)が特に好ましい。
脂肪酸類は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、ブタン酸、イソブタン酸、吉草酸、イソ吉草酸、2−メチルブタン酸及び4−メチルペンタン酸の組み合わせを用いることが好ましく、これらの6種を同量で用いることが特に好ましい。
脂肪酸類の含有量は、0.0001〜50重量%が好ましく、0.001〜20重量%がより好ましく、0.01〜10重量%が特に好ましい。
本発明に用いる任意の臭気成分としては、クレゾール以外のフェノール類、アルデヒド類、スクワレン、スクワラン、コレステロール又はその誘導体、アミノ酸、グリセライド、炭素数2〜24の直鎖又は分岐の脂肪酸エステル、トリメチルアミン以外の揮発性含窒素化合物、スルフィド類以外の揮発性含硫黄化合物、芳香族カルボン酸類、環状カルボン酸類、ケトン類などが挙げられる。
フェノール類としては、フェノール、エチルフェノール、ジメチルフェノール、ビニルフェノール、メトキシフェノール、メトキシメチルフェノール、メトキシビニルフェノール、ジヒドロキシベンゼン(o-, m-, p-)、メチルカテコール、2−メトキシフェノール(グアイアコール)、4−メトキシフェノールなどが挙げられる。
アルデヒド類としては、炭素数2〜13のアルデヒド類が好ましい。例えば、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、バレルアルデヒド、イソバレルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ドデシルアルデヒド、トリデシルアルデヒド、テトラデシルアルデヒド、ヘキサデシルアルデヒド、3−ヘキセナール、4−ヘプテナール、2−ノネナール、4−デセナール、ウンデシレンアルデヒド、2,4−ヘプタジエナール、2,6−ノナジエナール、2,4−デカジエナール、メチルオクチルアセトアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド等の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和アルデヒドが挙げられる。
コレステロール誘導体としては、炭素数11〜16の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸のコレステロールエステル(例えば、ウンデカン酸コレステロールエステル、ドデカン酸コレステロールエステル、トリデカン酸コレステロールエステル、テトラデカン酸コレステロールエステル、ペンタデカン酸コレステロールエステル、パルミチン酸コレステロールエステル、パルミトオレイン酸コレステロールエステルなど)などが挙げられる。
アミノ酸としては、プロリン、プロリン含有ペプチド、ロイシン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、シトルリン、バリン、リジン、アルギニン、蛋白質がプロテアーゼ等によって分解され生成されたアミノ酸などが挙げられる。
グリセライドとしては、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸などの炭素数2〜24の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸のグリセライドなどが挙げられる。前記グリセライドにはモノ−、ジ−、トリ−脂肪酸グリセライドのいずれもが包含されるが、トリグリセライドが好ましく、特にパルミチン酸トリグリセライド、パルミトオレイン酸トリグリセライド等の炭素数16の直鎖又は分岐の飽和又は不飽和脂肪酸トリグリセライドが好ましい。
脂肪酸エステルとしては、ラウリル酸ヘキサニルエステル、ラウリル酸ヘプタニルエステル、ラウリル酸オクタニルエステル、ラウリル酸ノナニルエステル、パルミチン酸ヘキサニルエステル、パルミチン酸ヘプタニルエステル、パルミチン酸オクタニルエステル、パルミチン酸ノナニルエステル、パルミトレイン酸ヘキサニルエステルなどが挙げられる。
揮発性含窒素化合物としては、アンモニア、トリブタミン、ピリジン類、ピラジン類、ピペリジン、ピロリン、プトレシン、カダベリンなどが挙げられる。
揮発性含硫化合物としては、硫化水素、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、メチオナール、1,2,4−トリチオランなどのトリチオラン類、S−メチルチオアセテート、2,4−ジチアペンタン、チオラン−2−オンなどが挙げられる。
芳香族カルボン酸類としては、フェニル酢酸、フェニルプロピオン酸などが挙げられる。
環状カルボン酸類としては、シクロペンタンカルボン酸などが挙げられる。
ケトン類としては、1−オクテン−3−オン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オンなどが挙げられる。
これら任意の臭気成分の含有量は、0.0000001〜50重量%が好ましく、0.000001〜20重量%がより好ましく、0.00001〜10重量%が特に好ましい。
溶剤の使用量は、組成物中50重量%以上が好ましく、80重量%以上がより好ましく、90重量%以上が特に好ましい。
本発明の擬似婦人科系がん病臭組成物を評価用病臭サンプルとして用いることにより、婦人科系がん病臭のマスキング、消臭又は変調効果を評価することができる。
また、機器分析により、婦人科系がん病臭のマスキング能、消臭効果又は変調効果を評価することもできる。例えば、ガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS)などを用いて分析してもよい。
表1に示した成分を混合し、専門パネル3名および婦人科病棟に勤務する看護師5名により、子宮がん病臭との類似性を評価した。
表4に示した成分を混合し、婦人科病棟に勤務する看護師6名により、子宮がん病臭との類似性を評価した。
ジメチルトリスルフィド、トリメチルアミンそれぞれ単独では病臭を再現するものではないことが示された。また、フェノール及びクレゾールの混合物、インドール及びスカトールの混合物も病臭を再現するものではないことが示された。
表6に示した成分を混合し、婦人科病棟に勤務する看護師8名により、子宮がん病臭との類似性を評価した。
ジメチルトリスルフィド及びトリメチルアミンを含む実施例4が病臭と非常に良く似ていると判定され、実際の病臭を再現していることが示された。また、これらの成分にさらにクレゾール、インドール、スカトール、フェノール、低級脂肪酸類が含まれる実施例3及び5も病臭とよく似ていると判定された。
これらの成分に加えて、クレゾール、インドール、スカトール、フェノール及び低級脂肪酸類をさらに含むことによっても、実際の病臭を再現できることが判明した。
トリメチルアミンとスルフィド類の好ましい重量比を評価する目的で、トリメチルアミンとジメチルトリスルフィドの1:0.1、1:1、1:10の重量比の組成物を調製し、専門パネル3名で官能評価した。官能評価の結果、重量比が1:0.1、1:1で婦人科系がん病臭との類似性が認められ、重量比が1:10ではやや類似性が低下するものの婦人科系がん病臭を再現していると評価された。これらの結果からトリメチルアミンとスルフィド類の重量比としては、1:0.1〜1:10で婦人科系がん病臭を再現でき、等量またはややトリメチルアミンをスルフィド類に対して過剰量入れた1:0.1〜1でよりよく再現できることが判明した。
次に、実施例1の組成物を用いて消臭剤の消臭効果を官能評価した。
<消臭剤の調製>
緑茶の乾燥茶葉80gに、50mM炭酸ナトリウム溶液1600mLを加えて、30℃で、1時間、激しく攪拌した(反応溶液のpHは8.7)。反応液をろ過後、ろ過液を凍結乾燥し、消臭剤251.8g(対乾燥茶葉64%)を得た。
消臭剤を添加しないこと以外の手順は実施例10に従い、同様に専門パネラー3名でガーゼごしに官能評価した。
結果を表9に示す。
次に、実施例1の組成物を用いて消臭剤の消臭効果を機器分析(ガスクロマトグラフィ/質量分析法(GC/MS))により評価した。
消臭剤0.01gを水0.5gに溶かして水溶液とし、これを濾紙に含浸させた。
上記の綿球と濾紙をバイアル瓶に入れ、一定時間(1時間)経過後にヘッドスペース中の成分をガスクロマトグラフィ/質量分析計にて分析した。
ガスクロマトグラフィ/質量分析計による分析は、次の装置および条件にて実施した。
ガスクロマトグラフィ
機器:GC−6890(アジレントテクノロジー株式会社製)
カラム:BC−WAX(ジーエルサイエンス株式会社製)
質量分析計
機器:MSD−5975(アジレントテクノロジー株式会社製)
消臭剤を添加せず、水を含浸させた濾紙と実施例1の組成物を適量賦香した綿球とをバイアル瓶に入れ、ヘッドスペース中の成分をガスクロマトグラフィ/質量分析計にて分析した。
結果を表10に示す。
Claims (6)
- トリメチルアミン及びスルフィド類を含む、擬似子宮がん病臭組成物。
- クレゾール、インドール及びスカトールをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
- フェノールをさらに含む、請求項1又は2に記載の組成物。
- 炭素数1〜12の低級脂肪酸類をさらに含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の組成物。
- トリメチルアミンとスルフィド類とを1:0.1〜10の重量比で含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の組成物を用いることを含む、子宮がん病臭のマスキング、消臭又は変調効果の評価方法。
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